淫魔の海のオデュッセイア




こうなったら中を探険しないわけにはいかない。オデュッセウス一行も、こんな感じで洞窟の中に入ったに違いない。

懐中電灯の一筋の光が洞窟の岩肌を照らす。なんだ、何も無いのか。コウモリ一匹も出て来ないのではあまりにも物足りない。

さらに奥に入っていくと・・・あれ?今、何か変なものが見えなかったか?

もう一度懐中電灯を当ててみる。その光が照らし出したものは、頭のようなもの・・・?

目だ!

懐中電灯を下に動かすと、鼻が見え、さらに下に動かすと、口が・・・と思いきや、予想外のものが見えた。

その口は、1人の人間をくわえて、まさに今呑み込まんというのである。



これはまずい!早く逃げないと、僕も食べられてしまう!



しかし・・・足はガクガクと震えるばかりで、逃げようにも逃げられないのだ。それどころか、尻餅をついてしまう始末。

読者諸君、情けないと思わないで欲しい。こんな恐ろしい光景を見たら、腰が抜けてしまうのも仕方ないではないか。

その巨人は若い女だった。一つ目ではないことから考えると、キュクロプス族ではなく、ライストリュゴネス族であろうか。今でもまだ、物語に出て来る巨人たちは生きていたのである。

その女は、意外なことに美しかった。身長が5〜6mあろうかという点を除けば、魅力的な女性だった。真っ白な肌、シルクのような髪、深い谷間とふくよかな胸。そんな女が、アイスキャンディーのように人間をペロペロと舐めている。食べられている人間は少女のようだった。

抵抗しないところを見ると、もう息絶えているのだろうか。真っ赤な舌が少女の柔らかな肌を丹念に舐め、幼さの残る体をびしょびしょに濡らす。

やがて少女は巨人の口の中に消えて行った。巨人が最後に少女の股間に舌を這わせた時に、少女の体がピクンと動いたのが見えた。ああ、まだ生きていたのか。

白状すると、美女が少女を丸呑みにしている、という残酷なまでにエロティックな光景を見て、僕の一物は反応を見せていた。

巨大な女が話しかけてきた。



「あら。逃げないで待っていてくれたのね。早く食べて欲しいのかもしれないけど・・・今食べ終わったばっかりだから、ちょっと遊んでからにしましょうか」



時間の猶予があるようだ。それはそうだろう。いくら巨人とはいえ、自分の身体の4分の1もある巨大な生き物を呑み込んだのだ。重量にしたら64分の1。読者諸君だって、1kgの物体を食べ終わったらそう簡単に次の食事には行けまい。

逃げなければ。と思うと同時に、その「女」の真っ赤な口が脳裏に浮かんだ。妖艶な唇が、淫らな舌が、目に浮かんだ。あんなところに食べられるんだ・・・。何とも言い難い高揚感が生じた。



突然、洞窟の中が明るくなった。「女」が明かりをつけたようだ。僕の視界に入ったのは、一糸まとわぬ美しい裸体だった。真っ白なお腹がふくよかに見えるのは、先ほどの食事のせいだろう。そう思うと、不思議とそのお腹が妙に妖艶なものに見えて来るのだ。

「女」が近付いて来た。僕は何もできない。

巨大な顔が1mほどのところまで迫って来た。

顔の割には少々大きすぎる口がうっすらと開き、その隙間から舌がのぞいた。

自分を食べようとしている怪物が、目の前で舌なめずりをしているのに、僕は何もできないどころか、それに見とれているのである。

巨大な口が開いた。涎がたっぷりと糸を引いているのが見えた。いよいよ食べられてしまうんだ。

舌が伸びて来た。長い舌だ。僕の顔がぺろりと舐められる。



「おいしい・・・」



今度は手が伸びてきて、僕の体が持ち上げられ、豊満な胸に抱きよせられる。耳元に大きな口が近付いてくる。



「じゃあ、はじめましょうか」



「女」は素早く僕の服を脱がせた。そして、全裸になった僕の股間を無理矢理広げて、巨大な口でれろれろと舐めてきたのである。

単なるフェラチオではない。ももの付け根から下腹部辺りまでが一度に舐められているのである。太い舌が、べろん、べろん、と僕の下半身を愛撫する。

冒険のために溜まっていた僕の精液は瞬く間に放出された。

「女」の息も荒くなってくる。ああん、と言いながら、僕を仰向けに寝かせた。「女」は脚をM字に開き、陰部をいじり始めた。今度は何をしてくるのだろう、と思う間もなく、巨大な陰部を僕の小さい体全体にこすりつけて来たのである。僕の一物はまた勃ち始める。

人間の頭が収まってしまいそうなほど大きな裂け目が僕の体を蹂躙する。自らの股間を右手でいじりながら、ぐちょぐちょの陰部で僕の全身を舐めてくるのだ。

次第に右手の動きは速くなり、喘ぎ声も激しくなってくる。そして、巨大な陰部を僕の顔面に乗せてくる。

このままでは顔が女性器に挟まれてしまいそうだ。

いや、まさか・・・



にゅるん。



僕の頭からその性器の中に呑まれていった。

「女」は僕の足を持って、ゆっくりと僕の体を出し入れする。

読者諸君には想像できるだろうか。巨大な人型バイブで自慰行為にふける一つ目の女の姿が。たとえその姿を想像することができたとしても、僕の体を襲って来た快感のようなものを想像することはできまい。強いて言うならば、体全体が柔らかい肉の中で咀嚼されるような感じだ。



ずにゅる、ずにゅる、・・・



次第に僕を弄ぶ手の動きが激しくなる。



「あぁ!!あああああっっっっっ!!!!」



「女」はますます激しく喘いた。

くぽん、と僕の体を性器から引き出すと、今度は僕の上半身を持って、足の方から性器に差し込んだ。腰のあたりまで差し込んだところで手を離す。

すると・・・



ぎゅっ・・・



凄い締め付けだ。

それだけではない。締め付けられる度に、どういうわけか、僕の体はずるずると巨体の中に引き込まれていくのである。僕はどうにか手を性器の外に出し、逃げようとした。が、出られない。にゅるにゅると蠢く女肉が、僕の体を呑み込もうとしているのだ。貪欲な下の唇が僕の上半身を次第に覆ってくる。

「女」は喘ぎ声をあげながら自分の豊満な胸を揉みしだいて、快感に浸りながら、締め付けをさらに強くする。

僕は肉洞のあまりの気持ちのよさにまた射精してしまったが、その後正気に返り、外に出ようともがいた。肉洞を蹴り、体をよじってなんとか這い出ようとする。

「女」の息が荒くなってくるのが全身に伝わってきた。



「ああっ!ああんっ!もっと、、、もっと暴れて!!入ってきて!!!」



僕が暴れれば暴れるほど、「女」の興奮は増し、貪欲な女性器は僕を引き込もうと動く、というわけだ。

僕はもう、頭と両手だけを女性器の外に出し、必死にもがくしかなかった。

「女」の手が僕の頭のあたりまで伸びて来た。そして、辛うじて外に出ている僕の頭を自らの性器に押し込んできたのである。まずい!呑み込まれてしまう!焦る僕をよそに、喘ぎ声が一段と大きくなる。



「はぁああぁぁぁ!!!!」







どれくらい時間が経っただろう。目を開けると、そこは薄明かりのついた洞窟の中だった。死んでしまったのだろうか。助かったのだろうか。

起き上がって辺りを見渡す。助かったのかもしれないという甘い期待は一瞬で打ち砕かれた。



「やっと目が覚めたのね。もうお腹がぺこぺこだわ」



「女」がつかつかとやってくる。



「私を気持ちよくさせてくれたから、お礼に、丸呑みにしてあげる。怖がらなくてもいいのよ。痛くないから」



恐怖のあまり逃げ出そうとすると、鷲掴みにされた。



「あら、逃げると、噛みちぎっちゃうわよ」



キラリと歯を覗かせたのをみて、僕は選択肢が2つしかないことを知った。抵抗して残虐に喰い散らかされるか、素直に呑み込まれるか。となれば、後者を選ぶのが賢い選択というものだろう。それを察してか、



「偉いわね。・・・また気持ち良くしてあげよっか。そして、快感の絶頂とともに私に呑み込まれるの」



真っ赤な舌がペロリと出てきて、僕の体をしゃぶり始めた。

どうせもう終わりなんだ。僕は意を決した。たった一度の人生だ。最期に可能な限り気持ちよくなってしまおう。

唾液まみれになった僕は、一物を奮い立たせる。

「女」はそれを見て、僕の股間に舌を這わせてずりずりと舐めて来た。



「あぁ、、おいひい、、、」



巨大な口からの唾液の流れはさらに激しくなる。僕はその長く太い舌をおもいっきり抱きしめた。あまりの気持ちよさに、愛欲に似た何かを感じ始めていたかもしれない。

ギュッとすると同時に「女」は声をあげる。



「はぁん!ダメ!もう!我慢できなくなっちゃう!・・・ああんっ!食べたい!あああああああ!!!」



性欲と食欲の入り交じった声だ。

僕を舐める舌が急に引っ込み始め、僕の体は一気に口元まで運ばれる。

巨大な口が開く。

中では無数の唾液の糸がぬらぬら光り、肉を喰らうのを今か今かと待ち望んでいるがごとくである。

僕の頭がすっぽりとその口の中に含まれる。

巨大な舌が僕の体を次第に口の中へと引きずり込んでいく。

僕の体が宙に浮く。

頭から真っ逆さまにくわえられる。

その喉や食道は、僕がやっと通れる大きさだ。

僕の体を奥へ奥へと押し込む舌の動きには、性的興奮を感じざるを得ない。

体中が柔らかい肉に愛撫される。快感が体の奥まで染み込んで来るようだ。



・・・もう体の半分以上が呑まれてしまったのではないだろうか。



そして僕は・・・





☆ ☆ ☆






気がつくと僕は冥界にいた。

オデュッセウスも旅の途中で一度は冥界を訪れている。可能ならいつかここから抜け出して、旅の続きをしてみたいものだ。というより、今冥界にいるのも、旅の一場面に過ぎないと思っている。

冥界でもいろいろな体験ができるだろう。それについても、そのうち報告したい。

では、その日まで。





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