妖魔の城


 

 ――そして、夜。

 

 「やれやれ……妙な話になったな」

 須藤啓の住むというアパート、そこに急遽借りた一室。

 家具は何一つない部屋で布団を敷き、僕は溜め息を吐いていた。

 とりあえず須藤啓の住処へと集まったものの、みんなヘトヘトの状態。

 話を進める前に、まずは一晩ゆっくり休むということになったのだ。

 「仲間、か――」

 あまり、行動に制約を受けるのは愉快ではない。

 明日にでも、バチカンへ報告に戻る必要もあるだろうし――

 

 「優……」

 ノックもなく、部屋の扉ががちゃりと開く。

 ゆらりと入ってきたのは、明らかに不機嫌な表情を浮かべた沙亜羅だった。

 「さ、さあら……?」

 僕の額を、冷や汗が伝う。

 沙亜羅関連で何か色々とあったが、全て投げっぱなしの現状なのだ――

 「なんか今日、色々と不愉快なことがあったよね。

  姉さんに好きなようにされて、喜んじゃう優とか――」

 「い、いや……それは……!」

 やはり、一番怒っているのはそこか――!

 沙亜羅は、布団の上に座っている僕の背後へと回っていた。

 「ちょっと待て。落ち着くんだ……!」

 「そんなに溜まってるなら、もう出ないほど搾ってあげるから――」

 「う、うわぁっ……!」

 そのまま背後から僕に組み付き、股間へと腕を伸ばしてくる沙亜羅。

 ズボンや下着が下ろされ、その小さな右掌に肉棒が握り込まれてしまった。

 「あ……」

 「ほら、出しなさいよ……」

 そのまま、しこしこと手を上下させてくる。

 巧みにカリを親指と人差し指の輪で引っ掛け、適度な圧迫を加えながら――

 沙亜羅の手コキは、受けるたびにどんどん上手くなっているようだ。

 「どう……? 気持ちいい? 姉さんにされたときと、どっちがいいの……?」

 「あ、あぅぅ……さ、沙亜羅ぁ……」

 快感でじたばたともがく僕を、沙亜羅は背後からぎゅっと羽交い締めにした。

 そして動きを封じたまま、右手で激しく肉棒を扱き続ける。

 時には激しく上下させ、きつく扱きたて――

 時には、ぎゅっと締め付けるような圧迫を与え――

 時には、やわやわと揉みしだいてくるのだ。

 その甘美な手技に、僕はどんどん脱力していった。

 「情けないね、優……こんなに簡単に、手玉に取られちゃうなんて……」

 そう言いながら沙亜羅は、僕のモノを手で弄び続けた。

 不意に、ぞわぞわと射精感が沸き上がってくる――

 「あう……もう、イく――」

 「もう出ちゃうの……? じゃあ、私の手の中で漏らしちゃおうか……」

 沙亜羅はまるで、子供に話し掛けるかのよう。

 そのまま僕のモノを、手でしこしこと刺激し続け――

 僕は、とうとう沙亜羅の手の中で果ててしまった。

 「あ……! あぁぁぁぁぁぁ……」

 沙亜羅の手を汚すように、びゅるびゅると精液が溢れ出る。

 「ふふ……優のおちんちんが、おもらししてる……」

 沙亜羅はおもしろそうに手を動かし、射精中のペニスを揉みしだいてきた――

 「あ、あぁぁぁぁ……あぅぅ……!」

 僕はその刺激に、びゅくびゅく精を溢れさせながら悶えるしかなかった。

 こうして精液を出し切るまで、僕は沙亜羅の手の感触を堪能したのである。

 

 「……」

 沙亜羅は僕のモノを見下ろし、複雑な表情を浮かべた。

 そして――不意に、股間へと顔を寄せてくる。

 「さ、沙亜羅……?」

 「ん……れろっ」

 沙亜羅は舌を伸ばし、亀頭部をれろりと舐めた。

 まるで、アイスクリームを軽く舐め取るように――

 そのぬめりとザラザラ感に、僕はびくっと体を震わせてしまう。

 そんな様子を見上げ、沙亜羅はくすくすと笑った。

 「あはは……おちんちん舐められると、気持ちいい?」

 「あ、あぅぅぅ……す、すごい……」

 感じている様子に気を良くしたのか、沙亜羅はれろれろと肉棒に何度も舌を這わせてくる。

 少し控え目に、亀頭をちろちろと舐め回すように――

 ピンク色の舌が亀頭に何度も触れる感触で、僕は体を震わせた。

 「ん……ちゅぅぅぅぅ……」

 不意に沙亜羅は亀頭に深く唇を当て、ちゅうちゅうと吸ってくる。

 「あ、あぁぁぁ……!」

 亀頭をピンポイントで狙った吸引に、僕は身をよじった。

 その様子を見て、沙亜羅はさらに気を良くしたようだ。

 「ふふ……優、お口でいじめてあげるね……」

 「うぁ……」

 そのまま沙亜羅は僕のモノを口に含み、もぐもぐと口内を動かし始めた。

 その動作はスローモーで、激しいピストン運動などとは縁遠い。

 それでも、沙亜羅にむぐむぐと口内でしゃぶられている感触だけで僕は昂ぶっていった。

 「ん……ちゅるる……」

 「あぐ……!」

 時々沙亜羅の口の中がきゅっと狭まり、僕のモノは締め付けられる。

 生温かい唾液が、ぬるぬると肉棒全体に絡み付き、滑りはどんどん良くなっていった。

 温かい口内で、舌が控え目にやわやわとまとわりついてくるのもたまらない。

 僕は沙亜羅の口内での快感に浸り――そして、みるみる絶頂へと押し上げられた。

 このまま、沙亜羅にイかされてしまう――

 「あぅぅ……もう、出る……!」

 「ん……ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」

 僕が降参したのを察し、沙亜羅は一気に亀頭へと吸い付いてきた。

 口内がきゅっとすぼまり、じゅるじゅると肉棒全体が吸いたてられる――

 「あ……! あぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

 その刺激がとどめとなり、僕は沙亜羅の口内へとドクドク精を迸らされていた。

 「ん、んんん……」

 沙亜羅は驚いたように瞳を大きくするも、そのままゴクゴクと白濁を飲み干していく。

 まるで、ペニスから直接精を吸い出して飲み込んでいるかのように――

 「あぁぁぁぁ……」

 「ん、んんん……」

 僕は沙亜羅の口内の感触に浸りながら、最後の一滴まで精を注ぎ込んだのだった。

 

 「じゃあ……次は、シちゃおうか」

 僕のモノから口を離し、沙亜羅は言った。

 「え……? もう二回も……」

 「何言ってるの……姉さんに搾られる分が残らなくなるまで、出させちゃうから」

 おもむろに、僕を押し倒してくる沙亜羅。

 そのままひょいひょいと服を脱ぎ、騎乗位の体勢で僕に跨ってくる。

 「入れるね、優……。ん、んん……」

 そのまま腰を沈ませ、沙亜羅はあっと言う間に僕のモノを蜜壺へと収めてしまった。

 「あ、あぅ……」

 その中は相変わらず狭く、侵入してきた異物をキュウキュウと締め上げる。

 みっちりと肉壁が絡みつき、じっくり揉みしだくように――

 「あ……! あぅぅぅぅぅぅ……!」

 蜜壺での責めを受け、僕は沙亜羅にのしかかられたまま声を上擦らせた。

 「どう、優……姉さんのと、どっちが……気持ちいい……?」

 息を荒げながら、沙亜羅はぐりぐりと腰を前後に揺さぶってくる。

 その激しいグラインドに、僕のモノは膣内でぐちゅぐちゅにされた。

 ヒダにまみれた肉壁が、にゅるにゅると僕のモノに擦れ――

 亀頭部分をヒダで擦られるたびに、僕は沙亜羅の体の下でびくびくとわなないてしまう。

 「あ、あぅぅ……! うぅぅ……!」

 「えへへ……ほらほらほら〜!」

 だいぶ動きに慣れてきたのか、沙亜羅の腰の動きはどんどん滑らかになっていった。

 その狭い蜜壺は、僕のモノを思う存分にシェイクし始めたのだ。

 「さ、沙亜羅……もう少し、ゆっくり……あうっ!」

 「何言ってるの……? 泣き言なんて、聞かないから……」

 勝ち誇った顔で、腰を揺さぶり続ける沙亜羅。

 「やめ……もう、出そう……」

 「あはは……じゃあ、出しちゃえば?」

 「あ、あぅぅぅぅぅぅ……」

 結局、込み上げてくる射精感を抑えきれなくなり――

 そのまま僕は、沙亜羅の中でドクドクと射精してしまったのである。

 その狭い膣内に、思いっきり注ぎ込む満足感――それは、例えようもない幸福だった。

 

 「ふぅ……気持ちよかったね」

 満足しきった顔で、腰を上げる沙亜羅。

 そして、横たわったままの僕を笑顔で見下ろした。

 「では――ここで、あなたに問題よ」

 「え……?」

 思わず僕は、口をあんぐりと開けて硬直してしまう。

 今の口調は、沙亜羅のものではなく――間違いなく、アレクサンドラ。

 外見は沙亜羅のままなのに、アレクサンドラの口調で喋っているのだ。

 まさか――今のこいつは、アレクサンドラなのか?

 いったい、いつの間に交代したんだ……?

 「も、問題……?」

 「さっきの、手淫、口淫、性交――以上のプレイのうち、どれかの相手はこの私。

  つまりあなたは、私を沙亜羅だと思い込んで精液を捧げてしまったのよ。

  さて――私が相手をしたのは、どのプレイだったか分かるかしら?」

 「な、何だって……!?」

 ……正直言って、まるで気付かなかった。

 手コキ、フェラ、セックスのうち、どれは一つは相手がアレクサンドラだったなんて――

 「もし間違えたら……私は大して気にしないけれど、沙亜羅の激しいおしおきが待っているかもね」

 「ひ、ひぃぃぃぃ……!」

 手コキは――特に不自然な点はなかったはず。

 沙亜羅はあれくらい上手で、間違いはないはずだ。

 フェラは――あのたどたどしさは、確かに本物っぽい。

 セックスも――特に変なところは感じなかった。

 結局、アレクサンドラが本気で沙亜羅を演じれば、僕には分からないのかもしれない。

 だとすると――ここは、論理的に考えるべきか。

 もし、手コキの時がアレクサンドラで、後のフェラ、セックスが沙亜羅だったと考えよう。

 そうなると、かなりおかしな話になる。

 手コキを終えた後のアレクサンドラが沙亜羅と交代し、そのままフェラやセックスを続行する――これは明らかに変だ。

 姉に手コキで抜かれたばかりの僕を前にして、普通にプレイを続けるなんて妙すぎる。

 同様の理由で、フェラしたのがアレクサンドラというのも変だ。

 最初は沙亜羅が手コキ、そこでアレクサンドラと交代してフェラ――ここまではいい。

 その後に沙亜羅が戻った後、何も不自然な点がなく本番に突入するのは不自然である。

 すると、最後のセックスがアレクサンドラだった場合――これなら、全く矛盾はない。

 まず沙亜羅が手コキ、そしてフェラ。そこで人格が交代し、アレクサンドラとセックス、そして今に至る――

 これなら、全くもって自然。答えはこれしかない。

 「分かったぞ! アレクサンドラが相手をしたのは――」

 

 手コキ

 フェラ

 セックス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……悪い知らせと、ひどく悪い知らせがあるわ。どちらから聞きたい?」

 答えを言った僕に対し、アレクサンドラは溜め息混じりにそう切り返した。

 「えっと……まず、悪い知らせの方を……」

 「……ハズレ、よ。正解は、全部私――手淫、口淫、性交、相手をしたのは、全て沙亜羅の振りをした私なの。

  この部屋に入ってきたときから、すでに私……気付かなかったかしら?」

 「そ、そんな――卑怯だ――!」

 あんまりな答えに、目の前が暗くなってしまう。

 「じ、じゃあ……ひどく悪い知らせは……?」

 「この部屋に入ってからずっと、人格は私だったわけだけど――

  実は沙亜羅も、私の中で目を覚ましていたの。つまり、この部屋でしたことは全て見られているわ。

  言うまでもないと思うけれど……沙亜羅、すごく怒っているから」

 「ひぃぃ――!!」

 この女王、もうやだ。

 なんで今日一日あれだけ頑張ったのに、こんなひどい目に遭わなきゃいけないのか――

 「じゃあ、沙亜羅と替わるわ。後は水入らずで楽しみなさい……」

 そう言って、静かに目を閉じるアレクサンドラ――

 そして、沙亜羅がぱちっと目を開ける。

 「あ……う……」

 「……何か、申し開きはある?」

 「ない、です……」

 「じゃあ、覚悟してね……」

 そのまま沙亜羅は、僕のモノをぎゅっと握ってきた。

 「あうう……!」

 「このおちんちん、徹底的にこらしめてやらないと分からないみたいね……」

 そのまま、柔らかい掌で亀頭をにゅるりと撫でてくる沙亜羅。

 びくっ、と異様にきつい快感が背筋を貫く。

 「あう……!」

 「ほら、ほら、ほら――」

 そのまま沙亜羅は掌で、にゅるにゅると亀頭を擦り付けてくる。

 掌のくびれで撫で回すように、ぐりぐりと――

 「あ、あ、あぁぁぁ……!」

 「えへへ……亀頭責めって言うんだよね。どう? 効くでしょ?」

 効くどころの話ではない――凄まじい刺激だった。

 全身が震え、鳥肌が立つほどの快感でありながら、なぜか射精には結びつかない。

 狂おしい刺激にのたうち回る、それでいながら快楽の出口はない――恐ろしい責めだ。

 「うりうり……どう?」

 「あ、あぐ……!」

 亀頭をじっくりと掌で擦られ、僕は水から上げられた魚のように体を跳ねさせた。

 無理矢理に与えられる快感によって、全身がぞわぞわした感触に包まれていく――

 「さ、沙亜羅……もっと、別の刺激を……」

 「だぁめ……亀頭だけいじめてあげるから。ほらほら……」

 「はぅぅぅぅぅ……!」

 尿道を、指先で優しくニュルニュルと撫でられる。

 ぞわぞわした快感だが、これも射精には結びつかない。

 扱くような刺激を与えてもらえれば、たちまち射精してしまえるのに――

 「ほーら、ほらほら……」

 十本の指が、もったいぶるように亀頭の表面を這う。

 にゅるにゅると、ナメクジのようにスローテンポに――

 僕はびくびくとのたうち回り、太股をひくひく痙攣させていた。

 「あ、あぐ……! うぅ……!」

 「この、亀頭の一番広いとこ……ここ、けっこうキくんだよね?」

 「あが……!」

 裏筋の逆側に当たる部分を、沙亜羅の指がじっくりとなぞる。

 じわじわと弄ぶように、いたぶるように――

 「さ、沙亜羅……イかせて……」

 「……ダメ。しばらく、亀頭いじめで悶えてなさい」

 四本の指を揃えて亀頭を覆い包み、優しく動かしてくる。

 そのゆっくりした動きとは裏腹に、凄まじい刺激だ――

 「あ、あが……!」

 「先っちょ、ヌメヌメしてきたよ。先走っちゃったんだね……」

 尿道から溢れる先走り液を、じっくりと亀頭表面にまぶされる。

 そして、再び四本の指で亀頭をくるみ込み、優しく優しく撫でられる。

 それはまさに、亀頭責めでの生殺し地獄だ――

 

 「頼む……もう、イかせて……?」

 「イきたいの? じゃあ、姉さんにでも頼めば……?」

 意地悪な顔で、沙亜羅はあっさりと突き放す。

 溢れ出した先走りで、亀頭はもうヌルヌルだ。

 「あらら……こんなにヨダレ垂らしちゃって。行儀悪いね、優……」

 先走りを指ですくい取りながら、カリの回りにゆっくりとなすりつける。

 カリをきつく刺激されたら射精できるのに、じっくりと弄ぶような指さばきだ。

 五本の指でカリの周囲をつまむようにしながら、ビンの蓋を開けるようにじっくりと回してくる――

 「あ、あがぁぁぁぁぁぁ……!!」

 見た目のスローペースとは比較にならない、狂おしいほどに激しい刺激。

 僕は後方に倒れ込み、びくびくと身を震わせるしかなかった。

 「あらら、ひっくり返っちゃった……じゃあ、もっと凄いことしてあげるね……」

 「あ、あぅぅぅ……」

 沙亜羅は左手でサオの部分を固定すると――右手を自分の口許に持っていって、だらり……と唾液を垂らした。

 そして、ぬめり気を帯びたその掌で亀頭をにゅるりと覆い包む。

 「あぅ――あ、あぁぁぁぁぁぁぁ……!!」

 そのまま、掌を亀頭に押しつけてぐりぐりと動かしてきた。

 亀頭以外はいっさい刺激しない、徹底的な亀頭責め。

 掌はタテやヨコ、さらに円の動きを描き、徹底的に亀頭を擦りたてていく。

 「うりうり……こうやって、亀頭で掌に『の』の字を書いてあげるといいんだって……♪」

 「あひ! あがぁぁぁ――!! し、しぬ……しんじゃう……!!」

 僕はのたうち回るほどの刺激にさらされ、悲鳴を上げながら悶えるより他になかった。

 それでも、沙亜羅は無慈悲にも亀頭をにゅるにゅると責め続ける。

 掌を亀頭にぴったりとフィットさせて、表面を磨くように擦る責め。

 『の』の字を書くように、掌で徹底的に亀頭をいじめ抜く――

 それはまさに、男にとってイくにイけない快楽地獄だった。

 

 「ださせてぇ……もう、ださせてぇ……」

 「あはは、とうとう泣きが入っちゃった。そんなにイきたいの……?」

 ひたすら亀頭のみを責め続けられ、僕は発狂寸前にまで追いやられた。

 もう、顔は涙とヨダレでぐしゃぐしゃになっていたかもしれない。

 亀頭の表面は徹底的に刺激され、沙亜羅の掌で磨き抜かれている。

 僕はもう、泡でも吹いて倒れてしまう寸前の状態だ。

 「あらら……もう、壊れちゃう手前だね。ウェステンラから教えてもらった技なんだけど、こんなにキいちゃうのか……」

 ウェステンラ――なんて技を、教えてしまったんだ。

 「……そろそろ、反省した?」

 「は、い……」

 「姉さんじゃなくて、私にイかせてほしい?」

 「い、いか……せて……」

 「仕方ないなぁ……じゃあ、私の手でイっちゃいなさい」

 そのまま沙亜羅はペニスをぎゅっと握り――カリを引っ掛けるように、にゅくにゅくと刺激してくる。

 今までの生殺しとは違い、射精できる刺激だ――

 「あ……」

 僕の頭の中は、たちまちバラ色に染まり――

 そして、びゅるびゅると白濁液が花火のようにはじけ飛んだ。

 「きゃっ……! 何、この量……!?」

 ペニスを扱き上げながら、沙亜羅は予想外の勢いに驚いてしまう。

 そのまま亀頭に、ぎゅっと掌を被せてきた。

 「あ、あぁぁぁぁぁぁぁ……」

 散々じらされたあげく、沙亜羅の手にくるみ込まれて射精する快感――

 僕はまるで、淫魔に吸われているかのような夢心地を味わったのだった。

 凄まじい放出感に意識が薄れ、頭の中にじんわりと白いモヤが広がっていく――

 

 「今度姉さんにイかされたら、また亀頭いじめでこらしめてやるから――」

 薄れてゆく意識の中で、沙亜羅のそんな声が聞こえてきた。

 今度やられたら死んでしまうと思いながら――僕の意識は、深い闇に落ちていった。

 

 エピローグ 前編・俺

 エピローグ 後編

 



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