greenhouse hospital
――8/5
記憶に残っている音。
何か金具が強引に引きずられたような、思わず耳を塞ぎたくなる音。
記憶に残っている風景。
ブレーキが作動しなくなった車が、タイヤをスリップさせてこちらに近付いて来る風景。
夢だと思いたい。
だがそれを僕の下半身は許してくれない。
一ヶ月前、スリップした乗用車に撥ねられ、地面に叩き付けられた僕は、打ち所が微妙に悪かったらしく、下半身に電気信号を送る神経をやられてしまっていた。
移動手段として車椅子に乗る、下半身が全く動かせない人間。
それが、今の僕。
医者に言わせれば、あの事故では生きていた方が奇跡、らしい。僕を撥ねた車はその勢いで電柱に衝突。乗員は全員死んでしまったらしい。車の大破具合いは、ぶつかった部分からまっぷたつに割れていると言う凄まじい物だった、と言うことも、本日何度目か分からないニュースで、『白昼の惨事!』なんて言うありきたりなテロップと一緒に放送されている。
『――なお、撥ねられた少年、榊加々美(14)君は――』
僕の名前も一緒に何度も放送される。それを見て僕のことを知ったクラスメートや友達が、何人も見舞いに来てくれた事もあった。
でも――僕はもう、会いたくなかった。
今は、独りにして―――。
――8/7
病院を退院して、僕は部屋に篭りきりになった。
今は独りでいたかった。
とにかく独りでいたかった。
母さんが昼前に出ていった。
何でも、退院した病院の人に、別の病院を薦められたらしい。
――どこに行っても、僕の下半身は動くことないだろうに。何でそんなことをするんだろう。
僕をどうしたら元の生活に戻せるか、その思考が今は痛々しかった。
――そして。
帰ってきた母さんは、いつもと変わらない声で、いつもとは違うことを言った。
『greenhouse hospital』
それが母さんに紹介された病院。
そして、僕がこれから入院することになる病院。
そして――。
――8/8
翌日、母さんは僕を車に乗せ、片道20km近くある道を通い、件の病院まで連れていった。
母さんの話では、この辺りでは中々有名らしく、様々な難病や怪我を治してきた経歴のある病院らしい。
正直眉唾。
あまり良い反応が得られなかったからか、母さんは寂しそうな表情をした。まるで、自分を悪く言われたかのように。
でも、僕が反応する気力ももう持って無いことを、母さんは知っている筈なのに――。
病院に入ると、受付の人が静かに出迎えてくれた。受付特有の営業スマイルなんだろうけど、何でだろう。どこか違う気がした。まるで、本当に僕が来てくれて嬉しがっているような――。
母さんが受付の人と二言三言話すと、受付の人は僕の車椅子を押し、病室まで連れていった。母さんも一緒について来た――何故か受付の人と同じ表情をして。
『801』
これが僕の病室。
車椅子から下ろされ、ベッドに寝かされた僕に、受付の人はこれからの予定を僕に言った。
起床・朝食・マッサージ・昼食・マッサージ・週に一度院長に挨拶・夕食・就寝――。
その声を、僕はどこか上の空で耳にしていた――。
窓の外には自然――と言うよりは、森、と言った方が的確かもしれない――が、病院を取り囲むように存在している。
「綺麗でしょう?」
看護婦の人が、ぼんやりと外を眺めていた僕に笑顔で問いかける。
「え―――?」
とっさの事だったので、僕は全く反応できなかった。何を訊いたかを尋ねようと口を開くより先に、看護婦さんは優しく言った。
「いいのよ、気にしないで。この森に見とれてしまうのは、みんな仕方がないもの」
そのまま看護婦さんは、廊下から点滴を持ってきた。時間は丁度昼食の時間帯――あれ?
「あ、大丈夫よ?普通の食事もあるから。栄養バランスも考えられているから心配しないで」
僕の疑問『食事はこれですか?』を、声に出す前に看護婦の人は答えてくれた。しかも、次に浮かぶ疑問までも見越したかのように。
多分、ここで来る疑問と言うものが、この人は全て分かっているのだろう。僕は口をぱくぱくさせたまま、ただこくこくと頷くだけだった………。
「んっ………」
針で刺すような痛みが一瞬走ると、その後は腕を激しく動かさなければ、そこまで痛くなくなる。献血をしたことがある人は、みんな口を揃えてそう言っていたけど、それは本当だったみたい。
とく、とく、とく………。
点滴の中にある栄養剤(と看護婦の人は言っていた)が、僕の腕から、全身に回っていく――下半身の感覚はないので、全身かは分からないけど。
出てきた食事は、別の看護婦の人が僕の口に運んでくれた。腕を動かさないで済むように、らしい。でも――。
「はい、あ〜ん」
こんなことを言われて口を開くのは、かなり恥ずかしかった。だって、赤ん坊みたいだもん。
健康を考えてか、あまり味付けは濃くない――いや、薄い。それでも、食べ盛りの時期だから、口には、体の中にはどんどん入っていく。
一回だけ、固いものをそのまま飲み込んでしまった事があったけど、不思議なことに、よく噛んで食べなさい、という事は言われなかった。
食事の後は、また別の看護婦さん達が僕の足をほぐしていた。撫でるように、擽るように、揉み込むように、軽く叩くように――。
でも、いくらされても僕の脚は、何の感触も伝えることはなかった。
まるで、僕のものじゃないかのように――。
そのあと僕は、別の看護婦に連れられて、院長室に挨拶に行った。
「いらっしゃい。ようこそグリーンハウス・ホスピタルへ。君が榊加々美君ね」
院長って言うくらいだから、どれだけ年をとっているのかな?と考えていたけど、意外にもかなり若かった。下手したら20代前半くらいじゃないのかな?
長い髪を肩甲骨の辺りにまで垂らし、ピンク色の唇には常に微笑みが浮かんでいる院長さん。
「は………はい」
「こらこら、固まらなくていいのよ。ただ訊いてるだけなんだから」
そんな事言われても………院長さんが綺麗すぎて……。
すっかりかちこちになった僕に、院長さんは近付いて、僕の鼻先を小突いた。
「あらあら、可愛い子ね………ふふ………」
そんな事言われて、僕は思わず赤面してしまった。なんだろう、この感じ――。
結局、ろくに話せないまま、院長室を去った僕。次に会うときには、もっとしっかり話せるようにしたいな………。
その後、昼食と同じように夕食を食べさせてもらって、看護婦さんと何か色々と話しているうちに、あっと言う間に消灯時間が来てしまった。
僕は、お休みと言うと、すぐ寝てしまった。思ったより、車での移動で体力を使っていたらしい――。
――ちゅば、ちゅる、もご、しゅる――
――ち〜、ちゅぶ、じゅる、こぽ――
――とくん、とくん、とくん――
8/9-8/14
何かがおかしかった。
いや、体はどこもおかしくない。脚は相変わらず動く気配はないし。手足も、少しだるくなった程度で動かすのにはそこまで支障はない。
でも、どこかおかしかった。
初めて気付いたのはマッサージの時。
何人かの看護婦さんが、作業中に物欲しそうな目で僕の股を見つめていたんだ。
暫く見つめた後、はっと我に返ったように僕の脚を揉み始めた看護婦さん達。
「どうしたの?」
僕の肩や背中をほぐしている看護婦さんが聞いてきたけど――何も言えなかった。
だって何て言えばいいんだ!
次に気付いたのは、食事の時。
回を重ねる毎に、看護婦さんの目が………目が……だんだんうるんできているんだ。
気のせいだと思いたいけど、僕があ〜んと口を開けているときも、もぐもぐ噛んでいる時も、看護婦さんは物欲しそうなうるんだ瞳で僕を見つめてくる。
い、一体何なんだよぉっ!怖くてとても聞けない!
それだけじゃない。食事の後、僕はどうしても耐えきれない様な眠気に襲われる。それも、食べ終って数分後に。そして、起きたときにはマッサージの人がスタンバっているんだ。まるで起きる時間を分かっていたかのように――。
そしてこの一週間、僕は全くトイレに行っていない。食事はしている。水分もとっている。でも、トイレに行きたいと言う感覚が、僕の中から全くなくなっていた。
それなのに、お腹は入院したときより心なしかへこんでいる。
僕………一体、どうなっちゃうんだろう――。
――ちゅば、ちゅる、こぽ――
――ちゅく、とく、じゅる――
――とくん、とくん、とくん、とくん――
8/15
この病院に入院して、もう一週間が経った。今日は久しぶりに、院長さんに挨拶する日。
……たった一週間なのに、こんなに久しぶりだと感じてしまうのは何でだろう……。
色々と気になることもあるし――。
不思議なことはまだあった。入院してから、母さんが一度も病院に来ていないことだ。
あんまりじゃない?とか思うわけじゃないけど、あまりにも病院に委せすぎというか、何と言うか……。
僕はマザコンじゃないけど、日曜日ぐらいは来てくれてもいいんじゃ…………。
………で、今、院長室まで案内してもらっているんだけど………。
「……はぁっ……はぁっ……」
車椅子をおしている看護婦さんの、息がなんか荒いんだよね………。まるで、院長室に行くのが待ち遠しいみたいな。
――レズ?だったら僕の前ではそんな姿を見せないはず――。
拭えない疑問と一緒に、僕は院長室に入っていった――。
………ん?
あれ………?
ここは………?
………森?あちこちに見慣れない植物が生えているけど……?
………どうして?
僕は確か、院長室に連れていってもらって………。
――!
そうだ!
ドアの中には、何故か森が広がっていて――!
看護婦さんが息を荒げながら車椅子を押して走ったんだ!
そしたら看護婦さんが石に蹴つまづいて――!
僕は車椅子から放り出されて――。
「気付いたかしら?加々美君」
「!」
声がした。僕にとって、一週間ぶりの声。間違いなく院長の声だった。
僕は辺りを見渡しながら叫んだ。
「院長さん!?」
そこまで遠くにはいない筈――やっぱり。
僕の真後ろに、院長はいた。不思議なことに、衣服に全く土はついていない。
「こんにちは。一週間ぶりね」
前と全く変わる気配のない口調の院長さんに、そのまま話をしてしまいそうになった――けど!
「そんな事より!これはどういう事なんですか!?」
僕の心は既に悲鳴を挙げそうだった。
「どういう事?しかもそんなことよりって………先生悲しいわぁ」
少し伏し目がちに院長は、不思議そうに返す。その瞳は――やっぱりうるんでいた。思わずぐらつく僕の心。
「え、そ、そんな悲しまないで下さい………じゃなかった!」
何とか持ち直して、質問を――張り裂けそうな心を何とか留めるために――僕は叫んだ。
「どうして病院の中に森が、しかも院長室にあるんですかっ!」
叫びは止まらなかった。院長はどんな顔でいるか何て関係なかった。
「それだけじゃないです!最近どうしてかトイレにも行っていないし!看護婦さんはみんな物欲しそうな目で僕を見るし!一体何なんですかこの病院!」
多分僕の目は幽かにうるんでいたと思う。
耐えられなかった。
理由が分からなすぎたのだ。
この病院がどうしても、変で変でたまらなすぎて、だけど相談する人がいなくて――。
「―――ぁっ、はぁっ……」
多分、今まで生きてきてこんなに一気に喋ったことなんて無かったと思う。肺の中の空気を一気に使い果たした僕は、言い終わった後で息を整える時間が必要だった。
――のに。
ヒュルルッ!
「――えっ!?」
突然、どこからともなく緑色の蔦が現れ、一瞬で僕の両腕に絡み付き――
ビィンッ!
――そのまま僕の体を空中へと持ち上げた!
「えっ!?ええっ!?えええあぐぁっ!」
一瞬のことで、僕は全く反応出来なかった。両腕を縛り引っ張る蔦の痛み、それが混乱した頭をまとめると、僕は院長さんを見た。
明らかにおかしすぎる!普通蔦が勝手に動いた時点で、叫ぶなり何なりの事をしたっていい筈――!!!
「うふふ………」
「………ええ………?」
僕は初めて、恐怖は背筋を凍らせる、と言う表現が十分に分かってしまった。
「うふふ………可愛いわね、加々美クン♪」
宙に吊らされた僕を見ながら、院長さんは笑っていた。それも、看護婦さんたちと同じ――下手したらそれよりも物欲しそうな、酷くうるんだ瞳を僕に向けながら。
気付けば頬も何か赤いし、息も微妙に荒くなってきているし――!
「んふふ………食べちゃいたい♪」
そう言うと、院長さんは僕に近付いてきた。ふらふらと、どこか頼りない足つきで。まるで友達がやってたガンシューティングの敵のように。
「や、やめて………来ないで………」
僕の弱々しい声での願いも、聞き取られる筈もなかった。院長さんは更に怪しい笑い声をあげながら、僕の磔場所の真下にまで近付いてきた。
しゅるるるん♪
突然、森の中から新たな触手が湧き出して、院長さんの全身に絡み付く!何重にも、何重にも――でも、院長さんは全く声をあげたりしなかった。絡み付く瞬間にも、普通に、笑顔で――それも、看護婦さん達の、あの――。
「……ふふっ?加々美くん、そういえばさっき、知りたがってたわよねぇ………?」
蔦の固まりから、院長さんの声が響いた。苦しそうな様子はない。寧ろ、どこか解放されたような響き。
その声は続く。
「どうしておトイレに行く気が起きなかったのか………ふふっ?大声で叫んじゃって…………可愛い子♪」
声に混じって、何かもごもごという音が、辺りに響き始めた。気のせいか、少し蔦の固まりが大きくなったような………。
「あの娘達の目線も気になるのでしょう?全く………あの娘達にもきつく言っとかないと………」
もご、もご、もご………。
気のせいじゃなかった!蔦の固まりは少しずつ上に大きくなって、今やその頂点は僕の頭くらいにまで伸びていた!
少し頭を動かせば蔦に顔がくっつく距離を、僕は必死で身をよじって遠ざかろうとした。でも、僕の両腕を縛る蔦は強力で、僕の体は思うように動かない!ただ、感覚のない下半身が上半身に引きずられてゆらゆら揺れるだけだった。
「でも加々美くんは幸せよぉ…………だってぇ………」
僕は院長の声を聞かないように意識を集中した。聞いちゃ駄目だ、聞いちゃ駄目だ。でも聞きたくなくても、耳を塞げない僕の頭に、水のように染み込んで、風のように巡っていく院長の声に、僕の心は警鐘を鳴らした。
僕は視界をそらしていたけど、それでも十分分かった。蔦の固まりが、段々ほどけていく様子が。
そして――
「私が可愛がってあげるからね♪」
しゅばぁんっ!
蔦が弾けるように解かれ、中から何か人型のものが現れた。見ちゃ駄目だ、と思いつつ、僕が目線をそちらに向けると――!
「………ゎああぁああっぁああっぁぁあっあぁあああっ!」
「もう♪レディに失礼よ?」
院長の――院長の足がなくなって、その場所から何本もの蔦が生えてる!うねうねと動いているそれは、間違いなく僕の腕を縛るそれと同じものだった!
しかも院長自体、服を着ていなくて、髪の毛が深緑色、瞳の色が赫で、血管自体が幽かに緑色っぽくなっている!肌もこの前より白く、む、胸も――!
僕は腕を動かし、蔦の拘束から――院長さんだった化け物から――逃げようとした。叫んで、顔を必死で反らしながら――!
「―――ああああぁああふむっ!」
むにょん。
「加々美くん、騒いじゃダ・メ。聞き分けの悪い子は、赤ちゃんから出直して来なさいね♪」
そんな僕に、いきなり院長は近付くと、僕の口に乳を押し付けた!そのまま僕の鼻もつまむ!
「んぶぶぶぶぶぶぶぶっ!」
院長のおっぱいは、僕の口を完全に覆ってしまって、空気すら通らなかった。その上鼻もつままれてしまい――息が出来ない!
院長の体を押し返すにも、腕が蔦に絡まっていて動かせなかった。それに、院長がもう片方の腕を背中に回してぎゅっと抱き締めている所為で、顔すら動かせない!
あ……視界にもやが………。
何と無く、視線を上にあげた僕が見たのは………慈母と悪戯っ娘の入り混じった表情で僕を見つめる、笑顔の院長だった。
「うふふふ…………ぼおっとしちゃって………可愛い♪」
酸欠で意識が朦朧としていた僕に、院長はそう嬉しそうに呟くと、鼻を摘むのを止めると同時におっぱいを少し口から離し、
「ミルクあげたくなっちゃう♪」
ぴゅるっ!
僕の口に母乳を発射した。必死で空気を吸おうとする僕は、当然のように母乳も口に入れてしまう――!
「すげほっ!おほっ!けほっ!」
乳が気管支を直撃して、僕は蒸せこんだ!十分に酸素を吸えていない僕は、咳き込むことで貴重な酸素すら追い出してしまい――思考力が完全に消しとんだ。
口の中には、仄かに苦く森の味がする乳が広がっていって、僕の体に安心感の波を広げていく……。
力が………抜けていく…………考えが………全くまとまらない………。
「ふふふっ………さぁ、気持いいお時間でちゅよ〜♪」
意識に靄がかかった僕のまえで、院長さんは蔦の一本を、僕の目の前まで持ち上げた。
その先端には、掌が余裕を持って入れるくらいの大きさを誇る壷状の葉がついていた。ぼおっとしている僕の前で、その葉はうねうねと蠢き、内側がやわやわと動いていた。
院長さんはそれの内側を見せ付けるように下げ、僕のペニスを――それと小さな玉袋を――くわえさせた。
ぎゅっぽ、ぎゅぽ、ぎゅぽ――。
僕の目の前で、その奇妙な葉は脈動を始めた。時々蔦そのものも脈動しているのは、きっと僕のちんちんから何かを吸いとっているからだろう………。
この時点でも、僕は何が吸われているのか、考えが及んでいなかった。――頭にまだ、酸素は十分に回っていない。
「ん〜〜?」
院長は不思議そうな顔をしていた。僕の顔をまじまじと見つめながら、むにぃ、と両頬をつまんで伸ばした。そのまま頬をいじりまくる。
むにぃ?むに。むににぃ!むぎゅ。むきゅ?………
「うはぁ………」
絹のような指先で、時に激しく、時に優しく頬を揉み込まれた。僕は気持よくて、思わず声を漏らしてしまった。
――少しずつ、頭がはっきりしてくる。
「変ねぇ………。もうちょっと、気持良さそうにしてくれてもいいのに………」
院長は心底不思議そうな顔をしていた。暫く、口許に人指し指を置いて考えるポーズをとる。
その間も、僕のペニスを飲み込んだ葉――これ、ウツボカズラだ――はどきゅどきゅ脈動して、その度に僕の中から何かが、蔦を通じて院長さんの体へと送り出されていく――。
はた、と、何かに思い当たったらしい。院長さんは、僕に顔を近付けて――ちゅっ!
院長の唇が、また僕の唇を塞いだ。そのまま院長は、僕の中に舌を伸ばそうとして――!
「んんっ!」
本能的な嫌悪感から、僕は力を振り絞って歯を食いしばり、院長の舌の侵入を防ごうとした。更に顔も押し退けようとしたけど、やっぱり腕は蔦に捕まったままで、しかもずっと絡まれっぱなしだからか、だんだんと痺れてきている。指先から……腕に。
歯茎や、葉の表面を院長の舌が舐め回す度、思わず歯の力が抜けそうになるけど、何とか耐えて――!
「んんうんっ!?」
急に、口の中の感覚が変化した!今まで一つだった舌が、口の中で二つに分かれて、頬の奥に進んでいく!そして隙間を見付けると、そのまま内側へと伸ばしていって―――!
「んふんん………!?」
片方の舌が、僕の舌の表面を優しく撫でた。そのまま絡み付けて、全体をくまなく覆って――。
「んふんむんんっ!」
静かに揉みこんでいく!先端を軽く甘噛みしながら、心臓が収縮するように、一定のリズムで舌を縛りつけていく――。
「んんん…………♪」
いつの間にか、院長は僕の背中に腕を何本も回し、体全体をまさぐっていた。そのしなやかな指先が僕の肌をさわさわとさすり、むにむにと揉み、そしてぬらぬらと何かを塗り広げていく度、僕の中から抵抗の思いが消えて――?
「んんふっ!」
先生の体から、新しい腕が生えてるっ!?違う!蔦が絡み合って腕のようになっているんだ!この位置からじゃ見えないけど、きっと下半身でも同じことが起こっているに違いない。感覚はないけど、腰周りが引きずられているから……。
そんな状況でも、僕の体は動こうとしなかった。動けない、じゃない。動かなかった。さっきまで神経が通っていた筈の腕の感覚が、今はもう全く消えてしまっていた。まるで――脚のように。
院長は体を揉みながら――まるで何かを探しているみたいに入念に――その手を全身に這わせ続けた。
やがて、その手が僕の首筋にたどり着いた。院長はそこを指二本で押さえ付けると、蔦の一本で、その間を撫で始めた。
「むむむぅ………んむぶむぅ………」
段々、口や舌にも力が入らなくなってきた。院長さんのもう一つの舌は、そんな僕を分かっているかのように、歯の内側を舐め回しながら、葉をこじ開けていって………ついに完全に開かされてしまった。
それと――ほぼ同時だった。
ドグンッ!
「ふむ………む……むむ……」
僕の首筋を、何かが這い回っている!しかも、皮膚の内側に段々と潜り込んで、広がっていく――!
僕の頭は、舌戯の気持ち良さと、体内を這い回られる気持ち悪さが入り混じって、回線ショートを起こしそうだった。
首筋がくちゅくちゅいって、まるで何かが吸い取られていくみたい―――!
くぢゅるっ!
「―――む?」
い、今何かが僕の中で結び付いたような感覚が――。
何だろう。体のどこかが――むずむずしてくるような――僕の中で何かが暴れているような――。
そしてそれは気のせいじゃなかった。
「―――ぅぅぅぅううむうううううううううううっ!」
完全に僕のものじゃなくなった体が弓反りになる!僕の脚も、まるで感覚が戻ったかのように――じゃない!戻ってる!
ウツボカズラが僕のペニスと玉袋を包み込んでぐねぐね揉み回す感触が!粘液に濡れた蔦が僕の下半身を撫でている感触が!そのうち数本が僕の尻の穴にいつの間にか入れられている感触が!僕の舌を絡み付ける舌のなまめかしい感触が!もう一本の舌が食道から胃に向かって内壁を擦りながら向かっていく感触が!背中から、首から蔦が僕の体に根を張り、僕を変えていく感覚が―――!
今まで完全に鈍っていた感覚が、下半身に溜められてきた有り得ない量の快感と一緒に覚醒した!いや――ただ目覚めたんじゃない!
「うふふ……♪加々美くんも気付いたみたいね。
そうよ♪イタいのを気持ちよくするように、全身の神経を繋いであげたの♪」
二本の舌を僕の口に残しながら口を離し、三本目の舌を生やして、院長さんは僕に言った。院長さんは――僕の痛覚を全く別のものにして神経を繋いだんだ!
「ふふっ♪それにね、私の体液を点滴にしたからね――」
院長は僕の背中を撫でた。普通なら敏感な人以外は何とでもない筈の行為。でも、
「ふぁぅぅぅあぁっ!」
今の僕は、触れられただけで全身がガクガク震えてしまう体になっていた!そして、震える度にウツボカズラは強烈な吸引を始めて――、
ぎゅぽっ!ぎゅぽっ!ぎゅぽっ!
あえぎ声すら漏らせなくなりつつある僕の、その精を一滴も残さず絞り取っていく!
「――っとこの通り、全身で気持ちよくなれる体になってるの♪」
「あぁ………あふぁ………」
強烈な快感の反動で、僕は頭の中に何も入らなかったけど、直感として分かった。
これからは、体のどの部分ですら、撫でられただけであの強烈な快感が僕に走るのだろうと言うことが。
院長さんは笑顔のまま、
「――だから、ずっと気持ちよくしてあげるわね♪」
無邪気に死刑宣告を放った。
しゅるるっ♪
新たなウツボカズラが、院長の手元に二個用意された。先程よりは小さめだけど、その内側は分泌される粘液で同じようにぬらぬらと濡れ、いくつもの肉襞が、ふるふるとみずみずしさを視覚的に伝えてきた。
「ふふふっ?どうかしら?私のウツボカズラは」
患者に向ける営業スマイルとはお世辞にも言いがたい、心底この状況を楽しんでいる笑みを僕に向け、院長は呟いた。そしてウツボカズラを持つ手を、
「お楽しみ♪」
ぐにゅ。
そのまま僕の両胸元に押し付けた!
「ふあああああぁぁぁぁぁぁぁ………ぁぁぁああ!」
作り替えられた体の影響で、僕は乳首や胸元が触れられる度に、過敏に反応するようになってしまった。二つのウツボカズラが僕の胸に張り付く、それだけでも僕の体には電撃が走り、腰を大きく突き上げさせた!
さらに、感覚が戻るまで全く感じていなかった股間の快感が、堰を切ったように溢れだし、僕の全身を通り抜けて頭に打撃を与える!僕の理性が――こころが――!
ぎゅぽぉっ!ぎゅぽっ!ぎゅぽぉっ!
「あふぁああぁああぁぁぁ………!」
三本のウツボカズラが同時に動き始めた!うねうね、やわやわと包み込み、ぬらぬらと粘液を塗り付け、ぐねぐにゅと容赦なく揉み込んで、うにうにと締め付け、そして………ぢゅうう〜〜〜〜っ!
どびゅ、どびゅるぅぅ〜〜〜っ!
魂すら吸いとられてしまうような勢いで吸引した!既に耐える力もない僕は、なす術もなく射精してしまった………。
既に意識が朦朧としてきた僕を現実に引き戻したのは、お腹の中にある妙な感触だった。
お腹の中で、何かがうねうね、ぐねぐねとのたうち回っている。しかも、所々膨らんで、僕の体を内側から圧迫している――!
「あぁああふぅぅ………!」
体の中からも、何かが触れる度に電撃が僕の中を駆け巡って、何が入っているのか、考える事すら出来ない!それでも、得体の知れないものが中にいる不快感が、僕を辛うじて正気に保たせていた――その正気すら、儚いものだったけど。
「ああぅあふああぅぅあ………」
あぁ………どんどん奥に潜り込んでいく………胃を通りすぎて………小腸で………止まった?―――あぁっ!
「あはぅぉぅっ!」
膨らみがぁっ!僕の内臓を圧迫しながら小腸に向かっていく!断続的にあるからタイミングも定まらない!
そして、その膨らみが先端まで届いた瞬間――!
どばぁぁぁぁっしゃぁっ!
「ぁあああああ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛!」
発射された!何か液体のものが!僕の小腸の内壁に触れた瞬間、どんどん体の中に入っていくぅっ!あ………大腸からもどんどん………って大量に吸収されなかった液が――!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
肛門に差し込まれた触手に邪魔されて、液が大腸へと押し戻される!大量に吸収された液が、さらに僕のペニスを押し広げながら膨張させ、押し戻された液も全て吸収されて――!
どばるびっしゃあぁぁぁぁどくっどくっどばぁぁぁあぁっ!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛………!」
大量の液体が尿道を突き破る勢いで発射された瞬間、僕の心は院長へと完全に明け渡された………。
§§§§§§§§§§§§§§
加々美の魂が、自分の体へと吸い込まれたのを感じとった院長は、彼の小腸まで伸ばした舌の中に残っている液体と――種を一つ――全て出して、しゅるしゅると体に戻し始めた。舌をもて遊んでいた方は、既に体の中にしまっている。
魂はなくても、肉体は反応する。内壁が擦れる度、加々美の体はびくん、びくん、と痙攣する。
「うふふっ………♪」
院長は心底楽しそうな目を向けていた。それは、獲物の生殺与奪を握った捕食者の目そのものであった――いや、それよりも質の悪い、科学者の無邪気な興味も入り混じっていた。
「………心は体、体は心。体を変えれば、心も変わる………ふふっ♪じゃあ、同時に変えたらどうなるのかしらね♪」
加々美の姿を眺めながら、院長は心底嬉しそうに呟いた。
暫くして、加々美の体に変化が起こった。
搾精器官を何も動かしていないのに、体に何も触れようとしていないのに、少年の体が痙攣しだしたのだ。
肛門からは、ちろちろと植物の蔦らしきものが出て、肛門の周りを綺麗に拭いている。
加々美が急に弓反りになると、その口からも蔦が出て、ちろちろと口の周りを拭う。
そして、そのまま脳内へと行き着いた蔦は、脳にその先端を差し込むと――何かを読み取るように蠢き、少しいじくり――そのまま元の場所へと戻っていった。種のある、大腸へと。
院長は、その種を触手を使って取り出し、びくびくしている加々美はそのままに、森の地面にそれを蒔いた。
「ふふっ………これで、人間にはバレないわ。半身不随が治った少年が、まさか植物人間だとは思わないでしょう♪これで、病院にも来る人が少し増えるわ♪さて………」
院長は、改めて加々美の方を向いた。
「ん〜、このまま溶かすには惜しいのよねぇ〜〜♪」
少し考え込む院長。だがその姿はどこか楽しそうだ。暫くのち、いいことを思い付いたらしく、手をぽん、と叩くと、心からの笑顔を、少年のガラスの瞳に映した。
「んふふ…………んむむぅ………」
院長は、少年にキスをしながら、自信の樹液をどんどん体に流し込んでいく。と同時に、搾精器官を全て外し、その代わりに下から巨大なウツボカズラを呼び出した。人一人が、そのまま呑み込めてしまう程の大きさを誇る。
ウツボカズラが取り外されたペニスは、普通の人間では有り得ないほどに肥大化し、両胸はCカップほどに膨らんで、乳首の先端からは、幽かに院長のものではない液体で濡れている箇所が見てとれた。
蔦の拘束を脚だけ解くと、加々美の体はウツボカズラに呑み込まれていく。体がどこかに触れる度にびく、びくと痙攣する加々美。だがその体が内部の柔かい襞に触れ、新たな快感を呼び起こす。
「――――」
声帯から声にならない声が漏れる。口を塞がれているだけでなく、先程の蔦が彼の声帯自体をいじっていたようだ。ガラスの瞳を涙で滲ませながら、呑まれている自分の姿すら想像できぬままに悶え続ける加々美。その彼の涙すら、最早人間のそれではない。体液全ては、樹液と交換されてしまったのだ。
巨大ウツボカズラはその体をぐにゅぐにゅと歪め、襞をうにうにと蠢かせ、内部をむくむくと膨らませながら、むぐむぐと加々美の体を呑み込んでいった。両腕の拘束が解かれると、胴体と両腕をぴったり合わせたままそれを自らの中へと招き寄せていく。
彼を飲み込んでいく度に、院長の中に快感の波が広がっていく。それは、加々美の魂が、体を通じて感じている快感そのものだった。知らず院長は、自身の蔦を胸に絡ませ、乳首をいじり始めていた。その興奮も手伝ってか、与える樹液の量が増す。
Cカップの性感帯すら、ぴっちりと呑み込んだ辺りで、院長は樹液を飲ませるのを止めた。そして――、
「――目覚めてからのお・た・の・し・み♪」
むぐんっ。きゅ
加々美の額にキスをすると、そのまま呑み込ませ、入り口をきつく閉じてしまった。
院長は、身動きの出来ないまま悶え続ける加々美の感覚を魂から感じとりながら、むぐむぐとウツボカズラを蠢かせ始めた。咀嚼――そう、それは咀嚼を目的とした蠕動だった。
きっとこのまま、加々美の体は溶かされてしまうのだろう――。
加々美の体を完全にウツボカズラに閉じ込めた後、気配を感じた院長が振り向くと―――。
「あぁんっ!あはあぁんっ!」
「イイのっ!イイのぉっ!」
「お願い、ワタシをカキミダシテっ!」
「アァアッ!わらしぃ!わらしバカになっちゃうふぅ〜!」
「ひぃっ!ひもひひぃのほぉ〜っ!」
そこに居たのは病院のナース達であった。そのどれもが、加々美の快感が移ったかのように、激しく悶えながら自慰を繰り返していた。その秘部からは、ちろちろと件の蔦が中から出たり入ったりを繰り返している。
中には、マラのようになった蔦を手で扱き、樹液を放出してイッているナースまでいた。
そして――一週間、息子に会いに行っていない母親も、その集団に混じっていた。
「うふふっ♪えい♪」
院長は、体内にいる加々美の魂を胸元に動かすと、その胸を思いきり揉みくだした。その瞬間、
「「「「あぁあああああああああああああんっ!!!」」」」
その場にいる全ての、院長を除く女性が絶頂を迎えた。加々美の快感が、何倍にも増幅された形で植え付けた種に伝わり、それが性感帯を一気に刺激したのだ。
全身性感帯と化した加々美の感じた快感、一回だけでも精神が飛びそうになるそれを何倍もの規模にされたものをまともに受けた女性達は、イッた体勢のまま、全員気絶してしまった………。
しゅるしゅるしゅる―――。
その体を、秘部から出てきた蔦が這い回り、絡み合いながら包み込んでいく………。
数分も経たないうちに、院長の目の前には、蔦で出来た大きな卵が無数にそびえ立っていた――。
「ふふふっ………さて、仕上げに入らなくちゃね♪」
目の前の光景に満足しながら、院長は目を瞑り、精神を内側に飛ばした――。
§§§§§§§§§§§§§
――ここは?
真っ暗な場所。
地面のない真っ暗な場所。
落ちている?
上っている?
そんな感覚はない。
ただ闇の中に僕が'在る'だけだった。
動くことも出来ずに――。
ふいに、闇の中に何かが流れ込んで来た。
つんとするような、痺れるような、それでいてどこか甘い――。
ずぐんっ!
突然、僕の体が大きく跳ねた。
流れ込んできた香りは、まるで形を持たない手のように僕の全身にねっとりとまとわりつき、撫で回し、這い回ってきた。その上に、体の中に入った香りは、体の中全てを桃色に染めていったのだ。
でも、絶頂にはまだ足りない。全身性感帯になった僕の体だけど、肉体を実際に撫でられない限りそこまで登り詰められないのだ。
ずくんっ!
僕の体は快感を求めようとまた大きく跳ねた。くねった皮膚が擦れあうけど、全然足りない。
「―――」
僕は声にならない声をあげながら悶えていた。
非常にもどかしかった。
体がうずく――。
体を動かせたら、今すぐにでも僕のペニスを握れるのに――?
はっ!
何を考えているんだ僕は――!
ずぐんっ!
あぁっ!でも耐えられない!
うずく!
生殺しのまま放置されている状況がもどかしい!
誰か――誰かこのうずきを止めて欲しい!
誰でもいいから――!
だれでも――!
ダレデモ――!
「――――!!!!!!!!!!」
声にならない叫びをあげながら、魚のように何度も身を跳ねさせ続ける僕。
もう、うずきの事しか頭に無かった。
他に考えることなど――。
……どれだけ経った頃だろう。
もう三時間くらいうずきが止まらなくて………。
もどかしすぎて………。
僕――。
「ふふっ♪いい感じに'調教'されているわね♪」
――誰だろう?
女の人の声だ。
女の人――そうだ。
その女の人なら、僕のうずきを治してくれる、抑えてくれるかもしれない――。
挿れたい――。
いれたい――。
「ふふっ♪良いわよ。思う存分、私を味わって」
突然目の前に女性が現れ、僕のはち切れそうなペニスを下の口で一気にくわえ込んだ!
腟の中は、まるでそれそのものが別の生き物であるかのように、僕の分身を受け入れ、揉み込み、擽り、締め付けていく――!
僕は無意識で腰を振っていた――違う。女の人が僕の腰を持って動かしているんだ。
次第に鼓動が、気持が興ぶっていくのが分かる。登り詰めていく、最高に気持の良い瞬間が近付いていく感覚が。
そして――!
どびゅるるぅぅぅ〜〜〜〜〜〜っ!
生殺しにされて溜められた精液が、女の人に叩き込まれた!それでも射精は止まらない。
「―――!」
声にならない喜びの声をあげながら、僕は精を女の人に注ぎ込み続けた。
途中、頭の中で何かが砕ける音がしたけど、全く気にならなかった。
いまはただ、コノママデ――。
女の人は、ペニスをマンコに挿し込んだまま、僕の体をいじくり始めた。
女の手が触れると、僕の体はまるで粘土か飴細工のように自在に変形していった。
まずは胸。
女がこねくり回す度にさらに大きくなり、乳首はまるでペニスのような形に変えられた。
二つの胸の下にももう一セット同じものを作り、更に背中にも作り出した。
その過程が、堪らなく気持よくて――。
びゅるっ!
思わず乳から精を噴射してしまった。その感覚すら。気持いい………。
「ふふふっ♪」
次に、ペニスの回りを揉み始めると、陰毛が全て抜けていき――新たな肉の突起が現れ始めた。
それは、今のペニスよりももっと長く――下手したら顔に届くんじゃないかと思うほどに長くなっていった。
女はその突起の先端の形を調え始めた。丁度、亀の口のように――ペニスだ。女は長いペニスを作り出しているのだ。
元のペニスはそのままに、尻の横側から一つずつ、尾底骨辺りから一つ、位置が対称になるように長い肉棒を生やされてしまった。
肉がいじられる度に、僕のおっぱいとマラは猛烈な勢いで精を噴射し続けた。新たに出来たマラの中も、猛烈な勢いで精が駆け抜け、噴射される度に女の全身を白く汚していく―――。
「うふふっ♪」
最後に、女は僕のチンチンを腟で挟んでこねくり回しながら、唇を僕のそれと合わせて、舌を僕の舌に絡み付けた。そのまま揉み込んで、こねくり回して―――。
気が付くと、舌の形状すら完全に変わっていた。太い円柱状の肉の棒。見間違える筈もない。先ほどから何度も見ている男性器だ。
それが僕の口に出来たのを確認すると、女は口を離し、同時に腟からペニスを解放した。僕の分身だったものは、僕の記憶よりも四倍は太くなっていた。
女はそれを両手で掴むと、思いきり扱いた。すりすり…………と手が上下する度、僕の分身は、細く、長く延びていく………。
女が手を離した時、僕は八つの巨大なおっぱいと、十三の様々な大きさのペニスを持つ生物へと姿を変えていた。
不思議なことに、気持悪い、とかそんな感情は抱かなかった――いや、抱けなかった。
「―――!」
流れ込んできた媚香を全て吸収した僕の体は、まるで発情期の獣のように、四六時中発情していたからだ。
今でも、体がうずく。
カラダガウズク。
女を犯したい。
おんなをおかしたい。
オンナヲオカシタイ。
僕が触手ペニスを女に向けようと、鎌首をもたげさせたとき――。
「続きは、向こうでやりましょ?」
そう声がした、瞬間―――。
§§§§§§§§§§§§§
僕の目の前には、蔦で出来た卵がいくつもそびえ立つ風景が映っていた。その卵のどれもが、蔦に咲く花から雄を待つ雌の香りを放っており、かいでしまった僕の全身は、いきなり発情状態に追いやられた。
「………ぁっ、………らぁっ………」
ペニスと化した舌は僕の鼻先を遥か越えるまで勃起し、浮き出るまで盛り上がった血管が、舌が今にもはち切れそうな状態を伝えてくる。
八つの胸の乳首ペニスも勃起し、早くも先走り液で白くてらてらと体を濡らしてしまっている。
そして、四つの触手ペニスは、身長よりも高く伸び上がり、鎌首をもたげて獲物の品定をしているようだった。
長い、永い時が流れた。実際に流れた時は、一瞬なのかもしれなかった。けど、目の前に女がいるのに犯せない状況、内からのたぎりを解き放てない状況が、一瞬を永遠とも思われる永い時に変えたのだ。
その終了は、思いの外あっけないものだった。
ビュウッ!
「!!!!!!!!!?」
突然卵の一つから何かが飛び出し、僕の方へと向かって来た!触手ペニスの一つが、それを迎え撃つように飛び出す!そして、
ぶしゅうっ!
飛び出したものに体を潜り込ませた!そのまま体を出し挿れしていく!
蔦の中から飛び出してきたもの、それは花だった。ただし、その花びらは毒々しいまでに赤く、花びらの内側にはアクロン使用後のタオルのように柔らかく、それでいて粘液で濡れている襞で無数に埋め尽されていた。
花は僕の触手ペニスを逃さないように、必死で締め付ける!包み込む肉壁にペニスが擦りつけられ、優しくも強烈な快感が僕を襲っていく!
「らぁ〜〜〜〜〜〜〜っ!」
どびゅるぅ〜〜〜〜っ!
僕の全身は、ペニス触手がほんの少し擦られただけで達してしまい、全ての噴射孔から大量の精液が発射された!その全てが白い雨となって、緑の卵に恵みを与えていく―――!
―――くちゅゃああぁぁぁ―――
「――はぇ?」
舌が男根に変化しているうえ、絶頂の余韻も重なっていたので、目の前の光景に対して、僕はあまりに気の抜けた声しか出せなかった。
卵が割れる――蔦が、僕によって白く染められた場所から徐々に開いていく――。
始めに見えたのは、様々な濃淡の緑色をした髪。粘液に濡れて、妖しく艶めいていた。
次に、人間ではとても辿り着けないような綺麗な顔。肌の裏の血管すら透き通って見えそうなそれもまた、粘液が化粧のように塗られていた――。
整った顔立ち、瞳は閉じたままだが――。
きめ細やかな肌を惜しげもなく晒し、たわわに実った二房の果実をその折れそうな両腕で抱き締め、寄せ上げている。
産毛一つ見えない肌はしかし、ある一点からその姿を見せなくなる。
くびれた腰の下、本来ならば生命の象徴とも言うべき部位――子宮――と、そこより下の脚などの部位が姿を消し、代わりに無数の蔦が絡み合い、解れあいながら女達の体を支えていた。
その所々に、女によって様々な花、子房がついた蔦がうねりうねりのたうち回っていた――多分、あれが女達の搾精器だ――。
ここに、大量の搾精植物達が誕生した――!
「ん………んふぅ………」
目を醒ましたばかりの女達は、気だるそうに目をこすりながら、定まらぬ目線であちこちを見回して――。
こちらと、目があった。
寝起き特有のうるんだ瞳が、僕のうずきを更に強める。でも、僕の触手は動こうとしない。まるで、女達に襲われるのを待っているかのように――。
「あ………はぁ………」
くー。
女達の腹が、示し合わせたように同時に鳴った。視線が、僕の顔から外れ、その周辺に移っていく。見られていることを察したのか、僕の全てのペニスは一瞬ぶるっ、と震え、先端を白濁した液で濡らした。
辺りは女の媚香と、僕の精の香り、その二つが入り混じって異様な空間を作り出していた。ここにいたらどんな貞淑な人間も、自らその下半身を晒け出してしまうだろう。無論、僕も既に我慢は限界を越えていた。全てのペニスはぶるぷると痙攣し、先端から子種を垂らしてそれ自身を汚していく。
ついに――
「――いただきます♪」
女達の声と共に、静寂は破られた。
しゅばるるるるぁっ!
女達の搾精器官が、大挙して僕の体へと押し寄せる!
内側が粘液で満たされたウツボカズラが――
柔かい肉壁で内側を覆われたハエトリグサが――
花びら一つ一つが舌のようになったチューリップが、百合が、鈴蘭が――
葉の全てが粘液で覆われたシダ植物が――
ありとあらゆる形をとった搾精植物が、僕のペニス達に一気に襲いかかった!
待ち構えていたかのようにペニスも一気に伸びる!そして――
ぐぢゅゅゅぅぅうっ!
はむっ!ぢゅるるるるぅ〜っ!
ぬぽっ!ぎゅるるるぎゅるぎゅる………
ぐちゃっ!ぬちゃっ!ぬちゃぁっ!
ぬらぁ………ぬりゅぅっ!
びゅるるる〜〜〜〜ぅっびっしゃあああぁ〜〜〜っどくっどくっどくぶしゃあっぴゅるっどぱぁぁぁっ!
「―――!!!!!!!!!!!!」
声など、出せなかった。
乳首ペニスは全て花の中に挿し込まれ、あるいは葉に挟まれくるまれ、ぐにゅぐにゅと刺激される!同時に巨大な胸を蔦が巻き付け、中に詰まった精を放たせようと締め付ける!
触手ペニスは先端にウツボカズラ、棹の部分にシダ植物が絡み付き、ぬめぬめうにゅうにゅと精を絞ろうと蠢く!鈴口をちろちろと舐められ、カリを優しく撫でられながら刺激され――!
そして、舌ペニスは――!
「んく、んく、んく……」
最初に僕の分身に喰らい付いて精をすすった女――実は僕の母だが、それに互いに気付いていない――が、僕に近付いて、自らの口で舌をしゃぶっていたのだ。唇をつけられたとき、どこか懐かしいような感覚がしたけれど、すぐに快感にとって代わられた。
ふくよかな唇は、樹液をたっぷり含んでいるのかしっとり濡れ、確かな弾力を僕のそれに伝えてきて、長くなった舌は、僕の舌ペニスの棹を、にゅくにゅくと手慣れたように扱いていた。
同時に、甘く催淫性のある液体を僕の喉の中に流し込んできた。それはこの女独特の蜜で、下手な媚薬よりも効力があるものだった。
その他、ペニスの生えていない脇腹も、生えるはずのない尻の穴にも大量の植物が押し掛けてくる――!
同時に、生身の人間では発狂死する程の快感と刺激を与えられた僕は――
「……………んんんんんんんんんんんんんんんンンンンンンンンンンンンンンンッ!!!!!!!!!!」
絶叫を女の口に向けて発しながら、体に詰まった精を全て女達に捧げた――。
もう、僕の頭には女を犯すことだけ。
いつの間にか腰回りに触手ペニスが増え、胸の数も増え、腕、手、指すら全て陰茎と化していたのも気にならない。
他にも変化しているかもしれないが――気にならない。
僕の全ては―――目の前にいる女達を犯すためのもの。
そうして僕は――今日も精を放ち続ける。
§§§§§§§§§§§§
――加々美の体は、脚が根へと変化し、母体となる院長の辺りにそれを降ろしていた。
院長によって改造された体は、少しの栄養で無尽蔵に精液を造り出し、しかも犯されることでその能力も成長していくのだ。
「ふふふっ………いい子になったわね♪」
今や精液供給器官植物と化した加々美と、立派な搾精植物と化したナース、そして加々美の母を眺め、院長は一人、喜悦の笑みを浮かべていた…………。
§§§§§§§§§§§§
―――8/31
あの日から、僕は生まれ変わった。
治る事がないと思われていた脚が治ったからだ。
これも全ては、グリーンハウスホスピタルのおかげ。
皆にその事を教えてあげよう。
そして――病院に来てもらおう。
END.
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