磯飼牧場での牧畜実体験
「鶏のように――ですか。この手で、精液を搾ってもらいたいのですね。では――」
「え……?」
心の準備を整える暇もなく、七葉はつかつかと僕の背後に回り込んできた。
そして、背中側から抱き付かれたと思ったら、あっという間に組み敷かれていたのだ。
いや――さっきの鶏のように、抱え込まれたといった方が正しいか。
僕は小柄で華奢な方とはいえ、それでも七葉より大きい。
そんな僕を、いとも簡単に押さえ込んでしまったのである。
七葉によって後ろ向きに抱かれ、僕は動きが封じられてしまった。
両腕はまとめて脇に挟まれ、両足は膝へと挟み込まれ――
今の僕にできることは、背中で七葉のふくよかな胸を感じるのみである。
「人間は、服があるから面倒ですね……」
七葉は両腕を僕の下半身に回し、たちまちズボンと下着を取り去ってしまう。
すでに最大限まで勃起したペニスが、外気へとさらされた。
同い年の華奢な女性に抱え込まれ、動きを封じられたまま股間をさらされる――
その屈辱と興奮に、ペニスはびくびくと打ち震えている。
「では、射精するまで性器部を刺激します。気持ちよくなったら、そのまま出して下さいね」
七葉のしなやかな両手が、ゆっくりと僕の股間へ伸びてきた。
何頭もの家畜を射精させてきた、七葉の手。
しなやかな魅惑の手が、僕をも家畜のように射精させようとしている――
「あ、あぁぁ……」
思わず、さっきの鶏のように体をわななかせてしまう――が、七葉の拘束によって逃げることもできない。
そして――とうとう柔らかな掌が、僕の最も敏感な箇所に触れてきた。
「あ、ぅぅぅ……」
温かい掌が、ぎゅっと僕のペニスを包み込む。
そのままやわやわと、ソフトな手付きでマッサージが施された。
その握力もきつくなければ、激しく動かされているわけでもない。
まるでさっきの鶏が受けたような、つまんで指の腹で撫でさするような優しい刺激だ。
七葉の親指、人差し指、中指の腹が、サオから亀頭までをさわさわと撫でさすっている――
極めてソフトな動きにもかかわらず、驚くほど気持ちいい。
「ふふ……これが、マッサージ採精法。実体験してみた感想はいかがですか?」
「き、気持ちいいです……うぁ、ふぁぁ……」
人をイかせる手付きではなく、鶏をイかせるための手付き。
それで股間を刺激されて、絶頂へと追い込まれていく――
じわじわと人間としてのプライドが蝕まれ、七葉に屈従する悦びが沸き上がってきた。
このまま、七葉によって一方的にイかされてしまうのだ――家畜のように。
「あ、七葉さん……! あぅぅぅ……」
七葉の指が優しくペニスの表面を這うたびに、僕は身をわななかせていた。
彼女の胸に抱え込まれ、身動きも出来ないままに感じさせられているのだ。
その指先で翻弄され、陰茎全体に入念なマッサージを施されて――
そんな背徳感と容赦ない肉体的快感は、僕に我慢を許さなかった。
「尿道口から、カウパー氏腺液が溢れ出してきましたね。そろそろ射精に至りそうですか?」
僕のペニスを優しく撫で回しながら、七葉は尋ねてくる。
「は、はい……」
マッサージによって、じんわりと込み上げてくる射精感。
痺れたような感覚が腰を包み、ペニスを通じて外側へ溢れ出ようとする。
しかし刺激がソフトなせいで、弾けそうで弾けない。
「あ、あぁぁぁぁぁ……」
僕は七葉の胸に背を預けながら、甘い痺れが持続する感覚を味わっていた。
イきそうでイけない、もどかしさにも似た感触――
「私に精液採取される家畜は、みんなそうやって表情を緩ませるんですよ。
……では、射精させますね」
そう宣言すると同時に、七葉は左手で計量カップを掴んでいた。
これから、予告通り射精させられる――最も恥ずかしいコントロールをも、七葉に委ねてしまっている屈服感。
そして――七葉の人差し指の腹が、裏筋の部分に当てられた。
その弱点を軽く圧迫するように、くりくりと指の腹で円を描くように――マッサージの延長線上にある指さばき。
射精寸前にまで追い詰められていたところで、裏筋を刺激され――あえなく、僕は果ててしまった。
「あ、あぁぁぁぁぁぁ……!!」
ドクドクと、尿道口から溢れ出る精液――七葉は、それを計量カップで器用に受け止めていた。
それも当然、これは精液を採取する作業なのだ。
「鶏の場合……射精の反応が始まったら、退化交尾器をつまむようにして搾ります。ほら、こういう風に――」
「あ、はぁぁぁぁぁ……!!」
亀頭を二本の指で摘み、キュッキュッと先端部を刺激してくる七葉。
それも、ドクドク精液を迸らせている最中の亀頭を――
射精中のペニス先端部を、細い指先で容赦なく搾ってきたのである。
「あぐ、う、うぅぅぅぅぅー!!」
脈動のリズムが乱れ、ドプドプと精液が溢れ出る。
身をよじってしまうような、強力な刺激。
射精中のペニスをいじられる、独特の屈服感。
まさに、無理やり搾り出されるという感覚がぴったり。
「こうやって、最後の一滴まで搾り出します。鶏も人も同じですね」
「あぐぅぅぅぅ……」
射精が終わっても、亀頭は指先できゅうきゅうとつまむように刺激され――
尿道に残った精液まで、残らず搾り出されてしまったのである。
僕は七葉に抱え込まれたまま、まるでタコのように脱力してしまった。
「貴方の精液、採取しました。濃くて粘りがあって……健康そうな精液ですね」
計量カップに溜まった精液を眺め、七葉は目を細める。
「もう少しだけ、レクチャーしましょうか。鶏の場合、今のような尾部マッサージで採精するのが一般的ですが……
豚も人工膣を用いる場合の他に、手で性器を刺激して射精に至らせることがあります」
七葉は、まだ僕を解放してくれなかった。
「手掌圧迫法と言われる方法ですね。豚は、非常に独特な螺旋状の性器なのですが――
それを圧迫してやることで、豚は射精に至るのです。このように――」
「あ、あぁぁ……」
僕の体を背後から抱え込んだまま、肉棒を優しく撫でていた七葉。
その動きが変化し、きゅっ……と、ペニスを握る手に力を込めてくる。
両掌が左右から包み込むようにペニスを覆い、じんわりと圧迫してきたのだ。
「うう、気持ちいい……」
「豚は、この刺激で射精に至ります。人間の貴方は、どうなのでしょうね……」
クスクスと笑いながら、七葉はペニスをじわじわ圧迫していく。
それは決して強くなく、心地よい刺激。
温かい掌で、じんわりじわじわと締め付けられる――その密着感。
豚を射精させる方法で、またも僕はイかされてしまうのだ。
されるがまま、精液を採取されるしかない――それが、今の僕だった。
「あ、あぁぁぁぁぁ……!」
七葉の掌の中で快感がみるみる沸き上がり、僕は喘ぎ声を漏らす。
しごくわけではない、じわじわ圧迫するだけの非常に単調な刺激。
にも関わらず、まるで魔法のように快感が沸き上がってくるのだ。
何頭もの家畜を射精させてきた、七葉の手さばき。
それを味わいながら、人間である自分さえ精液を採取されてしまう――
そんな倒錯感が快感を倍加させ、たちまち僕は限界を迎えそうになった。
「もう、出る……! あぁぁぁぁぁ……!」
「あら……もうイきますか」
射精の脈動を関知し、七葉は左手で計量カップを取る。
右掌は、カリを優しく圧迫したまま――その刺激で、僕は絶頂を迎えていた。
「あぐ、うぅぅぅぅぅぅ……」
人間でさえ家畜のごとく射精させてしまう、七葉の魔性の手。
その掌の中で僕は果ててしまい、溢れ出した精液は計量カップへと注がれていく。
優しく締め付けられているせいで派手に飛び散ることもなく、断続的に垂れるように溢れ出る白濁。
「二度目というのに、こんなにいっぱい……」
「あぅぅぅぅぅぅぅ……!」
射精している間も右掌での圧迫は続き、僕にだめ押しの快楽を与え続けた。
そして再びペニスを絞り上げるようにして、最後の一滴までを染み出させる。
とろけるような射精が終わるまで、ペニスはきゅうきゅうと圧迫責めを受けたのである。
「はぁ、はぁ……」
「ふふ……ずいぶんと採取できましたね。家畜の気持ちが、理解できましたか?」
ようやくペニスから手を離し、計量カップに白濁がどっぷり溜まっているのを確認し――七葉は、くすりと笑った。
僕は、二回分の精液を七葉に採取されてしまったのだ。
それは、まさに屈辱の採精。それを味わわされた僕は、心地よい倦怠感と恍惚感に浸り続けたのである。
「精液を採取した後は、希釈作業を行います。この専用の機械を用い――」
「……」
「そして、このように冷凍保存します。温度はだいたい摂氏5度――」
「……」
以降の解説は、ほとんど頭に入らなかった。
気付けば、時刻はもう夕暮れ時。
ぼんやりしている間に、いつしかレクチャーは終わってしまったようだ。
そして僕は、帰途に着くべく牧場の出口に立っていた。
七葉は、何事もなかったような顔で僕を見送る。
「あらあら、すっかり骨抜きになってしまったようですね。
勉学に悪影響が出ないようにしないといけませんよ。まだまだ貴方は、学生の身分なのですから……」
そんな七葉の言葉も、どこか現実感を喪失しているような気がした。
あの鮮烈な体験は、僕を抜け殻のようにしてしまったのだ。
「大学をきちんと卒業したら、またこの牧場にいらっしゃい。
今はバイトのみで人手が少ないので、男手は大歓迎です。正式採用も考えますよ」
七葉はそう言って、握手をするかのように手を延ばし――ズボンの上から、股間をさらりと撫でた。
「また……精液も採取してほしいでしょう?」
「……!!」
七葉の一言に、僕はばっと顔を上げる。
「従業員の下半身を管理し、精液を定期的に採取する……女牧場主としては当然ですよね。ふふっ……」
艶やかな笑みを浮かべる七葉に対し、昂ぶる感情を隠せなかった。
まるで、七葉にすっかり調教されてしまったような感覚――
再びこの牧場に来ようと、僕は決意したのである。
次は、ちゃんとした従業員――そして、家畜として。
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