帰らずの揺り篭






綺麗な夜空。



光る満月。



涼しい風。







普段なら美しい光景の筈なのに…



「ここ、一体どこだよぉ…」



思わず泣き言が口から出てしまう。不安に打ち負かされそうになっている自分が分かる。



ここはスコットランド。僕は日本からの留学生。

休日を利用して日本では見られないのどかで優しい、”昔の世界”を見に来ていた。

言葉の心配は無かった。僕は英語が大の得意で、実際にコミュニケーションで苦労した事はない。

だけど、それがアダになったのかもしれない。

ガイドも雇わずに自分の脚で農村に行こうとして、今は何処に繋がっているか分からない砂利道を歩いている。

僕は闇の中をただ歩く事しか出来ない…



歩いて、歩いて、歩いて…



あ。

家だ。小さな家…月明かりの中でもなんとか見える。

だけど、灯りがついていない。誰も住んでいないんだろうか?

一度ぐるっと回ってみると、素人目にも荒れているのが分かってしまう。





「やっぱり誰も住んでいないのかな…」



僕は開くかどうかも分からないドアの前で溜息をついた。















「−−−−−−−−−−−−−−−−−−!!!」



「ヒィッ!?」



何だ、今の!?まるで目の前で最愛の人が殺された様な叫び…

悲しみが、絶望が、手に取る様に伝わってくる。今の、何処から来たんだ?



「−−−−−−−−−−−−−−−−−−!!!」



「ああっ!!」



まただ!聞いているだけで自殺したくなる様なとてつもない絶叫が!

ただの音の筈なのに、ショックでよろけて尻餅をついてしまった。なんなんだよ、これ!?



「−−−−−−−−−−−−−−−−−−!!!」



「あがっ!」



これ以上聞いたら気が狂いそうだ!ぶるぶる震えだした手で必死に耳を塞ぐ!



「−−−−−−−−−−−−−−−−−−!!!」



「いぃいいっ!?」



なんで!耳を塞いでいるのに、全然防げない!?どうして、どうして!!



「−−−−−−−−−−−−−−−−−−!!!」



「い、いやだっ!やめてっ!」



悲しい!苦しい!胸が切り裂かれる!怖い、怖い、怖い!



「−−−−−−−−−−−−−−−−−−!!!」



「やめてやめてやめてやめてやめてぇぇえええええっ!!」



僕が壊れちゃう!誰か、誰か、助けて!誰かぁっ!!



「−−−−−−−−−−−−−−−−−−!!!」



「あぁああああああああああああああがががっっっ!!!!」



誰か、誰か、誰か誰かだれかだれかダレカダレカダレカァアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!



助けて壊れる嫌だもう叫ばないで苦しい痛い怖い悲しい悲しい悲しいよぉーっ!!



「嫌、だ、誰か、助けて…誰か、誰でも良いから…お願い…」







「叫びが、止まった…?」



何時の間に膝を抱えて体を丸めていたんだろう…全身がびくびく震えている…



「お願い…もう、叫ばないで…」



涙まじりにしゃくりあげたけど、返事は返ってこない…



怖い、怖い…



けど…



どうやら、もう叫びは止まったみたい…



「ヒクッ…」



恐怖が減って、今度は悲しみが増してきた。泣きべそが止まらないよぉ…



「誰か、誰か…」



悲しい。切り裂かれたままの胸が痛い。誰か、助けて。僕のヒビだらけになった心を直してよぉ…

寂しい。辺りは僕一人だけ。誰も僕を助けてくれない。誰も僕を慰めてくれない。



カチッ



!灯りが!家の中に灯りが!



誰 か 居 る ん だ



ガタガタ震える膝が立ち上がらせてくれない。ドアノブに捕まって無理やり体を引っ張り上げて、

倒れこむ様にしてドアを押した。もう誰でも構わない。お願い、開けて!



ガチャッ



ドアが開いて、僕は無様に転がり込んだ。最初から鍵はかかっていなかったんだ。



"Humblest welcome to thee, little one."



「え?」



酷くアクセントが強い、かろうじて英語だと分かる声が聞こえてきた方向に振り向く。

そして僕は…凍り付いてしまった。



綺麗だ…



踝まで届きそうな長い長い黒髪が、ランプの光を吸い込んで暗く輝いている。どんな夜空よりも美しい。

細いハート型の顔に乗った細長い眉、大きな赤い瞳の垂れ目、瑞々しそうな唇が聖母の笑顔を浮かべている。

迂闊に触れたら壊れてしまいそうな細長い腕は長袖の黒ドレス…喪服だろうか?に覆われ、

陶器の様な手だけが白い白い肌を晒して薄暗い中で光っている。小さな肩と砂時計の様な腰とは裏腹に

形良く服を持ち上げている胸はかなり大きそうで、視線を何度離そうとしても磁石の様に引き寄せる。

腰から下は長いゆったりしたスカートに覆われているけど、それでも魅惑的なラインが隠せていない。



ベッドの縁に座ったこの世の物とは思えない程の美女を、床に這い蹲ったままポカンと見上げ続ける。

彼女がそのまま何もしなかったら、僕は一生そうしていたかも知れない。



"Come forth, oh frightened one.

Come forward, onto thy ecstasy.

Rest in my bust and peace be with thee.

Let in thy lust and be my babe."



唄う様な、とても綺麗な声だけど…何を言っているか良く分からない。発音が変だし、文法も理解しにくい。



"I-I'm sorry, I can't understand you..."



何を言っているか分かりません、と言ってみた。ひょっとしたら僕の英語も通じないかも…



女の人はきょとんと瞬きをしてから(それも凄く美しい仕草だった)、少し考え込んでいた。

それから急ににっこりと微笑んで(心臓が口から飛び出るかと思った)、両手を胸元に持って行って…



「え?え?ええっ!?」



僕は今度こそ自分の正気を疑った。いや、おかしいのは目かも知れない。

なんで、なんでこの美しい女性がいきなり胸のボタンを外しているんだ…



芸術的な鎖骨の下に、これ以上無い程滑らかな谷間が現れる。これだけでも僕は目が離せなくなっていたのに

彼女はあっさりと服を更に更にはだけてしまう。濃い目のピンク色の乳輪がちらちらと見えて、気が遠くなった。



このまま全部脱いでしまうんだろうか、と思っていたら彼女は僕の方に向き直った。

想像以上に大きい胸が踊る様に揺れて、僕の頭もかっくんと揺れる。

そのまま僕の方に両腕を伸ばして、笑みを深めてきた。心を絹で包まれた様な感触。





『おいで、坊や』



「えっ?」



日本語?でもあの人は口を開いていない。同じ声だったけど、直接頭の中に響いた様な…



『怖かったんでしょう?』



「あ…」



そうだ…僕はさっき魂が凍る様な目に会って、今も恐怖で立ち上がれずに居る…



『寂しかったんでしょう?』



「うん…」



コックリと頷く。この美しい女の人と出会って忘れかけていた胸の痛みと涙の熱さがぶりかえしてきた…



『おいで』



長い指が手招きをする。まるで糸で引っ張られた人形の様に僕の体が這って行った…あれ?



『慰めてあげる。痛みが無くなるまで』



「あ…」



慰めて…くれる?僕の心を…直してくれる?



『甘やかしてあげる。全てを私に委ねなさい』



「…」



甘える…全部、この人に任せる…幸せそう…



『私の胸に甘えるのよ。好きなだけ泣きなさい』



「…!」



あの胸に?あの胸に甘えて良いの?あの天国みたいな胸に?あの胸で泣ける?



『もう2度と、悲しみも寂しさも感じられなくしてあげる…』



「あああっ!」



もう何も考えられない。考えたくない。あの胸に飛び込んで、あの腕で抱いてもらって、痛みを失くすんだ!



言う事を聞いてくれない下半身を腕の力だけで引きずる。物凄くもどかしい。

もう女神様にしか見えない女性に近づく。段々甘い匂いがしてきた。この人の匂いだ。

最上級のミルクと蜂蜜とミントを合わせた様な匂い。もっと近づきたい。もっと嗅ぎたい。抱きしめられたい!



永遠よりも長く感じられた数秒間の後、やっとベッドの脚まで辿り着いた。

ひょいと抱き上げられる。

後頭部と腰に手を回された。

あ。

胸がどんどん迫ってきて。



むにゅう。







『坊や。まだ眠っては駄目よ?』



「んぁ…」



あの人の声が聞こえる…僕、気絶していたのかな…

ああ、ここはあの胸の中。僕は、抱いてもらっているんだ。

前も右も左も楽園そのもので、後ろは優しい優しい手が僕をここに居させてくれる。



『落ち着いたかしら?』



落ち着いた…?

あ、そうだ。僕はさっきまで怖くて、寂しくてしょうがなかったんだっけ。

自分が生まれる前より大昔の様に思える。どうして泣いていたんだろう?

世界はこんなに暖かくて柔らかくて幸せなのに。ああ、良い匂い。



『ふふふ…』



名前も分からない僕の女神様は、僕を更に抱きしめて撫でてくれた。

同時にむわ、と甘い匂いが強くなる。これ以上無い程幸せで気持ちよかった筈なのに、

更にどんどん満ち足りていく。



「はぁあ…」



思わず溜息が漏れた。少しずつ体が震えだして、段々激しくなっていく。

気持ちよさと幸せがぐんぐん、際限なく高まっていって…弾けた。

腰がひくひくと痙攣している。どうしたんだろう、僕。



『精を漏らしたのね。可愛い子』



精…?僕、射精しちゃったの?

頬が赤くなるのが自分でも分かる。悔しいとかいけない事をしたとかじゃなくて、

ただ単に恥かしかった。しかも不思議な心地よさを伴った恥かしさ。

今更ながら女性の胸に顔を埋めて抱かれている状況が酷くいやらしく思える。



あ、少し腕が緩められた。乳房に頬をつけたまま、首を動かされて上を見上げさせられる。

とても優しい笑顔で見下ろしてくる女性と目が会った。ドキドキして照れくさいけど、

それ以上に僕を安らぎで満たしてくれる彼女へ感謝の気持ちが湧き上がった。

口を開こうとして、彼女の名前すら知らない事を思い出す。



「あ、あの…お名前、教えて頂けますか?」



声が震えている。あ。日本語で尋ねてどうするんだよ、僕のバカ…



『私…?バンシーと呼ばれているわ。聞いた事はあるかしら?』



日本語で通じている?しかも、相変わらず口を開いていないぞ。それにバンシーって…



「…誰かの死を予告して泣き叫ぶっていう民話の…ですか?」



『そうよ。もっとも、数百年前から人間達は魔女狩りとやらを始めて、それ以来私達はわざわざ

人間の側に住む気が無くなったから死を予告したりはしなくなったけど』



バンシー…さん?は事も無げに語る。普段ならこんな話、信じられる訳無いけど…



「じゃあ、さっきの叫び声は…」



『私が上げたのよ。坊や』



あっさりと肯定された。じゃあ、僕をここに誘い込んだのもバンシーさん…



「でも、何のためにそんな事を…」



『知りたい?』



赤い瞳に見据えられて、ぞくりとする。次の瞬間、額にキスされていた!

あっと言う前に何も考えられなくなる。

押し付けられた唇の湿り気と柔らかさ、滑らかさしか分からない。頭の中がキスで埋め尽くされていくみたい…



始まりと同様に、終わりも唐突だった。目を何回か瞬き、キスの名残の中から考える力を引っ張り出す。

バンシーさんは僕が朦朧としているのを見てクスクス楽しそうに笑っていた。



『女を知らない坊や。もっと可愛がってあげる』



背中をピアノを弾くみたいに指で押され、撫でられる。酷く気持ち良いのに、不思議な程安らぐ。

ああ、いけない。また考えられなくなっちゃう。その前に…!



「ま、待って!」



『どうしたの、坊や?』



バンシーさんの顔も声も優しい。意思がくじけて、このままなすがままにされたくなってしまう…

ダメだ、ダメだ!気をしっかり持たないと…!



「僕を…僕を殺すんですか?」



やっとの思いで口から吐き出した質問にバンシーさんは怪訝そうに首を傾げ、続いて少し

顔をしかめた。心臓がドキリと跳ね上がる。



『まさか。誰かが死ぬ事はとても悲しい事。私は他者を殺める前に自らの命を差し出すわ』



「じゃあ、さっきの叫び声は一体…」



『あれはね、坊や』



バンシーさんは笑顔に戻った。そして抵抗する間も与えず僕の顔を胸に押し付ける!



「うむわ…」



『私は寂しいの。人が恋しいけれど、人の側には居られない』



身も心もとろける様な抱擁…意識を繋ぎ止めるのが精一杯で頭が働かない…



『だから側に居て欲しいの。悲しみを愛情で打ち消しあえる存在に』



壊れ物を扱う様に頭を撫でられた。僕はじっとしている。動きたくない。



『永遠の安らぎと快楽を与えるわ』



僕を胸に抱きしめたまま、寝返りを打つバンシーさん。心地よい重みが僕の上に広がった。



『老いも苦しみも無いゆりかごの中で、夢現の境を彷徨い続けなさい』



頭が…動かない。バンシーさんは、何を言っているんだろう…僕を慰めて、くれるんだよね…?

あれ、僕の服に手をかけてる?



「バン、シーさん、ちょっと待って…」



体に力が全く入らない。正直、目を開けている事さえ辛い。だけどあの素晴らし過ぎる胸が顔から

離されて、名残惜しさと共に少し考えられる様になった。



『怖がらないで。ただ寝ていれば良いのよ』



「だって、これって…」



頬がかあっと染まってしまう。ベッドに寝かされて服を脱がされるなんて、まるで女の子か子供みたいじゃないか。

でも、僕は男でバンシーさんは女。これから先、何がされるかは火を見るよりも明らか。



弱弱しく脱衣を拒もうとする僕を見てバンシーさんはクスクス笑い、そして…



「〜〜〜♪」



あ…?歌ってる?バンシーさんが?



言葉は相変わらず全然分からないけれど、なんだか聞いているだけで幸せになってくる…



なんか、変だ…でも、良い気持ち…



あ、バンシーさん僕を脱がしてる…けど、さっきと違って全然恥ずかしくない…むしろ、なんだか嬉しい…



歌に聞き惚れている内に僕は全裸にされてしまった。けど、あそこを手で隠す気にもならなかった。



『良い子…もうすぐよ』



バンシーさんは歌うのを止めて、ドレスを更にはだけさせた。巨大な乳房が惜しげもなく露になり、

目が離せなくなる。こんな美しい物が有り得るなんて、信じられない…

更にバンシーさんはスカートを腰からずらした。ブラジャーもパンティーもしていないんだ、とぼんやり気付く。

そのままベッドに脚を開いて座り込み、寝ていた僕を腰から抱き上げる。



「バンシーさん…」



陶酔感が今はもどかしい。何か言いたいのだけれど、何を言えば良いのか分からない。



『何もしなくて良い。何も言わないで良い』



僕の口が乳房で塞がれる。顔中を慈しまれ、天国に連れて行かれた様な気分…

このまま眠ってしまいそう…



『もう坊やには悦びと愛情と安らぎ以外を感じる事は』



バンシーさんのあそこが僕のあそこに当たってきた。どきんと心臓が高鳴る…!



『許さない』





ちゅるり、と音がした気がした。







あったかい。あったかい。あったかい。とけちゃう。とけちゃう。とけちゃう。



『気持ち良い?』



きもちいい。バンシーさんのなか、とってもきもちいい。ぼくをやさしくキスしてだきしめてくれているみたい。



『そのまま身を任せなさい。坊やの心の全てを差し出すのよ』



おっぱい、きもちいい。あったかくてやわらかくてやさしくて。ああ、もうだめだ。







どぴゅる…ぴゅる…









あれ?僕は…まだ、バンシーさんに抱きしめられている?

胸の中から見上げたバンシーさんの目は、身震いしてしまいそうな程の愛情が込められていた。



『どうだった?私の可愛い坊や』



「あ…」



夢の記憶の様に蘇ってくる。僕のあれを舐め溶かし、抱き擦り、搾り出してくれたあの膣の感触。

そして放尿しているかの様な甘い甘い射精感。圧倒されそうになった僕を受け止めて

快感をゆっくりと味わわせてくれた大きな胸。全てが凄過ぎて逆に夢だったとしか思えない。



だけど、僕のあそこはまた硬くなっている。あの桃源郷にまた入りたいって震えている。



『もう一度したい?』



僕は乳房に頬擦りしながら頷いた。考える前にそうしていたし、考えても答えが変わらなかった。



『甘えん坊。良いわ、甘やかしてあげる』



きゅっと何かが僕のあれを締め付けた。まだ入れたままだったんだ。そう気付いた瞬間、

あの抵抗しようの無い温もりが全身の神経を駆け巡った!



「んあぁっ!」



ぬるぬるが、ぬるぬるが!僕の全部を覆ってくる!気が狂いそう!



『苦しむ事は、許さない』



ぱふっとおっぱいに抱きしめられた。



「!?」



魔法の様に心底落ち着く。ミルクの香りを発する乳肉に守られて、

さっきの心をバラバラにしそうな快感の津波が寝床へ連れていってくれる母の腕の様に感じられる。



胸が気持ち良い…もっと、抱きつきたい…



腕は全く動いてくれないから、せめて首と顔を動かして乳房に頬擦りを繰り返す。

その度に股間からの快感が際限無く優しくなっていく。

段々射精感がこみ上げてくるのに夢見心地になるばかり。



『母の胸で、漏らしなさい』



バンシーさんがゆらゆらと体を揺らした。前に後ろに揺さぶられて密着間が増す。

頭が真っ白になって、もう、もう…



どぴゅ…び…



ああ…精が勝手に漏れていく…気持ち良いけど、もう出ない…



『坊や、枯れてしまったの?』



バンシーさんが僕を見下ろしてきた。



「ごめんなさい…もう…」



心底申し訳ない。けど、いくら気持ちよくっても僕の物はもう固くなってくれない。



『大丈夫。これからが本番なのよ』



バンシーさんは凄く嬉しそうな顔をして、僕の顔を乳房の上で滑らせた。

気持ちよさで思わず開いた口に、何か柔らかい物を差し込まれた。



これは…乳首?バンシーさんの?



『吸いなさい』



乳首を吸う?まさか、母乳が出るんじゃ…いや、いろいろ不思議な力を持つバンシーさんだから

きっと出てもおかしくない。何より胸から漂うミルクの香りが動かない証拠だ。



飲んでみたいと思う気持ちと、飲んではいけないと言う気持ちがせめぎ合う。性欲が満たされたせいか、

この状況の異常さを少しずつ思い出してくる。バンシーさんを信じて任せたいけれど、

何かおかしい。何か…最後の一線を越えてしまいそうな気がする。



僕が迷っているのを見たバンシーさんは、一層楽しそうな顔になって…僕の顔中にキスをまぶしてきた!



「んんぅ!?」



『ふふふ…』



ちゅっちゅっと小気味いい音がする度に僕の顔が、そして頭の中がキスで乗っ取られていく。

更に口に咥えていない方の乳房が僕の顔を撫でさすり、鼻が谷間の奥に引き込まれる。

ミルクの香りが直接鼻腔に流し込まれ、頭の中までミルク色に染められた気分になる。



『引き返すのも、逃げるのにも遅すぎる。坊やはもう私の物』



バンシーさんの笑い混じりの声を、乳首を咥えたままボーっと聞く。

意味がよく分からないけど、幸せ。



『さあ、乳を飲みなさい。そして我が赤子となれ』



お乳。そうだ、お乳を飲まないと。



いけない、ダメ、それをやっちゃったら…







ちゅうっ。ぶしゅっ。ごくり。



うわぁ。甘い。甘いよ…お乳ってこんなに甘かったんだ…もっと、欲しいよ。



ちゅうぅ。ちゅううう。ごくごく。



美味しい。美味しい。いくら飲んでも足りない。



『美味しい?私の息子』



息子?えっと、僕は…



誰だっけ?



『さあ、母の乳を飲み続けなさい。命尽きるまで愛してあげるわ』



目を上に向けたら、凄く綺麗な人が僕に優しくキスしてくれた。嬉しさで体中が震える。



僕はこの人を知っている。僕が怖くて悲しくて、誰も助けてくれなかった所をこの人が助けてくれて、

そのまま気持ちいい事をしてくれて…気持ちよくて、エッチで、優しい…



「ママ…」



そうだ。この人は僕のママなんだ。こんなに甘いおっぱいをくれているし。



『良い子。母の胸に甘え続けなさい。永久に、ね』



ママが抱きしめて撫でてくれる。そして僕のあそこが気持ちよくなった。またエッチな事してくれるんだ。

嬉しくて、嬉しくてお乳をますます激しく吸う。すぐに気持ち良く射精出来た。



射精しても気持ちいいのが終わらない。お乳もいくら飲んでもなくならない。何時までも飲み続けたい。



「ママ、ママ…もっと、もっと…」



『良い子ね、坊や…』

















後日、日本からスコットランド宛に行方不明の留学生の捜索願が出された。

捜索はすぐに暗礁に乗り上げた。彼の足跡が人の住まない地域へ続いているのは発見されたが、

そこからぷっつりと途切れておりどの方向に向かったかすら分からなかったからだ。

死体も見つからないまま迷宮事件となり、日本に残された家族達は悲しみに暮れながら

葬式を挙げるしかなかった。



これらの事はバンシーには知る由も無かったし、知ろうともしなかった。

そして彼女の息子と化した少年も知った所で露ほども気に留めなかっただろう。

最愛の母が自分を昼夜問わず愛し続けてくれていたのだから。



「ママ、ママ…んちゅうぅ、ちゅううぅ…」



『ああ、私の大事な息子よ…』



バンシーの叫びは死を予言する。それは逃れられぬ運命。

そしてバンシーの抱擁は天国への誘い。一度死んだ者は二度と帰らない。











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