勉強会
深夜、というには早すぎる時間帯、女が自宅の電話に向かっていた。
ショートヘアに、縁の細い眼鏡。二十代前半ではあるが、地味な印象は否めない。
彼女は電話台のそばに椅子を置き、ひざの上に教科書を広げて座っていた。
「それでね、んっ、そこの底辺の比が2:3になってるでしょ・・・」
『あ、ということは高さが同じだから、面積も2:3になるんですね』
受話器の向こうから高い、声変わりを迎えていない少年の声が聞こえる。
「そうよ・・・あっ、後の問題は補助線と、授業で教えた通りにやれば解けるはず・・・んっ」
『先生?』
少年の声に、幾分か心配そうな感情がこもる。
『さっきから息が荒いけど・・・大丈夫?』
「ん・・・ちょっと、風邪気味みたい・・・でも大丈夫・・・」
『あ、それならお体に気をつけて・・・今日はありがとうございました』
「こっちこそありがと、おやすみなさい・・・」
『おやすみなさい、先生』
受話器を下ろして、教科書を電話台の上に置く。
すると、何もまとっていない彼女の下半身と、性器に指を這わせる右手が現れた。
「あっ、大塚くぅん」
先ほどまで言葉を交わしていた、少年の名を呼ぶ。
「あなた、感心よぉ・・・明日から連休なのに…宿題でわからないところがあって、んっ・・・先生に、電話かけてくるなんて・・・」
左手で部屋着越しに胸をつかみ、力を込めて揉む。
胸を中心に、甘い快感が身体に広がる。
「せんせぇ・・・せっきょくてきなぁ…おおつかくんがすきよぉ・・・」
愛液にまみれた指が、激しく女陰を出入りする。
そう広くはない、彼女の部屋内に水音が響く。
「ああ、そんな…はげしいよぉ…」
女陰をかき回し、一人で嬌声を上げて身悶える。
しかし彼女の脳内では、彼女は一人ではなかった。
女陰に深く差し込まれた指は、生徒の少年の指。
乳房をつかむ手は、生徒の少年の手だった。
「おおつかくぅん…そんなにしたら、あたし…もう…」
まぶたに閉ざされた視界の中で、少年が笑みを浮かべ、より深く女陰に指を突き入れた。
背筋と足がぴんと伸び、椅子の背もたれが軋みを立てる。
「ああっ!」
彼女は、指の刺激に絶頂を迎えた。
「…っはぁ、はぁ、はぁ…」
全身が弛緩し、背もたれに体を預けて荒く息を吐く。
彼女の心臓は、自慰と背徳感に高く打っていた。しかし―
(何か物足りない…)
荒い呼吸をしながら、彼女は考えていた。
確かにお気に入りの生徒、大塚との性戯の妄想によって絶頂には達した。
(でも、なんだか物足りない―)
「それは、実際にやってみたいということではないのかね?」
背後からの澄んだ女性の声に、彼女は椅子から立ち上がり後ろを向いた。
「『驚くな』『動くな』『喋るな』」
部屋の壁に背を預けていた人物が声を発し、彼女の体が完全に動かなくなる。
(え?なんで?)
疑問が浮かび上がるが、なぜかパニックには陥らず、冷静だった。
「さて、これで話ができる」
彼女は動かなくなった体から、視線を侵入者のほうへ向けた。
そいつは赤い袴に白の水干、つまりは神社の巫女のような格好をしていた。
垂らした髪の毛は腰に達するほどの長さで、青黒く、流れるようにまっすぐだった。
ただし顔は、黒丸の目と三日月形の口が描かれた、平坦なお面のようなものに覆われていた。
「わしは・・・魔術師、そう魔術師ののメエズ=ギャレリオンというものだ」
侵入者―メエズ=ギャレリオンが名乗りを上げる。
「お前は、自分の生徒に劣情を抱いとるな?」
侵入者は壁から身を離し、動けなくなった彼女に向かって歩み寄り始めた。
「いやいや、悪いといっているわけではない。
ただ、『自分の生徒を手篭めにしたらどうなるか?』という疑問を持っているかと聞きたいんだ。
もしそんな気がないのならば、わしは立ち去り、お前はわしのことを忘れる。
気があるのならば…」
彼女の目の前に立ったメエズは、指先を彼女の額に当てて続けた。
「わしが、力を貸そう。さぁ、『答えろ』」
「あたしには―」
ついさっきまで、動かすことさえできなかった口が開き、舌が質問に答えを返す。
「『自分の教え子たちを手篭めにしてみたい』という欲求があります」
「よかろう」
メエズのお面の、口の端がさらにつりあがる。
いや、それはお面ではなかった。
さらりと垂れた髪の下から、頬から首筋までが見え、メエズがお面などを被っていないことが分かった。
「力と知恵を、貸そう」
穿ったような眼孔の奥の、真っ黒な空間が彼女を見つめ―
「あら、大塚君」
「あ、先生」
翌日、彼女は生徒の大塚と、『偶然』町中でであった。
「昨日はあの後、問題解けた?」
「はい!ありがとうございました、先生」
大塚の元気な返事に、彼女は笑みを浮かべた。
「よしよし。でもね、ちゃんと授業聞いてたら解ける問題なんだけど?」
「ええと、それは…」
「今度からはちゃんと、授業を聞くように」
「はい、先生…」
「ところで大塚君―」
少しだけ肩を落とした大塚に、彼女は問いかけた。
「今日はこれからどこか行くの?」
「いえ、図書館に行った帰りです」
「一人で?」
「はい」
「そう…ところで大塚君、先生のお家近いから、ちょっと寄っていかない?」
「え?先生このあたりに住んでいるんですか?」
「うん。ちょっとジュースでもどう?」
「はい!行きます!」
「それじゃあ、行こうか」
彼女と大塚は、歩き始めた。
「はい…、はい…、いえいえ、いいんですよ」
彼女は受話器のに向かい、大塚の母親と話しをしていた。
「ええ、それでは暗くなる前に着くよう帰しますので…はい、それでは」
受話器を下ろし、小さなちゃぶ台に向き直る。
ちゃぶ台にはすでに大塚がついて、冷えたオレンジジュースに口をつけていた。
「お母さん喜んでらしたわよ、『先生から個人指導までしてもれえるなんて、ありがたい』って」
「…先生、何て言ったんですか?」
「いやね、ジュース飲むだけでよったなんていうとアレだから、勉強教える為に家に上げたって言ったの」
「ははは、口実ですよね」
「ごめんね、教師が嘘つくわけには行かないのよ。後、君の成績も少し心配だし」
部屋の隅の本棚から、授業で使っている教科書と新しいノート、それにシャーペンを取り出して大塚の隣につく。
「さ、始めようか」
「ううう…」
大塚は泣く泣く、ペンを握った。
「そ、そこに補助線を引くの」
彼女は大塚の隣に座り、彼に指導していた。
「あ、はい…」
大塚は半ば上の空といった感じで、言われるがままに線を引く。
「そうすると、ほら」
手を伸ばし、図の二点を指差す。
胸が、大塚の二の腕に触れ、ぴくんと反応する。
「ここと、ここが面積が等しくなるの…って、聞いてる?」
「…あ、はい、聞いてます」
(もうそろそろかな?)
彼女は、上気した彼の頬を見ながら考えた。
「ねえ大塚君」
彼女はさらに身を寄せ、腕と胸を密着させた。
大塚が、言い逃れできないほど大きく、身を震わせる。
「集中できていないけど、どうしたの?」
「い、いえ…その…」
「何か気になることでも、あるの?」
赤くなった頬に顔を寄せ、耳元に口を近づける。
「もしかして、先生のおっぱいが気になる?」
「いいいいいいいいいえいえいえいえ、気になってません!」
「じゃあ、これは何?」
ズボンの股間に手を伸ばし、軽くつかむ。
手の中で、固い棒状の何かが脈動していた。
「大塚君、おちんちんこんなに固くして…」
「あのっ、これは…違っ…」
「ウソは、だめよ」
布越しに彼のペニスを撫で、さする。
「ああっ!?」
「先生ね、ずっと前から大塚君のことが気になってたの」
手の動きを休めずに続ける。
「でも大塚君、私みたいなおばさんより真田さんとか同年代の娘の方が好きだと思っていたの」
「あぁぁああああ」
「だけど先生安心しちゃった。だって、こんなに悦んでくれるもん」
びくん、と大塚の腰が跳ね、ペニスがひときわ大きく脈動する。
そして、体全体を弛緩させた。
「あれ、出ちゃった?」
小さくうなづく彼を見て、彼女は笑みを深くする。
「下着、汚れちゃったね。洗ってあげるね」
「あ…だめ…」
ズボンに手をかけ、下ろそうとする彼女に、大塚は軽く抵抗した。
「何言ってるの、汚れた下着で帰ったら家の人に怪しまれるよ?」
「それはそうだけど…」
「もしかして、恥ずかしいの?」
大塚の返答を待たず、彼女は上着に手をかけ、一気に脱いだ。
そして続けざまに、ズボンも下ろす。
すると、セクシーとは言いがたいが、大塚にとっては十分に性的過ぎる下着があらわになる。
「これなら大丈夫でしょ?」
「いや…あの…」
「ほらほら、もじもじしてないでさっさと脱ぐ!」
力に任せ、彼のズボンと下着を強引に下ろす。
「うわぁ…精液でぐちょぐちょ…」
「ぅあ…」
精液にまみれた下着を丸め、適当に放り投げる。
すると下着は、洗面所のほうへと飛んでいった。
だが彼には、そのことを不審に思う余裕はなかった。
再び固くなり始めたペニスに、彼女が顔を寄せていたからだ。
「手で触ってただけなのに…つかめるぐらいどろどろの精液、あんなに出して…」
「あぅ…」
「それなのに、もうこんなに固くして…」
深く息を吸い、一言漏らす。
「ああ、生臭くていいにおい…」
「やめて、せんせぇ…」
大塚が涙ながらに訴える。
本当なら払いのけたいところだが、なぜか彼の体に力が入らなかった。
「それじゃ大塚君、おちんちんも綺麗にしよっか?」
「…え?」
彼女は口を開き、彼の腰に覆いかぶさった。
ペニスを、生温かい感触が包む。
(ああ、苦くて、生臭くて…)
彼女は生徒の精液と、ペニスを味わいつつ、舌をペニスに這わせる。
唾液と彼の汗と精液、そして新たな我慢汁が交じり合ったものが口内にたまり、嚥下する。
のどをねっとりとした粘液が下っていく。
「あっ、ああ…先…生、そんなにしたら…また…」
「らふぃへひーほ…」
「ああっ!」
彼女が『出していいのよ』と言おうとしたのが止めとなって、彼は再び射精した。
のどの奥に、直に精液がたたきつけられる。
一瞬むせそうになるが、彼女は我慢して精液を受け止めた。
「ん…んむ…ん…ぷはっ」
射精が収まり、口内の精液を飲み干してから彼女は顔を上げた。
「はぁ、美味しかったよ、大塚君の精液とおちんちん」
精液のにおいの混じった吐息で、彼に感想を告げる。
彼女には何の羞恥もなく、むしろ心地よささえ感じていた。
「それでね、大塚君・・・君、今度はここが気になりだしたんじゃない?」
彼女は問いとともに、体操座りの姿勢をとって、自分の下着の股布部分に手を当てた。
下着の生地は濡れており、布越しに性器の形があらわになっていた。
唇にも似た形の器官が、布にその形を浮かび上がらせている光景に、大塚の視線は釘付けになっていた。
「触ってみて」
「は・・・い・・・」
言われるがまま、顔を近づけて軽く指を当てる。
きめ細かな下着の生地と愛液の触感に、彼は指からさえも快感を感じていた。
自然と呼吸が荒くなり、ほのかな甘い香りの混じる彼女の性臭を肺いっぱいに吸い込む。
「どう?」
「すごく・・・やわらかくて、ぬるぬるで・・・」
彼は指を上下に動かす手を休めず、彼女の問いに答える。
「とっても・・・エッチで・・・」
「ふぅん、布越しなのによくわかるわね」
彼の手をとり、指を這わせるのをやめさせる。
「あ・・・先生・・・」
大塚は一瞬、残念そうな表情を浮かべた。
彼女は立ち上がって口の端を吊り上げ、下着に親指をかけ、太もものあたりまで下ろした。
布と密着していた性器が、糸を引いてあらわになる。
「座ったまま、顔、上げて」
立ち上がろうとした大塚を制止し、彼の顔の高さに腰が来るようひざを曲げる。
そして、彼の顔に女陰を押し当てる。
「んん!?ん!んんー!」
「何言ってるかわからないわよ、大塚君」
彼女はくぐもったうめきを上げる彼の頭をつかみ、さらに密着させた。
「どう?おいしいでしょ、先生のおまんこ。
あ、大塚君が顔当ててるとこ、おまんこって言うのよ」
彼がくぐもったうめき声を上げるたび、唇が動き、女性気を刺激する。
彼女は空いた手で、自らの胸をはげしく揉みしだいた。
「どう?わかる?女の人のおまんこがどうなっているか、わかるでしょ」
大塚が逃れようともがくが、彼女はかまうことなく押さえ続ける。
彼の動きと、彼女の手の動きが重なって、複雑な動きとなっていた。
「ああ、いいわぁ大塚君。あなたの顔、気持ちいいわぁ・・・」
彼女は、彼の顔面に女陰を押し付ける好意に興奮していた。
いや、彼女は彼の顔面を犯していたのだ。
腰と頭の角度を変え、彼の鼻が女陰に入るようにする。
「んはっ・・・ぜ、ぜんぜい・・・やべて・・・」
口が開放され、彼が懇願を口にするが彼女は無視した。
「ああ・・・もう・・・もう・・・」
彼女の太ももに力がこもり、彼の頬を挟み込んだ。
そして―
「イくぅぅぅぅぅ!」
彼女の叫びとともに、女陰から愛液がほとばしる。
大塚の目といわず、鼻といわず、顔全体を愛液がぬらした。
「うぇ・・・げほっ、げほっ・・・」
彼女の手が緩むと同時に、彼は顔を背けて咳き込んだ。
気管に愛液が入ったのだろう。
「はぁ・・・大塚君、ほんとに気持ちよかったわ・・・」
半ば放心したような表情で、彼女はぽつりともらした。
「でもね、あなたが咳き込んだおかげで、気分ぶち壊し・・・だから」
彼女は、四つんばいになってなおも咳き込んでいる彼に跨る。
ちょうど『お馬』の姿勢で、騎手が前後逆になった形だ。
「え・・・?」
「これはお仕置きよ」
彼女は身を倒し、胸を彼の腰に密着させて、勃起したペニスに指を絡めた。
そして上下に動かす。
「や、やめっ、ああっ…」
半ば涙声になったあえぎ声をBGMに、彼女は強弱をつけながらペニスを扱く。
「ねぇ、大塚君…先生の手がぬるぬるしてるの、分かる?」
ペニスからの快感に顔を歪ませる彼の耳に、彼女の声が届く。
半ば思考が麻痺したような状態の彼でも、彼女の手のひらが異常にぬるぬるとしているのに気がついていた。
「それ、先生の愛液だよ。でもね、おまんこから出たんじゃないよ」
胸を腰に押し付け、左手で大塚の睾丸をもてあそびながら言葉を続ける。
「手から出たの。私の手から…
それでね、実は先生いろんなことができるようになったの。例えば―」
「!?」
突然ペニスへの刺激が、指からもっと柔らかいものに変わる。
頭を下げて股間を確認すると、ペニスに指ではなくタコの足めいたものが巻きついていた。
柔らかで粘液に包まれた触手による責めは、手より格段に上の快感を与えていた。
「あっ…ああ…」
「そして左手も―」
「ああっ!?」
睾丸が、生温かいものに包まれる。
まるで口に含まれているような感触に、思わず声を上げる。
「そんなに声出して…喜んでもらえて、先生うれしいわ」
睾丸が粘膜に包まれ、舌めいた突起に嬲られているというのに、彼女はよどみなく言葉を紡いでいた。
「あ、ああ!いああ!やめれぇ…せんえぇ、やめれぇ…」
「嘘は駄目よ、大塚君。本当は、イきたいんでしょ?」
数度の射精によって、彼はペニスと睾丸への同時責めでも、まだ絶頂を迎えられそうになかった。
「本当は、もっと気持ちよくしてもらいたいんでしょ?」
「ああ…うう…」
「だったら、正直に口に出して言わないと。先生、分からないわよ?」
「ださ…せて…」
「ん?何?聞こえなかったわよ」
口の端を吊り上げながら、彼女は問う。
「もうちょっとはっきりと。さぁ」
「ださせてください!せんせぇ!」
「はい、よく言えました。それひゃあ」
彼女の発音が急に不明瞭なものに変わる。
「ひられ、ひれあへる」
(舌で、してあげる)
意識を集中させていた彼女の舌は、すでに数十センチの長さに達していた。
角度を調整し、彼の肛門に突き立てる。
「うあぁぁぁああああ!?」
肛門に差し込まれた異物に、大塚の叫びが上がる。
括約筋が締まり、彼女の舌を止めようとするが、舌の表面から粘液が滲み出し、抵抗なく奥へ進んでいく。
(ふふっ、大塚君のお尻…ちょっとしょっぱくて、苦いわね)
彼の直腸の味と、叫び声を楽しみながら、舌の挿入を止める。
そして、再び舌の形状を変化させる。
挿入の為滑らかにしていた表面に、無数の小さな突起を作る。
もちろん、粘膜を傷つけない程度に柔らかくしてある。
彼女はその舌で、彼の腸壁を軽く舐めた。
「あああああ!」
腸壁越しの前立腺への刺激が引き金となり、彼は叫び声とともに絶頂を迎えた。
噴出した精液が、触手化した右手の表面から吸収されていく。
(ん…美味し…)
彼女は精液の味を、右手で感じ取っていた。
「ああ…あぁ…ぁ…」
次第に大塚の声が小さくなり、合わせるように射精が治まっていく。
そして、射精が終わると同時に彼は意識を失い、全身を弛緩させた。
「先生、今日はありがとうございました。それじゃ、また明日ー」
「気をつけてねー」
彼女はアパートの入り口で、大塚の姿が見えなくなるまで見送っていた。
大塚が道路を曲がり、姿を消すと同時に彼女の顔が愉悦に歪む。
(あの大塚君が、あんな声で喘ぐなんて…)
彼女しか知らない、大塚の秘密。
大塚にとっては、今日は彼女の部屋で勉強を教えてもらっただけだという記憶しかないだろう。
それは彼女が植えつけた、偽の記憶。
彼女の知識を元に、勉強した内容まで覚えさせておいたから、ボロは出ない。
そして明日は、大塚が数人の友人とともに彼女の部屋で『勉強会』をする約束をした。
「ああ…楽しみ…」
彼女は小さくつぶやき、アパートの階段を上っていった。
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