グランドール事件


俺は返答も返さず、無言でルーシーの顔をにらみつけていた。

完全に拘束されているのなら、ここで無駄に暴れたところで体力を消耗するだけだ。

俺の精液を採取した後、俺の身柄は第一魔力供給質なる場所に移されるらしい。

脱出を狙うなら、そこだろう。

とはいえ、大人しく性的に弄ばれるなんて真っ平ごめんだった。

その思いを込め、俺はささやかな抵抗として彼女をにらみつけているのであった。

「・・・・・・・・・・・・回答時間、タイムアウトいたしました」

しばしの時間を置いて、向き質な音声で彼女は言った。

「貴方の回答が確認できませんでしたので、機械による自動搾精で精液を採取させていただきます」

淡々とした調子で言うと、彼女は準備をしてくる、といってその場から姿を消した。

 

ごろごろごろ

 

俺の耳に、何かが転がる音が届く。

音の方に顔を向けてみると、そこには家庭用洗濯機ほどの大きさの機械を載せた台車を押す、ルーシーの姿があった。

彼女は台車を、俺が固定されている台の足の方に設置すると、俺に笑顔を向けた。

「それでは、ただいまから機械の準備を開始しますので、しばしお待ち下さい」

一礼すると、彼女は台車の上の機械に向かった。

機械は下半分が台のような造りになっており、その上に何らかの器具やアームやパイプが畳み込まれるように乗せられていた。

ルーシーはアームを広げ、束ねられていたケーブルやコードを伸ばしながら、機械を展開していった。

「準備完了です」

数分の後、彼女はそう言いながら俺に向き直った。

機械は上半分を展開し、俺の股間に向けて畳まれていたアームを伸ばしていた。

ショベルカーを思わせる白いアームの先端には、リボルバー式の拳銃を模した形状の器具が装着され、そこから伸びる無数のパイプやケーブルが本体に伸びていた。

「それでは精液採取を開始します」

ルーシーがリボルバー部分の取っ手を掴み、俺の股間に導くと『銃口』に萎えたペニスを差し込んだ。

恐らくプラスチック製の、つるりとした内面が柔らかなペニスに触れる。

「設定。一番から六番まで。順次切り替え。規定量まで継続」

機械の下半分に向かいながら、彼女は声と共に何事かを入力していった。

「開始」

短い一言と共にキーが押され、機械からブゥーンという低い小さな音が響いた。

リボルバー部分の弾倉から何かが銃身に押し出され、俺のペニスに触れた。

ぐにゃぐにゃと柔らかい、こんにゃくかゼリーのような弾力の物体だ。

そこまで認識したところで、ペニスに押し付けられた物体の先端が大きく広がり、その内側にペニスを飲み込んでいった。

「うぉ・・・!」

平坦ながらも、粘液にぬるぬると滑り、きつくペニスを締め付ける物体の感触に、俺は呻いた。

そして、機械本体部分から空気の抜けるような音が短く響くと同時に、内面がうねり始めた。

つるつるとした柔らかい内壁が、大きく波打ちペニス全体を揉み立てる。

機械的かつ単調な刺激であったが、柔らかな内壁と粘液のせいで、俺のペニスは否応なしに勃起させられていく。

「ぐぉ・・・おぉ・・・!」

「後は自動で全ての工程を行いますので、どうぞおまかせ下さい」

ペニスを責め立てられる俺に向けて一礼すると、ルーシーはそのまま台から離れ、部屋の外へと出て行った。

機械は操作者がいなくなっても、淡々と仕事をこなしていた。

筒の内部は変わらずうねり、勃起したペニスをその柔らかな弾力で持ってマッサージする。

力加減にも変化はなく、ただただペニスを刺激するという機械の動きが、俺に屈辱を植え付けていく。

だが、ペニスに加えられる快感は、次第に俺の意識を高めていった。

そして、機械に責められながら、俺は達してしまった。

「うぅ・・・!」

短い声と共に、ペニスから精液が噴出していく。

変わらずうねる筒の内面が、射精中のペニスを責め立て、更に精液を搾り取っていく。

そして数十秒の絶頂が終わり、機械が動きを止めた。

「うぅ・・・くぅ・・・」

射精後の倦怠感と共に、強い屈辱が俺にのしかかってきた。

だが、機械は俺の心境をよそに、筒内部から柔らかい物体を引き上げていった。

ペニスが引き抜かれ、ひんやりとした樹脂製の筒内面に触れる。

 

がちゃ ぶしゅっ がこん

 

何かがかみ合う音と空気の漏れる音と共に、機械のリボルバー部分に取り付けられた弾倉が、六十度だけ回転した。

新たな器具が俺のペニスを収めた銃身に接する。

直後、俺の半萎えのペニスにまた何かが押し付けられた。

ペニスに触れたのは、無数の柔らかな触手だった。

だが、触手は俺のペニスを包み込むばかりで、絡みついたり蠢いたりはしない。

ペニスが職種の中を掻き分けていき、やがて根元までが完全に包まれた。

締まりも何もない、曖昧な感覚がペニスを支配する。

だがすぐに、筒の内部が回転し始めたのだ。

俺のペニスを中心軸に、まずは右回転。

半回転すると筒は動きを止め、今度は左へ一回転。

右へ、左へ、一回転置きに向きを変えながら、筒内部が回転していく。

それに合わせて、筒内面に生えた無数の触手がペニスに絡み付いてくる。

「あぐっ・・・うぅ・・・!」

洗濯機のような筒内部の動きに合わせ、ただ巻きついてくるだけの触手。

機械的な、生命の気配が存在しない自動的な責めに、俺は再び追い詰められつつあった。

亀頭に、カリに、竿に、裏筋に、粘液塗れのゴム製の触手が巻きつき、回転に合わせて擦っていく。

「ぐ・・・う・・・!」

絶頂を堪えるために食いしばっていた歯の間から息が漏れ、脈打つペニスから精液が迸った。

触手の渦の奥へと、白濁が注ぎ込まれていく。

 

がちゃ ぶしゅっ がこん

 

精液を搾り取り終えると、筒内面がリボルバー部分の弾倉へ引き上げられ、新たな器具が動作音と共にセットされる。

射精の余韻に浸る俺を包んだのは、等間隔に設置された柔らかなブラシだった。

ブラシは既に粘液で濡れており、大きく広がった毛先が亀頭や裏筋に触れている。

くすぐったさとむず痒さを伴うブラシの感触に、肉棒が屹立していく。

そして、ペニスが完全に勃起したところで、筒内部に設置されたブラシが一斉に回転を始めた。

「ぐぉぉっ!?」

微かな振動を伴いながら、無数の毛先がペニス全体を摩擦する感覚に、俺の腰が跳ねた。

回転する毛先による強い刺激と、ブラシの回転による振動の甘い刺激。

この二つの刺激が、俺のペニスを浸食し、じわじわと快感を注ぎ込んでいく。

「ぐぁ・・・あぁ・・・!」

かみ殺しきれなかった悲鳴が口から漏れ、脈動と共に精液がブラシの奥へと飛び散っていった。

やがて、射精が終わり、ブラシの回転も止まる。

 

がちゃ ぶしゅっ がこん

 

そして、再び動作音と共に筒の内面が入れ替えられた。

今度は、こりこりとした鶏の軟骨のような感触の粒々が、幾つもペニスの表面に押し当てられていった。

粒々の間の微かな隙間をペニスが押し広げ、根元まで入り込んでいく。

ペニスが完全に粒々の奥まで達したところで、筒内部が振動を始めた。

「あぐぁ・・・!」

ペニスの表面をみっちりと覆った粒々が、筒内部の振動に合わせてぶるぶると震えていた。

カリの段差や鈴口、裏筋と言った敏感なポイントも、ほかと同じように振動に晒されている。

びりびりと痺れるような感覚が、始めに覚えた痛みを蝕み、俺の股間を蕩かしていく。

やがて甘い快感が股間から背筋を這い登っていき、俺の脳に染み込んだ。

瞬間、意識が白く弾ける。

「あっ・・・」

一瞬気が遠のき、直後に射精の開放感と快感、そして脈打つペニスと尿道を登っていく精液の感触が、俺の意識に届いた。

「うぁぁぁ・・・あぁ・・・」

情けない声を漏らしながら、俺は精液を粒々の奥へとささげた。

 

がちゃ ぶしゅっ がこん

 

粒々に覆われた筒内部が引き上げられ、次の内面が押し込まれる。

亀頭に触れたのは、柔らかな窄まりだった。

きゅっと口を閉じたかのような窄まりが、広がりながら亀頭を受け入れ、ペニスを飲んでいく。

窄まりの奥は中空になっており、生暖かい空気にペニスは包まれた。

そして、ペニスを奥まで飲み込んだところで、窄まりがペニスの根元を締め付けた。

同時に、ペニスを収める筒内部に、液体が注ぎ込まれ始める。

ペニスに触れるのは生温かく、ねっとりとした粘液であった。

「あぁ・・・」

根元から亀頭へ向けて、徐々にペニスが粘液に漬け込まれていく感触に、俺の顔が緩む。

すぐにペニスは粘液の中に没してしまった。

ペニスを包む生温かさに俺の意識が緩んだ瞬間、低い振動が筒の上部から響き、粘液がゆっくりと動き始めた。

粘液を撹拌しているのだ。

筒の中心に据えられたペニスの周囲の粘液が吸い上げられ、筒の縁の辺りを通って底へと粘液が押し戻される。

吸い上げられる粘液が、その粘度と液流で持って、俺のペニスを嫐った。

裏筋から亀頭を粘液が擦り、張り出したカリを液流が乗り越えていく。

「うぁ・・・あぅ・・・」

見えざる舌や指が、延々とペニスを愛撫するかのような刺激に、俺の意識はすぐに限界に達した。

全身が小さく痙攣し、対流する粘液の中に精液をくわえていく。

 

がちゃ ぶしゅっ がこん

 

きゅっと窄まった筒内部の入り口が、ペニスを根元から先端へと扱き上げながら、尿道に残る精液を搾っていく。

そして、続けて押し付けられた筒の内面が、まだ粘液に濡れるペニスを飲み込んだ。

俺の意識に届いたのは、ペニスを緩く締める柔らかなゴムの質感だった。

弾力だけなら最初の筒内面に似ているが、締め付けは遥かに緩い。

だが、すぐに締め付けが緩い理由を、俺は悟ることとなった。

低いモーターの動作音と共に、ペニス全体が吸い上げられ始めたのだ。

筒内面とペニスの僅かな隙間を、空気が通り抜け、筒内面が細かく振動する。

強烈な吸引と激しい振動に、俺は仰け反った。

「あ・・・あ・・・!」

振動音を立てながら、ペニスが蹂躙される。

振動の痺れるような快感は先程の粒々の方が大きかったが、こちらには空気による吸引があった。

弾力のあるゴムの筒の中で、ペニスが吸引されるがままにのた打ち回っていく。

でたらめに暴れまわるペニスを、柔らかなゴムが受け止め、甘い快感を生む。

吸い通されるような吸引と、痺れるような振動に、柔らかな筒内面のゴムの感触。

ペニス全体が、異なる三つの刺激によって浸食されていく。

そして―

「あっ・・・あっ・・・あぁぁぁぁ・・・!」

情けない悲鳴のような声と共に、俺は達してしまった。

鈴口から放たれるそばから、精液が筒の奥へと吸い上げられていく。

立て続けの絶頂に、身体ががくがくと痙攣し、精液が文字通り搾り取られていく。

やがて、尿道に残る最後の一滴まで吸い上げたところで、機械は吸引を止めた。

「・・・っはぁはぁはぁはぁ・・・」

緩い筒内部からペニスを引き抜かれながら、俺は荒く呼吸した。

ペニスに何の刺激も与えられていないと言う状況が、今はとても心地よかった。

 

がちゃ ぶしゅっ がこん

 

聞きなれた音と共に、半萎えのペニスの先端に柔らかい物体が押し付けられた。

ゼリーのような、こんにゃくのような、覚えのある感触の物体だ。

「え・・・?あうっ・・・!」

俺が漏らした疑問の声が空しく霧散し、大きく広がった筒内面がペニスを包み込む。

そして、粘液に濡れた締め付けの強い内面が、強くうねり始めた。

ペニスに、単調でありながらも強烈な刺激が加えられる。

「うぁぁぁ・・・!あぁぁぁ・・・!」

機械にペニスを蹂躙されながら、俺の意識がいずこかへ沈み込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様でした」

朦朧としていた意識に、不意に聞き覚えのある声が飛び込んだ。

目を開くと機械は見当たらず、代わりにルーシーが微笑んでいるのが目に入った。

「貴方のご協力により、十分な量の精液が採取できました。感謝いたします」

形ばかりの感謝をする彼女を、俺はぼんやりと見つめていた。

「それでは、貴方の身柄を第一魔力供給室に移送します」

その言葉に合わせるように、部屋の扉が開きストレッチャーを押す人形が入ってきた。

二体の人形は俺の手足の高速具を外すと、俺の身体をストレッチャーの上に横たえた。

「それでは、第一魔力供給室に移動します」

大人しく横になる俺に向けて微笑みながら、彼女は言った。

 

 

 

 

続く






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