「おいお前、何をやってるんだ！　その人を離せ！！」

　僕は勇ましい声を上げながら、颯爽と岩陰から飛び出していた。

　「何だお前……文句があるのか？」

　男は突然の闖入者に対し、鋭い視線を向けた。

　一方、女性は目をまん丸にしてきょとんとした表情を浮かべている。

　「うぉぉぉぉぉ！！」

　僕は拳を振り上げ、男に躍り掛かった――

　次の瞬間、男の蹴りが僕の腹に直撃する。

　「がはっ……」

　腹部を襲う強烈な痛み。

　僕はその場に膝を付き、ずるずると倒れてしまう。

　いともあっさりと、暴漢は僕を撃退してしまったのだ。

　「あらあら……」

　女性は、横たわる僕に心配そうな視線を送ってくる。

　「く、くそ……」

　僕は砂浜に這いながら、自分の無力さを味わっていた。

　みぞおちに決められた一撃の痛みで、立ち上がることすらできそうにない。

　「へっ、引っ込んでやがれ！」

　男はそう吐き捨て、その視線が僕から女性へと移る。

　そして暴漢は、再び女性に襲い掛かっていた。

　「えぇい、大人しくしろ！」

　そのまま女性の両肩を掴み、砂浜へと強引に押し倒そうとする。

　「……もう私、怒ってしまいました」

　頬をぷくっと膨らませ、女性はそう呟いていた――

　――と同時にその右腕を、滑らかに男の下腹部へと這わせる。

　「……いいッ！？　なんだ、お前！？」

　次の瞬間、目の前で信じられない出来事が起こった。

　男の海パンに滑り込んでいく女性の右腕――その肘から先が、しゅるしゅると形を崩してしまったのだ。

　彼女の細い腕は、十本以上のうねうねした触手に変質していた。

　それは半透明で、一本一本が別の生物のように蠢いている――

　そんな奇怪な触手が、しゅるりしゅるりと男の海パンの中へと次々に侵入していく。

　「な、なんだ――お、おぉぉぉぉ……！！」

　男は声を上擦らせ、奇妙な呻き声を上げていた。

　それは怯えでも、恐怖の声でもない。

　股間を中心に、海パンのあちこちが膨らみ、全体がぐねぐねと蠢く。

　あの中に侵入した触手が、激しく渦巻いているのだ。

　「悪いおちんちんは、ぐるぐる巻きにしてやっつけてしまいます〜」

　「おぉう……やめろバケモノ、気持ち悪ぃ……はぅぅ！！」

　不意に男が切羽詰まった声を上げ、そして表情が歪む――

　それと同時に、彼の肩や腰がひくひくと痙攣した。

　「気持ち悪いのですか？　でも、イっちゃいましたよ〜？」

　「あ、あぅぅぅ……」

　男の足がガクガクと震え、そして脱力していく。

　彼は今の僕と同じように、そのまま砂浜にぺたりと崩れてしまった。

　それでも女性の右肩から伸びた無数の触手は、男の海パンに潜り込んで離れようとしない。

　水着の中は触手が充満し、ぐにぐにと盛り上がって蠢いている。

　触手が妖しく渦を巻き、彼の股間を刺激しているのだ。

　「おう、おぁぁぁ……！」

　男は快楽の声を漏らしながら、砂浜に這ったまま全身をわななかせた。

　小刻みに震える彼の体から、与えられた快感が伺い知れる。

　「ほらほ〜ら。反省しましたか……？」

　「バ、バケモノ……」

　男の口から出た、そんなかすれた言葉。

　女性はいかにも不服そうに、ぷくっと頬を膨らませた。

　「ケダモノにバケモノって言われちゃいました。私、本当に怒りましたよ〜」

　眉を寄せて呟く女性――その体が、ゆっくりと変質し始めていた。

　ワンピースのスカート部分が半透明と化し、うにょうにょと生物のように脈動を始める。

　それはまさに、傘の部分を収縮させているクラゲそのもの。

　いや、下半身だけではない。

　足先から頭に至るまで、彼女の全身がゼラチン質のような半透明の姿と化していた。

　その頭もクラゲの傘を被ったようで、触手部分が髪のようになっているのだ。

　また両腕はばらばらに解けて、肩から先がそれぞれ複数の触手となっていた。

　スカートのごとく広がった腰の傘からも、無数の触手がざわざわと溢れ出している。

　まるで、女の姿をしたクラゲの怪物――それでいて、どこか呑気そうな女性の面影は崩れていなかった。

　「ひぃ……！　寄るな、バケモノ……！！」

　男は股間を嫐られながら、快感と恐怖で身をよじらせる。

　そんな彼の腰を、クラゲ娘はゆっくりとまたいでいた。

　「ひどいです〜、バケモノじゃないですよ〜」

　「うぁぁ、やめろ……」

　下半身の傘から無数の触手が伸び、足元の男の全身に絡み付いていく。

　それはまるで、獲物を捕らえるイソギンチャクのよう。

　たちまち男は全身を触手でぐるぐると巻き上げられ、拘束されてしまった。

　「悪い人は食べちゃいます〜」

　「う、うぅぅ……！」

　彼を跨いだまま、彼女のスカートのような傘部分がゆっくりと広がり始めた。

　足元の男を覆い、包み込んでいくように。

　「や、やめろ……！」

　たちまちクラゲの傘は男をすっぽり包めるほどの大きさにまで膨張し――

　そして、そのまま彼の体を覆い込んでいった。

　「ん、んんんんん……！！」

　無惨にも、クラゲの傘にすっぽりと包まれてしまう男。

　彼は触手に動きを封じられながら、芋虫のように全身をじたばたさせてもがく。

　あれは――食べているのか？

　彼を包んだ傘全体がぐにゅぐにゅと収縮し、激しく蠢いている。

　中の男が何をされているのか、まるで分からない。

　今は内部が透けては見えず、音も遮断され――ただ、傘の中で激しくもがいている様子だけは外部からでも視認できる。

　「えへへ、とっても美味しいです……」

　クラゲ娘は涼やかな顔で、自らの膨らんだ腰元を見下ろしていた。

　やがて傘全体の収縮が小さくなり、そしてゆっくりとサイズそのものが縮小していく。

　あの中に、男性一人分の体を包んでいたにもかかわらず――

　クラゲの傘は、たちまち女性の膝に届く程度のサイズにまで収まってしまった。

　つまり、もうあの男は――

　「ごちそうさまです〜」

　クラゲ娘は柔和な顔をほころばせ、にっこりと微笑んだ。

　「あ、う……」

　その一部始終を目撃した僕は、砂浜にへたり込んで腰を抜かしたまま。

　クラゲ娘は、今度はそんな僕に視線をやった。

　「貴方は、助けに来てくれた人ですね。とっても弱かったけど、嬉しいです〜」

　そして彼女はつかつかと歩み寄り、腰を抜かしている僕の正面に立つ。

　その透けた体に日光が指し、驚くほど綺麗に見えた。

　思わず恐怖も忘れ、僕は息を呑んでしまう。

　「勇気があって優しい人には、ご褒美をあげますね〜」

　そう言って、クラゲ娘は僕の腰を跨いでいた。

　ちょうど、さっきの男にしたように――僕は、たちまち血相を変えてしまう。

　「た、食べないで……！　どうか命だけは……！」

　「良い人は食べませんよ〜。いい気持ちにしてあげるだけです」

　クラゲ娘はまるでスカートをめくるように、ぺろんと下半身の傘をまくり上げた。

　その裏側には無数の触手が渦巻き、傘の内壁を形成するゼラチン質がぷにぷにと波打っている。

　グロテスクな淫猥さに、僕は思わず目を奪われてしまった。

　「私が上に座ってあげたら、男の人はとってもいい気持ちになっちゃうんです。

　　おちんちんの先っちょから、白いオシッコ漏らしちゃうんですよ〜」

　「そ、そんなの……」

　僕のペニスはすでに大きく膨らみ、水着の下でパンパンになっている。

　クラゲ娘の触手がしゅるりと伸び、海水パンツをゆっくりと引き下ろしてきた。

　ぴょこん、とバネ仕掛けのようにペニスが頭を出す。

　「おちんちん、とっても元気です〜。じゃあ、座りますね〜」

　「や、やめて……あ、あぁぁ……」

　クラゲ娘は、僕の股間を跨いだまま――にっこりと微笑み、ゆっくりと腰を下ろしてきた。

　それは、まるで騎乗位のような体勢。

　傘の中で渦巻く触手と、にゅるにゅるとざわめく内膜がペニスへと迫ってくる。

　僕は、怯えと期待に震えながら、それを見守るしかなかった。

　――にゅる、くちゅくちゅ。

　柔らかな触手が亀頭の先端に触れた――と同時に、触手はペニスへと巻き付いてくる。

　カリ首に絡んで、ゆっくりと締め付けられ――

　「ふぁ……」

　僕はその柔らかい感触に、顔を緩ませていた。

　同時にクラゲ娘は完全に腰を下ろし、彼女の傘の内部が僕の下腹部へと密着してしまう。

　ヘソの下あたりから、太腿の真ん中あたりまでクラゲの傘が覆い込んできたのだ。

　じゅるじゅると蠢く触手やうねる内膜が僕を迎え、接触している部分を愛撫してきた。

　「う、うぅ……」

　その快感に、思わず声を上擦らせる僕。

　ペニスには触手が絡み、複雑に蠢くゼラチン質に押し付けられる。

　その弾力に満ちたゼラチン質は、妖しげな脈動をペニス全体に伝えてきた。

　「えへへ〜。いい気持ちですか〜？」

　「あぁ、いい……気持ちいい……」

　呻く僕の男根に、彼女の触手は妖しく絡み付いてくる。

　カリから根本にまでぷにぷにの触手が絡み付き、ペニス先端部はうねる内膜にまとわりつかれていた。

　ヒダヒダの蠢く内膜は全体がじゅぶじゅぶと膨れては縮み、亀頭を覆ったまま収縮している――

　そんな快感の極みを直に味わわされた僕は、たちまち昇天してしまう。

　「あう……！　い、いく……！」

　「あらら……？」

　クラゲ娘は和やかな顔で、微笑みながら僕を見下ろしてくる。

　そんな視線にさらされながら、ドクドクと精を漏らしてしまう――

　「あ、あああああぁぁぁ……！！」

　柔らかい触手がぎゅるぎゅるとペニスに絡み、くいくいと締め上げて放出を促し続けた。

　さらに先端に押し付けられる独特のゼラチン質の感触で、僕は最高に心地よい射精を味わったのだった。

　「あは、漏らしちゃいました〜。いい気持ちでしたか？」

　快感に緩む僕の顔を見下ろし、クラゲ娘はにこにこと顔をほころばせる。

　「少しお腹が空いちゃいました。ちょっと食べてもいいですか？」

　「え……？」

　至福に満ちた僕の表情は、みるみる強張ってしまう。

　まさか、さっきの男のように僕を食べて――

　「違います〜、あの悪い人みたいに丸呑みにしちゃったりしません〜」

　クラゲ娘は、ぷるぷると首を左右に振る。

　「男の人が気持ちよくなると漏らしちゃう白いオシッコを食べちゃうんです。

　　私、さきゅばすの仲間なんですよ」

　「サ、サキュバス……？」

　つまり、精液を糧にする魔物……？

　目の前の呑気そうな女性とは、随分とイメージが違うが――

　「搾精腔っていう穴におちんちんを挿れて、そこでいい気持ちにしてあげるんです。

　　すると男の人がいっぱい漏らしちゃいますから、それを全部食べちゃうんです〜」

　非常に淫らな言葉を、クラゲ娘は平気で口走っていた。

　この女性が与えてくれる快感を、ぜひ味わってみたい。

　「お願いです〜。あなたの白いオシッコ、頂かせて下さい〜」

　「ああ……いいよ……」

　僕の頭は快楽への期待でいっぱいになり、迷わず頷いていた。

　クラゲ娘の顔が、ぱっと明るくなる。

　「嬉しいです〜！　じゃあ、頂きますね〜」

　僕の下腹部を覆うクラゲの傘――その内膜が、じゅるりと蠢き始めた。

　そして肉棒の根本に触手が絡み、真上へと引き起こされる――

　――にゅるん。

　「おうっ……！　おぁぁぁぁぁぁぁ！！」

　不意にペニスを包み込んでしまう感覚に、僕はあられもなく絶叫していた。

　ぷにぷにでヌルヌルの狭い穴に、僕の肉棒がねじ込まれてしまったのだ。

　彼女の半透明の傘の中に吸い込まれ、ペニスがびくびくと震えているのがはっきりと見える。

　「な、なにこれ……いい……きもち、いい……」

　「私の搾精腔です〜。さあ、中でいっぱい漏らして下さいね〜」

　にゅるにゅる、じゅるじゅるじゅる……

　弾力に満ちたゼラチン質の内壁が、僕のペニスをみっちりと包み込む。

　ぷるぷるの肉壁は四方から亀頭やサオを圧迫しながら、細かな収縮を続けているのだ。

　締め付けられ、揉み立てられるような感触に、僕は一瞬で達していた。

　「あぐ、ああああぁぁぁぁ……」

　彼女の傘の中に、ドクドクと精液が注がれる。

　その穴は、精を吸い上げるための器官。精液をじゅるじゅると吸い立て、ペニスを容赦なく嫐ってきた。

　「はう、うぅぅ……！」

　「あは、いっぱい出てます〜」

　クラゲ娘はにこにこと微笑みながら、自らの傘を撫で回す。

　その間にも僕のペニスはくちゅくちゅといたぶられ、天国のような快感を味わわせてくる。

　「ああ、締まる……締まるよぉ……」

　「えへへ、ぎゅうぎゅうしちゃいますよ〜」

　きゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……！

　ゼラチン質の穴がぎゅっとすぼまり、ペニスを甘く圧迫してくる。

　ぷりぷりとした肉壁に密着され、きつく絞られる――

　その締め付けの中で、僕はまたしても果ててしまった。

　「すごい……この中、すごいよぉ……」

　あまりの快感に射精を繰り返しながら、僕は喘ぐのみ。

　僕にのしかかったままにこにこと笑みを見せるクラゲ娘と、まるで交わっているかのような錯覚すら抱いていた。

　しかしこれは性交ではなく、彼女にとって食事なのだ。

　「いっぱい出してくれて嬉しいです〜。こんなこともできますよ〜」

　ぐにゅ、ぎゅるぎゅる……にゅく、にゅるにゅるにゅる〜

　なんと搾精腔の内部で、無数の触手がペニスへと絡んできた。

　ゼラチン質の締め付けに加え、触手の蠢きが肉棒を刺激してくる。

　「あ……！　うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！」

　あまりの快感に、僕は絶叫していた。

　触手はサオに絡み、亀頭や尿道口、カリをにゅるにゅると這い回って弄んでくる。

　敏感な部分を丹念にいじくられ、嫐り立てられる刺激。

　裏筋を執拗になぞられ、背筋が総毛立ってしまうほどの快感を味わった。

　「あはは、出しちゃっていいですよ。いっぱい吸っちゃいます〜」

　「いく……いく……うぁぁぁぁぁぁぁ……！！」

　触手に絡まれ、そのまま絶頂してしまう。

　ゼラチン質はペニスを包み込んだまま激しく収縮し、触手が蠢いて絡み付き――

　僕は、天にも昇るような感触を味わっていた。

　「あ、あぁぁぁぁぁぁぁ……いい、いいよぉ……」

　精液がドクドク漏れ出て、ペ二スの脈動は止まらない。

　クラゲ娘の傘に下腹部を包まれたまま、垂れ流し状態に陥ったのだ。

　「あひ……はぅ……」

　僕は呻きながら、彼女の半透明な傘に精液をドクドクと注ぎ込み続ける。

　ゼラチン質の内壁と触手のマッサージは、僕をひたすら射精させるだけのもの。

　自分は、この可愛らしいクラゲ娘に精液を搾り取られている――

　股間が溶けそうな快感を味わいながら、僕は数十回もの射精を強いられ、精液を吸い尽くされたのだった。

　延々と、何十回も――

　「えへっ、ごちそうさまです〜」

　これ以上射精したら死ぬ――そう思い始めた時、クラゲ娘はようやく終わりを宣言した。

　そしてゆっくりと腰を上げ、クラゲの傘を僕の下腹部から離し――

　優しい目で、砂浜に横たわっている僕を見下ろす。

　「とってもおいしかったです〜。また食べさせて下さいね。私、この辺でぷかぷかしてますから〜」

　そう言いながら、クラゲ娘は波打ち際へと歩いていった。

　そのまま彼女は波にさらわれ、頭頂の傘だけがふよふよと海面を漂う。

　それも、ゆっくりと沖へと遠ざかっていき――

　「……」

　僕は寝転がったまま、遠ざかっていくクラゲの傘をぼんやりと眺めていたのだった。

　まるで、すっかり心が奪われてしまったかのように――

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