千蟲姫エリヴィラ


 

 とある夜中――

 何の変哲もないアパートの自室で、1人の少年が器具を使った自慰にふけっていた。

 ローションをたっぷりと満たしたオナホールに、ゆっくりとペニスを挿入する少年。

 「あ、う……」

 にゅちゃにゅちゃという音と共に、少年の快楽の呻きが漏れ出る。

 少年は息を荒げ、さらなる快感を得るべくオナホールを動かした――

 

 「そんなモノを使ってまで、快感が欲しいの?」

 ふと、すぐ近くから少女の声がした。

 「……!?」

 思わず動きが止まり、声の方向を凝視する少年。

 部屋の隅には、ピンクのドレス姿の少女がいた。

 見た目は中学生程度にしか見えないにもかかわらず、ぞっとするほどの妖艶さ。

 長い黒髪を揺らし、その口元は冷酷そうに微笑っている。

 

 「だ、誰……?」

 「私は人ならざる者、千蟲姫エリヴィラ」

 少女はそう告げながら、少年の股間に視線をやった。

 その瞬間、少年の手にしていたオナホールがふっと虚空に消えた――

 と思ったら、いつの間にか少女が手にしている。

 奇妙な少女は、その女性器を模したモノをまじまじと間近で見定めた。

 「このような器具で自らを慰めるとは…… そうまでして快楽が欲しいの?」

 「……?」

 余り理解を超えた状況に、少年は全く声が出ない。

 このエリヴィラとかいう少女はどこから入ったんだ? それに、人ならざる者っていったい……?

 「快感に溺れ、自慰にふける愚者…… その者に人外の快感を与え、嫐り尽くすのが我が愉悦。

  こんな器具ではなく、もっと良いモノで啜ってあげる……」

 そのまま、オナホールを無造作に床へ落とすエリヴィラ。

 そんな彼女の右手が、徐々に異形の姿に変化していく。

 にゅるりとした、ミミズのような長い蟲――

 その頭の部分には目も何もなく、ただ大きな口だけがぽっかりと開いていた。

 これは、一体……!? 自分は、夢でも見てるのか……!?

 少年は、目の前で起きている出来事を呆然としながら眺めていた。

 

 「私は千蟲姫エリヴィラ、この身に千の搾精蟲を宿す淫魔」

 「あ、あ……!」

 驚き、戸惑い、恐怖……幾多の感情が渦巻きつつも、少年のペニスは怒張しきっていた。

 中級淫魔であるエリヴィラの淫気による反応であるが、彼自身がそれを知る由もない。

 「もう、あんな器具は不要。このワームにたっぷり慰めてもらいなさい。

  大声で喘いでも構わない、この空間は隔絶されているのだから……」

 ずるずると地面を這い、ゆっくりと少年の股間ににじり寄るワーム。

 その口が、ちょうど少年の肉棒を包み込める程度のサイズに開いた。

 それを見て、彼はたちまち理解する。

 今から、あの口の中に自分のペニスが――

 

 「あ……! やめて、やめて……!!」

 必死で抗いつつも、彼の体は魅入られたかのように動かない。

 くぱぁと開いた口の内部はうぞうぞと蠢き、粘度の高そうな粘液が垂れている。

 「怯える必要はないわ。搾精生物とは皆、人間男性を絶頂に導くよう進化した存在なのだから。

  その子が与えてくれる極上の快感に身を委ね、最高の快楽を味わいなさい」

 「うぁ……! ああ……!」

 ペニスに迫るワームを、恐怖の視線で見据える少年。

 しかし彼は恐怖とは裏腹に、あの口に挿入したらどのような感触なのかを考えてしまっていた。

 エリヴィラの淫気は、少年から恐怖や嫌悪感を徐々に奪い去っていったのである。

 「や、やめろ……!」

 心に抱いた期待を否定するように、抗いの言葉を漏らす少年。

 そのペニスにワームの口から溢れた粘液が垂れ、亀頭をねっとりと濡らした。

 「あ、あぅ……」

 ぬめる感触に思わず喘ぐ少年、その亀頭にワームが覆い被さっていく――

 

 にゅる、ぬるるるる……

 

 「あ、ぁぁぁぁぁぅ!!」

 ワームの口の中に亀頭部が包み込まれた瞬間、少年は思わず快楽の声を上げた。

 柔らかくぬめる内壁が亀頭の敏感な皮膚に密着し、柔らかく押し包んでくる。

 「ふふ…… もう漏らしてしまいそうな顔」

 歪む少年の表情を眺めながら、エリヴィラは微笑を浮かべた。

 「人間の女性器より気持ちいいのだから、童貞のあなたが何秒もつの?」

 「あああッ……!」

 ずぶずぶと、ワームは少年のペニスを根元まで咥え込んでしまった。

 まるでエリヴィラのドレスの右袖から、彼の股間にまでホースが伸びているようにも見える。

 しかしそのホース状のモノは、人間の精を啜って糧とするおぞましい搾精蟲なのだ。

 それはエリヴィラの僕でもあり、エリヴィラの体の一部でもあった。

 

 「うわぁッ……! 中が……、中がぁ……!!」

 少年のペニスを包み込んでいた内壁に、びっしりとツブツブが浮き出てきた。

 ワームの内部がすぼまり、その無数のツブツブがペニスに極上の刺激をもたらす。

 「性技に熟達した淫魔ハンターをも悶絶させる搾精ワーム、存分に吸い尽くしてもらいなさい。

  ただの人間がこれを味わえる、その幸福に感謝しながら……」

 うぞうぞうぞ……

 びっしりと中に詰まったツブツブが、徐々に蠢き始めた。

 その動きはペニスに伝わり、さらなる快感を少年にもたらす。

 「ふぁ…… あ……!」

 少年は表情をたるませ、口からヨダレを垂らした。

 ワームは彼のペニスを根元まで完全に包み込み、ぬめった内壁をきゅっと密着させている。

 そして、うぞうぞと蠢くツブツブの感触が、サオ、亀頭裏側から表面、カリ、尿道口にまで容赦なくさらされていた。

 まさに、ペニス全体を這い回る快感――そんなものに耐えられるほど、少年は我慢強くはない。

 「あ、ああぁぁぁぁぁ……!」

 「ワームの責めに屈し、そのまま中で漏らしなさい」

 うぞ、うぞうぞうぞ……

 ひときわ激しく蠢く、ワームの内壁。

 「あ、だめだ…… 出る……!!」

 

 どく、どくどくどく……

 

 その刺激で少年は昇り詰め、そのまま精液を溢れさせた。

 「あ、あああぁぁぁ――!!」

 ちゅぅぅぅぅぅ……

 ワームは少年のペニスを嫐りながらも、放たれた白濁液を吸い上げていった。

 ペニスが強烈な吸引にさらされ、彼はさらに強烈な快感を味わう。

 うぞ、うぞうぞ…… ちゅるるるるるぅ……

 「あ……! うぁ……! ああぁぁ――!!」

 どぷっ、どくどくどく……

 その吸引の前に、少年はたちまち二度目の絶頂を味わった。

 内部に溢れさせた精液はたちまち吸い上げられ、その度にペニスは甘美な吸引にさらされ……

 「連続絶頂ね、みっともない。ワームの責めはお気に召した?」

 ガクガクと身体を揺らす少年を眺め、エリヴィラはくすくすと笑った。

 

 うぞうぞ、ちゅるるるるるぅ……

 「くぁ……! ああああああぁぁ!!」

 どく、どくどくどく……

 己の生殖器を搾精蟲に啜り込まれ、少年は快感を味わう。

 射精すればたちまち吸い上げられ、その刺激でまた絶頂する――

 そんなサイクルを何回も味わい、少年はとうとう意識を失った。

 

 

 

 「……!?」

 ふと、目覚める少年。

 周囲は見慣れた自分の部屋、しかし目の前には妖艶に微笑むエリヴィラの姿があった。

 やはり、夢じゃなかったのか……

 

 「5分ほど、気を失っていたわ」

 そう告げるエリヴィラの右腕は、すらりとした人間女性の腕に戻っている。

 そして少年のペニスも解放され、力無くうなだれていた。

 「じゃあ、次はどうされたい?」

 エリヴィラはまるで少年の目を覗き込むように顔を近づけ、そう尋ねてきた。

 「生殖の相手として、強引に犯されたい? 快楽の繭に包み込まれて、夢心地のまま搾ってほしい?

  それとも、全身をねっとりと覆われながら溶かされるように嫐られたい?」

 「な……!?」

 「お望みの料理のされ方を選びなさい。適した蟲で遊んであげるから」

 「……」

 唐突に投げ掛けられた質問。

 少年は少し押し黙り、そして決断した。

 

 生殖の相手として

 快楽の繭に包まれて

 溶かされるように

 さっきのワームで

 エリヴィラ自身に犯してほしい

 どれも嫌、逃げる

 

 

 



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