カードデュエリスト渚


 

 「あ、うぅぅぅぅ……」

 腰から、じわじわと力が抜けていく。

 このまま『吸精の蛸』に精液を吸い出されてしまいたい――そんな欲求が膨らんできたのだ。

 もう、我慢せずに射精してしまおうか――

 

 「そう……それでいいんだよ、お兄さん。力を抜いていれば、気持ちよく吸い出してくれるからね」

 観念した僕の様子を眺め、ダリアはくすくすと笑う。

 「さあ、その『吸精の蛸』にお兄さんの精液を捧げてあげて」

 「あ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!」

 ちゅうぅぅぅぅぅ……と、異形の蛸にペニスが吸い嫐られる。

 中はうぞうぞと蠢き、艶めかしい感触をペニスに与え続けているのだ。

 「あぁぁ……気持ちいい……」

 いつしか僕は、デュエルの勝敗などどうでもよくなっていた。

 この刺激で、射精に導いてもらうことしか考えられない――

 

 「ふふ……堕ちちゃったね、お兄さん……」

 ダリアの嘲笑を受けながら、僕はとうとう限界にまで押し上げられた。

 艶めかしい吸引が、うぞうぞと蠢く内壁の感触が、僕を甘い快楽の世界へと導いていく――

 「あ、あぁぁぁぁぁぁ……!」

 

 どくっ、どくどくどくん……!

 

 とうとう『吸精の蛸』の肉穴の中で、僕は精液を迸らせてしまった。

 こんな異形の生物に、精を吸われてしまう――それは、信じられないほどの快感だった。

 「あ、あぁぁ……」

 肉穴の内部はぐにぐにと収縮し、最後の一滴まで精液を搾り続けてくれた。

 こうして僕は我慢することができず、『吸精の蛸』に屈服の液体を啜られてしまったのである。

 「出しちゃったね、お兄さん――気持ちいいでしょ?」

 快楽に屈服し、射精の恍惚に浸る僕を見据え、くすくすと笑うダリア。

 その言葉と視線は勝者の優越に満ち、どこか見下すような色さえ浮かべていた。

 それは、まさに堕ちていくような悦楽だったのである――

 

 

 

 

 

 そして、あの敗北から一ヶ月――

 ダリアに屈辱の敗北を喫してから、僕は一度たりとも勝つことができなかった。

 その戦いで大切なものを失ってしまった僕は、もはやデュエリストの資格を返上していた。

 それでは、今もこのF-タウンでデュエルを繰り返している僕は何者なのか――

 

 「うんうん、『魅惑のスライム』に『セクシーエルフ』、『野良ラミア』か……」

 カードショップから出て来た僕は、購入した三枚入りパックの中身を確認する。

 いずれも平凡なカードだが、これでまたデュエルを行うことはできるのだ。

 残りカード十二枚でデュエルを行えなくなっていたが、これで総数十五枚、三回負けても大丈夫なのである――

 ――こういう風に、働いて稼いだお金を、僕はひたすらカードの補充に費やしていた。

 ただ、この町でデュエルを繰り返すためだけに――

 

 「あ……お兄さん。今日も会ったね」

 「必死で私達――いいえ、ダリアを探し回っていたんですね」

 僕の姿を見付け、あの双子の姉弟はくすくすと笑っていた。

 あのカードショップの前に毎日足を運べば、三日に一度はこの二人に会えるのである。

 「デ、デュエルを……」

 「分かってるよ、お兄さん。今日もイジめてあげるね」

 「ふふ……もう、ダリアの虜ですね」

 僕はこくこくと頷き、期待に胸を膨らませる。

 おそらく物欲しそうな視線を、ダリアに送っていただろう。

 今日の彼は、どんなデッキを組んでいるのか。

 どんなカードで、僕を嫐ってくれるのか――

 どんなカードで、僕を嫐ってくれるのか――

 「ふふ……お兄さん、すっかりドローンになっちゃったね」

 「無様な『元』デュエリストの成れの果て――哀れなものですね」

 ドローン――すなわち、「溺れた者」。

 このF-タウンにおいて、勝つ気もないのに快楽目当てでデュエルを繰り返す者のことだ。

 その数はかなり多く、ひたすらカードを買っては快楽目的のデュエルを繰り返している――僕もその一人。

 事実上カードを貢ぐだけの存在であり、まともなデュエリストとしては扱っても貰えないのだ。

 「じゃあ、デュエルを始めようか。今日もお兄さんの精液とカード、吸い取ってあげるからね……」

 あの見下したような微笑みを浮かべながら、ダリアはデッキを抜いたのだった。

 

 

 

 「『吸精の蛸』、プレイヤーを攻撃……はい、今日のご褒美だよ」

 「あ、あぁぁぁぁぁぁ……!!」

 最初に僕を堕としたモンスターで、ダリアはとどめを刺してきた。

 異形のタコにペニスを啜ってもらい――その肉穴の感触を、じっくりと味わわされる。

 僕は『吸精の蛸』に股間を覆い包まれ、快感にとろけきっていた。

 「この『吸精の蛸』……すっかりお気に入りだね、お兄さん」

 ダリアは僕の痴態を眺め、くすくすと笑う。

 『吸精の蛸』の肉穴内部がうぞうぞと蠢き、ぐちゅぐちゅと収縮する感触は凄まじい。

 このまま、なすすべもなく精液を漏らしてしまう――その屈辱感と、服従感。

 

 「もう、七回目……『吸精の蛸』は、七回もお兄さんの精液を吸い取っちゃったんだよ」

 嘲るようなダリアの言葉が、さらに僕の興奮を煽る。

 そのままペニスを甘く吸引され、僕は耐えることもできず追い詰められていった。

 「はい、お兄さんの白いの、そのまま吸引されちゃってね」

 「あ、あぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……!」

 ダリアに嘲笑されながら、僕はびゅるびゅると漏らした精液を『吸精の蛸』に吸われてしまうのである。

 こうして今日も精液を漏らし、屈辱に満ちた敗北を迎えた――そんな僕の浮かべている表情は、恍惚そのもの。

 デュエルで敗北し、強制的に射精させられてしまう――僕は、その屈辱感と屈服感の虜になってしまったのである。

 ドローン――「溺れた者」と呼ばれる理由が、そこにあった。

 

 

 

 ――こうして僕は、今日も敗北の味を愉しんだ。

 屈服の快楽を味わいたいがためにデュエルを重ね、カードを失っていく。

 そのカードがなくなった後は、稼いだお金をカードに変えて、それを奪われていく――快楽の代償として。

 僕はもう、奈落の底に堕ちていくしかなかった。

 デュエルで犯される快感に身も心も委ね、僕はひたすらF-タウンに溺れていくのである。

 

 

 −BAD END−

 

 



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