続あぁ、溶けちゃう


 

プロローグ

 健一は白石家のピアノ練習室にある、小さなクロゼットの中でうずくまっていた。半月前に高校を卒業した健一は、まもなく千春と同じ大学へ入学することになっている。千春の“おもちゃ”として過ごしたこの2年間で健一にも白石家の“謎”が分かってきていた。

 千春たちはヴァンパイアの一種だという。人間の男を捕らえては血だけでなく、肉体のすべてを溶かし、吸い尽くすことで何百年も生き続ける。健一のように吸収されなければ、非常に稀ではあるが元に戻してもらえることもある。また身体の一部からでも不完全ながら再生させることができ、昔はそれらを奴隷として使っていたようだ。
 彼女たちの卵子が分裂を始めるのには精子による刺激を必要とするが、父からの遺伝子を受け継ぐことは殆んどなく、数百人いる種族は雌のみなのだ。その成長は生まれて30歳位までは人間と変わらない。しかし、その後は年に1、2人の男を吸収することで老化を遅らせることができる。

 陽子は1600年頃、ローマで、当時300歳のベアトリーチェを母に、日本からバチカンへの少年使節に随行してきた武士を父に生まれた。陽子の日本人として矛盾しない容貌は、僅かながらも父の遺伝子を受け継いでいるのかもしれない。そして今から30年前に日本へ渡って来た時から“陽子”を名乗っている。現在、フランスに住むベアトリーチェは、もう生きるのにも飽きたらしく、ここ20年程は“食事”をしていない。実年齢700歳、外見は50代、戸籍上(もちろん偽造だが)71歳、スペイン生まれでもあり、写真で見る限り、彼女たちの中では最も魔女らしい魔女だ。

 高校卒業を機に健一は“おもちゃ”から“彼氏”に昇格し、さらに、大学を卒業した後には陽子の経営する会社に入り、千春と結婚することを決められていた。いずれ、千春の父や祖父のように溶かされ、吸われてしまうのだろうということは健一にも分かっていたが、すでに“千春に吸収されてその一部になれるのなら”とも思えるようになっていた。。




 今日、健一は千春に、「これからやって来る男への“お仕置き”を見ているように」とクロゼットの中に押し込まれたのだった。大学で同じサークルに所属する藤井という男は、しつこく千春に言い寄っていたのだが、最近、ストーカー行為にエスカレートし、ついに千春も我慢できなくなったようだ。もっとも今まで我慢していたのが不思議なくらいだと健一は思っていたのだが。
 美由紀のロイヤルブルーの演奏会用ドレスと黒ベルベットのロングスカートの間で健一は、この衣装を汚したら美由紀にどんな目に合わされるか分からないと恐れつつも、むくむくと大きくなるペニスをもてあましていた。

 「リビングはリフォーム中なの。ここでいい?」
 「千春の部屋はだめなのか?」
 「ん〜、ちょっと散らかってるのよ。今、コーヒーでも淹れるわ。ちょっと待ってて。」
 
 “あいつ、何だかんだ言っていても家に来ることを許したんだから、その気が無い訳じゃないだろうな。今日は薬も用意したし、ケータイのカメラもある。やってしまえばこっちのもんだ。薬で眠らせて、恥ずかしい写真をいっぱい撮ってやる。”

 千春が戻り、ソファ脇の小さなテーブルにカップを置いた。カチャ、カチャ

 「どうぞ。あっ、クリームいる?忘れちゃったわ、今持ってくるわね。」
 
 “グッドタイミングだ。知り合いの医大生が実家の病院から持ち出した薬だ。この2種類を一緒に飲むと1、2時間は目を覚まさないって言っていたな。副作用も強力らしいけど、まぁ、そんなのは知ったこっちゃ無い。”
 
 藤井は、あらかじめ細かく砕いておいた薬を手早く片方のカップに入れ、もう片方を手に取った。

 「お待たせ。」
 「なぁ、今日、ここに呼んだのは俺と付き合ってもいいてことなんだろ?(早くコーヒー飲め!)」
 「そういう訳じゃないんだけど。」
 「じゃぁ、どういうことなんだよ。(さぁ、飲めってば!)」
 「・・・」

 千春がカップに口をつける。1口、2口。2人とも口を開かず、コーヒーを啜り続け、千春が半分ほど飲んだ時、

 「あら、ど、どうしたのかしら、あ、あれ?・・・」

 ふらふらと立ち上がったとたんよろめいてグランドピアノに凭れかかった。ピアノカバーを掴んだままずるずるとそのまま滑り落ち、メトロノームや楽譜もろとも倒れた。床に広がった黒いピアノカバーの上に仰向けに転がった千春のスカートがめくれ、白い太腿が露わになる。




 “やった!すげぇ効き目だな。”

 藤井はスカートをさらに捲り上げ、パンティを脱がすと、ケータイで撮り始めた。顔が判るような全身像、股間のアップ、はだけた乳房、さらにポーズをつけては記録枚数いっぱいまで撮影した。それが終わると、指であそこをかき回し始めた

 “へぇ、もう、ヌルヌルじゃないか。すげえな。どんどん溢れてくるよ。千春って見かけによらず、とんでもない淫乱女なんだな。よーし。さぁ、本番だぜ”

 服を脱ぎ、パンツを下ろすと、千春に覆いかぶさり、中に入っていく。

 “す、すごい。何なんだこいつは。こんなの初めてだよ。あっ、ひ、ひゃ〜。”

 千春は気を失っているというのに、膣は別の生き物のようにヌメヌメと波打ち藤井のペニスを咥え、しゃぶっている。藤井はあっという間に絶頂に達し、

 “あ、あぁ、ちはる〜、すごいよ、あぁ、溶けそうだ、ひ、ひぃ〜っ、あ、”
 「あぁ、溶けちゃう〜っ・・・。」

 果てた藤井が千春の上で荒い息をつきながら体を離そうとした時、千春の手が動き、藤井の腰を押さえつけた。

 「ふふ、どう? 気持ちよかった? 溶けそうだったでしょ?」
 「へっ?な、なに?気がついてたのか?(なんだよ、この薬、効いて無いじゃん)」
 「まだ終わりじゃないわよ〜。もっと、とろける快感を味あわせてあげる。」
 「お、お前がこんな淫乱女なんて知らなかったよ。(あ、あれ?い、いいのか?)」
 「そうよ〜。あなたが溶けちゃうまで何度でもしてあげるわよ。」
 「ははっ、なに言ってんだよ。今度も俺がたっぷり可愛がってやるよ。」

 藤井は射精直後というのに萎えることもなく怒張しきったペニスで再び千春に挑みかかった。千春の膣はさらに大量の粘液を溢れさせ、藤井のペニスも下腹も、大腿もぬるぬる、びしょびしょになってきた。ヌチャヌチャ、グチュッグチュと音を立てながら藤井が必死にピストン運動を繰り返していると、千春は自分の体の下に広がるピアノカバーを手繰り寄せ藤井を包み始めた。やがて藤井の体がすっぽりとカバーにくるみ込まれ、まるでマントを着た千春に包み込まれたようになってしまった。




 「ち、千春、俺、と、溶けそうだよ。」
 「骨まで溶けちゃいそうでしょ? 私に包まれてどろどろに溶かされる気分はどう?」
 「う、うっ、い、いいよ、すごく。千春、このまま俺を溶かしてくれよ。」
 「いいわよ〜。跡形も無く溶かしてあげる。ほ〜ら、溶けちゃえ〜。」
 「え? ひっ、ひゃ〜、あっ、あへ、ひゃっ、き〜っ」
 
 妙な叫び声を上げながら射精を始めた藤井。腸が溶けてドクドクとペニスから流れ出ていく感覚とともに5秒、10秒と射精が続いていく。

 「あ、あっ、なんだ?、止まらない、え、え? な、なんで?」
 「どう? 望みどおり溶かしてあげてるのよ。嬉しいでしょ? 本当に溶けてるのよ。」
 「え? 溶けてる? そ、そんなこと・・・冗談だろ? ひ、ひ〜っ。」
 「嘘じゃないわよ。このまま私の中で溶けていくのよ。」
 「や、やめろ〜。と、止まらない、離せ、離せっ!溶けるぅ〜っ!」
 「ふふふ、逃がさないわ。」
 「く、くそっ、あ、あぁ、や、やめろ〜っ!」

 20秒、30秒、快感が苦痛と恐怖に変わり、藤井は千春の中で悶え続ける。40秒、50秒、必死の反撃を試みる藤井は千春の乳房に噛み付いた。

 「痛っ!」

 腰を押さえつけていた千春の手が一瞬、緩んだ隙に藤井は両手を突っ張って後ろに跳ね起き、そのままドスンと尻餅をついた。千春の体からは逃れたものの、ペニスからはまだダラダラと溶けた体を垂れ流している。もう足の筋肉が溶け始めているのか、立ち上がる力は残っていないようだ。

 「はっ、はっ、はぁ、はぁ、・・・」
 「もぉっ!酷いことするのねっ!許さないんだからっ!」

 千春は立ち上がると大量の粘液にまみれたピアノカバーを手に取り、藤井の目の前で広げていく。藤井を包み込むように大きく広げられたカバーからポタリ、ポタリと糸を引いて粘液が滴り落ちる。

 「これで包んであげる。私の粘液に溶かされてしまうといいわ。」
 「あっ、や、やめろっ、た、助けて、助けてっ。」
 「遅いわ。薬なんか使った罰よ。でも、最初から溶かしちゃうつもりだったんだから同じかもね。」
 「え?えぇっ?そ、そんな・・・。」




 立ち上がることもできず、そのまま後ずさりする藤井に千春が1歩、2歩と近づく。座り込んだ藤井に覆いかぶさるように、ぐっしょりと濡れて妖しく黒光りするカバーが迫ってくる。

 「ほ〜ら、包んじゃうわよ〜。ドロドロに溶かしちゃうわよ〜。ふふふふ」
 「あ、やめろ〜っ!!、た、た、助けて、あ、あ・・・。」
 「溶けておしまいっ!」

  ブヮッ、ビシャッ
 
 「わ、わっ!ひゃ〜っ!」

 頭から被せられたカバーを払いのけようとしたが、濡れて重くなった布は余計に腕に絡みつき、腕を振り回した拍子に、藤井は仰向けに倒れこんでしまった。顔や手、胸、背中と粘液に触れた部分が強烈な快感を脳に送り込みながら溶けていく。黒いピアノカバーに全身を包まれ、“とろける快感”に悲鳴を上げながら悶える藤井を見下ろし、千春はつま先で藤井の股間をグリグリと刺激する。、

 「どう? 感じちゃう? 我慢しないでいいのよ。ほ〜ら、出ちゃうわよ〜。溶けちゃうわよ〜。」
 「あっ、あっ、と、溶ける、やめて、た、助けて、あぁ〜、溶けちゃう。」

 千春のつま先が動くたび、藤井はビクビクと痙攣しながら射精し続ける。やがてペニス自体がぐにゃりと溶け崩れ始めた。

 「ふふっ、踏み潰しちゃおうかな〜。」

  グチャ、グチャッ、ヌチャヌチャ、グチャグチャ ・・・・
 
 溶け始めたペニスと玉をぐちゃぐちゃに踏み潰した千春のつま先は、藤井の顔と思われるあたりに移動し、ゆっくりと体重をかけていく。

 「ひっ、ひゃ〜、と、とけ、た、たすけて、だずげ、つぶで、どげ、ぅぶ、ぐぅぶ、うぅ」
 「さぁ、溶けて、死ねっ!!!」
 「ぐぇ、ぅぶ、ぐぅぶ、うぅ・・・」

 鼻が潰れ、つま先をねじ込まれた口が歪み、唇、歯、舌がグニャグニャと溶け崩れていく。すでに、外からはピアノカバーに包まれている物が人とは思えない形になってきている。いや、それを開いてみても、もう藤井は原型を留めていないだろう。




  グチャ、グチャッ、ヌチャヌチャ、グチャグチャ ・・・・
 
 千春はしばらくあちこちをつま先で突いていたが、反応が無くなるとカバーを広げ始めた。一片の骨さえ残すことなく溶かされ、藤井は大量の灰白色の泥と化して湯気を立てている。これを見た千春は、

 「やだ、美味しくなさそう、なにこれ。いらないわ、捨てちゃえ。健一君、出てきていいわよ。ねぇ、これ片付けてくれない? お風呂場にでも持って行って洗ってきて。」
  ・・・
 「あれ? ねぇ、どうしたの?」
  ・・・
 「まさかクロゼットの中で・・・。美由紀姉さんのドレスで変なことしてないでしょうね。」
  ・・・
 「ねぇ、健一君、大丈夫?」
 ・・・


 健一は“変なこと”などしてはいなかった。しかし、ドレスに残った美由紀の体臭、 健一を両側から挟みこんでいるドレスのサテンとベルベットの感触、隙間からのぞく “お仕置き”の様子。これだけ揃えば、健一がとろけてしまうのには十分すぎる刺激だった。 千春がクロゼットの戸を開けると、床の上にこんもりと“生クリーム”の大きな山が できていた。ブルーのドレスとベルベットのスカートにもべっとりと“健一だったもの”が 張り付いていた。
  


 2人の刑事が千春の家を訪れたのは、月が4月に替わっってまもなくの土曜日だった。

 「私、Y浜北署の深見といいます。こっちは・・・。」
 「山口です。」
 「突然ですみません。千春さんはご在宅でしょうか?ちょっと伺いたいことがあるものですから。」

 手帳を見せながら深見と名乗った男は30代なかば、もう一人はまだ20代前半の捜査1係の刑事だ。

 「はい、千春なら居りますが・・・。どういうことでしょう?」
 「あ、いえ、実はお嬢さんと同じサークルの男子学生が行方不明になりまして。それが事件の可能性があると上が言ってるんですよ。いや、まったく私なんかはそこらへんふらふらしてるだけだろ、なんて思ってるんですがね。まぁ、とりあえずサークルの皆さんの所を尋ねて回っているんですよ。」
 「そうですか。それはご苦労様です。どうぞお上がりください。」
 「あ、恐縮です。ではお邪魔させてもらいます。」

 陽子は刑事をリビングに招きいれると、千春を呼んだ。4人でテーブルを挟んで向かい合い、簡単な挨拶を済ますと、深見は早速用件をきりだした。
 
 「藤井さんが今行方不明になっていることをご存知でしたか? サークルの仲間の皆さんにお話を伺っているのですが、なかなか手がかりが・・・。で、千春さんが最後に藤井さんを見かけたのはいつだったでしょう?」
 「藤井君、行方不明なんですか?。会ったのは春合宿の時ですから、先月の26日の土曜日ですけど、それ以後は・・・。」
 「そうですか。実は、藤井さんが27日、失踪された日なんですけど、こちらに来ると話していたとサークルの他の方から伺ったんですが。何か、ご存知ではないかと期待していたんですけど。」
 「・・・」

 俯き、唇を咬む千春を見て、二人の刑事は一瞬、目を合わせ、かすかに頷く。千春の横に座る陽子もその様子から

 「千春、何かあったの? もし知っているなら・・・。」
 「・・・」




 「どうですか?何かご存知なんですね?」
 「あの・・・。あの日・・・、彼に、乱暴されたんです。この家で・・・。」
 「えっ?ここでですか?」
 「はい、・・・あ、いえ、部屋は別のところです。」
 「それで、その後は・・・。」
 「その後・・・、藤井君を・・・殺してしまったんです。」

 千春の言葉に陽子が驚きの声を上げる。

 「千春っ!ほ、本当なの?どうして?・・・」
 「お母さん、後は千春さんに署の方で話を詳しく伺います。千春さん、同行、お願いできますね?」
 「はい・・・。」
 「では、現場を見せてもらえますか? 後ほど鑑識が調べますが、その前に少し・・・。」
 「は、はい・・・。こちらです。」

 彼らの通されたピアノ練習室は12畳ほどの広さ、中央にグランドピアノ、厚い絨緞に防音構造のドアと窓、庭に続くテラスに面した側には濃茶色のベルベットのカーテンがかかっている。

 「ここですか・・・。」
 「はい。薬をコーヒーに入れられて、気を失って・・・。意識がもどっった時には、もう彼に・・・。そして・・・。」
 「そして?」

 千春はピアノの上に畳んだままとなっているカバーを取り上げ広げはじめた。

 「そして、それからこのピアノカバーに彼を包み込んで・・・殺しました。」
 「そのカバー・・・で? どのように? 首を絞めたとかですか?」
 「いえ・・・。あの、・・・溶かしたんです。」
 「へっ?なに? 溶かした?・・・ですか?」
 「そうです。包んで、この中で溶かしました。」
 「あ、あの、本当に? 何か薬品でも使ったの? おい、山口、そんなことってできるのか?」
 「い、いや〜、聞いたことないですよ。」
 「本当です。これ見てください。」

 千春が両手で広げたカバーにはべっとりと粘液状の物が貼り付きヌラヌラと光っている。

 「私の体液です。これで藤井君を跡形もなくどろどろに溶かしたんです。」
 「はぁ?そんないい加減なこと言ってないで本当のことを話してくれないか?彼に何をしたんだ?」 
 
 と、今までの憔悴しきったような表情と声が一変し、いつもの千春が戻ってきた。

 「こういうふうにしたのよっ!」
  ブワッ、バサバサッ、ベチョッ!!
 「な、何だ!!!」

 千春の手から放たれたピアノカバーが投網のように大きく広がりながら深見を包み込み、その体に巻き付いていく。頭からつま先まですっぽりとくるまれ、バランスを崩して倒れた深見は、まるで巨大な黒い芋虫のようだった。




 床の上でもがきながら叫ぶ深見の声が厚い布地越しにくぐもって聞こえてくる。

 「何をするっ!!どういうことだ!!おいっ、出せっ!これを早くとれっ!」
 「深見さん!!大丈夫ですかっ!?」

 山口は千春に向き直ると声を荒げた。

 「どういうつもりだ。何をしたんだ。」
 「え?藤井君をどうしたのかって訊いてきたから、自分自身で確かめてもらおうかなって。」
 「ふざけるな!早くふひゃみひゃんをひゃせ。ひゃへ?あれ?ろうしらんら?」
 「ふふ、さっき飲んだお茶が利いてきたみたいね。」

 陽子が後ろから山口の肩を押さえ軽く引くと山口は、そのままふにゃふにゃと座り込んでしまった。

 「今から藤井君がどうなったか千春が見せてくれるんだから、おとなしく座ってらっしゃい。」
 「ひゃひひょひょひゃせひゃ!(何を飲ませた!)ひょうふうふひょひひゃ!(どうするつもりだ!)」
 「や、山口!どうした。何をされたんだ?おいっ!!」
 「ふふ、大丈夫、しびれて動けないだけよ。10分もすれば直るわ。ほら、千春、早く山口さんに深見さんが溶けちゃうところを見せてあげなさいよ。」
 「そうね。ねぇ、深見さん。2度と味わえないとろける快感よ。」

 千春は座り込むと、カバー越しに深見の股間の辺りを無造作に、乱暴にまさぐり始めた。ただ、ぐりぐりと刺激が加わっているだけなのに、深見の体の奥から湧き上がる快感は、内臓を溶かし、沸騰させるかのような強烈なもので、あっという間に射精が始まった。

 「うわ、ひっ、・・・おい、な、何をした!!あ、あっ。」
 「ほ〜ら、溶けちゃうわよ。感じるでしょ?体が内側から溶けて噴き出してるのが。」
 「や、やめろっ! ひ〜っ! そんな、馬鹿な、あっ、うっ!う〜っ!」
 「溶かされちゃう気分はどう?とろけそうな快感でしょ?」

 この状況から逃れようともがく深見だが、“芋虫”状態で為すすべもなく、千春の手が動くたびに、“沸騰した内臓”をペニスから大量に噴きこぼしている。

 「あぁ〜や、やめろ〜、ひぃ〜っ(溶けそうだ。いや本当に溶けてるのかも。)」
 「まだ信じられないの?早くここから出ないとどんどん溶けちゃうわよ。」
 「ひ、ひっ、あっ、ひ〜っ(この女の言うように藤井は溶かされたんだとしたら・・・)」
 「ねぇ、判ったでしょ? 藤井君がどうなったかって。こんな風に溶けちゃったのよ。」
 「あ・・あぁ・や、やめろ(俺も溶けてしまうのか?)」
 「ほら、溶けちゃうわよ〜。」
 「わ、判った。だから、や、やめてくれ。は、早く!」




 千春の手の動きがいったん止まり、煮えたぎる深見の体内が少し落ち着きを取り戻す。

 「どうしようかな〜。だって、刑事さん私を捕まえに来たんでしょ?」
 「何? おいっ! 早く出せっ!」
 「だったら逮捕しないでくれる?」
 「なに言ってるんだ。いい加減にしてくれ。早くここから出せっ!おいっ!!」
 「私、捕まりたくないのよね〜。だからこのまま溶けちゃってよ。ね、いいでしょ?」

 千春は立ち上がり、パンティを脱ぐと、深見の頭を跨ぎ、その上に腰を下ろしていった。カバーにくるまれた深見の頭が、さらに千春のスカートの中に包まれていく。千春は前後に腰を動かしながら前屈みになると、再び深見の股間を手で刺激する。

 「な、何をする!! う、うぐっ、く、苦し・・。」
 「何って、溶かしちゃうに決まってるでしょ?私のあそこの粘液は何でも溶かしちゃうのよ〜。」
 「う・・うぐっ・・た・たす・・け・・と・・」
 「骨までどろどろに溶かしてあげるわね。」

 股間を顔に押し付けらた深見は、鼻や口唇に布地越しに感じる千春の秘所が、すぐに濡れてくるのが分かった。さらに、それは瞬く間にコップ2,3杯にもなるだろう大量の粘液を吐き出してきた。ぬれた布は顔に張り付き、苦しい呼吸がますます困難になってきた。逃れようともがくが、包み込まれ自由の利かない深見には為すすべもない。しかも、再び“沸騰”し始めた深見の股間はビクンビクンと震えながら止まることなく射精を続けている。

 「うぐっ、う・・・ぐっ・・・ ぶはっ・・・はっ、うぐっ・・・」
 「ひゃめろっ!(やめろ!) ふひゃひひゃん!(深見さん!)ひゃいひょーふへふか?(大丈夫ですか?)」
 「すぐに山口さんも溶かしてあげるわよ。もうちょっと待っててね。ふふふ」
   ・
   ・
 千春の手が深見の股間を弄り、ペニスを揉み潰していく。
 「と・どげ・・・どげ・・・だずげで・・・・」 
 ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぶちゅっ、ぐにゅ、ぐちゃっ
   ・
   ・

 「ほら、深見さん、すっかりどろどろになっちゃったわ。」

 千春が腰を上げると、べっとりと粘液まみれになった頭部が現れた。それは、さっきまでは鼻や顎の形が外からも窺えたのに、今はいびつな黒い膨らみにすぎなくなってしまっている。その膨らみも、胴体部分も、ピクピクと小さく痙攣するように震えながらが徐々に縮んでいき、やがてすっかり動かなくなってしまった。千春がその包みを解き始めると、白っぽいヘドロに変わり果てた深見の肉体がドロリと包みの外へこぼれだす。千春の強力な粘液は深見の服をも溶かし、広げられたピアノカバーの上には、溶けかけて奇妙な形になった拳銃と手錠が転がっていた。


10
 
 “溶けた・・・人間が、深見さんが溶けちまった。お、俺も溶かされるのか? そ、そんな・・・溶かされるなんて・・・い、いやだ、死にたくないっ!”
 
 山口は凍り付いたように、深見の残骸から目をそらすこともできずにいた。

 「次は山口さんの番よ。」
 「ひっ、ひゃ〜っ!!!ひゃめろっ!!!ひゃふけ、ひゃすけて。と、溶かさないでっ!!」
 「あら?喋れる様になったじゃない。」
 「た、助けて。お願いします。忘れます。そ、そうです。藤井も、深見さんもここには来なかったことに。だ、だから、助けて。こ、殺さないで。」
 「そうねぇ、助けてあげてもいいけど・・・。そうだ、刑事さんに藤井君がここに来たことを話したのが誰か教えてくれない?」
 「お、教えたら助けてくれるのか? 本当に?」
 「本当よ、約束してあげる。」
 「島崎だよ。確か藤井と友達だと言っていたよ。だ、だから君と藤井の間のことも少し話してくれたんだ。だけど、それも忘れるから。たのむ。助けてくれ。」
 「いいわよ、約束だものね。ねぇ、ママ、私の代わりに山口さんを溶かしてあげたら?。」
 「えっ!? 助けてくれるって約束したじゃないか!!!」
 「あら? ママとは約束してないじゃない。私は知らないわよ〜。」
 「そうよ、せっかくここに来たんですもの。本当は溶かして欲しいんでしょ?」

 山口の背後、わずか1mの所にテラスへ出るドアがある。“あそこまで行けば。外に逃げ出せれば”と、まだ思うように足を動かせない山口は、上体をひねり、手だけで何とか這って逃れようとした。

 「あら、私みたいなおばさんじゃだめなの?熟女の良さを知らないのね。試してみたら?とろとろに蕩けるわよ。あ、もちろん蕩けちゃうのは山口さんのほうね。ねぇ、見て。ふふ、ほら、もう私こんなに。」

 行く手を阻むように陽子が移動し、山口の視界をフレアのたっぷり入ったロングスカートがカーテンのように遮る。その“カーテン”がするすると上がってゆき、目の前にじっとりと濡れた黒い茂みが現れた。股間から湧き出るとろりとした蜂蜜のような粘液が、幾く筋も太腿をつたい、スカートの裾からも糸を引いて落ちている。

 「ひ、ば、化け物っ! 来るな! く、来るなっ!!」
 「ひど〜い、化け物だなんて! もうっ! せめて“魔女”とかにしてくれない?」
 「ん〜。ねぇママ。どっちでもあまり変わらないと思うわよ。」

 陽子は粘液の滴るスカートの裾を大きく持ち上げ、山口の頭上から被せてくる。

 「私の“蜜”は千春のよりもずっと濃いわよ。ふふふ、スカートの中で溶かしてあげるわね。」
 「あ、あ〜っ、やめろ〜!!」
  ブワッ、ベチョッ
 「うわっ、あっ、あーーっ!!」

 スカートに上半身を包み込まれ、山口は恐怖の悲鳴を上げながらもがき暴れるが、自由の利かない腕を振り回してみても、バフッ、バフッとスカートを揺らすだけで逃れ出られそうもない。


11

 陽子はスカートの中でもがく山口の頭を掴み、べっとりと粘液にまみれた股間に押し付けた。口を股間で塞がれ、溢れる粘液が顔を覆い、鼻や口から浸入していく。

 「うぐっ、ぐぇ・・・ぶはっ、はっ、ぐっ・・・」
 「ほ〜ら、とろとろでしょ?とろけそうでしょ?」
 「た、うぐ、苦し、ぐっ・・・助け・・ぐぅぐっ・・」
   ・
   ・
 「どう?そろそろ溶け始める頃じゃない?」

 陽子が押さえつけていた手を離すと、山口は「ひ〜〜〜っ!!」と叫び声を上げて、スカートの中から転がり出てきた。ペニスはすでにはち切れそうになっているものの、心は未だ恐怖に捕らわれ、仰向けに倒れたまま、必死に顔を覆う粘液を拭い始めた。陽子にベルトを外され、ズボンとパンツを下ろされても、顔や手についた粘液を振り払おうと夢中になっている。

 「吸い尽くしてあげるわ。」

 山口を跨ぐように立った陽子がスカートを捲り上げ腰を落としていく。ぬぷっ、ぬちゃっ、ぬぷぷっ、とペニスが膣に飲み込まれていく時になって山口はやっと気がついた。熱く柔らかな粘膜に包み込まれたペニスから全身に快感が広がっていく。

 「えっ!! あ、あ〜っ! だめっ! 入れちゃだめ〜っ!!!」
 「ふふ、残念、遅かったわね。ほら、もうすっかり、中に入っちゃったわ。」
 「た、助けて、た、た・・・たすけ・・溶かさないでっ!」
 「本当? ほら、ここはこんなに大きくなって溶かされたがってるじゃない。」

 陽子はスカートの裾をつまみ上げると、上体を起こしかけた山口を押し倒すように被せていった。円く大きく広がったスカートは山口の体をすっぽりと覆い、僅かに片方の足先だけが外に出ている。抵抗しようと上げた腕が、手首をスカートごしに掴まれ、肘を曲げた状態で顔の両脇で押さえつけられる。濡れた顔に貼り付き呼吸を奪っているスカートを払い除けることもできず、顔を左右に振りながら、僅かな酸素を求めてもがく山口。陽子に包まれ、恐怖に凍り付いていた“心”が急速に溶けていくとともに、肉体も溶け始め、マグマのように下腹部に溜まっていく。

 「ねぇ、山口さん、気持ちいいでしょ?溶けちゃいそうでしょ?」
 「く、くるし・・、うぶっ・・うっ、あ・・あ、あぁ、と、溶ける・・溶けちゃう。」
 「いいのよ〜。我慢しないで出しちゃいなさい。いっちゃっていいのよ〜。」
 「うっ、うぐっ・・・ひぃーっ!」


12

  ドクッ、ビュルルッ、ドビュッ・・・
  ジュルッ、ジュルッ、ジュジュジュッ

 「ひ・・ひっ・・ひぃーっ!」
 「ほ〜ら、溶け始めたわ。」
 「ひっ、ひっ、た、たす・・・あ〜〜っ、溶けるぅ〜〜っ!」
 「そうよ、私に包まれてどろどろに溶けちゃうのよ〜。」

 山口の体が、どろどろの“マグマ”となって噴き出しては吸い取られていく。“とろけるような快感”に悶え、10数秒ごとにビクビクと痙攣しながら山口は“噴火”を続ける。

 「ひっ、止まらないっ!、や、やめてくれぇーっ! た、助けて、ひ〜〜っ!!!」
 「ふふっ、骨まで溶かしてあげるわね。」
 「あ、とけ、溶ける、溶ける、たす・・けて、たす・・け・・・とけ・・・」
 「さぁ、私の中で溶けておしまいっ!」

 スカートの中で悶え、痙攣し、叫び声を上げていた山口だが、それがうめき声に変わり、次第に“くちゅくちゅ”という音のみとなって、動きも小さくなっていく。人の形に膨らんだスカートが陽子の腰の動きに合わせてゆっくりと波打ちながら山口を溶かし、だんだんと縮んでいく。やがて、スカートの膨らみがすっかりなくなり布の作る襞だけとなってしまった。

 「ふうっ、おいしかった。千春、後片付け、よろしくね。」
 「もうっ、いつも私が片付けるんじゃない。健一君にやってもらおうかなぁ。」
 「だめよ、刑事なんかが来たのは千春のせいなんだから、自分でやりなさい。」
 「え〜っ、そんなぁ、ママだって面白がってたじゃない。ひど〜い・・・」
   ・
   ・
   ・

 絨緞の上にはしみが大きく広がり、その端にグレーの靴下をはいた片方の足首がころっている。スカートの裾から僅かにはみ出していたため、溶け残ったのであろう。しかし、しなびたように変形し、半分ほどの大きさになっていたその足首も、徐々に形が崩れ、やがてバターのように溶けて絨緞の“しみ”の一部になっていった。


13

 島崎はサークル名簿の住所を頼りに、千春の家の最寄り駅に降り立った。家に行ったこともなければ、この駅に降りたこともない島崎だが、何かに引かれるように歩きはじめる。昨日の午後、急に思い立ち、今朝にはどうしても“行かねば”と言う思いで、出かけてきたのだった。初めての道なのに番地を確認することもなく、迷わず進んでいけることに疑問も抱かず歩きながら、一昨日、藤井の失踪について聞き込みに来た刑事との話を思い返していた。

 “あの時、刑事は最初はあまり気のない様子で藤井について尋ねていたのに、俺が「藤井は白石に会いに行った」と言ったとたん、急に態度が変わったんだよな。千春やその家族について、俺が知ってることを、ずいぶん熱心に訊いて行ったけど、何だったんだろう? 捜査上の秘密とか言って、詳しくは教えてくれなかったけど、以前に起きた白石家に係わる事件というのは、どういうことなんだ? 「白石の近辺で不可解な事故や、失踪者がなかったか?」だなんて、藤井の失踪も白石に関係があるのか? それにしても、何で俺は、わざわざ白石に直接会おうと思ったんだ? 電話でも、メールでも構わないだろうに。あ、あれ?ここか? いつの間に?”

 ピンポ〜ン・・・カチャッ

 「はい。あら?島崎君じゃない。突然どうしたの?」
 「あ、あぁ、ちょっと白石に、どうしても訊きたい事があって。」
 「もしかして藤井君のこと? 昨日、うちに刑事さんが来たのよ。島崎君のところへも?」
 「う、うん。そのことで、ちょっと・・・。迷惑じゃなかったかな?」
 「どうぞ、あがって。その事だったら私も・・・。」

 リビングでコーヒーを飲みながら千春が話したことは「“これ以上つきまとわないで欲しい”といった話を1時間程して帰ってもらった」というだけの島崎には期待はずれの話だった。島崎が刑事から聞いた“白石家に関わる過去の事件”についても尋ねようと口を開きかけた時、リビングに美由紀が入ってきた。

 「あら?いらっしゃい。千春のお客様?」
 「島崎君、紹介するわ。私の姉さん。」
 「こんにちわ、美由紀よ。よろしくね。」
 「はじめまして。R大学のオーケストラ部で千春さんと一緒の島崎です。」


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 「あ、昨日、刑事さんが来たことに関係あるの? オーケストラ部の誰かがいなくなったんだって?」
 「そうなのよ。昨日はママも面白がって大変だったのよ。」
 「ふ〜ん。ねぇ、その話は終わったの? 今から健一君のお仕置きするけど、見せてあげようか?」
 「え? な、何ですか? お仕置き・・・ですか?」
 「そう。美由紀姉さんのドレスを汚しちゃった罰なのよ。あ、健一君は私の彼なんだけどね。」
 「へ?・・・?」
 「もうピアノの部屋で準備はできてるのよ。こっちよ。」

 “何だ? 妹の彼氏をお仕置き? どういうこと?? それにしても、すごいなこの家。“お嬢様”だってことは知ってたけどピアノ練習用の部屋があるなんて。”

 「さぁ、この部屋よ。入って。」

 部屋に通された島崎の目に最初に入ったのは、合唱団のステージ衣装のような床まで届く黒のロングスカートに白いブラウスを着て、スカーフで両手首を縛られた“男”だった。縛られた手首はロープがつながれ、さらに口には細く巻いたスカーフで猿轡がされている。

 “えっ? 何? こいつ変態か? いや、それなら、こんな事させる白石や美由紀さんも一緒か?” 

 「ちょっと待ってて。私も着替えてくるから。」


 「白石、いいのか?お前の彼氏なんだろ?」
 「いいのよ。悪戯する悪い子にはお仕置きが必要なの。」
 「そ、そうか・・・?」


 「お待たせ。」

 美由紀が着てきたのはロイヤルブルーの演奏会用のドレスだ。結婚披露宴でお色直しに着るような、スカートが大きく膨らんで広がるサテンのカラードレスだった。

 「ねぇ、島崎君、ちょっと手伝ってくれる?」

 美由紀は健一の手首につながるロープを壁の上部にあるフックにかけ、健一の腕をを頭上に引き上げると、ロープの端を島崎に手渡した。

 「しっかり持っててね。」
 「あ、はい・・・。(何で、俺が手伝わされるんだよ。)」
 「さぁ、お仕置き始めるわよ。まず、悪戯するような悪い“あそこ”を潰しちゃおうかな。」
 
 美由紀が健一の股間を握り潰すかのようにスカートの上から鷲づかみにする。“ぎ〜〜〜っ!!!”と呻き声を上げ、身をよじり反射的に腕を下ろそうとする健一。手にしたロープが急に引かれ、島崎はあわてて力を入れ握りなおす。


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 “うわっ、そんなに暴れるなよ。あ〜、痛そう。白目剥いちゃってるよ。大丈夫か? あんなに乱暴に揉まれて。潰れちゃうんじゃないか? くそっ、重いな。もう、足に力が入ってないじゃん。あ、あれ? 何だ? こいつ、感じちゃってるんじゃないか? やっぱり変態M男か。・・・あ〜あ、いっちゃったよ。おい、重いよ。ちゃんと立ってろよ!”

 「うっ、ぐ・・・。う、う、うぅ・・・。」

 健一の足から力が抜け、崩れるようにしゃがみこむが、ロープに吊るされ、美由紀の胸にすがりつくように膝立ちの状態になる。美由紀は健一の猿轡を外すと、両手で顔を挟んで仰向けにさせる。

 「み、美由紀さん、も、もう、死んじゃう・・・。」
 「汚されたドレスの復讐は、これからが本番よ。今度は健一君が逆にドレスに犯されるの。」
 「や、やめて下さい。おかしくなっちゃう・・・。お願いします。た、助け、うっ・・・。」
 
 美由紀の唇が健一の口を塞ぎ、ねじ込んだ舌を伝って熱い唾液が流し込まれる。

 「うぐっ、う、うっ・・・んぐ・・・んぐ」

 注ぎ込まれた毒液が健一の身体を熱く泡立たせ始め、心がとろりと溶けだした。

 「島崎君、ちょっと持ち上げて。」
 「は、はい。んっ、重いなぁ。(こいつ、つば飲まされて喜んでるよ。)」
 「ふふ、私のドレスでドロドロになるまで犯してあげる。」

 美由紀は再び猿轡を健一に咬ませると、健一の着ているブラウスのボタンをはずして脱がし、縛られた手首のところに丸めて結びつける。それから、健一のスカートを掴み、上に持ち上げると裾をロープで縛って閉じた。健一は、いわゆる“茶巾”状態・・・裏返しになったベルベットのロングスカートに上半身を包み込まれ、黒い袋を被せられたようになってしまった。すでにペニスは、勃起してピクピク震えている。

 「健一君がドレスに包まれて溶けていくのを、島崎君もよく見ていてね。」
 「え? 溶け・・・る?」
 「そうよ、跡形もなく、どろどろに溶かしちゃうのよ。」
 「???」

 美由紀は膝立ちとなった健一の頭のあたりを胸の谷間に埋めるように左腕で抱き、右腕で逃れようとする健一の腰を押さえつける。膨らんだ美由紀のスカートが、まるで餌を飲み込むアメーバのように健一の腰から下を包み込んでいく。


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 冷やりとした感触のサテンのスカートに埋もれ、美由紀の両腿に挟み込まれたペニスが、揉み潰されていく。ザワッ、ザワッと衣擦れの音をたてながらドレスが揺れ、その動きに合わせるようにもがく健一。

 「ほ〜ら、ぐちゃぐちゃに揉み潰して、どろどろにしてあげる。」
 「うぐっ、う・・ぐっ・・う・」

 健一はベルベットのスカートに上半身を、サテンのドレスに下半身を包まれ、その中でとろける快感に悲鳴を上げて悶えながら溶かされていく。

 「白石、これじゃお前の彼氏、お姉さんのM奴隷にされちゃうぞ。(やっぱり、こいつら皆、変態だ! でも、お仕置きにしてはなんだか羨ましいぞ。)」
 「仕方ないわ、悪戯したんだもの。姉さんに溶かされちゃえばいいのよ。」
 「はぁ? でも、これがお仕置きとは思えないんだけどなぁ。(何言ってんの、溶けるわけないだろ)」
 「あら? だったらお仕置きされてみる? 私がしてあげようか?」
 「えっ? うん、うん、・・あ、いや、その、そうじゃなくて・・その・・」
 「ふふ、いいわよ〜。島崎君もどろどろに溶かしてあげるわ。」
 「もう、冗談だろ、変な期待させないでくれよ。(本当か? まさか、冗談だよな。)」
 「冗談じゃないわよ。本当に溶かしてあげるって。」
 「ん? いや、溶かされるのは遠慮しとくよ。」

 島崎の目の前、僅か1mほどのところでの“お仕置き”だが、壁を背にして、美由紀のドレスに埋没しているような健一の姿は見ることができない。ロープを握る島崎の手に伝わる動きだけが、健一の様子を知る手掛かりだ。 そして、その動きが小さく、弱くなり始めると、美由紀の足元にドロリとした白っぽい水溜りができてきた。

 “いつまで続くんだよ、死んじまうぞ。あんな袋詰めみたいな状態で、窒息しちまわないか? ん? なんだ、あのドレスの裾にこぼれてるのは? ザーメンか? それにしちゃずいぶん大量だな。あんなに出したらミイラになっちゃうよな。 なんだろう? うわ、どんどん溢れてきてるよ。す、すごい。何だこれは? ま、まさか本当に溶けたりしてないよな?”

 「ふぅ、終わったわ。島崎君、手伝ってくれてありがとう。もういいわよ。」

 壁際から一歩下がった美由紀のドレスはまるでパイ投げでもしたかのように“生クリーム”まみれとなり、島崎の持つロープの先には黒いスカートだけがぶら下がって、ボタボタと“健一”を滴らせていた。


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 “な、何?? あいつ、どうなったんだ? と、溶けちゃったのか?”

 「おい、白石。何なんだこれ?まさか溶けたなんてことないよな?そうだ、ほら、プリンセス・テ○○ーみたいなやつ、何か仕掛けとか。あいつもどこから出てくるんだろ?トリックだろ?」
 「ん〜。健一君の場合はそうとも言えるかな。」
 「そ、そうだよな。こんなこと本当にあるわけないものな。」
 「ほら、今度は島崎君の番なんだから、自分で確かめてみてよ。ねぇ、この椅子に座って。」

 千春はピアノの椅子を引き寄せ、椅子の背に掛けてあった黒マントを羽織った。そして島崎を座らせると、その前にしゃがみこみ服を脱がせ始めた。

 「あ、お、おい、何するんだよ。」
 「ふふ、たっぷりお仕置きしてあげるんだから、汚れちゃうと困るでしょ?」
 「あ、あぁ。(白石ってこんな変態女だったのかよ。今日、ここに来た俺って超ラッキー。)」
 「あら?こんなに大きく硬くなっちゃって。すぐにどろどろにしてあげるわね〜。ふふふ」
 「白石がそんな黒マントを着るとプリンセス・テ○○ーというよりまるで魔女だな。」
 「だったら島崎君は仲間を助けるために魔女を倒しに来た勇者なんてどう?。」
 「へ?な、なんなの?そういうシチュエーションのマジックか?」
 「そんなところね。でも反対に魔女に捕まって、マントの中に包み込まれて溶かされちゃうのよ。」
 「溶けるのはいいからトリックも教えてくれよ。」
 「あわてないで。まずはお仕置きよ。」

 千春はスカートを捲り上げてパンティを脱ぐと椅子に座る島崎の大腿の上に跨り、腰を下ろしていく。ヌプッ、ヌチャッ、ヌププッと音を立ててペニスが膣に飲み込まれ、さらに全身がマントで覆われると島崎はすっかり千春の中に取り込まれてしまった。千春の腰が島崎を揉み潰すように動くたび“とろけそうな快感”が島崎の身体を侵食しながら全身に広がっていく。

 「どう?気持ちいい?溶けそうでしょ?」
 「ひっ・・ひ・・い、いいよ・・・あ、あぁ・・・溶けそうだよ。」
 「ふふ、そうよ本当に溶けちゃうのよ〜。」
 「うっ・と、溶ける〜〜っ!」

 快感に侵された内蔵が溶け、“精液”となって下腹部に溜まり、あっという間に限界を迎える。千春の中で全身が溶けてザーメンとなり吸い取られていくような感覚とともに島崎はビクビクと痙攣しながら大量の“精液”を放出した。3秒ほどで納まった射精だが、それは“本当に溶けてしまうのかも”という不安をも島崎に覚えさせた。


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 「は、初めてだよこんなの・・・。本当に溶けるかと思った。」
 「だから本当に溶けちゃうんだってば。藤井君みたいにね。」
 「え?藤井?」
 「私に包まれて溶けちゃったのよ。跡形もなくどろどろにね。」
 「何だって? で、でも、トリックなんだろ?マジックだろ?」
 「本当かどうかすぐに分かるわよ。島崎君も溶かしちゃうつもりで呼び寄せたんだから。」
 「ど、どういうこと?呼び寄せたって?あっ、藤井のことを警察に話したからか?」
 「余計なこと言わなければ溶けちゃわなくて済んだのにね〜。これ以上喋って欲しくないのよ。」
 「え?ほ、本当に溶けるのか?そんなこと・・・。まさか・・・。」
 「ふふふ、私のマントに包まれたらもう助からないわ。さぁ、溶けておしまいっ!」
 「うわっ、ひ、ひぃ〜〜っ!」

 千春の言葉に従うように腎臓、膀胱が、大腸が一斉にドロリと溶け崩れペニスから溢れ出る。千春の膣が収縮を繰り返してペニスを搾り上げ、島崎の溶けた内臓を汲み出し、子宮に吸い取っていく。

  ドクッ、ビュルルッ、ドビュッ・・・
  ジュルッ、ジュルッ、ジュジュジュッ

 「た、助け・・助けて・・・溶かさないでっ!」
 「ふふ、島崎君にもとろける快感をたっぷり味合わせてあげるわね。」
 「ひ〜っ・・あ・・くそっ・・や・やめろっ・・」

 その時、恐怖と快感にもがき暴れる島崎の足がピアノにあたり、バランスを崩した2人は椅子ごと横倒しとなった。

 ガッ、ガタタン、ドサッ
 「い、痛〜い、もうっ!」 
 「た、助けてくれ〜っ!」

 倒れた拍子にマントから逃れ出た島崎は這うように千春から離れ、よろめきながらも立ち上がったが、その目の前には美由紀が立っていた。


19

 「ふふ、千春ったらドジねぇ。島崎君、私が代わりに溶かしてあげようか?」
 「く、来るな・・ひ・・・ひ・・」

 恐怖にこわばり、ぎくしゃくとした動きで後ずさる島崎だが、すぐに背後をベルベットのカーテンに遮られ退路を絶たれてしまう。と、横に身体をずらした島崎の腰に何かが当たった。

 “ん?何だ?ドアか?”

 後ろ手でカーテン越しに探ると、ドアノブらしきL字型の取っ手がある。それを押し下げると向こう側に動いた。

 “助かるかもしれない! 逃げられる!”

 カーテンごとドアを押し開け、身体にまとわりつくカーテンを払いのけ外に出ようとする。しかし、翻ったカーテンに再び行く手を遮られ、戻ってきたドアに室内に押し戻されてしまった。

 “くそ、もう一度だ”

 今度はカーテンを先に引き開けようとしたが、既にその端は美由紀の手に握られていた。

 「あら〜ちょっと遅かったわ。残念ねぇ。」
  ぶわっ、ばさばさっ
 「うわっ!」

 美由紀が島崎をカーテンでくるみ、そのまま2度3度と回転させ巻き込む。逃げ出そうともがく島崎だが、押さえ込まれるように美由紀に抱きしめられると、たちまち筒先から“精液”が漏れ出した。

 「もう逃げられないわよ〜。このままカーテンの中で溶けてしまうといいわ。」
 「そ、そんな。た、助けて。ひぃ〜〜っ!」

 美由紀の手が股間をまさぐるたびに、島崎は悲鳴をあげてもがきながら射精を繰り返す。 全身に巻き付くベルベットのカーテンの粘膜のような感触に、島崎は自分が魔女の腹の中に飲み込まれ、その中で巨大なペニスとなって射精し続けていくように感じていた。

 「ひ、ひっ・・・い、いく・・出ちゃう・・うっ・・う・・」
 「もっと、もっと出していいのよ。搾り尽くしてあげるわ。」
 「う・・うぅ・・・あ・・あぁ・・と・・溶けちゃう・・・助けて・・・た・たす・・・」

 カーテンの中で島崎の身体が美由紀に揉み潰され、ペニスが、股間が、内臓が、熟柿のように溶け崩れてボタボタと滴り落ちていく。

 「ほ〜ら、こんなにどろどろになっちゃったわよ。ふふふ」
 「た・・だず・・・どげ・・・ど・・・・ぐぶ・・・う・・ぶ・・・うぅ・・」

 蛇の腹が飲み込んだ獲物を消化して萎んでいくように、島崎をくるみ込んで大きく膨らんだカーテンが“ぐちゅ、ぐちゅっ、ぶちゅっ”と音を立てて蠢きながら小さくなっていく。やがて、巻きついていたカーテンが“バサリ”と元に戻った時、すでに島崎は、カルピスの水溜りとなって絨緞の上に広がっていた。


エピローグ

 4月5日 ○日新聞 K県地方面
 4日午後3時ごろ、K県警Y浜北署の深見警部補(37)と山口巡査(23)の乗った車が走行中、中央分離帯を越え、反対車線を走ってきたトレーラーと正面衝突して大破炎上した。この事故で深見警部補と山口巡査が死亡。トレーラーの運転手はかすり傷を・・・

 4月6日 Y売新聞
 「大学生連続失踪か?」
 先月27日から行方不明になっている藤井○○(21)さんと同じR大学のサークルに所属する島崎××(20)さんが、4月4日からその所在が分からなくなっており、家族から捜索願が出されている。2人は友人同士ということから、なんらかの関係があるとみて警察は捜査を・・・

 6月10日 T●S “ニュースの林”
 昨日、C葉県I原市の山林で発見された2体の一部白骨化した遺体は所持品と司法解剖の結果から、今年3月と4月に相次いで行方不明となっていた藤井○○さんと島崎××さんであることが確認されました。藤井さんの首には紐がまかれており、島崎さんはその側でナイフを持って倒れていたことから、2人の間で・・・

 「やっと解決したわね。ねぇ千春、今度から気をつけてよ。」
 「わかったわよ、ママ。さすがに長生きしてるだけあって、アリバイ作りがうまいわ〜。」
 「それでも警察にはまだ疑ってる人もいるんだから。」
 「それはママのせいよ。いくら完璧なアリバイでも秘書が3人も続けて事故死じゃねぇ。」
 「だっておいしそうだったのよ3人とも」

 溶かした男の肉体のみを復活させて操り、事故や自殺に見せかけることで、陽子は30年間、日本の警察の目を逃れてきたのだった。

 「そろそろ、引越しかな。」
 「私はまだここがいいな。健一君もいるし。ママだけおばあちゃんのところにでも行ったら。」
 「そんな、千春、ひど〜い・・・」
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 ソファに座る2人の足元には“合コン”がばれてお仕置きされている健一がいた。黒ビロードのマントにくるまれて芋虫のように転がり、股間を千春のつま先で弄られながらもがいていた。千春に吸収されてしまうことは覚悟できている健一だが、藤井のようにトイレに流されてしまうことは最大の恐怖だ。千春の気が変わらないことを祈りつつ、今日もまた健一は、強烈な快感に悲鳴をあげ、身悶えしながらマントの中で溶かされていくのだった。

 「あ・・・あぁ・・溶けちゃう・・と・・とけ・・」

 


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