フェイスハガー娘


 

 「当然、救助に向かう」

 もはやこれは、軍務の範疇ではない。

 俺一人が助かるか、部下を連れて助かるか――そういう話だ。

 「了解しました。IFV(歩兵戦闘車)1両の修理が完了、いつでも使える状態です」

 「そうか、それは助かる。ところでロゼット――」

 俺は、ロゼットの上腕をぐいっと強く掴んでいた。

 「システィリアン、とさっき確かに言ったな。なぜその名前を知っている……!?」

 「……」

 唐突に押し黙るロゼット。

 「……より上位の命令系統により、解答を禁じられています」

 しばし黙り込んだ後、彼女は抑揚なく言った。

 

 「なぜ、事前に情報がありながら俺達に通達しなかった?」

 「……より上位の命令系統により、解答を禁じられています」

 無機質な口調で、そうロゼットは繰り返す。

 特定事項に関することは、現場責任者の質問でも解答するな――そう、上の連中から命令を受けているのだ。

 こうなると、人間ではないのだから拷問も通用しない。

 「いったい、お前達は何を企んでる!! なぜ、こんなことを――」

 そう怒鳴りつけようとして――俺は、口をつぐんでいた。

 ロゼットは、しゅんとした様子で肩を落としている。

 分かっている、怒りの矛先が違うのだ。

 ロゼットは忠実なアンドロイドである以上、人間の命令には逆らえないのである。

 

 「つまり……俺に与えていない情報が存在するんだな」

 「……はい」

 素直に、ロゼットは頷いていた。

 「他に、何か隠していることは?」

 「……より上位の命令系統により、解答を禁じられています」

 「誰が情報を封じている?」

 「……より上位の命令系統により、解答を禁じられています」

 判で押したかのように、同じ答え。

 「俺の質問には答えられないということか?」

 「一部の重要情報はロックされています。スドウ大尉は上位のアクセス権限者ではありません」

 ロゼットは、そう解答したのみだった。

 

 ――そもそも、妙な話だった。

 俺は自分で言うのも何だが、かなりエリートの部類に属する指揮官である。

 そしてロゼットは、特別な任務にしか随伴を許されないほどの高級装備品。

 それでいてあてがわれた兵士達は、とても使い物にならないようなヒヨコばかり――

 何もかもがアンバランスだ。

 優遇されているのか、冷遇されているのか、さっぱり分からない。

 そもそもロゼットを同伴させたということは、本来の任務ではなく――

 

 「ロゼット、メンテナンスモードに入る」

 「……了解しました」

 ロゼットは俺の命令を聞き、素直に椅子に座って首を項垂れる。

 首の付け根にあるパネルを開けると、メンテナンス用の小型ディスプレイが備わっていた。

 俺はタッチパネルを操作し、起動履歴を洗い直そうとする――

 

 「なんだ……? 表示されないのか?」

 黒幕も馬鹿ではないのだから、履歴を丸ごと残しておくということはないだろう――

 が、そもそもメンテナンス画面が俺の知っているロゼットタイプとは別物だったのだ。

 「どういうことだ、これは……」

 俺はキーを操作し、型式番号を表示させる。

 「ロゼットXR-7000……!? こんな型式、聞いたこともないぞ……」

 ヴェロニカ・ユカワ社の開発した戦術アンドロイド、ロゼットタイプ――

 その最新型は、ロゼットR-6700のはず。

 それよりも、さらに進んだ――俺でさえ知らない、最新式だというのか?

 「こんなモノを付けてくれるなんて……上の連中、よっぽどこの件に本気みたいだな」

 これでは、もはや俺には手も足も出ない。

 結局のところ、ロゼットから情報を引き出すことは不可能のようだ。

 

 「……ロゼット、メンテナンスは終了だ」

 「了解、メンテナンスモードを終了します」

 ロゼットは立ち上がり、軽く両手を動かした。

 「起動完了……各部に問題はありません」

 ……そちらに問題がなくても、こちらに問題は大ありだ。

 しかしロゼットが悪いわけでもなく、彼女に突っかかっても仕方がないのである。

 殴りたい相手が目の前にいないというのは、何とももどかしい気分だ――

 

 「じゃあロゼット、これより宇宙港へ部下救出に向かう。IFVを出してくれ」

 「……了解しました」

 そのまま車両庫に向かうロゼットの後ろ姿を、じっと見据える俺――

 あの新式ロゼットは、何のためにこの任務に配備されたのか。

 もしこれが実験ならば、それをモニターする役割を担ってでもいるのだろうか。

 ここまで危険地帯と化したこの星には、もはや生身の人間は観測者として派遣できない――その代理。

 これから、そんな奴と行動を共にしなければならないのは、大いに不安である。

 基本的に俺の命令を聞くが、裏でどんな任務を与えられているか分かったものではないのだ。

 

 「やれやれ、面倒だな――」

 しかし、思い詰めていても始まらない。

 ともかく宇宙港に乗り込み、さらわれたという部下を救い出す――

 そのまま、港にある小型宇宙艇でこの星を脱出するのが理想だろう。

 そう上手くいくか分からないが――事実上、それしか生き残る道はない。

 俺は二度とこの異星揚陸艦に戻ってこないことを覚悟し、準備を進めたのだった。

 

 

 

 荷物をまとめて艦の外に出ると、ちょうどIFVも発進準備ができたところだった。

 乗車戦闘も可能な、八人乗りの戦闘車両。

 主砲の105mmパルスキャノンは、ほとんどの装甲兵器を撃破可能。

 副兵装の35mm機関砲による弾幕は、群れ寄る歩兵をことごとく肉塊に変える。

 さらに対戦車誘導ミサイル32発を搭載し、その戦闘能力は極めて高い――

 とはいえ屋内には侵入できない以上、宇宙港の内部に潜んでいるシスティリアン相手には手も足も出ない。

 それでもこの圧倒的火力なら、宇宙港までは安全に辿り着けるだろう。

 

 俺は車内に荷物を積み込み、副操縦席に座った。

 操縦席にはロゼットが座り、首の後ろにあるUE端子に車両火器管制ケーブルを接続している。

 これは、ロゼットタイプのアンドロイドが持っているデータリンク機能。

 車両の管制システムに直接アクセスすることにより、本来なら三人で行うIFVの操縦を、ロゼット一体でこなすことができるのだ。

 「準備はいいか、ロゼット」

 「はい……宇宙港の座標データを再認識。最短経路を確認。いつでも出発が可能です」

 「じゃあ、頼む」

 「了解しました――これより、宇宙港に向かいます」

 ロゼットは頷き、アクセルを踏み込んでいた。

 宇宙港の到着までは、おそらく二時間ほど。

 俺はそれまで副操縦席から外を眺めているだけ――とは、いかないだろう。

 「やれやれ……とうとう敵陣に突入か」

 俺はそう呟きながらも、内なる闘志を燃やしていたのだった。

 

 IFVを発進させてからほんの十分。

 市内に突入すると、たちまちシスティリアンの群れが襲ってきた。

 「敵対対象接近――その数、三十を超過。迎撃しますか?」

 「当然だ。ロゼット、俺を銃座に」

 「了解しました。一部火器の操作権を、スドウ大尉に委譲します」

 俺の座っていた座席が上昇し、IFVの砲塔上部に運び込まれる。

 とは言え主兵装のパルスキャノンは、ロゼットの管理下。

 俺は35mm機関砲を乱射し、群れ寄るシスティリアンどもを薙ぎ倒すのみだ。

 

 「敵、有効射程内に接近。戦闘を開始します――」

 攻撃を開始したのは、ロゼットの方が早かった。

 彼女の操作する105mmパルスキャノンが火を噴き、砲弾はシスティリアンの群れの真ん中に叩き込まれる。

 その直射経路にいたシスティリアン達の体を数匹まとめて引きちぎり、続けて砲弾が炸裂した。

 派手な爆発に巻き込まれ、怪物ども十数匹をまとめて肉塊に変えてしまう。

 「初弾命中。次弾装填――発射」

 さらに第二撃、第三撃とロゼットは容赦なくシスティリアンの群れの中に主砲弾を叩き込んでいく。

 しかし中には俊敏な奴が何匹かいて、砲弾や爆風をかいくぐりながらIFVへと接近してきた――

 そういう奴をきっちり刈り取っていくのが、俺の役目。

 「食らえ、怪物!」

 35mm機関砲弾の嵐を受け、ロゼットの撃ち漏らしも始末されていく。

 この強烈な火力の前に、さすがにシスティリアンどもは手も足も出ない。

 なんとか道路を疾走するIFVに取り付こうとするも、弾丸と砲弾の嵐はそれを許さない。

 「敵集団、多数接近――誘導弾発射」

 砲塔脇の発射装置からミサイルが放たれ、システィリアンの群れの中心に精密誘導される。

 爆風と高熱が奴等の体を吹き飛ばし、追い打ちに30mm機関砲を叩き込み――

 数十分ほどで、向かってくるシスティリアンはいなくなった。

 

 「敵沈黙、残弾は十分。宇宙港への進行を続行します」

 「ああ……」

 額の汗を拭い、俺は軽く息を吐いた。

 後はもはや、無人の野を行くも同然。

 俺はロゼットの操縦する車に揺られながら、ゴーストタウンの光景を眺めていたのだった。

 住居は全て荒廃し、肉と粘液が侵食してシスティリアンの巣となっている。

 住民達は殺され、エサにされ、飼われている――そんな悲惨な状況。

 これが人為的に行われたことだとしたら、俺はそいつらを許すことはできない――

 

 

 

 そして大きな問題もないまま、宇宙港のメインゲートまで到着した。

 どこの植民星でも、この宇宙港が経済や交通の中心になる。

 しかし、通常なら沢山の客がごった返しているはずの港前広場も、今は全くの無人。

 車内から宇宙港メインゲートを見据え、俺はため息を吐いた。

 「ロゼット……中には、やはり奴等が巣食っているか?」

 「相当数の生体反応を感知しました。しかし、向こうから攻撃を仕掛けてくる様子はないようです」

 「なるほど……」

 さすがにこのIFV相手に攻撃を仕掛けてくるほど、連中も馬鹿ではないらしい。

 奴等が本気なら、弾薬切れを狙う手もあるだろうが――そこまで犠牲を払う情熱もないのだろう。

 向こうも、建物内にまでこの車両を乗り入れることは不可能であることを承知しているのかもしれない。

 

 「この車両の全弾薬を建物に叩き込み、それから潜入しますか?」

 「いや……建物内に潜む連中には、そう大きな被害は与えられないだろう。

  むしろ半端に破壊された建物なんてのは、死角が多くて俺達の方が不利だ。

  わざわざ奴等に得する環境を整えてやることはないさ」

 「了解しました――」

 ロゼットは首からIFVのアクセルケーブルを外し、そして俺の顔をまじまじと覗き込む。

 「……スドウ大尉。本格戦闘の前に、メディカルチェックを推奨します」

 感情のない眼差しで俺を見据え、彼女はそう言った。

 メディカルチェック――軍用アンドロイドであるロゼットには、様々な機能がある。

 兵士の体調や健康状態を定期的にチェックするのも、その機能の一つだ。

 

 「じゃあ、頼もうか……」

 「了解、メディカルチェックを開始します。呼吸、心拍数に異常なし――」

 ロゼットの眼が赤色に光り、俺の体をスキャンする。

 口を開けさせ、頬にも触れ、医者のようにまぶたの裏までチェックし――

 「左掌に銃創を確認、応急治療は適切であり、約三日で完治すると思われます――」

 そんなメディカルチェックを受けながら、俺はブランデンのことを考えていた。

 彼女は軍駐留所から直接この宇宙港に向かったので、すでに到着しているはずだ。

 もう、彼女は内部に潜入しているのだろうか。

 ブランデンは、無事なのだろうか――

 

 「――微かながら、恋煩いの兆候が見られます」

 「……あぁ?」

 なんだ、それは。

 意図の読めないロゼットの言葉に、俺は目を丸くするしかなかった。

 そんなもの、メディカルチェックで分かるのか。

 それとも、新型ロゼットは冗談を言う機能まで搭載されているのか――

 

 「スドウ大尉の年齢を考慮し、実害はないと判断します。消化器に異常なし。呼吸器系に――」

 何事もなかったかのように、ロゼットはメディカルチェックを続行する。

 「――体臭、やや問題あり」

 「ああ……あれだけ動き回って、汗だらけだろうからな」

 メディカルチェックのおまけとしては、正直なところ余計な機能だ。

 潜入任務などでは、きつい体臭などは命取りになる場合もあるが――

 「栄養状態、および睡眠時間に問題なし。性欲――やや持て余し気味。

  状況判断に問題を生じる可能性、なしとは言えず」

 「……」

 実に、ろくでもない機能だ。

 「……全チェック終了。メディカルチェックの結果、陰部洗浄を推奨します」

 ロゼットによる陰部洗浄――俗に言う「慰安機能」。

 人間の生理的三大欲求――これが過度に抑圧されると、兵士の戦闘効率に問題が出る。

 食欲を満たすには、十分な食事を。

 睡眠欲を満たすには、十分な休息を。

 そして性欲を満たすための機能――それが、以前のロゼット型アンドロイドには搭載されていた。

 

 初期のロゼットシリーズは、純粋に軍務のみを行う女性型アンドロイドだった。

 しかしロゼットR-3000シリーズには、一部の兵士達が熱望していた慰安機能が搭載されたのである。

 ところが、世のアンドロイド権利保護団体や女性団体などからクレームが殺到。

 そのせいで慰安機能は直接的には搭載できなくなり、「陰部洗浄機能」などとお茶を濁さなければいけなくなった。

 ロゼットの股間にあたる部分に男性器の洗浄装置が搭載されており、そこに挿入して洗ってもらう――そういう方便。

 洗われている間にほとんどの男は射精するが、そういう機能のものではない――メーカーはそう言い張っている。

 クレーム逃れに方便を並べなければならない、メーカー側の苦労も伺われる話だ。

 ともかくロゼットによれば、俺の健康状態は「陰部洗浄」が必要ということらしい。

 要は、溜まっている――そういうことだ。

 

 「スドウ大尉、陰部洗浄を開始しますか?」

 「ああ……やってくれ」

 仕方ない、俺は承諾せざるをえなかった。

 システィリアン達の発する催淫性の芳香に毒され、妙な判断をしてしまう恐れがある――

 それを考えれば、敵陣突入前にロゼットに処理しておいてもらうのも悪くない。

 どうせ相手はアンドロイド、特に気兼ねする必要もないのだから――

 

 「了解しました。では、失礼します――」

 ロゼットはタイトスカートを履いたまま下着だけをずり下ろし――

 そして狭い操縦席内で体を動かし、副操縦席に座る俺の腰にまたがってきた。

 対面状態でぴったりと密着するロゼットの体――その温もりが、じんわりとのしかかってくる。

 それだけで肉棒は隆起し、早くも臨戦態勢になっていた。

 「勃起を確認、衣服を脱がせます――」

 ロゼットはその体勢のまま腰を軽く浮かし、器用に俺のズボンと下着を膝あたりまで降ろしてきた。

 ぴこんと飛び出したペニスが、人工ながら人肌と全く変わらないロゼットの太腿に触れる。

 「では、洗浄筒に挿入します」

 

 ぬちゅぬちゅぬちゅ……

 

 女性器そっくりに造られた洗浄筒の中に、ロゼットはペニスを沈み込ませていく。

 だがその中は女性のものとは違い、男性器を洗うための機構となっているのだ。

 ただ、ほとんどの男は洗浄過程で射精してしまうだけ――

 中には、一回の洗浄過程で四回や五回も射精してしまう者もいる。

 俺とて、偉そうなことは言えないかもしれないが――

 しかしまだ、肉の質感に近い内壁がペニスをくるんでいるだけ。

 愛撫に近い刺激はいっさい与えられていない。

 

 「洗浄用ソープをまぶします。心地よいヌルヌル感を存分にお味わい下さい――」

 じゅぶじゅぶじゅぶ……

 ペニスを包み込んでいる挿入口内部に、ぬめった泡が満ちていく。

 たちまち先端から根本まで、肉棒全体が温かいソープにまみれる――

 それは、たまらなく気持ちの良い感触だった。

 「あぐ、う……」

 俺はロゼットの華奢な体を抱き締め、ソープの感触に酔う。

 洗浄筒内部でたっぷりと泡を吹き付けられ、肉棒はヌルヌルにされてしまった。

 

 「では、陰部洗浄を行います――」

 

 しゅこっ、しゅこっ、しゅこっ……!

 

 「あ、あぁぁ……!」

 そして、いよいよ本格的な肉棒の洗浄が始まった。

 洗浄筒の柔らかな肉壁が、ピストン運動をするように上下に動いてきたのだ。

 「男性器の垢をこそぎ落とします――」

 「あ、うぅぅぅ……!!」

 ソープのぬめりも手伝って、その内部はぐっちゅぐっちゅと激しい上下運動の刺激を伝えてくる。

 それは、上下に扱き立てられている感触。

 先端から根本までが、容赦ない扱き洗いを受けているのだ。

 俺は腰を突き上げ、ロゼットにしがみついたままその愛撫を甘受するしかなかった。

 汚れが落とされていくと共に、射精に直結する快感が沸き上がってくる――

 

 「あ、う……気持ちいい……!」

 「カリ部の溝、および亀頭をブラシにて洗浄します」

 しゃこしゃこしゃこ……!

 洗浄筒に内蔵されたブラシが、俺の肉棒の隅々にまで襲い掛かってきた。

 泡にまみれた毛先がカリの溝をしゃこしゃこと擦り、何度も往復して垢をこそぎ取る。

 そして亀頭全体にも柔らかなブラシが這い回り、何度も何度も擦っていく――

 「あ、あぁぁぁ……」

 それは、ブラシによる入念な愛撫。

 洗われながら、いつ射精しても構わないという刺激――

 いよいよ俺は追い詰められ、限界が近付いてきていた。

 

 「亀頭を揉み洗い致します。『我慢できなかった』時は、そのままお漏らし下さい――」

 ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ……!

 「あ、あぐぅぅ……!!」

 まるで両掌で亀頭を左右から押さえ込み、激しく揉み洗いされているかのような感覚。

 これはあまりにも強烈で、俺に我慢する気力を一切与えなかった。

 俺はロゼットの腰にしがみつき、呻き続けることしかできない。

 そのまま肉棒全体に激しい揉み洗いを受け続け、みるみる腰から力が抜けていく――

 

 「あ、ロゼット……! もう……!」

 「どうぞ、お出し下さい……」

 無表情なはずのロゼットが、微かに笑ったような気がした。

 そのまま追い詰められ、快感が一気に溢れ出す――

 「あ、あぁぁぁぁぁ……!」

 揉み洗いの刺激を受けたまま、俺はドクドクと射精していた。

 ロゼットの洗浄筒の中に、たっぷりと精液を溢れさせてしまう。

 「……射精を確認しました。洗浄過程を続行します」

 「あうぅぅぅ……」

 ペニスにはなおも揉み洗いの刺激が続けられ、最後の一滴まで心地よく絞り出そうとする。

 そんな揉み洗いが徐々に弱まり、そして洗浄過程はすすぎから脱水に移る――

 射精の脈動が収まるのと、陰部洗浄が終わるのはほぼ同時だったようだ。

 

 「はぁ、はぁ……」

 「洗浄過程、完了しました」

 ぬる……と股間の洗浄機からペニスを抜き、ロゼットは腰を上げた。

 存分に洗ってもらった肉棒はピカピカで、ツヤさえ放っている。

 「スドウ大尉、お望みならもう一度陰部洗浄を行いますが?」

 「いや――これ以上やられたら、別の意味で戦闘に支障が出てくる」

 その強烈な快感の残滓に、俺は座席から一分ほど起き上がれなかったほどだ。

 敵地に乗り込む前に、しばし体を休めなければならないだろう。

 

 「ふぅ――」

 休憩の間に、俺は頭脳を戦闘モードに切り替えていた。

 クィーンのいるというシスティリアン本拠地に乗り込む――間違いなく、壮絶な死闘が予想される。

 相応の覚悟を抱きながらIFVから降り、持ち物を確認する。

 簡易救命道具に武装、弾薬、予備食料、その他携帯品、そしてオリファー少佐の残したディスク――持ち忘れはない。

 

 「……」

 ロゼットも車両から降り、風に吹かれながら宇宙港前広場に立っていた。

 その視線の先には、五階建てのターミナル。

 地下には管制室などの施設が存在し、クィーンが鎮座するという動力ブロックもそこにある。

 「さて……行くぞ、ロゼット」

 「了解しました。敵本拠に突入します――」

 ロゼットと俺は、二人並んで宇宙港ゲートに足を踏み入れたのだった。

 この先は、システィリアン達の根城になっているターミナル。

 ここに囚われている部下を助け出し、そのまま小型艇で脱出してみせる――

 

 宇宙港ターミナルへ

 



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