狐壺
その行商が男と出会ったのは、何年前のことだったろうか。
山の中、空腹の余り行き倒れていた若い男を、行商は見つけた。
男は行商の与えた水と食物に息を吹き返すと、深々と頭を下げ礼を言うと、こう続けた。
お前を天下一の豪商にしてやる、と。
山の麓の町にたどり着くと、男は数日したらまた会うよう行商に言った。
果たして数日後、彼は土で薄汚れた壷を手に、商人の前に現れた。
彼は壷になにやら呪文を唱えると、行商に壷を手渡しながら言ったのだ。
これでお前に狐が憑いた。狐に従えば、お前は天下一の豪商になれる。
男は行商と別れると、そのまま町を出て行った。
去り際に行商が男の名を訊くと、男は答えた。
石和真だ、と。
その夜、行商は宿屋の一室で、壷を見ながら悩んでいた。
彼の目の前にあるのは、何の変哲も無い土で薄汚れた手に乗るほどの壷だ。
中には乾いた肉が入っているだけだ。
小さいとは言え、行商をするからには無駄な荷物はもてない。
だが、壷からは異様な迫力が放たれていた。まるで、壷から捨てるな、と恫喝を受けているかのような気分になる。
「・・・まぁ、明日どうするか考えよう・・・」
行商はそう呟くと、壷を荷物に加えて、寝台の上でごろりと横になった。
ちゅぷ・・・ぷちゅ・・・
どこからとも無く響く水音に、行商は目を覚ました。
最初に感じたのは、股間のむずむずとするくすぐったさだった。
彼が顔を上げてみると、股間を茶色い頭髪に覆われた頭が覆っていた。
頭は上下、左右に小さく揺れ動き、それに合わせるようにして水音も生じていた。
何者かが、自身の男根を口に含んでいる。
ぬちゃ・・・ぴちゃ・・・
「っ・・・!」
声を上げそうになった瞬間、股間の感覚が明瞭になり、ぼやけていた刺激が彼の意識に届いた。
それは、柔らかな肉と温もりとどろどろとした粘液の感触であった。
粘液に塗れた肉が、肉棒に絡みつき、波うち、扱き、擦っていく。
「ぐぁ・・・あぁ・・・!」
男は与えられる刺激に、押し殺したうめきを漏らしながら悶えていた。
目蓋を閉ざし、快感を堪えるように仰け反る。
無意識のうちに両手が茶色の頭へ伸び、さらさらとした頭髪に指を埋める。
そしてそのまま、頭を引き剥がすわけでも押し付けるわけでもなく、彼の動きが硬直した。
屹立に絡みついた肉が、にゅるりと蠢いたのだ。
僅かな刺激ではあったが、昂ぶりきった彼の興奮を絶頂に押し上げるには、十分な刺激だった。
肉棒が大きく脈動し、精が迸る。
「あ・・・あぁ・・・」
断続的に放たれる精液に、身体をびくんびくんと痙攣させながら、彼は絶頂の開放感に浸った。
程なくして射精が終わり、全身の硬直が解けた。
「んっ・・・ん・・・」
茶色の頭が力の抜けた彼の指を振り払うと、そのまま股間から顔を上げ、上体を起こした。
彼の眼前に、細身の女の肉体が晒された。
頭髪の下にあったのは、肌の白い、整った顔立ちの女の顔だった。
若干面長の細面に、切れ長の目とすぅっと通った鼻梁。
そしてやや大きいが形の整った唇はきつく結ばれ、先程放たれた彼の精液を口中に含んでいることを示していた。
「ん・・・んん・・・」
唇を結び、口内の精液をたっぷりと味わうように転がすと、白く細い喉が上下に動き、嚥下していった。
彼女は精液を飲み下し終えると、彼に視線を合わせにぃ、と笑った。
「なかなか、美味かったぞ・・・」
「は、はぁ・・・」
女の言葉に、彼は間の抜けた返事を返した。
「何だ?もう少し嬉しそうにしたらどうだ。私のような美女が相手しているんだぞ?」
眉を寄せ、少々不機嫌そうに女は唇を尖らせた。
そのとき、彼女の背後で何かが左右に揺れた。
「!?」
「ん・・・?あぁ、これか」
行商の視線をたどると、彼女は寝台の上で軽く腰を捻って見せた。
すると、彼女の尻の上から生えた、茶色のふんわりとした毛に包まれた尻尾が露になった。
「これは・・・」
「私の尾だ。それにほら」
彼女が自身の頭部を示すと、二つの三角形の耳が頭髪の間から飛び出ているのを男は認めた。
「お前は・・・狐?」
「そうさ・・・それも、とびきり腹ペコの狐だ・・・」
彼女は笑いながら寝台に伏せると、再び彼の股間に顔を寄せていった。
「ねぇ・・・もう一回、いいかい・・・?」
「あ、あぁ・・・」
妖艶な女の言葉に、彼は無意識のうちに頷いていた。
彼女は口の端を吊り上げると、唾液に濡れる舌で唇を舐めて見せた。
そして大きく口を開くと、男の陰茎の上で動きを止めた。
「・・・?」
男の内に疑問が生じる。だが、それはすぐに氷解した。
女の口から、ねっとりとした唾液が垂れてきたのだ。
微かに泡の混じった唾液が、赤く膨れた亀頭に触れ、屹立した竿をたどって根元まで流れていく。
唾液の雫が肉棒に触れるたびに、鈍い感覚が彼を襲った。
唇から溢れ出し、糸を引きながら滴る唾液が彼の肉棒を濡らしていく。
己の肉棒が唾液に塗れていく様は、屈辱的であると同時に扇情的であった。
「く・・・うっ・・・」
「・・・・・・」
屈辱と快感に顔をゆがめる男を上目遣いに見上げながら、女は目元だけで笑った。
やがて、彼の陰茎は女の唾液に塗れ、一部の隙も無くぐちょぐちょに濡れていた。
「ふふ、美味しそう・・・」
自身の唾液に塗れた陰茎をねっとりとした視線で嘗め回しながら、女はそう呟いた。
そして、大きく口を開いて屹立を根元まで飲み込んだ。
唇が竿を擦り、舌が裏筋を撫でていく。
しかし女の動きは止まらず、肉棒の先端がのどの奥へ入り込んでいった。
「うぉっ・・・!」
亀頭を締め付ける、きつく狭い喉の感触に彼は声を上げた。
つるつると滑らかな喉が、亀頭を締めては緩めを繰り返す。
喉奥に入り込んだ異物に、女の舌が波打って裏筋を擦る。
一体となった口腔の動きに、彼の興奮は否応なしに押し上げられていった。
やがて彼の腰が小さく痙攣し、喉や唇の締め付けを跳ね除けるかのように、肉棒が大きく脈動を繰り返す。
「ぐぁ・・・!」
男は小さなうめき声を上げながら、陰茎を飲み込む女の髪に指を埋め、痙攣と共に絶頂に至った。
「・・・ん・・・」
声を漏らしながら、女は男の放った精を受け止め、飲み込んでいった。
嚥下に合わせて彼女の喉が動き、それが彼の絶頂を引き伸ばさせた。
やがて、最初の射精と変わらぬほどの量の精液を吐き出し終えると、彼の全身の硬直が解けた。
「んふ・・・ん・・・」
ずるり、と口腔の粘膜で彼の陰茎を擦りながら、彼女は口を離した。
そして唾液に塗れ、項垂れるように萎えた肉棒に手を添えながら、顔を上げた。
「ふふ、二度目もなかなかの量だったな・・・」
ほっそりとした指で肉棒を弄びながら、彼女は続けた。
「あともう少し、頑張ってもらおうか・・・」
「か、勘弁してくれ・・・」
男は肩を大きく上下させつつ、言葉を漏らした。
茶色の髪が女の白い背中に掛かり、整った顔立ちの下からやや小ぶりの乳房が覗いているという光景は、かなり扇情的であった。
だが、昼間の疲れと立て続けの二度の射精は、彼の肉棒から力を奪っていた。
「ふふ、大丈夫・・・」
いくら弄っても陰茎は勃起の気配を見せぬが、彼女は笑みを浮かべながら上体を起こした。
肩口に掛かっていた髪がさらりと音を立てながら流れ落ちていく。
「後は私がやってやる」
言葉と共に女が彼の肩に触れると、糸が切れたかのように彼の上体が倒れた。
彼女は寝台の上で膝立ちになると、彼の腰の辺りを跨いだ。
両脚が大きく広がり、太腿の付け根が露になる。
そこは童女のようにつるりと無毛であったが、成熟した女性器が張り付いていた。
既に秘裂の奥からは粘液があふれ出しており、太腿を伝っていくほどであった。
「ほら・・・私の股がお前のそれを欲しがっている・・・」
彼女の言葉に合わせるように、女陰がパクパクと開閉を繰り返し、萎えた陰茎の上に愛液が滴った。
鮮やかな赤い粘膜が見え隠れする様子に、男は興奮を覚えていた。
女は唇の端を吊り上げながら腰を下ろすと、緩く開いた女陰を陰茎に押し付けた。
裏筋に柔らかな陰唇が吸い付き、淫液を擦り付ける。
開閉を繰り返す女陰が、彼女の腰の動きによって上下に移動する。
「うぉぉ・・・!」
あたかも巨大な唇が肉棒に吸い付き、しゃぶるかのような感触に彼は声を上げた。
女陰の下で、男の肉棒に血が集まり、小さな脈動と共に大きくなっていく。
やがて、彼の肉棒は彼女を押し返すほどに屹立していた。
「これのぐらい・・・かな・・・ふふ」
屹立の硬さを確かめるように軽く腰を動かすと、彼女は軽く腰を浮かして広がった膣口に亀頭を当てた。
溢れる愛液に濡れる膣口と、溢れる先走りに濡れる亀頭が触れ合う。
そして、彼女はゆっくりと腰を沈めていった。
熱く、ぬるぬるに濡れた膣壁が、陰茎を包み込んでいく。
「ん・・・んふっ・・・」
「うぉぉ・・・!」
体奥を押し広げていく陰茎の感触と、屹立を包み込む弾力のある膣壁の感触に、二人は声を漏らした。
やがて男の下腹と女の尻がぶつかり、挿入が止まった。
「ん・・・全部、入ったな・・・」
体内の屹立を味わいながら、彼女はゆっくりと呟いた。
「それじゃあ、頂きます・・・」
その一言と同時に、膣が蠢動を始める。
粘液にぬめる滑らかな膣壁が、しなやかに波打ち始めたのだ。
陰茎の表面の、様々な場所がでたらめに圧迫され、擦られていく。
その刺激は先程味わった口戯の比ではなく、二度の射精がなければたちどころに達していたかもしれないほどだった。
だがそのせいで、彼は絶頂寸前の快感を長く味わうこととなっていた。
「ぐぁぁ・・・!」
もたらされる快感に、男は身悶えしながら声を上げた。
膣が蠢き、絡みつき、快感をもたらしていく。
肉棒が扱かれ、締められ、擦られていく。
狂おしいほどの快感の嵐に晒されながら、彼の肉棒がようやく脈打ち始めた。
「ん?もうすぐか・・・」
膣から感じた射精の予兆に、女は上体を倒して男に覆いかぶさった。
そして唇同士が触れんばかりに顔を寄せ、彼の瞳を覗き込みながら囁いた。
「さあ・・・私の飢えを・・・癒してくれ・・・」
瞬間、彼女の膣が一気に彼の肉棒を締め上げた。
いや、締め上げたという段階ではない。もはやその力は、噛み付いたといってもよいほどだった。
無論女陰の中に歯が生えているわけもなく、それは彼に強い快感を与えるだけだった。
「ぐぉぉぉっ!?」
強い快感に、彼は悲鳴めいた嬌声を上げた。
だが、彼女は構うことなく膣内を蠢動させ続けた。
膣口が肉棒の根元を締め上げ、噛み千切る。
膣内で細かく咀嚼され、蠢動する肉壁が滲み出す愛液と屹立を混ぜ合わせていく。
同時に、完全に愛液と混ざりきった陰茎が、波打つ粘膜に乗って膣奥へと運ばれていく。
痛みを伴うことなく、そのような錯覚を覚えるほどの動きが、膣内で繰り広げられていた。
「ぐぁっ・・・あぁっ・・・!」
数瞬のうちに、彼の興奮は限界に達し、意識がはじけた。
体奥で渦巻いていた煮えたぎった興奮が、尿道を押し広げながら屹立の中を登っていく。
そして大きく鈴口が広がると、渦巻く膣粘膜の内側向けて放たれていった。
「うぉぉぉっ・・・!おぉぉぉっ・・・!」
「・・・んん・・・あぁ・・・」
男の苦悶の滲む声と共に精液が迸り、女は軽く背筋を反らせながらうっとりと受け止めた。
愛液にぬめる膣内を精液が満たしていき、蠢動と共に膣奥へと吸い上げていく。
「ぐぁぁぁぁ・・・!」
精液と肉棒を嚥下していくような膣の蠢きに、彼の絶頂が引き伸ばされていく。
やがて肉棒からたっぷりの精液を放ち、さらに快感を加えられて精液を啜り上げられると、ようやく限界に至ったらしく、射精は止まった。
「っ・・・はぁはぁはぁはぁ・・・」
一瞬呼吸が止まると、男は荒い息をつきながら全身の硬直を解いた。
「ふふ・・・美味かったぞ・・・」
腹の中に注がれた、熱い粘液の感触を味わいながら、女は眠る男の頬を軽く撫でた。
「私の飢えを癒し続ける限り・・・お前は天下一の豪商になれる・・・」
次第に沈んでいく彼の意識に、女の言葉が届いた。
「よろしく、な・・・ふふ・・・」
暗くなった視界の中に、女の声が響いていた。
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