ヒトニザメ 一




『ざうふぇる らふぇる あめど おにきし あすどな ざうふぇる…』

船倉から響く、いくつもの陰鬱な言葉の羅列を聴きながら、彼は輸送船の甲板へと上がった。

現在彼が乗っているのは、中型の貨物船。

彼を含む乗組員16名に、非乗組員の人間が8人、そして荷物の棺がひとつ。

この船がエジプトの港を出てから十数日、棺とともに船に乗り込んだ男たちは、入れ代り立ち代りしながら、ただひたすら棺に向けて呪文のようなものを唱え続けていた。

しかし、最初は不気味さを覚えていた彼も、もはやその声は日常の一部と化してしまっていた。

(んもー、いい加減やになるっての)

心地よい海の夜風を頬で感じながら、彼は胸中でそうつぶやいた。

「…もし…」

「ん?」

小さくなった呪文にまぎれるように、小さな声が耳に入る。

左右を見回すが、近辺に人の姿はない。

見張り番は操舵室でレーダーとソナーを睨み付けているはずだし、ほかの連中は船室で寝ているはず。

残りは客として乗せている連中のうちの誰かだろうが、姿が見えない。

「空耳かな…」

「もし…」

今度は確かに、彼の耳に声が届いた。

「…下か!」

弾かれるように身を乗り出し、海面に顔を向ける。

するとそこには、波間から顔をのぞかせる、女性の姿が合った。

「落ちたのか…って、あれ?」

彼の声が、ふと湧き起こった違和感に、小さくなって消えていった。

「どうなされたのですか…?」

「いや、その…」

船は動いている。

少なくとも、人間が泳いでついていける速度ではない。

だというのに、海面から顔を覗かせる女は…

「引き上げてくださらないのですか?ならば」

飛沫を上げながら、海面から女が跳ね上がる。

ほっそりとした肩に、流れるような黒髪、豊かな乳房に、くびれた腰、そして彼女の下半身に食らいつく鮫。

順に海面から現れていく女の異形に、彼の目が捕らわれる。

そして、伸ばされた女の両腕が、彼の肩をつかんだ。

「つかまえた」

女の口が小さく動き、彼の体が引きずられ海面へと落下していった。





全身を衝撃と海水の冷たさが襲う。

「っ!がはっ!!」

手足を全力で振り、頭を海面へ出す。

「あらあら、船が行っちゃいましたねぇ」

女が船の後部に顔を向けながら、くすくすと笑う。

「お前…何なんだよ…」

海水をぬぐい、彼の肩を抱く女に問いを放つ。

「あたし?あたしは、人似鮫。下半身見えます?」

視線を下ろすと、海面を透かして彼女の下半身に食いついた鮫の姿が目に入った。

「ヒトニザメ・・・!」

彼はかつて船長から教えられていた、人魚に似た化け物の話を思い出し、震える声でそうつぶやいた。

「ま、お話はこのぐらいにして」

彼の両肩をつかむ手に力がこもり、強引に引き寄せられる。

そして、彼女の唇が重ねられた。

「!?」

唇へのやわらかく、温かい感触に彼は動揺する。

「ん…ん…」

唇を押し開き、舌が差し込まれる。

舌が彼の歯列を越えて、彼のしたと歯茎の裏を撫で回し、腕が衣服を脱がさんと全身を這い回る。

ベルトが緩められ、ズボンが下ろされ、下着があらわになっていく。

「ぷはっ」

ようやく唇が開放され、彼は新鮮な空気を吸った。

「ふふ、ここも元気になりましたね」

人似鮫は笑みを浮かべながら、彼を抱えていないほうの手で股間をまさぐった。

「う・・・ああ・・・」

人似鮫への恐怖と、勃起してしまっていたペニスへの柔らかい感触に、思わず彼は声を漏らしていた。

人似鮫は彼の反応に笑みを浮かべながら、彼の右手を取った。

そしてその手が、彼女の縦長のへそへと導かれる。

「ここ、どうです?」

指先が不意に、生温かく柔らかいものに包まれた。

「あたしのおへそ、気持ちいいでしょう?」

彼女の言葉に合わせるように、へその中に入れられた指先が、柔らかな粘膜にやわやわと揉まれる。

「ここに、あなたのおちんちん入れてあげますからね」

「え・・・?」

彼の疑問の声を無視し、右手が開放されて、人似鮫の両手が彼の腰を掴んだ。

彼の体が持ち上げられ、ペニスとへその位置がそろう。

彼女は右手で彼の腰を抱えなおし、左手で屹立したペニスを掴んだ。

ペニスの先端が導かれ、柔らかなへその入り口にあてがわれる。

「それじゃあ、いっきまーす」

言葉と同時に、彼女は左腕に力を込めた。

へそが左右に広がり、彼のペニスを根元まで受け入れ、きゅっと締まった。

ペニスが温かな粘膜に包まれ、柔らかな組織に圧迫された。

「ひ・・・うぁ・・・」

手淫や女性との交わりでは到底得られない、粘膜の強い圧迫による快感に、彼がうめき声を上げる。

「うふふ、声出しちゃって」

彼のあまりに早すぎる反応に、人似鮫は笑みを浮かべた。

「これからがもっとすごいんですよ・・・ほら」

「・・・ぁあっ!?」

ペニスの根元にリング状の強い圧迫が加えられ、亀頭のほうへと移動した。

まるで粘膜越しにペニスを扱かれたかのような感触に、彼は声をあげていた。

「喜んでもらえたみたいですね」

穏やかに彼女は語りかけるが、へそ内部の粘膜越しの『扱き』はなおも続いていた。

「ひぁっ・・・あうっ・・・」

ペニスを扱かれるたびに、彼は声を上げ体を震わせる。

根元から亀頭へ、そして根元へ戻るという、ただ単調に繰り返される圧迫の移動に、彼は次第に追い詰められていった。

「あら、もう出そうなんですか?おちんちん、びくびくってなってますよ」

彼の心臓の鼓動に合わせて脈打つペニスの感触に、彼女は言葉を紡いだ。

「我慢しなくていいんですよ・・・さぁ、出しなさい」

同時に、粘膜に包まれたペニスが、一際強く『扱かれた』。

「あぁっ!」

彼の全身が硬直し、ペニスが大きく脈打ちながら、人似鮫の体内へと精液を放った。



「うふ・・・温かい・・・」

ペニスが一つ脈打つ度に注ぎ込まれる精液の感触に、人似鮫はうっとりと声を漏らしていた。

腹の奥に溜まっていく精液の感触。

幾度と無く人間の船を襲い、男を攫って精液を搾ってきたが、何度やっても飽きないものだ。

船から引き摺り下ろした青年は、よっぽどたまっていたのだろうか、彼女の腕の中で身をこわばらせながらなおも精を放っていた。

彼女は腹部に生じさせた搾精孔の位置を下げ、彼の頭部が胸の辺りに来るようにした。

そして、両腕で彼の頭部を抱き寄せ、その豊かな乳房に埋もれさせた。

「それではそろそろ・・・帰りましょうか・・・」

人似鮫は意識を本体の鮫に移し、口を大きく開いて女性の上半身に擬態していた、疑似女体器官を体内へと飲み込んだ。

擬似女体器官によって抱えられたままの、青年とともに。





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