フェイスハガー娘


 

 ほんの少しだけでいいから、その快感というものを味わってみたい――

 そんな俺の雑念は、股間にフェイスハガー娘が貼り付くのを許してしまった。

 「くっ、しまった……!」

 ――いや、それは半ば確信的な行為。

 その感触が味わってみたいという無意識の願望で、反応が遅れてしまったのだ。

 そしてフェイスハガー娘は八本足をがっちりと腰の方に回し、しがみついてしまう。

 

 「く、この……」

 股間に貼り付いた異形の生物を引き剥がすべく手をやった時には、もう遅かった。

 フェイスハガー娘の腹側――つまり股間に接している側から粘液が染み出し、ズボンが溶かされてしまったのだ。

 「あ……や、やめ……」

 その直後には、俺のペニスはフェイスハガー娘の腹へと直に触れていた。

 ぐにゅりと押し付けられる、柔らかい腹肉の感触。

 粘液でぬめった、ねとねとの触感――

 突然に押し付けられた甘い感触に悦び、垂れ下がっていたペニスは徐々に固さを増していく。

 頭をもたげ、たちまち棒状となるペニス――その先端が向かう先は、フェイスハガー娘の搾精孔。

 フェイスハガー娘に貼り付かれ、勃起した獲物のペニスは、この穴に滑り込むようになっているのだ。

 

 「あ、駄目だ……! あ、あぁ……!」

 いかに抗ったところで、自らの意志で勃起を抑えられるものではない。

 今から入ろうとしているのは、男性器に快感を与え、精液を搾り出すためだけの穴。

 後は獲物の意志にかかわらず射精させ、それで終わり。

 必要量の精を啜ったフェイスハガー娘は粘液状となって獲物の体を包み込み、取り付くように溶解してしまう。

 苗床――それが、フェイスハガー娘に襲われた者の運命。

 そして、俺もこれから同じ運命を辿ってしまうのだ――

 

 「や、やめろぉ……!」

 俺の懇願も虚しく、起ち上がってしまった肉棒の先端が軟らかい入り口に当たった。

 それだけで、ずるるるる……と一挙に中へ啜り込まれていく――

 「あ、ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 ぞくぞくするような魔性の快感が、俺の肉棒を襲っていた。

 その複雑で淫らな構造は、全て男を昇天させるためのもの。

 肉穴全体がペニスにねっとりと吸い付き、中がぬめぬめと蠢いている。

 先、真ん中、根本を問わずひくひく収縮し、肉壁全体がぐにゅぐにゅと蠕動する。

 にゅるにゅると蠢く細かな肉ヒダが、亀頭やサオを舐めるように刺激する。

 最奥――ペニスの先端を包む箇所にはうにうにと蠢く無数の柔らかな突起が密生し、尿道や亀頭に押し当てられる。

 どんな男でも五秒と我慢できない快感が、そこにはあった。

 

 「あ、あぁぁぁ……」

 それはまるで、最期に味わわせてもらうような極上の快楽。

 この快感で果て、そして苗床にされてしまう――そんな絶望感。

 射精すると、命はない。それは分かっているのに――

 

 「き、気持ちいいぃぃ……」

 あまりの快感に俺はしゃがみ込み、その場に膝を着いていた。

 フェイスハガー娘は股間に貼り付いたまま、ぐちゅぐちゅとペニスを貪り続けている。

 このまま導かれる、強制的な射精。

 知性も何もない生物に男性器を蹂躙され、射精に至らされてしまう。

 そして精液を養分同然に吸われ、命まで奪われてしまう――

 そんな惨めさに、涙すらこぼれてしまった。

 

 「嫌だぁ、イきたくない……」

 もはや手遅れにもかかわらず、俺は必死で射精をこらえるしかなかった。

 しかし股間をじっくりと包む快感は、俺の我慢をあざ笑うように追い詰めていく。

 このままフェイスハガー娘の陵辱に身を任せ、一気に射精したらどれほど気持ちいいだろうか――

 そのような快感への破滅的な欲求すら、俺の中で高まってきたのだ。

 「あ、あぅぅぅ……」

 じゅるじゅると柔肉の坩堝にペニスを沈め込ませ、快感の声を漏らす。

 心は徐々に折れ始め、射精感が腰から体を巡りつつあった。

 このまま、一気に気持ちよく射精してしまいたい――

 

 にゅくにゅくにゅく……

 搾精孔の内部が蠢き、ペニス全体を扱き上げるように収縮してきた。

 その甘い刺激で、みるみる体から力が抜けていく。

 「うあっ、くうっ……!」

 こんな下等生物に肉棒を揉み尽くされ、快感のあまり漏らしてしまう――

 俺はいよいよ、そんな屈辱を甘受し始めていた。

 このまま快感に身を任せ、イかせてもらいたい――そんな思いが徐々に強くなっていく。

 じっくりと蠢く肉壁の感触を楽しみ、この中で果ててしまいたい。

 気持ちよくして貰った礼に、たっぷりと精を捧げたい――そんな、男の本能的肉欲。

 

 「ひあ、うぅぅぅぅぅぅ――!!」

 そんな俺の感情を読み取ったように、搾精孔の蠕動は激しさと淫らさを増していった。

 ざわざわと蠢く繊細な突起群は敏感な亀頭を包み込んで撫で回し、尿さえ漏らしてしまいそうな感触を与えてくる。

 それは俺の心とは関係なく、肉体を強制的に屈服させようとしていたのだ。

 

 ――もう、限界だ。

 ――このまま、射精してしまう……!

 

 「あぅぅ……! も、もう……!」

 ペニスが優しく溶かされるような、天にも昇るような感触。

 頭の中にモヤがかかったかのような感覚。

 腰がじんわりと痺れ、甘い射精感が広がっていく。

 もう、これ以上は我慢などできない――

 

 「あ、あああああああああぁぁぁぁぁぁぁ……!!」

 

 どぷっ、どくどくどくどくどく……

 

 とうとう肉体がフェイスハガー娘の搾精愛撫に屈服し、快感が堰を破ってしまった。

 ペニスが脈動するたびに、亀頭が柔突起やヒダで嫐られ、最高に心地よい放出感を味わう。

 「あ、あぐ……! あ、あああぁぁ……!!」

 放尿にも似た開放感――しかし、それに備わる快感は段違い。

 肉壁は妖しくうねり、じっくりと精液を搾りたててくる。

 快楽に耐えきれず、出してしまった――

 俺の頭の中には、そんな絶望感が去来していた。

 

 じゅる、じゅるじゅるじゅる……

 

 「はぁう、あああぁぁ!!」

 股間に貼り付いていた蟹とも蜘蛛とも取れない異形生物が、どろどろと溶解を始めた。

 それはたちまち俺のペニスを包み込んだまま、グリーンの粘液状と化してしまう。

 「うう……や、やめ……あぁぁぁ!」

 くちょくちょとぬめり、粘った感触に俺は身をよじっていた。

 粘液がペニスを包み、じゅるじゅると蠢く――それは、愛撫そのもの。

 柔らかく絡み、ぬっぷぬっぷと流動する――それは、射精させるためのマッサージ。

 

 「あう、うぐ……! あぁぁぁ……!!」

 もはや耐える気力もなかった俺は、あっという間に屈服射精を強いられていた。

 それは、成長を促進させるための栄養補給――俺は、徹底的に養分を搾り取られてしまうのだ。

 「うあああああぁぁ! あああああぁぁぁ!!」

 じゅっぷ、じゅっぷ、じゅっぷ……!!

 なおも股間で渦巻く粘液は肉棒を責め嫐り、精液を搾ってくる。

 そしてグリーンの粘液は、股間ばかりでなく下腹や太腿にもじんわりと広がり始めた。

 「ああああ……や、やめろ……! あぅぅぅ……」

 もう、今さらもがいたところで遅いのだ。

 このまま俺はグリーンの粘液に浸食され、苗床にされるしかない。

 「いやだぁ……たすけ、うぅぅぅ……」

 じゅるじゅると広がった粘液は、とうとう俺の全身を包み込んでしまう。

 その、あまりにも甘美な感触に俺は陶酔に浸っていた。

 ぼんやりとした恍惚感が全身を覆い、うっとりとした気分に支配されてしまったのだ。

 このまま俺の体は溶かされ、新しく産まれてくる成体のエサとなる――

 ――それが、とても素晴らしいことのようにさえ思えてきた。

 

 じゅるじゅるじゅる……

 

 「ああ、うぅぅ……」

 グリーンの繭の中で、俺の意識は薄くなっていく。

 このまま恍惚感に浸りながら、ドロドロに溶かされていく――

 それは、まさに快感そのもの。

 ペニスからは精液が尿のように漏れ続け、まさに天に昇るような感覚。

 どろりどろりと粘液が体を浸食し、その境界線を曖昧にする。

 その甘い心地の中、俺が俺でなくなっていく――

 

 「あぁぁぁ……き、気持ちいい……」

 その感触を甘受しながら、俺は精と肉の全てをフェイスハガー娘に捧げる。

 こうして俺は、新しい生命の糧となるのだった――

 

 

 −BAD END−

 

 



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