フェイスハガー娘


 

 「ここは、いったん戻るとするか――」

 公舎前で奪ったバイクにまたがり、俺は異星揚陸艦の墜落地を目指していた。

 行きは多人数の歩きだったが、帰りは二十分も掛からない。

 俺を残して全滅してしまったという辛い事実が、あらためて身に染みる――

 ともかく俺は、大破した揚陸艦の突き刺さる赤茶けた大地へと戻ってきたのだった。

 

 

 

 「なんだ、これは――!?」

 艦内に一歩足を踏み入れ――そして最初に感じたのは、散々に嗅いだあの臭気。

 甘ったるい、頭脳が麻痺してしまいそうな芳香――

 そして艦内のあちこちには、あのグリーンの粘液が粘り着いていた。

 「そんな、どういうことだ……?」

 まさか、あの怪物達の襲撃に会ったのか……?

 そうだとすると、この艦に残ったロゼットやヒヨコ達は……?

 

 「――ッ!」

 俺は最大限に警戒しつつも、艦の奥に駆け込む。

 中には人の気配は全くなく、まるで無人。

 怪我人が寝かされているはずの居住区には――無数に並んだベッドの上に、あの繭が無数に転がっていた。

 「まさか、そんな……!!」

 船内のどこにも、生存者は一人として見当たらない。

 代わりに見つかるのは、繭、繭、繭……

 

 ――どういうことだ?

 俺達がここから離れてから、奴等の襲撃を受けたのか?

 もしかして、生き残りはもう――

 

 「あの部屋は……?」

 ふと目に付いたのは、この異星揚陸艦の最重要区画。

 様々なデータが収納されている書庫のような場所で、指揮官の俺でさえ立ち入りが厳禁されている。

 そのドアを開ける権限も手段も俺にはなく、出入りできるのは将官クラスの軍人のみ――

 そんな機密室への扉が、なぜか半分ほど開いていたのだ。

 「もしかして、中に生存者が……」

 当然ながら機密を扱う部屋である以上、少々の爆発や破壊ではビクともしないようになっている。

 艦体そのものが吹き飛んでも、この部屋だけは残るほどに頑丈なのだ。

 もしかして、生存者はこの部屋に立てこもったのかもしれない――

 軍紀違反であることを知りながら、俺はその部屋に足を踏み入れていた。

 

 「馬鹿な――!」

 そこに一歩踏み込むなり、俺は絶句せざるをえなかった。

 室内に所狭しと並んでいたのは、無数の培養水槽。

 円柱形で培養液が満ちた水槽が、数十も敷き詰められている。

 その中で密集していたのは、蟹のような蜘蛛のような異種生命体――フェイスハガー娘。

 そいつらは生きており、水槽の中をざわざわと泳ぎ回っていた。

 信じられない光景に、俺は呆然とするしかない――

 

 「こ、これは……」

 いったい、どういうことなんだ?

 なぜこの異星揚陸艦の最重要区画に、こんなものが後生大事に飼われている?

 脳内に、様々な可能性が駆け巡る。

 例えば……こうだ。俺達が市街に向かった後、フェイスハガー娘達の襲撃にあった。

 ロゼットや少年兵達は奮戦し、捕らえたフェイスハガー娘達をこの部屋に安置した――

 「馬鹿な、ありえない……」

 冷静に考えて、そんな可能性はゼロに等しい。

 そんなことをする余裕も、必要性もまるで皆無。

 そういう馬鹿馬鹿しい可能性を打ち消していくと、たった一つの信じたくない可能性だけが残る。

 出発以前から、この異星揚陸艦にはフェイスハガー娘達が積み込まれていた――そんな、恐ろしい事実。

 

 「どういうことなんだ、これは……?」

 次の瞬間、ほんの背後で足音がした。

 こんな距離まで気付かず、接近を許してしまった――

 それは決して、動揺のみが原因ではなかった。

 気配と物音を完全に殺し、そいつは俺の背後まで忍び寄ってきたのだ。

 「……!」

 俺が振り向くよりも、頭部に鈍い打撃を受ける方が早かった。

 ぐらりと揺れる視界、闇に落ちていく意識――

 「ぐっ……!」

 薄れ行く意識の中――俺が目にしたのは、鈍器を手にしたロゼットの無表情な眼差しだった。

 

 

 

 

 

 「うぅ……」

 気付いた時、俺は薄暗い部屋で仰向けに寝かされていた。

 背中がひんやりと冷たい――つまり、服は全て脱がされている。

 徐々に意識がはっきりするにつれて、周囲の状況が明らかになっていった。

 「くっ、これは……!?」

 俺が寝かされているのは、長い机の上。

 手足は縄で縛り付けられ、机の脚に固定されている。

 どうやらこの部屋は、艦内の映写室――正面には、大きなスクリーンが備わっていた。

 どうして、俺はこんなところで丸裸にされている……?

 

 「気付かれましたか……」

 狼狽する俺に投げ掛けられた、場違いなまでに落ち着いた声――それはロゼットのものだった。

 彼女は俺の縛られている机の傍らに、静かにたたずんでいたのだ。

 「何をしている、ロゼット! この縄を外してくれ!」

 「その命令は聞けません。より上位の命令により、自動的にキャンセルされます」

 ロゼットは、静かにそう口走る。

 「何を言ってるんだ! 説明しろ、ロゼット!」

 「機密区画を見られた――このケースの場合、オプションEの実行が事前に命令されています」

 表情を全く変えず、淡々と告げるロゼット。

 俺の命令を全く聞かないことからして、より上位の命令がそれを打ち消している。

 つまり、何らかの状況が起きた場合は、俺の命令を聞かないよう――そういう命令を事前に受けているのだ。

 いったい、どうなっているのか――

 

 「それは……」

 俺は、机の脇に培養液を満たした水槽が置かれていたことに気付く。

 その中を、一匹のフェイスハガー娘が滑らかに泳いでいた――

 ロゼットはむんずとそれを掴み上げ、軽く掲げる。

 「ケージ・スドウ大尉。これより、貴方を『処理』します――」

 うぞうぞと足を蠢かせるフェイスハガー娘、その腹をロゼットは俺の眼前に見せ付ける。

 そこには、ひくひくと収縮する体腔が備わっていた。

 男の精液を啜り取る、なんともおぞましい器官――

 

 「このフェイスハガー娘は旧タイプ。男性器に快感を与え、五度の射精に誘います。

  せめて最期に、その快感を存分に味わって下さい――」

 「ふざけるな、やめろ――!」

 俺の叫びも虚しく、ロゼットはフェイスハガー娘を俺の股間に近付けていく。

 ほとんど大きくなっていないペニス――それが、フェイスハガー娘の柔らかい腹に触れた。

 「うぅぅ……!」

 そのぐにゃりとした肉の感触に、俺の肉棒はみるみる大きくなっていく。

 駄目だと分かっているのに、肉体的な刺激からは抗えないのだ――

 「勃起を確認しました。では、挿入します――」

 「や、やめろぉぉぉぉぉ……!」

 

 ずにゅにゅにゅにゅ……!

 

 「あ、あぁぁぁぁ――!!」

 ロゼットは、俺の肉棒をフェイスハガー娘の体腔にねじ入れてしまった。

 たちまちペニスは、身も世もないような快感に包まれてしまう。

 内部にたっぷりと満たされた粘液がぬるぬるとぬめり、肉壁はひくひくと収縮して肉棒全体を嫐る。

 その温もりに満ちた狂おしい感触に、俺は虚しく身をよじるしかなかった。

 「……気持ちいいのですか?」

 ロゼットは、無表情のままに尋ねてくる。

 「フェイスハガー娘の搾精孔は、独特の粘度を持つ粘液に満たされています。

  それが心地よい摩擦感となり、男性器に快楽をもたらすのです。どうぞ、存分にそれを味わい下さい」

 「あ、あ、うぅぅ……!」

 

 ねちゅ……、ぐちゅり、うねうねうね……

 

 ペニスはフェイスハガー娘の体奥に沈み込み、粘液にまみれた摩擦を受ける。

 また肉壁そのものが生きているかのように、ぐにぐにと揉み立てられ――俺は、情けなくも声を漏らしていた。

 その快感に、腰の奥から白い疼きがじわじわと沸き上がってくる。

 射精は、死のカウントダウンだと分かっているのに――

 

 「フェイスハガー娘の肉壁は、男性器を包んだまま蠕動運動を繰り返します。

  それは揉まれているような刺激となり、健康な男性なら十秒すら耐えることはできないでしょう」

 「あ、あぐぅぅぅ……!」

 俺は、歯を食いしばって快楽をこらえるしかなかった。

 ペニスに快楽の蠕動を浴びせられながら、必死で射精を我慢する――

 「一度射精しても、まだあと四度も楽しめます。ここは一度、射精されては?」

 ロゼットは俺の顔を覗き込み、そう告げた。

 非常に整った無表情、冷血そのもので感情のない視線。

 「い、いやだぁ……」

 口では抗いながらも、快感の疼きはじんわりとペニスを昇ってきていた。

 フェイスハガー娘の肉壁がうぞうぞと蠢く感触に、もはや耐えられそうにない。

 

 「あ、ううううぅぅぅ……!」

 ロゼットの観察するような視線にさらされながら、俺はとうとう絶頂していた。

 フェイスハガー娘の搾精腔の中で、ドクドクと溢れ出る精液。

 唐突に、その内部がぐにゅぐにゅと動き出す。

 それはまるで、上下に扱かれているような感触――

 「あ、ああああぁぁぁぁ……ッ!!」

 射精中のペニスでその刺激を味わい、俺は首を左右に振って悶絶してしまった。

 それは身悶えするほどの快感で、脈動するペニスが激しく弄ばれているかのよう――

 

 「男性器からの射精を感じ取ると、フェイスハガー娘は搾精腔内に放たれた精液を吸引します。

  その際は内部肉壁を収縮させて、搾り出すような運動を行うのです。

  それは精液を奥まで啜り上げる動作であり、尿道に残った精液まで搾り上げること、男性器を萎えさせないことも兼ねています」

 「あう……! あ、あぁぁぁぁぁぁ……!」

 ロゼットの無機質な解説を受けながら、たちまち精液を吸い尽くされてしまう俺。

 射精中のペニスを揉みたてられ、一滴も残すことなく吸い上げられてしまったのである――

 「うう、ぐぅ……」

 情けなさと恐怖、悔しさが入り交じり、俺は涙さえ流していた。

 

 「行着く先は死だと分かっていても、やはり快感には負けてしまうのですね――」

 ロゼットは、そう無表情で呟いた。

 自身の惨めさを嘆く時間すら、俺には与えられないのだ。

 「一度目の精液を吸い上げられた後は、二度目の搾精動作に移ります。

  フェイスハガー娘は搾精するたびに、その動作はより強い快楽を与えるものになっていくのです。

  つまり男性からすれば、射精する度により強い快感を味わえるということですね」

 「あ、あひ――!」

 ロゼットの言葉通り、搾精腔の中の感触が変化していた。

 生温かい肉洞の中で、無数の突起のようなものがザワザワと蠢いてきたのだ。

 それは亀頭粘膜全体を包み、くすぐりたて、尿道やら裏筋、カリなどを執拗に責め立ててくる――

 

 にゅるり、にゅる、さわさわさわ……

 

 「こ、こんなの……! あぁぁぁぁぁ!!」

 「搾精腔の奥の方――亀頭部を包む粘膜の周囲に、数百もの柔突起が備わっています。

  その一つ一つが独立した動きで、敏感な亀頭を重点的に擦り、撫で回します。

  亀頭部には男性の性感帯が密集しているため、粘液を絡められたその搾精動作に耐えることはできないでしょう」

 「ひ、ひぃぃぃ……!」

 うにうにと蠢く突起にまとわりつかれ、俺の我慢は砂上の城のようだった。

 それは驚くべき緻密さで、亀頭ばかりかペニス全体をざわざわと刺激する――

 内部に満ちた粘液が絡まり、たまらないヌルヌル感覚をも同時に味わわせながら。

 「あ、あぐぅぅぅ……!」

 それは男をよがらせるためだけの計算された行為であり、ほんの数秒さえ我慢させてはもらえなかった。

 いかに耐えようとしても、肉体は強引に屈服させられてしまうのだ。

 そして二度目の射精が、早くも眼前にまで迫ってきていた。

 このフェイスハガー娘に精液を捧げることが、どういうことなのか分かっているのに――

 

 「だめだぁ……! で、出る……!」

 その柔突起責めに耐えられず、俺はフェイスハガー娘の中で果てていた。

 どぷどぷと溢れ出した精液は、その体奥に吸い上げられてしまう――

 「あ、ひぃぃぃ……」

 そして、ぐにゅぐにゅとした収縮が始まった。

 ペニスを刺激し続け、最後の一滴まで心地よく射精させるための――

 俺は異生物からの屈辱的な責めを受け、二度目の精液を搾り出されたのだった。

 

 「二度目の射精、気持ちよかったでしょうか? まだ、あと三回の射精を体験することができます。

  どうか、ゆっくりと堪能して下さいね――」

 「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!」

 またもや、フェイスハガー娘の搾精腔の感触が変化した。

 変わると言うよりも、今までの刺激に新たな動作が加わると言った方が正しいかもしれない。

 肉壁全体がギュウギュウと締まり、俺のペニスを揉み潰してきたのだ。

 

 ぎゅむっ、ぎゅむっ、ぎゅむっ、ぎゅむっ、ぎゅむっ……

 

 「ひぃ、ああああぁぁぁぁぁぁ……!!」

 ペニスをみっちりと肉壁でくるみ込まれ、断続的に締め付けられる――

 その快感は凄まじく、早くも射精感が沸き上がってくるほどだった。

 「フェイスハガー娘の搾精腔には、リング状の筋肉がいくつも連なっています。

  その一つ一つが独立して狭まることで、肉壁のあちこちが収縮し、ランダムな締め付けを男性器にもたらすのです。

  特に亀頭部周辺は何重にも筋肉のリングが備わっているため、波状的な締め付けが味わえるでしょう」

 「あぅ……! あ、あああぁぁぁぁ!」

 カリの部分にも肉にリングが食い込み、ぎゅうぎゅうと締め付けられる。

 ねっとりと粘液のしたたる感触、密着してくる柔突起――さらに締め付けまで加わって、俺は限界まで追いやられつつあった。

 体全体の肉をフルに使って男性器を刺激するフェイスハガー娘の前では、十秒を超える我慢すら許されないのだ。

 

 「特に、カリの下部にあたる溝の部分に肉のリングが食い込む感触は、男性にとって絶品でしょう。

  その甘い快感を存分に味わいながら、ぜひ果てて下さい」

 「そんな……あうぅぅぅぅぅぅっ!」

 ロゼットの言うように、カリ溝に食い込んだ肉の輪がひくひくと蠢く感触は耐え難いものだった。

 それは、男をたちまち昇天させてしまう刺激。

 ペニス全体を心地よい締め付けにさらされ、俺はそのまま射精してしまった――

 「ひぃ、あぅぅぅぅぅぅ……!」

 びゅくびゅくと迸る屈服の証をフェイスハガー娘は吸い上げ、ペニスを激しく揉み立ててくる。

 その狂おしい感触を味わいながら、俺は三度目の精液を搾り取られたのだった。

 

 「……あと二回ですね。しかし残る二回の射精は、男性にとってまさに天国。

  天にも昇るような快楽を、存分に堪能できるでしょう」

 「あ、ううぅぅぅぅぅぅ……!」

 股間を貪られ続ける俺に対し、ロゼットは無機質な視線を向け続ける。

 まるでフェイスハガー娘と同時に、ロゼットにも犯されているかのような錯覚を抱いていた。

 

 うにゅ、ぐにゅ……、ずずずずずずずずずずッ……!

 

 「はぁ、あうぅぅぅぅぅぅ――!!」

 凄まじい吸い付きが、俺のペニスを包み込んでしまう。

 まるで掃除機のように――いや、それ以上の吸引力で肉棒に吸い付いてきたのだ。

 あまりに容赦ない吸引に、俺は背筋を反らせて悶絶するしかなかった。

 そんな俺の痴態を見守りながら、ロゼットはその口を開く。

 「四度目ともなると、揉んだり締め付けたりの刺激では射精に至らない男性も出て来ます。

  そこで、フェイスハガー娘は体内の圧力を巧みに用い、強引に精を吸い出してしまおうとするのです。

  もはや感覚神経が麻痺していたとしても、精液が強制的に吸い出されてしまうというメカニズム。

  感覚神経が麻痺していなかった場合は――吸引感より生じる快感は、凄まじいものになるでしょう」

 

 ずぶっ、ずちゅ、じゅるるるるるるるるるるるるるるるる……!!

 

 「あぐぅぅぅぅ……!! ひぃ、ああぁぁぁぁぁぁぁ――!!」

 その容赦ない吸引に、俺は悶絶するしかなかった。

 ペニスがずるずると吸い付かれ、奥に引き込まれ、バイブレーションにも似た刺激を受ける。

 肉棒が引き抜かれそうなほどの吸引力なのに、味わうのは痛みではなく猛烈な快感。

 魂まで吸い出され、啜り尽くされるような感触。

 今までと違って、もはや快楽を与えるとかそういう意図ではない。

 強制的に、強引に精液を吸引排出させてしまおうという動作――

 快感は、その付属物に過ぎない。

 それでいながら、その快楽は今までの責めよりも遙かに強烈だった――

 

 「あ、あああああああぁぁぁぁ――!!」

 激しく吸引されるがまま、精液は一気に吸い出されてしまう。

 射精したという自覚もないほど、あっけなく吸い取られてしまったのである。

 「ひぃ、あぁぁぁぁぁぁ……」

 俺は吸引感を存分に味わい、凄まじい快楽を体験したのだった。

 これで四度目の射精。あと一回分の精液を捧げれば、俺は――

 

 「さて、残り一回――ですが、気を落とすことはありません。

  最後の一回が、最も気持ちよいのですから――」

 ロゼットがそう告げると同時に、最後の搾精が始まった。

 

 ぐちゅ、ぐちゅるぐちゅる……

 うにうに、にゅる……

 ざわざわ、ざわ……、ぎゅっ、ぎゅっ……

 じゅぶる、じゅる、じゅるるるるるるるるる……!

 

 「ひぃ……! あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――!!」

 今まで味わった搾精動作が、全て合わさったかのような蠢き。

 締め付けられ、うねられ、吸い付かれ、くすぐられ、まとわりつかれ――

 それは、とても耐えられそうにない快感。

 ここで射精してしまったら終わりだというのに、これ以上は――

 「う、ぐぅぅ……!」

 俺はなんとか射精を我慢しようと、無駄な抵抗を続ける。

 腰に力を込め、込み上げるものを必死で抑える――

 

 「これは忠告ですが、我慢したとしても無駄なことです。

  フェイスハガー娘は、男性器に快楽を与えて精液を搾り取るためだけに進化した生物。

  そういう機能を持った生き物なのですがら、耐えることなどできはしません」

 ロゼットは、俺を見下ろしてそう宣告する。

 「ですから……快楽に身を委ね、心地よく射精することをお勧めします」

 「そ、そんな……! あうっ!」

 もはやフェイスハガー娘の中は、ラストスパートに入っていた。

 亀頭を柔突起が這い回り、カリは散々に締め付けられ、粘液にまみれて嫐られ尽くす。

 激しい吸引と、ペニス全体を扱きたてるような上下運動、そして肉壁全体の蠕動。

 肉棒がドロドロに溶かされているような快感に、そのまま身を任せたくなってしまう――

 

 ねちゅ、にちゅにちゅ……

 じゅぷ、じゅるじゅる、じゅるるるるるるるるる……!

 ざわざわざわ……、にゅるにゅ、うにゅる……

 

 「あ、あぁぁぁぁぁぁぁ……!」

 「そのまま漏らせば、心地よい射精が味わえますよ?」

 屈服してしまいそうな肉体。

 甘く囁いてくるロゼットの言葉――

 俺はもはや、込み上げてくるものを抑えきれそうになかった。

 このまま身を委ねれば、最高の快感を与えてもらえる――

 そして、たっぷりと精液を吸い取ってもらえる――

 

 「あぅぅぅぅ……」

 俺はとうとう誘惑に負け、腰の力を抜いていた。

 その瞬間に、じんわりした快感が腰を渦巻き――そして、一気に溢れ出してきた。

 「はぅ……! あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ――ッ!!」

 腰を揺さぶり、一気に快楽を解き放つ。

 それは、信じられないほどの快感を伴った放出感。

 温もりの中で、じっとりとペニスが溶けてしまいそうな感触。

 ドクドクと溢れ出る、屈服と快楽の証――

 

 じゅるり、じゅるじゅるじゅるじゅるじゅるじゅるじゅる……!

 

 フェイスハガー娘は溢れ出した精液に吸い付き、ペニスごと料理するほどの勢いで吸い嫐る。

 肉棒を溶かされ、精液と一緒に吸い尽くされるような快感。

 精液をじゅるじゅるとスローモーに啜られ、俺は昇天していくような快楽に震えていたのだった。

 このまま死んでもいい、そう思えるくらいに――

 

 「あ、あぁぁぁ……」

 フェイスハガー娘は五度目の精液を吸い終え、いよいよ始まった。

 俺の下半身は、じゅるじゅると液状化したフェイスハガー娘に包まれていく。

 それが上半身、そして頭部にまで浸食していくにつれ、俺は幸せな気分になっていった。

 このまま全身を溶かされ、養分にされる――それは惨めで哀れ、そして心地よい結末。

 

 「五回の射精、じっくりと堪能されたでしょうか?

  これだけの快楽を体験できたのですから、悔いはないと思います――」

 無表情のまま、ロゼットは冷たく告げる。

 それも、まるで子守歌のようだ。

 「あうぅぅぅ……」

 俺はじっくりと体を貪られながら、その甘い快楽に溺れてゆく。

 

 「――さようなら、お世話になりました」

 そんなロゼットの声も、とろける意識と共に消え去っていった。

 

 

 −BAD END−

 

 



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