クリオネ娘
とある水族館――
若い男女のカップルが、珍しい生物の水槽の前で立ち止まっていた。
クリオネ――「流氷の天使」とも呼ばれる巻貝の仲間。
貝殻の部分は完全に退化した、透き通るような体を持った生物である。
その胴部は円筒形で、半透明な体の中で内臓だけが微かに赤い。
小さな羽根のような腕をぴこぴこと動かし、クリオネは水槽の中を漂っていた。
「うわ、可愛い〜」
水槽に両手をぴったりと付け、水中を漂うクリオネを目で追う梨香。
「でも、クリオネって見た目に反して凶暴なんだ。もうすぐ、エサが貰えるはずだよ」
恋人の遼一はスキューバーダイビングが趣味であり、海洋生物にも詳しい。
そしてこの水族館は、定刻になるとクリオネにエサを与えるのだ。
クリオネの外見に似つかわしくない捕食は有名であり、この水族館はそれをウリにしているのである。
「あっ……これが、エサ?」
梨香は、小型の巻貝のようなものを目にした。
「リマキナだね。クリオネに近い種族の巻貝、クリオネのエサになるやつだ」
そして獲物を認めた瞬間、クリオネに大きな変化が見られた。
「うわっ……!」
余りの異形に、梨香は思わず声を上げる。
なんとクリオネの頭部が開き、六本の触手のようなものが出現したのだ。
たちまちクリオネは、その触手でリマキナを絡め取ってしまう。
「あの触手みたいなのは、バッカルコーン。あれで獲物を捕獲するんだ」
そのまましゅるしゅると、クリオネは頭頂に獲物を引き寄せていく。
さらに頭部から伸びた二本の突起でリマキナを押さえ込んでしまった。
リマキナはクリオネの頭部にがっちり拘束され、そのまま貪られ始める。
「リマキナを固定した器官が、フックのう。ああやって動けなくしてから、エサをゆっくりと捕食するんだ。
短くて一時間、長ければ一日以上の時間を掛けて――」
「ねぇ……もう行こうよ、遼ちゃん。こんなの見たくないよ」
梨香は眉をひそめる。
確かに、女の子が見て楽しいものとは思えない。
「そうだな。そろそろ、本格的に潜りに行くか!」
「わー! スキューバダイビング、初めて!」
梨香はぴょんと飛び上がる。
「遼一、やり方教えてね」
「任せといて。これでも、マリンスポーツは十年以上も――」
そんな会話を交わしながら、二人はクリオネの水槽を後にした。
誰も見る者がいなくなった水槽――その中で、クリオネはただひたすらにリマキナの体を貪り続けている。
自分達がこの哀れな獲物と同じ運命を歩むとは、遼一も梨香も予想だにしなかったであろう――
遼一を先頭に、二人は極寒の海中を優雅に遊泳していた。
梨香も運動神経は優れているため、初めてのスキューバーダイビングでもすぐに順応できたのだ。
しばらく海中を漂っていると、梨香は遠方に奇妙なものを見付けた。
「……!?」
慌てて、遼一の腕をくいくいと引っ張る梨香。
「な、なんだ、あれ……」
スキューバーダイビング経験の豊富な遼一ですら、初めて目にする生物――
それは、クリオネと少女が融合したような人間大の生物だった。
その身体は透けていて、体もほとんどはクリオネに近い――ただし全体的にラインが女性っぽく、胸も微かに膨らんでいる。
頭部は、半透明である点を除いて人間女性のものと同じ。
中学生か高校生程度の年齢の、可愛らしい少女の顔。
ただし、ショートの髪型にはどこか違和感があった。
1本1本の髪によって形成されているのではなく、ふわりと膜のようになっている――
「ん…… 人間?」
羽根のような腕を動かして漂っていたその少女は、不意に言葉を喋った。
海中にもかかわらず、その声は遼一達にもはっきりと伝わってくる。
これは、普通じゃない――
「……!」
遼一は、素早く梨香の腕を掴んだ。
とにかく、この場から離れた方がいい――
「ふふ、逃がさないよ――」
少女の髪の先端が六本の触手となり、逃げようとする二人の方にしゅるしゅると伸びていく。
「やだ、なに――!?」
海中に……そう、音が伝わらないはずの海中に梨香の悲鳴が響いた。
遼一の左足に絡む一本の触手――そして梨香は、残る五本の触手に全身を絡め取られてしまったのだ。
半透明で弾力のある触手が梨香の手足や胴に巻き付き、その動きを封じられたのである。
「梨香――!!」
遼一の叫び声までもが海中に響く――が、今はそれどころではない。
彼は、恋人に絡み付いた得体の知れない触手を引き剥がそうとする。
「うふふ、つがいなんだ……」
遼一の左足に絡みついた触手は上半身に這い上がり、するすると彼の両腕を押さえ込んでしまった。
たちまち拘束され、梨香から引き剥がされる遼一。
次の瞬間に彼が見たものは、ダイバースーツが触手によってブチブチと引き裂かれる梨香の姿だった。
「り、梨香!」
遼一は必死でもがきながらも大声を上げた。
まずい、こんな低水温の場所で肌を露出させたら――
「たすけて、遼ちゃん……!」
引き裂かれたダイバースーツの下から、梨香の白い素肌があらわになる。
その瞬間、遼一は妙な事に気付いた。
この極寒の海中で裸身をさらしても、梨香は恐怖以外の反応を示さない。
そして、さっきから海中にもかかわらず声が通じている。
とにかく不可解な状況――しかし、冷静さを失えば命に関わる。
そこで遼一は、あの奇妙な生物は先ほどから言葉を喋っている事に着目した。
もしかしたら、コミュニケートできるのではないか――?
「な、なぁ…… あんた、なんなんだ?」
遼一は、必死で心を落ち着かせながら生物に語りかけた。
「……私? クリオネ系統の搾精生物。クリオネ娘ってとこかな?」
クリオネ娘と名乗った少女は、きょとんとしながらも遼一の言葉に応える。
「へー。私と話そうとしたの、君が初めてだよ。ちょっと嬉しいな」
「海の中でも声が通じるのとか、海が冷たくないのとかも、あんたがやってるのか?」
彼の質問に対し、クリオネ娘はこっくりと頷いた。
「うん。獲物がショック死したりしないように、私の魔力で人間向けの環境を整えてるの。
搾精生物ってのは多かれ少なかれサキュバスの血を引いてるから、それなりの魔法は使えるんだよ」
彼女の返答は理解不能な点も多かったが、とりあえずクリオネ娘がやっているという事は分かった。
とりあえず、確実に言葉は通じる。なら――
「お、俺達をどうするつもりなんだ? こちらには危害を加える気がないから、離してくれないか?」
「どうするって……食べちゃうの。女の方は、すぐにね」
とんでもない宣告を、無邪気に告げるクリオネ娘。
「た、食べ……!? そんなの、やだよぉ……!」
触手に完全に捕らえられている梨香は、涙混じりに訴える。
遼一と梨香の脳裏には、さっきの水族館で見たクリオネの捕食の光景が去来していた。
触手でリマキナを頭部に引き寄せ、そのまま押さえ込んで貪り尽くす姿が――
「やだぁ…… 助けて、そんなのやだぁ……」
梨香はひっくひっくと泣きじゃくる。
「それで、男の方も最後は食べちゃうんだけどねぇ――」
クリオネ娘は、すっと目を細めた。
「――食べる前に、精液をずっちゅずちゅに吸い尽くすの」
「な……!? 精液を……!?」
遼一は表情を歪めた。
何かの冗談――とはとても思えない。
「ど、どういう事なんだ……?」
「どういう事って…… どうされるのかはっきり聞きたいの? ふふ、スケベ」
クリオネ娘の股間部から、しゅるりと一本の触手が伸びた。
遠くてよく見えないものの、その触手の先端には口のような穴が開いているのが確認できる。
「この搾精触手が、君のおちんちんに貼り付いちゃうんだよ。それで、じゅるじゅると精液吸い尽くしちゃうの。
ふふ…… と〜っても気持ちいいから、期待しててね」
「……!?」
遼一は、もはや声さえ出せずに表情を歪めた。
「だめ…… 遼ちゃんが、そんな…… やだ……」
一方、梨香はすすり泣きながら呟く。
その瞬間、彼女の全身に絡んでいる触手がうにょうにょと蠢き始めた。
「ん……! ああ……!」
たちまち、梨香の唇から漏れる甘い声。
「り、梨香……!? 大丈夫か!!」
「ああああ…… はぁ……ン だ、だめ……」
「……!?」
恋人の反応に、遼一は恐怖さえ忘れて目を丸くした。
梨香が感じているのが、決して苦痛でない事は明らか。
彼女の頬は赤く染まり、目はとろんとしている。
全身に巻き付いたクリオネ娘の触手は、梨香の身体を愛撫し始めたのだ。
「うふふ…… ねぇ、気持ちいい?」
目を細め、クリオネ娘は悪戯げに笑う。
触手は梨香の全身にゆっくりと這い、くすぐりたてながら各部を刺激する。
そんな触手の一本が、不意に彼女の股間に伸びた。
茂みを分け入り、そのまま秘部の入口をさわさわと撫でる。
「はァン! あああ……!」
梨香の身体がビクンと脈打ち、そのままわなわなと震え出した。
涙が滲む恐怖の表情に愉悦が混じり始め、まるで笑っているかのように口が歪む。
「この……! やめろ……!」
制止の声を上げながら、必死でもがく遼一。
クリオネ娘は彼の方に視線をやり、とびきり淫靡な笑みを見せた。
「キミの方は、もっとひどい目に合うんだよ。ふふふ、ぐっちゅぐちゅに犯してあげるから覚悟してね〜」
犯される……? この少女に……?
遼一はその意味を自覚し、唇を震わせた。
それも、あんな触手で強制的に精液を吸い上げられるなんて――
しゅるるる…… にゅる、にゅる……
梨香の全身を触手で弄びながら、自分の方に引き寄せていくクリオネ娘。
さっきの水族館で見たように、このまま捕食されてしまう――
「ああぁ……! いやぁッ! やだよぉ……!! たすけてぇ!」
必死でもがきながら、泣き叫ぶ梨香。
その乳房に触手が巻き付き、乳首を重点的にいじくり回した。
「ん…… ああッ! やめてぇ……!」
全身を責め立てられながら、とうとう梨香はクリオネ娘の眼前にまで引き寄せられる。
異形の少女は、涙で滲む梨香の瞳を覗き込んで笑った。
「ふふふ…… 私、獲物いたぶるの好きなんだ」
「ひぃ…… やめ、やめてぇぇ……!」
梨香の全身ににゅるにゅると触手が這い回り、体中に快楽を塗り込む。
「はぁ…… ん、んん……!」
鼻に掛かった声で、喘ぎ続ける梨香。
その膣口に、触手の先端がぴったりと密着した。
今までは入口をくすぐるだけだったのが、中に割って入ろうとしている――
「ねーねー。人間の女は、ここで精液を搾り取るんでしょ? 中はどうなってるの?」
ぬぬぬ……
クリオネ娘の触手が、とうとう膣内に侵入していった。
「んん……! あああああああッ!!」
触手が内部でニュルニュルとうねり、梨香は快感で身をよじらせる。
「狭くてヌルヌル…… ヒダヒダがいっぱいあるんだね。これでおちんちんを擦っちゃうの?」
クリオネ娘は、まるで膣内の感触を確かめるように触手を動かす――
と思ったら、膣から触手を抜いてしまった。
同時に、梨香の全身を責め嫐っていた愛撫も止む。
「ねぇねぇ。その搾精器官で、おちんちんから精液搾り取ってみてよ」
にっこり笑いながらのクリオネ娘の言葉――当然ながら、梨香は当惑した。
「え……?」
「ほらほら。彼氏、おちんちん大きくさせてるよ? ねぇ、どうやって使うか見てみたいんだ」
そう言いながら、クリオネ娘は遼一を引き寄せてくる。
彼のダイバースーツもぶちぶちと引き裂かれ、勃起した肉棒があらわになった。
触手で陵辱される恋人の姿を見て、彼は興奮しきっていたのだ。
「イヤだって言ったら、胴体引き千切って殺すよ。さぁさぁ、彼氏を搾ってみてよ」
梨香の手足の拘束がするすると解かれ、胴体に触手が縄のように巻き付いているのみ。
逃げる事こそできないものの、かなり自由に動く事が可能。
「……」
この異形の少女は、遼一との性交を強制している――梨香は、ようやくそれを理解できた。
でも、こんなところで……梨香は躊躇する。
「イヤなの? じゃあ、彼氏の首を引っこ抜いちゃおうかな?」
クリオネ娘の触手が、しゅるりと遼一の首に巻きつく。
彼の顔が、恐怖と脅威に歪んだ。
「や、やめて……! 言われた通りにするから……!!」
梨香は慌てて承諾する。
遼一の命には替えられない。ここは、言われた通りにするしか――
「オッケー。じゃあ、彼氏から搾精してみて。どうせ、毎晩搾ってるんでしょ?」
クリオネ娘は遼一を引き寄せ、梨香の眼前に突きつける。
梨香の束縛が緩んだ分、遼一は数本の触手で全身を締め上げられていた。
荒い息を吐きながら、無抵抗の状態で梨香の前に引き出される遼一。
「あ、ああ…… 梨香……」
遼一は、力無く全身を揺する。それとは裏腹に、屹立した肉棒はびくびくと脈動していた。
「遼ちゃん……」
梨香は、そんな遼一を犯す覚悟を決める。
そして彼女は自覚していないものの、この状況に興奮していたのだ。
無抵抗の彼氏を、一方的に犯すというシチュエーションを――
そんな二人の様子を、クリオネ娘は興味深げに眺めている。
「人間はオスとメスにきっちり分かれてて、メスが生殖の為に男を搾精するんでしょ? 初めて見るからわくわくするなー
私達の種族は、メスか雌雄同体しかいないの。私は純粋なメスだよ」
「ごめんね、遼ちゃん……」
「り、梨香……!」
梨香は、ゆっくりと遼一の体にしがみ付く。
騎乗位の体勢から、そのまま男が直立したような形。
梨香はペニスに手を沿え、その先端を自らの膣口に当てた。
「入れるよ、遼ちゃん……」
まるで、正面から遼一を犯すような体勢。水中なので、腰もそれほど辛くない。
ずぬぬぬ……
梨香は、そのまま遼一のペニスを膣内に押し入れた。
「う、ああ……! 梨香……!」
彼女の膣は非常にヒダが多く、まるで生きているかのように絡み付いてくる。
きゅっきゅっと小刻みに締め付けられ、遼一はたちまち達してしまいそうになった。
梨香に、こんな形で犯されるなんて――
「り、梨香……!」
「ん……! 遼ちゃぁん……!」
梨香は、ぎゅっと遼一の体にしがみついた。
「へぇ〜 そんな風におちんちん包んじゃうのか。そのまましがみついて、精液搾っちゃうの?」
「遼ちゃん、遼ちゃん……」
おもむろに、梨香は腰を振り立ててきた。
遼一が今まで見た事がないほど、情熱的にペニスを貪る梨香。
ずっちゅ、ずっちゅ、ずっちゅ…… 海中にもかかわらず、淫らな交接音が響く。
「梨香ぁ…… もうちょっとゆっくり……!」
彼女の余りに激しい責めに、遼一は音を上げ始めた。
「だ、だめ……! もっと……!」
梨香はますます腰を上下左右に振り、彼を責め続ける。
クリオネ娘が精液を搾り取れ、と命令してきた以上、手を抜けば殺されるかもしれない。
自分と遼一の身を守るため――そして梨香は、強制されつつ男を責め立てるセックスに興奮しきっていた。
「梨香ぁぁ……! こ、こんなの……!」
「遼ちゃん……もっと感じて……!」
自分に犯され、腰の動きに翻弄されて悶える遼一。
梨香の中で、嗜虐心が激しく燃え上がっていた。
このまま射精まで追い込みたい。
強く締め付けて、どくどくイかせてあげたい――そんな思いで、梨香は一心に腰を振り続けた。
ずちゅっ、ずちゅっ、ずちゅっ、ずちゅっ、ずちゅっ……
クリオネ娘は、二人の交接部に顔を近付けて覗き込んでくる。
「やっぱり、締め付けながらヒダで嫐るんだ。こうやって精液吸い取っちゃうんだね、やらしい……」
「り、梨香……! 抜いてくれ、もう……!」
切羽詰った声で、遼一はとうとう限界を訴えた。
「……!」
梨香は、両足を伸ばして遼一の腰をぎゅっと挟み込む。
外に出させなどしたら、あのクリオネ娘に何をされるか分からない。
そして梨香自身が、膣内に出してほしかったのだ。
「出して、遼ちゃん! 私の中に……!!」
梨香は遼一にしがみついたまま、残酷なまでにその腰を遼一に打ち付ける。
「ダメだ、そんなの……!」
遼一は膣内射精に抗うが、腰が梨香の両足に挟み込まれているため抜く事もできない。
そのまま梨香の責めに翻弄され、否応もなく追い詰められていった。
このままじゃ、梨香の中に――
「へぇ…… そんな風にして、男を拘束して搾り取るんだ。人間の女もやらしんだね」
「出してぇ、遼ちゃん……!」
「うう、あぁぁぁ……! 梨香、梨香ぁぁぁ――!!」
こみ上げるものが抑えきれなくなり、とうとう遼一は限界を迎えた。
どくん、どくどくどくん……
梨香の膣内で果て、彼女の内奥に精液を注ぎ込む遼一。
膣内がひくひくと脈動し、彼は強い快感を味わいながら精を吐き出した。
「あ、ああぁぁ……」
恍惚の表情を浮かべる遼一を見て、クリオネ娘も射精を察したようだ。
「ふふ、搾っちゃった。男をイかせてあげるのって、最高だよね。
最初はイヤがってたのに、おちんちんいじめてあげただけで喘ぎ声しか出なくなっちゃって――」
交接し続ける二人を眺め、クリオネ娘はくすくすと笑った。
「ああぁぁ……」
「遼ちゃん、遼ちゃん……」
ようやく射精が収まり、遼一の精液は一滴残らず梨香の膣内に搾り取られた。
ここで止めてもいいのか――梨香は、クリオネ娘の様子を伺う。
「もういいよ、離しても」
クリオネ娘の言葉に、梨香は遼一の腰に巻き付けていた足を離す。
膣からペニスが抜け、白く濃い粘液がとろりと糸を引いた。
「でも、連続で吸い尽くしたりはできなさそうだね。人間の搾精も不便だなぁ」
軽く息を吐き、そう呟くクリオネ娘。
と、彼女の股間から先程の触手が伸びた。
しゅるしゅるしゅる……と、まるで水中を泳ぐ海蛇のように遼一に向かって伸びていく。
「う…… あ……?」
ようやく我に返った遼一は、自らに接近してくる触手を目にした。
それは、彼と梨香の身体を拘束している触手とはまるで違う。
半透明で、中は空洞。
先端にはぱっくりと穴が開き、その中からは細かな触手が十数本ほど溢れ出している。
「ほらほら、これが私の搾精器官だよ。そんな女のおまんこより気持ちよく精液吸い取ってあげるよ」
しゅるるるる……と、クリオネ娘の搾精触手は遼一の腰の手前まで接近した。
「やめて……! そんなの、だめぇッ!」
手足をバタつかせ、梨香が叫ぶ。
その全身を、数本の触手がにゅるにゅると絡み付きながら締め上げた。
「あ、ああぁぁぁぁぁぁン……」
全身をキツく嫐られ、梨香は快感と苦痛の入り混じった声を上げる。
「り、梨香……!」
遼一は身をよじろうとするが、彼の胴と腰を捕らえている触手の力は強く、逃げる事はできない。
そんな彼の股間に、搾精触手が迫る――と思ったら、ペニスに触れる寸前で止まった。
その先端からはみ出た細い触手が、にゅるにゅると男性器の挿入を求めるように揺れ動いている。
「見て見て――! どう、気持ちよさそうでしょ?」
触手は半透明で、内部の様子が良く見えた。
中には糸こんにゃくのように細い無数の触手がびっしりと詰まり、ざわざわと蠢いている。
「この中におちんちん入れたらねー。触手の一本一本が、おちんちんに優しく絡み付くんだよ。
それで、おちんちん全部にゅるにゅる〜ってされるの。その動きがだんだん早くイヤらしくなっていってね〜
そのまま、ピュッピュッピューってイかせちゃうんだ。10秒ガマンできた人いないんだよ」
「だめぇッ! 遼ちゃんにそんな事しちゃ、だめ……!」
にゅるるるる……
まるで梨香を黙らせるように膣内に触手が侵入し、その内部を掻き回す。
「はぁぁぁぁぁぁぁ……ン!」
梨香は身体をヒクつかせ、その快感に蹂躙された。
「梨香! や、やめろ……!」
「うふふ…… 君が味わう快感は、こんなもんじゃないよ。
おちんちんグチュグチュに犯され尽くして、精液ぜ〜んぶ吸われちゃうんだからね。
すっごく気持ちいいんだよ〜 良かったね、私に会えて」
クリオネ娘は、酷薄な笑みを浮かべた。
「こないだ捕まえた若いお兄さんは、気持ちよすぎて泣いちゃったしね。
童貞の高校生クンなんて、10秒で3回イかせて気絶させちゃった。
小学年の男の子を捕まえた時なんか、無理やり精通させちゃったんだよ」
「う、ああ……」
遼一のペニスは、徐々に頭をもたげていった。
少女の言葉で内部の感触を想像し、興奮しているのだ。
彼の本能は、あの中に入れたい、精を吸い尽くされたい、と渇望している――
「そうだ、イイ事考えた。この中に入れて10秒ガマンできたら、君も彼女も逃がしてあげる」
「えっ……!?」
遼一は目を見開いた。
10秒耐えれば、解放してもらえる……?
「ほ、ほんとに、助けてくれるの……?」
触手の責めも緩まり、梨香は尋ねる。
「うん、ウソつかないよ。彼氏応援してあげないとね」
搾精触手が、ひくひくと脈動する遼一のペニスに狙いを定めた。
「じゃあ、覚悟は出来た? 私の搾精、たっぷり味わってね」
じゅる、じゅるるるるるる……
遼一のペニスが、一気に触手の中に包み込まれた。
搾精触手の中には、さらに細い触手がにゅるにゅるに詰まっている。
その感触だけで、遼一は漏らしてしまいそうになった。
「中、あったかいでしょ。おちんちんが一番気持ちいい温度なんだよ」
「うぁ……! あああぁぁぁぁ!」
「えへへ。いーち、にーぃ、さーん……」
クリオネ娘は、くすくすと笑いながらカウントを始める。
内部の細い触手がじわじわとペニスに絡み付き、甘い刺激を送ってきた。
にゅる、にゅるるるるる……
「よーん、ごーぉ、ほらほら、ガマンガマン……」
「う、おぁ……」
先端の尿道口からは、早くも先走り液が滲み出している。
少しでも気を抜いたら、たちまち絶頂してしまいそうだ。
「ろーく、なーな…… もう少しだね」
「う、うぁ……!」
細い触手がペニスのあちこちにまとわりつき、優しく責め嫐ってくる。
遼一は表情を歪ませ、唇を噛んで射精をこらえた。
もう、出してしまいそうだ。でも、あと3秒我慢すれば――
「はーち…… じゃあ、そろそろ射精しようか」
クリオネ娘は、にやっと笑った。
搾精触手の中で、遼一のペニスが細い触手によって一斉に襲われる。
亀頭に巻き付き、尿道口で渦を巻き、カリをいたぶり、サオを締め上げ――
遼一の顔からあらゆる表情が消え、その口が半開きとなった。
「あ、あぁぁ……」
「きゅーう…… はい、イっちゃえ」
にゅちゅ、にゅちゅ、にゅちゅ、じゅるるるるるる……!
「うぁ! おお、ああああぁぁ……!!」
どく、どくどくどく……
クリオネ娘の容赦ない責めに、遼一はたちまち絶頂した。
腰をガクガクと震わせながら、彼は思い知る。
この少女は、いつでも自分を射精させる事が出来たのだ。
「うあ…… ああぁぁ〜!!」
今はただ大きな快感の渦に呑み込まれ、遼一はドクドクと精を吐き出し続けた。
まるで、魂まで吸い上げられるかのごとく――
「あはははー! 見て見て。彼氏、我慢できずにイっちゃったよ?」
「やだぁ…… 遼ちゃぁぁん……!」
ひっくひっくと啜り泣く梨香。
遼一に対する怒りではなく、こんな異形の少女に彼氏を犯された悲しみ。
それも、あんなおぞましい触手で精液を吸い上げられるなんて――
「はい、食べられるのけって〜い!」
ざわざわざわ……
梨香の全身に触手が絡み付き、クリオネ娘の頭部の方に引き込んでいく。
少女の頭頂がぱっくりと開き、その内部から巨大なナメクジのような軟体器官がじゅるじゅると這い出てきた。
舌のような器官が梨香の身体を押さえつけ、軟体がその身体にゆっくりと取り付いていく。
これが捕食器官。獲物を包み込んで消化液を分泌する、言わばクリオネ娘の胃袋だ。
「ひ…… やだ、やだぁ……」
恐怖に怯えながら、クリオネ娘の頭頂から這い出した捕食器官に包まれていく梨香。
「これ、私の胃袋みたいなもの。これで包んで、たっぷりねぶりながら溶かしてあげるね」
「やめてくれ…… どうか、梨香だけは……」
ちゅるるるるるるる……!
遼一のペニスを咥え込んでいた搾精触手が、不意に吸引を始めた。
内部を満たす細い触手がにゅるにゅると肉棒全体に絡み付き、奥へ引き込んでくる。
「あ、うぁ……!!」
「君だって、もう捕食されてるんだよ。精液ぜーんぶこの触手で吸い出して、私のごはんにしちゃうんだー」
ちゅるるるるるる、じゅるるるるる……!
亀頭部に執拗に絡み付かれ、遼一はたちまち二度目の限界を迎えた。
「あ、ああああぁぁぁぁッ!!」
どく、どくどくどく……
半透明の触手内に、白濁液がどくどくと迸る。
ペニスに、無数の触手がにゅるにゅると絡み付いているのが見えた。
「いっぱい気持ちよくしてあげるから、いっぱい出してね〜」
快感に歪む彼の顔を見ながら、クリオネ娘は悪戯げに笑う。
遼一は梨香を助けるどころか、股間を襲う快感に抗う事すらできなかった。
一方、梨香の全身も捕食器官にどっぷりと包み込まれていた。
ゼラチン状の軟体に覆い込まれ、梨香は涙を流しながら絶望を味わう。
「ひっく、ひっく…… 遼ちゃん、助けてぇ…… 遼ちゃぁぁぁん……」
「あはは。彼氏、気持ち良すぎてそれどころじゃないんだって」
「あ、あああぁぁ…… うぁぁぁぁッ!!」
どくん、どくどくどく……!
立て続けに三度、四度、遼一は精液を吸い上げられた。
それは、快感と呼ぶには余りに強烈。
ペニスを包み、細い触手を絡ませ、扱き立て、揉み上げ、強制的に精液を排出させる。
搾精触手内に溢れ出た精液は、そのままじゅるじゅると吸い上げられていく。
まさに、一方的な搾精。
遼一は、自分が捕食されているという事をその身で実感した。
「やだ、やだぁ…… はぁ、あああぁぁぁぁぁン!」
巨大なナメクジのような軟体に包み込まれていた梨香が、突然に快楽の声を漏らし始めた。
彼女の身体を覆っている捕食器官がじゅるじゅると脈動を始め、全身を啜り始めたのだ。
「ふふ、たっぷり可愛がりながら溶かしてあげるね」
「やめてくれ…… 梨香は…… うぁぁぁぁ……!」
股間を搾精触手に貪られながら、遼一は懇願する。
「でもねぇ、私に溶かされるのってすごく気持ちいいんだよ。精液吸い尽くされちゃうのと、どっちが気持ちいいかなぁ?」
「やだぁ……! あああぁぁぁッ! はぁぁッ……!」
軟体からはみ出している梨香の手足がバタバタと動いた。
全身をぐにゅぐにゅと揉み解され、舐め回されて逃げ場のない快感を味わっているのだ。
そして、クリオネ娘による消化はすでに始まっていた。
痛覚の麻痺した身体に消化粘液が絡み付き、ゆっくりと梨香の体組織を蝕み始めている。
「ああン! はぁあああぁぁぁ……!!」
「ふふ…… 彼女、気持ち良さそうだね。でも、溶かされちゃってるんだよ。みじめだよねぇ〜」
「り、梨香ぁ……! うぁぁぁぁぁッ!!」
じゅぷぷぷぷっ、じゅるるるるるる……
まるでポンプのように、搾精触手は精液をとくとくと吸い上げ始めた。
内部がすぼまって吸引し、ペニスのあちこちに細かい触手がまとわりつく。
その中に、遼一は何度も何度も射精した。
快楽によって抵抗の意思を失い、身体を消化されていく梨香を凝視しながら――
「梨香ぁ…… 梨香ぁ…… うぁぁぁぁぁッ!!」
どくん、どくどくどく……
「愛しの彼女が食べられていくのを見ながらイっちゃうの? ひどい彼氏だね」
くすくすと笑うクリオネ娘に、一方的に精液を吸い上げられ続ける遼一。
「う、うう…… 梨香ぁ……」
遼一はおぞましさと無力感、そして快感で涙を流した。
梨香の表情はすでに理性を失っており、恍惚に染まった瞳で虚空を眺めている。
彼女の全身を包んでいる捕食器官が蠕動するたび、露出している手や足がヒクヒクと震えた。
「彼女、100回ぐらいイかせちゃったよ。おっぱいもおまんこもおしりも、いっぱいぐちょぐちょしてあげたもんね」
そして、露出していた手足――そして頭部が、ちゅるんと軟体に飲み込まれる。
「はい、終わり。全部溶かしちゃった♪」
クリオネ娘は梨香の捕食を終え、遼一を見据えてにこにこと笑った。
「どう? 気持ち良さそうだったでしょ。君も、あんな風にしてもらいたい?」
「あんな…… 風に……?」
股間を執拗に嫐っていた搾精触手の動きが止まり、遼一は徐々に理性を取り戻し始める。
そして搾精触手は、遼一のペニスからちゅぷっと外れた。
「捕食器官に包み込まれて、ドロドロに溶かされたい? それとも、このままおちんちん吸い尽くされたい?」
「う…… あぁ…… 梨香ぁ……!」
完全に理性を取り戻す遼一。それは、余りにも無惨すぎる現実を受け入れる事でもあった。
目の前の生物に梨香が食べられ…… その間中、自分は犯されて快感に溺れていた――
「うぅ…… 梨香ぁ……!」
恥も外聞もなく、恋人を想って泣きじゃくる遼一。
目の前のクリオネ娘への怒りや憎悪は沸かず、ただひたすらに自分の無力さが身にしみる。
「ちょっとぉ、聞いてる? 選んでってば」
悲しみにくれる遼一の顔を覗き込み、クリオネ娘は眉を寄せた。
「一気に食べられたいか、精液を吸い尽くされたいか――それとも、あの梨香の代わりに私を彼女にするか。うふふ」
「……!?」
少女のとんでもないセリフに、遼一は表情を歪めた。
クリオネ娘の頭頂から露出していた捕食器官は、しゅるしゅると頭部に引っ込んでいった。
その小振りな頭より遥かに大きなはずの梨香、その身体を飲み込んだ軟体がすっぽりと頭部に収められる。
「君、可愛いから私の恋人にしてあげてもいいよ。どうせ梨香は死んじゃったでしょ?」
「な……!!」
無邪気に告げるクリオネ娘に、あらためて怒りが沸いてきた。
だが――それ以上に、遼一の中を満たしている感情。
それを見越したように、クリオネ娘はこの選択を投げ掛けたのだ。
「……」
恥も外聞も捨て、悩む遼一。
そして、彼は決断した――
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