淫魔の海のオデュッセイア




速く、正確に。これがベストである。ゆっくり漕いでいたら、ちょっとした波の動きでどちらかの岩に寄ってしまうかもしれない。

岩が近付いて来た。左側の海面には渦潮のようなものがある。カリュブディスはあそこに棲んでいるのか。近付いたら、あれが僕を呑み込むに違いない。だからといって右側に舵をとったら、スキュラに喰われてしまう。



素早く・・・正確に・・・

狙いを定めて・・・それっ!



ちょっと待った!左手の渦潮が大きくなってくるのが見えた。あれ?目測を誤ったか?そんな馬鹿な。急いで右に軌道修正をする。

すると、突然・・・



グワッ!!!



右手から巨大な怪物が大きな口を開けて迫ってきた!

終わったな。直感的に全てを悟った。スキュラに喰われて死ぬんだ。僕は目をつぶった。

大きな口が僕をくわえるのを感じた。そして僕の体を持ち上げ、巣に引き込むのを感じた。



・・・ん?すぐには食べないのか?



恐る恐る目を開けてみると、大きな口からは既に解放されている。薄明かりのついた洞窟の中だ。

さっきまで自分をくわえていたと思われる口が目の前にあり、その先には・・・



こんなに美しい女性は見たことがない。

こんなに冷たい笑みを見たことがない。



スキュラだ。噂に聞いていた怪物が目の前にいる。

下半身は獰猛な6匹の犬と化し、12本の足が生えているという、その伝説と大差ない姿が目の前にある。

もっとも、鋭い牙を持つ6つの口が、犬のように見えるかと言うと・・・それは人それぞれだろう。僕にはヘビやウツボのようにも見える。こんな体の長い犬がいるわけがない。12本の足も、人間や犬の足とはずいぶん違う。軟体動物のようだ。ぬめぬめしている。「触手」と言った方が合っているような気がする。

スキュラは言った。



「おいしそうな体をしているわね・・・どこからいただこうかしら・・・」



やはり、僕は食べられてしまうようだ。

しかし、不思議と恐怖心を全く感じない。

目の前にいる怪物は、キルケよりもさらに美しかった。僕はその容姿に見とれていた。

キルケの体が肉感的だったのに対し、スキュラはほっそりとしていた。

折れそうな肩、形の良い乳房・・・そして腰は・・・その下に巨大な怪物がついているだけに、その腰の細さが強調されていた。

僕はその姿から目を離せなかった。

切なさすら感じさせるその姿から、視線を外せずにいた。

スキュラは冷たく言った。



「そんなに私の体が好き?」



既に僕には理性が無かった。

ふらふらとスキュラの方に歩き、大きく腕を広げた。

スキュラが舌なめずりをしたのが見えたが、構わずその細い体を抱きしめた。

その体は冷たかった。



「どうしたの?」



スキュラの問いに、僕はただ、こう答えるしかなかった。



・・・食べられたい。



スキュラの表情が和らいだ。いや、和らいだように見えただけかもしれない。



「そう・・・普通のエサは、食べ易いように千切って食べるけど、私のことを気に入ってくれたエサは、優しく丸呑みにしてあげることにしてるの」



何を言われているのかよくわからないが、自分のことが受け入れられたような気がした。

うれしくて、僕はスキュラをさらに強く抱きしめた。



しばらく抱きしめた後、僕は衣類を全て脱いで横たわった。

いつでも、食べられる準備はできている。

スキュラの6つの口が僕の全身を舐め、12の触手が僕の全身を撫で始めた。

僕はそれらのぬめぬめした生き物の愛撫に激しい性的興奮を感じ始めた。

もう絶頂までそう時間はかかるまい。

スキュラが、その下半身から生える6つの口と12の触手をかき分け始めた。



「ここで・・・して・・・あげるね」



どこか寂しげな声で告げたスキュラに、僕はたまらない気持ちになった。

自分の下半身に目をやると、そこに迫りつつあるスキュラの陰部が見えた。大きな裂け目だ。

普通に考えればグロテスクに見えるかもしれないその陰部が、僕には愛おしかった。



ぐにゅ



とうとうスキュラとひとつになった。

その陰部は、その大きさ故に、締まりが良いとは言い難いが、内部が激しく蠢いて、瞬く間に僕を天に昇らせた。

スキュラが体を上下に動かした。

僕のペニスは2回目の射精に向けて準備を始める。

スキュラが体重をかけると、僕の腰回りくらいまでが陰部に挟まれる感触がする。



この気持ちよさ・・・もうがまんできない・・・



2度目の絶頂を終え、我に返った時に、僕はあることに気付いた。



スキュラの息づかいが激しくなってきている。・・・感じている!

その華奢な体つきには似合わないグロテスクな下半身で僕をぐちゅぐちゅと咀嚼しながら、確かに興奮している。

その表情を見ると・・・恍惚の表情と言っても良いだろう。

しかし、僕の視線に気付いたのか、スキュラはふと我に返り、落ち着いた声で告げた。



「食べるわ」



どの口で食べられるのだろうか。

スキュラの下半身に生える6つの口が僕を銜え上げる。

そして僕を巨大な口に向かって運び始めた。

僕を頭から呑み込もうというその口は、どの「犬の口」でもなかった。

さっきまで陰部として僕を絶頂に導いたその口であった。



くぷん



柔らかい下のくちびるが僕の頭を呑み込んだ。

その時、わずかにスキュラの悦びの声が聞こえたような気がした。

肩が呑まれ、上半身が全て呑まれ、下半身まで全てスキュラの体内に収まってしまうまで、そう時間はかからなかった。

巨大な口の中で舐め回されているような感覚に僕は最後の興奮を始めていた。

スキュラの体内が蠢き、僕を消化しようとしているのがわかった。

それと同時に、僕の背中のあたりに、それとは違う、優しい動きを感じた。

僕を完全に呑み込んだスキュラが、少し大きくなったであろうそのお腹を撫でているのだ。



僕はスキュラに身を委ねた。





☆ ☆ ☆






気がつくと僕は冥界にいた。

オデュッセウスも旅の途中で一度は冥界を訪れている。可能ならいつかここから抜け出して、旅の続きをしてみたいものだ。というより、今冥界にいるのも、旅の一場面に過ぎないと思っている。

冥界でもいろいろな体験ができるだろう。それについても、そのうち報告したい。

では、その日まで。





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