ジェラ 耳掻き編
「悪いけど、ヤる気にはなれない。」
俺は出しっぱなしだったチンコを仕舞おうとして、どろどろになっていることに気付く。
少し固まった俺の前に、彼女からティッシュが差し出された。
「…ありがとう。」
受けとり、吹きとる俺。
「少々、お待ちください。」
女は自らのロングスカートの中へ手を入れ、なにやらごそごそと探りはじめる。
中から何やらぐちゅり、ぐちゅりとした音が聞こえる。
心無しか女の息も上がってきている。
「はぁ…はぁ……はぁ………んっ!」
彼女がびくんと身体を震わせる。
そしてねちょりという音とともに、スカートの中から手を戻す。
赤い粘液のアーチがスカートと腕を伝う。たっぷりと蜜のような赤い粘液にまみれたその手は、固く握られている。
女は俺の前に手を差し出し、ゆっくりと拳を開く。
手の平には砂利石程度の、小さな金色の粒があった。
「金です。どの程度かはわかりませんが多少の価値はあるでしょう。どうぞお持ちください」
「一体、どこから出したんだ?」
「くすくす。秘密です。」
「まあいい、貰っておく。」
「そう言ってくださると心の荷が降ります。では…」
ぱちん。女が指を鳴らす。
すると、突然俺の視界が暗くなってゆく。瞼が重くなってゆく。
眠い。とても眠くなって…
ぴぴぴぴ、ぴぴぴぴ、ぴぴぴぴ
俺は腕を伸ばし、頭の上にある時計を叩く。
耳障りな電子音が止まり、今日も憂鬱な一日が始まる。
ふと、ズボンのポケットに違和感を感じる。
小石でも入っているのだろうかと探ってみると金色の小さな石が出てくる。
妙に重い石だ。一体どこでこんなものが混入したのか。
不思議に思ったが、とりあえず布団の横に置いておく。
さあ、今日もきっと暇なんだろう。来月の家賃はどうしようか…。