そんな状況にも怯まず、ずかずかと肩で風を切って森林を進むあなた。
森の中を突き進んでいると、どこかから甘い匂いが漂ってきた。
とても甘くかぐわしい、食欲を呼び覚ますような香り――
あなたは、その匂いのする方向へと足を進めていた。
草を跨ぎ、木々の隙間を抜け――辿り着いたのは、開けた広場。
うっそうと生い茂った森に中に光が差し、その真ん中にはテーブルのような切り株がある。
それには木製の椅子も据え付けてあり、森の一角に作られた露天席といったところか。
あたりに人影は見えず、誰がそんなものを用意したのかも分らない。
そしてテーブルの上には、料理のようなものが並んでいた。
ヤシの身をくり抜いたようなお椀に、美味しそうなスープが充満しているのだ。
この甘くかぐわしい臭いも、切り株のテーブルに並ぶ料理からのようだ。
これがもしかして、この店で出される料理なのだろうか。