「た、食べて……　くれ……」

　遼一は、それだけを言葉にした。

　恍惚に歪む梨香の顔――彼女が与えられたのと同じ快感を、自分も味わってみたい。

　そんな欲望に、遼一は完全に支配されていたのだ。

　「そう――私に食べてもらいたいんだ」

　クリオネ娘は淫靡な笑みを浮かべ、唇をぺろりと舐めた。

　その頭頂がくぱっと開き、にゅるにゅると軟体状の捕食器官が這い出してくる。

　「この胃袋に包み込まれて、溶かされたいんだね？」

　「あ、ああぁぁ……」

　全身に絡んだ触手によって、徐々に引き寄せられていく遼一。

　その眼前にまで、ぐにゅぐにゅの軟体が迫ってきた。

　「ほら、食べちゃうよ。食べちゃうよー」

　軟体はぶわっと広がり、遼一の身体に触れないようにしながら周囲を覆い込んできた。

　今から、梨香がされたようにしてもらえるんだ。

　全身を包み込まれ、たっぷり嫐り回され――

　その果てに捕食されてしまうのだとしても、もはや構わない。

　「はーい、ぱっくん！」

　ぎゅるぎゅるじゅるじゅる……！

　軟体が巻き付くように遼一の身体を覆い、彼は捕食器官に包み込まれてしまった。

　露出しているのは頭部のみ、まるで簀巻きにされているかのようだ。

　「あ、うぁ……」

　遼一は、その温かくまとわりついてくる感触に喘いだ。

　内部が締まっては緩まり、全身がじゅぷじゅぷと揉み解される。

　さらに、無数の舌のようなものに全身がぬちゃぬちゃと舐め回された。

　捕食器官から露出している遼一の頭部が、くすぐったさにも似た快感でガクガクと打ち震える。

　「おちんちん、もう大きくなってる〜！　ねぇ、特別な事してあげようか？」

　もにゅ、もにゅもにゅもにゅ……

　軟体のペニスを包んでいる部分が、ぐにゅぐにゅと絡み付いて揉み込んできた。

　「うふふ、私の胃袋とえっちしてるみたいでしょ。いっぱい射精していいからね」

　「あ、ああぁぁ……　いいよぉ……！」

　温かい肉壁がペニスを執拗に嫐り、揉み立て、締め上げる。

　その刺激に、遼一はドクドクと精液を漏らしてしまった。

　ペニスを包む肉壁は、たちまちにして白濁液を養分として吸収する。

　「あはは、気持ちよかった？　こういうことしてほしかったんだよね？」

　「う、ああぁぁ……！」

　遼一は全身をガクガクと震わせながら、クリオネ娘の捕食を甘受した。

　ペニスのみならず、全身が捕食器官に包み込まれてざわざわぐにゅぐにゅと甘い刺激を受ける。

　それは獲物を味わう行為でありながら、全身愛撫でもあった。

　「あ、ああああぁぁぁぁぁ！！」

　余りに凄まじい刺激に、遼一はドクドクと精を漏らしながらもがく。

　「どう、気持ちいいでしょ。期待通り？　それとも、期待以上？」

　クリオネ娘は無邪気に尋ねながら、じっくりと彼の身体を味わった。

　不意に、ペニスを包み込んでいる肉壁部分からじわじわと粘液が染み出す。

　その奇妙な液体はとても温かく、粘りつきながらペニスにまとわりついてきた。

　肉壁に揉み立てられるのも気持ちよかったが、その粘つく刺激もたまらない。

　「ああ……　ねちゃねちゃしてるぅぅ……！　うあッ！」

　遼一は腰を揺すりながら、粘液にペニスをまみれさせながら射精した。

　訳が分からないほどの快感に、気が狂ってしまいそうだ。

　「にゅるにゅるして気持ちいい？　もっとおちんちんに塗ってあげるね」

　にゅちゃにゅちゃにゅちゃ……

　消化液が肉壁から染み出し、遼一の肉棒がそれにたっぷりと浸される。

　ひとしきり消化液まみれにされた後、ペニスは肉壁の蠕動に巻き込まれた。

　ぐじゅるぐじゅると蠢く肉壁に嫐り上げられ、ペニスは多彩な刺激を浴びせられる。

　「ふ……　あ……！」

　遼一の顔から表情が消え、そして恍惚に染まった。

　消化液でねとねとにされながら、いやらしく撹拌される快感。

　彼は夢心地の気分を味わいながら、ねろねろにされているペニスから精液を溢れさせる。

　消化液はペニスのみでなく、全身に塗りつけられ始めていた。

　捕食器官全体がうにょうにょと蠕動し、遼一は徐々に激しくなる捕食行動に酔う。

　余りの快感に、射精が止まらない。

　何度も何度も果て続ける、無限の快楽。

　これだけの快感の前には、自身の死すら下らない事に思えた。

　もしここで解放されても、自分は再び捕食される事を望むだろう――

　「うふふっ。君、いまドロドロに溶かされてるんだよ。分かる？」

　「あぁ……　きもちいいよ……」

　クリオネ娘の言葉が、愛の囁きに聞こえる。

　身体が温かく、とろけるように気持ちいい。

　まさに天国にいるかのようだ。

　「私の胃袋の中で、消化されながら喜んじゃって……　みじめだね。あはは」

　恍惚の表情を浮かべる遼一に、クリオネ娘は酷薄な笑みを投げ掛けた。

　「ぎもぢいい……　ああ、ああぁぁぁ……」

　天国の中で全身が溶け、自分が自分でなくなっていく。

　恐怖も何もなく、ただ恍惚。

　このまま溶けて、解けて、融けて、とけて――

　ちゅるるるるるるる……

　遼一の全身は消化され、捕食器官に吸い尽くされた。

　「ふぅ、ごちそうさま」

　役目を終えた器官は、しゅるしゅるとクリオネ娘の頭部内に引っ込んでいく。

　二人の人間を消化し、3メートルを超える大きさまで広がっていた捕食器官は、スイカよりも小さい頭部の中に引っ込んだ。

　そこに残ったのは、まるで天使のような姿のクリオネ娘のみ。

　その腹は満たされ、満足そうな表情で海中を漂っていた。

　二人もの人間を捕食し終え、極寒の海中に消えていくクリオネ娘。

　しかしこれからも、彼女に捕食される犠牲者は後を絶たないだろう。

　この海域を泳ぐ時は、存分に気をつけなければならない。

　そこは、彼女の領域なのだから――

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