PANDORA
工藤に言われているうちに、だんだん僕は自分の理論に自信が持てなくなってきた。
「さあ、どうだ?やるのか、やらねえのか?」
「すみません、僕が間違っていました・・・」
「へっ、途中で意見変えるぐらいなら、最初から言うなっての」
工藤はそう言いながら、僕を追い払うかのように手を振った。
「ほら、この部屋にお前が入れば、今回は勘弁してやるから」
「はい・・・」
「二度と団結を乱すようなことを言うんじゃねえぞ」
「はい・・・」
大人しく工藤の言葉に応えると、僕は通路から這い出し、はしごに足をかけて部屋へと降りた。
床の上に立つが、何も起こらない。
「よし新、ちょっと歩いてみろ」
「あ、はい」
工藤の言葉に従って数歩進んで、振り返ってみる。
足の裏が少しべたつくほかには、なんともない。
「なんともありま・・・」
続けようとした言葉は、足に纏わりついた異様な感覚によって中断された。
視線を落とすと、足を水飴のような透明な粘液が包んでいた。
「うわ・・・!」
慌てて足を持ち上げようとするが、がっちりと固定されているかのようにびくともしない。
そうこうしているうちに、粘液は作業胃の裾から入り込み、くるぶしからすねの半ばまで這い登り、ひんやりとした感触を僕に与えていた。
どうやら粘液はこの部屋の床や壁に薄く広がっていたらしく、いまや壁を垂れ落ちながら僕のほうへと押し寄せつつあった。
「く、工藤さん、助けて・・・!」
「待ってろ、新!今靴を投げるから、そいつに掴まって・・・」
ぎりぎりぎり がちゃん
工藤の言葉と姿が、自動的に閉まった扉によって遮られる。
「・・・!・・・!」
扉の向こうからくぐもった声が届き、それと共に扉の取っ手がガチャガチャと揺れている。
しかし扉はロックされているらしく、びくともしなかった。
「そ・・・んな・・・」
助けを求めるかのように、扉に向けて手を向けるが、扉は開かない。
その間にも粘液は僕の体を這い登り、すでに胸に達していた。
そして肩を包み、二の腕から肘を飲み込み、扉へと向けられた指先を覆い尽くした。
「ああ・・・・・・うわ!?」
不意に全身を包む粘液がもぞりと蠢動し、ゼリーかプリンに首まで漬けられたような感触を与えた。
背中や首筋、乳首や内股を、粘液がねっとりと這い回っていく。
ペニスを包む粘液は動いていなかったが、そのほかの場所への刺激にペニスへ血液が集中し、屹立して脈動を始めた。
「うわあ・・・ああ・・・」
くすぐったさを伴った快感に、全身をなんともいえない切なさが襲い、力が抜けていく。
「あぁ・・・ぁぁ・・・」
足を引き抜こうとしたときはびくとも動かなかった粘液が、力が抜けてへたり込む僕の動きにあわせ、形を変えた。
膝を突き、手を突き、床に四つんばいになる。
「ああ・・・うわぁ・・・」
脇腹を粘液が這い回り、背筋を粘液がなぞる。
全身を覆う粘液の動き一つ一つに、僕は喘ぎ声を漏らし、ペニスを脈打たせ、限界に追いやられていった。
「も、もう・・・!」
ペニスが大きく脈打ち、射精しそうになった瞬間、粘液が弾袋の根元をきゅっと締め付け、上がっていた金玉を強引に引き離した。
「ひういっ!?」
股間に走った鈍い痛みに、絶頂が指の間をすり抜けて遠のく。
粘液はその痛みをかき消すように、一際強く全身の各部を愛撫した。
柔らかな快感が、すぐさま鈍い痛みを押しやり全身を包んでいく。
「ああうぅ・・・あぅ・・・」
しかし、心地よさはあっても、絶頂には至らなかった。
粘液が玉袋の根元を締め付けることによって、射精を妨げているのだ。
「ああ・・・おねがいぃ・・・」
絶頂直前の快感と苦痛に顔を歪ませながら、僕は息も絶え絶えに呟いた。
誰へ向けて、という物ではない、ただ口からあふれ出た懇願だった。
その言葉によるものか、会陰部を擦っていた粘液の動きが変わった。
ペニスの脈動にあわせてヒクつく、僕の肛門を圧迫してきたのだ。
「あ、そこは・・・ひうっ!?」
肛門の括約筋を突破し、体内にひんやりとした粘液が染み入ってくる。
粘液は、僅かな通り道を少しずつ押し広げながら、腸内に侵入しつつあった。
「ああ・・・ああ・・・!」
肛門を押し広げられ、異物が入り込んでくる異様な感覚に、根ね気の愛撫の感触がかすんでいく。
やがて粘液がある程度体内に溜まったところで侵入をやめ、僕の体内に握りこぶしほどの違和感をもたらした。
そして体内の粘液が、腸壁の一部をぐりぐりと圧迫する。
「ひぃっ!?」
体奥から背筋を駆け上り、脳に快感が叩き込まれる。
意識の中に火花が走り、全身がのけぞってペニスがビクビクと大きく脈打つが、精液は出ない。
あまりの快感に思考が吹き飛んで、一瞬呼吸が止まってしまった。
しかし、粘液は二度三度と、腸壁を圧迫する。
そのたびに、失神するほどの快感がもたらされ、絶頂に至らぬ苦痛が僕を苛んだ。
「うぁあっ!ひぃぃっ!」
声を上げながら、僕は全身を震わせるばかりだった。
そして、幾度となく快感がもたらされるにつれて、何かが変化し始めた。
粘液が幾度も圧迫し続ける腸壁の一部。
その奥の部分にある、前立腺が次第に膨らんでくるような錯覚が生じていた。
「ひぃっ、つよすぎるぅっ!ひぃいっ!!」
いつの間にか、その部分にもたらされる刺激による快感が、全身への快感を上回っていた。
そして、粘液が止めとばかりに一際強く、腸壁を圧迫した。
「うぁひぃいいいいっ!!」
全身を落雷したかのようなショックが襲い、一瞬目の前が暗くなった。
くらむ意識を頭を振って取り戻すと、ようやく僕は射精することなく絶頂したことを悟った。
そして同時に、腸内の粘液が動きを止めていることにも気が付いた。
「あぁ・・・もっと・・・」
そう呟きながら、僕はまるで欲情した女性のように腰を揺らした。
それに応えたのだろう。
粘液が再び腸壁越しに前立腺を圧迫し始める。
「ああ・・・あああ・・・!」
再び与えられた刺激に、僕は喘ぎ声を漏らした。
「あっ、あっ、あっ・・・」
どれほど時間が経っただろうか。
僕は四つんばいの姿勢のまま、尻の穴を粘液に突かれていた。
すでに玉袋は粘液の締め付けから開放され、いつでも射精できるようになっている。
しかし、僕は射精できるようになっても、射精は望まなかった。
射精なんかより、粘液にお尻を責めてもらったほうがよっぽど気持ちいいからだ。
この粘液はある程度意思の疎通ができるらしく、ペニスは包まないで欲しいと頼んだら、その通りにしてくれた。
その代わりに、粘液はもっと面白いことをしてくれた。
「あっ、あっ、あっ・・・」
股のほうを覗くと、ペニスの鈴口から粘液が入り込み、尿道を中が見えるほど大きく広げている。
粘液は尿道の奥深く、前立腺にまで達し、内側から前立腺を責めていた。
やがて粘液が強く腸をえぐり、僕は限界に達した。
「あっ、あっ、あっ・・・あぁぁぁぁっ!!」
声を上げながら全身を震わせ、絶頂に浸る。
精液こそ出なかったが、ペニスも大きくビクビクと脈打ち、鈴口から粘液と共に大量の先走りを迸らせた。
「はぁはぁはぁ・・・」
荒く息をつき、呼吸を整えている間、粘液は静かに待っていてくれる。
それでも、僕の興奮が冷めぬよう首筋や乳首への愛撫は欠かさない。
「はぁはぁはぁ・・・あぁ、ねえ・・・もう一回・・・」
そう囁くだけで、肛門と尿道に粘液の塊が挿し込まれ、二つの場所から前立腺をえぐっていく。
「あっ、あっ、あっ・・・」
粘液の律動にあわせて、僕は声を上げた。
もう、外に出たいという気も起こらない。
このまま、この粘液に責めてもらえれば、僕はそれでよかった。
<Slime END>
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