Another ‐ Story of The Lust-Demon ’ s Castle
「パラレルワールド」――もしかしたら有り得たかもしれない世界。
ここで紹介されるのは、妖魔の城に侵入した「僕」が体験したある淫魔との物語――
「僕」は「メイ」という淫魔メイドの誘惑に屈せず、気力を振り絞って抵抗しようとする。
本来の世界であれば「メイ」はこの後「ネメシア」に融合され、二度と本来の姿を取り戻すことはない。事実上の「死」を迎えることになる――
これはその「if」の物語。
「僕」が「メイ」に惹かれ、その命を救おうとした場合の「パラレルワールド」の話である。
そして今、「僕」は「メイ」の誘惑を堪えようとしていた……
※ ※ ※
「ぐっ、やめろ……!」
僕は闘志を総動員し、拒絶の言葉を絞り出していた。
こんなところで、サキュバスの餌食になるわけにはいかない――!
「あは、やせ我慢しちゃって……じゃあ、無理やりトリコにしてあ・げ・る」
メイは微笑みながら、僕の張り詰めた肉棒に豊満な胸を近付けてくる。
「くそ……このおっ!」
足をバタつかせ、なんとか抵抗の意志を示す僕。
その際に、足元にあった何かを蹴飛ばしてしまった。
それは、かなり大きな木片――沙亜羅がドアを破壊した時の破片だ。
「きゃっ!」
ほとんど偶然に僕の足に当たった木片は、メイの体をかすめて窓の方へ飛んでいく。
そのまま窓ガラスを粉々に割り、外へと飛んでいってしまった。
「なんてことするのよ。危ないじゃない……もう」
そう言いながら、メイは僕のペニスにおっぱいを近付けていく――
「く、くそっ……!」
僕は観念した、その時だった。
ざしゃっ、と部屋全体に足音が響き渡ったのだ。
いや、むしろ何かが床に降り立つ音――
「え……?」
「ん? なぁに……?」
僕とメイ、そして部屋の隅に控えていたマイの視線が、音の方向に集中する。
さっきの割れた窓――その脇には、一人の女性が立っていたのだ。
綺麗な長髪に端正な顔、華奢な体、そして無骨な拘束服。
「ネ、ネメシア……!?」
間違いない、吹き抜けの通路で会った追跡者だった。
いったい、どうやってこの部屋まで入ってきたのか――
「……」
ネメシアはゆっくりと室内を見回し、そして椅子に拘束されている僕に視線を止める。
そのまま、一歩一歩を踏みしめるようにゆっくりと近付いてきた――
「ちょっとぉ、いいところで割り込んで来ないでよぉ」
思わぬ乱入者に対し、不機嫌そうに呟くメイ。
しかしネメシアは、そんな外野には視線すらやらない。
ただ、僕のみをターゲットに歩み寄ってくる。
「く、くそっ!」
僕は拘束されたままもがき、腕錠をじゃらじゃらと鳴らしていた。
やはり、強引にこれを破るのは不可能だ。
それでも、なんとか逃げないと――
「貴女も仲間? 一緒に遊んであげよっか――」
一方メイは、つかつかと室内を進むネメシアの肩に軽く手を置いた。
いかにも不用意に置かれた手――そんなメイの手首を、ネメシアはぐいっと掴む。
「あいたた。やだ、ちょっと乱暴……」
次の瞬間、メイの手首を掴んでいたネメシアの右腕が変化していた。
ぐにゃりと歪み、肉の渦となってメイの腕をじゅくじゅくと取り込み始めたのだ。
「えっ……? あなた、淫魔? そんな気配はぜんぜん全く……きゃあっ!」
「メイちゃん!!」
マイの鋭い声が室内に響く。
ネメシアの右肩から先の肉がぶわっと膨張し、メイの体にぐるぐると絡み付いたのだ。
それだけではない。ネメシアの全身から無数の細い腕が這い出し、メイの体をわしわしと掴んでいく。
拘束服の上から突き出る、無数の腕――メイの纏ったメイド服は引き裂かれ、彼女は裸身をさらしていた。
「な、なにこれ……!? あ、やぁぁぁぁぁ……」
20以上の手がその身に集まり、掌が全身を這い回る――そんな愛撫に、メイは甘い声を漏らしていた。
ネメシアの体から伸びた無数のしなやかな手は、メイの全身を甘く優しく撫で、触り、揉んでいるのだ。
「や、やめてぇ……んん……!」
快感の余り、床にへたり込もうとするメイ――その体を、ネメシアの本来の腕がぐいっと引き起こした。
メイの小さな体を背後から抱きかかえるネメシアによって強引に直立させられ、愛撫の限りを受けるメイ。
少女の裸身を、そして全身を這い回る掌を僕に見せ付けるように――
「やめてぇ、やめてよぉぉ……ああぁぁぁ……」
「ぐっ、くそっ……!」
メイの嬌声を聞きながら、僕は必死で拘束を解こうともがく。
そんな僕の横に立つマイも、呆然としたまま動こうとしない。
目の前の光景は、淫魔である彼女にとってもイレギュラーな事態なのだ。
「……」
さらにネメシアの背中からは、淫靡な女性の上半身がずるりと這い出ていた。
その女性は、妖艶な笑みを浮かべながらメイの自慢のおっぱいに腕を伸ばす。
そして、その胸を優しくいじり回し始める――その女性に、僕は確かに見覚えがあった。
あれは確かに、アルビーネ――あの、門番だったサキュバスだ。
「やぁぁぁぁぁぁ……! あ……! ああああああぁぁん!!」
アルビーネに胸をこね回され、そして無数の掌に全身を愛撫され、マイは体をがくがくと痙攣させる。
とろんとした目で、口の端からヨダレを垂らす――もはや快楽に支配された表情。
そんな風にメイの全身をじっくりと弄びながら、ネメシアの冷たい視線は僕のみに向いていた。
次にこうされるのはお前だ、とその目が語っている。
この女を片付けたら、次はお前だと――
「……っ」
どうしてなのか分からない。
メイはさっきまで僕をおっぱいで誘惑してきた淫魔――敵だ。
しかし、ネメシアはまるでメイを人間と同じように攻め、本当の人間と同じように取り込もうとしている……!
それを見ていた僕は、メイを助けたいと思いに突き動かされていた。
「――き、君っ!」
僕は、呆然としていたマイに呼び掛けていた。
「僕の手錠を外すんだっ! 早くっ!」
「えっ!? えっ!?」
マイは混乱しているようだった。
無理もない。
ただでさえ混乱してるのに、捕まえた獲物が「錠を外せ」と言ってるんだ。
だが――っ!
「――このままじゃ、メイはネメシアに取り込まれるぞっ! 助けたくないのか!?」
「……! は、はいですぅ!!」
僕の必死の呼び掛けが、マイの心にも響いてくれたようだ。
マイは背後に回って、僕の腕の錠を開けようとする。
「いっ、いやあああ……」
メイの悲鳴が聞こえ、僕が前を見ると――
ネメシアの下腹部からはにゅるりと巨大な舌のような器官が這い出していた。
その表面は無数の柔突起がびっしりと覆い、全体は粘液でぬめっている。
それはネメシアの下腹部から突き出て、メイの股の間を抜け、その表面を僕に見せ付けていた。
柔突起の一つ一つがひくひくと蠢いている――それを、僕の目にしっかりと刻み込んでいるのだ。
「く、くそっ……」
僕はその瞬間、これはメイへの責めではないことを悟った。
ネメシアのターゲットは、最初からこの僕なのだ。
メイの全身をじっくりと弄ぶことで、僕が次に辿る運命をはっきりと悟らせる――
ネメシアはすでに、僕を嫐っているのだ……!
――カチャ。
軽快な音がしたと同時に、マイの弾んだ声が響く。
「あ、開きましたです……っ!」
同時に僕は椅子から立ち上がって前へ飛び込んでいた。
少しでも躊躇えば、メイは更にネメシアの無数の掌で弄ばれ、舌に舐めまわされ――二度と、もとの彼女には戻れなくなる。
僕にはそんな確信があった。
「――っ!」
僕は懐に手を入れ、爆弾のピンを引き抜いた。
非致死性のスタングレネード。
強烈な閃光と轟音で、周囲の人間の視覚と聴覚を麻痺させてしまうというものだ。
ピンを引き抜いてから時間を計算し、僕はネメシアたちに投げつける。
次の瞬間、ネメシアの顔の直前でスタングレネードが弾けていた。
凄まじい大音響と、視覚を一瞬で真っ白に染めるフラッシュが室内を支配する。
どうにか僕は目と耳を守れたが、目の前にいたネメシアはもちろん、メイもまともに閃光と音響を受けてしまったようだ。
ネメシアの腕から力が抜け、解き放たれたメイが倒れ込む。
僕はすぐに駆け寄った。
メイを背負い、すぐにでも走り出そうとするが――
「……っ!?」
足首をネメシアの舌に絡み取られ、僕はその場に倒れこんでしまった!
背後を見ると、ネメシアがすぐ後ろにまで迫ってくる……!
くそっ! もうダメなのか……っ!?
僕がそう思った時だった。
「――この鎖をもって、我、束縛せんっ!!」
僕らを守るように飛び出してきたマイが呪文を結び、人差し指で軽く円を描いた直後だった。
ネメシアの動きが……止まった?
まるでビデオかDVDの一時停止を押した時の様に、ピクリとも動かない。
「ううっ……怖かったですぅ……」
マイは大きなため息を吐き、目をうるうるさせていた。
「な、何をしたんだ……?」
僕が尋ねると、マイは多少落ち着きを取り戻しながら言った。
「束縛の呪文です。普通の人なら思い通りに動かせるんですけど……手加減とか全然出来なかったです」
――マイに搾り取られたいって言ったら、僕もこうなってたのか……
平然と言うマイに恐怖を感じながら、僕もホッとしていた。
「それより、メイちゃん大丈夫ですか?」
「えっ? ああ……――っ!?」
そこで僕は気付いてしまった。
僕の背中にはスタングレネードの影響で目を回しているメイがいて。
命に別状はなさそうだから大丈夫だとホッとしてる僕がいて。
ところが、メイはネメシアに襲われたせいで裸になっていて。
しかも、自慢の巨乳が僕の背中に密着してて……
「ふっ……ふわああ……………」
メイのおっぱいの柔らかい感触とか。
ほんのりと漂ってくる甘い匂いとか。
しかも一糸まとわぬ姿の形の良いおっぱいに釘付けになってしまう……!
鼻の奥が熱くなって、鼻血が出そうだ……!!
「……ぶ〜っ。やっぱりメイちゃんのおっぱいに夢中になってるですぅ……」
マイが不満そうに呟いた。
そうだ。情に流されて助けてしまったけど、相手は淫魔。
しかも密着していたら相手の淫気をもろに浴びてしまう……!!
一刻も早く離れないと……!!
「え〜っ? 今更 抵抗するですか?」
微笑ましい子供を見つめるような、温かい声でマイが言う。
メイを命がけで助けた為か、さっきより確実に声に親しみがこもっていた。
「もういいですよ〜♪ 獲物さんは自分のお仲間さんを裏切ってまで、メイちゃんを助けてくれたです。
メイちゃんは自分の獲物さんはと〜っても大切に搾り取ってくれるですからぁ。我慢しないで溺れちゃってもいいと思うですよ〜?」
「そ、そんなことできるか……っ!」
甘い誘惑の言葉に抵抗しながらも――
「……………………………仲間?」
気になる単語を聞き直してみると、
「そこにいる無表情な淫魔もどきです。メイちゃんを油断させて食べちゃおうなんて、グロテスクで大嫌いです!
……あ。でも、助けてくれた獲物さんは別ですよ?」
最初は怒っていたが、僕にはにっこりと笑い掛けてくるマイ。
あまりに可憐な微笑みに一瞬ドキッとするが――すぐにこれではダメだと頭を振った。
そして、ふと思い立つ。もしかして、僕とネメシアが仲間だと思い込んでいるのか?
「ちょ、ちょっと待てよっ! 僕は――」
仲間じゃないと言おうとして、ふとネメシアを見た瞬間――
僕は気付いてしまった。
マイの魔法に動きを封じられていたはずのネメシアが、体を震わせて――いや、違う。魔法を打ち破って、動こうとしていることに……っ!
「うっ、嘘ですっ!! 私の魔法にレジストできるなんて――」
同じく気が付いたマイは恐怖に慄いていた。
だが確かにネメシアは、バキッバキッとガラスを破る音の鳴らせながら、少しずつ体の自由を取り戻しつつある。
このままいけば数秒で破られるだろう。
「こ、こうなったら……!!」
マイはまた呪文を唱え始めた。
先程よりも複雑な図形を描き、長い呪文を唱え始める。
その間にも、ネメシアは束縛を打ち破り続け――
とてつもない破壊音とマイの言葉が重なり合った。
ネメシアの舌が僕ら三人を巻きつこうとした瞬間――僕は暗い闇に包み込まれた。
まるで渦に飲み込まれたかのような、目まぐるしい感覚……!!
僕の意識は急速に闇に呑まれていった……
※ ※ ※
「……う、うん?」
ふと、目を覚ます僕。
……って。前も同じことを思ったような気がするんだけど、気のせいかな……?
ここは……部屋だ。
ただ、さっきまでいた場所とは違う。
大きな窓に綺麗な夜景はほぼ同じくらいだろう。
前と違うのは、部屋の装飾だ。
カーテンやカーペットはピンク色に統一され、周囲にはたくさんのぬいぐるみが飾られている。
何ともメルヘンチックな部屋だ……
誰の部屋なんだろう?
……いや、そんなことより。確か僕はマイの魔法に掛かって――あれは多分、時空転移の術だったのだろう、ネメシアから逃れる為の――別の場所に転移させられたんだ。
ネメシアから、逃げられたのか……?
メイやマイは無事なのか……?
――って、何考えているんだっ!
敵の淫魔のことなんていちいち考えてどうするっ!! 僕が本当に助けなきゃいけないのは沙亜羅だろうがっ!!
僕は懸命に頭を振って、雑念を振り払おうとした。
今 僕は、桃色にハートの模様の入った可愛らしい柄のベッドの上に座っている。
メイとマイに初めて会った時の様に手を固定されている訳ではないし、動きを制限されている訳でもなさそうだ。
すぐにでも立ち上がって、沙亜羅を助けにいかないと――
――でも。
「……メイ、大丈夫かな……」
ネメシアに襲われた淫魔メイドのことを心配してしまう。
ついさっき――まあ、どれくらい気絶していたかにもよるんだろうけど――出会ったばかりの淫魔をどうしてこんなに心配してしまうのか……
魅惑の術に掛かっているのか、それとも――
――ふにゅぅっ♥
「ふわぁあぁあああぁぁぁ……」
背後から甘い言葉と柔らかいましゅまろが後頭部に押し付けられた……っ!
あまりに優しく柔らかに包み込まれて体から力が抜けていく……
「……えへへっ♪ 心配してくれてあ・り・が・と♪」
僕の首もとにしなやかな腕が通されて優しく抱きしめられて――甘える恋人のように僕の後頭部におっぱいをゆさゆさと押し付けられてしまう……!!
もちろん、こんなましゅまろの持ち主は――っ!
「め、メイ……!! お、お前……!!」
「あはっ♪ ボクは元気だよ〜♪ 優しい獲物さんが命がけで頑張ってくれたお陰で♥ ふ〜っ♥」
「ぁあぁあぁぁ……」
甘い吐息が耳元に吹き付けられ、ぞくぞくしてしまう……!
股間は急速に疼いていくのに、体から力が抜けていく……
ふわっとした甘い匂いが……気持ち良い……
柔らかいむにゅむにゅが当たる度に頭が蕩けそうだ……
「さっきはぁ……あ・り・が・とっ♪ マイちゃんから聞いたよっ。ボクのこと助けてくれたんでしょ?」
メイはにっこりと笑いながら、僕に言う。
彼女のぱふぱふにペニスはどんどんと大きくなりつつあるのだが――
それ以上に暖かくて心地良くてたまらない……
もしも聖母に抱きしめられたら、こんな風になるのだろうか……
あまりの安堵感と母性に抵抗する必要すら感じられない……
聖母と言うには素朴で人懐っこい娘だが、おっぱいの柔らかさはもう……
「仲間を裏切ってまで助けてくれるなんて、ボク、感動しちゃった♥
ここボクの部屋なんだけどね。強〜っい結界張ってあるし、あんな変な奴入ってこれないよ。マイちゃんもボクが独り占めにしていいって。
……だ・か・らっ♪」
メイは僕の顔からおっぱいを離すと、そのまま後ろに押し倒してしまった。
「ボクとキミの甘〜っい時間を邪魔されることもないよ……♥」
目を細めて、愛おしそうに笑う淫魔に、僕は魅了されていた……
「キミの為に、シャワーも浴びてきたんだから……っ♥」
メイは、ピンクのバスタオル一枚だった。
メイド服以上の露出度を出し、上がったばかりのふんわりと湯気が出ているのが色っぽい……
「――永遠に、ボクの奴隷にしてあげる♥」
可愛らしくにっこりと、それでいて妖艶な笑顔を浮かべるメイ。
メイは僕に圧し掛かると、豊満なおっぱいを僕の胸に押し付けてくる……
むにゅっとしたおっぱいの感触……すっごく気持ち良い……
ふわふわのおっぱいに包み込まれて……
温かくて気持ちよくて……
……幸せだぁ……
……ってダメだ……この娘は淫魔なんだ……!!
でも、どんどんおっぱいの心地良さが僕の頭をとろけさせる……
しかも圧し掛かってるメイの体からも、下のベッドからもメイの甘い、良い匂いがして……
何だかもう……目の前の淫魔のことしか考えられなくなってきた……
「キミはぁ……おちんちんだけじゃなくて、心まで気持ちよくしてあげる♥
絶〜っ対殺さないよぉ♥ キミは、ボクとず〜っと……気持ちイイことするの♥」
ふ〜っと甘い息を吹きかけられて、僕の頭は更にぼんやりしてくる。
甘い果実のような香りがもう頭を桃色の靄に包み込んでいく……
僕は――
受け入れる
抵抗する
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