1月15日 谷神栄令往流 『山海民口伝』より




一月十五日は旧成人の日。

世界各地の文化には、子供から大人になるために必要な様々な通過儀礼が存在する。

多くは形骸化されたただの行事だが、中には難易度の高い儀式もある。

バンジージャンプ然り、南極におけるやたら強靭な寄生生物の狩猟然り。

そして今ここにある『山海民口伝』と言う古文書には、中国の山奥から出てきた老人が体験した成人の儀式が載っている。

ここにその訳を記す。









私の育った村は南西から北東へ、長さ数里に伸びる細長い谷の側にあった。

村の近辺の田畑は小さく、田畑への道は険しいが、毎年豊かな農作物が収穫されていた。

村の大人は谷神栄令往流様の恵みだ、と言っていた。

栄令往流様とは、谷の北東端の絶壁に住んでいると言われる神様のことだ。

私が齢十五になった日、村長は私を呼び出し、成人の儀を執り行う、と言った。

成人の儀と仰々しく言っても、ただ村長が呪文のようなものを読み上げ、杯に注がれた酒を飲み干して、栄令往流様の社で一晩過ごすという簡単なものだ。

私は両親や兄弟、親戚達の見守る中村長の呪文を聞き、酒を飲み干した。

そして村の大人達数人によって、栄令往流様の社まで導かれた。

栄令往流様の社は谷底にあり、半ば絶壁に埋もれるようにして建っている。

大きさは一間四方で、奥の壁は無くむき出しの岩肌と大小さまざまな岩が積み上げてあった。

村長は私を社に入れると、朝まで外に出ないように、と言い残して立ち去っていった。

しばしの間私が社の中で座っていると、何処からか声がした。

「おいでなさい・・・」

清水のように澄み切ったその声は、社の奥、積まれた岩のほうから聞こえるようであった。

寄ってみて見ると、岩と岩の間に人が通れそうな隙間があり、そこから声は響いていた。

声に導かれるようにして隙間に身をくぐらせると、その奥は人が立てるほどの洞穴となっていた。

真っ暗な洞穴を、私は壁に手をつきながら奥へ奥へと進んでいった。

やがて十間ほど進んだだろうか、私は広い空間に出た。

「暗くて何も見えないでしょう。今、明るくしますね」

広い洞穴に優しげな女の声が響くと、じわじわと辺りが明るくなってきた。

ゆっくりと明るくなったためか眩さは無く、私は次第に洞穴の様子を把握できた。

広さは数間ほどの半球状で、洞穴の壁が光っていた。

そして洞穴の中央には、人より大きな丸い岩が転がっており、岩には二十歳ほどの女の上半身が貼り付いていた。

「よく来ましたね」

女はにっこりと私に向けて微笑んだ。

その慈愛に満ちた笑みと声のせいだろうか、私の内に彼女の化け物じみた容姿に対する恐怖は無かった。

「え、栄令往流様・・・」

私は自然と声を漏らし、その場に膝を突いて彼女を拝むように上体を倒した。

「そんな姿勢では話もできません。顔を上げて」

「で、でも・・・」

「私からの願いです。どうか、顔を上げて」

そこまで言われれば仕方が無い。私は彼女の頼みに応え、恐る恐る顔を上げた。

「さあ、こっちにいらっしゃい」

彼女はニコニコと笑みを浮かべながら、大岩の側の地面を指し示した。

するとそこから水面を突き破るようにして、小さな岩が浮かび上がった。

私はそこまで歩み、ゆっくりと腰を下ろした。

「申し遅れましたね、私はえれおる・ぎゃれりおん。貴方たちには栄令往流、と名乗ったほうがいいかしら?」

栄令往流様は名乗った。

「あなたは?」

「僕は、曹旬灯と言います」

「旬灯君ですね・・・」

私の名前を覚えようとするように、口の中で幾度も繰り返す彼女の姿に、私は親しみを覚えていた。

「あの・・・栄令往流様・・・」

「なあに?」

私は胸のうちに生じた疑問を放った。

「栄令往流様は、どうしてそんなに偉そうじゃないんですか?神様と言うから、てっきり偉そうにしてると思っていたのに・・・」

「ふふ、旬灯君。私は月、光があるから輝くのです。

あなた方人がいなければ、私は誰からも祭られること無く、朽ちていくところだったのですよ?」

彼女は子供にものを教えるように、丁寧に続けた。

「この地にやってきて、この谷を作り、ここで私は眠っていました。そしてある日、あなたたちが私を見つけたのです。

最初はあなたたちのことを、ひ弱で愚かな生き物だと思っていました。

しかし私を一生懸命に祭り、敬う姿に私はいつしか愛しさを覚えていたのです。そして、こう思うようになったのです。

『愛しいあなた達を守り、育んでいきたい』と・・・」

彼女は両腕を広げ、母親が子供を迎えるようにしながら続けた。

「さあ私の愛しい旬灯、おいでなさい。あなたの形を覚えさせて・・・」

彼女の腕の間で、片手に余るほどの大きさの乳房が二つ、揺れる。

乳房か彼女の言葉か、いずれかに誘われ、私は岩から立ち上がるとふらふらと彼女の胸に飛び込んだ。

「ふふ・・・いらっしゃい・・・」

腕を私の背に回し、抱擁しながら彼女が耳元で囁く。

彼女の腕や胸はもちろんのこと、彼女が生えている岩までもが温かく、脈を打っていた。

「あぁ・・・はぁ・・・」

美しい女性に抱きしめられていると言う事実に、私の呼吸は荒くなっていった。

「ああ、顔が真っ赤・・・よく見せて・・・」

彼女はそう言いながら私と視線を交わし、ゆっくりと顔を接近させていった。

優しげな笑みを湛えた唇が近寄り、私のそれと重なる。

「!?」

「ん・・・ん・・・」

初めて触れた他人の唇はとてつもなく柔らかく、また心地のよいものだった。

彼女は重ねるに止まらず、唇を動かし私のそれをついばんだ。

その行為は、少年といってもよかった私を骨抜きにするには、十分すぎる快感をもたらした。

そして彼女が唇を離す頃には、私の体から力は抜け切っていた。

「あら、そんなに気持ちよかったの?」

ぐったりと脱力しつつも荒く呼吸を重ねる私に、嬉しげな彼女の声が掛かる。

無論その言葉に応えることはできなかったが、彼女がもっとすごいことをしてくれるであろうと言う予感に、私の肉棒は熱く身を震わせていた。

「うふ・・・よく分かりました・・・」

巨岩に押し当てられ、脈打つ一物を感じたのか、彼女が顔をほころばせる。

そして、彼女は私の両脇に手を差し入れると、自身の全身が見えるように私を抱き離した。

「それじゃあ、あなたの形を覚えますね・・・」

目の前で、彼女の上半身を生やす巨岩の表面が、もぞりと動いた。

薄皮一枚の下に無数の蛇やミミズがいるかのように、その表面が波打ち、彼女の体の付け根から地面までの間が左右に開いていく。

やがてそこには、下半身がすっぽり収まりそうなほどの大きさの裂け目ができていた。

裂け目の内側は岩の表面とは異なり、鮮やかな桃色の襞に覆われ、まさに肉としか言いようの無い質感をしていた。

「さあ・・・」

私を再び抱き寄せながら、彼女が囁く。

「たっぷり楽しんで・・・覚えさせてくださいね・・・」

私の下半身が、岩の亀裂の内側に触れた。

だが、その柔らかさや温もり、ねっとりとした粘液の感触を味わう前に、亀裂が閉じた。

「あぁぁぁぁぁっ!?」

腰から下をすっぽりと包み込んだ肉の質感に、私は声を上げていた。

ドジョウや鯰やウナギを限界まで詰め込んだ魚篭に手を突っ込めば、このような感触だろうか。

もぞもぞと蠢く肉壁に、私の下半身は蹂躙されていた。

「大声を上げていたら、喉が嗄れてしまいますよ?」

私の頭を肉球の谷間に埋め、なだめるように撫でながら彼女が言う。

彼女の豊かな乳房が私の口をふさぎ、声をくぐもらせるが、私が受けている快感に変わりは無かった。

波打ち、のたうち、蠢く肉襞が、私の下半身を徹底的に嫐っている。

波打つ襞が内股を撫で、のたうつ襞が尻と会陰を擦り、蠢く襞が肉棒と玉袋に絡み付いていた。

肉棒への刺激は、手による自慰を上回るほどの快感をもたらした。

呼吸が加速し、心臓が破れそうなほどの速度で打つ。

そして、十も数えぬうちに私は達した。

「うわぁぁぁぁっ!!」

腰が震え、全身が強張り、小便かと錯覚するほどの精が裂け目の内側へ迸る。

「うふふ、こんなに一杯・・・」

全身を強張らせ、痙攣する私を両腕で抱きとめながら、彼女は呟いた。

だがその声音は、まるで花を摘んできた幼子を迎える母親のような、慈愛に満ちたものだった。

やがて射精が収まり、絶頂が途切れる。

「はあ、はあ・・・」

「うふふ・・・お疲れ様・・・」

乳房に顔を埋め、温もりと柔らかさに身を任せている私の頭を、彼女は優しく撫でた。

「それでは、あなたの精を頂きますね・・・」

もぞり、と亀裂の内側が波打ち、彼女の粘液と私の精液が混ざり合ったものを、奥へ奥へと啜り上げていく。

その蠕動する肉襞の動きは、無論私の肉棒や玉袋を刺激する。

自然と肉棒が硬さを増し、萎えかけていたそれが膨らむ。

「あ・・・栄令往流さ・・・」

「ん?どうしました?」

「そ、そこ・・・気持ちよくて・・・ああぁっ・・・!」

「あらあら・・・あなた、もう感じてるの?」

細かく身悶えし、喘ぎ声を漏らす私に困ったような表情を向けながら、彼女は言った。

「人の男は射精すると、しばらくの間興奮が醒めるんですけど・・・」

うーん、としばし考えた後、彼女は続けた。

「仕方ないですね、もう一回出して下さいね」

私を再び抱えなおし、後頭部から首筋、背中までをゆっくりと撫でさすりながら、彼女は亀裂の内側を大きく蠢動させた。

「ひうっ・・・!」

肉棒の根元から先端へ、ざわざわと音を立てそうなほど襞を波打たせながら、肉壁が撫でさする。

内壁の細かな凹凸が、肉棒の凹凸に食い込み、くすぐっていく。

柔らかな肉の塊に、どこまでも深く深く肉棒を挿入していくかのような錯覚を覚える。

「うわぁぁ・・・すごいぃ・・・」

「うふふ、さっき一杯出したのに、また出そうですね・・・」

私の興奮に応じて、びくんびくんと脈打ち始めた肉棒を感じながら、彼女が言う。

だが、その口調とは裏腹に、亀裂の内側はあくまでも優しく丁寧に、肉棒を刺激していた。

「あう・・・えれおるさまあ・・・えれおるさまあ・・・!」

襞と新たに染み出した粘液が絡み合い、私の興奮を限りなく高め、うわ言のように彼女の名を呼ばせる。

やがて玉袋の中身がきゅっと縮み上がり、肉棒の脈動が破裂するように大きくなる。

「でますう・・・また・・・でますう・・・!」

私の二度目の射精の予兆を感じたのか、彼女は私の耳元で囁いた。

「いいですよ、遠慮せずに、出しなさい・・・」

温かな息吹が、耳朶をくすぐり、肉壁がぎゅうっと収縮した。

その感触が、一息に私を押し上げた。

「ひぁぁぁぁぁぁぁあああああっ!!」

腰を突き上げ、己の臓腑さえも噴出させるような勢いで、精を迸らせる。

彼女は二度目の絶頂に身を震わせる私を抱きしめながら、肉壁を蠢動させて精を啜り取っていく。

「あぁぁぁ・・・あああ・・・」

慈愛に満ちた彼女の目と、その肉壁の蠢きが私を絶頂に長く止まらせた。

だが、やがて心身ともに限界が訪れ、精の迸りは次第に弱まり、止まった。

「はぁ・・・はぁ・・・」

「今度こそお疲れ様・・・ゆっくり、お休みなさい・・・」

薄暗くなっていく視界の中で、彼女は微笑みながらそう言った。















「あなたの形は覚えました」

十分な時間を経て目を覚ました私を解放すると、彼女はそう言った。

「もし、手足を失うような大怪我をしたら、ここまでつれてきてもらいなさい」

「はい・・・」

そんな怪我はごめんだが、彼女の言葉には怪我をしても大丈夫だという安心感をもたらす何かがあった。

「そしてあなたが年を重ね、息子や娘、村の若者達の世話を受けるのが心苦しくなったときも、ここへ来なさい。あなたを私の内へ受け入れましょう」

彼女の体の付け根の下、岩塊の表面が左右に別れ、肉色の襞が覗く。

そこは先ほどと変わらず滑り、うねり、蠢いていたが、私は身も心も休まる寝床のような印象を覚えていた。

「はい・・・栄令往流様・・・」

私はうっとりと応えた。

今から五十年前、私がまだ十五の頃のことであった。






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