続々あぁ、溶けちゃう


 

第1章 黒革の手袋 1 

・・・間もなく1番線に通勤急行○○行きが参ります。白線の内側まで・・・

 ホームに停車した電車のドアにベージュ色のコートが見えた。

“おっ!あの女だ。月曜の朝はいつもこの時間なのかな?”

 先週の月曜日のことだった。痴漢常習犯の岡本は今日と同じ時間の電車にその女と乗り合わせた。軽くウェーブのかかった長い髪、カシミアのロングコート、黒革手袋の手にはブランド物のバッグ。落着いた品のある表情で一流企業の役員秘書というような感じは、岡本にとって“ど真ん中ストライク”のタイプだ。この駅から終点のターミナル駅までの15分間、こちら側のドアは開かない。ドアに向かって立つ女の右後ろにうまく体を滑り込ませ、動き出した電車の揺れに合わせて自分の体を預けるようにしてドアに女を押し付ける。目の前の髪から香る匂いにそそられ、股間がたちまち硬く膨らんできた。女は自分の腰に当たっている“物”が何であるか気づいたようにちょっと身じろぎをする。岡本は言い逃れができるよう、まず左手の甲をカシミアのコートに包まれた尻に当てて動かしてみる。すると女はそのまま俯き、眉根にしわを寄せ唇を噛んでいる。

“ビンゴ!これなら終点まで楽しめるかも”

 岡本は甲から手のひらに変え、柔らかな手触りのコート越しに張りのある女の尻の感触を楽しむと、今度は右手を腰の辺りから徐々に前のほうに這わせていく。コートの下に感じる柔らかな体が時折“ピクッ”と震えるが、何の抵抗もないのをいいことに、岡本はそのまま終点まで存分に撫でまわし続け、駅に着いた時には暴発寸前になっていた。ドアが開くと女は逃げるように降りて行き、岡本は腫れ上がった股間のまま駅のトイレに駆け込む。個室に入りペニスを引っ張り出したとたん、“びゅるるるっ〜〜”と大量の精液が噴出し便座に飛び散った。

“ひゃ〜っ、こんなに出たの初めてだよ。あぁ、また会えるといいなぁ”

 その日はまだ手に残る滑らかなカシミアの感触と女の匂いに、なかなか興奮が収まらなくてトイレから出るに出られず、バイトに遅れそうになったのだった。


2 

“よ〜し、今日も・・・”

 ドアが開き電車に乗り込む。後ろに回りこめたと思った時、最後に乗り込んだ乗客に押されて女と離れてしまった。その後も電車の揺れにあわせ、何とか女の後ろに移動しようとしたがうまくいかず、とうとう終点についてしまった。

“くそ〜っ、せっかくのチャンスだったのに。来週こそ・・・”

 頭の中であの女を陵辱しながら駅ビルを通り抜けているとコインロッカーの方へ曲がっていくベージュ色のコートが見えた。

“あっ、あの女か?”

 コインロッカーは駅ビルが地下街へと続くあたり、通路からは奥まった所で、防犯カメラはあるが、何列か並んだロッカーのため見通しがきかない。そのためロッカーの数は多いもののあまり利用者がいない。今もその女と後をつける岡本以外に人は見当たらない。引き寄せられるように、女が入っていった一番奥の列を曲がった時、そこにあるはずの女の姿はなく、岡本は一瞬、訳が分からず立ち尽くしてしまった。

“えっ?なんで?”

 と、突然、後ろから柔らかな物がぶつかってきて、そのままロッカーに体を押し付けられた。

ドンッ
「うわっ!何?」
「ねぇ、あなた先週の痴漢でしょ?」
「えっ?えっ?ち、ちが・・」
「いいのよ、警察に突き出したりしないわよ。ねぇ、痴漢なんて面白いの?」
「いや、・・あの・・そ、その・・・」
「面白いんだったら私もやってみようかなぁって。こんなことするんでしょ?」
「うっ!」

 岡本を後ろから抱きすくめている女の右手が下のほうに移動する。その行動に呆気にとられた岡本は女を振りほどこうともせず、されるがままになっている。

“え?何だこの女、とんでもない痴女じゃねぇか。でもこんなのもいいかも・・・”

 黒革手袋が股間を撫でまわし、ズボンのベルトを外しずり下げるとペニスを引きずり出す。先週とは逆転した立場に妙な興奮を覚えた岡本のペニスはすでに勃起し始めている。硬くなったペニスがキュキュッと革の擦れる音がするほど手袋に強く握り締めらてしごかれる。

「女性に犯される気分はどう?革の手袋で犯されるの。犯されてどろどろに溶かされちゃうのよ。」

 黒革手袋が岡本のペニスを弄ぶ。冷たくしなやかな黒革が亀頭を棹を玉を包み込み、揉みほぐし、搾り上げる。炉の中で赤熱した鉄棒がやがて溶けてしまうように、限界まで熱く硬くなった岡本の肉棒が女の手の中で溶けていく。耳元で囁かれた女の言葉が岡本の頭の中をまわり続ける。

“女に・・・黒革の手袋に犯される・・犯されて・・溶かされてしまう・・・黒い手袋に・・・”

 ペニスからはとろけそうな快感が股間に内臓に、そして全身に広がっていく。屈辱的で倒錯的な状況に初めて経験する被虐的な快感。

“溶ける・・脳みそが・・・ちんぽが・・・体が・・溶ける・・・革手袋に・・溶かされる・・・”




「あっ、あっ、う、う〜っ!・・・あぅ、や、やめ・・と、溶け・・うっ!!んぐっ!」
「だめよ、大きな声出しちゃ。」

 黒革手袋が岡本の鼻と口を塞ぐ。革の匂いとともに、雌を感じさせるような腋臭にも似た女の体臭が鼻腔に入り込んでくる。革手袋の僅かな隙間から酸素を求めるたび、その“甘美な毒ガス”が鼻腔と口腔に広がり、さらに肺をも満たしたそれは血液に溶け込み体中の細胞を侵していく。“毒ガスに侵された手が、足が、ペニスが快感の悲鳴をあげながら溶けていく”そんな感覚に岡本の口から呻き声があがる。

「ん〜っ!んぐっ!ぐっ!んぐ〜っ!(溶ける。か、体が、と、溶けるっ)」
「ふふ、気持ちいい?どう?とろけちゃいそうでしょ?」
「ん!んっ、んぐんぐ〜っ!う〜〜っ!(あっ、いく・・い、い・・・溶ける〜っ!)」
「ふふ、溶けちゃえ〜!」
びゅびゅっ、びゅるびゅるびゅる〜〜っ、どびゅっ、どびゅっびゅるびゅる〜っ
「見て。こんなにどろどろになっちゃたわよ〜。」

 射精というにはあまりにも大量のザーメンがロッカーから床にかけてこぼれている。女が口を塞いでいた手を離すと、岡本は精液とともに魂までも出し尽くしてしまうかのような声をあげ、ずるずると崩れ落ち膝立ちとなる。

「ひゃぁ〜〜っ・・はぁ〜〜〜・・はぁ・・はぁ〜〜・・・」
「痴漢がこんなに面白いなんて知らなかったわ。」
「はっはっ・すごいな・・て、手袋に薬でもしみ込ませてるのか?こんなの初めてだよ。」
「そうね、香水みたいな物よ。ふふ、まだ終わりじゃないわよ。もっとどろどろにしてあげる。」
「え?い、いや・・もう、かんべんして。」
「だめよ。悪戯した罰にあなたを溶かしちゃうんだから。」
「あ、だ、だめだよ、あっあっ・・」

 女はコートのボタンを外すと岡本を膝立ちのまま振り向かせ、“毒ガス”の充満するコートの中に包み込むように抱きしめる。コートの中で女の体にすがりつく岡本は水色のニットに包まれた形の良い胸の谷間に顔を埋め、“とろけそうな”快感に身をよじっている。プリーツスカートの襞にサワサワとペニスを刺激されただけで、すでに全身を侵されている岡本はたちまちザーメンを漏らしだした。男のシャツの下に黒革手袋が侵入し、背中が、脇が、乳首が撫で回される。女に触れられた皮膚に快感が走り、やがてその強烈な快感に耐え切れなくなったかのようにその部分が溶けだす。


4 

 岡本の体が黒革手袋に犯される。女の手に触れられた体がアイスクリームのように溶けていく。

「革手袋に体中撫で回されて溶けちゃうなんて痴漢のお仕置きにぴったりよね。ふふふ」
「ひゃぁ〜〜っ・・と、溶けそう・・ほ、本当に溶けるかも・・・」
「そうよ、私に包まれて本当に溶けちゃうのよ〜。」

 “毒ガス”に侵された男の意識も快感に溶けていく。

“犯される・・女に、コートに、スカートに、手袋に包まれて・・犯されて・・溶かされて・・”
「い・・・いく・・あ、あぁ溶けちゃう〜っ・・」

 女が岡本の股間に腿を押し付ける。刺激を受け“最後の大爆発”が始まろうとした瞬間、女の携帯が着メロを鳴らしだした。

♪〜♪♪〜♪〜〜 
「あ、いけない、忘れてた。ちょっと待って。」
ピッ

 健一からの電話だった。卒業試験目前だというのに健一は千春に今日の企画会議の資料作りを手伝わされ、昨日中に間に合わせることができなかったのだった。そこで出勤前の千春に駅で渡す約束となっていたのだが、待ち合わせ場所に千春が現れず、電話をしてきたのだ。

「はい・・健一君、ごめんね・・うん・・・東口の・・そう・・・ありがとう、今すぐいくわね。」

ピッ 千春は岡本から体を離し、服の乱れを整えると

「ごめんなさい、もう時間がないのよ。行かなくちゃならないの。」
「お、おい、これで終わりか? いいとこなのに〜。なぁ今度どこかでゆっくり楽しまないか?」
「え?そんな体で?ねぇそれじゃもう痴漢もできないんじゃない?ほら自分の手を見てみなさいよ。」
「なに?・・あっ、うわっ!! な、なんだこれ?あ〜っ!!!」
「じゃぁ、さよなら。」

 持ち上げた右手の指は燃え尽きた蝋燭のように小さな瘤とり、左手に残った最後の指は岡本の目の前で溶けて床に滴り落ちる。股間からは射精のように溶けた体が噴き上がり続け、千春に救いを求めるように上げた腕がスライムのようにドロリと垂れ落ちる。。岡本は膝立ちになっていた体の力が抜け、べちゃっと音を立てて自分自身の“水溜り”に尻もちをついてしまう。男に背を向け歩き出した千春に

「お、おい、行ってしまうのか? このままでか?・・な、何とかしてくれよ。た、たのむ」
「ん〜、そうねぇ、確かにこのままじゃかわいそうかな。」
「そ、そうだろ。そうだよな、こんなことって・・・。」
「わかったわ。何とかしてあげる。」
「あぁ、助かった。元に戻せるのか?は、早く助けて。お願いします。」
「え?違うわよ。跡形もなく溶かして吸い尽くしてあげるのよ。」
「えっ?そ、そんな・・・」
「ほ〜ら、溶かしちゃうわよ〜。」




 再び岡本の方に向き直った千春がスカートの裾を大きく持ち上げる。千春の秘所からみるみるうちに湧き出した粘液が下着もストッキングもぐっしょり濡らし、外にまで溢れて滴り落ちてきた。濡れたパンティが透け、黒々とした千春の股間が目の前に迫り、岡本の顔面に粘液が降りかかる。頬や額を濡らす粘液の匂いに千春の手袋にしみ込んでいた匂いの元が何であるかに気がついた岡本の顔が恐怖に歪む。いや、それは歓喜の表情だったのかもしれないが、直後に頭からスカートを被せられた男の顔はもう見ることができない。半ば溶け崩れた手足では上半身を包み込むスカートから逃れるすべはなく、ただ快感に悶え、悲鳴をあげることしか岡本にはできなかった。

「ひ・た、助け・・あ・・あ・・た、助けて・・あ、あっ」
「ふふふ、もう助からないわよ。あきらめておとなしく溶けちゃいなさい。」

 千春がスカートの中でもがく男の頭を粘液にまみれた股間に押し付ける。グレーのスカートが悶える岡本の動きにあわせてそのプリーツを揺らしクチュクチュと音を立てている。

グチュ、グチュッ、ブチュブチュブチュチュ
「と、溶ける・・あぁ助けて・・・た、たす・・・とけ・・と・・」
ブチュ、ブチュッ、ジュジュッ、ジュル、グチュッ
「さぁ、溶けておしまい!」
「だ、だず・・ど、どげ・・・だずげで・・・うぶ・・ぐぶ・・・うぐ・・」
ジュジュッ、ジュル、グチュッ

 やがて男を呑み込んで膨らんでいたスカートが元通りになると、千春はそのまま何事もなかったかのように出口に向かい、健一との待ち合わせ場所に歩いていく。しばらくして千春と岡本のいた場所に大きな荷物を抱えてやって来たカップルが“それ”を見つけてつぶやいた。

「うわ、なんだこれ? きたねぇ、酔っ払いか?」
「ねぇ、違う場所のロッカーにしょうよ。」
「あぁ、そうだな。」

 吸収されなかった岡本の一部は“ゲロ”の水溜りとなり、ロッカーの扉や周囲にも飛び散っていた。服も靴も、時計や携帯でさえ溶けてなくなり、それが数分前まで人であった痕跡は何もない。しかし千春はまだ気づいてはいなかった。防犯カメラのレンズの向こうで千春の“行為”を見つめていた目があったことを。


第2章  カシミアのコート 1

 先週の水曜日、俺の会社に学生時代以来の友人田村がやってきた。

「間島、このビデオ見てみろよ。お前のとこで作ってるエロビデオよりよっぽど面白いぜ。」

 “オフィス・xxx企画”ネット通販専門のエロビデオ製作販売会社。小さい会社だがそこそこ稼いでいる。田村に渡されたDVDは○○駅ビルの防犯カメラの記録映像だった。奴はそのビルの警備業務を請け負う会社に勤めていて、その記録を持ち出したのだった。ビル防災管理センターのモニタールームで数多くあるカメラの映像を切り替えた時に、偶然、人の動きが目に入り、“それ”を見つけたのだという。もちろん無断でDVDに保存して持ち出すことなど規則違反なのだが、“それ”は消去されてしまうにはあまりに惜しいと俺の所に持ち込んだのだった。

「後ろから口を塞いで搾り取るってのがいいよな。」
「朝っぱらからこんなことする痴女がいるとはなぁ。」
「お前の所で商品化できないか? “実録 痴女盗撮”とかさ。」

 横向きになった男と女の腰ぐらいから上が映る画面。画像はやや粗いが、はでに飛び散るザーメンも映っている。男が膝立ちになってからは女の背に遮られて男の様子は見えないが、身をよじる女の姿だけでもエロいものがある。男はへたり込んでしまって死角になっているのか、女の立ち去る姿は記録されているが男の姿は残っていない。一瞬、真正面から捉えた女はなかなかの美形だ。

「うん、これすごくいいよ。だけど、これじゃ、短すぎるしなぁ。後は“女優”使うか。」
「へへ、この後、別のカメラに駅ビル東口出口へ向かうこの女が映っていてさ、昨日遅番だったから、朝、東口を見張ってたんだ。そしたらすぐ見つかったよ。一昨日と同じコート着て、黒手袋して。あぁ、俺もされてみたいよ。で、勤めてる会社も見つけたよ。駅から5分、△○ハウス・プラニング。」
「そうなの?じゃぁ追っかけてればまた撮れるかなぁ。盗撮だと多少、画が粗くてもかえって雰囲気出るんだよな。それに、この女、美人だし、うまく接触できたら“出演”してもらってもいいしなぁ。」
   ・
   ・
   ・
 今は月曜の17時15分、田村のDVDを見てから5日がたっている。それから毎日、△○ハウス・プラニングの会社近くに止めたワゴンの中で俺はスタッフ2人と共に女の会社帰りを狙っている。すでに尾行も成功し女の自宅も名前もつきとめ、通勤姿を画像に納めることはできたが、肝心の“行為”を撮れずにいた。と、ベージュのロングコート、黒革の手袋、ここ何日かで見慣れた姿がビルの外に現れた。

「社長、出てきました。じゃぁ行ってきます。」

 カメラマン兼照明兼美術兼男優(零細企業ゆえに何でもやらなければならない)の平田と山野のそれぞれにカメラを仕込んだバッグを持たせ女の後をつけさせた。

「おぅ、たのむぞ。」




“先週はどこにも寄らずに帰宅していたが今日は駅改札口には向かっていないな。”

“男と待ち合わせている。学生風だ。食事か?しばらく店の外で待つか。よし、出てきた。”

“映画館?。行くぞ。夜間盗撮用の暗視機能付カメラだ。きっと何か撮れる。”

 あまり評判のよくないB級ホラー映画。観客は少ない。平田と山野は別々に入り、平田は中央通路側に座る女と通路を挟んだ席に、山野はその反対側に3席ほど離れた席に座り、両側からカメラを向ける。
 千春が二つにたたんだコートを自分の膝から健一の膝の上にかけて被せる。コートの裾が健一の股間から膝までを覆う。千春は横に伸ばした手をコートの上に置き、健一の股間を刺激する。ピクッと体が反応すると

「ち、千春さん、だめですよ。こんな人がいるとこで。」
「・・・」

 千春は知らん顔で黒い手袋をしたままの手をコートの下に潜りこませていく。千春の手を阻止しようとコートの上から両手で押さえつけるが、たまらず背筋が硬直し、表情が歪み、呻きがもれる。

「んっ、うっ、う・・」
「ふふ、悪戯してるだけよ。大丈夫よ、溶かしちゃったりしないから。」

 コートの下で千春の手が健一の股間を弄び、下半身を覆うコートがもぞもぞと動いている。映画のクライマックスが近づいてきた。主人公の友人が女吸血鬼の毒牙に倒れる場面だ。女の黒マントの中にくるみ込まれた男が、首筋から注入された毒液でどろどろに溶けて吸われていく。男が溶け出した瞬間、健一もとうとう限界に達し、「うっ」と呻いて痙攣する。ホラー映画があまり好きではない平田はグロテスクなシーンに

“あいつ、こんな気持ち悪いの見ながらいっちゃって大丈夫か?トラウマにでもならないか?”

と余計な心配をする。パンツの中が大変なことになってしまった健一はトイレに向かう。1、2分後、千春もまた席を立ち外に出て行き、最後まで見ることなく映画館を後にした。

“え?いくらB級映画でもここまで見ておいて最後を見ないつもりかよ。”

 平田と山野はあわてて後を追い、映画館から出ていく2人の後を再び尾行する。




「健一君。振り向かないで聞いて。今、尾行されてるの。先週から私をつけている人がいるのよ。」
「え?何か心当たりでもある?」
「う〜ん、この前痴漢にあったのよねぇ。」
「あぁ、可哀そうに、災難ですね。」
「そうでしょ、ひどいわよねぇ、痴漢なんて。」
「い、いえ、その痴漢のほう。だって、まだ生きてるとは思えないし。」
「もうっ!ずいぶんじゃない。でも“それ”を見られたのかも・・・」
「じゃあ、警察?」
「違うと思うわ。だからあのストーカーを捕まえようと思って。健一君も手伝ってね。」
「それでさっきはあんなことを?」
「そう、同じようなことすれば近づいてくるかなって。」
「そうなんだ。変だと思った。」
「でも、面白かったわ。健一君が我慢してるの。ふふ・・・」
   ・
   ・
   ・
 駅に向かい電車に乗った2人は、千春の家の最寄り駅でともに降りる。住宅街の中、家までの途中にある公園に入っていく。

“ん?。通り抜けられるのか? けっこう奥のほうまでつづいてるんだな。”

 平田たちが植え込みに隠れながら近づいていくと、道路からは死角となっている場所で2人が抱き合っているのが見えた。カメラをバッグから取り出すと暗視モードにして撮り始める。ファインダー越しの鮮明な画像には、女に後ろから口を黒革手袋で塞がれてペニスをしごかれ、悶える男が映っている。

“よ〜し、いいぞ。とんでもない変態女だな。”
「おい、あの男、元気だな。映画館を出てからまだ30分くらいだろ。大変だな。」
「あぁ、でも、なんかうらやましいな。」

 5分も持たずに精液が噴出する。放尿かと思えるほどの量が飛び散り、健一はへなへなと座り込む。

「すげぇ・・・俺も犯られてみたい・・・んっ?!」

 ファインダーに映る女が顔を上げ平田を見つめている。
                                            
「ねぇ、出てきていいのよ。見せてあげるつもりだったんだから。近くで撮ってもいいわよ。」
“見つかった!!ばれてる! で、でもいいのか? しかたない”
「すんません。実はあなたを○○駅で見かけて、スカウトしようと思ってたんです。」

 平田と山野が植え込みから立ち上がる。千春に近づくと平田は“オフィス・xxx企画 映像プロデューサー”と肩書きのある名刺を出す。

「ふ〜ん、映像プロデューサー・・・。ねぇ、映像ってAVのことなんでしょ。」
「ま、まぁ。あ、今撮ったのも使わせてもらえれば出演料だって払いますよ。」
「そう。でも断っても勝手に使うんでしょ?」
「いえ、そんなことは・・・。あ、すいませんちょっと電話が・・」

 着信した平田の携帯が振動する。




ピッ
「あ、社長、今・・・えぇ彼女と・・・そうなんです。はい・・・はい、代わります。」

 平田が携帯を千春に差し出し、

「社長なんです。直接話を聞いてもらえませんか?」
「えぇ、いいわよ・・・はい・・・えぇ、出演ですか?・・・はい・・・はい・・・」
   ・
   ・
   ・
「わかりました。では今度の日曜日、そちらにうかがいます。・・はい、失礼します。」
ピッ
「OKよ。せっかくだからもう少し撮ります?私だったらいいけど。健一君はもう無理かなぁ。」
「俺がやる!!」「お、俺が!」

 平田も山野も勢い込んで名乗り出る。

「だったら交代でしましょ。じゃぁ、あなたから。え〜と・・」
「山野です!! で、どんな感じでやります?」
「え〜と・・・あ、ねぇ、さっきの映画みたいに女吸血鬼に襲われるのは?」
「へ?ガブッとですか?」
「マントで包んで溶かしちゃうのは?マントの代わりにこのコートで溶かしてあげるわよ。」
「ん?マント?コート?溶ける?ちょっと・・・衣装も仕掛けもないけど・・・」
「そうしましょうよ。山野さんあそこ、木の所であっち向いて立っていて。」
「あ、あぁ・・まぁいいか・・」
「山野、リハのつもりで1回やってみようぜ。」

 千春が5メートルほど先を指差し、カメラを準備した平田が撮影ポジションを探す。

「山野さん。今から襲っちゃうからね〜。少しくらい抵抗していいわよ。」

 千春はコートを脱ぐとベルトを引き抜き、広げるように持って山野の後ろから近づく。バサッと音を立ててコートが山野の上半身を包み込む。さらに山野が腕を上げる暇を与えず、コートの上から腕を動かせないようベルトで縛る。千春の左手がコートに包まれた山野の顔の辺りを押さえ、右手が股間に伸びる。山野が奇妙な叫び声をあげた。

「犯しちゃうわよ〜。溶かしちゃうわよ〜、ふふふふ」
「うわっ、あ、あ・・あひゃ〜〜っ・・・う・う・・・うっ・・」

 厚い布地越しに千春の手が柔らかく山野の顔を圧迫し、体臭がしみついたコートの裏地が密着する。女の“フェロモン”が息をするたび山野の体に滲み込んでいき、全身を狂わせていく。性中枢が刺激され快感物質が放出される。さらにその“魔女のフェロモン”に侵された細胞は大量の快感物質を産生し、やがて産生した快感物質を周囲にぶちまけるように破裂し、溶けてしまう。

「どう?私のコートに犯されるのはどんな感じ?」
「ひっ・・い・・いい・・・と・・溶けそう・・あ・あぁ・・溶けちゃう・・」
「早くこの中から逃げ出さないとどろどろになっちゃうわよ。ふふふふ」
「あ・・あぁ・・コートに・・溶かされる・・い・い・・・」
「でも気持ちいいでしょ、山野さん。カシミアのコートに包まれて犯されて、そして溶かされちゃうの。」




 千春の手にしごかれているペニスから精液が迸る。1回、2回、3回、4回・・・・まるで乳搾りでもするかのように黒革手袋がリズミカルにキュッキュッと音をさせて動き、山野の体を汲み出していく。身をよじり逃れようとする山野だが、溶け出した体に千春を振りほどく力はもう残っていないようだ。足元にザーメンの水溜りが広がってきた。

「もっと出していいのよ。溶けちゃっていいのよ。」
「す、すごくいいけど、もう限界・・・ほ・本当に溶けそう・・・」
「そうよコートに包まれてたら本当に溶けちゃうんだもの。」
「コ、コートを・・もう、コートを・・・あ・あっ・・お願い・・助け・・た・・溶け・・と・・」
「ふふふ、もう逃げられないわよ。どろどろにしてあげるわね。」
「や、やめ・・あ・・と・・溶け・・・出して・・・コートを・・・」

 瞬きすることも忘れて撮影し、見入っていた平田だが、山野の演技とは思えない呻き声と、尋常ではないザーメンの量に、カメラを持つ手がさがり、レンズが地面を向く。いつのまにか山野のジーンズはぐっしょりと濡れ、足元には水溜りができている。

「ほ〜ら、こんなにどろどろになっちゃったわよ。」
「う・・うぅ・・溶け・・溶けちゃう・・・」

 千春が山野の身体をコートの上から揉み潰すように抱きしめ撫で回す。山野を包み込むコートの裾からも粘液状のものがぼたぼたと滴り落ちる。

「や・・やめ・・と・・どげ・・・だずげ・・・」
「お、おい。山野、大丈夫か?どうした?おい!まさか溶けて・・・」
「そう、山野さん溶けてるのよ。もうコートの中でどろどろになってるわ。」
「た・・だず・・だ・・どげ・・うぐ・・ぐぅ・・ぐぶ・・」

 千春の足元に山野がずるずると崩れ落ちる。コートを被って座り込んだ山野の周りの水溜りが広がっていくに従い、上半身を包み込むコートが小さく低くなっていく。

「おい!や、山野!!」
「・・・」

 山野の“水溜り”の中ですっかり平らになったカシミアのコートが泥水にまみれている。

「何だ?え?えっ?・・おい・・こ、これは・・・」
「最初から言ってるでしょ?コートで包んで溶かしちゃうって。」
「だ、だって、そんな・・・う、嘘だろ・・・」
「さぁ交代よ。平田さんの番。平田さんもこんなふうに溶けちゃうのよ〜。ふふふ」

 千春はどろどろ、ぐちょぐちょになったコートを拾い上げると、ボタボタと“山野”を滴らせながら平田の目の前で広げていく。

「やだ、汚〜い。やっぱり外なんかでするんじゃなかったわ。」
「ひっ・・・」

 後ずさる平田の耳に公園入り口の方からかすかに砂利を踏む音が聞こえてきた。




“人が来る!た、助けを呼べば!”

 平田は硬直した足を必死に動かし公園入り口を目指す。

「逃がさないわよ。溶けておしまいっ!」

 ブワッバサバサッ。 コートが投網のように広がり平田を襲う。しかし、がくがくと震える足のせいで大きく左によろめいた平田の体をかすめるように、ビシャッと“泥水”を撥ね散らかしてコートは地面に落ちた。

「あ〜ん、もうっ!」
「ひぃ〜〜っ!」

 だんだん足がスムースに動くようになり、出口に向けて加速する。公園入り口にある街灯の下に人が見えた。後ろを振り向くと、誰かが来たのに気づいたものか、千春が背を向けて小走りに去っていく。“助かった”と思ったとたん足がもつれた。 血相を変えて走ってきた男に驚き、一歩後ずさる女性の前に転がるように倒れこむ。その女性の姿に一瞬、既視感が頭をよぎる平田だがパニック状態でそれどころではない。四つん這いで荒い息をつきながら、

「た、助けて・・ハァハァ・・ハッハッ・・・」
「ど、どうしたんですか?」
「ひ、人殺し・・・あっちで、や、山野が・・殺され・・け、警察に・・」

 ポケットを探るが携帯が見つからない。カメラやバッグと共に置いてきてしまったのだろうか。

「警察に、電話しましょうか?」」
「あ、すみません。お願いします。」

ピ、ピッ、ピッ、ピッ
「あの・・○○町中央公園で人が殺されたと・・・いえ、私が見たわけではないんですが・・」
   ・
   ・
   ・
「ええ、そうです・・・はい・・・・・お願いします。」ピッ

「すぐ来てくれるそうですよ。」
「はぁ〜、助かった。」
「何があったんです?」
「向こうで、山野・・会社の同僚が・・殺されたんだ。」

 平田が事情を話し出す。“盗撮”には触れず、同僚が女に襲われ、奇妙で惨たらしい殺され方をしたこと。自分がここまで逃げてくると女は公園の反対側の方へ去っていったこと。

「あんなことになるなんて・・・でも本当なんだ! この目で見たんだ!」
「そう、そんなことが・・・。」




「あれは人間じゃない・・・あれは・・化け物だ・・・魔女・・そう魔女だ・・」
「魔・・女?」
「・・・警察、信じてくれないだろうな・・・」
「いいえ、あなたの話、私信じます。魔女っているんです。本当に。・・・だって・・」

 少し落ち着きを取り戻してきた平田がぺたりと座り込んだまま女を見上げる。セミロングの髪に知的で上品な表情、ゆったりとした黒のカシミアのロングコート、黒革の手袋にロングブーツ。“魔女のような”と形容したくなる黒ずくめの姿。既視感に漠然とした不安が加わる。そしてその不安は女の言葉にすぐに恐怖に変わる。

「あなたが見たのは千春、私の妹よ。ほんとに千春って残酷だわ。すぐに溶かしちゃうんだから。」

 美由紀はコートのボタンを外し前を広げると平田を包み込むように歩み寄る。コートが街灯の明かりを遮り、闇が広がる。美由紀の黒ベロアのタートルネックとダークグレイのウールのスカートが目前に迫る。

「もっとゆっくり溶かさなくちゃだめよねぇ。せめて30分くらいかけてあげなくちゃ。」

 平田の脳が“逃げろ”と手足に指令を出す。ばね仕掛けのように跳ね起きるが、既に平田は美由紀の腕の中にいた。逃れようとしたものの、千春とは異なる香水の甘い香りに、脳みその芯がとろけだし、抵抗する力が弱くなる。。

「あら?逃げなくてもいいじゃない。」
「あっ・・あぅ・・・あ・・・」
「ねぇ、あなたも溶かされたい?」
「やめろ・・やめ・・・助けてくれ・・・」


 平田の下半身に絡みつくコートとフレアスカート、粘膜のようなベロアの感触。柔らかな美由紀の体とコートに包まれる快感に、平田の股間が熱く硬くなる。

「ふふ、あそこは正直よね。いいわよ、溶かしてあげる。本当は溶かして欲しいんでしょ?」
「ち・・ちが・・・あっ・・・あ・・・」

 美由紀の唇が平田の首筋に近づき、舌が触れると平田の体がビクンと痙攣する。チロリと舐められた皮膚がわずかに溶け、美由紀の唾液が体内に入り込む。どんな蛇の毒よりも強力だ。1滴もあれば十分致死量だろう。血流に乗り全身をめぐる毒液が身体を蝕む。狂った神経はひたすら快感を脳に送り続け、筋肉や内臓は美由紀の“唾液”に消化されていく。膝の力が抜け、平田の身体が黒いコートの中に沈みこんでいく。美由紀は膝立ちとなってすがりつく平田をコートの中に包み込むように抱きしめる。




「ひ・・あ・・あぁ・・溶け・・・溶けちゃう・・・たす・・・た・・」
「溶けちゃっていいのよ。私に包まれたらみんないつも最後には“もう溶かしてくれ”って。あなたもきっと最後はそう言うはずよ。ふふふ」
 
 さっきの映画の場面が頭の中に甦る。“女吸血鬼の黒マントに包まれて溶けていく男”に自分自身の姿が重なる。グロテスクで気色の悪い場面のはずだった。が、今そのイメージは強い興奮を呼び起こすものとなり、美由紀が平田を“消化する”のを助けている。

“喰われる・・魔女に・・黒マントに・・・包まれて・・・溶かされる・・・マントに・・・”

 黒ベロアの胸に埋めた平田の顔が恐怖と快感に歪み、その口は助けを求める言葉を繰り返す。

「だ・・出して・・う・うっ・・・助けて・・た・た・・コート・・・コートが・・出して・・」

 美由紀のコートの中で10数秒ごとにビクビクッと震えては射精を繰り返し溶けた体を垂れ流す。パンツもズボンも“ぐちょぐちょ、どろどろ”となり、足元にできた水溜りが徐々に大きくなっていく。やがて手足や顔が溶け始め、服さえもその形を失って“精液”と化す。美由紀のスカートもコートも“平田の精液”にぐっしょりと濡れ、吸収しきれない“精液”を裾から滴らせる。黒いブーツに張付いたザーメンがどろりと垂れ落ちていく。快感に悶え、呻き、痙攣しながら肉体も精神もどろどろに溶かされていく平田。

ぐちゅぐちゅっ、ぼとっ、ぼと

「と・・溶け・・あ・・あぁ・・溶かして・・もっと溶かして・・もっと・・・と、溶かして・・」
「ふふふ、もうこんなにどろどろになっちゃって。20分ももたないのね。」
「あ・・う・・うぅ・・・ぐ・・・」

ぐちゅぐちゅっ、ぼとぼとっ、びちゃっ

 美由紀の両手がコートの上から平田を抱きしめ撫でまわす。黒革の手袋に、黒いカシミアのコートに平田の身体が揉み潰され、溶け崩れていく。膨らんでいる美由紀のコートが揺れ、裾からぼたぼたと“平田”を撒き散らしながらたちまち萎んでいく。

ぐちゅぐちゅっ、ぼとぼとっ、ぐちゅっ、びちゃっ、びちゃびちゃっ

「ふぅ、30分以上はなかなかもたないわねぇ。もう少し遊んであげようと思ったのに。」
「姉さんと私とどっちが残酷なのよ?あの人最後はおかしくなっちゃっていたじゃない。ひどいのは姉さんの方なんじゃない?」
「あら?。千春みたいに嫌がる男を無理やり溶かしちゃうなんて。その方が残酷よねぇ。」
「美由紀さんに賛成。」
「健一君っ!!!どういうことっ?そう、じゃぁ今夜は健一君をたっぷり虐めてあげる。いいわねっ!!」
「えっ? あ、明日、て、て、テストが・・・」
   ・
   ・
   ・

ベルベットのワンピース 1

「ごめんなさい、遅くなっちゃって。道が込んでて。」
「いえいえ、こちらの都合で1週間遅らせた上、こんな時間に来てもらっているんだから。」

 日曜午後6時、オフィス・xxx企画の事務所に白石姉妹がやって来た。千春だけでなく、姉の美由紀も“演ってみたいから”と一緒に来ることになっていたのだ。期待どおりの美人姉妹に間野は満足そうだ。美由紀は黒のコートに白いセーター、スエードのスカート。千春は今日の午後、職場の先輩の結婚式があり、ベージュ色のコートの下は黒ベルベットのワンピース、共布のストール、黒いサテンの手袋、と華やかで艶めかしいスタイルだ。

「平田さんと山野さんのこと、大変でしたね。私が会った直後でしたよね。」
「あぁ、○○駅まで戻って、JRに乗り換えるときだったな。線路に落ちた平田を助けようとして、山野までがだからな・・・。」
「かわいそうに・・・」
「遺品のカメラにその日に撮った画像が残っていてさ、それ出そうと思うんだ。遺作になるわけだし・・・。いいかな?編集も進めているんけど。あぁ、もちろん出演料は払うよ。あ、そちらが美由紀さん?」
「美由紀です。すいません、使ってくれだなんて押しかけて。」
「とんでもない。こんな美人姉妹、創作意欲が湧くってもんですよ。」
「私、やってみたいシチュエーションがいくつかあるんです。今度聞いてもらえます?」
「もちろん。面白い企画立てて撮りましょう。」
   ・
   ・
   ・
「ところで、今日は撮影無理かな?“実録 痴女盗撮”もう少し尺のばしたいんだ。」

 “お嬢様陵辱もの”の得意な間野は、今日の千春の服装だけでもそそられる。“契約”と“撮影打合せ”の予定だったが、この格好のまま何か撮れればと考えたのだ。

「えぇ、いいですよ。どんな感じにします?」
「ん〜〜、隠し撮りドキュメントの設定でいきたいからなぁ・・・そうだなぁ、こんなのは・・・
 まず、尾行するうちのスタッフの一人が道で声をかけて誘う。
 それをもう一人のスタッフが後ろからホテルへ向かう二人の画を撮る。
 お〜い、近藤、水谷どっちをやる?」
「え?俺たちにやらせてもらえるんすか?」

 事務所の奥で編集作業をしていた二人が待ってましたと声をだす。

「俺は今日はずせない用があるんだ。近藤、いいのを撮ってきてくれよな。
 それでホテルに入ったら、女が飲み物をコップに注ぎ、薬を入れる。
 あ、近藤、龍○散とか大×胃散とか粉薬用意しといてよ。
 飲んだ男が眠くなり、倒れこむ。
 ベットの上で裸に剥かれ、手を縛られた男が・・・




 丸裸でベットに仰向けになり、眠ったふりをしている近藤。千春はコートも脱がずに近藤の胸の上に跨り、コートのベルトを抜き取って男の両手を縛ろうとしている。脇のテーブルに置かれたカメラがベットの上の二人を撮っている。千春たちを後ろから撮りながらホテル前をいったん通り過ぎた水谷と美由紀も、撮影をサポートするため部屋に入っていた。水谷はテーブル上のカメラの画角に入り込まないよう別アングルで撮影しながら、“なんでさっきグーをださなかったんだろう”とひどく悔しがっている。コートの裾にサワサワと撫でられた近藤のペニスは既にぴくぴくと震えている。
 
「う、うぅ、いきそう・・・」
「あら?もう目が覚めちゃったの?薬、全然効いてないじゃない。」
「そりゃ、○田胃散だもん。うぅ・・コートがつるつるしてて気持ちいいぃぃ〜〜・・」
「あれ?いいの?ドキュメントじゃないの?」
「テロップとBGMかナレーションだけの方が雰囲気出るんだよ。だから何しゃべってもいいよ。」
「な〜んだ。せっかくせりふも考えてたのに。」
「今日はどんなふうに犯るんだい? 服は脱がないの?」

 近藤は自分にMっ気があるとは思っていなかった。しかし馬乗りになった千春に見下ろされ、これから“苛められる”と思うと興奮は頂点にむけて急上昇していく。

「ええ、服を着たままのほうが好きなの。男性を私の中に包み込んで食べちゃいたいのよ。」
「へぇ、変わった趣味なんだなぁ。じゃぁ、この前みたいに手袋とかコートで?」
「今日はこのワンピースで犯してあげる。ベルベットで包まれたら近藤さんとろけちゃうわよ〜。」
「いいねぇ、君にならとろかされてもいいかな。」
「溶かしてあげるわよ。私の中でどろどろになるまで犯してあげる。ふふ」

 近藤の身体は股間まで千春のコートに覆われ、さらに腹から胸、肩、首の辺りはギャザーを寄せボリュームたっぷりのワンピースのスカート部分に包まれて、すでに千春に呑み込まれてしまったようになっていた。

「なんだか、俺、君に喰われそうな気がしてきた。」
「そう?じゃぁ食べちゃおうかしら?」
「なぁ、ヒトデは貝とか食うとき体の外に胃袋吐き出すんだって知ってた?なんか不気味だよなぁ。」
「え? なんでこんな時にヒトデのことがでてくるのよ。」
「2、3日前TVで観たんだけどさ、胃袋を獲物に被せて、包み込んで溶かして喰うんだって。こんなふうに包まれてると、ヒトデに食われる貝の気分だよ。」
「ひど〜い、私がヒトデなみだって言うの?もうっ!!本当に食べちゃうわよ。」
ブワッ、バサバサッ

 千春が近藤の胸の上で180度向きをかえると近藤の頭がスカートの中に呑み込まれ、さらにコートがその上を覆う。スカートにコートの重みが加わって布地が顔に貼り付き、呼吸を奪われた近藤は酸素を求めて顔を左右に振る。必死に吸い込んだ空気には千春の体臭がたっぷり含まれていた。

「ひゃ〜っ・・いきそう・・い・いく・・・」
「ふふ、まだだめ。もっともっとどろどろになってからよ。」

 サテンの黒手袋が近藤の股間を弄ぶ。つるつるしたサテンの感触が玉袋を、亀頭を、棹を包み込む。たちまち限界に達したが、根元をきつく握り締められ、出口を塞がれた精液が逆流する。下腹部に、膀胱に熱くどろどろに融けたマグマが溜まっていく。


ベルベットのワンピース 3

「あ・あぁ・・・ひぃ〜っ・・・もう・・・だ・・」
「気持ちいいでしょ?溶かしてほしい?」
「うぅ〜、いい・・お・俺を食っていいよ・・・溶ける・・あ・・溶かして・・俺を・・溶かして」

「う、うっ・・・と・溶ける〜・・」
「そろそろ望みどおり溶かしてあげるわね。ほ〜ら、溶けちゃえ〜。ふふふふ」

ビュルビュルビュルルルルル〜〜〜ッ、ビュビュッ、ビュ、ビュッビュッ

「ひゃ〜〜〜っ・・うっうぅっ・・・ひ・・ひぃ・・・ひっ・・・」

 噴水のように精液が吹き上がる。射精10回分に匹敵するような大量のザーメンが5,60cmも吹き上げられ、ぼとぼとと周りに降り注ぐ。

「はぁ〜〜〜、すごい。身体が溶けるかと思った。」
「まだ終わりじゃないわよ。私も気持ち良くさせてくれなくちゃ。」

 再び向きを変え、近藤を跨ぐように立ち上がった千春が腰を下ろしていき、スカートが近藤の身体を覆う。スカートの中で萎えることなくそそり立つペニスが千春の膣に呑み込まれていく。射精直後の敏感なペニスが千春の熱い粘膜に灼かれ、近藤の悲鳴があがる。

ヌププッ、クチュクチュッ

「うひゃ、ちょちょっと待って・・ひ・・ひゃっ・・・」
「だめよ〜。待てないわ。早く私を感じさせて。」

 千春に跨られたまま近藤は上体を起こすが、獲物が自ら罠にとび込んでくるのを待ち構えるように千春はコートの前を大きく広げていた。ブワァ、バサッと音を立ててコートで近藤をくるみ込み、抱きしめる千春。

「どう?とろけそうでしょ?ベルベットのワンピースに犯されて溶けちゃうのよ。」
「ま、待って・・まだ・・あ・・からだが・・と・溶ける・・ひ・・・ひ・・」
「私を満足させてくれなくちゃ出してあげないわ。ふふ、早くしないと溶けちゃうわよ〜。」

 近藤は千春のコートの中でベルベットのワンピースに犯される。胸、腹、腕や手に触れるベルベットの感触が、千春の粘膜と同じように快感で近藤の身体を灼く。千春の胸元に埋めた顔が全身を灼き続けている快感に歪む。やがて千春の中で5分ともたずに再び搾り取られると、

「あぁ・・も・もうだめ・・・水谷・・たのむ・・・交代して・・・」
「お、やっとかよ。待ちくたびれたよ。」
「あら、まだ、だめよ。食べ終わってないもの。水谷さんもうちょっと待っててね。」
「む、無理・・限界だ・・・身体が・・・気持ちよすぎて溶けそう・・」
「だって近藤さん、溶かして欲しいんでしょ?ベルベットが近藤さんの身体を溶かしてるのよ〜。」
「だめだよ・・・ほ、本当に溶けちまう。」
「そうだ、近藤さんをもっと包んであげる。」

 と、千春はベッド脇に置いてあった黒いストールを近藤の頭に被せ、ぐるぐるに巻きつけた。150×60cmくらいの細長いベルベットのストールで近藤の顔を二重三重に覆うと、千春は近藤の頭を抱えるようにコートの中に再び包み込む。

「う・うぐぁぉ・・ぐぅぐぇ・・う・・(顔が・・溶ける・・ベルベットに・・溶かされる・・)」
「どう?ヒトデの胃袋に包まれた気分じゃなくて? 食べちゃうわよ〜。溶かしちゃうわよ〜。」
「ぐ・・ぐぅ・・・ぐぁう・・(たす・・助けて・・・)」




 千春の中でくぐもった呻き声をあげながら悶え続けている近藤に水谷が声をかける。

「近藤、どうした? 早く代わってくれよ。」
「あわてないで。水谷さんも溶かしてあげるから、もう少し我慢して。」

 ベッドに近づこうとする水谷の肩を美由紀が抑える。

「カメラに写っちゃうわよ。もうすぐクライマックスなんだから邪魔しちゃだめよ。」
「あ、あぁ・・でも近藤の奴、“迫真の演技”だな。あの呻き声、本当に溶けてそうじゃないか。」
「水谷さんも千春に溶かされてみたい?」
「ああ。まぁ、本当に溶けちまったら大変だけどさ。なんかすごく気持ちよさそう。」
「私じゃだめ?」
「え? ああ、もちろん美由紀さんにもされてみたいよ。」
「ほんと?だったら私が水谷さんを溶かしてあげようか?」
「え?いいの?う〜、楽しみだ〜。」
「今からでもいいわよ。ねぇ千春、水谷さんは私が溶かしちゃってもいいかな?」

「だったら私は近藤さんともう少し遊んであげられるわね。姉さん、水谷さんのこと頼むわね。」
「うぐぁ・・ぐぅ・・・うぐ・ぐ・・うう・ぐぅぐ・・(溶かさないで・・もう・た・助けて)」

「水谷さん、そっちのソファでもいいかしら?」
「そうだな。ちょっと待ってカメラを準備するから。」

 近藤の呻き声を聞きながら、早く自分も美由紀に“そんなめ”にあわされたいと思う水谷は急いでカメラを三脚にセットしアングルを決めた。今まで自分がM男だと思ったことなど一度もない水谷だが、その“喜び”が今日は分かるような気がする。

「近藤さんみたいに縛られてみる?」
「うん、うん。」
“うひゃ〜、拘束されて、目隠しされて、玩具にされて、尻なんかも犯られちゃったりして・・・”

 ぶんぶんと音がしそうなほど首を縦に振りながら、自ら服を剥ぎ取って裸になると美由紀の前に跪く。すでに水谷の股間にはペニスが屹立している。

「でも普通に縛ってもつまらないし・・どうしようかな・・そうねぇ・・これ着せたらどうかな。」

 美由紀は自分のコートを手に取ると水谷に後ろ前に着せかけてきた。袖を通し、背中側でボタンを止め、身体の両脇に腕を伸ばさせた肘の辺りをコートのベルトで縛る。黒いロングコートに膝まで覆われ、大きな前掛けを着たようになった水谷をソファに座らせる。裏地のひんやりとした感触が全身を包む。コートの襟元から立ち昇る香りはコロンに美由紀の体臭が加わっているようで、微かな“動物臭”がするが、それが一層、性本能を刺激する。すでに天を向いたペニスに上から被さるコートが亀頭を刺激し、水谷はたちまちいきそうになる。

「ひぃ、き、気持ちいいっ!」
“なんでコートを着せられてるだけでこんな気持ちいいんだ?これだけでいきそう・・・”
「でしょ?そのコートには特別な“薬”をたっぷり染み込ませてあるの。そのままコートにくるまれてるだけだって気持ちよすぎて1時間もしたら溶けちゃうかもよ。」
「うぅ〜っ・・その薬ってすごい効き目だな。でも、美由紀さんに溶かされるならそれもいいかも」
“身体が溶けそうな快感ってこういうことか。こんなのはじめてだよ。”
 



 両脇に拘束されて自由に動かすことのできない手のひらに感じる柔らかなカシミアが柔毛に覆われた女性の股間を、胸や腹、背中に感じるつるつるした裏地の感触が肌を思い起こさせる。身じろぎする度に全身がコートに愛撫され、水谷の興奮はいっきに臨界点に達する。

「い・いぃ〜・・だ・・だめ・・あ・・あ・・ほんとに溶けそう。い、いっちゃう。」
「だめよ。コートを汚したらお仕置きしちゃうわよ。」
「そんなぁ・・お仕置きだなんて・・・」
“いいっ、お仕置きっ。ぜひ。頼むっ。お仕置きして。”

 コートの上からそっと美由紀に触れられただけで、ピクピク震えるペニスからじわりと“液”が漏れ始める。

「だ、だめ・・で・でる・・いぃ・・い・いくぅ・・・」
「我慢できないの?じゃぁ、お仕置きされてみる?」
「い・・い・・う・・・うっ・・・(お仕置してくれぇ〜〜っ)」

 ペニスを美由紀に握られたとたん、びゅるびゅるびゅる〜〜、と暴発する。ソファにのけ反り、ビクビクと痙攣しながら精を放つ水谷。“射精”の1、2秒が水谷には5分にも10分にも思え、それが終わるとのけ反った状態のまま滑り落ち、ソファの前にぺたんと座り込む。

「はぁ〜〜、出ちゃったよ。コート汚しちゃったよ。ごめん。」
「もうっ! 我慢するつもりなんてなかったんでしょ?」
「で、お仕置きって何するんだい?」
「そのコート、脱がしてあげない。ず〜っと着てなさい。そのまま溶けてしまうといいわ。」
「ひゃ〜っ、また出ちゃうよ〜。脱がしてくれぇ〜。(いい〜〜っ、溶かしてくれ〜っ)」
「そうよ〜、早くコート脱がないとたいへんなことになっちゃうわよ。」

 美由紀はコートの上からペニスと玉を両手で包み込み、捏ねくりまわす。萎えることなく起ちっぱなしの水谷のペニスは早くも“次発装填完了”している。

「うぅ〜〜っ、骨と皮になるまで搾り取られちゃうかも・・・」
「あら?骨も皮も残らないわよ。骨までどろどろに溶けて髪の毛の一本も残らないわ。」
「そ、それいいっ!と・・溶かして・・お・俺を溶かしてくれ〜〜。」
「ふふ、これじゃお仕置きにならないわね。まるでご褒美じゃないの。」

 水谷にはペニスが美由紀の手で粘土のように捏ねられるたびに、ペニスから広がる強烈な快感に身体が溶け、精液となって下腹部に溜まっていくように感じる。

「さぁ、私のコートを汚した罰よ。今度はあなたがコートに包まれて犯されるの。コートの中で犯されて溶かされるのよ。跡形もなく溶けて精液になっちゃうのよ。」
「あ・・溶け・・と・・溶けちゃう・・・あぁ・・・」
「さぁ、コートに溶かされておしまいっ!」

 美由紀の“命令”に従うかのようにペニスが大量の精液を溢れさせる。コートの中で“精液”にまみれドロドログチョグチョになりながら、美由紀の手が動くたび水谷のペニスは射精を繰り返す。

「ひ・ひぃ〜〜っ!と・・とけ・・あぁ〜〜・・」
「ほ〜ら、溶かしちゃうわよ〜。どろどろになっちゃうのよ〜。ふふふふ」

 その時、ただ事とは思えないひときわ大きい近藤の悲鳴が耳に入り水谷は我に返る

「うぐぁ〜っ!!ううううっ・・ぐぁ〜!!・ぐぶ・・うぶう・・・うぶ・・ぐぶぅ・・」
「え?ど、どうした?近藤大丈夫か?・・お、おい・・」




「近藤さん、限界かな。もうだめみたい。ほら・・・」

 千春の声に水谷はベッドの方を見る。千春がゆっくりとコートの前を広げ、近藤の上半身が現れてきた。縋りつくように千春の身体にまわしていた近藤の両腕が溶けかけていた。トーストの上にのせたバターのようにグニャリと形を崩して半ば液状化し、千春の服に滲み込んでいっている。背中はまだ原型をとどめているが、ベルベットの“快感”に灼かれ続けた腹部はドロリと溶け崩れ、二人の下半身を覆う漆黒のベルベットを“生クリーム”まみれにしている。スカートの中で近藤の下半身が千春の尻に揉み潰され、グチュグチュブチュブチュと不気味な音をたてながらどろどろになって吸い取られていく。ベルベットのストールに包まれた頭部が妙な形に歪んでいくにしたがい、悲鳴が呻き声になり、やがてそれも聞こえなくなる。

「え?・・どうなってんの?・・こ、近藤・・おい・・え?・・え?・・」
「見たとうりよ。近藤さん、もうすっかりどろどろになっちゃったわね。」

 千春が近藤を再びコートの中に包み込む。千春の胸元にのぞくストールにくるまれた頭部も、胴体部分を包み込むコートも風船が萎むようにたちまち縮んでいく。

「溶けた?・・な・なに?・・あ、あれ?・・な・なんで?・・」
「最初から言っているじゃない。溶かしちゃうって。」
「だって、溶けるなんて・・嘘だろ・・・そんなこと・・・人間が溶けるはずが・・・」
「嘘じゃないわよ。そのコートにしみ込ませてある特別な薬っていうのは私たちの体液なのよ。千春のコートやワンピースにもね。」
「え・・え?・・なに?・・」
「フェロモンみたいな物だと思うんだけど、溶けちゃいそうなくらい気持ちよくなったでしょ?」
「で、でも、それで本当に溶けるだなんて・・・」
「それだけじゃないの。唾液や胃液みたいに消化酵素をたっぷり含んでいるのよ。とても強力なのをね。」
「ど、どういうこと?」
「だから消化されちゃうってこと。水谷さんもそうやってコートに包まれているだけで溶けちゃうのよ。」
「ひっ、ひぃ〜〜〜っ・・・・た・た・・たたすけて・・・」

 身体の両脇に伸ばした腕は肘のすぐ下でベルトに縛られているが、恐怖に駆られた水谷は強引に腕を引き抜くことができた。“一秒でも早くコートを脱がねば”と手を背中に回してボタンを外そうとする。1番下のボタンが外れる。2番目が外れ、さらにボタンを探る。だが、それは美由紀の“消化液”を含んだコートを撫で回していることでもある。指が、手がコートに“消化”され、ボタンにかけた指がグニャリと歪む。ボタンを外そうと焦れば焦るほど指は変形し形を失い、やがてドロリと黒いコートの上を白いすじを引きながら流れ落ちていく。

「ねぇ、気持ちいいでしょ?とろけちゃいそうでしょ?ふふ、溶けちゃっていいのよ〜。」
「た・・コートが・・ひ・・脱がして・・お願いします・・あ・・・あ・・早く・・コートを・・」




 3番目がやっと外れ、残るボタンは首の後ろの1つだけとなった。立ち上がった美由紀は水谷の必死の“作業”をやめさせようともせず、その様子を見下ろしている。

「あら〜? 水谷さん、さっき溶かして欲しいって言わなかったかしら。」
「ち、ちが・・・まさか・・本当に溶けるなんて・・・お願い・・助けて・・ぬ、脱がしてっ!」
「そうかしら?ほらここ。溶かされたがっているじゃない。こんなに硬くなって。」
「た・たすけ・・・たすけて!・・・溶かさないでっ!・・お願いします・・・助けて・・・」

 美由紀のつま先で刺激されたペニスがピクピクッと震える。美由紀の足をどけようと首の後ろを探る手を前に回し、指の数を減じた両手で足首を掴む。腰を引こうと前屈みになった水谷はスエードのスカートをはいた美由紀の股間に顔を押し付けてしまう。慌てて離れようとした水谷だが美由紀に頭を掴まれ、スカートに顔を擦りつけられる。柔らかなスエードが粘膜の感触で水谷の顔を包み撫でまわす。鼻腔に流れ込む革の匂いには美由紀の体臭も混じり、その匂いが水谷の神経を狂わせる。

「うわっ!あ・あっ・・」
“溶ける・・顔が・・溶ける・・スカートに溶かされる・・スカートが・・あ・・あ・・”

 水谷は足首を掴んでいた手をはなし、美由紀の腰に手をかけて身体を引き離そうとしたが、溶けかけた腕にはもう抵抗する力もなく、そのまま縋りついてしまう。

「あ・・あぁ・・と・・溶け・・溶ける・・と・・」
「ほら、やっぱり溶かして欲しいんじゃないの。ふふふ」
「た・・たすけ・・だ・・だめ・・あ・・あぁ・・」

 水谷は美由紀の“魔女のフェロモン”に身体の内側から、“強力な胃液”には外側から溶かされていく。脳みそも内臓も骨さえも猛烈な快感に溶け、間欠泉のように10数秒ごとにペニスから噴出する。美由紀の股間から湧き出る粘液がスカートの表側にも滲み出し水谷の顔を、鼻を、口唇を溶かし、コートの“胃袋”が腕を、胴体を、足を溶かしていく。

「や・・た・・・うぐっ・・と・・・やめ・・・コ・・コートを・・ぬ・・ぐっ・・ぐ・・う・・」
「気持ちいいでしょ?もっと蕩けちゃっていいのよ〜。」
「う・・うぐっ・・・どげ・・・ど・・・だ・・だず・・・うぶ・・・んぐっ・・うぶ・・う・・」
“コートに・・スカートに・・犯されて・・あぁ・・溶ける・・顔が・・チンポが・・溶け・・”

 美由紀の股間で揉み潰され、どろどろに溶けた水谷の頭部がスカートを伝いぼとぼとと床に零れる。身体を包み込む黒いコートもグチュグチュと音を立てて蠢き、その周りに水溜りを広げながら萎んでいく。やがて支えを失ったコートが美由紀の足元に広がる“精液”の水溜りに“べちょり”と崩れ落ちた。

「ふぅ。ねぇ、千春。この後始末どうしようか?それと、社長さんの他に誰か残ってるの?」
「もう1人スタッフがいるはず。あと、駅ビルの監視カメラ画像をどこから手に入れたのかね。」
「それにしても、また事故で2人もいなくなっちゃったらまずいわよねぇ。」
「そうよねぇ。どうしようかなぁ・・・」
   ・
   ・
   ・



最終章  シルクのドレス 1

♪〜、♪〜
「はい、×××企画です。」
「田村です。間野、います?」
「あ、田村さん。どうも、落合です。社長に代わりますから、ちょっと待ってください。」
♪♪〜、カチャッ
「もしもし、田村か?どうした?」
「あぁ、ちょっと頼みがあってさ。」
  ・
  ・

 あの日から田村はコインロッカーと東口出口の防犯カメラモニタをチェックするようになっていた。千春を撮った編集中の作品も、元映像も間野に見せてもらっているのだが、リアルタイムにこのモニタに写った“映像”の衝撃が忘れられくなっていた。夜勤明けの今朝、いつものようにモニタをそのカメラ画像に切り替えた時、すっかり見慣れたコート姿の女が映った。

“あっ、千春が・・・こっちを見ている!・え?・・笑った?・・な・なに?・・”

 一瞬のことだった。モニタに映った千春の姿はすぐに消え、近くのカメラに切り替えても画面上に確認することはできなかった。

“千春に会いたい。俺もやられてみたい。それが無理ならせめて生で見てみたい。”

 田村の胸に押さえきれない欲望が湧き上がり、間野に電話をしたのだった。

「そうか。いや、俺もお前に手伝ってもらいたかったんだ。平田と山野があんなことになっちゃったし。それに水谷と近藤も先週の撮影の後から精気を吸い取られたというか、魂を抜かれちゃったというか・・・。まぁ仕事はしてるんだけど。そんなんで、俺からお前に頼みたいくらいなんだ。」
「本当か?よ〜し、何でもやるよ。」
「うん、頼むよ。それでさ、今度の土曜日、空いてるか? 美由紀さんで1つ撮るつもりなんだ。」
「あぁ、お姉さんの方か・・。」
「いや、こっちもすごいよ。28歳。熟れごろだぜ。千春さんも来るしさ。」
「わかった。土曜日だな。何時にスタジオに行けばいい?」
「セッティングを手伝ってもらいたいから9時には来てくれないか?」
「必ず行くよ。」
「田村には感謝してるよ。あんな姉妹なかなかいないからな。今度のは相手役をもう落合にたのんじゃったけど、次はお前にもやってもらうからさ。」
「そうか!楽しみだなぁ・・」
  ・
  ・




 土曜日。美由紀と千春は×××企画がよく使う貸しスタジオにやって来た。美由紀がメールで送った企画にのった間野から早速撮ろうとの連絡があったのだ。美由紀の持ち込んだ企画は“花婿陵辱”。本来xxx企画の売れ筋は“花嫁陵辱”シリーズや“お嬢様陵辱もの”なのだが、最近は痴女ものも何本か撮っており、やってみようということになったのだった。

 『花婿陵辱』・・・一生奴隷となることを誓います・・・
 結婚式直前、新郎の浮気が発覚。逆上した新婦がドレスのまま新郎を逆レイプ。控え室で、ウェディングドレスの新婦に犯される。強制クンニ、連続射精、顔騎窒息 etc.陵辱され、搾りつくされてぼろぼろとなった新郎は犬のように教会に引かれて行き、神の前で一生奴隷となることを誓わされる。

 美由紀はこれを自分で演じたいと連絡してきたのだった。持ってきたウェディングドレスも自分が実際に着た物だ。1年前に結婚したものの、結婚直前まで別の女性と付き合っていたことが発覚した夫が3ヶ月で“事故死”。もちろん実際は寝室のベッドの上で美由紀のマントに包まれて溶かされてしまったのだが、今になって美由紀はそれを後悔していた。せっかく新婚だったのだからウェディングドレスで溶かしてあげればよかったのにと。


 後ろにトレーンを大きくとったシンプルな純白のドレス。厚みのあるシルクサテンが緩やかなドレープをつくっている。ティアラでとめたベール。肘まである白いサテンの手袋。その手に握られたブーケが目の前に土下座する新郎の背中に叩きつけられた。

「もうあいつとは終わったんだよ。なぁ、頼むよ。今さら婚約破棄なんて。機嫌直してくれよ。」
「そう。それならもう二度と浮気しないと誓える?」
「誓う!もう絶対しないから。」
「じゃぁ、そのしるしにキスをして。」
「あぁ、もちろん!!」

 立ち上がりかける落合に

「違うわ。こっちによ。私への愛の証を見せて。」

 と、ドレスの裾を僅かに持ち上げ、つま先を目の前にさしだす。落合はその足を押戴くようにキスをする。さらに裾が緩やかに上がっていくと、それに導かれるように唇が、舌が足を這い登っていき、やがて股間に達した唇が、下着ごしにむしゃぶりつく。ピチャピチャ、ングッ、ピチャッ・・・。




“今日はこの脚本で演ってやるけど、次は思いきり辱めてやるからな。へへへ”

 いつもは“陵辱”専門の落合だ。つい、ガードルを、パンティを、ストッキングを剥ぎ取るように脱がしてしまう。その美由紀の陰部にかぶりつこうとした時、上から声が降ってきた。

「今度は私の夫にふさわしいかどうか確かめてあげる。あなたも脱いで。全部脱ぐのよ。」
「は、はい。(どうも、調子が出ないなぁ・・)」

 全裸で正座する落合の膝を割って美由紀のつま先が入り込み股間を刺激する。目の前にはドレスが捲り上げられて露わになった黒い茂みが迫ってくる。さすがに落合のペニスもムクムクと天を向き始め、美由紀の足に引き寄せられるように縋りついてしまう。

「いい?私の中で10分間、漏らしちゃわずに耐えられたらたら結婚してあげる。」
「え?」
ブワッ、バサッ

 ドレスがシルクの感触で落合を包み込む。ドレスに閉ざされた空間がを美由紀の匂いで満たされていく。
「な・なに?なんだ?この匂いは。あ・・頭がくらくらする・・」
「私のフェロモンは強力よ〜。10分は無理かなぁ、そうね5分でいいわ。ちゃんと我慢するのよ」

 ドレスの中で美由紀のフェロモン濃度がたちまち“危険値”を越える。

「気持ちいいでしょ?どう?いっちゃう?」
「うっ・・い・・いい・・・か・身体がとろけそう・・」
“鼻が・・鼻の粘膜が溶ける・・のどが・・気管が・・肺が・・溶ける・・身体が・・溶け・・”

 蕩けてしまいそうな感覚に抵抗するように落合の身体が硬直する。シルクサテンのドレスに包まれ、股の間に美由紀の足を挟み抱きしめている状態で僅かでも動いてしまえば、シルクの愛撫とペニスへの刺激にもう我慢することは不可能だ。

「あら、どうしたの?固まっちゃってるじゃない。ふふ、じゃぁ溶かしてあげましょうか?」
「い・・いっちゃう・・だ・・だめ・・動かないで・・あ・・いい・・いっ・・」
「まだ3分も経ってないわよ。もう出ちゃうの?ふふ、いっちゃう?ねぇ、いっちゃうの?」
「だ・・だ・だめ・・い・いくっ・・あ・・溶け・・と・溶ける・・い・・いっ・・」

 美由紀の手がドレスの上から落合の背中を押さえ、足が落合の股間にギュゥと押し付けられる。

ギュゥッ、ビュルビュルビュルビュル〜〜、ギュッ、ビュビュッ、グィ、ビュルビュビュッ・・
「あ・・ひ・・ひゃ〜〜っ・・うっ、ひ〜っ・・い・いゃ〜〜〜〜っ!!」
 
 まるで女の子のような悲鳴をあげながら大量の精液が搾り取られていく。





「あら〜、残念。これじゃ失格ね。」

 ドレスの中で脱力したように美由紀の足にすがりつく落合にはすでに演技をする余裕などまったくない。我慢できなかったことを悔やみ、美由紀に許しを請う男の“役”そのままに、なんとかもう一度チャンスを与えて欲しいと願っている。

「もう一度。頼む。い、いや、美由紀さん、お願いします。もう一度だけ。」
「じゃぁもう一度試してあげてもいいけど・・・。そうね、合格したら奴隷として一生使ってあげるわ。」
「奴隷でも何でもいい。俺を捨てないでくれ!今度こそ我慢するから。」
「次はもう我慢しなくてもいいの。いっぱい出しちゃってもかまわないわよ。」
「え?」
「10分間、私の中で無事でいられたらそれでいいのよ。チャレンジしてみる?」
「無事って?」
「私のあそこの粘液はなんでも溶かしちゃうの。ドレスの中であなたも溶けちゃうのよ。」
「ん?・・あ、あぁ、それなら10分でも20分でも耐えて見せるよ。(へ?ホラー物の作品だっけ?)」
「大丈夫〜?さっきは“蕩けそう”なんて言っていたじゃない。失敗したら溶けちゃうのよ。それでもいい?」
「あぁ。そんなことにはならないさ。大丈夫。だからもう一回だけ。(ん〜なんだか変なストーリーだな・・・)」
「いいわ。ふふ、本当に大丈夫かしら?」

 美由紀がドレスごしに落合の頭を掴み、顔を股間に押し付ける。黒い茂みの奥から溢れ出てきた蜜がまたたく間に落合の顔を濡らし、口から鼻から入り込む。美由紀の“蜜”をたっぷり飲まされ、それに酔い始める落合。

「んっ!!んぐっ・ぐっ・・ん・・・んぐっ・・ぐぅ・・」
「どう?蕩けそうでしょ?ふふ、溶けちゃっていいのよ〜。」
「と・溶ける・・あ・あぁ・・(な、なに?身体が溶けそう。本当に溶けちゃうのかも・・・)」
「ほ〜ら、溶けちゃえ〜・・・溶かしちゃうわよ〜・・・どろどろにしちゃうわよ〜・・・」
「あ・・あっ・・い・いく・・・溶け・・・と・・溶ける・・・あぁ溶けちゃう・・・」

 美由紀に“溶けちゃえ”と言われるたびに落合のペニスからは“精液”が噴出する。2度、3度、4度、とどめることのできない射精が続く。美由紀の脚にすがりつき身悶えするたびに、シルクの感触が落合の背中を、腕を愛撫する。“快感”のドレスに包み込まれた落合は、やがて座り込んでいる足の下がぐにゃりと柔らかくなり、身体が沈んでいくような感覚におそわれた。

“あれ?床が柔らかくなった?”




 “ウェディングドレスに包み込まれ悶える男”の場面を見ている田村には不思議でならなかった。このシーンでは“エロ”というには物足りない。ま○こはおろか女の裸さえ出てこない。スカートの中で男がもぞもぞとしているところなどは“フェチ心”をくすぐられるが、これだけで田村自身の“物”が限界まで張り詰めていることは説明できない。

“何でだ?あの千春のビデオだってそうだ。そんなに刺激的な映像なんかじゃない。なのに・・・”

 この1、2週間は毎日何度も見ている千春のビデオ。その画像のみでも田村は異常にそそられるのだった。今なら目の前でのまさに“生”映像。美由紀の匂いまで伝わってきそうだ。いや、千春の香りは確かに田村に届いてる。今、千春は黒ベロアのワンピースに黒革のロングブーツ、それにビデオで見慣れたベージュのコートを手に持って田村の横に立っている。その千春のコロンの香りが強くなったと田村が感じた時、彼女の囁きが耳に入ってきた。

「ねぇ、今は手伝うこと無いんでしょ?ちょっと外で話したいことが・・・」
「え?う、うん。いいけど。(なんだろう?もしかしたら見ていて自分もしてみたくなちゃったのかな。チャンスかも・・・)」
「人の来ない所がいいんだけど・・・確か、スタジオの後ろに機材倉庫が・・・」

 この場を離れるのも惜しい気がしたのだが、千春と二人きりになれるチャンスと思った田村は小さく肯くと、千春に続いてそっとスタジオを出た。小型機材用の小さな倉庫。中に入りドアを閉めると、畳三枚分くらいの空間が一層狭く感じらる。田村は僅か5,60cmを隔てて向き合う千春に抱きつきたい衝動を堪えるのに必死だった。

「田村さん。コインロッカーのビデオなんだけど、あなたが持ち込んだのよねぇ?」
「あ、あぁ。偶然、見ちゃったんだよ。ほら、俺、それが仕事だからさ。」
「そのことを警備会社の他の人は知ってるの?」
「いや、俺だけだよ。持ち出したのだって規則違反なんだ。」
「そうなの・・・。ねぇ、あの時の男の人が最後はどんなふうになってたかは見てないの?」
「うん。それは映ってなかったんだよ。搾り取られてのびちまってたのかい?」
「溶けちゃったのよ。私の中で気持ちよくて溶けそうだって言いながらね。」
「溶けた?どういうこと?」
「試してみる? 田村さんも溶かされてみたい?」
「え?う、うん。でも溶かされちゃうってのは・・・(やった!やっぱり本物の痴女だな)」

 千春が手に持ったコートを田村の目の前で広げていく。薄暗い倉庫の中でコートの裏地が妖しげな光沢を放っている。

「山野さんみたいにコートに包んで溶かしてあげましょうか?」
「コート?あぁ公園でのシーンの?(ん〜、確かに気持ちよさそうだったけど・・・)」
「溶けちゃいそうなほど気持ちいいのよ。田村さんもどろどろに溶けちゃうわよ。」
「そうなの?(溶けるだなんて、そんなことあるわけないだろ?)」
「そう。山野さんだってどろどろになるのに10分もかからなかったのよ。」
「いいねぇ。おれもどろどろにしてくれよ。まぁ本当に溶けちゃったら困るけどさ。」
「いいわよ〜。ほ〜ら溶かしちゃうわよ〜。」
「あ・うわっ!」




ブワッ、バサッ

 頭から被せられたコートに染み付いている千春の匂いを吸い込んだ田村の力が抜け、両膝をついて千春に縋りつく。
 
「こ、この匂い・蕩けそう・・(なんで?コートを被せられただけでこんなに気持ちいいんだ?)」
「ふふ、もっと気持ちよくしてあげる。早くズボンを脱いで座って。」
「え?あ、あぁ。」

 コートを被ったままズボンとパンツを下ろし座り込む田村。その股間には爆発寸前となったペニスが天を向いている。千春は正座する田村の膝に跨るように腰を下ろしていく。獲物を前に涎を滴らせるかのように、千春の股間からは大量の粘液が分泌され始めている。ヌチャッ、ヌプ、ヌププッと粘りつくような音を立てて田村のペニスが千春の中に飲み込まれていく。カシミアのコートと千春の膣に上半身とペニスがそれぞれ快感で包み込まれる。頭から千春の中に飲み込まれたような感覚に、全身がペニスとなって勃起したかのように熱く硬く張り詰める。もうこれ以上の刺激が加われば間違いなく“いって”しまうだろう。

「ひゃ〜〜っ!す、すごいよ・・こんなの初めてだよ・・」
「どう?気持ちいい?コートに包まれて、犯されて、どろどろに溶かされちゃうのよ。」
「ちょ、ちょっと待って・・動かないで・・い・いく・・・溶け・・溶けちゃう・・う・・う・」
「我慢しなくていいのよ。いっちゃっていいのよ。溶けちゃっていいのよ〜。」

 千春はコートにくるまれた田村の頭を自分の胸に埋めるように抱きしめ、ペニスをすり潰すように腰を動かす。田村の全身が快感に沸騰する。内臓も骨も皮膚も液状化し精液となってペニスに押し寄せていくような感覚に襲われ、たちまちビクビクッと痙攣しながら射精を始めた。

「ひ〜〜っ!!と・と・・溶ける〜〜っ!!・・いっいっ・・ひ・・ひぃ〜〜〜っ・・と・・と・・」

「はぁ〜〜っ・・・・はぁ・・・・・ふぅ・・」
「どう?コインロッカーの人がどうなったか分かるでしょ?」
「あ、あぁ・・確かに蕩けそうだよ・・・身体が溶けるかと思った・・・」
「ふふふ、まだ終わりじゃないわよ〜。もっともっとどろどろにしてあげる。」

 再び千春の腰が動き出し、萎えることなく彼女の膣に収まるペニスを搾り上げる。射精直後の敏感なペニスから発する苦痛にも似た快感が田村を苛む。しがみつくように千春の背にまわした手にふれるベロアのワンピースは粘膜の感触となり、田村の手のひらから快感を注ぎ込む。千春の粘膜に、コートに、ワンピースに触れている田村の皮膚が“快感の悲鳴”をあげながら溶けていく。全身から奔流のように流れ込んでくる快感に田村のペニスがドクドクと溶けた体を迸らせる。

「い・いい・・あ・・あ・・と・溶けちゃう・・うっうぅ・・・ぅぅ」
「そうよ、骨まで溶けちゃうの。ふふ、もう止まらないわよ〜。」
「だ・・だめ・・もう限界・・・もう・・無理・・・」
「あら? 溶かして欲しいって言ったじゃない? 遠慮しなくていいのよ。最後までちゃんと溶かしてあげるから。」
「そうじゃなくて・・。本当に溶かされそうな気がしてきたよ。このままコートに包まれてたら千春さんに溶かされちゃうのかも。」
「そうよ、田村さんを溶かしちゃうんだから。気のせいなんかじゃないわよ。ふふふ、溶けちゃうわよ〜。」
「あ・あ・・い・いぃ・・と・・とけ・・・・うっうぅ・・・ぅぅ」




「ふふふ、溶けちゃうのよ〜。どろどろになっちゃうわよ〜。」
「あ・あ・・ひ・・・ひっ・・あへ・・ひゃ〜〜っ・・・」

 2回、3回。千春の中で田村は肉体も精神もどろどろに蕩かされて吸い取られていく。4回、5回。射精の快感が苦痛と恐怖に変わると、“本当に溶けてしまうのかも”という不安が現実感を伴い始め、我に返る田村。 

「ちょ、ちょっと待て。か、身体が・・あ、あぁ・・本当に溶けちまう・・もうやめてくれ。」
「だから本当に溶けちゃうんだってば。山野さんも、ロッカーにいた人も溶けちゃったって言ったでしょ?」
「そんなこと・・・」

 しかしコートを頭から被せられ、膝の上に跨る千春の胸に抱え込まれた田村には、自分の身体がどうなっているのかを見ることができない。この状況から逃れようと千春の腰を両手で掴み押し退けようと力をこめたが、その腕や手はは奇妙な形にぐにゃりと歪んでいく。

「あれ?・・あ・・あれ?・・・どうなってんだ?・・溶けるだなんて・・そんな・・・」
「もうこんなに溶けてるじゃない。ふふ、このまま包まれてたらすぐに田村さんもどろどろに溶けちゃうわよ〜。」
「ひっ! は・早く・・コートをと・とって!・・た・た・助けてっ!! ひぃ〜〜っ!!」
「いいわよ、取ってあげる。でももう少し待って、コートが田村さんを溶かし尽くすまでね。」
「と、溶かさないでっ!! いやぁ〜〜〜〜っ!!」

 田村の腕が千春の背中でのたうちまわりながら形を崩し溶け、黒ベロアの上をいくつもの白い流れとなって垂れ落ちていく。

「田村さんが気づかなければこんな事にならなかったのにねぇ。」
「え?な・・なんで・・あ・・溶け・と・・・どうして・・コートが・・あぁ・・コートに・・」
「知られたくないのよ、私たちのこと。落合さんも今頃は跡形もなく溶けちゃってるはずよ。」
「そ・・そんな・・たす・・助け・・溶け・・あぁ・・・溶けちゃ・・・たす・・ぁ・・ぁ・・」
「もうあきらめておとなしく溶けちゃいなさい。あとは田村さんと間野さんだけなんだから。」

 もがけばもがくほど千春のコートが快感で田村の身体を包み込む。ペニスから流れ出す“精液”も、コートの中で溶かされどろどろになって滴り落ちる肉体も、音を立てて千春の膣に吸い取られていく。

ジュルジュルッ、ブチュブチュ、グチュッブチュ、ジュルジュルジュル

「どげ・・・ど・・・だ・・だず・・・うぶ・・・んぐっ・・うぶ・・」
「さぁ溶けておしまい。」

 千春に、コートに包まれ“とろける”快感に悶え、溶かされる恐怖から逃れようともがきながら、なすすべもなく溶かされていく。座り込んだ二人の周りにどろどろの水溜りが広がってきた。千春の胸に抱え込まれた田村の頭部が歪み呻き声が消え、上半身を包み込み膨らんでいたコートも徐々に縮んでくる。

ジュルジュルッ、ブチュブチュ、ジュジュッ・・ブチュッ・・・

 どろどろに溶け崩れた田村の肉体が吸われていく音が聞こえなくなると、中身を失ったコートを胸に抱え泥水の中に座り込んでいた千春が立ち上がった。コートとワンピースの裾からは“田村だったもの”が足元の水溜りに垂れ落ち、ボタッボタッと音をたてていた。

「ふぅ、あとは間野さんだけね・・・」
  ・
  ・
  ・



“な・なに?・・え?床が?”

 下半身が快楽の底なし沼にずぶずぶと沈んでいく。顔を美由紀の股間に押さえつけられて足元を見ることのできない落合は右手で床を探ってみた。手に触れる床はトロリとした液体に覆われているが、床自体は硬いまま変化はない。さらに動かした指先が泥の塊ににずぶずぶと潜りこんでいくが、そこは自分の脚があるはずの辺りだ。

「ん?(あ・あれ?え?・・俺の脚、どうなってんだ?)」
「どうかした?」
「ちょ、ちょっと出して・・脚が・・・」
「あら?もう溶けちゃったの?」

 美由紀が落合の頭を押さえていた手を離し、スカートを持ち上げ後ろに一歩さがる。美由紀の足元にはどろどろの水溜まりが広がり、その中に落合はまるで泥沼に腰まで沈んだような状態で現れてきた。

「あれ?落合。おい、お前どうなってんだ?」
「あ?あれ?・・え?・・・」

 その奇妙な光景に撮影中だというのに間野がつい立ち上がり、声をあげてしまう。脚が溶け腰から上だけとなった落合が自分自身の“泥沼”に浸かっているのだ。美由紀の粘液に侵された上半身も融け始めた雪だるまのようになり、“泥沼”に同化しようとしていた。僅か5分前までは脚だった“泥”を落合が両手ですくい上げる。

「なんだこれ〜〜?」

 まだ落合にはこの事態をのみこめていないのだろう。刑事ドラマの有名な場面のような台詞だが、それとは異なる間の抜けた声の調子だ。

「残念ねぇ。もう奴隷にもなれないわね。こんなに溶けちゃったら。」
「え?なんで?そ・そんな・・・ほんとに溶けるなんて・・冗談だろ・・」
「あなただってもう分かるでしょ?自分の身体が溶けちゃうのが。ふふふ」
「なんで・・そんな・・溶けるなんて・・・・」
「私の粘液はなんでも溶かしちゃうって言ったでしょ?。」
「でも・・そんなことあるはずが・・」
「胃液よりもず〜っと強力よ。どんな薬品よりもね。骨までどろどろになっちゃうわよ〜。」
「えっ?・・・・ひぃ〜〜〜っ・・た・・助けて・・あ・あぁ・・助けて・・た・・」

 常識では理解しがたい美由紀の言葉に間野も口をだす。 

「お・おいっ!なに訳のわからないこと言ってんだよ。落合に何をしたんだ!」
「え?だから溶かしちゃっただけよ。」
「どういうことだよっ!溶けるだなんて。そんな馬鹿なこと・・・」
「自分で確かめてみる?もしかして間野さんも溶かされたいんじゃないの?」
「え・な・・何言ってるんだ・・お・・おい・・」
「でも、もうちょっと待ってて。」
 
 ベールを掴んだ美由紀の右手がサッと上がると、その手を離れたベールが間野をめがけて4,5mの距離を雲のようにフワリと漂ってくる。間野は慌てて逃げようと後ずさるが、背後の椅子に躓いてもたつき、その間に頭上からベールが被さってくる。美由紀の“フェロモン”を吸い込んだとたんに抵抗する力が身体から抜けてしまい、払い除けることもできずに間野はその場に座り込んでしまった。薄いベールの布地越しに見える間野の顔にはベールとともに恐怖が貼りついるように見える。




「ねぇ、間野さんも落合さんが溶けちゃうところをよく見ててね。」

 美由紀が再びスカートを持ち上げる。股間から湧き出す大量の粘液に濡れた美由紀の脚がヌラヌラと妖しく光り、スカートの裾からは粘る糸を引きながら粘液が滴り落ちている。本来ならば白のウエディングドレスは無垢で清楚なイメージで花嫁を演出するはずだ。しかし今、“花”嫁の美由紀は食虫花となってドレスの花を咲かせ、そのシルクの花弁からは人でさ溶かしてしまう毒蜜をたらしている。

「撮影前に言ってたわよねぇ、今までずいぶんウエディングドレスを犯してきたって。」
「そ・・それは・・び・・ビデオの・・」
「ふふ、だから今日はドレスに復讐されるの。ドレスに犯されて溶かされちゃうのよ。」
「そ・そんな・・助け・誰か助けて・・間野さん・水野・・こ・近藤・・だれか・たすけ・・・」

 助けを求めスタジオ内を見回す落合。カメラ横と録音機材の側には水野と近藤が糸の切れた操り人形のように、おかしな方向に手足を投げ出して倒れている。この一週間を“ゾンビ状態”で操られてきた二人は、撮影が始まるとその役割を終え、用済みとなっていたのだ。

「ほ〜ら、またドレスで包んであげる。包まれたら溶けちゃうのよ〜。」
「ひっ・・た・助け・・や・やめ・・・溶かさないで・・・たすけ・・だれか・・た・・」
「ふふ、ドレスの中でどろどろになるまで犯されるの。そして跡形もなく溶かされちゃうのよ。」
「や・・やめ・・し・死にたくないっ! た・・たすけ・・ひ・・ひっ・・・」

 落合の眼前にドレスが巨大な食虫花となって花を開く。スカートの裾が落合の頭上に迫り、それを見上げる落合の顔に粘液が滴り落ちてくる。見開かれた目、歪んだ口元、その表情は“溶かされる”ことへの恐怖のためか、快感への期待のためなのか、溶けかけて妙な形に歪み、判然としない。

「ほんとは溶かされたいんでしょ?どろどろにして欲しいんでしょ?いいのよ、遠慮しなくて。」
「ち・・ちが・・い・・や・・ひ・・ひ・・・」
「あなたの望みどおり溶かしてあげるわよ。ほら、私の中で溶かしてあ、げ、る。」

 美由紀が落合の頭上に掲げたスカートを掴む手を離すと粘液に濡れて重みを増した布が、哀れな虫に抵抗する間も与えずにドレスの“花びら”の中に包み込む。

ブワッ、ベチョッ

「ひっ!・ひ・・と・とける・・・いやぁ〜〜〜〜っ!!」
「ねぇ、気持ちいいでしょ? 骨までとろけそうでしょ?」
「たすけ・・ドレスが・・・あぁ・溶ける・・・・出して・・あ・・あ〜〜っ!」
「ふふ、もう外には出られないわよ。ドレスの中でどろどろになっちゃうのよ〜。」

 スカートの中から逃れようと落合がもがくたび、“ブワッ、ベチョッ、バサッ、グチョッ”と音を立ててドレスが揺れるが、溶けかけた身体ではもう脱出は不可能だ。落合は揺れるドレスにシルクの愛撫を受けて、ますます身体を溶かされていく。仰向けた落合の顔の上に美由紀が腰を下ろしてくる。粘液まみれの股間を押し付けられた顔が溶け崩れ、吸い取られていく。

ジュルジュルッ、ブチュブチュ、ジュルジュルジュル 

「た・たす・・だれか・・た・だずげ・・だず・・だでが・・だ・・だず・・・」
「ふふ、何もかも吸い取ってあげる。さあ、溶けておしまいっ!」
「うぶっ・・・ぐぅ・・うぶっ・・うぐっ・・う・・ぅ・・・・」


10

ジュルジュルッ、ブチュブチュ、ジュルジュルジュル

 美由紀はドレスの上から落合の頭を押さえ込み、それを揉み潰すようにしながらしゃがみこんでいく。落合を飲み込んで膨らんでいたスカートはもうずいぶん小さくなってきている。

ジュルジュルッ、ブチュブチュ、ジュルジュルジュル

“まさか・・嘘だろ・・そんな・・そうだ!どっきりカメラか?・・そうだよ!・・いや・・でも・・”

 クチュクチュと音をたてて蠢きながらその中に包み込んだ男を溶かし、萎んでいくスカート。ベール越し見る光景はどこか現実感が少なく、混乱する間野の脳はは目の前の現実を否定し、恐怖から逃れるための“解釈”を求めフル回転していた。しかし、その目は美由紀のドレスに釘付けとなり、美由紀が床に座り込み、そのまわりに円く広がるスカートがすっかり膨らみを失ってしまうまで目をそらすことができずにいた。

「間野さん、どう?面白かった? ふふ、間野さんも溶かされてみたくなったでしょ?」
「ひ・ち・ちが・・なぁ、冗談だろ?・・特撮の仕掛けだろ?・・まさか・・本当じゃ・・・」
「そのまさかよ。間野さんもこんなふうにどろどろになっちゃうんだからすぐに分かるわよ。」

 美由紀が立ち上がり一歩二歩と間野に近づいてきた。三歩、四歩、五歩。ドレスが“ズルリ”と粘液と落合の“残骸”を引きずり、その後ろに“航跡”を残す。間野は逃げ出そうとするのだが、力の入らない手足では立ち上がることもできず、ベールを被り床に座り込んだままもぞもぞと動いている。六歩、七歩。美由紀の手が間野の被るベールに伸び、それを取り去る。

「ひぃ〜〜〜〜っ!!」
「ふふふ、もう少し待ってて。そろそろママが来てもいい頃なんだけど・・・」
「マ・・ママ?・・な・・なんなんだよ!おまえら、何者なんだ?・・化け物・・・・魔女か?」
「ん〜〜、ヴァンパイアってのが一番近いかな。血液だけじゃなくて何もかも吸い尽くして食べちゃうんだけどね。それで何百年も生きるの。」
「た・助けて・・た・食べないで!・・頼む!・・食べられたくなんかない!!」
「そんなに食べられたくないの?そうねぇ、ママはダイエット中だから、もしかしたら食べられなくても済むかもしれないけど・・・。」
「ダイエット?」
「ママは54歳なんだけど、あ、もちろん日本の戸籍上ね。でも、どう見ても30代にしか見えなくて。これ以上若返っちゃうとねぇ・・」
「でも、それがどうして・・・」
「それだと日本で暮らしていくには不便なこともあるの。だから今はひかえてるのよ。私たちも最近、食べ過ぎちゃっているから今日はママにも来てもらおうと思ったんだけど、やめといた方が良かったかな。」
「だったら、助けて!食べないでくれ。お願いしますっ!!!」
「そう・・じゃぁ、ママに頼んでみたら?気に入ってもらえたら大丈夫かも・・・」
「うん、うん、な・なんでもするっ!!」
「間野さん、熟女は好き?ママは400歳だから超〜〜〜〜熟女よ。」
「へっ?よ、400歳?」

「やだ歳の話なんかして。400歳だなんて私のこと? 何を話してたの?」

 スタジオの入り口から女の声が聞こえてきた。

「あ、ママ。遅かったじゃない。」
「道に迷っちゃったのよ。もう撮影は終わり?せっかく花嫁の母の役で私も出演させてもらおうと思ってわざわざドレス着てきたのに。」


11

 “魔女”の姿がスタジオ入り口に現れ、近づいてくる。黒いシルクのドレスに黒レースの手袋、腕にかけて持つベルベットのコートも黒と全身が黒一色だ。ドレスは飾り気も、肌の露出もほとんど無く、修道女やメイドの服のようでもあるのだが、陽子が着ると魔女にしか見えない。スカートのゆるやかな襞や、豊かな胸の膨らみがシルクの光沢と質感を際立たせ、それは妖しく艶かしく、まるで陽子の身体から立ち昇る“妖気”のように間野には思える。

「間野さん、ママに食べられたくないんだって。」
「お願いします!! た、助けてください。」
「そうなの?熟女は好みじゃないのかしら?」
「ち、違います。そ、そんなことないです。で・・でも・・食べないで。お、お願いします!!!」
「ねぇ、ママ。それ以上若返ったら、まずいんじゃない? 会社で“社長は処女の生血を吸っている”なんて噂になっちゃたりしちゃうんじゃない?」
「そうよねぇ、やっぱり今日はやめとこうかな〜。」
「そ、そうですよ。た、助けてください。食べないで。奴隷にでもなんにでもなりますから。」
「そうねぇ・・・いいわよ。食べないであげる。」
「本当ですか?ありがとうございます!!」
「でも、久しぶりで楽しみにして来たのにな〜。ねぇ、ちょっとだけ味見させてくれないかしら?」
「え?そんな・・・」
「大丈夫よ、食べちゃわないわよ。約束するわ。間野さんを絶対に食べたりしないって。」
「そ、そうですか・・・でも・・あの・・・あ・・・う・・・あぁ・・・・」

 “味見”という言葉に僅かな不安は感じるが、陽子の魅力いや、魔力には従わざるを得ない。それに機嫌を損ねでもしたら助かる道はないであろう。

「さぁ、服を脱いで。そこに仰向けになって。」
「こ、この床の上に?・・裸・・で?」
「ママ、ちょっと待ってて。確か毛布があっちにあったはず。敷いてあげるわよ。」

 美由紀がスタジオの隅から2、3枚の毛布を持ってきて床に広げる。

「ありがとう。ん〜、これじゃまだ痛いし、冷たいかな。そうだ、このマントも。」

 陽子が手に持っていたのはマントだった。“魔女のマント”と呼ぶに相応しい、フードのついた大きな黒マントは表も裏もベルベットのようだ。床の上に広がる黒ビロードが作り出す“暗黒”は、すべてを飲み込むブラックホールのようで、その闇に引きずり込まれてしまいそうな予感が間野の意識をかすめる。陽子に促され、身体を横たえる間野だが、未だ恐怖から開放されていないためか身体がかすかに震えている。

「寒いの?」
「いや・・そうじゃな・・でも・・」
「マントでくるんであげましょうか? ほら・・こうして・・これでどう? 寒くないでしょ?」
「あ・・あぁ・・」

 黒マントに首から足先まですっぽりとくるみ込まれ、頭もフードに半ば埋もれて間野は顔のみをのぞかせている。陽子はスカートをつまんで持ち上げると、唯一露出している間野の顔面を跨いで立った。黒マントのブラックホールに背後から抱きすくめられている間野の眼前に、今またドレスがブラックホールとなって覆いかぶさってきた。

「食べないであげるんだから、少しは楽しませてくれなくちゃだめよ。ねえ、間野さん私を気持ちよくさせて。」
「え?」


12

ブワッバサッ

 陽子が間野の顔の上にいっきに腰を下ろすとスカートが空気をはらみ、一瞬大きく膨らむが、すぐにしぼんで円く広がる。陽子は股間を間野の口から鼻にかけて押し付けるようにして跨り、前後にゆっくりと腰を動かす。間野の鼻頭がパンティとガードルの2枚の薄布越しに陽子の“割れ目”に食い込み、敏感な部分を刺激する。間野は陽子の股間に口と鼻を塞がれ、酸素を求めてもがいている。1分、2分。陽子の口から声が漏れ始める。

「・・ぁ・・ぁ・・ぁ〜・・ぁっ・・」
「んぐ・・ぶはっ・・・むぅ・・むはっ・・んぐ・・んぐ・・」

 5分、6分。スカートに閉ざされた狭い空間が湿り気と熱を帯び、陽子の匂いがたちこめる。落合の惨たらしい最後を見ていなければ、とっくにいってしまっていただろう間野のペニスがようやく反応してくる。9分、10分。陽子の喘ぎと動きが大きくなり、股間から“蜜”が大量に湧き出し始める。下着を滲み通した粘液が落合の顔を濡らし、皮膚や口、粘膜から体内に侵入する。

“ん? 濡れてきた? や、やばい・・溶けちまう”
「んぐ・・・むはっ・・ちょっと・・ま・待って・・約束・・むはっ・・約束が・・」
「あん・・ん〜・・約束?・・ぁん・・だいじょうぶ・・あ・あっ・・・食べないわよ・・あん」
「ん・・ぐっ・・でも・・と・・とけ・・」

 陽子の“蜜”に侵された間野の抹消神経が快感の衝撃波を中枢神経に送り込み始める。悲惨な落合の姿を目の当たりにしたために間野の精神は未だ凍りついているが、肉体は今にも暴走を始めようとしていた。限界まで膨張して上を向くペニスに被さるマントが、陽子の腰の動きに合わせて僅かに動くと、それが刺激となってとうとう暴発の引き金が引かれてしまう。弓なりに反らせた身体をビクンビクンと震わせながら大量の精液を放出する。

「うぐ・・・・う・・・うぅ・・・・(い・いく・・と・溶ける・・あぁ・・溶けちゃう・・)」
「いっちゃった?・・ねぇ・・いっちゃたの?・・」
「ぐぁっ・・ぐっ・・むはっ・・たす・・たすけて・・うぐっ・・むぐっ・・」

 内臓が溶けて流れ出ていくような感覚に再び恐怖が湧き上がった間野は、陽子の股間から逃れようと力の限りにもがく。精一杯の抵抗に陽子が膝立ちとなると間野の顔が開放され、その口から悲鳴があがる。

「ひぃ〜〜っ!!・・と・・溶ける・・約束が・・食べないって・・約束がちがう・・助けて・・」
「約束は守ってあげるわよ。信用してくれないの? じゃぁ食べちゃおうかな〜。」
「い、いえ、そんなつもりじゃ。だ・だって・・今、身体が溶けるかと・・・」
「食べられたくないんでしょ? だったら、ねぇ、もう少し。いいでしょ?」
「え・ええ・・」

 陽子は立ち上がるとマントのフードを引き上げて間野の顔にまで被せ、縁に通した紐を引いて縛る。大きなフードは袋状となり間野の頭をすっぽりと包み込む。さらに下半身を覆うマントを一旦広げて間野のペニスだけが外に出るように再び包みなおした。ベルベットの粘膜のような感触に間野は自分自身が巨大なペニスとなり、陽子の膣に呑み込まれてしまったような錯覚をおぼえるが、その“粘膜の感触”は“膣”などではなく“胃袋”のほうが正しいと言えるだろう。


13

 下着を脱いだ陽子は床の上に転がりもぞもぞと動く真っ黒な芋虫の上を跨ぐように立ち、その中央に天を向いて突き出している肉色の“触角”をめがけて腰を下ろしていく。

ヌプ、ヌププッ

 熱く煮えたぎった粘液を充たす膣に呑み込まれたペニスから全身に向けて快感がはしる。“蕩けそうな快感”が間野の身を捩じらせ、口から悲鳴となって飛び出していく。

「ひ・・ひぃ〜〜〜〜〜っ!!」
「どう? 美由紀のよりずっと熱いでしょ? おちんちんが溶けそうなんじゃない? 私のあそこはなんでも溶かしちゃうのよ。骨だって、石でも鉄でも」
「ひっ!・ひ・・と・とける・・・チンポが・・と・とけ・・もう・・だ・だめ・あ・・あ・・」
「でもあそこだけじゃないわよ。全部溶けちゃうの。跡形もなくどろどろになっちゃうの。」
「え?・・なに?・・溶け・・約束は?・・や・・約束・・ひ・・ひ・・」
「だから食べたりしないわよ。溶かしちゃうだけ。」
「・・・・ど・・どういうこと・・・」
「私に包まれて溶けちゃわなかった男の人なんていないのよ。今までに何十人も、ううん何百人も間野さんのようにマントの中で快感に悶えて悲鳴をあげながら1人残らず溶けちゃったわ。」

 蕩けかけている間野の大脳がやっと“約束すべき言葉の選択”を間違えたことに気づいた。

「・・・な・なんで・・・・・そんな・・あ・・ひっ・ひぃ・・いや〜〜〜〜〜っ!!」
「ねえ、間野さん、本当は溶かされたいんでしょ?」
「ち・・ち・・・ちが・・・た・・・」
「ふふふ、気持ちいい? マントに包まれてるだけでも蕩けそうでしょ?そう、 このマントにも私の体液がたっぷりしみこんでいるの。蕩けそうな快感よ。本当に溶けてしまうほどのね。」
「ち・ちが・・あ・あぁ・・(魔女に・マントに・・溶かされる・・マントが・・溶・・・)」

ヌプ、ヌプッ、クチュクチュッ、ヌプッ・・・

 陽子から、マントから逃れようともがけばもがくほど、身体に絡みつくマントが全身を“舐め”まわす。ソフトクリームが舌に舐め溶かされるように間野の皮膚が、筋肉がマントに溶かされていく。陽子の膣を塞いでいたペニスは既に跡形もなく、そこから湧き出し続ける粘液は溶岩のように間野の股間を、下腹部を焼き尽してその中に溶かし込みながら流れ下っていく。

「あぁ・・・た・たす・けて・・あぁ・・と・溶けちゃう・・・たす・・・か・身体が・・あ・・あ・と・・とけ・・・マント・・出して・・だ・・」
「もう逃げられないわよ。このままマントの中でどろどろに溶けちゃうのよ。」
「ま・マントが・・とけ・・・たす・・ま・・あぁ・・と・・・」
「ほら、もうこんなにどろどろよ。」

クチュクチュッ、グチュゥ・・・

 黒ビロードの“芋虫”が快感に悶え、恐怖に震えながらその形を歪めていく。“約束”は守られているらしく、その体積はそれほど少なくなっているようには見えないが、潰れるようにその高さを減らし、だんだん動きが鈍くなってきた。マントの裾からは間野だった“もの”が流れ出し、床の上にクリームシチューの水溜まりをつくる。

クチュクチュッ、グチュゥ、グチュッ、クチュッ・・・


14

「だじで・・ま・・まんと・・・だずげ・・どげ・・・うぅ・・・どげ・・」
「もうあきらめておとなしく溶けちゃいなさい。」
「ぐぶ・・だす・・だずげ・・どげ・・うぶ・・ぐぶぅ・・うぅ・・うぶっ・・どげ・・」
「さぁ、溶けておしまいっ!」
「・・うぶ・・ぐぶぅ・・・うぶっ・・・ぅ・・ぅぅ・・・」

クチュクチュッ、グチュゥ、グチュッ、クチュッ・・・クチュッ・・

 間野を包み込み膨らんでいた黒マントが潰れるように萎んでいく。やがて呻き声が消え、動きもすっかりなくなると陽子が立ち上がり、足元のマントを拾い上げた。大量の“シチュー”が床の上にぶちまけられて“水溜まり”が“池”へと変わる。ぐっしょり濡れたマントからはぼたぼたと“間野”が滴り落ち、湯気を立てている“池”の周囲に飛び散る。

「ママ、遅かったのね。あら? 間野さんをもう食べちゃったんだ。」

 千春が倉庫から戻ってきた。美由紀もさっさと着替えを済ませ、帰り支度を整えている。

「味見しただけ。ほとんど食べてないわよ。」
「・・・そう・・みたいね。ずいぶん残しているものね。もったいないじゃない。」
「約束したのよ。ダイエットしてるから食べないであげるって。」
「そうなの? 間野さんの思ってた約束ってちょっと違うんじゃない?」
「ふふ、そうかもね。でも“食べない”って約束だもの。美由紀が証人よ。そうよね、美由紀。」
「ん〜、詐欺・・に近いかもね。ねぇ支度できたわよ。千春も準備は済んだんでしょ?」
「もうっ、詐欺だなんて。せっかく来てあげたのに・・。千春と美由紀の相手は美味しかった?」
「そうねぇ、まあまあかな・・」
「落合さんはちょっと・・・」
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 彼女達はそれぞれの獲物の味を語りながらスタジオを後にし、駐車場に向かう。このスタジオは落合、田村、間野の肉体が8割程度に再生する4時間後、機材倉庫から出火し全焼することになっている。焼け跡からは水野や近藤も含め、5体の「身元確認が困難ではあるが不可能ではない」程度に焼損した遺体が発見される予定である。

 駐車場に止まっている陽子の乗ってきたベ○ツ。その後部座席では黒い毛皮がもぞもぞと蠢いている。わざと間違えさせるような陽子の道案内にもかかわらず、運転していた健一が道に迷った罰としてお仕置きを受けているのだ。健一は陽子が家を出る時に着ていたミンクのコートに包まれ悶えている。頭から被せられているだけなのだが、陽子の濃厚な“香水”の香りに精神は蕩けきってしまい、払いのけることもできずに毛皮のコートに犯されている。いつもの事なのだが元の姿に戻れないかもしれないという恐怖が快感と苦痛を増幅させる。これがお仕置きかご褒美なのかはもう健一には区別がついていないのかもしれない。今日もまた健一は魔女母娘に弄ばれ、身も心もどろどろに溶かされていくのであった。そして明日も、明後日も・・・。

「あ・・・あぁ・・溶けちゃう・・と・・とけ・・」
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