アラウネ・ブルーム


 

 「分かりました、保健室ですね――ふふ、下心が透けて見えるよう」

 くるりと方向を定め、すたすたと歩き始める九条さつき。

 俺の身体もツタでぐいと持ち上げられ、彼女の後に続かされる。

 

 保健室――扉を開けた先は、ベッドが並びカーテンで仕切られた部屋だった。

 床の上やベッドの上に、数人の女子が倒れている。

 一体、ここで何をされるのか――恐怖と期待が、心の中に入り混じった。

 

 「そうですね――」

 俺の体は、ベッドの上に横たわらされた。

 ツタがしゅるしゅると手首や足首に絡み、大の字という無様な体勢で拘束される。

 「――解剖、してあげましょうか?」

 「え……?」

 俺は、九条さつきの不穏な言葉に眉をひそめた。

 むくむくと沸いてくる恐怖心――それを、彼女の次の言葉があっけなく打ち消す。

 「解剖といっても……Hな解剖です。男の子が女の子に解剖される――この意味、分かりますよね」

 そう言って、九条さつきは俺の顔を覗き込んできた。

 どうやら解剖といっても、医学的な意味での『解剖』ではなかったらしい。

 「ふふ……思い出しますね。放課後にお金を貰って、男子をよく解剖してあげたんですよ」

 九条さつきはくすくすと笑った。

 「一万円札を握り締めて私の元に来た男子を、机の上で寝かせて――何時間も掛けて、解剖してあげたんです。

  泣き叫んでも、止めてあげずに……どんな男子でも、最低10回は射精していました。ふふ……」

 彼女の話を聞いているだけで、俺のペニスはすでに隆起している。

 これから、その九条さつきの解剖を味わう事になるのだから――

 

 「まずは、道具が必要ですね……」

 九条さつきの胸の前に、黒い渦が広がる。

 そこへ彼女は両腕を突っ込み、何やらごそごそと動かした。

 「これくらいでいいでしょうか」

 九条さつきが渦の中から取り出したのは、色々な食物や道具が入ったダンボール。

 その中には、こんにゃくやバナナ、カップラーメンまで入っている。

 「言いましたよね。男子を弄ぶため、インターネットで男性のオナニー方法を調べたって。

  色々ありましたよ? 特に、食べ物を使ったオナニーがいっぱい。ふふ、浅ましい……」

 そう言って、九条さつきは目を細めた。

 「最初に、どれを使ってほしいでしょうか? 全部、使い道は熟知していますよ。

  こんにゃく? カップラーメン? 変わったところで、バナナ?」

 「……」

 九条さつきの突き付けた、余りにも異様な問い掛け。

 ここで選んだモノによって、男性器が弄ばれるのだ。

 俺は――

 

 こんにゃく

 カップラーメン

 バナナ

 


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