妖魔の城


 

 逃げ場がない以上、マルガレーテへと特効を仕掛けるのみ。

 僕は銃を片手に、淫魔の女王へと挑み掛かった。

 もはや、こうなれば破れかぶれだ――

 

 「あら……考え無しねぇ。この遊びは終わらせて、私に責めてもらいたいのかしら?」

 妖しい笑みを浮かべながら――くいっ、とマルガレーテは手首を返す。

 それだけで炎龍は方向転換し、僕の背へと迫ってきた。

 「え……? うぁぁぁぁ――」

 そのまま、炎龍が僕に突っ込んでくる――

 

 「殺しはしないわ。趣味ではないから――」

 ――と思いきや、炎龍は僕の身を掠めて消えてしまった。

 膨大な熱気が間近で弾け、周囲に熱風が吹き荒れる。

 「う、うぐ……」

 直接炎龍が当たらなかったとはいえ、至近で弾けた熱量は凄まじいもの。

 焼け付くような熱気にさらされ、全身が麻痺してしまう――

 「ぐ……くそ……」

 僕は体の痺れに耐えきれず、床に膝をついてしまった。

 これ以上は、動けそうにない――

 

 「では、お望み通り――あなたの体に、色々と聞いてあげるわ。

  御存知の通り、私はマルガレーテ・ノイエンドルフ。人間を拷問し、責め嫐るのが大好きなの――」

 気力も戦意も失った僕を見据え――淫魔の女王は、くすくすと笑ったのだった。

 

 

 

 

 

 そして――

 

 「う……? ここは?」

 目を覚ますと、そこは奇妙な部屋だった。

 地下室だろうか、窓は見当たらない。

 内装は、落ち着いていてシックな感じだが――不気味なのは、部屋のあちこちに置かれている器具。

 小さいものは、オナホールやポンプみたいなものなど。

 大きいものは、アイアンメイデンのような像や、ギロチン台、絞首台のようなものまで色々。

 これらは――全て、性的な用途での拷問器具であることを僕は察していた。

 

 「ぐ……!」

 そして、僕はというと――部屋の中央に置かれたベッドに四肢を固定されているようだ。

 衣服は全て脱がされ、丸裸。

 「くそ、離せ……! 誰か、いないのか……!?」

 身をよじり、そう叫び声を上げた――その時だった。

 「ふふふ……いますわよ。ずっと、あなたの側に――」

 そんなマルガレーテの声が、脇から聞こえてきた。

 そして――つかつかと、姿を現すマルガレーテ。

 侵入者として相対した時より、どこか改まった口調で彼女は話し掛けてきた。

 「では――これより、拷問を始めるとしましょうか。

  あなたには、伺っておきたいこともありますの……ふふっ」

 「ぐ――! このお転婆サディスト、あれだけ暴れておいて今さらかしこまるな――!」

 僕はベッドの上でじたばたするが、小さな女王の嗜虐心を満足させるだけだった。

 「くそ、これを外せ――!」

 「外せと言われて、外す者などおりませんわ――」

 マルガレーテはくすくすと笑いながら、机の上に置いてあったひとひらの羽毛を手に取った。

 それをふわふわと軽く振り、ひときわ淫らな笑みをこぼす。

 「――くすぐり責め。時には、このような単純な拷問も素敵でしょう?」

 羽毛を片手に、ベッドの脇に立つマルガレーテ。

 その柔らかそうな羽毛を僕の鼻先に突き付け、ひらひらと動かす。

 「この私が、これで全身をくすぐってあげますわ――ふふっ」

 「や、やめ……」

 「ほぉら……こんな風に……」

 マルガレーテは、その羽毛で僕の首筋を撫でた。

 さわさわとした感触が、なんともいえないくすぐったさを生み出す。

 「ッ……!」

 とは言え、少々むず痒い程度の刺激。

 大した苦痛でもなければ、激しい責めでもない。

 「さて……伺いましょうか。侵入してきたのは、四人で全員? 他にもいるのかしら?

  あの触手の怪物は、侵入者の数に含めてもいいの……?」

 僕の首周りを羽毛で軽く撫でながら、マルガレーテは尋ねてくる。

 なるほど――<やはり、ネメシアの存在が侵入者の実数を分からなくしていたのだ。

 すでに把握されている四人で全員なのに、ネメシアが暴れたおかげで向こうも情報の把握が困難らしい。

 だとしたら、せいぜい惑ってもらうとするか――

 「……素直に喋ると思ってるのか?」

 「ええ。素直に喋られると、私も面白くありませんわ……」

 マルガレーテは、首筋を撫でていた羽毛を右脇下に移動させてきた。

 そに位置で、さわさわと羽毛を動かしてくすぐってくる――

 「あ……あひ、あははははは……!」

 僕は思わず、笑い声を上げて身をよじらせた。

 ぞわぞわするような感覚が、体を駆け巡る。

 「ふふっ……どうかしら? 淫魔の女王自らが与える、くすぐり責めは……?」

 「こんなので、素直に喋ると――あはははははは……!」

 羽毛が左脇下に移り、そこをしゅるしゅると撫で回し始めた。

 丹念に、執拗に、じっくりといたぶるように――

 「あ、あぅぅ……あははは、うは……ああああ……」

 「ふふ……体が震えてきましたわよ。ぶるぶると、私の与える刺激に反応するように――」

 ひとしきり、両脇下をくすぐった後――マルガレーテは僕の胸へと羽毛を移動させる。

 そして、胸全体を――特に両乳首を、綿密にくすぐりたててきたのだ。

 「あ、あひ……! あははは、はぅぅ……あは、は……」

 「あらあら……随分と苦しそうですわね。羽毛一本で、ここまで乱れてしまうなんて――」

 マルガレーテの羽毛さばきは、非常に巧緻なものだった。

 さわさわと素早く、まるでホウキで掃き清めるような動作。

 かと思えば、皮膚に触れるか触れないかの距離で、まさにフェザータッチの刺激――

 そして時には、羽毛の先で字でも書かれるかのように這い回られる。

 そんな巧緻極まる羽毛さばきで、胸全体をくすぐり回されているのだ。

 「あ、が……あはは……ひぁ……! あははははは……は、あが……」

 「ふふっ……」

 悶え始めた僕を見下ろし、マルガレーテは勝ち誇ったように笑う。

 そして、乳首を重点的に羽毛でくすぐってきた。

 突起の部分にまとわりつくように、柔らかな羽毛がふわふわと擦れる。

 それは脱力するような快感であるながら、身悶えするほどのくすぐったさ。

 乳首が擦られ、羽先でさわさわと掃き清められる。

 何度も何度も往復刺激を受け、くすぐられる快感をじっくりと叩き込んでくる――

 乳首を徹底的にくすぐり回され、僕の頭の中は真っ白になっていった。

 

 「まだ、喋りたくないのかしら……?」

 「あひ……あぁぁぁぁぁぁぁ……! あは、あははは……あ、が……!」

 胸のあたりをくすぐり回していた羽毛――その先端が、脇腹の方へ這っていった。

 そして、敏感な脇腹をしゅるしゅるとくすぐり回す。

 いつしか僕の全身は汗まみれ。そして――

 「あら……ご覧なさい。あなたの男の部分を……」

 「あぅ……あぁぁぁ……」

 いつしか僕のモノは隆起し、そして先走りを垂らしていた。

 この愛撫のようなくすぐり責めに興奮し、感じてしまっていたのだ――

 「ふふ……この拷問が、お気に召して何よりだわ……」

 「だ、誰が……! あぅ……は、はははは……あ、はは……」

 強がりは笑い声に遮られ、その笑い声は乱れた呼吸に遮られ――それに割り込んで笑い声が出てくる。

 羽毛が腹全体を這い回り、しゅるしゅると弄ぶようにくすぐられ――

 ヘソのところを、さわさわと履くように――軽く埃を払うような羽さばきで撫で回され――

 僕は全身から汗を垂れ流し、尿道口からはカウパーを垂らしながらのたうち回っていた。

 これは、くすぐり責めなんてレベルじゃない。もはや、くすぐり地獄だ――

 

 「おちんちんが、びくんびくんと震えて――ここも責めてほしいんでしょう?」

 腹部を撫で回していた羽毛が、ゆっくりと下腹の方に入り込んだ。

 そして、そそり立った肉棒の根元の部分を、しゅるしゅるとくすぐり回す。

 その羽先が、ゆっくりと肉棒の裏側を這い上がり――すすす……と、サオをスローモーに撫で上げた。

 「あ、あぅぅ……」

 その羽先が、裏筋部分へと至る――そこでマルガレーテは羽毛を離し、太股をくすぐってきた。

 「あ、あひ――!!」

 時には足の裏をくすぐったり、再び乳首に戻って羽毛で撫で回したり――

 マルガレーテの巧緻極まるくすぐりは、僕の全身を嫐りたてた。

 顎の下から首筋、耳の後ろ、脇の下から胸、乳首、脇腹、へそ、下腹部――

 打ち震えるペニスのみを残し、感じる部分を徹底的にくすぐられ続けたのである。

 「あぐ……あがが……! あ……あひぃ……!」

 僕は打ち震えながら、地獄を見ていた。

 くすぐり地獄という、男殺しの恐ろしい地獄を――

 

 「あ、あが……あひ、ひぁ……」

 それから僕の体は、男性器以外を徹底的にくすぐられ尽くした。

 全身はべっとりと汗にまみれ、ベッドの上で体をひくひくと痙攣させている状態。

 ペニスはびくびくと震え、大量のカウパーを垂れ流している。

 頭の中も真っ白になり、もはや意識さえ遠のいてしまうような有様だ――

 「あらあら……すっかり弱り果ててしまったみたい」

 内ももにじっくりと羽毛を這わせつつ、マルガレーテはくすくす笑った。

 「さて……侵入したのは、貴方を含めて何人……? 言えば、最高の快感の中で絶頂させてあげる」

 「うぁ……ぇ……?」

 イかせてもらえる……?

 このくすぐり責めで、射精させて貰えるのか……?

 

 「刺激を待ち望んでいる、あなたのおちんちん――ここを、羽毛で徹底的にくすぐり回してあげる。

  男性器をくすぐられながら射精するのは、夢のような快楽ですわ……」

 「あ、あぁぁ……」

 僕をここまで悶えさせたくすぐり責めを、男性器に与えてもらえる――

 それは、めくるめく夢のような快楽であることは間違いない。

 知っていることを少し喋るだけで、僕はそれを体験させてもらえるのだ。

 マルガレーテの問いに答えるだけで――

 それだけで――

 

 喋る

 喋らない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ぐ……誰が、喋るか……」

 「ふふ……それでいいの。もっと私を楽しませて……」

 そう囁きながら、さわさわと僕の全身を羽毛でくすぐりたてるマルガレーテ。

 「う、がぁ……あはは、あぐ……あはははは……!!」

 その毛先で全身を撫で回され、僕は顔を引きつらせながら悶え狂う。

 そして――

 「……そろそろ飽きてしまったわ」

 楽しませて、と口にした矢先なのにもかかわらず、マルガレーテは羽毛を放り出した。

 僕の体はくすぐり地獄から一時的に解放され、どっと疲労感が押し寄せてくる。

 「あ、あぐ……う……」

 それでも――決して、解放されないことは分かっている。

 次に、いったい僕は何をされるのか――

 

 「ふふっ――この私が、この指で直にくすぐってあげますわ。

  幸せですわねぇ……淫魔の女王の指で、全身を責めてもらえるなんて――」

 そう言ってマルガレーテは、十本の指を僕に見せ付けた。

 「う、あぁ……」

 細くしなやかな、魔性の指――この指で全身をくすぐられると考えただけで、ぞくぞくと寒気がしてしまう。

 そして――マルガレーテの両手が、僕の両脇を捉えてしまった。

 「あひ……! あが、あぁぁぁぁぁぁ――!!」

 「ふふ、そんなに悦んでしまうなんて……」

 僕の両脇に潜り込んだマルガレーテの小さな両手が、さわさわとくすぐり回す。

 指の一本一本が巧みに動いて、敏感な脇の下を撫で回すのだ。

 それは、羽毛のソフトなくすぐりとは段違いの刺激だった。

 「うが……あ、あぁぁぁぁぁ……」

 全身を駆けめぐる、気も狂わんばかりのくすぐったさ。

 それは暴力的な快感となって、僕の体を激しくいたぶった。

 「ふふ、この十本の指で、狂わせてあげますわ……」

 そのまま、マルガレーテの両手が胸へと素早く移動した。

 指先でさわさわとくすぐりながら、僕の胸全体を滑らかに這い回る。

 「うぁ……! あぁぁぁぁぁぁぁ――!!」

 そしてマルガレーテの指は乳首を捉え、人差し指の腹で素早くしゅるしゅると擦られた――

 かと思えば、爪でカリカリと軽く引っ掻くように刺激を与えてくる。

 そんな変幻自在なくすぐりを、両乳首へと執拗に浴びせられているのだ。

 そして乳首だけではなく、僕の全身――体中のあちこちに指先が巧みに這い回る。

 巧緻極まる指使いで、僕の全身を弄ぶようにくすぐりたてるマルガレーテ。

 与えられる刺激に僕の肉体は激しく反応し、びくんびくんと体が跳ね上がった。

 「あひ、あぅぅ……あはははは、あぐ……!」

 「ふふっ……まるで楽器をかき鳴らしているよう。私の指で、こんなに声を上げてしまうなんて――」

 十本の指がそれぞれ独立して動く、凄まじいくすぐり責め――

 それはまさに、僕の体を楽器のようにかき鳴らしているよう。

 「ふふ……もっと狂いなさい……」

 「あひ――! あ、あ、あがぁぁぁぁ……あははは、あが、ははっ……!」

 撫でるように優しく、その両手を僕の両脇腹に添えてくるマルガレーテ。

 そして指先がわきわきと巧みに動き、脇腹を執拗にくすぐられてしまう――

 「ひぁ……! あが、あ……はぁ……、あぁ……!」

 「ふふ……息も絶え絶えですわね。そろそろ、喋る気になって?」

 マルガレーテの右手は、僕の腹部をじっくりくすぐりながら――

 その繊細な左手は、太股の方へと伸びてきた。

 「あ、あひぃぃぃぃぃぃ――!!」

 そして内腿を、素早い指先がさわさわとくすぐりたてる。

 僕はベッドの上でのたうち回り、息を激しく乱すしかなかった。

 頭が真っ白に染まり、意識が朦朧とするほど凄まじいくすぐり地獄。

 しかし、股間にだけはいっさい触れてもらえない。

 「あ、あひぃ……あはは、あが……あ、うぅ……」

 ペニスがカウパーを溢れさせながら、刺激を求めて打ち震えている。

 敏感なところを的確にくすぐられ、僕は失神寸前の状態に追い込まれてしまったのだ。

 

 「さて……そろそろ、話してもらおうかしら。

  素直に喋るのなら、そのおちんちんを思いっきりくすぐり回してあげますわ」

 ぐったりと伸びた僕の顔を覗き込み、マルガレーテは悪戯っぽく笑う。

 「う……ぇ……?」

 「この五本の指で、おちんちんをこちょこちょこちょ〜って……くすっ。

  くすぐられながら、きもちよ〜く射精したいのでしょう……?」

 「あ、あぅぅ……」

 マルガレーテの悪魔の囁きに、僕は心を動かされつつあった。

 このまま、ペニスにくすぐり責めを浴びてみたい。

 思いっきりくすぐられながら、一気に果ててみたい――

 「そうよ……この指で、男の象徴をくすぐられながら昇天するの。それを上回る幸せがあるのかしら……?」

 「う、ぐ――」

 思えば――マルガレーテは心が読める以上、こんな拷問を行うまでもないはず。

 これは彼女の遊びであり、別に本気で情報を引き出したいわけではない。

 そうなのだから、誰に遠慮することがあるのだろう――

 

 「さあ、くすぐり地獄に堕ちてしまいなさい。

  この指で……男として最高の瞬間を味わいたいでしょう……?」

 「あ、あぅぅ――」

 心の中で、欲望の疼きがぞわぞわと膨れ上がっていく。

 あの指が、ペニスに這い回るという期待。

 そのまま、射精させられてしまうという悦び。

 そして、僕は――

 

 喋る

 喋らない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「い、いやだ――」

 それでも僕は、もはや意地でマルガレーテへの屈服を固辞していた。

 「そう……なんだか飽きてきたわ。あまり堕ちないのも興醒めね」

 それに対し、いくぶん醒めた表情のマルガレーテ。

 不意に、彼女は僕から離れ――

 部屋に置いてあった、棺のような大型器具を引っ張ってきた。

 アイアンメイデンに酷似しており、正面が観音開きになるような構造。

 ただし、上部には首を出すための穴が開いていた。

 マジックでよくある、美女が頭だけを出して入るボックス――そんな感じの器具だ。

 

 「くすぐられるのが好きなあなたには、これを使ってあげますわ。ほぉら――」

 その器具の扉を観音開きにして、内部を見せつけるマルガレーテ。

 「う、うぁぁ……! こ、こんなの――」

 僕はそれを目の当たりにして、戦慄するしかなかった。

 その器具の内側は、無数のブラシと羽毛のようなもので隙間なくびっしりと埋まっていたのだ。

 そしてブラシや羽毛は、全てが電動で動くようになっているようだ。

 おそらく、この中に入れられたら最後――息も出来ないようなくすぐり責めを受けることになる。

 「素敵でしょう? 外部からの操作で、このブラシや羽毛を動かすことが可能なのよ。

  くすぐられるのが好きなあなたには、まさに夢のようなマシーンね……」

 「ひ、ひぃ……」

 くすくす笑うマルガレーテと、怯えきった僕――

 そのおぞましいマシーンは、僕に絶望にも似た衝撃を与えてきた。

 こんなところに入れられたら、本当に気が狂ってしまう――

 「ふふ……見ての通り、感じる部分は特に念入りにくすぐるような設計になっているわ。

  脇の下や乳首、脇腹、足の裏――ブラシや羽毛が、複雑かつ繊細な刺激を与えるようになっているの。

  おちんちんも、重点的にブラシ責めを受ける設計だから――いくらでも、射精していいのですよ」

 「ひぃ……や、やめて……」

 悪魔のくすぐりマシーンを前に、僕は弱々しく懇願するしかなかった。

 「あらあら、そんなに怯えなくても――すぐに、夢中になるわ」

 その次の瞬間――マルガレーテの魔力だろうか、僕の体がふわりと宙に浮いた。

 「ひ、ひぃ……!」

 そして無情にも、僕の体はくすぐりマシーンの中に運び込まれていく。

 まだ作動していない無数の羽根が、さわさわと僕の全身にまとわりついてきた。

 そのままマルガレーテはくすぐり機のフタを閉め、僕の頭だけを出した状態にしてしまう。

 動いていない羽が全身に触れているだけでも、ゾクゾクするような感覚だ――

 「ふふ……覚悟はできた? では――」

 「やめて……ひぃ……やめて……」

 懇願も虚しく――マルガレーテは、スイッチを押した。

 「あひ……! あ、が……! ひぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――!!」

 中に備わった無数の羽毛が動き出し、全身の隅々までを激しくくすぐりたててくる。

 隙間なくみっちり備わった無数の羽根、そして激しく振動してくるブラシによる全身くすぐり――

 刺激を受けていないところは、びくびくと震えるペニスのみ。

 「あぐ……あが、ひぁぁぁぁぁぁぁぁ――! あ、あ、あぁ――!!」

 僕は、泡を吹いてしまいそうなほどに悶え狂った。

 頭の中でばちばちと花火が弾け、全身がガクガクと痙攣する。

 電流に打たれたような快感が、全身を駆けめぐり――

 そして――

 「ひぁ、あ、あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――!!」

 股間のあたりで、じょわぁ……と温かいものが広がっていく。

 あまりに激しいくすぐり責めに耐えきれず、情けなくも失禁してしまったのだ。

 「あはは……オモラシしてしまったのね。惨めな殿方……くすっ」

 悶える僕を眺め、マルガレーテは楽しそうに笑った。

 すると股間部分にシャワーが当てられ、タオルのようなもので自動的に拭き取られてしまう。

 「このくすぐりマシーンは、魔界の拷問用具……何を漏らしても、即座に綺麗にする仕組みになっているわ。

  だから……気の向くまま、好きなだけ失禁してもいいのですよ……?」

 僕の頬を愛おしげに撫でながら、マルガレーテは言った。

 「ほぉら……もう一回、失禁しなさい。漏らす時の顔、私が見ていてあげるから――」

 そう囁きながら、マルガレーテは器具のパネルを操作した。

 「あ……あひっ!!」

 ペニス以外の下腹部――陰嚢や会陰部、アナルがブラシで激しくくすぐられる。

 じっくりと弄ぶように、わしゃわしゃ、こちょこちょと――

 それは今までのような暴力的な強制くすぐりではなく、じっくり脱力させるような巧みなくすぐりだった。

 「あ、あぅぅぅ……! ま、また……もれちゃう……!」

 「ふふ……どんどん力が抜けていくでしょう? いいわよ、漏らしなさい。

  この私に、失禁する惨めな姿を見せなさい――」

 「ひぁ……! あぁぁぁぁぁぁぁ……!!」

 じょぼじょぼじょぼ……と、男性器がまたもや尿を垂れ流す。

 漏らす瞬間のみっともない顔を、マルガレーテの綺麗な瞳でじっと見据えられながら――

 くすぐられながら、失禁してしまう――それは甘い放出感と、狂おしい屈辱感を伴っていた。

 

 「二度も漏らしてしまうなんて……少し我慢が足りないおちんちん。

  ふふ……少々、おしおきが必要なようですわね」

 マルガレーテはくすりと笑い、再度パネルを操作した。

 「おちんちんにも、責めを与えてあげる……男の象徴をくすぐられ、甘い絶頂を味わいなさい――」

 「あがぁぁぁぁぁぁぁ……! あ、あひぃぃぃぃぃ……!!」

 無数のブラシや羽毛がペニスに群れ寄り、一斉にくすぐりたててきた。

 根本から先端までを隙間なく、容赦なく、よってたかってくすぐり回される。

 僕の頭の中で、ばちばちと快楽の花火が弾けた。

 「がぁ……あが、あぁぁぁぁぁぁぁ――!!」

 ほとんど訳の分からない間に絶頂へと追いやられ、白い液を吐き出す肉棒。

 びゅるびゅると射精しているのも関係なく、ブラシはペニスを責めたて続けた。

 責められているのは、肉棒だけではない。

 首から足先まで、足裏も脇腹も全部――無数のブラシが、しゃかしゃかと休みなく擦り続けるのだ。

 これでは、無限のくすぐり地獄そのものだ――

 

 「あ、あがが……ひぁ……!」

 呼吸困難に陥りながら、僕は体を痙攣させる。

 殺人的なくすぐり責めに、僕は命の危機さえ覚えていた。

 「あが……あひ……! し、しんじゃう……あぐ、あ……! あぁぁぁぁぁ――!!」

 「……大丈夫、殺しはしないわ。栄養も与え、死なないようにしながら――ずっと、この機械で弄んであげる。

  何度も何度も射精し、何度も何度も失禁し、何度も何度も失神しなさい――」

 「あぐ……あ、あひ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――!!」

 泣き喚こうが漏らそうが、この機械は止まらない。

 全身をくすぐりたて、ペニスをブラシで責め嫐り――僕を、地獄のくすぐり快感に浸らせるのだ。

 「ひぁ……あぐ、あがが……ひぁぁぁぁぁぁぁ――!!」

 「ふふ……いい声で鳴くわね、あなた」

 僕の悲鳴を聞きながら、マルガレーテは満足そうに目を細める。

 そんな僕を延々と責め嫐る、無情にして巧緻なくすぐり――

 まるで全身の神経がオーバーヒートを起こしたように、体の力が抜けていく。

 意識が遠のき、深い闇へと落ちていく――

 マルガレーテの眼差しを受けながら、僕は失神してしまったのだ。

 

 ここから先は、射精と失禁、失神を繰り返すくすぐり地獄。

 今後永遠に、僕に安息の日は来ないのである。

 

 

 −BAD END−

 

 

 



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