アラウネ・ブルーム


 

 「女子更衣室――? 変態……」

 蔑んだように告げつつ、すたすたと歩き始める九条さつき。

 俺の身体もツタで持ち上げられ、彼女の後に続く。

 

 女子更衣室――扉を開けた先は、ロッカーの立ち並ぶ部屋。

 その中には、運動部らしき20人ほどの衰弱した女子が倒れている。

 ふわり、と鼻をつく女の子独特の匂い。

 彼女達の体に植物部分は全く見えず、アルラウネに完全変異している者はいないようだ。

 一体、ここで何をされるのか――恐怖と期待が、心の中に入り混じる。

 

 「……」

 九条さつきは、近くで倒れている長髪の可愛らしい女子学生を見下ろした。

 九条さつきに勝るとも劣らないほど、清楚で可憐な容姿である。

 「あら……? 桐嶋弥生ではないですか。あいかわらず綺麗な娘ですね。

  この娘は私と違って、正真正銘良家の令嬢なんですよ」

 そう言いながら、九条さつきは弥生を仰向けに転がした。

 彼女は汗をかき、ひたすら荒い息をついている。

 きゅっと目を瞑り、意識もないようだ。

 「私が生徒会長の折、よく相談されたのですが……この娘も、身の回りのものが色々盗まれたんです。

  上靴なんて、何度盗まれたものか――そして返ってきた時は、精液でべっとり」

 「……」

 確かに、この弥生の容姿ならば、そこまで劣情を催す男子生徒がいても不思議ではない――俺はそう思った。

 

 「お兄様も同種の人間ではありませんか? 女性の衣服や持ち物に欲情してしまうような――」

 九条さつきはくすりと笑う。

 「ち、ちが――」

 否定する俺を、九条さつきは即座に遮った。

 「なぜ、女子更衣室を選んだのです? 女子の着替えが見たい……? 着替えている女子なんていない事など明白ですよね。

  何を期待したのですか? ぐったりしている女子に、不埒な事をしようと……? それとも――」

 「……」

 九条さつきの詰問に、俺は答えられない。

 「お兄様のような変態の精液は、女性の衣服に全て吸い取らせてしまいましょうか。

  どうしますか? 私が、衣服で弄んであげましょうか? それとも、この桐嶋弥生の衣服を着たままドロドロにしたい?」

 「え……?」

 突然に投げ掛けられる質問。

 それに対し、俺は――

 

 九条さつきに衣服で弄ばれる

 桐嶋弥生の衣服をドロドロにする

 


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