取れない繭
「……!?」
布団の中で少年は目が覚めた。
蟷螂の大鎌はもう身体に食い込んでいなかった。
ずいぶんとリアルな夢だった。
いくらなんでも、鎌が自分の胴より長いというのは、夢の世界でしかあり得ない。夢の中で大鎌でがっちりと拘束されていたのは、ここのところ疲れ過ぎているのかもしれない。
しかし夢とはいえ、鎌の固さは本物のような実感があった。
一方、固い鎌と対照的だったのが、腕にその鎌を生やした女の上体だった。背中に当たった美女の豊かな胸は、鎌から逃げようとする彼に合わせて素晴らしい弾力を発揮し、動けば動くほど形容しがたい柔らかさと反発力を伝えてきた。そして肩に載せられた彼女の細いアゴや、密着した身体から立ち上る芳香は、そこから逃げだそうとする少年の意識を次々に溶かしてしまうのだった。
まあ、物事をはっきりと考えられなかったのも、夢なら当然だ。
掛け布団にいつものベッド、見慣れた天井。
普段通りの朝で、無論周りに誰もいない。
一体なんだってあんな夢を見たのだろうか。
初めて使ったオナホールが良くなかったのだろうか。
ちゃんと片づけをした覚えがなく、不安に床を見やった。
幸いにも寝込む前にキチンと片づけたようだが、おかずにしたクラスメートの写真だけが落ちていた。クラスでアイドルより美人と評判の彼女は、スタイルも良くかなりの美貌だが、ありがちなことに性格は悪かった。特に自分に対しては悪意を向けている気がする。そんな彼女を蹂躙しようとしていたのだが、逆にあんな夢を見てしまうとは。同級生への日頃の鬱憤を晴らすどころか、夢の中で見知らぬ妖しい二人に、ただひたすらペニスだけを強烈に責められ続けた。
少年を夢の中で、果てしなく責め続けた妖しいあの二人。
二人とも同級生の彼女とは似ても似つかなかった。ただ、少年の懇願に耳を貸さず責めの手を緩めないところや、ずば抜けて妖艶なところが共通点かもしれない。
全くなんてリアルな夢だったことか。
それはもう気持ちよくって、何度も昇天してしまった。それなのに彼女らは許してくれなかった。少年が気を失っても意識を取り戻す度に、ずっとずっと責められ続けられた。一体最後は、どうされたんだろう。無意識な夢の中なのに、更にそこで意識を絶たれるなんて。何度も気絶させられた夢だからか、記憶が妙に曖昧だ。ペニスをニュルニュルに漬けられたような感覚があって、それからどうなったんだろう。
夢の中で抜かれ過ぎたのか、もはや少年のソレは朝立ちさえしていなかった。極上の世界で逝きすぎて痺れたかの様に、その存在感が無い。絶対下着の中はベトベトになっている筈なのに、全くそんな感じがない。妖しい二人にあれだけよがり狂わされる夢を見て、一滴も夢精していないなんて事があり得るのだろうか。
「☆*○△■!」
驚きが口をついて出るほどの事態だった。あり得ない。
再び確かめても、下着の中に見慣れた自分のペニスが無かった。
代わりに、同じ程度の大きさの繭がこんもりと股下にぶら下がっている。
夢で見た繭。
ペニスに生み付けられた小さな卵の塊。
夢、ではなかった?
この繭の中で、自分のペニスが一体どうなっているのか気になる。だが、軟らかなクリームのように見えるのに、全く拭い取れ無い。いかにもすくい取れそうでありながら、表面が強靱な弾力を持っている。小さなツブツブの卵、一個一個がくっきりと見えるが、擦っても擦っても一粒も取れない。それに、生み付けられた時とはなんだか様子が違う。あの時、繭はいかにも生まれたばかりの卵といった、はかなさがあった。色はもっと透明で、透き通るような感じだった。しかし今や繭はかなり不透明になっていてで、ほとんど中が見えない。
見た目、まるでペニスが溶け消え、代わりに繭が出来ているかのようだ。弾力があるので、自在に曲げたり出来る。しかしそれにも関わらず、ペニスには何の感覚も伝わらない。
まるで神経が通っていないか、ペニスが消え失せたかのようだ。もう少し、力を込めて試してみる。
「イタタタタ、痛い痛い!!」
部屋の中なのに、思わず大声をだしてのたうち回る程の痛みが走った。少し繭に爪を立てただけで、その瞬間に千切れんばかりの激痛が身体に走った。コイツは単なる繭では無い。生きているのだ。それにしてもペニスではなく、身体に直接痛みが走るのはどういうことだろうか。まるで、ペニスの代わりに繭が身体に生えているようだ。
医者に行けば取れるだろうか?しかも、一体何処の病院に行けばいいのか。
「先生、昨晩オナホールを使っていたらこうなりました」なんて口が裂けても言えない。ましてその後ピンクのドレス姿の少女(千蟲姫エリヴィラ)に抜かれ続けたなんて話は、精神科に回されそうだ。そしてその後の話など、口に出す事さえ憚られる。
昨日の妖しい二人は影も形も無く、ただ一点を除けば全くその痕跡が無い。そう、彼女に生み付けられた卵の塊。つまりこの繭だけが、いまだ股間に残っている。少年はどうすることも出来ず、そのまま学校へ向かうことにした。
朝から散々な一日だった。
昨日おかずにされたことを知っているわけでは有るまいが、沙織には難癖をつけられるし、午前の授業中は教師から注意を受けまくった。まったく、沙織の奴、人の顔色が悪いのは少年の性格が悪いからなどと、イチイチ絡んでくるのは一体どういうことか。なんだって何時も何時も少年にだけ、難癖をつけてくるのか不思議でならない。そんなに嫌われるようなことをした覚えは無いのだが、気づかないうちに何か傷つけた事があったのだろうか。それよりも、単に性格的に合わないだけのかもしれないが、迷惑な話だ。昨日も二人で別々にやれば半分の時間で住む仕事が、少年単独では見落としがあるかもしれないと沙織が突っかかってきた為に二人一緒に遅くまでかかってしまったのだ。
だがまあ、今やこっちはそれどころではない。ひょっとしたら、ペニスが本当に無くなったのではないかと気になって、授業には全く身が入らなかった。どういうわけか、依然男の子の大事な器官に何の感覚も無いままだ。お陰で上の空、質問にもロクに答えられず醜態を晒す少年は、ますます沙織に睨みつけられていた。そんなことにはちっとも気づかず、どうしてこんなふうになってしまったのか、少年は昨夜を回想していた。
昨日の繭の中は、じゅるじゅるした中身でビッチリ満ちていたのに、今の繭の中は空洞のようだ。流石に授業中に繭をいじくり回すことは出来ないけれど、少年のペニスは絶対その中にある筈なのだ。なんとか大事な器官の無事を確かめないと、安心できない。これだけ考えても、未だに良く思い出せない。昨晩の最後に一体何があったのか。
授業の合間の、短い休み時間では満足に確かめられないが、やはりこの小さな繭だけが股間にしっかりとくっついているようだ。困ったことに、どう触ってみても少年は自分のペニスに触れることが出来ない。無論、繭には触る事が出来る。でも、いくら繭を触ったり握りしめたりしても、相変わらずペニスには全く感覚が伝わらないのだ。
まるで繭の中は真空で、ひょっとしたら自分のペニスなど、もはや無くなっているのかもしれない。ひょっとして、爪を立てたあの時にペニスの神経を切断されてしまたたのだろうかとさえ思える。それとも、ペニスはもう無くなっていて、この繭へと変わってしまったのかもしれない。
だが、ペニスからの刺激は無くとも、少年は先ほどから困った状態になっていた。昨日身体に大量に注ぎ込まれた快楽は、燠のように体内で燻っていたのだ。ほんの数時間前の自分が受けた責めを思い出す度に、燠火は益々大きくなる。徐々に熱気を脹らませた燠火は、解放を求めて体内を駆けめぐり始めていた。
それなのに、放出手段が無くなってしまい手も足も出ない。淫靡な潜熱に苦しむ自分を、全く慰めてやることが出来ない。気にしないようにしても、手の出せない事柄はかえって意識にのぼってしてしまう。今や、燠火は燃えさかる寸前だった。
授業など一言も頭に入らなかったので、あっという間に昼休みを迎えた。この学校ではマナーを身につけるため一環として、昼食会に街のレストラン以上の食事が供される。とても学校とは思えない厳かな雰囲気の中行われるこの昼食会は、後に付き人が控えているほど本格的なものだ。スプーンを落としても、生徒が拾うのは厳禁、付き人に拾って貰うのがルールだし、食事を全部食べなければ退席できないなど妙に教育的な規則まである。もっとも付き人は厳めしい執事などでなく、暇そうな男子大学生がバイトをしているので、幾分くだけたな雰囲気である。
「ちょっと、そんな辛気くさい顔をしているあんたがいると食事が不味くなるわ」
いつもの様に、沙織が毒舌を吐いきたりするが、いまはそんなことに構っている気分ではなかった。少年は一人黙々と食べながら、なかなか思い出せない昨日の記憶を探っていた。
あの時ペニスに生み付けられた繭は、いかにも生まれたばかりの透明感に溢れた、白く透き通るような卵の泡だった筈だ。だから自分のペニスが、繭の内部で半透明な何かに次々扱かれ続け、何度も何度も精液を搾り出されるのがしっかり目に見えた。ただそのたびに、繭の白さが徐々に増していったようにも思える。
その後何をされたのかハッキリと思い出せないのに、その時受けた快感は、実にはっきりと覚えている。頭はぼうっとしていても、身体の方に快楽はしっかりと刻み込まれているのだ。少年は料理の味もわからないまま、機械的に食べ続けた。
あれは、まるで身動き出来ない夢でも見ているかのようだった。
背後から少年の身体をリル・マンティスがやさしく、しかし罠のようにピッタリと抱きついていた。
お陰で少年は身体を満足に動かすことも出来ず、ひたすら繭から快楽を一方的に浴びせられ続けたのだ。
少年のペニスは、ずっとずっと、ぐじゅぐじゅの粘体から絶え間の無い刺激を受け続けていた。
腰を捻ろうが、身体をよじろうが少年を拘束した大きな鎌はビクともせず、ペニスを包み込んだ白い泡はピッタリと張り付いて、じゅるじゅる、じゃぶじゃぶの感触をペニスに与え続けていた。
ペニスへ直接次々と注ぎ込まれる快感に、少年の身体は今にも破裂しそうだった。
鎌がガッチリと少年を挟み込んでいたが、何とか手を動かして絡み付く粘体を取りのけようとはしたのだ。だがその度にリル・マンティスが、そのすらりとした上体を少年に巻き付けて、身動きをやわらかく妨げた。悩ましいリル・マンティスが吸い付くように貼り付いているので、少年の動きはかえって、お互いの皮膚を擦り付けるだけに終わった。しんなりとした彼女の肌の弾力は、みずみずしい肌触りと共に官能的な刺激を接触した皮膚全体に与え、少年にまとわりついた。
甲殻的な固さを実感させる手の鎌とは対照的に、彼女の素肌は、少年の身体に溶け込むような滑らかさであった。少年のペニスは粘体に、身体の方はまるでリル・マンティスにくるまれているかのように極上の感覚を、目いっぱい味わされていた。
「はむぅ、ジュルッ」
弄ばれる刺激に耐えられず、思わず漏らした少年の喘ぎが音声になる事は一回もなかった。少年が口を開けば、すぐさま背後のリル・マンティスが唇で声を吸い取った。彼女は少年の喘ぎ声や息を吸い取ると、代わりに唾液を口移しで次々少年に流し込んできた。少年はその甘い唾液を、ごくごくと飲み込んでいた。何故か一息もつく気にもならないのだ。胃が一杯になっても、その甘い唾液を嚥下し続けずにはいられなかった。それはまるで胃や食道ではなく、体内に直接染み込んで行くように次々と少年の身体に吸い込まれていった。
彼女の唾液に含まれるのは、栄養だけだったのだろうか。精液の放出は、次々繭に吸い出されても、全く止まる気配を見せなかった。
次々と射精を繰り返して暴れる少年の全身をガッチリ鎌で押さえ込み、リル・マンティスは常に少年の背中に密着していた。汗ばむと、余計に彼女の胸の感触が背中越しに伝わってくる。ますますヌメリを増したその肌と質感は、少年を骨抜きにして抵抗力を奪った。
大きな胸で、少年への愛撫を続けながら、彼女は妖しい目つきで少年の目を、じっと見つめていた。まるで少年が快楽に溺れる度合いを、目から読み取っているようだった。少年は、どうしても彼女のその瞳から視線を外すことも出来ず、まるで彼女の目の奥底に自分が捕らえているような気がした。
視野には彼女の瞳しか入らず、彼女の目の中で溺れているような状態で、何度も何度も少年は連続でイカされた。
数え切れないほどの射精の後、ペニスに張り付いた粘体の動きがようやくゆっくりになると、やっと少年の口が彼女の吸引から解放された。
それまで少年の舌は、彼女の舌にずっとねぶるれ続けていた。彼女の吸引は強烈だった。いくら少年が息を継ごうとしても、彼女の口は真空の様に少年に吸い付いて離れなかった。口を引き離すことの出来なかった少年は、自分の口内をずっと差し入れられた彼女の舌で蹂躙され続けていたのだ。少年の舌は、ざらざらとした刺激を与えながらも唾液をからめてヌルヌルに巻き付いてくる彼女の舌から、逃げることを許されなかったのだ。彼女の舌は、少年の口を完全に支配していた。やっと、ヌルリヌルリと見せつけるかのようにゆっくりゆっくりと、唾液の跡を引きながら、彼女の口中へ舌が引き戻されていく。
その口を閉じずに、舌を覗かせたまま彼女は次の責めに移った。今までの愛撫で見つけた少年の弱点全てを、その舌で責め始めたのだ。ずっと少年の舌をふやかしていた彼女の真っ赤な舌が、ピチャピチャと音を立てて少年の肌をピンポイントを刺激する。
胸や腹にある少年の弱点も、全て洗い出されていた。
まるで皮膚を貫通するかの様な強烈な愛撫を舌で施しながら、彼女はじっと少年の目をみつめていた。少年の視線を拘束して、意識を彼女の舌先が与える快感から逸らすことを許さなかった。目をそらせない少年は、自分を責めさいなむ舌の動きをじっくりと見させられ続けた。彼女の舌が与える快感は、皮膚からではなく、まるで目から脳へ直に注入されるようだった。
そうする内に、ピッチリと彼のペニスをくるんだ繭が動き出し、小さな卵で出来たヌルヌルの塊は容赦なく少年を扱き立ててきた。ネットリと吸い付くその感触に、一度休憩した精巣は更に多量の精液を迸らせ続けた。それを何度も何度も。
そう、昨夜はそのまま気絶してしまった。あの時横にいた千蟲姫エリヴィラが何か言っていたような気がするが、これもよく思い出せなかった。何か大事な事だったような気がする。
言葉は覚えていなくても、無限と思われるほどに連続した射精の余韻は未だペニスに残っている。そう、今でも、まるでじわじわと漏らし続けているかのような錯覚がある。
今も?
自分が思い起こしていた昨夜の淫夢は、繭によって強制的に反芻させられたものだという事を少年は判っていなかった。繭は、昨日の行為を少年に思い返させては、繭が取り付く前の状況を一つ一つ確かめていた。今、繭は少年の性感帯や、その感度・限界を逐一把握しつつあった。どこまで責めれば少年がどんな快感を受けるのか、どこが限界なのかを、少年が昨夜の責められ方を思い出す度に、じっくり読み取っていた。
食事の手を止め、自分の股間を見やる。無論、染みなどもなく、外から見た目はなんの異常も無い。確かに、外からは何も異常は見えない。だが、今、鈴口のあたりにこそばゆい刺激がある。
まるで麻酔が切れてきたかのように、少年はペニスの感覚を取り戻しつつあった。ペニスの感覚が無事戻ってきた事にホッとしたのもつかの間の事だった。それと共に、繭内部の感触もよみがえりつつあった。今や少年のペニスは、再びあの異様な刺激を受け始めていた。
この異変を確かめるべく席を立とうとするが、食事会の付き人に止められてしまった。食事途中に席を立つなどマナー違反も甚だしい。おかしな行動を取る少年に、周りから好奇の視線が向けられた。このままトイレにでも行こうものなら、物笑いの種になりかねない。
少年は何事もなかったかのように、静かに急いで食事を片づけることにした。
だが、それが間違いであったと、すぐに身をもって知ることになる。
朝から気になっていたのだが、彼の容態は明らかにおかしかった。
顔色は悪く土気色だし、動きもギクシャクとしていてテンポが遅い。
どう見たって、高熱でも出した病人そのものとしか思えない。
具合が悪いのならば休んでくれれば良いのに。無理に学校へ来ているのは、ああ見えても根が真面目なせいだろう。彼は決してそうとは言わないけれども、文化祭の委員としての責任を果たそうとしていに違いない。そうすると具合悪くさせているのは、文化祭の委員に彼を無理矢理仕立て上げた彼女ということになる。巧妙に裏回しを行って、折角同じ委員にさせたというのに、こんな風に裏目に出るとは心外だった。
何とか休ませてあげたいと言葉をかけても、彼はいつもの様に素っ気なかった。まあ、昼食を取れるぐらいだから、大丈夫なのかもしれない。それでも彼の様子が気になって仕方がない。供された料理の味も、今の沙織にはよくわからなかった。
淡々と食事をしているようでいて、どうも彼の様子が普段と違う。他の誰も何とも言わないところからすると、日頃から彼を見ている沙織だからこそ気づいた変化なのかもしれない。
少年は時折沙織が何か睨んでいるような気がしていた。でも今はそんな事を気に掛けている場合ではなかった。だから沙織にじっくりと観察されていることに、気づかなかった。少年の一挙手一投足を見逃すまいと、沙織から鋭い視線を向けられているにもかかわらず、少年の注意はひたすら自分の股間に集中していた。大勢の知り合いがひしめくこの広間で、少年ただ一人が別世界へ取り込まれようとしていた。
先端に何か巻き付くような刺激。そればかりか、巻き付きながら、亀頭を覆い込むような動きをも見せる。反射的に太腿をきつく閉じて、それ以上の侵攻を食い止めようとするが、全く効果が無い。繭の中の動きなので、いくら繭の外側を抑えつけても、内側では好き勝手に少年を蹂躙してくるのだ。
「うぅ」
思わず声が漏れてしま。だが、幸いにも口の中にある食物のお陰で、周囲には聞こえなかったようだ。
「ひぅ」
少年が手をつけられないのを良いことに、昨日のじゅるじゅるがペニスの先端からを緩く飲み込んでゆく。ゆっくり、ゆっくりとペニスは熱い粘液に覆われていく。しかし、それに対して打つ手を思いつかない。この繭に対して、少年は文字通り手も足も出ない状態に置かれていた。それも繭は、ただ蠢くだけではなく、今度はペニスを絞り込んでくるような圧搾感まで発生させてきた。
もう駄目かもしれない、そう少年は思い始めた。めくるめく快感がペニスから生まれ、次々自分の体に流し込まれるのだ。これ以上は耐えられないかもしれない。全身に力を込めて、少年は耐え続けた。
シャツがビッショリになるほど全身に力を込めて、耐えに耐えた。頑張れば結構耐えられるものだ。少年は、繭が生み出す新しい快感にも幾分慣れたような気がした。連続する責めに対して、少し耐性を身につけられたのかもしれない。人間、何事にも慣れる事が出来る、そんな悟りでも開いたような気持ちが沸いた。何とかなるかもしれない。希望が沸いてきた。そういえば、繭の動きも段々遅くなってきた。ひょっとしたら、このまま大人しくなるかもしれない。淡い期待ではあるが、また繭が眠りにつく可能性も十分ある。きっと繭は、ちょっと目を覚ましただけなのだろう。
だが少年は、搾精の為だけに存在する繭がどんなに狡猾な存在かを、判っていなかった。
確かに同じ刺激が繰り返されるだけであれば、それに慣れる事が出来る。変化が無い限りは。繭は、本能でその事を知っていた。そればかりか、先ほどからは、少年の限界をじっくりと探っているのだった。どこまで少年を追い込んでもよいのか、また、どうすれば少年がよりよがり狂うのか。更には、少年のペニス隅々の感度まで既に把握していた。その上で、少年を一旦休ませようとしていた。次の責めで、少年を今よりもっと高い山の天辺に押しやれるように。
一方少年は、単調な動きを繰り返すばかりの繭に、その動きを見切った気になっていた。確かにさっきは危うく果ててしまいそうになったけれど、これが繭の与える刺激の上限であれば、なんとか乗り切れるに違いないと。先ほどの吸精は、単に繭が少年の限界を見極めようとしていただけということや、まだ実際にはほとんど手の内を見せていないことなど、少年には知るよしも無かったのだ。
なんとか、料理を半分ほどまで平らげることが出来た。これを片づけてしまえば、少し早く広間を出ても咎められることはない。少年は、繭の誘惑が弱まったこのタイミングにこそ、集中して料理片づけようとした。だから、再び繭が脈動を強めたことに直ぐには気づかなかった。
少年が変化に気づいたときは、もう状況は完璧に繭の手中にあった。繭の刺激が弱まった先ほどの一瞬のみが最後のチャンスだったのだ。今や、歩いて広間を出ることは選択肢に残っていなかった。繭の動きは徐々に巧みになってきている。気づかれることなく、ゆっくりその動きを強め、少年のペニス全体を手中に収めていた。繭は、もはや単なる粘液の塊ではなく生きた蜜壺へと変貌していた。少年が繭の再攻に気づいた瞬間に、ペニスを覆う繭は更に強く脈動を始めた。強く締め付け、ゆっくりと膨張し、またペニスを締め付ける。繭の内部はじゅぶじゅぶのグニュグニュで、亀頭のみならず茎も含めたペニス全体を丹念に刺激する。
「あぅぅ」
皆との食事をしている最中にも関わらず、椅子の底から股の付け根に這い上がってくるような刺激に少年はただ一人晒される。激しくなるその責めに、少年は手にナイフやフォークを握ったまま、思わず全身を硬直させた。股間から湧き起こるそのあまりの快感に、もはや食事どころか、手足さえ満足に動かせない。口からは涎が垂れ始め、首筋からシャツを濡らし始めた。たが少年は、そんな事にさえ気づく余裕が無かった。
小さな卵で出来た繭は、段々と吸精用蜜壺としての機能を発揮し始めていた。成長した繭は、昨日よりも更に強い圧力を加えながらぴっちりと密着してペニスを覆う。当然小さな卵でベトベトの内部は、ヌルヌルしたヤスリでこすりあげる様な一層の粘着感と共に、より耐え難い刺激を伝えてくる。
少年の呼吸は、マラソンの後の様に乱れた。
もはや普通に息が出来ない。大きく息を吸おうとしたら、それはきっと嬌声になるだろう。
食事中なのに、そんな変な声を漏らしたりしたら、思いっきり周囲から怪しまれてしまう。
何か気付いたのだろうか、特に沙織が怪しんでいるようだった。
今はじっと耐えるしかなかった。
仮に今急いでここを飛び出したとしても、もはやペニスを限界までふやかせられたこの状態では2、3歩以上歩けるとは到底思えない。動いた瞬間にその振動で絶頂に達して、広間の途中で倒れてしまうに違いない。
なんとか今をしのぐしか方法が無かった。少年は快感にふらつく体を抑えようと足に力を込め、しっかりと踏ん張る。さもないと、快楽による震えが全身に伝わって、周囲に丸わかりになってしまいそうだ。今は、昨日と違ってリル・マンティスは居ない。単に、ペニスにプチプチした卵の繭がピッタリと張り付いているだけだ。
駄目だ。繭だけでも手に負えそうに無い。ペニスに、ネットリと絡み付いて動いている。まるで見えない手で扱かれるように甘美な刺激が次々に送り込まれている。その動きは、手などでは実現できないように変幻自在で、かつそれを防ぐ手段は全く無かった。
精液をねだるその繭の動きは、どうすればより少年から搾精出来るかを学習し尽くしていた。人外の快感を発生させるその壺はもはや、少年専用にその動きを調整しきっていた。ビクビクと激しく動く内部にもかかわらず、繭の外観からは何もおかしな点が見え無いのが唯一の救いだ。少年がピンと硬直しているのを除けば、誰もこの状況に気づかないでいてくれるだろう。もう少しすれば大半の食事がすむので、食堂から人気が少なくなる。あと、ほんの10分ほど持ちこたえればいいのだ。
だが、少年は忘れていた。
昨日どんなに、自分が快感に耐えきれず、のたうち、暴れ回ったかを。そう、リル・マンティスが巧みに少年の動きを封じていたから、ベッドから転がり落ちたり部屋の壁に穴を開けたりする羽目にはならなかったのだ。
でも今、彼女は居ない。
少年は自分の力だけで、快楽に跳ね回りそうな身体を押さえ込んでいた。
大丈夫。
昨日より繭が与える快感が進化しているけれど、リル・マンティスと二人(二匹?)掛かりの責めでは無い。じゅるじゅるした感じが何か昨日とは少し違うけれど、きっと耐えきれる、そう思っていた。少年は、いまだに繭の実力に気づいていなかった。
あと、少し。
そのとき繭の中で、小さく軟らかなものがペニスに触れてくるのを感じた。
にゅるにゅるの粘液の中で、それは別な動きをしているようだ。
何かがドロドロの中を泳いでいる?
何処かを目指して移動しているようだが、その動きがじゅるじゅるの海の中で新たなる刺激となる。目指す場所が段々はっきりしてきた。そいつは、漏れ続ける匂いに惹かれたに違いない。幹からカリ首を小刻みに刺激しながら、ついには敏感な亀頭に取り付いた。粘体の刺激と違った、ジェル状の固さを持った物体による刺激は強烈だった。今にも達しそうになる自分を、少年は必死に抑えた。
だが。
小さなソレは、遂に鈴口に達すると、頭を鈴口に突っ込み、強烈な振動を開始した。
我慢。少年は我慢したつもりだった。
口から垂れ始めた涎が、既に首筋から服の中へと筋を作り始めていた。
限界を超えた刺激にも、確かに声は出さなかった。
しかし、あまりの快感に制御を離れた手からは、とうとうフォークが床に落ちてしまった。
チリーン
固い床に当たったフォークが物凄い音を立てたように少年は思った。落としたフォークは食事のルール上、付き人に拾って貰う必要があった。喧噪が、少年の周りだけ静かになって行く。落としたまま、合図さえしない少年に周囲の興味が集まりだしたのだ。でも今の少年には、とても手を挙げて人を呼べるような余裕がなかった。
「はい。どうぞ」
幸いなことに、少年が呼べなかったにもかかわらず、付き人はフォークを拾ってくれた。
そのフォークを、
フォークを・・・
もはや、手が快感で震えないよう抑えるのに精一杯で、少年はフォークを受け取ることが出来ない。
「どうしたんですかぁ」
いけない、怪しまれてしまう。
でも、ペニスに加えられるている悩ましいマッサージは、昨日のような単純な収縮では無い。少年も、繭が今まで手加減をしていたことに遅まきながら気づいた。繭は今や少年をよがり狂わせるリズムを完璧に把握してきているようだった。また、そのリズムも、段々強力になってきた。手で扱かれるより更に甘美な繭の内部、ペニスを包む感触だけでも少年の限界は近い。それに加え、鈴口に加えられる刺激は、ペニスに電流を流しているのではないかとさえ思える。少年を呵む苛烈な刺激に、返事さえ思う様に出来ない。
(どうしよう)
そう思いながらも、ペニスを快感に支配された少年は身動きも出来ずにいた。
だから付き人が、普段と違うロングスカートの見慣れない女性だということに、少年は全く気づかなかった。
すっと、フォークが少年の手に滑り込んできた。
白い手袋をした付き人の女性が、少年の手にそっと背後から渡してくれたのだった。
お礼を言うどころか、手に力が入らず、それをちゃんと握っておくことも出来ない。
「ねえ、お礼の言葉も言えないんですかぁ」
付き人の女性は、無礼にも無言を守る少年の耳元へ、背後から囁きかけた。
少年の手は、未だ妙に軟らかなあの手袋でしっかりと掴まれている。
その言葉を聞いた瞬間、少年の首筋の毛が少し逆立った。
何かおかしい。
いや、お礼の言葉一つ言えない自分の方こそ、おかしいに違いない。
でも体の制御を失った少年には、どうすることも出来なかった。
「フフ、お食事、手伝ってあげますねぇ」
背後の女性は、少年の手にフォークを持たせた後も、その手を握りしめたままだった。
彼女の白い手袋は、柔らかくて、それでいて何故か肉感的だった。
股間の刺激だけでも対処出来ないこの状況で、手袋の感触がどうしても頭から離れなかった。
妙な素材の手袋は、まるで手袋が溶け始めているかの様にとろっとした肌触りを少年の手の甲に伝えてくる。女性が手を動かすと、少年の手はまるで羽で撫でる様な柔らかさと、同時に液体をトロトロ塗りつける様な刺激を手袋から受けた。溶けて包まれる様なその快感は、手首の中にまで染み込み、そのまま心臓に向けて流れ込んでくるようだった。
少年は刺激の嵐を受け続けて、辺りを見回す余裕が全く無くなっていた。だから、先ほどこの女性が、少年が口元から涎を流し始めるのを見て妖艶な笑みを浮かべていたことなど、全く気づいていなかった。
「はい、あ〜ん」
硬直して少年が拒否の身振りも出来ないのを良いことに、後にピッタリと張り付いた女性は更なる振る舞いに出た。少年の硬直した腕にやさしく手を添え、強引に少年の口に料理を近付けた。少年が冷静であれば、付き人が食べさせたりすることなど、まずあり得ない事に気づいたに違いない。
「さあ、お口をあけてぇ」
手首と、腕と、背中と、耳元に吹き付けられる甘い声と、股間で執拗に蠢く繭の刺激。全てが少年の限界を超えかけていた。口を開こうとして、まだ前のものを食べきっていない事を少年は思い出した。でも、もはや口内の物を咀嚼することさえ出来そうにない。
ちょっとでも口を動かしたら、嬌声が迸りそうなのだ。
「ほら、どうしたのぉ。はい、あーん」
ますます顔を耳元に寄せながらで、女性が少年の手を操りながらフォークを差し出している。艶めかしいその囁きが、耳ではなく少年の頬から内部に浸食してくる。また単に手を添えているというよりも、少年の手をしっかりと手袋で包み込んだまま、小刻みに動かし続けている。
ぼうっとなった少年の目は、フォークに刺さった料理ではなく、囁きかけてくる真っ赤な彼女の口元に釘付けになっていた。女性の真っ赤な口からは、「あーん」という音に合わせて、みずみずしい舌が蠢いているのだ。少年の脳は、もやは会話を理解出来なくなっていた。
少し、かすれたように甘く優しい音と、自分を誘う舌の動き。それが少年に理解できる全てになっていた。
自分の直ぐそばで、軟体動物のような舌が動いている。ぼんやりした記憶から、昨日のリル・マンティスから受けた、凄まじいまでの舌技が浮かび上がってくる。あの舌で、昨日と同じように舐め上げられたら、どうにかなってしまいそうだ。
頭の芯までぼうっとした少年は、女性にまとわりつかれたまま、どんどん理性を失いつつあった。それは女性から立ち上る、悩ましい芳香を嗅がされ続けたせいもあるかもしれない。チョコレートのように甘いその香りは、少年の理性を溶かし、血液を熱くさせる何かが含まれているようだった。
ズン。
ペニスにつよい窄まりが巻き付いてきた。とうとう繭は、どうやったらいっそう少年の官能を掻き立てられるか、ペニスの反応からより相応しい動きを学習したようだ。昨日のような単調さで繭を脹らませたり萎ませたりするだけでなく、今では回転しながら巻き付くような複雑な動きを見せていた。昨日とは違う、慣れない刺激に少年は意識をゴッソリ持って行かれそうになった。もはや少年は自分が何をしなければいけないのか解らなくなっていた。ただ、自分が何かマズイ状況に陥っている事だけは解っていた。
ひたすら耐え続けているものの、少年は全身に汗を浮かべていた。下着や服は、多量の汗を吸って既にグッショリと重たくなっていた。もうじき、水を吸った部分の変色が目立ってしまうであろうほどの発汗であった。水分で重さを増した衣服は、拘束着のような効力を発揮し始めていた。体が自由に動かなくなっていく一方、次々ペニスから生み出される快感に、足の震えが止まらなかった。
今や震えは足だけなく腰にまで及び、力の入らなくなった少年の身体は椅子から崩れ落ちそうだった。だが、そんなグニャグニャになった少年が床にずり落ちないのは、背後の女性が身体をしっかりと支えているからだ。それは、支えているというより、拘束と呼んだ方が相応しいかもしれない。
ようやく、再び繭の刺激が弱まった。硬直状態から解け、少年は何でもない振りを続けようとした。しかし折角の料理に、今までちっとも身動きしなかった少年の態度は、付き人にある決意を与えたようだった。
フォークを突きつけながら少年の口元へ、彼女は真っ赤な唇を近づけた。
「さあ、食べてぇ」
甘い声で囁く。言葉に合わせて彼女は自分の口も開閉させて、少年に食べる事を視覚的に強要する。唇が開いたり合わさったりする都度にその隙間から舌がチラチラと見えた。繭も、少年の視覚にその動きをあわせてくる。いままでの蠢きから、まるでフェラをするような擦りあげる動きへと変わった。
『中で溶かしてあげるわよ』と言わんばかりに、舌が唾液にまみれながら彼女の口内で蠢いていた。悩ましい吐息を吹きかけてくる口を見つめながらだと、まるでフォークによる料理の受け渡しではなく、彼女から直に口移しをされているような気分になる。
同時に、下半身のほうでも繭の中でペニスがまたしても丁寧に扱かれ始めた。まるで山の頂上付近で少し休ませ、更に上へと追い立てるように。そして少年の上半身では口を食べ物で無理やり塞がれ、背中には背後から女体が密着する。まるで抱きつかれているかのようだ。
耳に息を吹きかけられながら、じんわり囁かれると、もう会話としては認識できない。脳へ直接甘い振動となって、吸い込まれていく。
「さあ、食べてぇ。ほら、早く」
何を食べていいのだろうか。
先ほどから女性の語尾は、甘ったるい響きを帯びている。けれども少年は、もはや会話のニュアンスなど理解できない。単語さえもきちんと認識出来なかった。繭も、言葉に合わせて急かすようなピッチでペニスを扱きだした。
ただただ、目の前には淫蕩な表情を浮かべた彼女の顔が、そして甘い響きは顔を透過して脳を揺さぶり、ペニスに巻き付いた繭は人外の快楽を植え付け、背後には女性の軟らかな胸があたっている。傍目にはただ単に、フォークで食べさせて貰っているだけだろう。だが、実際には後の女性に口移しによる強制給餌をされながら、ローションをタップリつけた手で物凄い勢いでペニスを扱きたてられているとしか思えない。
そう、まるで昨日の状況と同じだった。リル・マンティスにガッチリと押さえつけられ、軟らかな体に包み込まれ、卵管でペニスを吸精され続けたあの夜と。
昨日のようにきつく抱きしめられて、射精したい。でも、少年はかろうじて耐えていた。
いや、正しくは繭が、少年をぎりぎりのところで上手く操っていた。
あまりの快感に、少年の目が霞んできた。分泌さえ制御できず、涙で目が潤んだようになった。ぼやけた視界の中で、付き人がじっと少年を見つめていることだけが分かる。
そこまでつくしてあげても、一向に食べようとしない少年に業を煮やしたのか、彼女は少年の腕に自分の手を巻き付ける様にしながらフォークを口の中に差し込んできた。ふわりと少年に巻き付く彼女の制服は薄く、下に潜む肉体の体温とその素晴らしい弾力を、ハッキリと少年へ直に伝えてきた。
食べ物を口にいれたまま、新たなる接触にますます惚ける少年に、付き人の女性イライラは増してきたようだ。フォークがぐりぐりと動かされた。その強い動きで、新鮮なデザートが舌の上で潰れた。
その甘い果肉は、フォークの動きに合わせて少年の舌をねぶるように何度もなぞる。繭も、フォークの動きとピッタリ合わせた窄まりをペニスの先から根本まで前後させ、息のあったフェラチオ感を演出する。柔らかく潰れた果物はタップリと水分を含んでいて、甘い果液が口中に溢れかえる。口を半開きにしたまま閉じることさえ出来ない少年は、唾液の様な粘度を持ったその果汁をそのまま口外へ滴たらせ、涎の筋を増やした。
傍目には、単に食べさせて貰っているだけかもしれない。しかし、少年とっては自分の舌を背後の彼女に蹂躙され、全身を動かすことも出来ず、股間を繭に責め抜かれているのだ。彼女が少年を背後から単に支えているだけの筈だが、少年には上半身を女体で出来たやわらかな肉椅子にガッチリ固定されているようだった。
この甘い罠から少年は全く身動き出来なかった。少年を包み込み、甘く責め続ける音・吐息、肌・圧力・ペニスに執拗に続けられる刺激全てから少年は逃れることが出来ない。状況は、昨日の記憶とピッタリ重なった。
もう、これ以上は一刻も我慢できない。
そんな瞬間、彼女は信じられない言葉を脳に注ぎ込んできた。
「ねぇ、もう限界なんじゃなぃ」
少年の状態を、最初から知っていたのだ。
恥辱に脳が沸騰する様なその言葉と同時に、今まで味わったことのない刺激が少年のペニスに襲いかかった。
ズリュン。
聞いたことも無い音が聞こえた。
破裂するかと思えるほどの射精感。
だが、輪精管を逆方向に遡るこの射精に似て異なる放出感。
と同時に、ペニスの奥底で凄まじい快感が爆発した。
精巣まで直撃する刺激に、目の前が白くはじけた。
今までになく大量に製造された精液が、一気に放出されようとする。
そう、どうせ繭の外に漏れないのだから、我慢する必要は無かったんだ。
もはや少年は人目さえ気にせず、一気に解放感へ登り詰めようとした。
だが、精液は一滴も放たれることはなかった。
凄まじい圧力とともに打ち出された白濁液は、砲口内で塞き止められていた。
繭の中で、何かが輪精管に差し入れられているのだ。
柔らかで細長い、しかし粘体よりも独自の動きを持ったそれ。
鈴口を責めていたジェル状の触手が、とうとうペニスの内圧に逆らって内部へ進入してきたのだった。
輸精管をくぐり抜け、一気に精巣を直撃した触手が、そのまま輪精管を塞いでいるのだ。
行き場を失った精液は、強烈な射精感を少年に与えながらも一滴も漏れ出ることはなかった。
そして過剰な快感は、出口を求めてスパーク放ちながら少年の体内で繰り返し迷走する。
もはや神経が伝えることの出来る限界を超え、神経細胞が焼き切れる寸前になると、少年は
熱さを感じているのか、まぶしい光が見えているのか、身体が溶けかけているのか、自分が
破裂しそうなのか、全ての感覚が混ざり合い、少年の脳に何かを焼き込んだ。
刹那、背後の女性が素早い動きを見せて少年の口へ多量の料理を放り込む。
全身を振るわせながら放たれた叫びはその料理に塞がれ、食事中の広間に少年の断末魔の絶叫が響き渡ることは無かった。痙攣しながら椅子から体を弛緩させて崩れ落ちる少年を、女性はそのまま腕にやさしく抱き留めた。
そんな外の状況に影響されず、繭の中では輪精管から精巣の中にまで触手が伸ばされ、更に精液を製造させ続けた。そして気絶している少年の繭の中では、触手が一時たりとも休むことなくペニスの内部と外から刺激を与え続けていた。目を覚ます頃には、果てることが出来なかった今の快感と、気絶している間の刺激が少年のペニスにタップリ蓄積されているに違いない。限界を遙かに上回る性感が、更に少年を襲うのだ。
手足をだらんと弛緩させ垂らきった状態のまま、少年は付き人の彼女に運ばれて行く。すらりとした彼女のスカートは極限まで長く、足首はチラリとも見えなかった。それなりに重いはずの少年を、お姫様だっこで抱えているにもかかわらず、何故かその足取りは床の上を滑るようにスムーズだった。ふらつくこともなく、床から直立して歩く彼女の立ち居振る舞いは、訓練の賜なのだろうか。
広間から運ばれて行く少年の後ろ姿を、沙織は最後までじっと見ていた。
広間を出ると、まだ昼食会中のこの時間は人気が無かった。
気絶した少年を保健室へ運びながら、その耳元で、付き人の女性がそっと囁いた。
「 強制的に搾り取られる快感と陵辱、まだまだ存分に味あわせてあげる 」
※現在も加筆/修正中ですので、最新版についてはMEGAZONE WORLDをご参照下さい。
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