グランドール事件
俺はこのまま、第一魔力供給室とやらまで運ばれることにした。
全身の倦怠感も少々残っており、事務用人形とはいえ相手できるか不安が残る。
ここは大人しく第一魔力供給室まで行き、そこに囚われている松田隊長達を解放した方がいいだろう。
「・・・・・・」
俺は移動するストレッチャーの上で、じっと身体を休ませていた。
「到着しました」
ルーシーが、大きな扉の前でストレッチャーを停めると、そう言った。
大きな金属製の両開きの扉の左右には女性が二人、見張りのように立っていた。
服から除く腕や首筋に走る皮膚の継ぎ目を見ると、どうやら似たいとも人形のようだ。
「command 0x8452により、侵入者を連行しました」
「command 0x8452確認。精液提供者一名を受け入れます」
見張りの人形がストレッチャーに左右から歩み寄り、俺の二の腕を掴んで強引に抱え上げた。
とっさに抵抗しようとするが、人形の握力は強く、振りほどくことは出来なかった。
「それでは私はここまでです。ここから後は、担当の者にお聞き下さい」
ルーシーは笑顔で俺に向けて言うと、俺を乗せていたストレッチャーを押しながら廊下を戻っていった。
「command 0x8452、入り口扉の開錠を要求する」
扉に向けて、見張り人形の片方が無機質な声で言った。
『command 0x8452、確認。入り口扉を開錠します』
扉の脇に設けられたスピーカーから声が響き、機械音と共に扉がゆっくりと開いていった。
部屋の中から湿った空気と、甘く生臭い香りが噴出した。
「はぁはぁはぁ・・・」
「もっとぉ・・・もっとぉ・・・」
「あぁ・・・おちんちん・・・はやくぅ・・・」
一瞬遅れて、部屋の中に響く嬌声と湿った音を脳が理解した。
部屋はほぼ円形でかなり大きく、床には等間隔に幾つもの代が並べてあった。
天井にはレールが何本も張り巡らされており、そこには自走式のフックが幾つもぶら下げてある。
台の上には男が一人ずつ仰向けに固定されており、自走式フックには拘束具によって淫魔が一人ずつぶら下げられていた。
そして、淫魔は台に固定された男たちの屹立したペニスを、拘束具の大きく開い股間部分から露出する女陰で搾っていた。
「あぁぁ・・・もっとぉ・・・」
台に固定された男のペニスを膣で咥えたまま、淫魔が嬌声を上げる側を、見張りの人形が俺を抱えたまま歩いていく。
やがて俺は空いていた台に乗せられ、暴れる間もなく手足を固定された。
「固定完了、栄養剤カテーテルのセットを行う」
枕元に立っていた人形が、台から取り出したチューブの先端の針を、俺の首筋に刺した。
小さい痛みが俺を襲う。
「それではこれより、お前はここ『第一魔力供給室』にて淫魔に魔力の供給をしてもらう」
先端にパッドの付いたケーブルを俺の肌に貼り付けながら、人形が解説を始めた。
「ここで淫魔から徴収した魔力は、『人形工房』施設全体を包む結界の維持に使用される。
そのため淫魔は常時飢餓状態にあるが、お前の身体の状態は常に監視され、状況に応じて休憩と栄養剤が与えられる。
だから、安心して精液提供に従事するように」
最後のケーブルを貼り付け終えると、人形は台から離れていった。
「く・・・!」
手足を動かそうとするが、一部の隙もなく身体は固定されている。
どうやら逃げ出すどころか、この台から離れることも出来ないようだ。
そんなことをしているうちに、ごろごろと転がる音が一つ、俺のほうに接近してきた。
目を向けると、天井のレールを伝って一体の淫魔が運ばれてくるところだった。
「はぁはぁはぁ・・・」
顔を紅潮させ、荒く息をつく淫魔はまだ十台半ばほどの外見をしていた。
肩に掛かるほどの黒髪が良く映える白い肌は、拘束具によって痛ましいほどに締め上げられている。
淫魔を運ぶ自走式のフックが、小さなブレーキ音と共に俺の上で止まる。
彼女の女陰はすでに愛液をだらだらと垂れ流しており、薄く口を開いていた。
そこから薫る甘い匂いに、俺のペニスは自然と屹立していた。
「はぁはぁはぁ・・・あぁ・・・おちんちん・・・」
淫魔が小さく呟くと同時に、拘束具とフックを繋ぐ支柱が伸びた。
彼女の身体が下降し、狙い済ましたかのように俺のペニスが膣に飲まれていく。
「ぐぁ・・・!」
亀頭の先端から竿の半ばまでを包み込んだ、熱い肉の感触に俺は声を上げた。
彼女の膣肉は柔らかいながらも、俺のペニスをぎっちりと締め上げ、強い刺激を与えてくる。
「はやくぅ・・・!」
懇願するように、淫魔が潤んだ瞳で俺を見下ろしながら、膣内のペニスを締め上げてくる。
訴えかけるような彼女の表情と膣の締め付け、そして室内に篭った熱と匂い。
それらが一体となって俺の興奮を押し上げた。
淫魔の膣奥めがけて、俺のペニスから精液が迸った。
「あぐっ・・・!」
「あぁ・・・出てる・・・!」
放たれる白濁の感触に、淫魔が恍惚と言った様子で声を漏らした。
やがて射精が収まり、快感に遠のきかけていた意識が元に戻る。
だが、彼女はまだ満足していないようだった。
「もっと・・・せいえき・・・もっとぉ・・・!」
「え・・・あぅっ・・・!?」
うわ言のように漏れた彼女の言葉の直後、膣がその締め付けを強めた。
愛液によりにゅるにゅると滑った膣壁が、亀頭や竿を押し潰さんばかりに締め上げてくるのだ。
射精の直後で萎えかけたペニスに血が満ち、再び高まってきた興奮に脈動が再開する。
そしてペニスの脈動により、膣壁とペニス表面が擦れた。
「ぐぁぁ・・・!」
強い締め付けと、脈動による細かな愛撫により、快感が生じ興奮が高まる。
やがて、そう大した時間も掛からぬうちに、俺は二度目の絶頂を迎えた。
「うぁぁ・・・うっ・・・!」
低いうめき声と共に腰が痙攣し、精液が彼女の胎内へ噴出していった。
二度目の射精の後、機械音と共に淫魔の身体が持ち上げられ、そのまま彼女は自走式フックによっていずこかへと運ばれていった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
立て続けの二度の射精による疲労に荒く息をつきながら、俺は部屋の様子を確認した。
部屋は広く、男が固定されている台は幾つもあり、見える範囲に松田隊長達三人の姿はなかった。
そしてすぐに、俺の耳を自走式フックの移動音が叩いた。
運ばれてきたのは、二十歳ほどの金髪の淫魔だった。
豊かな胸が拘束具の隙間からはみ出しており、自走式フックの停止によってぷるぷると揺れた。
「あぁ・・・チンポぉ・・・」
とろん、と蕩けたまなざしで俺の股間を見つめながら彼女が言うと同時に、彼女の身体が下降した。
部屋に立ち込める甘い香りによって勃起したペニスが、淫魔の膣へ潜り込んでいった。
柔らかな膣肉が、俺のペニスを包み込んだ。
「うぁぁ・・・」
彼女の膣内は先程の淫魔と違っており、締め付けこそ弱いものの、柔らかな襞が幾重にも重なっており、波打ちながらペニスを刺激していた。
「んっ・・・チンポ、はいったぁ・・・!」
喜びの滲む声を上げながら、彼女は拘束具に包まれた体を揺すった。
腹回りの筋肉が動き、それに連動して膣の波打ちが大きくなる。
愛液に塗れた襞とペニスが擦れ、ぐちゅぐちゅと淫猥な音を立てた。
「うぉ・・・!ぉぉおお・・・!」
「はぁはぁはぁ・・・!」
淫魔の腰がでたらめに揺れ、波打つ膣壁に不規則な圧迫が加わった。
無数の襞に覆われた膣肉越しにペニスをこねられるかのような感触に、俺の身体が身悶えするように小さく跳ねる。
歯を食いしばり快感を堪えようとするが、彼女の膣はあざ笑うかのように柔軟にうねり、ペニスをこねて刺激を加えてくる。
そして、俺に限界が訪れた。
「うぐ・・・あぁ・・・!」
どくん、どくん、とペニスの脈動に合わせて、精液が襞の奥に向けて放たれていく。
ペニスを包む膣壁は、まるで精液を導いていくかのように波打ち、ねっとりとペニスに絡み付いてきた。
その刺激により快感が生じ、射精が強引に引き伸ばされていく。
「あはぁ・・・いっぱいぃ・・・」
口の端から涎さえ垂れ流しながら、彼女は俺の放つ精液を貪っていた。
やがて射精の快感が苦痛に変わる頃、ようやく俺の絶頂が終わり、射精が収まった。
「・・・っ、はぁはぁはぁ・・・」
やっと訪れた絶頂の終わりに、俺は呼吸を荒くしながら全身を弛緩させた。
だが、金髪の淫魔はまだ満足していないらしい。
「もっとぉ・・・もっとぉ・・・!」
彼女の精液を求める声に応じるように、フックと拘束具を繋ぐ支柱が更に伸びた。
拘束具からはみ出る彼女の尻が、俺の太腿に当たり、ペニスが根元まで膣内に押し込まれる。
「かはっ・・・!」
「あぁ・・・かたくなって、きたぁ・・・!」
深く入り込んだペニスをもてなすかのような膣のうねりに、俺の肉棒が勃起していく。
だがその直後、今度は支柱が縮んで彼女の身体が持ち上げられていったのだ。
膣壁に刻まれた襞がペニスの表面を擦りながら持ち上げられていき、ペニスが膣から引き抜かれていく。
そして、亀頭のすぐ下まで引き抜かれたところで支柱の短縮が止まり、再び伸張した。
柔らかな膣肉が、再びペニスを根元まで包み込んでいく。
「あぐっ・・・!あうっ・・・!っか・・・!」
「あは・・・!あぁ・・・いぃ・・・!」
支柱が伸び縮みするのに合わせて淫魔の身体が上下し、彼女の柔らかな膣肉が俺のペニスをねっとりと扱いていく。
彼女の身体の上下のストロークは、むしろ遅いくらいだったが、それでもその柔らかな膣肉が絡みついて扱く感触は、俺に耐え難いほどの快感を与えていた。
「あぐ・・・うぐ・・・うぅ・・・!」
拘束され、機械に補助を受けながらの強制性交に、俺の屈辱と興奮が高まっていく。
そして、彼女の身体が下げられ、その膣内に深々とペニスが食い込んだところで、俺は絶頂に達した。
ペニスが収縮を繰り返しながら、興奮に滾った精液を、変わらぬ勢いで迸らせる。
「あぁ・・・あー・・・」
胎内に注ぎ込まれていく熱い白濁の感触に、金髪の淫魔は呆けたような声を上げていた。
そして、彼女の胎内に精液を最後の一滴まで注ぎ終えると、支柱が縮んで金髪の淫魔は運び去られていった。
「っ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」
ほとんど休憩を挟まない上での、立て続けの絶頂に俺の全身が悲鳴を上げていた。
だが、まだ休ませる気はないらしい。
そう間を置くことなく、藍色の髪を結い上げた、二十代後半ほどの淫魔が運ばれてきたからだ。
全体的に身体の肉付きは良く、拘束具の各所から太腿や乳房の肉が盛り上がっているのが良く見えた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
彼女は先の二人より遥かにぐったりとしており、ぱっくりと口を開いた女陰から滴る愛液とその熱に浮かされたような顔付きから、かなり『飢えて』いることが分かった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
淫魔の身体が俺の上で静止し、その瞳が俺のペニスを捉える。
だが、彼女の口からは吐息が漏れるばかりだった。
淫魔の膣口から滴り落ちる愛液が、俺のペニスに当たり、その感触に肉棒が硬くなっていく。
拘束具とフックを繋ぐ支柱が、機械音を立てながら伸張した。
「はぁ・・・はぁ・・・あ・・・」
藍色の繁みに縁取られた女陰が接近し、膨らんだ亀頭が彼女の膣口に触れ、淫魔の口から小さな声が漏れた。
その直後、俺のペニスは根元までが彼女の膣中に納まっていた。
ペニスの先端から根元までが、一部の隙もなく柔らかい膣肉に包まれる。
彼女の膣内は、その外見に合わせるかのように熟れ切っていた。
柔らかな膣壁がペニスを包み、発達した筋肉が膣壁をうねり、波打たせていた。
「ぐぁぁ・・・!」
金髪の淫魔のように腰を振るわけでもなく、ただ俺の上に乗っているだけの彼女の膣内の感触に、俺は声を上げていた。
同時に、俺の声に反応するかのように彼女の胎内が大きくうねり始めた。
膣壁に刻まれた幾重もの襞が波打ち、膣億の亀頭を包む粘膜に備わる小さな粒々が亀頭を擦る。
まるでペニスを歯のない口で咀嚼するかのような動きに、数度の射精を経ているはずの俺が、あっという間に追い詰められていく。
「ぐ・・・う・・・!」
そして小さくうめき声を漏らすと同時に、膣内で精液が弾けた。
ペニスが跳ね、精液が迸り、膣奥へ注ぎ込んでいく。
膣全体が波打つように収縮し、俺の放った精液を奥へ奥へと運んでいった。
そして、射精の勢いが弱まり、収まった。
「・・・っ、はぁ・・・」
生き返った、とでも言うかのように藍色の髪の淫魔が息をついた。
だが、これで終わりではないのは、先の二人から分かっていた。
射精を終えたペニスに、彼女の膣壁が絡み付いてきた。
そして、ペニスを更に奥へ奥へと導くように、蠕動を始めたのだ。
無論、淫魔の尻と俺の太腿が触れ合っているため、これ以上奥に挿入することは出来ない。
だから、彼女の膣壁に刻まれた襞は、分泌される粘液によってペニスの表面をにゅるにゅると滑るばかりであった。
膣奥では粘膜に備わった小さな粒々が、亀頭表面に取り付き、粘膜を軽く波打たせるようにして亀頭を擦っていた。
「うぁぁ・・・」
貪るような先程の搾精と異なり、刺激と快感をゆるゆると与えてくる膣の蠢きに、俺は声を漏らしていた。
「ねぇ・・・もっとぉ・・・」
藍色の髪の淫魔が、膣内をうねらせながら甘えるような声を漏らした。
直後、俺の鈴口に何かが吸い付き、軽く尿道を吸った。
「ひうっ!?」
突然の刺激に変な声を上げてしまう。
鈴口に吸い付いたのが、彼女の子宮工であるというのに気が付いたのは、二度三度と立て続けに吸い付かれた後であった。
だが、その正体に気が付いたからと言って、俺の声が病むことはない。
「あひっ、ひぃ・・・!」
恋人同士が軽いキスを何度も重ねるように、彼女の子宮口と俺の鈴口が何度も触れ合い、先走りが吸い上げられていく。
ペニス全体を包む柔らかいねっとりとした快感に、鈴口に与えられる断続的な強い刺激。
この二つが、俺を追い詰めていた。
「あぁ・・・あぁ・・・!」
全身ががくがくと痙攣し、彼女の膣内でペニスが脈動を始める。
何度目か分からない射精が近いのだ。
すると、彼女の膣は射精の予兆を感じ取ったかのように、鈴口に強く子宮口を押し当ててきた。
そして、子宮口が滑らかに大きく広がり、亀頭を半ばまでくわえ込んでしまう。
淫魔の子宮内はみっちりと弾力のある肉が詰まっており、入ってきた亀頭をきゅうきゅうと押さえてきた。
「あぐっ・・・!」
突如加わった子宮の肉の感触に、興奮がはじけた。
意識が白く霞み、痙攣と共に精液が子宮に迸っていく。
子宮内面の肉は、注ぎ込まれる精液を漏らすまいとするかのようにリズミカルに蠕動し、鈴口から迸る精液を吸い上げていった。
「あぁ・・・いっぱいぃ・・・おくにぃ・・・」
藍色の髪の淫魔が、うっとりとした様子で声を漏らした。
だがその胎内では、もっと精液を搾り取ろうとするかのように熾烈なまでの責めが行われていた。
子宮粘膜の蠕動に亀頭が、膣粘膜の蠢動に竿が擦れ、精液の噴出が勢いを増していく。
もはや俺の口からは声は漏れず、ただ空気の通る音だけが小さく鳴っているだけだった。
そして、その後どれ程精液を搾られただろうか。
藍色の髪の淫魔の膣から、俺のペニスが解放された頃には、俺の意識は完全に蕩け、呼吸と心拍はとんでもない勢いになっていた。
「はぁはぁはぁはぁはぁ・・・」
空気を吸っても吸っても足りず、呼吸と鼓動だけが加速していく。
すると、俺の首筋に刺さるチューブから、首の血管に液体が注ぎ込まれ始めた。
液体の注入にあわせるように、苦しかった呼吸が楽になり、早鐘のように打っていた心臓の鼓動が遅くなっていった。
そして、全身を支配していた疲労と倦怠感が徐々に消えていき、身体に活力が漲ってくるのが分かる。
数分後、薬剤の投与が終わる頃には、俺の身体はここに運び込まれた時以上に『元気』になっているのが分かった。
だが、脱出方法を考える余裕は、今の俺にはなかった。
不意に、俺の耳朶を自走式フックの移動する音が打った。
「あぁ・・・おちんちん・・・はやくぅ・・・!」
眉根を寄せ、悩ましげにペニスと精液を求める緑髪の淫魔が、俺の上に運ばれてきた。
彼女の放つ甘い香りに、立て続けに酷使され、疲弊しきっていたはずのペニスが膨張し、先端から先走りを滲ませ始めた。
「あぁっ・・・おちんちん・・・おちんちん・・・!」
屹立した肉棒を眼にし、緑髪の淫魔が懇願の声を上げた。
それに応えるように、自走式のフックと拘束具を繋ぐ支柱が伸びる。
機械音と共に彼女の身体が下降し、屹立したペニスがその膣内に収まった。
「うぁぁぁ・・・あぁぁ・・・」
ペニスにもたらされる甘い快感に、俺は声を上げながら身悶えしていた。
もはや俺はここから逃れることは出来ず、死ぬまで淫魔に精液を捧げ続けることになるのだろう。
そして、身体が限界を迎えれば薬剤を投与され、精神だけが削られていくのだ。
「あぁ・・・あぁぁ・・・!」
熱く、愛液に滑る淫魔の胎内に向けて、俺は精液を放っていた。
一刻も早く、俺の意識が完全に溶解することを祈りながら。
コンクリートがむき出しの、格納庫を思わせる無骨な空間に何十人もの人間がいた。
いずれも銃器を手にしており、緊張を滲ませながら部屋の奥に設置された大きなリングに向かっていた。
そしてリングの真正面には、身の丈三メートルはあろうかという、光沢を帯びた鈍色の甲冑が屈んでいた。
『・・・・・・時間だ』
リングの前に置かれた、巨大な甲冑が低い声を放った。
『現在時刻0500をもって、『人形工房』本部施設の封鎖解除作戦を終了。ジョンソン砲による目標の破壊を行う。
担当術者は、全員発射体勢に入れ』
甲冑はしばしの間を置いて、小さく呟く。
『・・・・・・すまない・・・』
そして、迷いを断ち切るかのように高らかに宣言した。
『ジョンソン砲、発射』
海の真ん中に赤く輝く球体が浮かんでおり、球体を囲むように艦隊が配備されていた。
幾隻か軍艦の甲板に光が宿り、藍色の空に向けてほぼ同時に飛び上がった。
光は放物線を描きながら天に昇ると、赤い球体めがけて一直線に落ちていく。
光は球体を通り抜け、球体の中にあった城に命中した。
瞬間、球体の中が光で満たされた。
そして光が消えた時、海の上には城も、赤い球体も無かった。
ただ何も無い海面を、艦隊が取り囲んでいるだけだった。
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