メデューサ


 

 「そう、それでいい。それが賢明だ――」

 にゅぐ、にゅぐにゅぐ……!

 「あ、う……!」

 ペニスに絡んでいた何かが、ゆっくりと棒の周囲を回転するかのように蠢きだした。

 粘液を塗りつけながら、先端やくびれなど敏感な部分を妖しく滑る。

 目隠しされた状態――何をされているのか分からない状況で受ける、凄まじい快感。

 御咲先輩の体は、僕の背中に身を寄せたまま。

 片手は僕の目を塞いでいるので、自由なのはもう片手だけのはずなのに――

 「あっ……! せ、先輩……!」

 何か、明らかに指でないものがペニスに巻き付いてくる。

 カリの部分を擦り立てるように絡み、ゆっくりと締め付けてきた。

 また尿道口は、舌のようなものでチロチロチロチロと舐められ続けていたのだ。

 「どうだ? こういうことがされたかったんだろう?」

 「ああ、気持ちいい……」

 僕は、夢のような快楽を味わっていた。

 もう、どうでもいい。

 このまま御咲先輩に身を委ね、いつまでもこの快感を味わっていたい――

 

 「では、もっと凄いことをしてやろう」

 「え……!?」

 もっと凄いこと……?

 今でさえ、頭がぼんやりするくらいに気持ちいいのに――

 「強制的に搾り取られる快感、思う存分に味わうがいい」

 くちゅ、くちゅくちゅ……きゅっ。

 「え……? あ、なにこれぇぇぇ……!!

 僕のペニスは、唐突に狭いところへとねじ込まれていた。

 そこは口内のようにぬめっていて、そして生温かい粘膜が包み込んでくる。

 みっちりと肉壁のようなものが肉棒全体に密着し、ぎゅっと絞り上げてくる――

 「あ、ああぁぁぁ――!!」

 その甘い感触に、僕は身を震わせて絶叫していた。

 これは、何なんだ……?

 御咲先輩の体はほとんど動いていないにもかかわらず、まるでフェラチオされているかのような感触。

 柔らかい粘膜が僕のペニス全体をみっちりと包み、ちゅうちゅうと吸い立てられているのだ。

 さらにその粘膜はぐにぐにと脈打ち、カリを中心に刺激してくる。

 それは絶頂に直結する、明らかにイかせるための蠢きだった。

 「あぐ……! あ、あああぁぁ……!」

 「ふふ、射精――して構わないぞ。そのまま全部吸い尽くしてあげるから」

 「あ、あぐぐ……」

 なぜか僕は、必死で射精をこらえていた。

 おそらく無意識のうちに、御咲先輩の奇妙な奉仕に言い知れない恐怖と不安を感じていたのだろう。

 「ん……? 我慢しているのか?」

 御咲先輩は、僕の耳元で優しく囁いてきた。

 「我慢しても、射精するまで責められるだけなのに――

  必死で射精をこらえる君を、強制的にイかせてしまうのも悪くはないが」

 「あ、あうう……!」

 必死で耐える僕だが、それでも先輩は容赦なかった。

 「どうだ、無理やり射精させられる気分は――」

 ぐちゅ、ちゅるる、ちゅうぅぅぅ……!

 亀頭を覆い包んでいる粘膜がすぼまり、亀頭を柔らかく圧迫してきた。

 そのまま一気に吸引され、肉棒はとろけそうな感触を味あわされる。

 もう、これ以上我慢なんて――

 「ふふ、搾り取ってあげる。こんな悪戯、二度とする気が起きないようにな」

 「あ、うぁぁぁぁぁぁ――!!」

 どく、どくん、どくん……

 ちゅるちゅると吸われる刺激に、僕は耐えることができなかった。

 その温かく狭い空間の中で、二度目の絶頂へと導かれたのだ。

 まるで見えず、何をされているのかも分からないままに。

 

 「……さて、火遊びもここまでだ。そろそろ、全て忘れて貰おうか」

 「えっ……?」

 先輩がそう言った刹那、僕の意識にモヤがかかる。

 視界を閉ざしている闇が濃くなり、そして僕は深い眠りへと落ちていった――

 

 

 

 

 「うん、あれ――?」

 ふと気が付くと、僕は図書室の床で体を横たえていた。

 なんで、こんなところで寝ているんだ……?

 「ん? ようやく目が覚めたか……」

 そう言ったのは、図書部の部長である御咲鈴香先輩。

 何を隠そう、彼女は僕の片思いの相手でもある。

 「えっと、僕は……」

 「本棚の整理をしていて、いきなり倒れたんだ。驚いたぞ」

 そう言いつつ、先輩はまるで驚いた顔などしていなかった。

 確かに、図書室で作業をしていたことまでは覚えている。

 「おそらく貧血だろうな。朝食はちゃんと食べているか?」

 「あ、ええ……」

 異様に疲労した体を、僕はゆっくりと起こした。

 それよりも、御咲先輩に尋ねなければならないことが――何だったっけ?

 「あれ、おかしいなぁ。何か忘れてる気が……」

 「忘れるくらいなら、大したことではないのだろう」

 もっともなことを言う御咲先輩。確かにその通りだ。

 「今日は早く帰宅した方がいいな。一人で帰れるか?」

 「あ、大丈夫です。じゃあ――」

 僕はふらふらと立ち上がり、御咲先輩に礼を言ってその場を後にする。

 こうして、何の変哲もない一日が終わったのだった。

 

 何かがぽっかりと欠落した、奇妙な感覚――結局、僕はそれを取り戻すことはなかった。

 なお御咲先輩とは何も進展のないまま、卒業してしまったことを付記しておく。

 学生時代、とても綺麗で、不思議で、そして大好きだった先輩がいたというだけの話。

 そして僕は、そんな御咲先輩の顔すら忘れていった。

 

 

 



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