妖魔の城


 

 「この……!」

 なんとか抗おうと、ぶんぶんと両腕を振り回す僕。

 しかしマイはぴったりと僕の背に貼り付き、引き離すことは不可能だった。

 「この鎖をもって、我、束縛せん――」

 マイは呪文を結び、人差し指で軽く円を描く。

 次の瞬間、僕の全身が動かなくなった。

 まるで、見えない鎖に絡め取られてしまったかのように――

 「どうですか? 強力な縛術です。もう動けませんよ」

 「くっ……!」

 身をよじることは出来る。

 しかしそれだけで、体を意識的に動かすことは全く出来ない。

 その縛術とやらは重圧も苦痛も感じさせず、ただ僕の動きだけを封じていたのだ。

 「動けないだけじゃなく、体勢も自由に操れるんですよ。ほら――」

 マイがぱちんと指を鳴らすと、僕は直立不動の体勢にされた。

 「便利な魔術でしょ? 体位を自由に操れるから、サキュバスはみんな重宝してるんですよ」

 そう言いながら、僕の正面に立つマイ。

 「ふふ……拷問、してあげますね……」

 「くっ……!」

 もはや僕にとって、ここから逃げ出すいう選択肢は完全に封じられた。

 マイに屈服するか、押し黙るかの二択のみ。

 これが、サキュバスに捕まった者の運命なのだ――

 

 マイはいそいそと服を脱ぎ、僕の前でゆっくりと全裸をさらしていた。

 胸は非常に小振りで、わずかに膨らみが見られるのみ。

 しかし、その細身の裸身は息を呑むほどに綺麗だった。

 「メイちゃんだったら、おっぱいで挟んであげるんだろうけど――」

 そう呟きながら、マイはすっと右腕を上げた。

 そして右腋に自らの顔を寄せ、軽く首を傾ける。

 「ん……さっき走ったから、汗かいちゃってます。ほら」

 そしてマイは、僕の鼻先に腋のくぼみを近付けてきた。

 むわっ、と押し寄せてくる熱気。

 それは決して不快なものではなく、少女独特の甘酸っぱい体臭を伴っていた。

 「う……」

 まるでマイの甘い腋臭に酔ってしまったように、意識がぼんやりとしてくる。

 その匂いにあてられ、ペニスはむくむくと勃起してしまった。

 「あ、大きくなった……腋の匂い嗅がされて、興奮しちゃったんだ?」

 くすくすと笑うマイ。

 「この腋の下で、おちんちん拷問してあげますね」

 「え……?」

 マイはすっと僕の鼻先から腋を離すと、そのままくるりと背中を向けた。

 直立不動で動けない僕に背を向け、マイは身を屈める。

 そして、びくびく動くペニスにマイの腋がゆっくりと近付いてきた。

 蒸れた空気が、ほこほことペニスを襲い――そして、亀頭が腋のくぼみにくっつけられる。

 汗で濡れていた肌の上を、亀頭がぬるり……と滑った。

 「あ、う……」

 その感触だけでも、僕は呻き声を上げてしまう。

 ペニスはぴくんと震え、まるで逃げるようにマイの腋から離れた。

 「ふふ、逃がしませんよ」

 ぎゅっ……!

 そのままマイは腋をぎゅっと閉じ、肉棒が柔肌に挟み込まれてしまった。

 じっとりと汗で湿り、ほかほかと蒸れている感触。

 ぬくぬくの体温、そしてじわじわと圧迫されている感覚――

 「あ、あ……!」

 「拷問ですから……おちんちん、締め付けてあげますね」

 ぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……!!

 マイは上腕に力を込め、きつく腋を閉じてきた。

 間に挟み込まれた亀頭からペニスの中程にかけて、まるで弄ぶかのように締め付けられているのだ。

 僕に与えられているのは痛みでも苦痛でもなく、快楽の責めそのものである。

 「ほら、ほら……どうですか?」

 まるで絞め技を掛けるかのように、マイはぎゅっ、ぎゅっ、とペニスを締め上げる。

 亀頭全体を包むように締め付けられ、僕はみるみる上り詰めていた。

 先端からは我慢汁が滲み、べちゃべちゃという摩擦音が混じる――

 

 「あ、ううぁぁ……!」

 「もう、出ちゃいそうですか?」

 「イ、イく……! もう――」

 次の瞬間、ペニスが虚空へと貫通した――そんな感触に襲われた。

 マイが腋を緩め、僕の肉棒は向かいへと突き抜けてしまったのだ。

 つまりマイから見れば、亀頭部がぴょこんと腋から突き出ていることになる。

 尿道口からは、我慢汁が滲んでいるのがはっきりと見えた。

 「ふふ……」

 マイの腋にはサオの部分のみが挟み込まれ、じっくりと締め上げられていた。

 そして、亀頭は露出したまま何の刺激も受けていない状態――

 たちまち射精の予兆は醒め、じわじわ浴びせ掛けられる快感だけが残る。

 しかもサオが締められるだけで先端は触って貰えない、生殺しのような快感だ。

 「あ……!? な、なんで……!」

 「イきたかったんですか? 腋でギュウギュウされて、精液ぴゅっぴゅって出したかったんだ……」

 意地悪げな表情で、メイは笑みを見せる。

 「でも、簡単にはイかせてあげませんよ。これは拷問なんですから……」

 サオをきゅっ、きゅっと締め付けながらマイは言った。

 肉棒はメイの汗で湿らされ、体温で暖められている。

 そんな状態で、サオのみを嫐るように締め上げられる――僕はただ、悶絶するしかなかった。

 「あ、あああぁぁぁぁ……!」

 「ほ〜ら、ほ〜ら。おちんちん、もっといじめてあげますね」

 ぎゅっ、ぎゅっ、ぎゅっ……!

 締め上げられては緩められる、絶妙の刺激。

 カリの部分をきゅっと刺激された瞬間、そのまま射精してしまいそうになる――

 「あ、出る……」

 「あっ、ダメですよ。漏らしちゃったら……」

 すると、たちまち刺激が消えてしまう。

 射精寸前まで追い詰められ、そして生殺しにされる拷問。

 「あ、あぐ……!」

 そんな責めに追い詰められ、僕は喘ぎ声を漏らしていた。

 射精させて――そう懇願したくなる衝動を、必死で押さえ込む。

 尿道口からは我慢汁が涙のように溢れ、垂れ流しになっていた。

 

 「ふふ……イかせてほしいですか?」

 マイは空いている方の右手を自分の口許に持ってきて――

 その掌に、たっぷりと唾液を垂らしていた。

 その手をぐちゅぐちゅと動かし、たちまちマイの左掌はヌルヌルになる。

 唾液の糸と泡にまみれたヌルヌルの掌――それを、マイは僕にじっくりと見せ付けた。

 「ヨダレでぐちゅぐちゅ……この手で亀頭いじくられたら、気持ちよさそうでしょう?」

 僕のペニスを腋で嫐りながら、マイは目を細める。

 「これは拷問です。喋らないなら、このままずっとイかせません。

  でも観念して喋るのなら――気持ちよ〜く、ドクドク射精させてあげますよ?」

 マイは、悪魔的な微笑を見せていた。

 「おちんちん腋でギュウギュウに締め付けながら、亀さんをこの指でくちゅくちゅにいじくり回してあげます。

  ふふ……そんなことされたら、一瞬で漏らしちゃいますよね?」

 「あ、ああ……」

 僕のペニスは、射精を懇願するようにぴくぴく痙攣している状態。

 あの指で亀頭を触られただけで、一瞬で昇天してしまうだろう。

 イかせて貰えるのだ、喋りさえすれば――

 

 「さあ、教えて下さい。この城に侵入したのは何人ですか?」

 マイは僕の顔を見上げ、あどけない顔に嗜虐的な笑みを浮かべた。

 「……」

 僕のペニスを挟み込んでいる腋、そして唾液でべとべとの左手に視線がいってしまう。

 ここで喋ったら、あのぬめった指が亀頭に襲い掛かるのだ。

 そしてペニス全体が腋で締め上げられ、最高の快感に包まれながら射精できるだろう。

 この拷問も終わり――そして僕は、マイに屈服してしまったも同然となる。

 後はただ、メイの仇とばかりに嫐り尽くされるのみだ。

 しかし喋らなければ、このまま延々と生殺し。

 マイの拷問はまだまだ続くだろう。

 僕は――

 

 

 マイに屈服する

 耐える

 


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