ゾンビ娘


 

 三階、集中処置室――

 その大きく分厚い扉の前に、僕と沙亜羅は立つ。

 「もっと医務室みたいな場所だと思ってたのに……かなり広そうじゃない」

 沙亜羅は、扉を見上げて言った。

 この研究所に何回も来ていたという彼女も、ここには入ったことかないらしい。

 

 「ロックとか、されてないよね……?」

 「されてるよ」

 僕はあっさりと言った。

 「一階に電源室があったじゃないか。あそこでエレベーターの動作を止めないと、ここのドアは開かなくなってるみたいだ」

 「一階……? でもエレベータ止めちゃったら、今度はここまで上がって来れないじゃない」

 「非常階段があっただろ? プラント娘に通行止めされてたけど、今はヤツを倒したから通れるはずだ」

 僕の言葉に、沙亜羅は頷いた。

 「分かった、行ってくる。優はここで待ってて……気をつけてね」

 そう言って、沙亜羅は素早くその場から走り去った。

 彼女の足だと、1階の電源室まで5分。戻ってくるまでにまた5分。

 

 「あと10分で片付けなきゃいけないのか……骨が折れるなぁ」

 そう呟きながら、僕はロックなんて掛かっていない集中処置室の扉を押し開けた。

 例の弾切れが起こらない事を願いながら……

 

 

 扉の中――集中処置室は、かなり広い空間になっていた。

 おそらくは実験器具などが並んでいたのだろうが、全て撤去された様子だ。

 そして、部屋の中央には一人の美しい女性が全裸で立っていた。

 明らかに、こちらを待っていたように――

 

 「始めまして、深山優さん」

 美しい女性――アレクサンドラは、にっこりと笑って口を開いた。

 姉妹だけあって、その顔は沙亜羅に酷似している。

 いわば、20代中盤の年齢まで成長した沙亜羅といったところか。

 

 「始めまして、アレクサンドラ」

 僕は拳銃を構え、素早く彼女に突きつけた。

 アレクサンドラの体は人型を保っているものの、体のあちこちから触手のような筋組織が露出している。

 「貴方の事はずっと見ていたわ。私とサーラを戦わせまいとするなんて、健気じゃない」

 アレクサンドラは妖艶に微笑む。

 「見ていた……?」

 「見当は付いているでしょう? H-ウィルスに感染した生物は、遺伝子レベルで私の奴隷となるの。

  普段は、基本的に放任主義だけどね…… あの子達の視神経で捉えたものは、全て私も知りえることが出来るのよ」

 僕は銃を構えたまま、肩を落としてため息をついた。

 「そうか、やな所もいっぱい見られたなぁ……」

 「愉しそうだったじゃない。ふふ……今度はお姉さんが遊んであげるわ――」

 

 パン、パン……!

 アレクサンドラの顔面に向かって、僕は2回発砲する。

 その弾丸は、触手状になった髪にたやすく防がれた。

 

 ――にゅる。

 僕の足元に、肉汁のようなものが侵食してくる。

 その緑色の粘液は床からぬるりと立ち上がり、僕のペニスを包み込んだ。

 「な……! うぁぁぁぁぁぁッ!!」

 その柔らかな刺激に、僕は身をよじる。

 その肉汁は非常に粘度が高く、むちむちとペニスにまとわり付いて愛撫してきた。

 「ふふふ……気持ちいい?」

 アレクサンドラが――沙亜羅にそっくりな顔が、にっこりと笑う。

 僕は快感のあまり、思わず拳銃を取り落とした。

 

 にゅく、にゅく、にゅく、にゅく――

 粘液はペニスのあちこちに優しく絡み付き、じわじわと締め上げてくる。

 「はい、まず1回――」

 アレクサンドラがそう言った途端、粘液がカリににゅるんとまとわり付いた。

 その刺激で、僕は我慢もできず絶頂する。

 「うぁぁぁぁぁぁッ!!」

 どくん、どくどくどく……

 緑の粘液の中に、どくどくと注がれる白濁液。

 優しく揉みしだかれただけで、こんなに早く――

 

 「このッ……!」

 すかさず構えたバレットライフル――その銃身がぐにゃりと曲がった。

 凄まじい速度で接近してきたアレクサンドラはライフルを飴細工のように曲げつつ、僕を突き倒す。

 「く……ッ!」

 すかさず起き上がろうとした僕の胸の上に、彼女の足が優しく乗せられた。

 重圧を加えていないから苦痛はないが、起き上がる事はできない。

 「ふふ、ふふふふふ……ッ」

 胸部に添えられていたアレクサンドラの足が、つつつ……と位置を下げていく。

 腹を這い、股間へ――

 

 「や、やめろ……!」

 「これはどう? サーラはこんな事、してくれないでしょう……?」

 アレクサンドラは、僕のペニスを柔らかく踏みつけてきた。

 そのままぐりぐりと動かし、僕のペニスを刺激する。

 「あ、ああああぁぁぁぁぁ……!」

 「足蹴にされて感じるなんて……ふふ、恥ずかしい?」

 ぐに、ぐに、ぐに……

 アレクサンドラは絶妙の力加減でペニスを刺激し、親指と人差し指で亀頭を挟み込んで刺激してきた。

 「ううう……! あああぁぁぁッ!」

 「情けない声…… サーラには、聞かせられないわね……」

 足元に這い、足での愛撫でいいように感じさせられる僕を見下すアレクサンドラ。

 「それとも、サーラにも足でして欲しいのかしら? 頼んだらしてくれるかもね……ふふッ」

 

 ぐにぐに…… ぐに、ぐに……

 アレクサンドラは、極めて的確な責めで僕を押し上げていった。

 「ああ…… もう……!」

 「ふふっ…… 二回目、イきなさい」

 亀頭が、親指と人差し指できゅっと挟み込まれる。

 その甘美な感触に、僕は精を漏らしてしまった。

 「ううっ、ああっ……!」

 ぴゅっぴゅっ飛び散った精液が、アレクサンドラの足を汚していく。

 

 彼女の脛に覗く触手状の筋組織――そこから、じゅるじゅると沢山の舌が飛び出てきた。

 その無数の舌は足に飛び散った精液を舐め取り、さらに僕のペニスをも舐め始めたのだ。

 「あ、ああああぁぁッ!! これは……!」

 「私はH-ウィルスの統括者であり、搾精の女王。人間の常識なんて通じないわ」

 ペニスには数本の舌が巻き付き、唾液をまぶしながら這い回ってくる。

 特に念入りに尿道口を舐め回され、僕は体をのけぞらせて悶えた。

 しゅるる…… れろれろれろ……!

 

 「ふふふ、もうすぐサーラが戻ってくる頃ね」

 僕のペニスを嫐りながら、アレクサンドラは笑った。

 「次にあの娘と顔を合わせた時、どんな格好で犯されているのがいい? なるべく惨めなのがいいわよねぇ……」

 「く、この……」

 何とか股間を踏みつけている足を振り払おうとした瞬間、アレクサンドラの足がしゅるしゅるとほどけた。

 彼女の足は数本の触手状になり、そのまま僕のペニスに絡み付いてくる。

 その触手のあちこちからは舌が突き出し、ペニスをべろべろと舐め回したままで――

 「これなんてどう? 屈辱的でしょう。サーラの来るのが楽しみね……」

 「このッ、誰が……!」

 『沙亜羅』というフレーズが、快楽に溺れそうになる僕の脳を覚醒させる。

 僕は歯を食いしばり、快感に抗った。

 

 「あら、ガマンしちゃって…… いいわ。段々気持ちよくしていってあげる。どこまで耐えられる……?」

 「うう…… ぐぅッ!!」

 触手がざわざわと蠢き、ペニス全体をじっくりと嫐り回す。

 亀頭がぎゅるぎゅると締め上げられ、舌が尿道部を這い回った。

 ざわざわ、ぎゅるぎゅるぎゅる……

 

 「ぐ……! あああああぁぁぁぁッ!」

 「ふふっ、いい声が出せるじゃない。次は、ぬるぬるにしてあげる……」

 じゅく、じゅくじゅくじゅく……

 アレクサンドラの脚部の触手から粘液がじっとりと染み出し、潤滑液となる。

 驚くべき淫らさで、触手は僕のペニスを這い回った。

 しゅるしゅる、じゅるじゅる……

 

 「次は、みっちりと締め上げてあげるわ……」

 ぎゅる、しゅるしゅるしゅる……

 今までバラバラに僕のペニスを嫐っていた触手が、一斉に巻き付き始めた。

 螺旋状に巻き付いた触手は、まるで僕の股間から生えている樹木のようになる。

 その樹木は、アレクサンドラの太腿に繋がっていた。

 「うぁぁぁぁ……! き、気持ちいい……!」

 たちまちにして、僕は快楽の喘ぎを漏らす。

 内部が狭まって僕のペニスを締め付けながら、嫐るように吸い回してきたのだ。

 「い、いい……ッ! ああ、ああぁぁぁぁ!!」

 「ふふっ、もうダメみたいね…… 三回目、頂くわ」

 にやりと笑うアレクサンドラ。

 トドメを刺すように彼女の内部がきゅっと締まり、僕は精液をドクドクと吐き出した。

 「うぁぁぁッ! あああぁぁぁぁッ!!」

 「ふふふ、サーラが可哀想ねぇ。あの子のものになるはずだった愛しい人のおちんちん、こんな風に弄ばれて……」

 「う、うぅぅ……」

 触手で射精直後のペニスをいたぶられながら、僕は呻く。

 沙亜羅――!

 

 「ふふ、あはははははッ……! サーラの持ちモノ、奪っちゃったわ……! あはははは……!」

 「……誰が、あんたのモノになったって――!?」

 僕は、彼女に足蹴にされた体勢のままでガトリングガンを構えた。

 「……ッ!!」

 アレクサンドラの表情が変わる。

 同時にガトリングガンが轟き、彼女の上半身に弾丸の雨を浴びせた――

 

 ――いや、ダメだ。

 天井から染み出してきた粘液が盾のように広がり、弾丸を全て受け止めている。

 しかしその一瞬の隙に、僕は彼女の足を振り払って距離を置いた。

 

 「やるじゃない……スッキリして冷静になった直後に反撃してくるなんて」

 粘液の盾で防いだ弾丸が、バラバラと床に落ちる。

 「気に入ったわ、深山優。H-ウィルスを感染させて、私の忠実な親衛隊にしてあげる。いや――」

 距離を取る僕を見据え、アレクサンドラはにやりと笑った。

 「私の交配相手にしてあげるわ。貴方の優秀な遺伝子なら問題ない――私を孕ませなさい」

 「ふざけるな――!!」

 すかさずガトリングガンを構えようとする僕。

 その瞬間、アレクサンドラは右腕をしゅるしゅると伸ばした。

 先ほどの足のように、その腕は空中でほどけて数本の触手と化す。

 

 「ちッ……!」

 ガトリングガンで迎撃しようとしたが、反応が間に合わない。

 腕の触手はそのまま僕に襲い掛かり、またしてもペニスに巻き付いた。

 「おちんちんを持っている生物が、搾精の女王に勝てるとでも……?

  ちょっと可愛がってあげただけで、たちまち抵抗できなくなるのに……ふふっ」

 

 じゅぷ、じゅぷじゅぷじゅぷ……

 触手のうちの一本が口を開け、僕のペニスを一気に呑み込んだ。

 その内部で、僕のペニスはぐちゅぐちゅと搾り立てられる。

 「うあッ…… うああぁぁぁぁぁッ……!」

 カリや亀頭に粘りついてくる感触に、僕は瞬殺された。

 たちまち触手の中で精液が迸り、アレクサンドラに吸い上げられていく。

 ガトリングガンが僕の手から離れ、床に転がった。

 

 「ふふっ。私が少し本気を出しただけで、たちまち貴方は射精するのよ――」

 「あああぁぁぁ……! や、やめろ……!」

 しゅる…… しゅるしゅるしゅる……

 触手は僕の下腹全体に絡み、まるでパンツを履いているかのように完全に股間周辺を包み込んでしまう。

 その内部でペニスは触手に飲み込まれ、さらに無数の触手が玉袋やアナルまでを嫐り立てていた。

 「これで、離れられないでしょう。もう快感地獄から逃げられないわよ……」

 「う、あああぁぁぁ……!」

 ずるずると僕はアレクサンドラに引き寄せられ、彼女の足元で無様に転がる。

 さっきは足で犯され、今度は腕から伸びた触手に蹂躙され――

 

 「本当の搾精ってのを、教えてあげるわ――」

 ずちゅちゅちゅちゅ……!

 僕のペニスを飲み込んでいる触手がぐにぐにと収縮し始めた。

 その肉の蠢きに巻き込まれ、ペニスがもみくちゃにされる。

 亀頭が揉みしだかれ、そしてペニス全体が吸い上げられる――

 「は……! ああ……! うぁ、あああぁぁぁぁぁッ!!」

 余りの快感に、僕は彼女の足元を転げ回る。

 「く、あああぁぁぁぁッ……! あああぁぁぁッ!!」

 どくん、どく、どく……

 なすすべもなく、僕はアレクサンドラに精液を捧げた。

 いともたやすく、彼女に精を搾り取られて――

 

 「まだまだ許してあげないわ。貴方は、搾精の途中に逃げ出そうとしたのだから――」

 「うおぁぁぁぁぁぁッ! ああぁぁぁぁぁッ!!」

 射精中であろうが構わず、アレクサンドラはペニスに蠕動と吸引の刺激を与えてくる。

 快感の波は連続してやってきて、僕はめちゃくちゃに射精していた。

 一回の射精、という境界までが曖昧。

 ペニスはひたすら脈動し、ドクドクドクドクと精液を吐き出し続けていく。

 連続して襲ってくる絶頂に、僕は気も狂わんばかりに転げ回った。

 

 「ふふ…… やっぱり、貴方は私のものよ。サーラにこんな事が出来て?」

 アレクサンドラの足元で、快感に悶えてのたうち回る僕――そんな醜態を見下ろし、彼女は満足そうに笑った。

 「激しいのの次は、穏やかにイかせてあげるわ……」

 しゅるしゅると股間の拘束が解かれ、僕はようやく快感から解放される――

 が、反撃できる気力が無い。腕が震えて、全く力が出ない。

 それを分かっていて、アレクサンドラは拘束を解いたのだ。

 

 「言ったわよね。貴方達の動向を、クリーチャーの目から見ていたって……」

 優しく言いながら、アレクサンドラは倒れ伏す僕を覗き込むように屈みこんできた。

 そして右手を僕の肩に、左手を僕の太腿にすくい上げるように回す。

 一般的に言うところの、お姫様抱っこの体勢。

 そのまま、アレクサンドラは横たわる僕の体を持ち上げた。

 

 「は、離せ……!」

 彼女に抱え上げられ抗おうとしたものの、体が動かない。

 僕はまるで赤子のように抱えられ、彼女の豊満な胸が右肩に当たる。

 そして僕の顔を覗き込んできたアレクサンドラは、優しく微笑んだ。

 「だから、貴方がどんな風に女性型クリーチャーに犯されたかも知っているわ。

  貴方、女の子の唾液が好きなんでしょう……? キスされたり、体に塗り付けられたりするのが……」

 「う、うぁ……」

 肯定も否定もせず、僕はただアレクサンドラの顔を見上げた。

 彼女は少し口を閉じ、にやりと微笑む。

 「ふふ…… 私の口の中、唾液だらけよ。これをどうして欲しい? このままキスしてほしい? それとも――」

 そう言って、彼女は僕の股間に視線をやった。

 ペニスはこれ以上ないほど屹立し、ぴくぴくと震えている。

 「ふふ、こっちに欲しいみたいね……」

 そのままアレクサンドラは、僕の股間に顔を寄せ――

 「う、うぁぁぁぁ……!」

 

 じゅぶっ……

 アレクサンドラは、唾液でどろどろの口内で僕のペニスを咥え込んだ。

 たちまち舌が絡み付いてきて、ペニスのあちこちを刺激する。

 「う、うあぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 「ふふ……」

 アレクサンドラは眼を細めながら、顔を上下させてきた。

 ペニスは舌でゆっくりと舐め回され、唾液が粘りながら絡み付いてくる。

 じゅぷじゅぷと上下する口内に翻弄され、内頬に亀頭を刺激され――

 それはさっき彼女が言った通り、穏やかな快感だった。

 

 「このまま啜り取ってあげる……」

 そう言って、アレクサンドラはちゅぅぅぅぅ……と吸い上げてきた。

 「ああ…… 気持ちいいよぉ…… おああぁぁぁぁッ!!」

 腰を突き出し、僕は彼女の口内にドクドクと射精する。

 彼女はちゅばちゅばとペニスを断続的に吸い上げ、精液が尿道内に残ることも許さない。

 こうして僕は、残らず精液を吸い上げられてしまった。

 

 僕はただ快感に喘ぎ、そして完全に屈服した獲物に愉悦を覚えるアレクサンドラ。

 彼女の気が緩み、かつここまで接近している今が最後のチャンス――

 ――僕は、ショットガンの銃口をアレクサンドラの腹に押し当てた。

 

 「……ッ!!」

 たちまちにして、アレクサンドラの表情が歪む。

 この距離なら、あの粘液の盾による防御も不可能――

 

 ショットガンが火を噴き、アレクサンドラの腹が千切れ飛んだ。

 彼女は上半身と下半身に分断され、血を噴き出しながら床に転がる。

 やったか――!?

 

 「くッ…… まさか、まだ心が折れていなかったなんて……!」

 アレクサンドラの上半身が、腕だけでゆっくりと起き上がった。

 その腹からは、だらだらと内臓がこぼれ出ている。

 ダメだ、まだ生きている。トドメを――

 

 アレクサンドラの上半身から、ぼたぼたと垂れる内臓――いや、あれはダメージによるものか?

 同時に、あちこちの床からじゅくじゅくと肉汁が侵食してきている。

 まさか、これは――

 僕が吹き飛ばした下半身は、便宜的に供えた仮の脚部では――?

 

 「ふふふ…… ちょうどいいわ。搾精の女王の真の姿を見せてあげる。

  この姿を見た者は今までにいないし、この姿の私に搾られた者もいない――全部、貴方が始めてよ」

 裂けた腹からごぽごぽと肉を垂れ流しながら、アレクサンドラは妖艶に笑った。

 その腹部から垂れた肉は彼女の容積より明らかに多く、周囲の床をだんだんと飲み込んでいく。

 アレクサンドラの肉が、部屋中に満たされ始めているのだ。

 

 そして彼女の上半身からは美しい蝶の羽が突き出た。

 腹の切断面からは、昆虫に特有の膨らんだ下腹が覗く。

 周囲を満たす無限の肉と人間の上半身。その腹部と羽根は、魔蝶を彷彿とさせる。

 ――これが、搾精の女王アレクサンドラ。

 

 「さて…… ここまでになった私を、どうやって倒すのかしら?」

 集中処置室に肉の山を築き、アレクサンドラは笑みを見せる。

 彼女は壮絶なまでに美しかった。

 瞳を合わせているだけで、魅了されそうになる――

 

 部屋中に広がった肉は、僕の膝の高さくらいまでになっていた。

 そして前方では、肉の山にもたれた彼女の上半身が誘うように笑みを見せている。

 「じゃあ、そろそろフィナーレといきましょうか。貴方が私に屈服した証――私との交尾を」

 「ふざけるなァッ!!」

 僕はショットガンを構え、アレクサンドラの顔面に向けて何度も発射した。

 自分が、立っているだけでやっとなのも忘れて――

 5発の散弾を浴びせたところで、僕は射撃の反動にすら耐えられずショットガンを落としてしまった。

 しかも、直撃を受けたはずのアレクサンドラにダメージは全く無い。

 顔面に何発もの散弾を受けたにもかかわらず、形すら崩れずに涼やかな笑みを浮かべている。

 

 「くそ……ッ!」

 やはり、どこかにあるコアを潰さなければならないのだ。

 だが、残された武器は懐のマグナムが一挺のみ。

 さらに僕の体力はもう限界、ハーブも無い。これ以上、戦う気力も無い……

 

 「ふふっ…… もう、貴方が生き残る道は一つだけ。

  その一つとは、永遠に私に可愛がられる事なのよ……? 抗う理由など、どこにもないでしょう……」

 「あ、ああ……」

 淫らに笑うアレクサンドラ、彼女の瞳に屈服してしまいそうになる。

 彼女のものになると認めた瞬間、アレクサンドラは嬉々として僕の精液を搾り取ってくれるだろう。

 

 「ふふ。己の願望に素直になりなさい……」

 アレクサンドラの上半身は肉壁の山と同化し、こちらへずずず……とにじり寄ってくる。

 そして、僕の眼前までアレクサンドラは迫ってきた。

 その腹から、ずるずると一見して淫らな器官が姿を現す。

 こちらに口を開けた壷のような器官――その用途は明白である。

 その肉壷の内壁にはびっしりとヒダや突起が覆い、触手のような器官がうねうねと蠢いていた。

 ねっとりとした粘液がどぷどぷとこぼれ、挿入を待ちわびるように肉壁自体がやわやわと収縮している。

 

 「では、その卵管におちんちんを挿入しなさい。男に生まれた事を泣いて感謝するくらい、いい気持ちにさせてあげるから――」

 「あ、ああぁぁ……!」

 あの中に、僕のペニスを――!?

 

 ――入れてみたい。

 搾精の女王が誇る、最高の生殖器官。

 あの淫らな器官で、ペニスを搾り尽くして欲しい。

 最高の快感を味わいながら、彼女の中に精を注ぎ込みたい。

 あの中に、あの中に――

 

 

 「……ちょっと、大丈夫!?」

 その瞬間、聞き慣れた声の主が最終処置室に飛び込んで来た。

 ――沙亜羅!

 

 状況も分からず室内に飛び込んできた沙亜羅は、部屋中に広がっているアレクサンドラの肉を見回して表情を歪めた。

 「ね、姉さん……!? それに優、一体何をしようと――」

 沙亜羅は硬直した表情で、一歩背後に退く。

 アレクサンドラの腰の部分に開いた、とてつもなく淫らな肉壷。

 ペニスを怒張させ、呆然としながらその前に立つ僕。

 何をしようとしていたかなんて明白――にもかかわらず、沙亜羅は状況の理解に時間を要した。

 

 「ふふ…… いいタイミングで来たわね、サーラ」

 アレクサンドラは、今にも泣きそうな表情で立ち竦む沙亜羅に笑いかけた。

 「今から、貴女の大好きな人が私に精液を注ぎ込むの」

 「そんな…… ちょっと、嘘でしょ! 優!?」

 沙亜羅は僕に視線をやった。

 そして僕は、彼女の視線に応えられない。ただ、目の前の淫らな肉壷を眺めている。

 「これは、単なる搾精じゃないわ。生殖行為――貴女の大好きな人の子供を、私が孕むの」

 「そんな事、させるもんか……!」

 素早くショットガンを構える沙亜羅。

 すかさずアレクサンドラの肉から触手が伸び、彼女の両腕を拘束する。

 ショットガンは床に落ち、アレクサンドラの肉に飲み込まれた。

 「この……! 離せ……!」

 両腕を拘束されつつも、沙亜羅はもがいた。

 しかし、そのまま肉にのしかかられて押さえ込まれる。

 

 「ふふ、貴女はそこで見ていなさい」

 完全に自由を奪われた沙亜羅から、僕に視線を戻すアレクサンドラ。

 「さぁ、続きをしましょう。この卵管の中に、おちんちんを入れなさい」

 「だめぇ! やめてよ、優! やめてぇ……」

 沙亜羅の声が聞こえる。

 「ふふ……サーラも、よっぽど貴方とセックスしたかったようね。

  それを姉の私が横から奪ってしまうなんて、素敵―― 覚悟しなさい、かなり激しい交尾になりそうよ……」

 「やめてぇ…… やめてよぉ…… こんなの嫌だよぉ、優……」

 沙亜羅はもがきながら啜り泣く。

 「お願いだから、そんな姉さん殺しちゃってよぉ……」

 

 ――無理なんだよ、沙亜羅。

 たとえこの至近距離からマグナムを撃ったところで、アレクサンドラには通じないんだ。

 コアを破壊しないと駄目なんだ――

 

 「さあ…… そのまま、私の卵管におちんちんを入れなさい。

  たっぷり締め付けて、たっぷり嫐り上げて、たっぷり弄んで、たっぷり可愛がって、たっぷり愛して、たっぷり搾り取ってあげる――」

 「あ、ああぁぁぁ……」

 僕は、淫らに誘う肉壷を凝視した。

 

 うにゅうにゅと挿入口を蠢かせている卵管。

 入口のところに、無数の触手が見える。

 挿入の際にはあれが絡み付いてきて、一挙に中へ引き込まれるのだ。

 その後は――

 僕は、卵管の内部を呆然と眺める。

 ぬるぬるの粘液に、一枚一枚がざわざわと蠢いているヒダ。

 うにうにと収縮している奇妙な突起に、じゅるじゅると蠢く触手。

 あの全てがペニスにまとわり付き、徹底的に嫐り尽くされるのだ。

 

 「嫌だぁ……! 優、そんなの駄目ぇぇぇッ!!」

 沙亜羅が泣き叫ぶ声すら、遠くから聞こえる。

 あそこにペニスを入れるだけで、天国へ連れて行って貰えるのだ。

 搾精の女王に、全身全霊で愛して貰える――

 アレクサンドラに可愛がられながら、精液を吸い尽くして貰える――

 

 そして、僕は――

 

 アレクサンドラに身も心も委ね、搾り取ってもらう。

 アレクサンドラを拒絶する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――沙亜羅!

 僕の頭の中に、沙亜羅の姿が浮かんだ。

 快楽に溺れていた脳が覚醒していく。

 戦闘の意思を取り戻す。

 

 「あら、どうしたの? 無限の快感を味わいたくないの……?」

 アレクサンドラは、微かに表情を乱す。

 「分かったわ……なら、犯してあげる」

 

 「え……!?」

 その瞬間――アレクサンドラの卵管から触手が伸びて、僕のペニスの根元に絡んだ。

 そのまま、一気に引き寄せてくる。

 僕の怒張したペニスが、彼女の肉壷へ――

 

 「い、いやぁぁぁぁぁぁッ……!!」

 まるで彼女自身が犯されるかのように、沙亜羅は絶叫した。

 

 ――じゅぷ、じゅぷじゅぷじゅぷ。

 

 僕のペニスは、一気にアレクサンドラの生殖器に飲み込まれた。

 そして、壮絶で残酷なまでの搾精が始まる。

 

 「あ……! うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 ヒダがペニスを包み込み、一斉に擦りついてきた。

 何百枚もの細かなヒダが、先端から根元に至るまでを嫐り回す。

 特にカリをにゅるりにゅるりと執拗に刺激され、たちまち僕は限界を迎えた。

 「うぁぁぁぁぁぁぁッ! こ、こんな……! ああああああぁぁぁッ!!」

 ビクビクと腰を震わせ、僕は彼女の中に精液を撒き散らす。

 射精中のペニスにもヒダはまとわり付き、僕は地獄の快感に包まれながら一回分の精液を搾り取られた。

 

 「ふふ…… 貰っちゃったわよ、サーラ」

 アレクサンドラは、にっこりと笑った。

 「……ぁ、ぁぁ……」

 沙亜羅は放心し、肩をガクガクと震わせている。

 

 「どう、私の中は気持ちいい?」

 アレクサンドラは、ペニスを肉壷に咥え込まれたまま狂ったように体をよじる僕に話し掛けてきた。

 「がぁぁぁぁぁぁッ!! おああああぁぁぁぁぁッ!!」

 外面的には、アレクサンドラの卵管は全く動いていない。

 しかしその内部では、壮絶なまでの責めが行われていた。

 ヒダでひたすらに擦り立てられる地獄が――

 

 「え……!? ああぁぁ…… 中の感触がぁぁぁぁぁぁッ!!」

 不意に、ヒダでの刺激が止んだ。

 そして息をつく間もなく、粘度の非常に高い粘液がペニスを押し包んでくる。

 「射精するたびに、中の感触を変えてあげるわ。貴方はただ私に犯され抜かれ、精液を搾り尽くされるのよ――」

 一度、彼女を拒否したからだろうか。

 アレクサンドラの目には、サディスティックな色が渦巻いている。

 

 にゅぐにゅぐにゅぐ……

 非常に濃い粘液は僕のペニスに粘りつき、ぐにゅぐにゅと揉み立ててきた。

 その刺激で、僕はまたもや達してしまう。

 「う、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!! で、出るぅぅぅ……! ああぁぁぁぁぁぁッ!!」

 どくん、どく、どくどく……

 腰ばかりか、全身がガクガクと震える。

 粘液に絡みつかれたまま搾り出され、僕は暴力的な快感を味わう。

 

 「次は、絡み付いてあげる……」

 「おぁぁぁぁぁぁッ!! やめ……、もう……! ぐぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 卵管の中で触手がしゅるしゅると絡み、一気に扱き立ててきた。

 全体で締め付けられながら、カリを嫐り回される。

 「やめてぇぇ……! 姉さん……、もうやめてぇぇ……!」

 頭を左右に振り、沙亜羅は泣き喚いた。

 「ふふふ、大好きな人が目の前で犯される……たまらないでしょう」

 「うぁぁぁぁッ! ああああぁぁぁぁぁッ!!」

 どくん、どくどくどく……

 沙亜羅の声を聞きながら、僕は快楽に屈した。

 触手にみっちりと絡み付かれ、無様に精液を撒き散らす。

 

 「まだまだ…… 次は、これで責めてあげる」

 「も、もう離して…… ああああぁぁぁぁぁぁッ!!」

 ひくひくと蠢く突起が、ペニスのあちこちに押し当てられた。

 「尿道口、裏筋、亀頭、カリ首…… どう? 気持ちいいところばかりでしょう」

 アレクサンドラの告げた箇所に突起が押し当てられ、独特の刺激を送り込まれる。

 「ふふ……じゃあ、震えるわよ」

 「え……!? あああぁぁぁぁぁぁぁッ!! があぁぁぁぁぁぁッ!!」

 ぶる、ぶるぶるぶるぶるぶる……

 ペニスに点在する敏感な部分に密着した突起が、ぶるぶると小刻みに震えてくる。

 その甘美なバイブレーションに、僕は一瞬で屈した。

 「あああぁぁぁぁぁッ! うぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 アレクサンドラの肉壷から、ペニスを抜こうともがく。

 そんな状態のまま、強引に精液を搾り出されたのだ。

 

 「次は…… 中をうねらせてあげる」

 ぐにぃ…… ぐにぐにぃ……

 ペニスを咥え込んでいる肉穴が、縦横無尽にうねり始めた。

 その蠕動が、ペニスに容赦なく伝わる。

 甘美なうねりに巻き込まれ、僕はたちまち白濁を漏らした。

 

 「ふふ…… たまらないでしょう。気が狂ってしまいそうでしょう」

 アレクサンドラは、体をよじりながらもがく僕を見て目を細める。

 なんとか肉壷からペニスを抜こうとするが、すぐに甘美な刺激に酔って射精させられてしまう。

 そして、延々と男性器を犯し尽くす――

 

 「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 僕は唾液を飛ばして泣き叫びながら、アレクサンドラの中に精液を撒き散らした。

 残酷なまでに壮絶で、ひたすら強引に射精を強いるという搾精。

 強制的に快楽を与え、発狂ギリギリの刺激で精液を搾り取っていく。

 これが、アレクサンドラとの交尾――

 

 「ふふ…… 見なさい、サーラ」

 アレクサンドラは、ひっくひっくと泣きじゃくるサーラに視線をやった。

 「彼は、もう貴女の事なんて考えてもいないわ。もう、私におちんちん気持ちよくしてもらう事しか考えられないの」

 「やだよぉ…… 優…… やだぁ……」

 沙亜羅は狂乱する僕を見て、子供のように泣き続ける。

 「ああぁぁぁぁ……! いいよぉ……! うわぁぁぁぁぁぁッ!!」

 泣き叫びながら、アレクサンドラの肉壷に精液を注ぎ込み続ける僕。

 そんな無様な姿を凝視しながら、沙亜羅は泣き続けた。

 

 

 「うぁぁぁぁぁぁぁッ!! はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……ッ!!」

 どくん、どくん、どくん……

 もう、何度射精したか分からない。

 これ以上続けられたら発狂してしまう――そんな、ギリギリの境界線。

 

 「ふふ、たっぷり頂いたわ……じゃあ、余興を始めましょう」

 ようやく、ちゅぽん……と、卵管から僕のペニスが離れた。

 粘液でねとねとのペニスと肉壷の間に、淫らな糸が引く。

 徐々に、僕には理性が戻ってきた。

 

 同時に、部屋全体――いや、研究所全体が振動する。

 部屋を満たしていたアレクサンドラの肉が膨らみ始め、空間を圧迫してきた。

 僕の膝まであった彼女の肉は、腰の高さまで――いや、胸の高さまで押し上がってきている。

 このままじゃ、完全にアレクサンドラの肉に呑み込まれてしまう――

 

 「……」

 涙を流しながら放心していた沙亜羅も、アレクサンドラの肉に呑み込まれていった。

 そして、僕も――

 彼女の温かい肉が、濁流のように僕を飲み込む。

 そして僕の意識は、甘い闇に落ちていった――

 

 

 

 

 

 「う、うう……」

 気付いた時、僕は肉の洞窟に倒れていた。

 約3m四方の、非常に狭い空間だ。

 ケガも苦痛も一切ない。

 上半身を包む服さえそのまま――

 

 そして目の前には、服を着たままの沙亜羅が座り込んでいた。

 彼女は濁った目で、何かをぶつぶつと呟いている。

 まるで、壊れてしまったかのように――

 

 もう、僕には起き上がる気力すら無い。

 これから、何が起きるのかも分からない。

 仰向けに倒れたまま、僕は沙亜羅をぼんやりと眺めていた。

 

 「ふふ…… どうだった、サーラ?」

 不意に、肉壁にアレクサンドラの姿が浮かび上がる。

 「ひどい…… ひどいよ、姉さん……」

 沙亜羅は、まるで幼児に退行してしまったかのように泣きじゃくった。

 壊れかけの妹に手を伸ばし、アレクサンドラは沙亜羅の頭を優しく撫でる。

 「ごめんね、サーラ。次は、貴女にもあげるから――」

 そう言ったアレクサンドラは、僕の方を向いて口の端を歪ませた。

 「――サーラ、彼を犯してあげなさい」

 

 「な……」

 僕は激昂しようとしたが、もう体が動かない。

 消耗が激しすぎて、何もできない。

 アレクサンドラは、沙亜羅に優しく囁きかけた。

 「ふふ……男ってのは単純なの。気持ちよくしてあげたら、たちまち心変わりするわよ。

  彼を狂わせるぐらいに犯してあげたら、貴女に心が戻るかもね――」

 「……」

 沙亜羅は、無言で立ち上がった。

 そして、濁った目で僕を見下ろす。

 その凍て付いた目に、僕は寒気を覚えた。

 

 「犯してあげるわ――」

 ぞっとするような声で、沙亜羅は言った。

 彼女はスカートの下に手をやり、そのまま下着を脱ぐ。

 

 「やめろ…… 沙亜羅……」

 「どうして……!? 姉さんとの方がいいの!?」

 ヒステリックに叫ぶと、沙亜羅は横たわる僕にのしかかって来た。

 僕の腰をまたぎ、手を添えてペニスの角度を調節しながら――そのまま、腰を下ろしてくる。

 

 「沙亜羅、やめるんだ……!」

 「私のおまんこで、おちんちん犯してあげるわ。泣いても喚いても、許してあげないんだから――ッ!」

 そして沙亜羅は、一気に腰を落としてきた。

 

 ――ぬぷ、ぬぷぷぷぷ……

 アレクサンドラの粘液でぬめっていたペニスは、あっさりと沙亜羅の膣に入っていく。

 「ああ…… 沙亜羅! 沙亜羅!」

 彼女の中はひたすら熱く、そして非常に狭い。

 「痛……ッ!」

 沙亜羅は表情を歪ませる。

 それとは対照的に、アレクサンドラは愉悦に満ちた笑顔を見せた。

 「ふふ……初めてだったのね。処女に逆レイプされるなんて――これでイったら、男の面子は丸潰れじゃなくて?」

 

 「イかせて…… あげるわよ…… 私の、中で――!」

 沙亜羅は目に涙を浮かべながら、腰を振り立ててくる。

 与えてくる快感の度合いなら、アレクサンドラとはまるで比較にならない。

 それでも、あの少女が僕の上で腰を振っているという事実だけで――!

 

 「ああ…… 沙亜羅……ッ!」

 僕は、快感の喘ぎを漏らした。

 「ふふ…… いい? 私の中、気持ちいい?」

 沙亜羅は痛みにこらえながらも僕を責め続け、嗜虐に満ちた表情を浮かべる。

 彼女の膣は攻撃的に僕を締め上げ、射精へと追い詰めていく。

 

 「ほらぁ…… もっと喘いでよぉ! もっと悶えてよぉ! 姉さんとの時は、こんなもんじゃなかったでしょ!」

 「ああ…… 沙亜羅……! 沙亜羅……!」

 「ほら、ほら、ほら、ほらぁッ! 気持ちいい? 気持ちいいよね!?」

 沙亜羅は残酷に僕を責め上げ、腰をゆさゆさと振り立ててくる。

 僕の上で踊る沙亜羅の体、それを見ているだけで限界が近付く――

 

 「ああ…… 気持ちいいよ、沙亜羅……」

 「いい……? 私に犯されて、気持ちいい……?」

 そう言いながら、彼女はゆっくりと僕の方に体を倒してくる。

 騎乗位のまま倒れ込んでくる沙亜羅を、僕はしっかりと抱き止めた。

 

 そのまま、沙亜羅は僕の唇を求める。

 まるで貪るように、僕の口に吸い付いてきた。

 そして、僕の口の中に強引に押し込んで――

 

 「ああ…… 沙亜羅、もう――!!」

 「イくの……!? いいよ、イって! 私の中でイって!!」

 そう叫びながら、滅茶苦茶に腰を振り立てる沙亜羅。

 「んッ…… 私も……! ああッ! ああぁぁ――ッ!!」

 「沙亜羅…… 沙亜羅――ッ!!」

 

 びく、びく、びくん……!

 どく、どくどくどく……

 彼女の体がブルブルと震え、膣内が生き物のようにうねった。

 その刺激に耐えられず、僕は沙亜羅の中に精液を注ぎ込む。

 腰を震わせ、沙亜羅の膣内にたっぷりと――

 最後の一滴まで精液を出し尽くし、僕のペニスが沙亜羅の膣から抜けた。

 

 「どう、サーラ? たっぷり搾り出してあげた?」

 アレクサンドラは、沙亜羅の膣からどろどろと溢れ出る精液を見て笑みを浮かべた。

 そして、淫らに絡み合う僕達にゆっくりと歩み寄る。

 「次は、こんな趣向で楽しみましょうか――」

 

 「――もう十分よ、姉さん」

 「そうだな、さすがに飽きたよ――」

 不用意にも接近してきたアレクサンドラに対し、僕と沙亜羅は同時に銃を突きつけた。

 僕のマグナムを彼女の額に、沙亜羅のサブマシンガンを彼女の胸に――

 「な……!?」

 突然に二つの銃口を押し当てられ、アレクサンドラの表情が強張る。

 

 「この時を待ってたよ。あんたが、コアだろ――?」

 僕は銃口をアレクサンドラの額に押し当てたまま、ゆっくりと立ち上がった。

 「銃を持たせたままなんて、余りに無防備だったな。身体チェックは最初にするもんだよ、女王様」

 いくら搾精の女王だろうが、戦いは素人だ。拘束の基本すら知らないのだから――

 

 「な……! 貴方、衰弱しきっていたはずじゃ……」

 「ハーブさ。あれさえ食べれば全回復だ」

 「そんなもの、いつの間に――!」

 その瞬間、アレクサンドラは思い出したのだろう。

 僕と沙亜羅が交わった際、濃厚な口付けを交わしたのを。

 いや、濃厚なキスに見せかけ、沙亜羅が僕の口の中にハーブを押し込んだのを――

 

 「サーラ……! 貴女、最初からそのつもりで……!」

 アレクサンドラは、血相を変えて沙亜羅を睨む。

 「あら…… 性悪なのは家系なんじゃなくて? 姉さん?」

 今までの仕打ちに対する意趣返しのように、にっこりと笑う沙亜羅。

 僕は、そんな彼女に視線をやった。

 「――いいんだな、沙亜羅?」

 「構わないわ、殺して――!」

 

 僕と沙亜羅の銃が、同時に火を噴いた。

 急所2箇所に銃撃を受けたアレクサンドラの体は、血を撒き散らしながら崩れ落ちる。

 「本当に――散々、やってくれたわね……!」

 横たわるアレクサンドラに、沙亜羅がフルオートでの銃撃を叩き込んだ。

 沙亜羅は、本当に心の底から怒っていたのだ。

 アレクサンドラは数十発の弾丸を叩き込まれて絶命し、たちまち塵へと還っていった。

 

 「終わったな……」

 「うん、終わったね……」

 そう言って頷き合う僕と沙亜羅。

 同時に、周囲を囲んでいた肉壁もぐずぐずと消滅し始めた。

 肥大化したアレクサンドラの肉体に飲み込まれていた研究所が、元の姿を取り戻す――

 僕と沙亜羅は、がらんとした集中処置室に立っていた。

 これで、全てが――

 

 

 『自爆装置が作動しました。所員の皆さんは、2分以内に脱出を――』

 

 息をつく間もなく、そんなアナウンスが流れ始めた。

 「ちょ、何よこれ……!?」

 「アレクサンドラの最期の嫌がらせだ……! 逃げるぞ!」

 僕は、呆然と立ち尽くす沙亜羅の手を取った。

 「2分で、どうやって……!? 間に合わないよ……!」

 「屋上だ! 屋上に、ヘリポートがあるんだ!」

 「ヘリって、誰が操縦……!」

 「いいから、行くぞッ!」

 そのまま沙亜羅の手を引き、処置室から駆け出す僕。

 エレベーターよりも、非常階段の方が早い。

 僕達は廊下を駆け抜け、階段を上がる――

 そして階段の踊り場で、大仰な兵器を見つけた。

 

 ――FIM92『スティンガー』。

 携帯式の地対空ミサイル――いわゆる、ロケットランチャーだ。

 

 「ちょっと……! なんで階段のド真ん中にこんなもんが落ちてるの?」

 「お約束の武器だけど…… いくらなんでも出るのが遅いだろう!」

 僕と沙亜羅は同時にツッコんだ。

 

 『自爆装置が作動しました。あと1分15秒で――』

 「まずい、急ぐぞ……!」

 「う、うん……!」

 そう言いつつも、沙亜羅はきっちりロケットランチャーを回収した。

 僕達は階段を駆け上がり、そのまま屋上に出る。

 屋上のヘリポートには、1台のヘリコプターが停まっていた。

 

 「でも私、流石にヘリの操縦までは……!」

 「大丈夫、僕が出来る!」

 そう言いながら、僕は右操縦席に駆け込む。

 幸い、キーは刺さったまま。燃料もたっぷりある。これなら大丈夫だ。

 「沙亜羅、何してるんだ。早く乗ってくれ」

 「ヘリの操縦ができるって…… 貴方、一体……」

 そう呟きながら、沙亜羅は左操縦席に乗り込む。

 

 僕は素早くパネルを操作し、メインローターを作動させた。

 「よし、行くぞ!」

 ヘリは、ゆっくりと浮遊していく。

 そして、みるみる高度を上げていった。

 脱出、成功――

 

 「ふぅ…… これで大丈夫か」

 地上からかなりの高度を保持し、僕はため息をつく。

 「ほんと、なんとか助かったわね」

 同様に、沙亜羅はため息をついた。

 それと同時に、遥か眼下で大爆発が起こる。

 研究所は炎に包まれ、派手に煙が噴き上がった。

 

 「さて、これから――」

 僕がそう言い掛けた時、前方から何かが接近してきた。

 あれは、戦闘機――? いや、違う!

 

 「そんな……! あれ、F-15Eよ……! それも爆装してる……!」

 押し殺した声で告げる沙亜羅。

 目の前に現れたのは、大きな爆弾を抱えた米軍の戦闘攻撃機だった。

 こちらのヘリの存在には気付いているだろうが、攻撃も警告も仕掛けてこない。

 何か、他に目標があるみたいだ。

 「妙だな、こんな高度で――」

 そう呟き、僕は恐るべき結論に思い至った。

 

 B-61-11戦術核爆弾の搭載すら可能な戦闘攻撃機――

 そして爆装、明らかな投弾コース――

 眼下には、ウィルスが蔓延した町――

 これらの意味する行動は、たった一つ――!!

 

 「沙亜羅、頼む!!」

 「うん、分かってる!!」

 沙亜羅はヘリの窓を強引に開け、素早く体を乗り出した。

 そのままロケットランチャーを構え、F-15E目掛けて発射する。

 不自然な体勢で撃った反動で、ロケットランチャーは外に投げ出された。

 沙亜羅も反動を受け、自分の座席に叩きつけられる。

 

 発射された弾頭は煙を噴き出しながら飛翔し、F-15Eに直撃した。

 こんな至近距離から攻撃されれば、流石のF-15Eといえども回避しきれない。

 F-15Eはたちまち炎に包まれ、高度を落としていった。

 そして、そのまま視界から消えていく。

 

 火だるまとなって墜ちていったF-15E――

 ヘリ内で、僕と沙亜羅は安堵のため息をついた。

 

 「……米軍機を撃墜しちゃったな。沙亜羅、もう国には戻れないだろ?」

 「元々、無断で出てきただけでも処罰対象なんだけど。これで私もCIAのお尋ね者ね……」

 「そりゃそうだな。僕のところにも、君の逮捕命令が出てたし……ほら」

 僕は通信機を取り出し、そのディスプレイをひょいと沙亜羅に見せた。

 CIAのエージェントのみに配布されている、とあるメーカーの特殊なものを。

 そこには、サーラ・ハイゼンベルクの手配書が表示されている。

 「あ、貴方……! し、CIA……!」

 プルプルと肩を震わせる沙亜羅。

 「まあ、別に隠してたわけじゃないんだけどね。どちらにしろ、僕ももうワシントンには戻れないし――」

 「……」

 無言のまま、沙亜羅はおもむろに僕の股間へ右手を伸ばしてきた。

 そして、相変わらず露出したままのペニスをぎゅっと握る。

 

 「ちょっと、おい……!」

 「言ったわよね。変なコトしたら、手でイかせてあげるって……!」

 しゅっ、しゅっ、しゅっ……

 そう言うが早いか、沙亜羅は僕のペニスを握ったまま手を上下させてくる。

 かなり乱雑で下手なのに…… 沙亜羅の手でされてるってだけで……!

 

 「うぁッ! おい、よりにもよってヘリの操縦中に……!」

 「じゃあ、さっさとイっちゃえば?」

 意地悪にそう言った後、沙亜羅は徹底的に僕を追い詰めていく。

 「なんか、牛の乳搾りみたい…… ふふ、だから搾るっていうのか……」

 「は……ぁ! うぁぁ……!!」

 親指と人差し指の輪でカリを往復され、僕は先走り液をこぼした。

 「ヌルヌルが出てきた……これも、使っちゃうね」

 沙亜羅は指の腹で先走り液を亀頭全体に塗り広げ、潤滑油にする。

 にゅちゅ、にゅちゅ、にゅちゅ……

 

 「あ……! 沙亜羅……!」

 「大体、優の感じるとこ分かってきちゃった……」

 なんか沙亜羅、段々上手になってきている。

 刺激に対する僕の反応を見ながら、弱点を的確に掴んでいるのだ。

 彼女の手に扱き上げられ、たちまち僕は限界を迎えそうになる。

 僕の射精が近い事を察知し、少女は僕の耳元にそっと口を寄せてきた。

 

 「好きだよ、優――」

 「……ッ!」

 その囁きが、スイッチになった。

 もう、この少女に身を委ねてしまおう。

 全て、沙亜羅のされるがままに――

 

 「あああぁぁぁ……! 沙亜羅……!」

 どくん、どくどくどく……

 彼女の手の中で、僕は果ててしまった。

 ついでに、なんとかヘリの操縦も誤らなかった。

 

 「ふふ…… ねぇ、気持ちよかった?」

 そう言って、沙亜羅は白濁で汚れた手をペロペロと舐める。

 「優…… これからもイかせてあげるから、一緒に逃げよ♪」

 沙亜羅は、必殺の笑みを見せた。

 これに逆らえる者など、この世にいない。

 

 「そうだな…… ついでに、他にH-ウィルスを研究してる施設も全部ブッ壊してやるか」

 「――そんなモノ、この世に残すべきじゃない。全部叩き潰してやるわ」

 僕の言葉に、沙亜羅はエージェントの眼に戻って同意した。

 

 兵器というのは戦争の道具であり、戦争とはあくまで人間同士が行うもの。

 その意味では、H-ウィルスはもはや生物『兵器』ですらない。

 沙亜羅の父親が生み出した悪魔のウィルスは、この世から根絶しなければならない――

 まあ、今の僕達は身柄を隠すことの方が先決だが。

 

 

 ――僕と沙亜羅は、こうして楽裏市からの脱出に成功した。

 これから、どうなるかは分からない。

 世界を駆け巡りながら、H-ウィルスの研究所を潰して回るのかもしれない。

 沙亜羅と背中を合わせ、クリーチャーと戦い続けていくのかもしれない。

 それとも、どこかでひっそりと隠れ住むのかもしれない。

 

 ただ――僕の隣には常に沙亜羅がいる。

 常に、この少女がいる。

 それだけで、僕はどんな苦難も乗り越えられそうな気がした。

 

 

 −THE END−

 

 

 


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