妖魔の城


 

 ――いや、コショウで遊んでいるような状況ではない。

 このまま魔術の発動を許してしまえば、僕はあえなく消し炭となってしまうのだ――

 「くっ、このぉぉ……!」

 無理矢理にでも詠唱を中止させるべく、僕はマイに挑み掛かった。

 詠唱に集中している今なら――そう思ったのが、僕の判断ミスだった。

 「ふふっ……引っかかりましたね。そう来ると思っていましたよ」

 マイは不適に微笑みながら、詠唱を中断した――

 いや、そもそも詠唱はフェイク。僕の不用意な行動を誘うためのものだったのだ――

 

 「くっ、くそっ……!」

 マイは、素早く僕の腕を掴み――そして、逆方向にねじ曲げられた。

 「あうっ……!」

 右腕が背中側にねじり上げられ、マイ自身も僕の背後に回る。

 そして――僕の股間が、小さな掌でふにゅっと握られた。

 マイが背後から、左手を僕の下腹へと伸ばしてきたのだ。

 「あ、あぁぁぁぁ……」

 淫魔であるマイに、ズボンの上から肉棒を握られ――みるみる、力が抜けていく。

 そのままへなへなとしゃがみそうになる僕を、マイは強引に立たせていた。

 「このまま、立たせたままイかせてあげますね。

  ふふっ……相当の屈辱でしょう? マイちゃんの無念、あなたを辱めて晴らしますから――」

 「あぅぅぅぅぅぅぅ……!」

 そのままマイは、僕を背後から支えたままで股間を揉みしだいてきた。

 とろけそうな快感にさいなまれ、その場にへたり込みそうになる――

 ――が、マイは倒れることさえ許してくれない。

 僕を強制的に直立させたまま、その手で射精に導くつもりなのだ。

 

 「ほらほら……惨めですか? このまま、私にイかされるしかないんですよ……」

 「う、うぁぁぁぁぁ……」

 マイの手で、ズボンの上から肉棒をこね回されながら――

 僕はふと、あのウェステンラにもらった歯のカプセルを思い出していた。

 確か――あれは、質の悪い精液に変換するという魔術薬。

 こんな状態で使ったところで、状況が好転することなどない。

 悪い精に変換したとしても――僕を仇と見なしているマイが、見逃がしてくれるはずもないのだ。

 どちらを選んでも、もはや助かるはずもないが――

 

 魔術薬を飲む

 魔術薬を飲まない

 


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