アラウネ・ブルーム


 

 「あぐ、うぅぅ……!」

 歯を食い縛り、俺はなんとか射精をこらえる。

 ここでイってしまえば、この二人の少女の獲物となってしまう――

 耐え切れば、状況が何か変わるのか……? そうも思った。

 それでも、俺はなんとかレロレロと責め嫐る舌の感触を耐え切ったのだ。

 

 「……」

 バターを舐め尽くし、二人の少女は顔を上げる。

 「ふふ、よく我慢しましたね……」

 九条さつきは、言いつけを守った子供に対するような言葉を俺に投げ掛けた。

 そしてヨーグルトのパック片手に、俺の横に立つ。

 「せっかく二人にそこまで可愛がってもらったのだから、一度イかせて貰いましょうか」

 俺の股間の上で、ヨーグルトのパックをひっくり返す九条さつき。

 どぼどぼどぼ……と、大量のヨーグルトが俺の股間に垂れた。

 「……」

 ショートカット少女が再びペニスに舌を伸ばし、ポニーテール少女は陰嚢に垂れたヨーグルトをれろれろと舐め取る。

 さらにショートカット少女は、あむっと亀頭全体を口に含んできた。

 「あ……! ああああぁぁぁぁッ!!」

 これまでずっと舌で嫐られていた俺は、温かい口内に亀頭を包まれる感触で達してしまった。

 柔らかい口腔粘膜、ちろちろ蠢く舌、ぬくぬくの体温――それらを感じながら、ドクドクと少女の口内に精液を漏らす。

 「はぁ……、ああぁぁぁ……」

 突如溢れてきた液体に目を丸くしながら、少女はちゅぅぅぅぅぅと尿道を吸い上げる。

 俺はこうして、尿道内の精液まで搾り上げられた。

 

 「あ……」

 結局、少女の口内に射精してしまった。

 これで、獲物として認識される――そんな俺の思考を遮るように、九条さつきは言った。

 「バターを舐め終えるまで我慢したのだから、この娘達がアルラウネに変成するのを抑制してあげます。

  彼女達はただ栄養を求めて、バターやヨーグルトを舐め取るだけの存在に過ぎない……」

 「う、うぅ……」

 安堵する俺の下半身を、二人の少女の舌が這い回っている。

 

 「さて……次はどうしますか、お兄様? もっとペロペロ舐められたい? それとも……私に食べてほしい?」

 すっ……と、九条さつきは目を細めた。

 「た、食べる……?」

 「そう――比喩ではなく、文字通りの意味で。この身の植物を消化器官に変成させて、お兄様の体を包み込む……

  お兄様の仲間がされたように、ですね」

 「う、あ……」

 九条さつきの腕が巨大な口となり、リョウが丸呑みにされた事を思い出した。

 彼の断末魔の声は苦痛の悲鳴ではなく、快楽の叫びだったのだ――

 

 「……でも、お兄様は私の大のお気に入り。一瞬で食べてしまったりはしません。

  胃嚢でお兄様の全身を覆い尽くし、数千の消化吸盤をくちゅくちゅと貼り付かせます。

  どろどろと消化液を分泌しながら、じゅるじゅると揉み溶かすんですよ」

 九条さつきは冷たい笑みを見せる。

 「消化吸盤は搾精妖花を変異させたものなので、捕食される恐怖は天国の感触に変わります。

  ウツボカズラが獲物を消化するように、たっぷり、たっぷりと嫐り溶かしてあげますね……」

 「……」

 俺は、ごくりと唾を呑み込んでいた。

 恐怖か、それとも期待か……

 リョウが味わった快感よりも、遥かに凄まじい目に合わされるのだ。

 この九条さつきに、全身を執拗に嫐り溶かされて捕食される――

 

 「さあお兄様、どうされますか? 少女達の舌で嫐られ尽くすか、私に捕食されるか……?」

 「……」

 九条さつきの質問に対し、俺は――

 

 少女達の舌で嫐られる

 九条さつきに捕食される

 

 

 



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