グランドール事件
階段を降り、通路を進み、俺は発電設備に向かっていた。
今まさに改造を受けている鉄には悪いが、もう時間は余りない。
今は任務を優先すべきだと俺は判断した。
梅宮のメッセージによれば、電力を復旧させればゲートが起動するはず。
そうすれば本隊がここ人形工房施設に雪崩れ込んで来るはずだ。
脳裏に浮かべた施設の見取り図を元に通路を進むが、幸い見張りの人形は現れなかった。
やがて、俺は発電設備へと続く通路にたどり着いた。
「・・・・・・」
壁の影から、発電設備の様子を窺う。
発電設備の扉は閉ざされており、見張りのつもりか数体の人形が立っているのが見えた。
俺は顔を戻すと、手の中の拳銃を簡単にチェックした。
「よし・・・」
低く呟くと、深呼吸を一つする。
そして、俺は通路へと飛び出していった。
身体を傾け、側転するように姿勢を変えていく。
集中によりゆっくりと動いていく視界の中、俺は見張り役の人形の首筋を狙って、拳銃の引き金を引いた。
反動と共に弾丸が飛び出し、一直線に進んでいく。
だが、命中するまでじっと見ている暇はない。
視線を強引に引き剥がし、次の人形に狙いを定める。
恐らく俺の存在に気が付いたのだろう。人形はこちらを向いていた。
だがその首筋はがら空きだ。問題は無い。
続けざまに弾丸を放ち、接近する床に腕を伸ばして受身を取った。
そして回転の勢いを利用し、そのまま立ち上がる。
同時に、首筋に弾丸を受けた人形がひっくり返る音が届いた。
姿勢を整え、拳銃を構えると、既に残りの人形達は俺に向けて接近しつつあった。
いずれも前傾姿勢で、首筋が見えなかった。
鉄と陽動を行っていたときは、相手に手間を掛けさせるため、わざと人形を機能停止に追い込まなかった。
だが、ここではそんなことを言ってる暇はない。
俺は接近しつつある人形の眼窩に狙いを定め、銃撃を行った。
弾丸が発射され、回転しながら人形の視覚センサーに命中し、センサーやケーブル、そしてその奥の重要回路を破壊しながら、奥へ奥へと食い込んでいく。
そして、最後の一体が頭部に受けた衝撃に仰け反っていった。
がしゃん
最後の一体が崩れ落ちる音を聞き遂げると、俺は全身に込めていた力を抜いた。
どうやら発電設備が重要だというのは、相手にとっても同じらしい。
『第一魔力供給室』への移送中に脱走し、発電設備の見張りが全滅したとなると、援軍の人形が押し寄せるのは時間の問題だった。
「急がないとな・・・」
誰にともなく呟くと、俺は発電設備の入り口に手を掛けた。
重い扉を、体重を掛けゆっくりと開く。
扉の隙間が次第に広がっていき、発電施設内部の様子が見えてきた。
だが、扉が完全に開く前に、俺は動きを止めてしまった。
部屋の中に、二つの人影があったからだ。
肩に届くほどの金髪に、整った顔立ち。
胴は金属製の装甲に覆われており、両脚の腿から下は直立した猫を思わせる形になっていた。
猫足の、戦闘人形だった。
「くっ・・・!」
施設内に人形を置いておく、という基本中の基本を考慮していなかったことを後悔しながら、俺は拳銃を抜いた。
まだ弾丸は残っている。
一体ずつなら相手できるはずだ。
妙な笑みを浮かべる猫足の人形に向けて、俺は拳銃を構えた。
その瞬間、何かが俺の眼前に降り立ち、衝撃と共に拳銃を俺の掌から弾いていった。
「なっ・・・」
「ふふ・・・」
人形が笑みを浮かべながら立っているのが、ようやく俺の認識に入る。
恐らく、天井の死角に潜んでいたのだろう。
「くそ・・・!」
「遅いわ・・・」
人形らしからぬ言葉と共に、その上体が一瞬沈み、鋭い蹴りが俺の胴めがけて放たれた。
鳩尾に、足が深々と突き刺さる。
「がふっ!?」
胸から沸き起こる激痛と吐き気に、俺は声を上げながら崩れ落ちた。
「侵入者捕獲、完了っと・・・」
猫足の人形はそう呟くと、倒れた俺の足首を掴んで、発電設備内へ引きずり込んだ。
「それじゃあGU-03、上に報告しておいて」
「了解」
妙に人間臭い一体の言葉に、別な猫足の人形が淡々と応じた。
「さて、と・・・こうやって話するのは始めてね?侵入者さん」
苦痛に身体を強張らせる俺に向けて、人形が問いかけた。
「私は戦闘人形GU-02っていうの。あっちにいるのがGU-03とGU-04」
簡単な自己紹介と共に、立ち尽くす人形を指し示す。
こうしてみて分かったことだが、人形達は髪こそ似たような金髪であったが、その顔つきが少しずつ違う。
そして俺は目の前にいるGU-02が、資材倉庫で俺を一瞬魅了しかけた人形であることに気が付いた。
「ん、覚えてたみたいね」
俺の表情を読んだのか、彼女は満足げに頷いた。
「さて、アンタのこれからの処遇なんだけど、上からは一時間だけ自由にしていいって言われてるのよ」
俺の足首を放しながら、彼女は続ける。
「それで私達、淫魔をベースに作られた人形なんだけど・・・まぁ、もう分かるわね?」
俺の返答を待つことなく、GU-02は俺の衣服に手を掛け、力を込めた。
合成繊維を編みこんだ衣服が、容易く引き裂かれていく。
「や、やめ・・・」
ゆっくりと収まりつつある苦痛を堪えながら、俺は弱々しく手を挙げ、抵抗しようとした。
「03、04、腕を押さえて」
「了解」
「了解」
GU-02の言葉に、残る二体の人形が無機質な声で応じ、俺を左右から挟むように屈んだ。
そして俺の手首を掴むと、床に磔にするように強引に広げ、手の上に腰を下ろした。
人工物とは思えぬ温かで柔らかい二つの臀部が、俺の掌に押し当てられる。
「よしよし・・・それじゃあ早速・・・」
GU-02は、本能的にかがめていた俺の両足を強引に伸ばすと、太腿の上に腰を下ろした。
顔を上げると、俺のペニスの向こうに、下着に覆われた彼女の股間が見えた。
柔らかそうな人形の太腿から、無意識のうちに俺は下着の奥を思い描いていた。
そして、その想像に肉棒が反応する。
「ん?人形に押さえ込まれて興奮してんの?アンタ」
勃起しつつあるペニスを見下ろしながら、彼女は嘲るように笑った。
屈辱が胸中に芽生えるが、屹立は俺の意思に反して隆々とそそり立っていた。
「ま、そっちの方が手間も省けるしね・・・」
言葉と共に無造作に手を伸ばし、ペニスを掴んで軽く扱くGU-02。
俺はその掌の柔らかさに、一瞬驚きを覚えた。
だが直後、甘い快感がじわりと股間から生じ、俺の意識を蕩かし始めた。
「うぐ・・・!」
「我慢しなくていいわよ。こっちで調節するから」
先端から滲み出した先走りを指で塗り広げながら、リズミカルに手が上下する。
次第に意識が高まっていき、押さえつけられている四肢が断続的に痙攣を始めた。
ペニスが人形の掌の中で脈打ち始め、絶頂が近いことを訴える。
だが―
「はい、ここまで」
残酷な言葉と共に、彼女の手がペニスから離れた。
俺を絶頂に導いていた刺激が掻き消え、脈打つペニスだけが取り残された。
「え・・・?」
「ん?出させて欲しかった?でもどうせ出すんだったら、こっちにね・・・」
唇をぺろりと舐めながら、GU-02は腰を軽く浮かせた。
ペニスの向こうに隠れていた下着のクロッチ部分には、小さな染みが出来ていた。
彼女は下着に指をかけ、少しずらしてその奥に隠れている女陰をさらけ出した。
そこは左右に広がり、粘液を滴らせる膣口があった。
「それじゃあ入れるわね・・・」
床に膝をつき、俺のペニスを握って角度を調整しながら、GU-02が言う。
膨れ上がった俺の亀頭が柔らかな膣口を擦り、甘い快感をもたらした。
そしてその直後彼女は一息に腰を下ろし、膣内に肉棒が埋まった。
柔らかい、襞に覆われた膣肉がペニスを根元から先端まで包み込む。
生殺しであった俺の精神が、その刺激により一気に弾けた。
「あがっ・・・あぁ・・・!」
短い声を上げながら、俺は人形の胎内に精液を放っていた。
射精に合わせて腰が跳ね上がり、GU-02の身体が揺れる。
「ん・・・まずは、一回・・・」
身体を揺すられながらも、彼女が呟く。
そして、いまだ精液を迸らせるペニスに、膣壁がねっとりと絡み付いてきたのだ。
襞が脈打つ裏筋をなぞり上げ、カリ首をくすぐっていく。
絶頂の中にあるペニスに注ぎ込まれる刺激に、俺は身悶えしながら声を上げた。
「いぎっ・・・!」
「ほらほら、時間が余りないんだから・・・」
膣内をうねらせ、腰を揺すりながらGU-02が言う。
ペニスが蜜壷をぐちょぐちょと掻き回し、下手すれば苦痛ともいえる快感を生み出していく。
「うぐぁ・・・あぁぁ・・・!」
うめき声を漏らしながら、俺は延々と精液を彼女の胎内に注ぎ込んでいた。
そして数分後、強引に引き伸ばされた射精がようやく終わり、GU-02の膣内から俺のペニスが解放された。
「はぁはぁはぁ・・・」
粘液に塗れ、萎えたペニスが腹に付くのもそのままに、俺は空気を貪るように呼吸していた。
「ん・・・良かったわよ」
俺に跨っていた人形が、にっこりと微笑みながら言った。
「それじゃあこのまま03と04の相手、頑張ってね」
「はぁはぁ・・・え?」
続く彼女の言葉に、俺は呆けたような声を漏らした。
「え?じゃないわよ。私たち三人でアンタを捕獲したんだから、褒賞も三人で分け合うことになってるのよ。
それに、03と04も我慢できないみたいよ?」
そこでようやく、俺は左右の人形の尻に敷かれた掌が、少しだけ濡れていることに気が付いた。
「それじゃあ私が手伝うから、03からね」
「了解」
「04はちょっと待ってね」
「了解」
言葉を交わしながら、三体の人形が俺の身体から腰を上げた。
押さえ込まれていた身体が解放されるが、先程の立て続けの射精により、とてつもない疲労感が全身を支配していた。
と、その時GU-02が俺の両足を抱え上げ、膝を自身の肩にかけるようにした。
「わっ・・・あっ・・・!?」
急に下半身が持ち上げられ、思わず声を上げる。
「それじゃあ03と04は口数が少ないし、愛想も悪いけど相手してやってね。単に私の制限が緩いだけだし」
「な、何を・・・あぐっ!?」
俺の声は直後の刺激に押し潰された。
人形が俺の尻に顔を寄せ、肛門に唇を重ねたのだ。
キスでもするかのように肛門をついばみ、吸い、舌でくすぐる。
むずむずとするくすぐったさと違和感が、断続的に俺を襲った。
そして、彼女の舌先が窄まりに埋められ、ゆっくりと肛門をほぐし始めた。
程無くして肛門の括約筋が脱力すると、彼女は舌を肛門に深々と沈めていった。
「あひぃ・・・ひぃ・・・!」
直腸内に侵入する柔らかな物体に、俺は声を漏らした。
腸壁を舌が擦り、異物感が俺の意識に染み入っていく。
やがて肛門を舌で穿られるという状況によるものか、俺のペニスが再び勃起を始めた。
「んぐ・・・んん・・・」
GU-02が俺のそばで立ち尽くす人形、恐らくGU-03に向けて何らかのハンドシグナルを送る。
GU-03は合図に一つ頷くと、俺の上半身をまたぎ腰を屈めた。
自身の股間を覆う濡れた下着をずらしながら、彼女は俺のペニスを掴む。
そして、彼女は突き出した腰をゆっくりと沈めながら、ペニスを自身の秘部に挿入していった。
ペニスが、細かな粒々の並ぶ粘膜に包み込まれていく。
「あぐぁ・・・ひぁ・・・!」
亀頭の微かな凹凸が、挿入に合わせて膣粘膜の粒々に擦れ、強い快感を生み出した。
俺と彼女が動かずとも、ペニスの脈動で粘膜と擦れ、絶頂に達しそうだ。
だが、先程のGU-02との交わりのせいか、いくら快感が高まれども絶頂にいたる気配はなかった。
「あぁ・・・あぁ・・・」
「・・・・・・」
俺の肛門に唇を重ねる人形が、何かを探るように腸壁を舌で擦っていた。
すると、不意に彼女は腸壁の一点に舌先を押し当てたのだ。
その瞬間、稲光のような衝撃を俺が襲い、尿道を熱く滾った粘液が駆け上っていった。
「ひぎっ・・・!?」
人形の膣内に精液が迸っていき、遅れて快感が訪れた。
射精を司る前立腺を直接刺激された、ということに俺はようやく気が付いた。
だが、そんな俺の内心に構うことなく、GU-02は繰り返し腸壁越しに前立腺を圧迫し続けた。
「あひっ・・・はひっ・・・!」
その度に間抜けな声と共に、精液が人形の胎内に放たれていく。
そして数度の射精を経たところで、立ち尽くしていたもう一体の人形、GU-04が動いた。
彼女は下着を脱ぎ捨てると俺の頭をまたぎ、そのまま腰を降ろしてきたのだ。
「んぶっ!?」
彼女の股間に、俺の顔面がうずもれる。
唇が緩く開いた陰唇を押し割って膣口と重なり合い、ぷっくりと膨れたクリトリスが俺の鼻に触れる。
口内に甘い粘液が流れ込み、鼻腔内に人形の放つ甘い香りが満ちていく。
「んん!んん!」
口を押さえられているせいで声は押し潰され、呼吸が苦しくなっていく。
だが、意識が遠のくにつれて脳を甘い香りが侵し、ペニスと肛門への刺激が快感をもたらしていく。
そして、十数回の強制射精を経たところで、不意に腸壁から舌が離され、顔面とペニスが解放された。
GU-03とGU-04の二体の人形が、立ち上がったのだ。
GU-04が俺のペニスを立ったまま膣内に導きいれ、GU-03が床にひざをつき、胸部の装甲を解除して露出した乳房を俺の顔に乗せてくる。
粘液に滑るペニスが締め付けの強い膣に収まり、粘液塗れの俺の顔が柔らかな乳房の谷間にうずもれる。
GU-04の膣は締め付けが強く、まるで膣壁越しに手で握っているかのようだった。
息苦しさと幸福感、微かな痛みと快感が、俺にもたらされる。
乳房の間の微かな汗の香りが俺の興奮を高め、ペニスをきゅうきゅうと締める膣壁が快感をもたらし、肛門から直腸を撫で回して舌が勃起を維持する。
すると、ペニスを包み締め上げる膣が、ゆっくりと波打ち始めたのだ。
二体の人形により酷使されたペニスをいたわるように、膣壁がマッサージをする。
だが、結局はその動きも俺を絶頂へと導く愛撫でしかなかった。
度重なる射精により磨り減った精神が、次第に高まってくる絶頂の予感に、悦びを覚えていた。
ペニスが脈打ち始め、射精の予兆を訴え始める。
すると、GU-04が膣の締め付けを強め、射精を促した。
一際強くなった刺激に、意識が限界に達する。
「・・・!」
人形の乳房の間で声を上げながら、俺はもはや何度目かわからない射精をしていた。
脈打ち、精液を迸らせるペニスを膣壁が締め上げ、腸内の舌が前立腺を圧迫する。
収まりかけていた射精が、前立腺の刺激により引き伸ばされていく。
「・・・!・・・・・・!」
乳房の間から押し潰された嬌声を俺は上げていた。
だが、人形達は構うことなく、淡々と俺を搾っていく。
これがいつまで続くのか、俺にはわからなかった。
だが、もうじき終わるであろう事は何となく悟っていた。
「・・・・・・!」
精液と共に、声が漏れた。
コンクリートがむき出しの、格納庫を思わせる無骨な空間に何十人もの人間がいた。
いずれも銃器を手にしており、緊張を滲ませながら部屋の奥に設置された大きなリングに向かっていた。
そしてリングの真正面には、身の丈三メートルはあろうかという、光沢を帯びた鈍色の甲冑が屈んでいた。
『・・・・・・時間だ』
リングの前に置かれた、巨大な甲冑が低い声を放った。
『現在時刻0500をもって、『人形工房』本部施設の封鎖解除作戦を終了。ジョンソン砲による目標の破壊を行う。
担当術者は、全員発射体勢に入れ』
甲冑はしばしの間を置いて、小さく呟く。
『・・・・・・すまない・・・』
そして、迷いを断ち切るかのように高らかに宣言した。
『ジョンソン砲、発射』
海の真ん中に赤く輝く球体が浮かんでおり、球体を囲むように艦隊が配備されていた。
幾隻か軍艦の甲板に光が宿り、藍色の空に向けてほぼ同時に飛び上がった。
光は放物線を描きながら天に昇ると、赤い球体めがけて一直線に落ちていく。
光は球体を通り抜け、球体の中にあった城に命中した。
瞬間、球体の中が光で満たされた。
そして光が消えた時、海の上には城も、赤い球体も無かった。
ただ何も無い海面を、艦隊が取り囲んでいるだけだった。
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