アメーバ娘の業




その男は自分の置かれている状況がよく解っていなかった。



夜の街を歩いていると、

一人の美女が近づいてくるなり、

「貴方の遺伝子をもらえますか?」

などと言ってきた。

遺伝子などと聞いて一瞬固まるが、悲しいかな男はすぐにエッチな話を想像してしまった。

こんな美人から誘ってもらえるなんてラッキー!

高揚した男はもちろん快く承諾。

にっこりと微笑んだ美女は男の手を取る。手はそのまま彼女の胸へ導かれ、

どろりと胸に沈み込んだ。



この状況を理解しろと言うほうが無理な話だったかもしれない。

男の目の前に起こっている状況は人間の常識で言えばありえない状況なのだから。

男の手にはドロドロとした粘体に包まれているような感触。

「私はアメーバ娘・・・貴方は私の願いを聞いてくれましたよね?」

確かに男は承諾した。

ただ、

何が行われようとしているのか、自分がどうなってしまうのかは理解できていない。

思考が追いつかず言葉を発することが出来ない。

「貴方の腕から、貴方の遺伝情報をもらいます。」

水に響くような、自然な声で状況を説明される。

「遺伝情報を吸い取られた部分は暫らく使い物にならなくなってしまいますが、」

意地悪な笑みを浮かべ、

「貴方の想像以上の快感を差し上げます。」

そう言い終わると同時、男の手を包んでいた粘体が動き出す。

暫らく動いた感触がした後。

男の体に漏れ出した電流のように激しく、煮詰めたシロップよりも甘い、

強烈な快感が襲い掛かった。

実際に受けているのは手だけのはずなのに、

全身を駆け巡るその快感に、

男は今までに体験したことが無いくらい激しい射精を服の中でしてしまった。

直後襲い掛かる脱力感に崩れる男。

まだ胸に手を入れたまま、荒く息をする男にアメーバ娘は微笑んだ。

「ありがとうございました。適切な処置をすれば体は元に戻ります。」

そう言うと男の手を体内から引き抜き、立ち去ろうとした。

そのとき、

それまで快感に浸ってまどろみかけていた男の意識が一気に呼び覚まされ、

這うようにしてアメーバ娘の脚を掴んだ。

「あの、まだ何かご用ですか。」

やや不安げなアメーバ娘。これから起こる事態をおおよそ見当がついているからであった。

案の定、男の口から出た言葉は彼女の予想通りだった。

「これも業でしょうか。」

誰に対してでもなく呟くと、男の体を抱き寄せた。

アメーバ娘に遺伝子提供した者は快感に病み付きになり命すら惜しまなくなってしまう。

彼女もこの手の事例にはもう慣れている。

今度は服を脱がしてやってから、先ほどとは逆の腕を取り自らの体内に導いていく。

期待に満ちた男の顔。

先ほどと同じように搾取を開始してやると、男は絶叫しながら射精する。

自らの手を見ればこれを続けていったら死に至ることくらい理解できるだろう。

それでも男はまだ快楽を求めている。

こうなったらあとは望むようにしてやるしかない。

それを知っているアメーバ娘は、体の末端から順番に搾取活動を繰り返してやった。

その度に男は歓喜の涙を流し、声にならない叫びを上げながら射精を繰り返す。

衰弱し、自らの体が壊れていくことを理解しながらも快感を欲する。

アメーバ娘はそのまま男が壊れ行くまで搾取を続けてやった。



言うなれば虫の息。

ほとんど自我も失い、顔とペニス以外の部分は全て吸い尽くされ、

あと一度搾取すれば死んでしまうだろう状況。

アメーバ娘は男の股間の上に跨り、自らの顔を男の顔の前に持っていく。

騎上位からキスするような姿勢になった彼女。

群体であるアメーバ娘にとって顔も胸も脚も特に重要ではないが、

いつからか最後の搾取はこうすると決めていた。

「ありがとうございました。」

ここまで来ても硬さを保っているペニスを関心半分呆れ半分な気持ちで女性器の位置に挿入。

「さようなら。」

そして、唇を重ねると一気に搾取を開始した。

男は最後の精液をアメーバ娘の体内に放ち、絶命した。



男の亡骸から離れると、アメーバ娘はこれから生まれる新しい個体のことを思った。

きっと新たなアメーバ娘も、こうやって生殖の度に哀れな人間の男の命を奪ってしまうのだろう。

それは自分たちの種が存続するためには仕方ないことかもしれない。

「それもまた、私たちアメーバ娘の業なのでしょうね。」

何十にも響く独り言を呟くと、

闇の中へ消えていった。






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