富恵『結婚もしていないのにセックスとか、不潔だと思います!』




異性の幼馴染。

この言葉にときめきを覚える諸君は、以下の文章を読むことをお勧めしない。

僕も『彼女』がいなければこの言葉に胸の高鳴りを覚えていただろう。

現実には動悸しかしないのだが。

とにかく、ここでは僕と『彼女』の過ごした日々と、ホワイトデーに起こったことを記す。

念のためにもう一度書いておこう。

異性の幼馴染。

この言葉にときめきを覚える諸君は、以下の文章を読むことをお勧めしない。





















僕こと檀隆一と霧家富恵は家が隣ということもあって、幼いころから親しかった。

親同士の仲もよく、幼い頃は手をつないで幼稚園に行ったりもしていた。

小学校に上がってからは、さすがに恥じらいもあって手をつないでの登校はしなかったが、それでも他の女子より仲はよかった。

やがて学年が上がるにつれ、彼女と会う時間は少なくなっていった。

その代わり、濃度が上がっていった。



小学校低学年の頃、僕の家に宿題を教えてもらいに来た。

富恵は「久しぶりにお手て繋いで」と、机の下で手を繋いできた。

彼女の柔らかな掌を感じながら、一緒に学校の宿題を解いた。



小学校中学年の頃、成績が逆転し僕が教えてもらう側となった。

富恵の家に行って宿題を教えてもらった後、彼女は教えたお礼と称して抱きしめることを要求した。

妙な恥ずかしさを覚えながら彼女を抱きしめ、腕の中で小さく震える彼女のぬくもりを感じていた。



小学校高学年の頃、とうとう身長を追い抜かれてしまった。

富恵は相変わらず僕より成績がよかったが、なぜか勉強を教えてくれと僕の家に来ていた。

そして勉強を教えてくれたお礼だといって、僕を抱きしめた。

半ば覆いかぶされるようにして、彼女の膨らみかけの乳房を顔面に押し当てられ、異様に荒く深い鼻息を頭皮に感じながら、僕は異様なまでの恥ずかしさを覚えていた。



そして中学の頃、同級生にからかわれるのがいやで、富恵とは外でおおっぴらに会わなくなった。

それでも試験期間直前は互いに勉強の教えあいぐらいはしていた。

ある日、家に帰ると彼女が僕の部屋に上がりこんでいた。

それだけなら何度もあったことだ。

だが僕のブリーフを一枚顔に被り、スカートを腰まで捲り上げて僕のブリーフをはいた尻を掲げ、素敵な笑顔で自身のパンツとブリーフを絡ませていた。

僕のベッドの上で寝そべりながら。

ドアを開いた瞬間の、彼女の驚愕と悦びの混ざった奇妙な表情は、今でも僕の脳裏に焼きついている。

彼女は絡まったブリーフとパンツを置くと、ベッドの上で正座をし、部屋の入り口で固まる僕に向けてにっこりと微笑みながらこう言った。

「おかえりなさい、隆一君」

涎にまみれたブリーフと、彼女のパンツと絡まるブリーフ、そして妙にぬるぬるする液体が染みたブリーフを彼女から奪い取ると、僕は窓から富恵を叩き出した。

家が平屋だったから彼女に怪我は無かったが、仮に部屋が二階家三階にあっても、僕は構わず叩き出していただろう。

だって怖かったんだもん。

その後がちがち震えながら、僕は三枚のブリーフを洗濯機に叩き込み、妙に甘ったるく生臭いにおいの篭る部屋に消臭剤を撒いた。

性欲盛んな中学生だったが、彼女の自慰の跡と匂いには欲情できなかった。

エロいもモーロックも無い。怖かったのだ。

そしてその日から何かが吹っ切れたのか、彼女は学校でも猛然と僕にアタックを仕掛けてくるようになったのだ。

登校中に後ろから、「隆一君おはよぉぉぉぉぉぉっっ!!」と声を上げながら飛び掛ってくる。

僕の母親に話をつけて、毎日僕の分の弁当を用意する。

毎日僕宛のラブレターを書き連ね、僕の靴箱やカバンに忍ばせる。

時々僕のハンカチといった持ち物が消え、翌日発見される。

風呂を覗く。

そんなことを彼女は繰り返すようになった。

だがそのことを両親に訴えてみても、彼女の真面目な外面のせいで、「そんなことは無かろう」と一蹴されるだけだった。

そして年月は流れ、僕と富恵は高校へ上がった。











「それで、お前は何を言いたいんだ」

「霧家の異常さだよ」

昼休み、僕は友人の愛巧と席を挟んで昼食を食べていた。

「異常ねえ」

売店で買ったパンをかじりながら、愛巧は恨めしそうな目を向けてきた。

「まずその弁当、霧家さんが作ってくれたんだろ?」

「そうだ」

愛巧の問いかけに、僕はいつの間にかカバンに入り込んでいた弁当をつつきながら答えた。

なかなかの出来だが、首筋に感じる富恵の視線のせいで、味がよく分からない。

「んで、家が隣同士で互いの家に遊びに行ったり、勉強の教えあいをしていた」

「最近はしてないけどな」

「小、中とクラスが同じで、霧家さんの学力ならもっと上の高校も狙えたのに、わざわざお前と同じ高校を選んだ?」

「そうなんだろうな」

「勿体無い・・・」

「ああ、勿体無いな、霧家の学力は」

「そっちじゃない!」

愛巧はイスから立ち上がりながら声を荒げた。

「霧家さんみたいな完璧超人がアプローチを仕掛けてくるのに、何でまたお前はそう突っぱねるんだ!」

「毎日毎日ストーカーまがいの監視と追跡をされたことあるか?」

「ご褒美じゃないか!!」

「落ち着け、座れ」

僕の言葉に、愛巧はふうと息を付いて腰を下ろした。

愛巧と知り合ってから幾度となく繰り返したやり取りに、クラスメートはもはや慣れっこになってるらしく、誰も目を向けなかった。

「それで、お前は何が不満で霧家さんを遠ざけるんだ?」

「とにかく辛いんだよ、ストーカーまがいの求愛行動を受けるのは」

「例えば?」

「例えば・・・僕の洗濯物が時々無くなるとか」

愛巧の問いに、僕は例を挙げていく。

「風呂に入っているときに妙な視線を感じるとか、

登下校中に抱きついてきたときに思いっきりうなじを舐めてくるとか、

体育があった日は体操服が無くなって、翌日洗濯した状態で返してあったりとか、

バレンタインデーにもらったチョコに『唾と毛と愛液、どれを入れようか迷いましたが、全部入れました』っていう手紙が添えてあったりとか」

「ハハハ、霧家さんがそんなことする訳なかろう」

愛巧は僕の訴えを一笑に付した。

「ほとんどがお前の勘違いと被害妄想じゃないのか?」

「いや、本当だって」

「証拠は?」

「証拠は・・・」

証拠といわれても、見せられるようなものは全く無い。

バレンタインデーの手紙は読むと同時にチョコと一緒に焼き捨てたし、洗濯し終えてある体操服を見せても何の証拠にもならないだろう。

背中や首筋にびんびん感じる熱い視線にそっと振り返ってみると、後ろの席で僕を見ていた富恵と目が合った。

彼女はにっこりと微笑むと、小さく手を振って見せた。

「ほら、無いだろう」

絡みつく富恵の視線を引き剥がして顔を前に向けえる僕を見ながら、愛巧は診断を下す医者のように続ける。

「おそらく、お前がストーカー行為だと考えているのはほとんどがお前の勘違いと誤解によるものだろう。

仮にお前の訴える被害が本物だとしても、多くはお前の行動一つで解決する」

彼は一拍置くと、人差し指を立てた。

「霧家さんの行動に応えてやれ」

「・・・それだけ・・・?」

「それだけだ」

「もうちょっと有益なアドバイスを期待していたんだけど」

ジト目の僕の視線に、愛巧は動じなかった。

「おそらく彼女の抑圧された欲求やら何やらが、お前に対する求愛行動となって噴出しているんだろう。

お前が霧家さんの求愛に応じてやれば、欲求不満が解消され、求愛行動も軽くなるはずだ」

最後に残ったパンを咀嚼し、飲み込む。

「とにかくだ、いい加減お前は霧家さんとくっつけ。そうすれば悩みは解消される」

「結局のところ僕は霧家と付き合わなければいけないのかよ」

アドバイスにもなっていない愛巧の言葉に、僕は溜息をついた。

「それで、誰にそう言うように指図された?」

「霧家さんの一途な想いが実らずかわいそうだ、って女子連中が俺に言うんだよ。灰戸に囲巣に工藤に字戸に世具に・・・とにかくみんな言ってる」

「嘘をつけ愛巧」

あたかも付き合いがあるかのように羅列した女子の名を、僕は一蹴した。

「それで、本当は?」

「霧家さんに頼まれた」

富恵の布陣に、僕はがっくりとうなだれる。

僕に味方はいないのか。

「だがな檀、これだけは俺の意思で言わせてもらう」

後頭部に降り注いだ彼の声に、僕は顔を上げた。

「いい加減、霧家さんを受け入れてやれ」

いつになく、愛巧の目が真剣だった。











富恵の熱い視線を背中に受けながら、今日の授業が全て終わった。

ホームルームを終え、帰る頃になるといつものように彼女の姿は消えていた。

きっと僕の帰宅路のどこかで待ち伏せして、飛び掛ってくるのだろう。

いつもならばいつ飛び掛ってくるか戦々恐々しているところだが、僕の脳内には別なことが浮かんでいた。

『いい加減、霧家さんを受け入れてやれ』

夕焼けに赤く染まった帰り道を歩きながら、僕は愛巧の言葉を反芻していた。

言われてみれば、今まで富恵には冷たくしすぎたかもしれない。

小中学時代の気恥ずかしさに加え、彼女の過激な自慰行為を目撃したのも原因だ。

だが、それも僕に対する想いが募りすぎた結果だろう。

「りゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」

十字路の右手から、ドップラー効果で高くなった富恵の声と、規則正しい駆け足の足音が耳に飛び込む。

「いっちぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっくぅぅぅぅううううううううううんっっっ!!!」

だんっ、という力強い踏み込み音と同時に、跳躍した富恵の体が宙を舞って僕に覆いかぶさってきた。

「ああんもう帰り道ばらばらだったのにばったり会うなんてすごい偶然よねすごいわね偶然」

僕の顔を制服越しに胸に埋め、両足を僕の下半身に絡ませ、流れるように言葉を連ねつつ僕の頭皮の匂いを嗅いでいる。

「ところで隆一君弁当おいしかった?私はおいしかったわ隆一君のお箸上と下の口で味わったわ隆一君」

さりげなく危ない発言が混ざっていたが、彼女の掌がわしゃわしゃと僕の頭をかき回すせいで突っ込みもままならない。

いつもならば止めろとか放せとか言って、彼女の拘束を振りほどき脱走するのだが、今日は言わなければならないことがある。

ぐらぐら揺れる視界に酔いそうになりつつも、僕は言葉を絞り出した。

「と、と、とみえ・・・」

「え?何、隆一君?」

頭皮を撫で回す手が止まり、僕の視界の揺れが治まった。

「きょ、今日の弁当・・・うまかったよ」

「え・・・」

僕からの初めての弁当の感想に、富恵の目が丸くなる。

「その・・・いつもありがとう・・・」

「・・・ど、どうしたの隆一君・・・」

うろたえた声と共に富恵は僕から身を離すと、僕の肩をつかんで腰を屈め、目を覗き込んできた。

いつもとは違う僕の言動に、彼女は動揺しているようだ。

「熱でもあるの?病気なの?大丈夫なの?」

矢継ぎ早に質問を重ねながら、おでこを僕の額に押し当てる。

いつもなら、止めろよ、などと言いながら押しのけるのだろうが、僕は大人しく受け入れた。

接近した彼女の瞳を見据えながら、次第に熱くなっていく彼女のおでこを感じていた。

「熱、無いだろ?」

「・・・えぇ・・・」

「それでだ、本題はここからなんだけど・・・」

顔全体を上気させた富恵の肩を押しやり、額を引き離しながら続ける。

「明日・・・どこかに二人で行かないか・・・?」

「・・・・・・・・・」

「ああ、そのデートとかそういうわけじゃなくて・・・ほら、先月のバレンタインデーにチョコくれたろ?」

呆けたように目を見開く富恵に向けて、気恥ずかしさをごまかすため言葉を連ねていく。

「アレのお返しがしたいんだよ。下手に僕一人でお返し選んで失敗するよりは二人のほうがいいだろ?だから・・・」

「・・・・・・隆一君」

富恵は短く僕の名前を呼ぶと、両腕を僕の背中に回し、ぎゅっと抱きしめてきた。

「え、ちょ、ちょっと!富恵・・・」

「・・・・・・・・・がと」

「え?」

突然の彼女の抱擁に驚く僕の耳を、微かな声が打った。

「あり・・・がと・・・隆一君・・・」

「富恵・・・?」

「おいしい、って・・・言ってくれて・・・ありがと・・・」

富恵は小さく声と体を震わせながら、そう言った。

顔は見えないが、彼女はおそらく泣いているのだろう。初めての僕の料理への感想に対して。

僕は口を閉ざし、そっと彼女の背中に手を回し、撫でてやった。











その後、僕は彼女の気が済んだところで解放してもらい、久しぶりに一緒に帰った。

明日どこに行こうかとか、どんな品物がお返しとして嬉しいかとか、そういった話をぎこちなく交わし、それぞれの家の前で別れた。

家に帰ったらいつもと同じように夕食を食べ、明日出かける旨を家族に伝え、部屋に引っ込む。

そして今日の復習を終え、明日に備えて早めにベッドに潜り込んだ。

閉ざした瞼の裏に、別れ際の富恵の姿が浮かび上がる。

『じゃあ隆一君・・・また明日』

微かに顔を赤らめ、小さく手を振る彼女は、まさに女の子だった。

下校前までの、あの異様なまでの熱意の篭ったストーカーの姿はどこにも無い。

(お前の言うとおりだったな、愛巧・・・)

胸中でクラスメートに礼を言うと、僕の意識はまどろみの中に沈んでいった。











異性の幼馴染。

この言葉にときめきを覚える諸君は、以下の文章を読むことをお勧めしない。





















はじめに感じたのは息苦しさだった。

金縛りを体験した人が言う、体に誰かが乗っているかのような感覚だ。

呼吸が阻害されたことで、まどろんでいた意識が浮かび上がってくる。

(何だ・・・これ・・・?)

脳内で自問しながら、僕は薄く目を開いた。

すると、まさに僕の胴の上に、何者かが跨っていたのだ。

閉じていたはずのカーテンは開け放たれ、窓から差し込む街灯の逆光のせいで顔は見えない。

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

荒い呼吸をし、苦悶するかのように身を左右に揺らすそれは、悪霊か何かのように思えた。

だが、同時にその呼吸音は、僕にその影の正体を悟らせていた。

「え・・・富恵・・・?」

「はぁはぁ、あ・・・隆一君・・・目、覚めた・・・?」

僕の声に、富恵が上半身を屈めて顔を寄せてきた。

彼女の顔は赤く上気しており、まるで軽いランニングでもしてきたかのようだった。

「何で、お前ここに・・・」

「あのね、昨日隆一君抱きしめてくれたでしょ?私、帰ってからずっと制服に付いた隆一君の匂いで慰めてたけど、ぜんぜん満足できないの」

微笑みながら、彼女は湯に浸けていたかのようにふやけた右手を僕の眼前に差し出して見せた。

生臭い香りが、僕の鼻を衝く。

「明日になれば隆一君に会えるって分かってるのに、切なくて堪らなかったのよ。ずっと時計見て、制服の隆一君の匂い嗅ぎながら、待ってたの。そして今日になったんだけど、今度は朝になるのが待てなかったの。だから・・・」

枕もとの電気スタンドに手を伸ばし、スイッチを捻りながら彼女は続けた。

「来ちゃった」

明るさ最小で点いた電気スタンドの薄暗い光が、彼女の全身を闇の中に浮かび上がらせた。

僕より大きいながらも、華奢さを感じさせる肩。

女性的な柔らかさに満ちた豊かな乳房と、その先端でぷっくりと膨れた桃色の突起。

意外とくびれたウエストから、ほどよい大きさの尻と張りのある太もも。

そしてへその遥か下、両足の付け根へと繋がる柔らかな繁みが、僕の目に一度に飛び込んできた。

富恵は衣服どころか下着さえも纏っておらず、僕にその裸身を晒していた。

「うわ・・・んぶっ・・・!?」

「ああ隆一君だめ、おじさんたちが起きちゃうでしょ」

声を上げようとした僕の口を手で覆いながら、彼女はくすくすと笑った。

「ちょっと静かにしててね、隆一君」

僕の口内に丸めた布が押し込められ、細くねじったハンカチが猿轡として噛まされる。

そしてもがく暇を与えることなく、僕の両手がベッドの枕もとの支柱に縛り上げられ、完全に拘束された。

「んう・・・んん・・・!」

口の中に納まる妙にしょっぱい布によって、僕の声はかき消されていた。

「あぁ、私の隆一君・・・」

感極まったように富恵は漏らすと、僕の上に覆いかぶさり、強く抱きしめてきた。

日ごろの登下校中に何度も味わった抱擁だが、僕の顔面には彼女の乳房が直に押し当てられている。

制服の生地に隔てられていない彼女の生の柔らかさと、その滑らかな肌、そして興奮と自慰により掻いた汗の香りが僕を襲う。

「隆一君、隆一君・・・」

僕の名前を連呼しつつ、頭髪の間に鼻を埋め、頭皮のにおいを廃一杯に吸い込んだ。

それと同時に彼女の腰は、僕の腹の上に下半身をこすりつけるように動いている。

「ああ・・・本物の・・・本物の、隆一君・・・!」

興奮と共に彼女の呼吸は荒くなり、それにあわせて生温かい液体が、パジャマと下着のシャツを通して僕の腹を濡らしていく。

猿轡に口をふさがれ、鼻を乳房の間に埋められているせいで呼吸がほとんど出来ない。

鼻腔からどんどん入ってくる、富恵の汗のにおいが、僕の思考を麻痺させていく。

「隆一君・・・隆一君・・・!」

不意に乳房が顔からはなれ、冷たい空気が僕の顔面に触れた。

だが、直後に生温かく濡れたものが僕の顔に当てられ、這い回った。

舌だ。富恵の舌が僕の顔を這い回っていた。

「んふぅ・・・んふぅ・・・」

荒い鼻息を立てながら、僕の顔を味わうようにして唾液を塗りこんでいく。

頬から思わず閉じた瞼の上を通り額へ、そして反対の瞼から頬を通り、鼻梁を渡って唇をなぞり顎にいたる。

「んぅ、んぅぅ・・・!」

くすぐったさに呻きを漏らすが、彼女は気に留めることなく舐め続け、同時に僕のパジャマのボタンを一つ一つ外し、シャツを捲り上げていた。

舌は顎のラインを伝って耳に至り、耳の穴を軽くくすぐってからうなじから首筋をたどって、鎖骨とそのくぼみをなぞると、唾液の糸を引きながら離れた。

「あぁ・・・隆一君の味・・・」

富恵はうっとりと呟きつつ両足の付け根に右手をやり、くちゅくちゅと粘液質な水音を立てた。

そして不意に、自身の秘所をかき回した指先を、僕の鼻先に差し出す。

「分かる?隆一君・・・私、隆一君と触れ合ってるだけでこんなになっちゃったの」

濡れた指を僕の頬に擦り付け、磯の香りのする愛液で模様を描きながら彼女は続ける。

すると、彼女は不意に僕の顔を見ながら問いかけた。

「隆一君は、私のあそこ、見たい?」

口をふさがれているため、無論僕は応えることが出来ない。

だが、彼女は僕の無言を、そうとは取らなかった。

「・・・うん、そうだよね、聞かなくても分かるよね」

彼女はベッドの上で膝立ちになると、電気スタンドの明かりの中に自分の秘所を晒した。

彼女の下腹部の繁みの下にあったそこは、彼女自身の興奮のためか大きく口を開いて内側の肉を晒し、その奥からあふれ出る愛液を滴らせていた。

「どう?隆一君・・・変な色じゃない?」

彼女の言うとおり、そこはかすかに色づいていた。

僕を想って幾たびも繰り返された自慰のせいだろう。

だが僕がインターネット等で見てきた、無修正の映像作品に登場する女性達のそこに比べれば、遥かに美しかった。

初めて見る幼馴染の女性器に、僕の視線は釘付けになっていた。

「・・・よかった、隆一君気に入ってくれたみたい・・・」

富恵はそう言いながら体をずらし、僕の脛の上に座りなおした。

そして上半身を倒すと愛液に濡れた指で、僕の胸から腹筋へのラインをなぞると、パジャマのズボンに指を掛けた。

「それじゃあ今度は、隆一君の番・・・」

富恵の指に力がこもり、徐々にパジャマと下着がずり下げられていく。

彼女の愛液の匂いや裸体、そして彼女の愛撫のせいで今の僕のペニスはガチガチになっている。

「・・・!・・・!」

勃起したペニスを見られないために、全力で僕はもがこうとした。

だが、脚に乗った彼女の体重で全く動けず、ろくな抵抗にはならなかった。

そして、下着のゴムの拘束を乗り越えて、屹立したペニスがボロンとまろび出た。

「あぁ・・・隆一君の・・・おちんちん・・・」

うっとりとした表情で富恵は漏らすと、ぱくりとペニスを咥えた。

「・・・・・・っ!!」

ペニスを包み込む肉の感触に、僕は背を反り返らせて声にならない声を上げた。

唇が根元を締め付け、柔軟に動く舌が裏筋を這いずり回り、滑らかな口蓋が剥きだしの亀頭を擦る。

手では決して得られない、生の肉の質感に、僕の限界はあっという間に訪れた。

「・・・っ!・・・っ!!」

がくがく、と腰を揺らしながら、富恵の口中に射精する。

尿道をゴリゴリと抉るほど濃い、ゼリー状の精液が彼女の口内に撒き散らされていった。

「・・・んっ・・・」

彼女は不意に放たれた精液に短い声を漏らすが、吐き出すことなく受け止めた。

そして射精が終わると彼女は唇をすぼめて、精液を漏らさぬように注意しつつ、口からペニスを引き抜く。

上半身を起こし、どこか遠くでも見るような目で、富恵は口内の精液を転がし堪能していた。

「んっ・・・ん・・・」

たっぷり一分は経っただろうか。

彼女の白い喉が上下に動き、口内の白濁液を嚥下した。

「っはぁ・・・美味しかったわ、隆一君・・・」

溜息と共に、富恵はそう言った。

と、その時、僕は彼女の目の輝きが変わったことに気が付いた。

富恵の瞳に妖しい輝きが宿り、妖艶な気配を見る見るうちに帯びていく。

興奮に汗ばみ、電気スタンドの光を返す肌はなお艶やかに。

屹立した乳頭を備えた、柔らかそうな乳房はなお滑らかに。

全身から薫る、汗と愛液が混ざり合った女の匂いはなお芳醇に。

「・・・隆一君ので、私を真っ白にして・・・!」

今までに見たことの無い女の問い掛けに、僕のペニスは屹立して応えた。











一方的な愛の言葉を囁かれながら、僕は富恵の愛撫を全身で受けた。

「ああっ、隆一君・・・隆一君・・・!」

ペニスを頬張られたまま、休む間もなく立て続けに三度射精させられる。

「ずっと、ずっと好きだったよ、隆一くぅん・・・!」

顔に跨られ、愛液をたっぷり顔に塗りつけられながら、手コキで射精させられる。

「隆一君の顔も体も性格も・・・全部、好き・・・!」

粘度の高い唾をたっぷり垂らした乳房にペニスを挟まれ、圧力と体温と柔らかさによって射精させられる。

「今も、これからも・・・ずっと、ずっと好きよぉ・・・!」

尻の穴を舐められながら、手コキで射精させられる。

「もう離さない・・・離さない・・・!」

声を上げる気力を失えば猿轡を外され、唇を重ね合わせられた。

さんざ富恵の口内に放った精液の味を味合わせられながら、お互いの性器を擦り合わせる。

挿入こそ無かったが、もはや富恵とセックスをしたに等しかった。

そして意識も朦朧とし、疲労困憊した僕をひとり残して、彼女は窓から出て行った。

無論その後の僅かな睡眠時間では疲労は回復せず、その日はぼんやりとした意識の中で富恵と『デート』した。

彼女の言葉も、彼女といった場所もろくに覚えてはいないが、富恵は僕と二人で歩けたというだけで満足だったようだ。

とりあえず、彼女との間にあったことはこれで全部だ。

まるで夢のような出来事だったが、夢ではないことを示すため、ここに書き記しておく。

願わくば、明日からの彼女の僕に対する態度が、もうちょっと軽いものになりますように。

昨日、というより今日の疲れもあって眠い。今日は早めに眠ることにしよう。







いや待て、何で窓が閉まっているのにカーテンが揺れている?

何で窓が閉まっているのに、頬に風を感じる?

窓が閉まっていないから?

馬鹿な。この季節窓を開けっ放しにするわけがない。

なのに、なぜ開いている?

誰かが開けた誰が開けた?

答えが分かった風が吹いてカーテンがめくれたからだ

ああ!窓に!窓に!

股間から粘液を滴らせながら彼女が立っている笑っている

恐ろしい

今日は楽しかったねとか言いながら部屋に入ってきた全裸だ

怖い

デートの間中ずっとこれ挿れてたのとかいいながら手を掲げる

おぞましい

見せないでこないで

今日は疲れてるんだから

何を言っても彼女は聞かない

歩いてくる歩いてくる

逃げたい逃げられない

キーボード打つ手が止まらない

こわいこわいこわい

隆一君きょうもたのしもうねそういいながらかたにてが






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