魔を喰らいし者4
こうなった以上、ジェラを引き剥がす事は難しいだろう。止むを得ず、俺はジェラに身を任せることにした。今までの彼女の態度から考えるに、そう無茶な真似をされる事もないだろうと判断したのだ。ならばここはジェラの信用を得ておくためにも、抵抗しないのが上策。少々の恥は、この際覚悟する事にしよう。
……それにここで断ると、後が怖い気もするし。
「ふふ……では、今から本格的に洗って差し上げますね」
俺が大人しくなった事で気を良くしたのか、ジェラは上機嫌といった顔をしていた。そしてメイド服の胸元に手をかけると、ボタンを外して胸元をはだけさせて大きな胸を露にした。うーん、眼福眼福……って、そんな場合じゃないか。
「お、おい……一体何を?」
「もちろん、村正様の体を洗うに決まってるじゃないですか」
そう言うと、ジェラは自身の胸にボディーソープを塗りつけ始めた。そしてそれから、後ろから抱きつくようにして胸を俺の背中に引っ付ける。
「ふふ……えいっ♪」
「くっ、ふぁぁっ!?」
ジェラは自らの豊満な胸を、俺の背中に擦り付け始めた。同時に両手を俺の乳首へと伸ばし、くりくりと弄り始める。
「ふぁっ……ああっ!」
「ふふ、気持ちいいですか?」
「やっ、止めっ……うああっ!?」
突然、ジェラに散々弄られ続けていた乳首が、じんじんと疼き始めた。まるでジェラの指先に何かの薬品が塗られていて、それが乳首から染み込んできたかのように。
異変があったのは乳首だけではない。先ほどからジェラに胸を擦り付けられていた背中にも同様の感覚があった。
「んんっ……じぇ、ジェラ! お前一体何を……」
「ふふ……村正様の体が少しばかり敏感になるように、お薬を塗って差し上げただけですよ」
薬……そうか、あのボディーソープか!
「あら? ここもずいぶんと汚れていらっしゃるようですね」
そう言うと、ジェラは胸を弄る手を止めて俺の股間へと手を伸ばした。そして手の泡を、俺のモノに擦り付けていく。
「うっ……あっ、ああああっ!?」
「ふふ……いかがですか? 亀頭から薬が染み込んでいく感覚は」
先ほどよりも薬の効き目が早い! おそらく粘膜から薬が浸透しているためなのだろうが……やばい、このままじゃ……。
「では……そろそろ洗って差し上げますね」
くすくすと微笑みながら、ジェラは敏感になった亀頭を弄り始めた。ジェラの指が俺のモノの先端を這い回るたびに、思わず腰がビクッと動いてしまう。
「ふふ……どうですか? 気持ちいいでしょう?」
「くっ、あああああっ!?」
ジェラが手を動かす度に、俺の口から情けない声が上がる。堪え切れない程の快感だが、それは決して射精できる類のものではない。
「ほらほら、おちんちん気持ちいいですか?」
「きっ、気持ちいいけど、これじゃ……うあああっ!?」
もう出してしまいたい。だが、出すことはできない。そんなジェラの巧みな責めに、次第に俺は追い詰められていった。そして、ついに……。
「ぐっ、あああっ!? も、もう……」
「ふふ……もう出そうなんですか? 仕方ありませんねぇ」
しばらくの間は必死で我慢していたが、こんな快感を前に耐え続けることなどできるはずがない。俺は不本意ながらも、うめき声を洩らしていた。それを聞き、ジェラが意地悪な笑みを浮かべる。
「それじゃあ……まずは、私の手で出させてあげますね」
そういうと、ジェラは俺のモノの真上から掌を被せるようにゆっくりと下ろし始めた。そして次の瞬間、にゅるんという感触とともに俺の肉棒がジェラの手の中に完全に飲み込まれてしまったではないか。
「なっ……ふっ、ああああああっ!?」
思わず驚きの声を上げる俺。だがそれも、すぐに快感の声に変わった。ジェラの手の中はぬるぬるしていて、それが蠕動運動を行いながら肉棒をぐちょぐちょと弄んでくる。薬と愛撫で高められていた今の俺には、堪える事などできなかった。
「くっ……あっ、ああああああ――――っ!?」
「ふふ……村正様の精、とても美味しいですね。それにしても……こんなにすぐ出しちゃうなんて、そんなに私の手が気持ちよかったんですか?」
「うっ、あああっ!?」
風呂場に声を響かせながら、俺はジェラの手の中に射精していた。だが射精の最中も、ジェラの責めは止む事はない。ジェラの手の中は俺の精液をすべて搾り出そうとするかのように、陰茎に絡み付いて全体をぐにぐにと責め立てる。
「さてと……次は別の場所で出させてあげますね」
「つ、次!? そういえばさっき、『まずは』私の手でって言ってたけど……まさか!」
「はい、そのまさかです。では、失礼しますね」
戸惑う俺を尻目に、ジェラは素早く俺の前へと回り込んだ。そして俺のモノに口を近づけ、ためらうことなく一気に飲み込む。通常なら先端が喉の奥に当たりそうなものだが、ジェラが苦しむような様子を見せることはなかった。
「んっ……ちゅっ……んんっ……」
そしてそのまま、ジェラは頭を前後にストロークさせてフェラチオを開始した。ジェラの口の中はまるで無数のヒダがあるかのような感触で、口全体が隙間なくぴっちりと肉棒を包んで責め立ててくる。通常ならありえないその感触に、俺は再び高みに押し上げられつつあった。
「なっ……くっ、うあっ!? じぇ、ジェラ……くぅっ!」
「ぷはぁっ……どうかいたしましたか、村正様?」
俺の声を聞くと、ジェラは俺のモノから口を離してそう尋ねた。
「いや、その……苦しくないのか? そんな奥まで飲み込んだりして……」
俺の言葉を聞いたジェラは一瞬きょとんとした表情を顔に浮かべたが、すぐに元の笑顔に戻った。
「ああ、大丈夫ですよ。私、人間ではありませんから」
「……そういや、ジェラってサキュバスだっけ」
あまりにも一つ一つの仕草が人間っぽいのでついつい忘れていたが、この屋敷に勤めているメイドである以上、ジェラもおそらくサキュバスのはずだ。ならば、これぐらいの芸当はできても不思議ではないのかもしれない。
「正確に言えば、普通のサキュバスとは少し違うのですが……それにしても、村正様はお優しいのですね。このような状況で、私の事を気遣うなんて」
「優しい、か……よく甘いとは言われるけどな」
「それに、先ほど私が体を洗おうとしていた時も、私の事を信用して抵抗しないでくれましたよね? 普通の方なら、暴れたりして抵抗するものですのに」
「まあ、一応危害を加える事はしないって約束してくれたからな」
人間誰しも、自分の事を信じてくれる者をすげなく扱う事は難しい。だからこそ俺はジェラの信用を得るため、あえて抵抗せず身を任せたのだ。どうやらその効果はあったらしい。
「ふふ、ありがとうございます。それでは……そろそろ再開しますね」
そう言うと、ジェラは再び俺のモノを口へと含んだ。今度は先ほどのストロークに加え、ジェラの口の内側が俺の肉棒を揉み込んでくるような刺激があった。まるで、歯のない口に租借されているかのような感覚。俺は口から漏れ出るうめき声を抑えることができないでいた。
「あっ、ああっ……」
「ふふ……おちんちん、かみかみされるの気持ちいいですか? それじゃ次は、吸って差し上げますね」
「えっ……うっ、うああっ!? すっ、吸われ……くぅぅっ!」
口が塞がっているはずのジェラの声を耳にし、驚く俺。だが不思議に思い考えようとするよりも早く、俺のモノはジェラの口の奥に吸われ始めた。揉み込むような感覚はそのままに、掃除機を越えるのではないかと思われるほどの吸引力が、俺の陰茎に襲い掛かる。体の中にある精液を、強制的に吸いだされるような快感に、今の俺は耐える事ができなかった。
「じぇ、ジェラ……くっ、俺もう……」
「出そうなのですね。では……どうぞそのままお出しください」
「くっ……うっ、あああああああ――――っ!?」
二度目の射精。クリスとした分も回数に入れるなら、今日だけですでに五回目も射精していることになる。だが俺のモノは、一向に萎える様子を見せない。これもボディーソープの効果なのだろうか。
「んっ……はぁっ……村正様の精、本当に美味しい……」
「くっ……じぇ、ジェラ! もういいだろ?」
「ふふ、まだですよ。次は胸でしてあげますね」
そう言うとジェラは俺のモノから口を離し、いまだ硬度を保っているそれを豊かな双球で挟み込んだ。人並みよりはやや大きいはずの俺の肉棒は、ジェラの作った谷間に埋没して完全に姿を消してしまう。
「くっ……す、すごいな、ジェラの胸……」
「お褒めいただき、どうもありがとうございます。お礼に、もっと気持ちよくしてあげますね」
ジェラはにっこりと微笑みながら、先ほど使っていたボディーソープを手に取った。そしてその中身を、胸の谷間に滴らせる。
「なっ……」
「では……いきますね」
そして、胸での責めが再開される。新たにボディーソープを塗り付けられ、再び俺のモノはじんじんと疼き始めた。
「くぅぅっ……すっ、凄すぎる……っ!」
「んっ……はぁっ……ふふっ、いかがですか?」
「さ、最高だ……ジェラの胸、すごく気持ちよくて……くっ!」
ほんのりと上気した顔を見せながら、パイズリを続けるジェラ。股間への刺激と扇情的な光景に、すでに俺は限界が近づいていた。
「うあっ……じぇ、ジェラ! もう……っ!」
「イきそうなんですか? うふふ……それじゃ、もっとすごい事してあげますね」
「もっ、もっとすごい事!?」
今でも凄まじく気持ちいいというのに、まだこの上があるというのか!?
「ふふっ……村正様のおちんちん、完全に包んで差し上げます」
「え? 包むって……うおっ!?」
突然、ジェラの胸が変化を始めた。まるで二つの胸が一体となるかのようにくっつき、その境界を徐々に無くしていく。双球が完全に一体となった時、俺のモノはすでにジェラの胸に飲み込まれていた。
「じぇ、ジェラ! これは一体……」
「ふふ、言ったでしょう。村正様のおちんちん、完全に包んで差し上げますって。それじゃ……今からもっと気持ちよくしてあげますね。覚悟はいいですか?」
「か、覚悟って……うっ、うわぁぁぁっ!?」
俺はジェラの発した言葉の理由を尋ねようとしたが、それは叶わなかった。何故なら、俺の肉棒がジェラの胸の中で渦潮にでも巻き込まれたかのような感触に襲われたからだ。
「気持ちいいですか、村正様?」
「くっ、ああああっ!? な、何だこれ……あああああっ!?」
「ふふ……村正様のおちんちんを、私の胸の中でかき回しているんです。これされると、どんな男の人でもあっという間にイっちゃうんですよ」
ジェラの胸の中はねとねとしていて、すごく柔らかい。そんな中でペニスをかき回されるのだから、こちらとしてもたまったものではない。すでに限界が近づいていた俺には、この未曾有の快感攻撃を耐える術はなかった。
「うぁっ……あっ、あああああああああ――――っ!?」
本日六度目になる射精。だが、ジェラの責めは尚も続く。
「ふふ、出ちゃいましたね。でも、止めてあげません。それそれ〜!」
「くっ、ああっ!? じぇ、ジェラっ! うっ、うああっ!?」
射精中だというのに、ジェラの胸の内部は俺の肉棒に絡みつき、更なる放出を促す。ペニスを包まれ、柔らかく弾力のある内壁に締め付けられ、亀頭を刺激され、カリの辺りを責められ、全体を扱きあげられる。いくつもの技巧が合わさった責めの前に、俺は情けない声をあげるしかできなかった。
「もっともっと、白い精液一杯出しちゃってくださいね……ふふ」
「や、やめ……ああっ、あああっ!?」
ジェラがそう言うと、再びペニスがジェラの胸の中でかき回され始めた。イったばかりで敏感になっているモノに新たな刺激が加わり、俺は悶絶する。
「うふふ……村正様、もう限界なんですか?」
「……あふぅっ!? くっ、うあああっ!?」
「仕方ありませんね。それじゃ、次イったらそこで終わりにしましょうか」
にこにこと微笑みながら、ジェラはそう言った。これでようやくこの快楽地獄も終わりか……俺の脳裏にそんな考えが浮かぶ。だがそれは、甘い考えだったとすぐに知らされた。俺を限界ギリギリまで高めた後、急にジェラの責めが弱いものになったのだ。決して射精はさせないが、それにより得られる快感は堪えられるものではない。そんなぎりぎりの責めに対し、俺はどうすることもできなかった。自分で扱こうにも、俺のモノはジェラの胸の中で触る事すらできないのだから。
「くっ……じぇ、ジェラ……」
「あら、どうかなさいましたか?」
「わ、わかってるくせに……」
……こいつ、絶対にサドの気があるに違いない。あとで覚えてろよ。
「ふふ、イきたいのにイけなくて辛いのですね。でも、まだイかせてさしあげません」
「そ、そんな……」
「では……引き続き、お楽しみください」
そう言うと、ジェラは生殺しの快楽責めを続行した。弱い責めでじわじわと嬲りながら、快楽に慣れはじめると強い責めに切り替える。そしてイく寸前まで高めた後、再び弱い責めに戻す。そんな事を何度も繰り返され、俺はすでに気がどうにかなってしまいそうなほど追い詰められていた。
「じぇ、ジェラ……」
「ふふ……イきたいのですね?」
「た、頼むからもう……イかせてくれ……」
これ以上生殺しを続けられたら、本当に気がどうにかなってしまいそうだ。たまりかねた俺は、ジェラに懇願していた。
「うふふ……では、出させてあげます」
ジェラはにっこりと微笑むと、胸での責めを激しいものへと切り替えた。すでにじらされ続けていた俺は、たちまちのうちに上りつめさせられてしまう。
「くぅっ……あっ、ああっ……あああああ――――っ!?」
絶叫とともに、俺はジェラの胸の中に射精していた。だがジェラは、責めの手を止めようとはしない。
「ふふ……尿道に残っている分も、搾り出してあげますね」
「うああっ!? じぇ、ジェラ……くぁっ!?」
ジェラの胸の中が、射精中の俺のモノをぐにぐにと揉みしだいて責め立ててくる。それは明らかに、次の射精を促すためのものだった。
「ぐっ……こ、こんな事……うっ、あああっ!?」
先ほどイったばかりだというのに、瞬く間に俺は射精寸前の状態まで追い詰められていた。そんな俺の様子を見ながら、ジェラは悪戯っぽい微笑を顔に浮かべている。
「あらあら、どうやらまだ奥の方に残っているみたいですね。ふふ……全部搾り出してあげます」
「や、約束が違……くぅぅっ!? さっき、次イったら止めるって……」
「あら、私そんな事言いました?」
すました顔でとぼけてみせるジェラ。その間にも、俺の肉棒に対する責めは続けられていた。そして、ついに……。
「くっ……で、出るっ……あっ、ああああああ――――っ!?」
執拗な責めに耐え切れず、俺は精を放っていた。だが、それでもジェラの責めは止まらない。
「ふふ……村正様のおちんちん、まだまだ硬い……よっぽどたまってらしたのですね」
「こっ、このっ……そのボディーソープのせいだろ、それは!」
「そんなことはありませんよ。このボディーソープには、あくまで感じやすくするだけの作用しかありませんから」
何だって? だが、いくらなんでもこれだけイって萎える様子がないってのは……まさか、これも淫魔化の影響なのか?
「村正様の精、全部吸い出してあげますね……んっ……」
不意に、ジェラの胸の谷間があった部分に穴が生まれ、そこから俺のモノの先端が顔を覗かせた。ジェラはそこに口を近づけると、そのまま先端部を飲み込んでみせる。
「うっ、うあっ……あああああっ!?」
次の瞬間、俺は肉棒の先端から何かが入ってくるような感触に身を震わせていた。弾力のあるそれは俺のモノの先端からどんどん入り込んでくる。この感触……まさか、ジェラの舌か!?
「尿道を責められる気分はいかがですか、村正様?」
「やっ、やめっ……ああっ、あああああっ!?」
出るはずの場所から、異物を入れられる感触。本来なら痛みがあってもおかしくないはずだが、ジェラの舌はすんなりと入り込み、苦痛ではなく異様な快感を俺に与えていた。
「ふふ……よほど気持ちいいみたいですね。それじゃ……次は尿道の中を舐め回してあげます」
「なっ、舐めまわすって……うっ、うああああ――っ!?」
ジェラがそう口にすると、尿道に入り込んだジェラの舌が、ぐねぐねと動き始める。それによって巻き起こされた、あまりに壮絶な快感の前に、俺は腰をがくがくと震わせて喘ぐことしかできなかった。
「じぇ、ジェラぁ……も、もう……」
「ふふ……次で、本当に最後です。村正様の精……直接吸い出させていただきます」
「うっ、うああああっ!? おっ、奥に入って……くぅぅぅぅっ!?」
ジェラの舌がどんどん奥へと入り込んでくる。どこまで入るのか……そう思っていたら、ジェラの舌はしばらく進んだあたりでぴたりと止まった。
「ふふ、前立腺に届きましたよ。わかります?」
「あああああっ!? じぇ、ジェラ! こ、これ以上はもう……」
「まだですよ。もう少しだけ、奥に進ませていただきます」
再び進行を開始するジェラの舌。ジェラの舌が前立腺を通過する際、未曾有の快感が俺に襲い掛かる。脳が焼き切れるような快感を味わい、俺の口からは絶叫のような声が勝手に漏れ出していた。
永遠に続くかと思われた快楽地獄は、実際には数秒程度で終わりを告げていた。だがジェラの舌は依然俺の尿道の中にあり、まだ気を抜ける状態ではない。
「村正様、今私の舌がどこにあるかわかりますか?」
「……はっ、ま、まさか……精巣、か?」
ジェラの精を直接吸い出すという言葉の意味にようやく思い至り、俺ははっとした。そういえばさっきジェラの舌が動く少し前、ジェラの舌が二本に増えたかのような感触があった。ジェラがここまで舌を進めたのは、恐らく……伸ばした舌をストローのようにして、文字通り精巣から精液を吸いだすために違いない!
「うふふ……正解です。では……吸って差し上げますね」
「まっ、待っ……ぐぅっ、ぐああああああ――――っ!?」
もはや快感なのかどうかすら定かでない何かが、俺の体に襲い掛かる。地獄とも天国とも思える数秒間の後、ようやくジェラは舌の吸引を止めた。
「ふふ……ご馳走様でした。では……舌を抜いて差し上げますね」
「あっ、ああっ……ああああああああああああ――――――――っ!?」
じゅるじゅるという音を立てながら、ジェラの舌が引き抜かれていく。その間俺は、引っ切り無しに射精を続けているかのような快感に襲われていた。通常の手段では、まず得ることができないであろう快楽。普通の人間ならとっくの昔に壊れていてもおかしくない程の快感を味あわされていた俺だったが……昔親父に色々鍛えられていたおかげか、かろうじて意識を保つことができた。
「……ふう、これで終わりです。お疲れ様でした」
(や、やっと終わった、のか……)
幾度もの射精による疲労感でそのまま気を失ってしまいそうだったが、俺は無理矢理にでも意識を覚醒させるべく、言霊――以前エミリアの淫香から逃れるために使ったあれだ――を小声で唱え始めた。最初は大人しくしているつもりだったが……あれだけやられたんだ、仕返しの一つくらいしておかないと気がすまない。それにこれからの事を考えると、舐められっぱなしってのは色々まずいしな。
「……Don't surprise……fear……doubt……and confuse……」
「さて、私はそろそろ……村正様?」
着崩していたメイド服を直していたジェラだったが、俺の反応がない事に気づきこちらへと視線を向ける。だが俺は気にせず、そのまま言葉を続けた。
「……If I keep "four lessons"……my victory becomes……firm!」
最後の言葉を言い終えると同時に、今にも倒れそうだった体に活力が戻る。すぐに俺は行動を起こした。ジェラが先ほど使ったボディーソープをすばやく引っつかみ、一瞬でその蓋を開けて中身を丸ごとジェラにぶちまける。この間、僅か0.2秒。我ながら中々の早業だ。
「なっ……むっ、村正様っ!? 一体どういうつもり……んむっ!?」
抗議しようとしたジェラの口を、自らの唇で塞ぐ。こういう時、キスってのは本当に便利だ。文字通り相手の口を塞ぐことができるんだから。対象に制限があるのが難点だがな。
「……んんっ……っはぁっ……」
「……ふぅ。さっきは体を洗ってくれてありがとな、ジェラ。お礼に今度は俺が、お前の体を洗ってやるよ」
意地悪な笑みを浮かべながら、俺はジェラのメイド服を素早くはだけさせ、ボディーソープでぬるぬるになっていたジェラの体に手を這わせた。最初に胸で責めていた時に、ジェラは僅かだが上気した表情を見せていた。恐らく、このボディーソープはサキュバスにも効果があるものなのだろう。ならば、それを利用しない手はない。
「ふぁぁっ!? むっ、村正さ……ひゃぅっ!?」
「ん〜? どうしたんだジェラ、言いたい事があるならはっきりと言ってくれないとわからないなぁ?」
にやにやと笑いながら、俺はジェラの体を洗い続ける。それにしてもジェラの肌はすべすべしているな。この感触、まるで俺の掌に吸い付くようだ。
「はぁぁっ……くっ!」
「おっと、逃がさないぜ」
とっさに身をよじり、俺の手から逃げ出そうとするジェラ。だがそれよりも速く、俺は背中から翼を生やし、それを巻きつけてジェラの体を捕らえた。
「えっ……つ、翼!? 村正様、貴方一体……」
「俺か? 少し前までお前に為されるがままだった、しがない男だぜ。そんなことより……さっきの続きといこうか」
風呂場という限られた空間では、そうそう逃げ場もない。これで、ジェラに逃げられる心配はまずなくなったというわけだ。俺は安心して、翼の間からジェラの体に手を這わせた。
「ひぅっ!? あっ、ふぁっ!? や、止め……はぁぁっ!?」
「そう言われても、止めるわけにはいかないなぁ。ちゃんと体の隅々まで、よく洗わないと」
顔をにやつかせながら、俺はジェラの体の隅々にまでボディーソープを塗り込んでいった。指先や膝の裏、うなじの辺りといった部分も忘れることなく、繊細なタッチで泡を塗り込めていく。ただし、胸や秘所といった敏感そうな部位はあえて触らないでおいた。意地が悪いと言うなかれ。これはあくまで正当な報復なのだから。
とまあ、そんな風に自分に言い聞かせながら、俺はジェラの体を洗い続けた。そうこうする内に、ジェラの様子が変わり始める。先程まではひたすらもがいて快感から逃れようとしていたのだが、今では体力が尽きたのか(ということにしておいてやる)、俺に為されるがままになっていた。
「ふぁっ……はぁぁぁっ!? む、村正様ぁ……」
「ん? どうかしたか?」
太股の辺りに泡を塗りつけながら、俺は聞き返す。ジェラは潤んだ目で、こちらを見つめていた。ジェラの望んでいることは、おおよそ想像が付く。だがだからといって、そう簡単に望みを叶えてやるつもりはない。先程散々意地悪されたんだ。少しくらいはお返ししておかないとな。
「そ、その……ほ、他の所も……」
「他の所? ちゃんとはっきり言ってもらわないと、よくわからないなぁ。ほらほら、どこを洗って欲しいんだ?」
「うっ……その……胸、とか……」
恥ずかしそうに、そう口にするジェラ。その表情は、俺の中の嗜虐心を刺激するのには十分だった。
「へぇ……自分からおねだりするなんて、ジェラはえっちなんだな」
「なっ……! それは、村正様が言わせ……ふぁっ、ふぁぁん!?」
抗議しようとしたジェラだったが、俺がボディーソープでぬるぬるになった手で胸に触れると、途端に可愛らしい声を上げて喘ぐ。
「へえ、じゃあジェラはえっちじゃないって言うんだな。でも、胸を触られただけでこんなに可愛い声を上げてたんじゃ、全く説得力はないぜ?」
「そ、そんな……っはぁぁっ!? わ、私、いつもはこんなに感じたり……あっ、あああっ!?」
「ふぅん……じゃあこんな風に薬を使われて、感じるのは初めてなのか?」
「くっ、薬自体は初めてじゃ……ふぁっ!? で、でもその時はここまで……ひぅっ!?」
会話の合間にも、俺はジェラの豊かな胸にボディーソープを塗り広げていった。時折乳首を指先で摘んで刺激したり、胸全体を軽く揉んだりして責めることも忘れない。
「もっ、もう止め……くはぁぁっ!? ひっ……あっ、あああっ!?」
「何言ってるんだ? 洗って欲しいって言ったのはジェラの方だろ?」
「そっ、それは……ふぁっ!? やっ……むっ、村正様ぁ!?」
人差し指の先で乳首に軽く爪を立ててやると、ジェラは高い声を上げた。しかし、随分な乱れようだな。以前に薬を使った時はここまで感じなかったというのなら、俺がその時の相手よりテクニシャンってことか? ふっ、勝ったな。
……まあ、自惚れるのはこのくらいにしておこう。単に薬の量が多いから、これだけ感じてるだけかもしれないし。
「それにしても……ジェラは胸が弱いんだな。このまま続けたら、胸だけでイけるんじゃないか?」
「そ、そんな事……はぁぁっ!?」
「よし、試してみるか」
風呂場でメイドと戯れる……嗚呼、何という心躍るシチュエーションだろうか。等と馬鹿な事を考えながら、俺はジェラの胸を本格的に愛撫し始めた。ジェラに苦痛を与えないよう繊細に、かつ快感に慣れることのないよう大胆に、技巧を凝らしてジェラの大きな胸を責め立てる。
「ふぁっ、あっ、ああっ……やっ、やぁっ……むっ、村正様……ふああっ!?」
「ほらほら、気持ちいいか? もっともっと、気持ちよくしてやるからな」
全体を力を込めすぎぬよう優しく揉み解したり、指先で乳首にバイブレーションの如き刺激を加えたり……俺は自分の持っている引き出しの全てを解放し、ジェラの胸を責め続けた。そして、ついに……。
「わっ、私……ふぁっ!? も、もう……ひゃぁっ……あっ、ああああああああ――――――っ!?」
大きな声を上げ、ジェラはその身をびくびくと震わせた。そのまま床に倒れこんでしまいそうになるジェラの体を、俺は優しく抱き止めて支えてやる。
「……本当に胸だけでイっちゃったな、ジェラ」
「っはぁ、はぁっ、はぁっ……村正様の、いじわる……」
耳元で囁いてやると、ジェラは整った顔を赤くして、恥ずかしそうにうつむきながらそう口にした。その表情と台詞は俺の中の嗜虐心をさらに刺激し、新たな欲求を俺の中に生じさせる。
「さて……次は、ここだな」
「あっ……そっ、そこはっ……ふぁっ!?」
俺は泡だらけになっている右手をジェラのスカートの中に差し込み、太股の辺りからゆっくりと撫で上げていった。ジェラのそこはすでに、下着の上からでもはっきりとわかるほど濡れている。よほど気持ちよかったらしいな。
「おや? ジェラのここ、随分濡れてるみたいだな」
「そ、それは村正様が……はぁっ!? やっ、止めっ……はぁん!? 私、さっきイったばかりで……あっ、ああっ!?」
「なるほど、イったばかりで体が敏感になってるのか。でも、まだ洗い始めたばかりだからやめるわけにはいかないな」
「そ、そんなぁ……はぁぁっ!? やぁっ、はぁっ……ふぁぅぅっ!?」
俺はジェラの下着を脱がせた。そしてそのまま掌で表面部分を撫で回すようにして泡を塗りつけ、指先で陰核を摘み弄ぶ。その度にジェラは身を悶えさせ、耳に心地よい嬌声を上げていた。
「はっ、はぁっ!? む、村正様ぁ……もっ、もう、許して……ふぁぁぁっ!?」
「んー、でもなぁ……さっきジェラ、俺が止めて欲しいって言っても止めてくれなかったし」
「あっ、謝りますっ! 謝りますからぁっ!」
「……よし、じゃあ最後まで洗ったら止めてやるよ」
少し前浮かべていた笑みよりもはるかに意地悪そうな笑みを浮かべながら、俺はジェラの中に指を一本差し入れた。すでにそこはぐっしょりと濡れていたため、俺の指はすんなりと飲み込まれる。ジェラの中はすごく熱く、指を火傷してしまうのではないかと思えるほどだった。俺はそんなジェラの中に、指に付いた泡を塗りつけていく。
「やっ……ふあああっ!? むっ、村正、さまぁ……」
「やっぱり、粘膜からだと薬の効き目が速いみたいだな。気持ちいいか、ジェラ?」
「はっ、はああああっ!? かっ、体が……ふぅぅっ!?」
次第に、ジェラの表情がとろんとしたものへと変化していく。それに気をよくしながら、俺はジェラの秘所を本格的に弄り始めた。出し入れする指を二本に増やし、少し激し目にジェラの蜜壷を掻き回す。同時に空いた左手で、ジェラの胸を愛撫することも忘れない。
「ふああっ、ああっ、ひゃっ……ああああっ!? だっ、だめぇ……」
「何が駄目なんだ、ジェラ?」
「こっ、こんな……ふぁっ!? やっ、やぁっ……はぁん!? わっ、私……このままじゃ、本当に……ああっ!? おっ、おかしく……」
「残念ながら、まだ洗ってる途中だから止めるわけにはいかないな。もう少し我慢してくれ」
「あっ、あああああっ!?」
俺の愛撫の前に、ジェラはもう喘ぐ事しかできないでいた。陰核を軽く力を込めて摘んでやると、その声はさらに大きくなる。
「くっ……ああああっ!? わっ、私っ……もうっ……」
やがて、ジェラは二度目の絶頂に達しつつあった。だがジェラが上り詰めようとするその寸前に、俺は愛撫の手を止めた。
「……えっ? あっ、あの……どうして止めるんですか?」
「何言ってるんだ、さっき言っただろ。最後まで洗ったら止めてやるって」
「あっ……そ、そんな……」
「よく我慢したな、ジェラ。それじゃ、泡を洗い流してやるよ」
「むっ、村正様ぁ!」
恨めしそうな目で俺を見るジェラ。ぎりぎりで寸止めされた事がよほど辛いのか、しきりに太股の内側を擦り合わせている。
「どうしたんだジェラ? 何か言いたい事があるのなら、はっきりと言ってくれないとわからないぞ?」
「ううっ……酷いです、村正様……」
「そうか、何も用はないんだな。じゃあ、さっさと上がるとしよう」
「あっ……まっ、待ってください!」
俺がそのまま風呂場から出て行こうとしたのを見て、慌ててジェラは俺を呼び止めた。
「何だ? 用があるなら早く言ってくれよ。あんまり長湯すると、のぼせちゃうからな」
のぼせるも何もまだ風呂にすら入っていないのだが、俺はあえてそう言ってやった。ジェラは少しの間うつむいていたが……やがて決心したのか、顔を上げて口を開いた。
「お願いします、村正様……どうか、最後までしてください……」
「何を、最後までして欲しいんだ? ちゃんとはっきり説明してくれないと、よくわからないなぁ」
「……っ! そ、その……村正様のモノで……私のここを、掻き回してください……っ!」
そう言うと、ジェラは可愛らしいお尻をこちらへと向けた。しめしめ、狙い通りだ。
……とはいえ、どうしたものかな。流石にもう少し時間を置かないと、俺のモノも回復しそうにないし……そうだ、アレがあった。
「うーん、でもなぁ……流石に今日は、もう勃ちそうもないし……」
「そ、そんな! あ、あの……それじゃあ、指でも……」
「それが、さっきから指を動かしてたから腕が痛くなってきて……悪いけど、指も駄目だな」
「ううっ……ひ、酷いです……」
本当は別に痛くないのだが、あえて意地悪をしてみる。やはり美人をからかうのは面白いな。
「……そうだ、一つだけ使えるものがあった」
「ど、どこですか!?」
「ああ、これだよ」
そう言って、俺はジェラの目の前に尻尾を突き出した。この三週間程で色々試したから、それくらいの芸当はお手の物だ。それに俺の尻尾は神経が通ってはいるものの、その表面は分厚いゴムで覆われているかのようにほとんど感覚がない。これでなら、いくら責めてもこちらが感じることはない。だから一方的に責めたい時には便利なはずだ。一度誰かに試してみたいとは思っていたが……こんなに早くチャンスが来るとはな。
「なっ……尻尾!? 村正様、貴方本当に何者なんですか!?」
「俺の事なんてどうでもいいだろ。それよりどうするんだ? これでなら、してやってもいいぜ」
ジェラの目の前で尻尾をぐにぐにと動かして見せながら、俺はそう言って決断を迫る。一瞬迷うような表情を見せたジェラだったが、やはり欲求には勝てなかったようで、おずおずと口を開いた。
「その……お願いします。村正様の尻尾を……私のここに、入れてください……!」
「そうか、そんなにして欲しかったのか」
「あの……出来るだけ早く、お願いします……」
「わかった。今入れてやるからな」
俺はボディーソープをたっぷりと塗りつけた尻尾をジェラのスカートの中に潜り込ませ、脚の付け根に当たる部分を目指して進ませていった。やがて尻尾の先端が、目標地点に辿り着く。
「いいか、入れるぞ?」
「はっ、はい……んはぁっ、あああああ――っ!?」
尻尾を挿入した途端、ジェラは大きな嬌声を上げて大きくのけぞり、その身を震わせた。
「……ひょっとして、入れただけでイっちゃったとか?」
「うっ……だって、村正様が散々焦らすから……」
「まあ、それはお互い様ってことで。それより……動かすぞ」
「えっ? ちょっ、ちょっと待っ……ふああっ!? やっ……はぁぁん!」
尻尾を動かすと、ジェラはすぐに喘ぎ声を上げ始めた。俺はそのまま緩急を付けて、尻尾を出し入れする。時折掻き回すようにしてみたり、尻尾をバイブのように振動させてみたり……新たな刺激を与える度に、ジェラは幾度も喘ぎ声を上げていた。
「ふっ……ひゃあっ!? あっ、ああっ……やっ、ふああっ!?」
「どうだ、俺の尻尾は? 気持ちいいか?」
「いっ、いいです! ふあっ!? よっ、よすぎて、もうっ……!」
「そうか、じゃあ遠慮なくイっちゃえよ」
俺はジェラを絶頂に押し上げるべく、尻尾の動きをより激しいものへと変えた。それにつられてジェラの喘ぎ声が大きなものへと変わる。
「わっ、私っ……ふぁっ……あっ、あああああああああああ――――っ!?」
一際大きな声を上げて、ジェラは達した。だが俺は尻尾の動きを止めることなく、そのままジェラの秘所を責め続ける。
「やっ、ああああっ!? むっ、村正様ぁ……ああっ!?」
「ん、どうしたんだジェラ?」
「も、もう止めて……ふあああっ!? だっ、駄目ぇ……」
「止めてと言ったりしてくれと言ったり、忙しい奴だな。とりあえず、止めて文句言われるのは困るからこのまま続けるぞ」
「そ、そんなぁ……あはぁぁぁっ!? くぅん、はぁっ、ふああああっ!?」
うちの家訓の一つに、こんな言葉がある。
『誠意には誠意を、敵意には敵意を、悪意には悪意を、そして殺意には殺意を』
要するに、やられたら同じことをやり返せというハムラビ法典万歳な家訓だ。そういうわけでジェラに先程された事を考えれば、このぐらいの意地悪は許容範囲だろう。うん。
「ふああっ!? はぁぁっ、くはぁぁっ!? やっ、やぁっ……むっ、村正、様ぁ……」
「どうした、ジェラ? ……そうか、そこだけじゃなくて胸も責めて欲しいんだな。わかったわかった、今してやるよ」
「違っ……ひゃぁぁっ!? だっ、駄目で……ああああっ!?」
後ろからジェラの胸に手を伸ばし、若干激しく揉みしだく。すでに大分出来上がっているらしく、ジェラが苦痛を感じている様子は見られなかった。
「やっ、やめっ……ふぁぁん!? こっ、このままじゃ……あはぁぁぁっ!? わ、私、またっ……」
「いいぜ、イっちゃえよ。ジェラがイくとこ、ちゃんと見ててやるからな」
「やっ、そんな……ふあああっ!? だっ、駄目ぇ……ああああっ!?」
すでに三度も達しているというのに、ジェラはもう限界が近いようだった。そろそろ言霊の効果も切れる頃だし、これで最後にするとしよう。そう考えた俺は、ラストスパートとばかりに尻尾の動きを早めた。そして……
「……あああっ!? わっ、私、私っ……ふあっ、ああっ……あああああああああああああ――――――っ!?」
本日最大と思える声がバスルームに響き渡る。ジェラは身体をびくびくと震わせた後、目を閉じてぐったりとなった。どうやら気をやってしまったらしい。俺はジェラの中から尻尾を引き抜いた。と、そこで全身を脱力感が襲う。言霊の効果が切れたのだ。
(くっ、まずい……まだ、眠るわけには……っ!)
とっさに俺はシャワーに手を伸ばした。そして蛇口をひねり、冷水を頭から浴びる。
「――――〜〜〜〜〜っ!?」
声にならない悲鳴をあげる俺。この辺りの気温が低かったためか、シャワーの水は随分と冷たかった。だがそのおかげで、ぼやけつつあった意識が一気にクリアになる。
「あー、本気で死ぬかと思ったぜ……」
すぐに温水が出るように切り替え、温かい水を首から下に浴びて身体に残っていた泡を落とす。よし、これでもう少し動けそうだ。
「とりあえずは……おーい、ジェラ。大丈夫か?」
「う、ううん……あっ……村正、様……」
「一応大丈夫みたいだな。今泡を流してやるからちょっと待ってろよ」
そう前置きしてから、俺はボディーソープでぬるぬるになったジェラのメイド服を脱がせ、シャワーを浴びせた。ジェラの肌に無数の水滴が降り注ぎ、肌の表面に残った泡を洗い流していく。
「……こんなものか。立てるか、ジェラ」
「は、はい……どうにか。出来れば肩を貸していただけませんか?」
「ああ、わかった」
泡を落としきったあと、俺はジェラに肩を貸して立ち上がらせてやった。立ち上がる際少しよろめくが、ジェラは何とか立ち上がることに成功する。
「あ……そういや、替えの服とか持ってるのか?」
「あ、はい。部屋まで戻ればどうにか……」
メイド服についたボディーソープを洗い流し、軽く水気を切ってからメイド服を返す。まだ少し湿っているそれを身に付けてから、ジェラは床に転がっていたボディーソープの空き容器を拾い上げた。
「……空っぽですね」
「あー、全部使ったからな……ひょっとして、それ……高かったりするのか?」
今の手持ちは五万と少し。もしそれよりも高い品物だとすると、ちょっと弁償できそうにない。そもそも、人間界の通貨がここで使えるのかという問題もあるが。
「まあ、少し高価ですけど……今回の事はお互い様という事で、野暮な事は言わないでおきますわ」
「そ、そうか。悪いな」
……ふう、助かった。
「……でも」
「ん?」
「また新しいのを買ってきますから……その時は覚悟してくださいね」
そう言ってにっこりと微笑むと、ジェラは風呂場から出て行った。後には俺一人が残される。
「やれやれ……また一つ、厄介事が増えたかもな……」
マルガレーテの件も心配だが、こちらの方も色々問題がありそうだ。しばらくは気が抜けそうにないな。
「……まあ、今はどうでもいいか」
とりあえず、風呂にでも入ってゆっくりしよう。そう考えた俺は檜風呂を堪能すべく、その身を湯船に浸からせた。 (魔を喰らいし者5へ続く)
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