キソウテンガイ




「それにしても、こんなところに人が来るなんて驚きだったわ」

ゆったりとした民族衣装に身を包んだ彼女は、微笑みながらティーポットを手に戻ってきた。

「えぇ、僕も人が住んでいるとは思いませんでしたから・・・あ、すみません・・・」

言ってしまってから失言に気が付き、僕はすぐに謝った。

「ふふ、いいのよ。事実そうなのだから」

そう気分を害したわけではないらしく、彼女は軽く微笑む。

そうして、僕の前に置かれたティーカップにお茶を注ぎながら、彼女は問いかけた。

「お砂糖は・・・いらなかったわね?」

「はい、頂きます」

湯気の立つティーカップを手に取ると、僕は口元に近づけた。

柔らかいお茶の香りが、僕の鼻腔に届いた。











大学の長期休暇を利用して、新種の植物を求めて僕はこの砂漠の国までやって来た。

日中は気温が五十度に達するため昼間は街に留まり、砂漠での探索は基本夜に行っていた。

しかし街の周りに広がるのは、石と既に発見された植物ばかりの乾いた大地だった。

そもそも街の近辺で新種の植物が見つかるはずも無かったが、それでも僕は一抹の期待を胸に砂漠を探索していた。

そして昨夜、僕は時が過ぎるのも忘れて探索を続け、とうとう街へ戻るタイムリミットを過ぎてしまったのだった。

急いで帰路についても街に着くより前に日が昇り、灼熱地獄をさまようことになる。

そのため僕は太陽を避けるため、砂漠で見つけた石造りの廃墟に身を寄せたのだった。

だがそこは廃墟ではなく、今僕とテーブルを挟んでいる女性の家だったのだ。

女性は名をミラさんと言い、彼女の家を砂漠探索の拠点とすることを許してくれた。

「それで、今日はどうだった?何か見つかった?」

「いえ、それが全然」

ミラさんの問いに、僕は苦笑いで応じる。

「どこに行っても既に発見された植物ばかりで、新種のしの字すら見当たりません」

「それは残念ね、ふふ」

褐色の肌に刻まれた桃色の唇に、彼女は軽く笑みを浮かばせた。

その後、僕たちは他愛の無い会話を交わしながら、お茶を楽しんでいた。

「それで、ミラさん。今日はお話があるんですが・・・」

二、三度のお代わりをしたところで、僕はいつか切り出そうとしていた話をすることにした。

「何?急に改まって・・・」

「実はその・・・僕、そろそろ国に帰らなければならないんです・・・」

大学の長期休暇ももうすぐ終わるし、それよりも僕には母国での生活があった。

ミラさんとの暮らしも楽しかったが、いつまでも彼女の厄介になるわけには行かないのだ。

「・・・・・・そう・・・」

僕の突然の言葉に驚いたのか、彼女はしばらく間を置いてから、ようやくそう応えた。

「それで・・・出発はいつ?」

「大体、一週間後の夕方ぐらいには・・・」

「そうなの・・・」

たっぷりの間をおいてから、彼女は微笑みながら続けた。

「それまでに新種の植物、見つかるといいわね・・・」

その微笑みは、どこか寂しげだった。











それから数日、僕とミラさんはぎくしゃくとしていながらも、それまでと同じ日常を歩んでいた。

日が昇る前に僕が帰ってきて床に就き、夕方ぐらいに起きだして雑用を済ませ、砂漠へ探索に出て行く。

その繰り返しだった。

そして出発前日の夕方のことだった。

「ねえ、今日はその・・・伝えたいことがあるから、出かけないでくれるかしら・・・?」

「は、はぁ・・・」

国に帰ると言い出してから、何となく必要最低限以上の会話をしなかった僕には、彼女の申し出を断る理由が無かった。

充てられた部屋の荷物もそのままに、僕は彼女の部屋へ向かった。

「失礼します・・・」

ドアを押し開くと、薄暗い部屋にランプを一つ灯し、ベッドに腰を降ろすミラさんの姿が眼に入った。

「座って」

「あ、はい」

勧められるがまま、僕はベッドの隣に置かれた椅子に腰掛けた。

「あなた・・・ヴェルヴィッチア・ミラビリスって、知ってる?」

しばしの沈黙を置いてから、ミラさんは口を開いた。

「ええ、まぁ・・・」

学名Welwitschia mirabilis。

その姿かたちからキソウテンガイなどと呼ばれる砂漠の植物だ。

この休暇中の探索でも、何度か見かけたことがある。

「普通は寿命が五百年ぐらいなんだけど、この辺りには数千年は生存し続ける種類があるのよ」

「数千年・・・!?」

「あぁ、でもほとんどの場合寿命が尽きる前に砂嵐で砂に埋もれたり、水源が枯れたりして死んでしまうんだけどね。

それでも・・・本当にごく稀に、寿命を全うするほど長生きする個体もいるのよ」

驚く僕に苦笑しながらそういうと、彼女は笑みを消した。

「私、とか・・・」

「・・・え・・・え・・・?」

突然のミラさんの言葉に、僕は理解が追いつかなかった。

今、彼女はなんと言った?

「私はね・・・この辺りにずっと生えていた、ヴェルヴィッチア・ミラビリスなの・・・」

その言葉と同時に民族衣装の裾から覗く、彼女の褐色の両脚が解けた。

しゅるしゅると衣擦れのような音を立てながら、床の上に植物の葉が広がっていく。

「これが、私の本当の姿」

そこには腰から下を、とぐろを巻く帯状の長い葉と化した彼女の姿があった。

「それで、私の伝えたいことっていうのは・・・」

脳が目の前の光景を処理できず、硬直する僕に向けて彼女は続けた。

「私を・・・抱いて、欲しい・・・の・・・」

「・・・・・・・・・」

「きゅ、急にこんなこと言われても困るわよね・・・しかも、私みたいな化け物の女に言われても・・・」

彼女は視線を床に落とし、自重するような口調で言った。

「でも・・・もうすぐで私の寿命が尽きるから、早いうちに種を作らないといけないの・・・それで、あなたに・・・」

ミラさんはうつむかせていた顔を上げると、懇願するように続けた。

「お願い・・・」











「・・・・・・僕で、いいんですか・・・?」

数分の間をおいて、僕はようやくその答えを絞り出した。

ここまで無言だったのは、彼女の姿と突然の言葉に驚いたからだ。

彼女に対する恐怖や嫌悪で口を閉ざしていたわけではなかった。

「え・・・も、もちろんよ」

僕の返答が意外だったのか、彼女も驚きを滲ませながらそう口にした。

「だってあなたは優しいし・・・一緒にいると楽しいし・・・その、できればずっとここにいてくれたら、と思うぐらいだし・・・」

僕に対する好意の源を、彼女は一つ一つ挙げていく。

「でも・・・あなたは国に帰るから、せめてあなたと私の種だけでも、と思って・・・」

どこか、おびえたような気配を帯びながらの彼女の言葉に、僕は耐えられなくなった。

「ミラさん」

彼女の名を呼ぶと、僕は椅子から立ち上がってベッドまで歩み寄り、その肩に腕を回した。

「え・・・」

そして、彼女を抱き寄せながら、呆けた用に声を漏らす彼女の唇に自身のそれを重ねる。

一瞬腕の中で彼女の体が強張り、小さく震えた。

だが、口付けを続けるうちに彼女の緊張が解けていくのが分かった。

「ん・・・んん・・・」

言葉も無く、ただただ僕たちは唇を重ねていた。

しばしの後、僕はズボンの上から足に何かが絡み付いているのに気が付いた。

目を向けずとも分かる。ミラさんの葉っぱだ。

彼女の下半身から生えた帯状の葉は僕の足に巻きつき、優しく動いていた。

僕は彼女の愛撫に応えるように、彼女のむき出しの背中をゆっくりと撫でた。

「んむ・・・ん・・・」

「ん・・・ちゅ・・・」

互いの唇を吸い、舐め、啜りながら、僕たちは愛撫を交わし続けた。

そして、僕たちはどちらからとも無く唇を離した。

「ミラさん・・・僕、もう・・・」

「私も・・・」

言葉を交わすと僕たちは互いの衣服に手を掛け、脱がせていった。

ほどなく、僕たちはベッドの上で向かい合って座っていた。

「あぁ・・・」

ランプの光に照らし出されたミラさんの裸身に、僕は溜息をついた。

「緊張してるの・・・?なら、まずは私がしてあげる・・・」

彼女の姿に見蕩れていたのを緊張によるものと取ったのか、ミラさんが柔和な笑みを浮かべた。

すると、ベッドの上で幾重にも折り重なる帯状の葉が動き、僕の下半身に伸びてきた。

両脚に葉が巻きつき、股間だけが露出した状態になる。

「あ・・・ミラさん・・・」

「力を抜いて・・・楽にして・・・」

一瞬身構えてしまう僕にそう言うと、彼女は安心させるように僕を抱き寄せた。

そして僕の足に葉を絡ませたまま、ぐるりと僕の体をひっくり返した。

ミラさんの上半身と僕の背中が密着し、丁度彼女にもたれ掛かっているような姿勢になった。

「それじゃあ・・・始めるわね・・・」

彼女の言葉と同時に、足に絡みつく葉が波打った。

植物特有のすべすべとした表皮が皮膚を撫で、肉厚な葉がもたらす弾力が足を揉む。

「あ・・・」

両脚を包み込む葉の感触に、僕は声を漏らしていた。

「ふふ」

僕の反応を確かめながら、ミラさんは足への愛撫を続ける。

太腿を擦り、膝をくすぐり、内股を撫で上げ、筋肉をほぐしていく。

複雑かつ柔軟な葉の動きに、僕は幾つもの手によるマッサージを受けているような錯覚を覚えていた。

そして足への愛撫が続くにつれ、僕は心地よさの中に性的な快感を見出していた。

僕が掻いた汗のせいか、彼女の帯状の葉から粘液が分泌されているのか、葉っぱの下からぐちゅぐちゅと濡れた音が響いてくる。

露出した股間で、僕の股間が興奮により屹立していた。

「うぅぅ・・・」

「そろそろ、ここも触って欲しいのかしら・・・?」

いくらか楽しげな声音で、ミラさんはその乳房を背中に押し付けながら、指先で僕の胸板から腹筋をなぞり、屹立したペニスを突付いた。

背筋を電流が走る。

「いひゃいっ!?」

思わず背筋を反り返らせながら、僕は声を漏らした。

「そんなに・・・ふふ・・・」

彼女は僕の体を抱きしめながら低く笑うと、ペニスを突付いた指を後ろへ引っ込めた。

代わりに、彼女の下半身を成す帯状の葉の一枚が、僕の眼前に掲げられた。

「まずはここで・・・ね・・・?」

表面に粘液が分泌しぬらぬらとランプの明かりを照り返す葉を見せつけながら、ミラさんは耳元で囁いた。

淫猥な雰囲気をかもし出す葉の表面と彼女の言葉に、僕の心臓の鼓動が加速していく。

そして、帯状の葉が僕のペニスに根元から巻きついていった。

股間を包み込んだぬめる感触がゆっくりと股間を這い登る。

「っ!!」

僕は全身を強張らせながら、噛み殺した悲鳴を漏らしていた。

だが、上半身はミラさんによって抱きすくめられ、下半身は彼女の葉によって拘束されているせいで、碌に身体は動かない。

その間にも葉はゆっくりとペニスへ巻きついていく。

そして数時間とも錯覚するほどの時間を経て、ようやくペニスの根元から先端までが葉に包まれた。

ぬめりと温もり、そしてほどよい圧迫感がペニスを締め付ける。

「うぅ・・・あぁ・・・!」

「そんなに気持ちいいの・・・?ふふ・・・」

腕の中で身悶えする僕に囁くと、彼女は熱の篭った声で続けた。

「このまま・・・動かしてあげる・・・」

え、と聞き返す余裕も無かったが、直後ペニスを包む葉が動いた。

扱くように上下するわけでも、締め付けを変えるわけでもなく、葉の表面が一つ波打ったのだ。

ペニスの根元で生じた葉のうねりは、巻きついた葉に沿ってペニスの表面を這い回り、亀頭へと抜けていった。

「あぁ・・・」

ぞくぞくとするような控えめの快感に、放心しつつ漏らした。

するとその反応が気に入ったのか、ミラさんは二つ三つと葉の表面にうねりを生み出していった。

蠕動する表皮が、ぬめりと共に僕のペニスを這い登っていく。

刻々と変化する感触は、まるで肉棒に蛇が巻きつき、締め上げているようだった。

「うぁぁ・・・あぁぁ・・・!」

「そんなに・・・声を上げて・・・」

上ずった彼女の声と共に僕の顎に指が添えられ、強引に顔を横に向けさせられる。

驚く間もなく肩越しに乗り出した彼女の顔が接近し、唇が重なった。

そして、音と共に僕の口中に溜まっていた唾液を、彼女は啜り上げていった。



じゅず・・・ずずずずずず・・・



口元から淫猥な印象さえ伴った音が響き、口中の唾液が吸い上げられていく。

それにあわせるように、ペニスを包む葉の蠕動も大きくなっていった。

両足を包む葉、ペニスに加えられる蠕動、背中に押し付けられる乳房。

そして、すぐ目の前にあるミラさんの双眸と唾液を啜り上げられているという事実。

それら全てがない交ぜになり、僕を一息に押し上げた。

「・・・っ!!」

彼女の唇にふさがれた僕の口から声にならない嬌声が響き、全身の痙攣と共に精液が迸った。

心臓の鼓動に合わせるようにペニスが大きく脈打ち、ぬめり蠕動する葉の表皮と擦れていく。

快感が興奮を生み、興奮が絶頂に導き、絶頂が快感を生む。

その連鎖の中で、僕はただただ彼女の葉の内側に精液を注ぎ続けていた。

「・・・っ!・・・っ!」

唇をふさがれたまま、嬌声を上げ続ける。

やがて興奮が引き、射精が収まっていった。

「んん・・・ずず・・・んむ・・・じゅず・・・ん・・・」

一通り口中を啜り終えると、彼女は僕の口内を一舐めして唇を離した。

僕とミラさんの間で唾液が糸を引き、切れていった。

「すごい・・・こんなに出したのね・・・ふふ」

彼女の視線を追って顔を前に向けると、そこには僕のペニスに巻きつく帯状の葉と、その隙間から溢れ出る白濁があった。

漏れ出している分だけでも、普段より多く見えた。

ペニスを包む葉が解け、屹立が露出していった。

葉の内側には、放たれた精液が満遍なくへばりついており、僕の射精が凄まじかったことを示していた。

「私でこんなに感じてくれたのね・・・ありがとう・・・」

葉に付着した精液を見つめながら、ミラさんが呟いた。

すると彼女はその葉を手元に寄せると、付着した精液に舌を伸ばしたのだ。

粘つく精液を舌で掬い取り、葉の表面を舐めてきれいにしていく。

それは葉を掃除しているというより、僕の精液を残すのが惜しいとでも言うべき様子だった。

黙々と精液を舐め取るミラさんの姿に、僕のペニスは再び固くなりつつあった。

「ん・・・これでおしまい・・・」

最後の一滴まで舐め取ると彼女の手から葉が離れ、下半身を成す葉の中に戻っていった。

「待たせてごめんなさいね・・・」

「あ・・・い、いえいえ・・・」

屹立した僕のペニスを目にしての一言に、僕は慌てて応じた。

「あらそう・・・?なら・・・」

言葉と共に僕の両脚に巻きつく葉が解け、粘液の糸を引きながら離れていった。

突然の解放に戸惑いを覚える僕に微笑みながら、彼女は続けた。

「今度は・・・私の中に出してくれる・・・?」

ベッドの上にごろりと横たわると、ミラさんは僕を迎え入れるように両腕を開いた。

すると彼女の下半身をなす帯状の葉もまた、ざわざわと音を立てながら左右に広がり、葉の付け根を晒し出した。

「・・・あぁ・・・」

眼にした彼女の歯の付け根に、僕はぼんやりと漏らしていた。

そこにあったのは、まさしく肉の穴だった。

穴の上端では小指の先ほどに膨れ上がったクリトリスと思しき部分がそそり立っており、穴は興奮によるものか意図的なものか大きく左右に広がり、奥深くまでを晒していた。

ランプの光に照らされる穴の内壁は、幾重にも折り重なった肉襞とその隙間から覗く突起に覆われており、呼吸するようにゆっくりと収縮を繰り返していた。

それに加えて内壁を覆う襞はこれでもかというほど詰め込まれており、入り口近くの襞に至っては穴の外にはみ出るほどであった。

一般的に言えば、所謂『グロマン』という奴なのだろうが、僕にとってはどうということも無かった。

それどころか興奮のせいで、いや、ミラさんのというだけでそこは美しく感じられた。

「ねぇ・・・早く・・・」

「あ・・・すみません・・・」

いつの間にか顔を近づけて見入っていた僕に向けて、ミラさんがそう促した。

僕は短く謝りつつ顔を上げると、興奮にそそり立ち大きく脈打つペニスを彼女の膣口へ近づけていった。

だがあまりの興奮のせいか手が震え、なかなか狙いが定まらなかった。

そして数度の試行を経て、ようやく亀頭が膣口に触れる。

露出した膣口が唇のように亀頭に吸い付いた。

「く・・・入れます・・・!」

短く言うと、僕は腰を突き出した。

柔らかな膣肉を押し広げ、ぬめる粘液によって滑らかに奥深くまでペニスを突き入れていく。

折り重なった襞が亀頭の表面を擦り、弾力のある突起が優しく引っかいていった。

「うぁぁ・・・あぁ・・・」

ペニスの半ばどころか、亀頭を差し込んだところで僕は情けない声を上げながら動きを止めてしまった。

亀頭を襲うあまりの心地よさに、力が入らないのだ。

「・・・・・・ねえ・・・」

「あぁ・・・ああ・・・み、ミラさん・・・?」

不意に声をかけた彼女に、僕はどうにか応えた。

「私を・・・抱きしめてくれる・・・?」

「で、でも・・・あぅ・・・」

「お願い・・・」

快感を堪えながらの言葉に、彼女は僕の首に手をかけながら言った。

「・・・分かり・・・ました・・・」

柔らかな襞と弾力のある突起の刺激に堪えながら、僕はベッドに両手を突き、彼女の上に覆いかぶさっていった。

そして、ミラさんに体重があまり掛からないよう注意しながら、彼女を抱擁した。

「これで・・・いい、ですか・・・?」

「ありがとう・・・」

僕を抱き寄せながら彼女はにっこり微笑み、続けた。

「それじゃあ、これは私のご褒美・・・」

亀頭を膣口に埋めたまま、中途半端に引いた僕の腰に彼女の帯状の葉が巻きついた。

そのまま力が加えられ、中断されていた挿入が再開する。

「うわ・・・あぁ・・・!」

張り出した亀頭を襞が乗り越え、愛液をまぶし、その上を突起が擦っていく。

亀頭のみに与えられていた快感がペニス全体へ広がっていく感触に、僕は全身を震わせた。

やがてペニスが根元まで膣内に入り、僕の太腿や下腹部が彼女の葉の付け根とぶつかって止まる。

ようやく止まった挿入の快感に、僕は胸中で安堵していた。

しかし直後、彼女の膣が蠕動を始めたのだ。

襞と突起の揃った膣壁が、ペニスを更に奥へ奥へと導くように波打つ。

無論それ以上挿入できるわけも無く、膣壁は愛液にぬめるペニスの表面をこするだけだった。

だが―

「・・・・・・っ・・・!」

ペニスに注ぎ込まれる快感に、僕は身体を強張らせていた。

亀頭や裏筋、竿の表面を襞が撫でていく。

カリ首や鈴口、浮かび上がった血管を突起が擦っていく。

ペニス全体を包む柔らかな刺激に、ポイントポイントを抑える鋭い刺激。

二種類の刺激がもたらす快感に、僕は意識をさらわれそうになっていた。

「・・・・・・大丈夫・・・」

不意に眼前で、ミラさんがにっこりと微笑んだ。

「私が全部受け止めてあげるから・・・任せて・・・ね・・・?」

同時に膣が蠕動し、ペニスに纏わりつく愛液がづぢゅ、と淫猥直人を立てた。

その瞬間、僕の胸中で何かが崩れた。

「・・・っ・・・あぁぁぁぁぁ!」

あまりの快感に詰まっていた喉が通り、叫び声のような嬌声が迸った。

腰に彼女の葉を巻きつけたまま、動かせる範囲で懸命に腰を揺する。

波打つ膣壁をかき回し、与えられる快感を僕は貪っていた。

「あぁぁ・・・あぁっ・・・!」

じきに限界が訪れ、全身を硬直、痙攣させながら僕は射精していた。

脈動するペニスに襞が纏わりつき、隆起する突起が敏感な箇所を抉る。

加えられる刺激に射精の勢いが増し、僕は彼女の腕の中で仰け反っていた。

「あぁぁ・・・あぁぁぁ・・・!」

「ん・・・」

目を閉じ、小さく声を漏らしながらミラさんは僕の精液を受け止めていた。

そして、どれ程経過しただろうか。

流石に限界が訪れたのか、襞が揉もうが突起が擦ろうが、迸る精液の勢いが弱まり、とうとう射精が収まった。

「・・・・・・・・・っはぁ・・・」

絶頂によって硬直させていた全身を弛緩させると、僕は彼女に体を預けていた。

「一杯出たわね・・・ふふ・・・」

脱力した僕を抱擁しながら、ミラさんが耳元で囁いた。

「でも・・・もう少し、欲しいわ・・・」

直後、僕の体がぐるりとひっくり返され、僕の上にミラさんが跨る姿勢になった。

興奮のためか彼女の褐色の肌には僅かに赤みが差し、しっとりと汗に濡れていた。

「お願い・・・」

淫靡な声音で、彼女はそう続けた。

ランプに照らし出される彼女の裸身、ペニスに絡みつく膣肉、部屋に立ち込める男女の体臭。

そういったものが僕の興奮を強引に押し上げ、再びペニスを勃起させる。

「ん・・・」

胎内で膨張した肉棒に、ミラさんが小さく声を漏らした。

そしてお返しとばかりに、膣肉がペニスに絡みついてくる。

「今度は・・・私ね・・・」

彼女はそう呟くと上体を倒し、僕に覆いかぶさってきた。

乳房が僕の胸に押し当てられ、彼女の唇が僕のそれに触れる。

「んむ・・・んん・・・」

彼女の唇の柔らかさと共にうねる彼女の膣肉を味わいながら、僕は小さく声を漏らしていた。













その後、上に下に姿勢を変えながら、僕たちは幾度と無く交わり続けた。

やがて東の空が白み始めた頃、ようやく僕たちは気を失うように眠りに落ちていった。

昼過ぎになって眼が覚めたあとも、交わりこそしなかったがベッドに横になったまま、僕たちは別れまでの時間を惜しんでいた。

「もうすぐ・・・お別れね・・・」

昨夜のままのベッドに横たわりながら、ミラさんが小さく呟いた。

「はい・・・でも、すぐにでも時間を作ってまた来ますから・・・」

「ふふ、嬉しい・・・でも、大丈夫なの・・・?学校とか・・・」

僕の言葉に、彼女は僅かに顔を曇らせた。

確かに彼女の言う通り、大学や旅費の問題はある。

だが・・・

「いえ、僕にはミラさんのほうが大事ですから」

彼女と会える時間は限られているのだ。

「そう・・・確かに私も後百年ぐらいしか生きられないけど・・・」

「ええ、ですからその百年を・・・って、百年?」

少々困ったように応えた彼女の言葉を、思わず僕は聞き返していた。

「ええ、百年ぐらいよ。たったの」

「百年って、かなり余命あるじゃないですか」

「私が砂漠で過ごした数千年に比べればもうすぐよ。でも・・・」

その表情に浮かんでいた呆れを消すと、彼女は笑みを浮かべながら続けた。

「あなたの子供と一緒の百年なら、寂しくないわ」

「・・・僕は入っていないんですか」

「あら、ごめんなさい。でもあなたは国のことがあるでしょ?」

「まあ・・・そうですけど・・・」

彼女の言葉に、僕は苦笑いを浮かべた。

確かに彼女の生涯から見れば百年は短いが、僕が慌てるほどの時間ではない。

ならば、彼女といつまでも一緒に過ごせるよう、母国で努力した方がいいだろう。

「ミラさん」

「何?」

「僕、ここにずっと住めるよう努力しますから・・・待っててくれますか?」

「勿論よ」

僕の言葉に、彼女は微笑んだ。

「二人で待ってるわ」

そう続けながら、ミラさんは自身の下腹部を優しく撫でていた。






この娘さんに搾られてしまった方は、以下のボタンをどうぞ。




アナザー一覧に戻る