鎧型淫魔兵器 鋼ノ一




その廃ビルは昼間だというのに異様に薄暗かった。

自然と壁紙が剥がれむき出しになった壁や、床で粉々になった照明器具が人の手を離れてからの年月を物語っていた。

「・・・いる?」

私が辺りの様子を窺っていると、声変わりを過ぎたぐらいの少年の声がそう問いかけた。

『少なくとも、ここにはいません』

音や空気の流れに気を配りながら、私はそう応える。

同時に彼の全身に満ちていた緊張が解け、ある程度脱力するのが分かった。

『とりあえず、本隊の人たちも向かっていますから、合流するまで待機しましょうか?』

「駄目。また本隊の連中に手柄を取られるよ」

戦闘は避けたい、という私の思いを酌むことなく、彼はそう嗜めるように言った。

「それに負傷しているから、上手く交渉すれば投降してくれるかもしれないし・・・」

『・・・投降するでしょうか?』

「さあ、わかんない」

『・・・』

パートナーの言葉に、私は内心溜息をついた。

この人はいつもこうだ。

今回に限らず任務中の判断は全て彼のものが優先されるため、私が何を言ったところで彼を止めることは出来ない。

しかしそれでも、私としては彼に危険な目にあって欲しくないのだ。

「とりあえず進もうか、鋼」

『・・・はい、康成さん』

彼の言葉に応え、私は足を踏み出した。

私の身体を包む鋼の鎧が、がちゃりと音を立てた。













かつて、『大図書館』と淫魔界が極度の臨戦状態にあった頃、旧『バビロン帝国』で一つの計画が立ち上げられた。

その名は『淫魔兵器生産計画』。

人間の魔術師のパートナーとなり、魔術師の戦力を高める器物淫魔の人工量産が計画の目的だった。

しかし数十年に及ぶ研究で得られたのは、三体の試作品だけであった。

計画は淫魔生産の手間とコストの高さにより中止に追い込まれ、生産された三体の試作品もそれぞれ別の組織により管理されることとなった。

一つは『バビロン』に。

一つは『帝国』に。

一つは『銅の歯車』に。

そして『銅の歯車』の管理下にあるのが、私だった。













がちゃりがちゃり、と小さな音を鳴らしながら通路を進んでいく。

辺りに注意を配り、音や空気の流れにも意識を向ける。

『・・・康成さん』

「ん?何?」

囁くような私の声音に、彼は足を止めて小声で応じた。

『います。そこの陰・・・』

言葉で眼前の通路の曲がり角を示す。

「じゃあ、予定通り投降を促してみるね・・・あー・・・」

小さく咳払いをすると、彼はやや大きめの声で続けた。

「この建物は包囲されている!抵抗はやめて投降しなさい!」

「・・・・・・!」

康成の言葉に、物陰に潜んだ者は小さく驚きの気配を発した。

恐らく問答無用で攻撃を受ける覚悟をしていたのだろう。

「繰り返す!この建物は・・・」

『一回でいいですよ康成さん。もう聞こえたはずです』

「そう?なら・・・うん」

無駄に繰り返そうとした彼を止めると、なぜか不満そうに口をつぐんだ。

康成が大声を発していれば、気配も読めなくなってしまう。

そして、十数秒ほど経過しただろうか。

たっぷり困惑と疑念の気配を放った後、通路の陰に屈んでいた者は立ち上がり、その姿を現した。

曲がり角から歩み出たのは、十代後半ほどの少女だった。

だが、その背中に広がるボロボロの二枚の羽が彼女が淫魔であることと、その肉体の損傷が大きいことを示していた。

「なんだ・・・」

少女の口から、疲労の滲むざらついた声が漏れ出る。

「投降しろ、なんて言うからよっぽど戦力揃えてきたと思ったじゃない・・・」

苦痛に歪むその眼で『私達』の姿を捉えながら、彼女は続けた。

「『一人』だなんて・・・あたしも舐められたもんね・・・」

「投降、するんですか?」

康成が全身を軽く脱力させながら、軽く重心を移す。

「まさか」

淫魔の少女は彼の確認を鼻で笑った。

「・・・・・・残念です」

小さく頭を振ると彼は右足を半歩ほど引き、両手をだらりとぶら下げた。

「鎧着ただけの男なら、魅了して搾って、脱走の道具にしてやるわ」

余裕の口上を上げながら、彼女が体内で魔力を練り上げていく。

淫魔が最も使う形に、魔力が形成されていく。

「鎧剥がして、手と口と尻尾で一回ずつ搾って、後は回復用に五六発ぐらい注いでもらおうかしら・・・」

康成の両脚が引き絞られ、鎧の内側の筋繊維に力が篭っていく。

「ま、まずは魅了しないとね・・・」

康成に向けられた彼女の双眸が、妖しく輝いた。

放たれた魅了の魔術が康成の全身を包む。

「倒れなさい」

魅了の魔術を受けた眼前の人物に向けて、淫魔の少女はそう命じた。

だが、その命令は康成には届かない。

私の全身に込められた力が解放され、床を蹴り飛ばした。

「っ・・・!?」

倒れるどころか跳躍してくる私の姿に、少女の顔が驚愕に彩られた。

そして直後こめかみを私の掌底が打ち据えると、彼女の眼球が反転し、その体が床に崩れ落ちていった。

「任務完了っと・・・」

意識を失った少女を見下ろしながら、康成は小さく呟いた。





















等間隔に照明の点る幅の広い通路を、私は歩いていた。

ふと視線を横に向ければ、ガラス張りのドアや窓に身の丈二メートルはあろうかという、鈍い光沢を持った灰色の鎧が映りこむ。

それは爪先から頭までを覆う全身鎧で、膝や肘といった関節にも装甲が当てられており、装着者の姿は一分も覗いていない。

この鎧とその内部に充填された、装備者の保護と運動能力の補助を行う筋繊維が私だ。

そして、パートナーの陣原康成が私を着込んでいるのだ。

「いやあ、今回も楽な任務でよかったね」

『応援待ってたら私達が動く必要も無かったじゃないですか』

『大図書館』の支部施設の廊下を進みながら、私達は言葉を交わしていた。

「でも、危険手当でたからいいじゃない」

『よくありません。大体なんですか、いつもいつも危険な場所に踏み込んでいくくせに、相手の前で隙を晒して』

楽観的な彼の言葉に、私は思わず苦言を呈していた。

「でも・・・大体の魔術は鋼が防いでくれるじゃない」

『防げなかったとき、どうするんですか』

通路の突き当たりに設けられたエレベーターに入っても、私の小言は続いていた。

『今までは相手が外見で判断してくれたおかげで、私でも防げる魅了系の魔術しか使われませんでしたけど、普通に大規模の破壊魔術を使われたら確実に負けますよ』

「まあ、その時はその時で・・・」

『その時になっては遅いんです。危険を避けるよう心がけて下さい』

「はいはい」

『はいは一回』

「はい」

任務の後毎回のように繰り返される会話を終えたところで、エレベーターが止まった。

エレベーターを出て、しばらく通路を進んだ右側のドアのノブに手をかける。

特製のドアが私の魔力に反応し、錠を解除した。

「はい、ただいまーと・・・」

ドアを屈んで私達の部屋に入りながら、康成はそう言った。

私達に宛がわれたのは、康成と同格の隊員達よりやや広めの部屋だった。

部屋に入ると、彼はまず最初に部屋の一角に据えられた巨大な椅子に向かっていった。

金属製の、拷問器具と玉座を融合させたようなその椅子は、私専用の固定装置だ。

康成に大きな部屋が宛がわれているのは、より険な任務につくから、という理由もあるがほとんど私のためである。

「よいせ・・・」

意味の無い掛け声と共に、彼は椅子に腰を下ろした。

私の重量に反応し、背もたれや肘掛に取り付けられた金具が、私の身体を固定していく。

これで、後は私が装甲を何枚か開放すれば、康成が外に出られるわけだが・・・

「あれ?鋼?」

いつまでたっても開かぬ装甲に、彼が疑問の声を上げた。

「どうしたの?開けてよ」

『まだ、開けません』

私は静かな声音を心がけながら、体内の康成に向けて続けた。

『康成さんは、いつも任務の後私の言葉にはい、はいと言いますが、一度でも私の言葉どおりにしたことがありますか?』

「いや、えーと・・・それは、その・・・」

『今日という今日は徹底的に反省してもらいます』

私の宣言に、彼の体が強張った。

『まずは、今日相手した淫魔から始めましょうか・・・』

言葉を紡ぎながら、一糸まとわぬ彼の全身を包む私の筋繊維を操った。

彼の陰茎を包む筋繊維が、保護粘液と共にもぞりと蠢いた。

「うあ・・・」

うごめき出した肉の感触に、康成が声を漏らし肉棒を硬くしていく。

『彼女、なんて言ってましたっけ・・・そうそう、手と口と尻尾で搾る、でしたね』

ある程度勃起したところで、私は陰茎全体を揉み立てる動きを止め、陰茎の一部をリング状に軽く締めた。

そして締め付けの間隔を維持したまま、締め付ける位置をゆっくり上下させた。

『まずは手です、康成さん。いかがですか?』

返答を待つことなく、私は続ける。

『保護粘液のせいで正しい手での刺激、とは言い難いですが、きっとあの淫魔涎を垂らしてから扱くと思いますよ。

どろどろの、糸を引くような涎をたっぷり垂らしてから、こんな風にぐちゃぐちゃって・・・』

彼の耳元で囁きながら、彼の肉棒を『扱いて』いく。

「あぁぁ・・・!」

鎧と私に包まれた彼の肉体が強張り、ペニスの先端からカウパーがにじみ出る。

『あれ?もう出そうなんですか?』

『手』の中で脈打ち始めた陰茎を感じながら、私は囁く。

『あなたは今、敵の淫魔に一発で体の自由を奪われて、組み敷かれて扱かれているんですよ?』

屈辱を煽る私の言葉に、彼のペニスの脈動が大きくなっていく。

『そんな状況なのにこんなにビクビクさせて・・・』

一瞬の間をおき、彼の耳元でその続きをぼそりと呟いた。

『変態』

「っ!」

筋繊維に包まれた彼の体が痙攣し、ペニスから精液が迸った。

亀頭に触れぬよう距離を置いていた筋繊維に白濁が叩きつけられ、保護粘液と混ざり合って彼のペニスに絡み付いていく。

「あぁ・・・あぁぁ・・・!」

声を漏らしながらの射精を、私は『手』を止めて受け止めていた。













『やっと、終わりましたか』

射精が終わったところで、私は『手』の形を解除しながら、呆れたような声で続けた。

『全く、まさかあなたが屈辱で興奮するような変態だとは思いませんでしたよ・・・』

「うぅ・・・」

射精して冷静になったところで屈辱感が戻ってきたのか、康成は低い嗚咽を漏らした。

『『手』だけで終えるつもりでしたが、これは本気でしないといけませんね・・・』

「鋼・・・やめて・・・」

懇願の声を上げるが、聞き入れない。

彼のペニスを包む筋繊維を操作し、『口』を形作る。

『今度は口です』

硬直させた筋繊維を亀頭に当て、左右を弛緩させた筋繊維で挟み、裏筋にやや力ませた筋繊維を添える。

『丁度正面から吸われているようにしましたが、どうですか?』

「うぁ・・・ぁ・・・!」

まだ『咥えた』だけだというのに、彼の口から言葉は失われている。

だが、反応を見るだけでも十分だ。

『簡単に解説しますね・・・』

硬直させた筋繊維で、軽く亀頭を擦る。

「あうっ!?」

『今先に当たっているのが口蓋です。口の浅い部分ですので固いですが、奥はとても柔らかいですよ』

続けてペニスを左右から挟む弛緩させた筋繊維を、更に強く押し付ける。

「あぁ!」

『これは頬肉。大きく口を開いてペニスを吸えば、こんな風に頬肉が押し付けられます』

最後に裏筋に当てた筋繊維を、軽く前後に揺する。

「ひっ・・・!」

『そして、舌です。もうどんな風に動くか、想像がつきますね』

『口』の動きを完全に止め、あくまでも淡々と続ける。

『それでは、『吸い』ます』

「・・・っ!?」

小さなささやきと同時に、彼の体が仰け反った。

私の『口』が一度に動き始めたからだ。

『口蓋』が前後に動き、『喉奥』と交互に亀頭を擦っていく。

『頬肉』が密着と僅かな開放を繰り返し、竿を揉み立てる。

『舌』が波打ち、裏筋をなぞっていく。

そして極めつけに、ペニスの根元を締め上げて作った『唇』がペニスを扱いていく。

『淫魔の口技を完全再現、というわけには行きませんが、ペニス全体の吸引や口蓋と喉奥のグラインドなど、一度に経験できないことを同時にされるのはいかがですか?』

「うぁぁぁ!あぁぁ!」

答えを期待してはいなかったが、彼の絶叫めいた嬌声は返答として十分だった。

『椅子にどっかりと腰掛けて、淫魔の奉仕を受けていると思ったら大間違いですよ』

彼の興奮を煽るため、言葉を並べていく。

『あなたは椅子に座らせられて、淫魔にペニスを吸われているだけなんです。

スプーンでスープを掬ったり、フォークでパスタを巻いたりするのと全く同じ、食事の一環なんです』

「あぁぁぁ!っがぁぁぁぁ!」

囁く間も『口技』は止めないせいで、彼は嬌声を上げ続けている。

『ですから、食事中そんなに騒いでいると―』

彼の顔面に筋繊維の構成物を押し当てながら続けた。

『こうなりますよ』

「あぁ・・・あぶっ!?」

顔面に押し当てられた筋繊維に、康成の嬌声がくぐもる。

彼の顔に押し当てたのは、筋繊維に凹凸をつけて作った臀部だ。

丸々と下尻たぶから、柔らかな陰唇や太腿まで、ほぼ完璧に再現した一品だ。

呼吸が出来、かつ声が漏れないように鼻までの空気の通り道を確保した上で、保護粘液塗れの『太腿』で側頭部を挟む。

『顔を尻に敷かれている気分はどうですか?なかなか屈辱的で興奮するでしょう?』

「・・・!・・・・・・!」

『何を言っているのか分かりませんよ・・・』

即座に上下を逆転させた『口』でペニスを吸いながら、私はくぐもった声に応えた。

裏筋を口蓋で擦り、亀頭とカリ首を舌先でなぞっていく。

『口』の一挙一動に彼のペニスが脈打ち、『臀部』の下の彼の顔が動く。

『顔に乗られて、食事代わりにペニスを吸われて・・・どうですか?』

答えは聴くまでも無い。

彼は全身を震わせながら悦んでいた。

『それではそろそろ、頂きますね・・・』

言葉と共に『口技』の速度を加速させる。

『口蓋』と『喉奥』が大きく前後する。

『頬肉』が一際強く竿に押し当てられる。

『舌』が大きく波打ち、蠢き、なぞっていく。

そして鎧と筋繊維により拘束された彼の肉体に、拘束を逃れようとするかのように力が篭っていく。

ペニスが脈打ちながら膨張し、先端からカウパーが流れ出していく。

そして、突然弾けるような勢いで精液が噴出した。

「・・・・・・っ!」

顔を『臀部』に押さえ込まれ、全身を筋繊維と装甲によって拘束された彼の体が痙攣し、精液が迸っていく。

その量と勢いは二度目とは思えぬほどで、吸収が追いつかず『口』から溢れだすほどであった。













『さて・・・そろそろ分かりましたか?』

やがて射精が収まり、精液が減り出した頃、私は『口』から溢れた精液をペニスごと啜りながらそう尋ねた。

無論『臀部』は解除してあるが、精液を啜る『口』の動きにより康成は応えることも出来ないようだ。

『・・・返答が無いということは、まだ分かっていないようですね・・・』

「ち、ちがっ・・・ひぐっ・・・」

一際強くペニスを吸引し、続く言葉を封じる。

『分かっていないのなら、まだ続ける必要がありますね・・・』

『口』を解除し、今度は螺旋状に筋繊維を硬直させ、半萎えのペニスの表面を包む。

『今度は『尻尾』です・・・』

保護粘液塗れの『尻尾』の中で、彼のペニスが小さく動いた。

『一般に淫魔は女性器からの搾精を好むのですが、尻尾を使う場合もあります』

急に黙り込んだ彼に解説を続けていく。

『尻尾を使う場合、まずペニスに尻尾を巻きつけて勃起させます』

根元から先端へと、締め付ける力を僅かに変化させてやる。

根元から這い上がってくる『尻尾』の巻きつく感触に、彼のペニスが次第に膨らんでいく。

膨張する肉棒と締め付ける『尻尾』の織り成す独特の圧迫感が、快感を生み出しているのだ。

『あら、もう勃起してしまいましたね・・・』

『尻尾』の中で小さく脈打つペニスを感じながら、私は囁く。

『ただ『尻尾』で巻いただけなのに、こんなに大きくして・・・まあ、続けましょう。

淫魔によってはこのまま先端の吸精孔でペニスを飲み込む場合もあるのですが、器用な個体はこのようなことも出来ます』

『尻尾』の形態を維持しつつ、その表面の筋繊維を細かく収縮させる。

生み出された筋繊維のうねりが、彼の肉棒を包み込んだ。

「ひぐっ・・・ぅ・・・!」

屹立したペニスの表面に、ぬるぬるの保護粘液が絡みつく。

保護粘液越しに、螺旋状に巻きつく『尻尾』が肉棒を締める。

『尻尾』の表面を構成する筋繊維が、収縮を繰り返し複雑なうねりを生む。

『そして、このままペニスを扱くのです』

筋繊維を操り、『尻尾』を上下に動かす。

波打つ表面と締め付ける『尻尾』に保護粘液。

それらの織り成す刺激に、上下の動きが加わった。

「ひぃ・・・・・・!」

ほんの一扱きで、彼は大きく仰け反りながら声を漏らした。

ペニスは『尻尾』の中で大きく脈打っており、彼の絶頂が近いことを物語っていた。

だが、手加減することも無く、私は淡々と『尻尾』でペニスを扱き上げていた。

膨れ上がったカリ首を、巻きつく『尻尾』の凹凸が擦っていく。

膨れ上がった裏筋を、細かく収縮する『尻尾』の表面が擦っていく。

一扱きごとに彼の嬌声が高まり、肉棒が膨れ上がっていく。

そして、彼は限界に達した。

「あぁっ、あぁぁぁ!!」

絶叫と精液が、私の胎内に迸っていく。

「うぁぁぁ・・・あぁぁ・・・!」

『・・・・・・』

私は『尻尾』の動きを止め、彼の迸りを受け止めていた。

やがて射精が終わり、彼の全身が弛緩する。

『もう、出たのですか・・・』

彼の意識が冷静になるようしばしの間を置いてから、私はそう囁いた。

『勃起させるために軽く尻尾で扱いたら射精した・・・全く、とんだ早漏ですね。敵の淫魔の笑い声が聞こえるようです』

「・・・・・・」

流石に疲労が蓄積したのか、康成は無言だった。

だが、私は構うことなく続けた。

『では今度は吸精孔を味わってもらいましょう』

亀頭に絡みつく『尻尾』を解除し、筋繊維を操作する。

彼のペニスに直接触れる皮一枚ほどの厚さはごく柔らかく、しなやかに脱力させる。

そしてその外側の筋繊維で持って、ペニスを締め付けた。

『いかがですか?突起や襞が無い代わりに、締め付けに特化した『吸精孔』の感触は』

ゆっくりゆっくりペニスの先端から筋繊維を『尻尾』から『吸精孔』に作り変えながら、そう囁く。

ペニスを覆っていく『吸精孔』の内側で、肉棒が締め付けをものともせぬほど力強く脈打っている。

だが、陰茎の猛り具合とは裏腹に、彼は抵抗どころか口答えする気力すら失っているようだった。

「・・・・・・」

無言のまま、ペニスに与えられる快感と刺激に顔を歪め、身を任せていた。

柔らかな肉壁越しの締め付けに、ペニス全体が覆われてもなお彼の口から声は漏れなかった。

『・・・・・・あまりの気持ちよさに声も出ない、といったところですか・・・』

違うことは分かっていたが、そう言葉にしてしまう。

『では、動かしたらどうなるんでしょうねえ・・・』

そう続けながら私はペニスへの締め付けを根元から緩め、再び締め上げていった。

『吸精孔』が上下に動く感触が彼の意識に届き、弛緩した四肢に僅かながらも力が篭る。

『手足が反応してますね・・・気持ちいいんですか?』

単に刺激に体が反応しているだけなのかもしれない。

『敵の淫魔に碌に抵抗できないうちに何度も射精させられて、それでもペニスだけは立派に勃起させて・・・』

『吸精孔』の中で脈動を続けるペニスを感じながら、私は囁く。

『そろそろ限界なんでしょう・・・さあ、我慢しないで・・・』

いっそう強く締め付けながら、『吸精孔』にペニスをねじ込んだ。

「・・・っ・・・!」

彼の全身が小さく痙攣し、精液が噴出する。

私は射精を確認すると、『吸精孔』による扱きを止め、代わりのその内壁を蠕動させた。

みっちりと詰まった筋繊維が、ペニスの表面を撫で、擦り、精液を搾り出していく。

「・・・っっ・・・っ・・・!」

『・・・・・・』

声にならないほど小さな嬌声を漏らしながら痙攣する彼を胎内に抱えたまま、私は無言で精液を搾り続けた。

そして、これまでで一番の量を絞り出したところで、彼の全身から力が抜けた。

立て続けの刺激と絶頂により、限界が訪れて失神したようだ。

『・・・淫魔に負ければ、こうなるんですよ・・・』

意識を失った康成の身体を抱えたまま、私はそう囁いていた。

『組み敷かれて、あなたの意思も関係なく搾り取られ、死んじゃうんですよ・・・』

無論彼は応えない。

だが、私は続けた。

『あなたが本当はそうされたい、って言うのなら、代わりに私がいくらでもしてあげます・・・』

今こんなことを言っても彼には届かない。

『仕事の後どころか、毎日でもしてあげます・・・』

かと言って、意識のあるうちに言う訳にもいかない。

『だから・・・だから・・・』

だから、今言うしかないのだ。

『だから・・・どうか・・・・・・・・・』

しばしの沈黙を挟んでも、続く言葉を紡ぐことは出来なかった。

だが、このまま終わってしまうことが出来ないほど、私は昂ぶり過ぎていた。

『・・・・・・』

私は無言のまま彼の頬に『両手』を添えると、その唇に私の『唇』そっと重ねた。









「ん・・・んん・・・」

小さなうめき声と共に、康成が目を覚ます。

『やっと、お目覚めですか?』

まだ意識がぼんやりとしているであろう彼に向けて、私はそう声をかけた。

「あぁ・・・う・・・あれ、開いてる?」

『保護粘液はおおむね吸収しておきました。シャワーを浴びて残りは流してください』

胴の装甲を開放し、私の本体である筋繊維と彼の体を外気に晒したまま私はそう告げた。

『全く、お仕置きの最中に失神なさるなんて・・・これに懲りたら、次からは行動を改めて下さいね』

「うぅ・・・はい・・・」

思考が碌にまとまらないのか、彼はやけに素直に応えた。

筋繊維の隙間から手足を引き抜くと、彼は少々よろめきながら浴室へと歩いていく。

『・・・・・・』

その後姿を見送りながら、私は小さく溜息をついていた。

彼が本当に行動を改めるまで、何度この光景を見るすことになるのだろうか、と。






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