妖魔の城
こうなれば、イチかバチか――
俺は覚悟を決め、奥歯に仕込んだカプセルを噛み潰していた。
無味無臭の液体が、少量染み出てきたのが分かる。
それを静かに嚥下する――なにか体が変化したのか、まるで実感はない。
「じゃあ、ぴゅぴゅっと射精して下さいねー♪」
「あぅ……」
彼女の小さな掌が、きゅっと俺のペニスを握ってきた。
柔らかく温かな感触が、サオの部分を包んで揉み込んでくる。
「うぅぅ……」
右掌の筒に肉棒を包まれ、俺は弱々しく喘いでいた。
そんな様子を見て、メリアヴィスタはにぱっと笑顔を見せる。
「ほ〜ら、イかせちゃいますよ〜♪」
そのまま、しこしことリズミカルに上下する掌。
カリを適度に圧迫し、指の輪で引っかけるようにしながらの上下往復。
単調でリズミカル――その軽やかな動きは、刺激を与えて射精するだけのもの。
まるで、作業そのものの手さばき。
それなのに、メリアヴィスタの手淫はたちまち俺を追いやっていった。
「う、ぐぅぅ……」
男の意地で、少しでも耐えようとしたが――
「あはは、ガマンしてるんだ。でも、無駄ですよー♪」
「う、うぁぁぁぁ……」
カリを上下にしごきたてる動作に、抵抗の意思が削がれていく。
もう、メリアヴィスタの柔らかな掌しか感じられない――
「もうダメなんだ……くすっ」
「あぁぁぁぁ……」
俺をフィニッシュに導くべく、扱きたてる動作がどんどん速くなっていく。
そして、メイド達の無感情な眼差しを受けながら――
俺は、メリアヴィスタの手の中で果ててしまった。
びゅくびゅくと飛び散った精液が、メリアヴィスタの手を汚してしまう。
作業的な刺激で、あっさりイかされた屈辱――
そして、心地よい脱力感――俺は、何も出来ないまま横たわっているしかなかった。
「ふふっ……じゃあ、味見……」
人差し指で俺の精液をすくい取り、ぺろりと舌を這わすメリアヴィスタ。
その表情が、みるみるうちに強張っていく。
「……え? なに、これ……? これだけ良い匂いなのに、味は最悪……
苦いし、安っぽいし……こんなの晩餐に出したら、ノイエンドルフの名に泥を塗るくらい……」
再び俺に視線を戻すメリアヴィスタ――その目は、まるでドブネズミを見るかのようだった。
「ここまで来るほどだから、どれほど優れた精の持ち主かと思えば……幻滅ね」
「お客様に出せないとなれば――どうなされるのですか、メリアヴィスタ様?」
メイドの質問に対し、この場を取り仕切る副メイド長は決断を下した。
「……大した精じゃないみたい。『あれ』のエサにでもしようか」
「了解しました、ただちに……」
『あれ』の一言で、メイド達は理解したようだ。
そして、俺に対する待遇もたちまちのうちに変化した。
これまで、服を脱がせて、ここに横たえるまでの扱いにはまだ丁重さが感じられた。
ひどい待遇には違いないが――それでも、最高級の食材のような扱いだったのだ。
そんな丁重な態度は消え失せ、俺はテーブルから引き下ろされて台車に乗せられる。
まるで、自分が最高級のマグロから安物の魚に変化してしまったかのよう。
そのまま俺は、城の外れへと運び込まれていった。
途中からは安っぽい段ボール箱に詰め込まれ、荷物も同然の扱いで運ばれていくのだ。
この扱いからして、もう俺は助からない――それを確信してしまった。
「……ここは?」
目が覚めてみれば――そこは、不思議な空間だった。
周囲には見たこともない草木が生い茂り、広がっている。
俺が知っている中で、一番近い環境は熱帯雨林。
知らないうちに、城の外にまで運び出されてしまったのだろうか――
「廃棄処分になった侵入者ってのは、キミ?」
「……?」
不意に話しかけてきたのは、褐色肌の可愛らしい少女。
ショートカットに、くりくりした瞳。どこか野生児めいた雰囲気。
なんともあどけない風貌だが――こいつも、サキュバス。
「くっ……!」
俺は構えようとしたが、やはり体に力が入らない。
上半身を起こすだけで、精一杯の有様だ。
「ここはね、魔界にある『淫渦の島』を模した庭園だよ。なかなかトロピカルでいいとこでしょ?」
「……て、庭園だと?」
周囲には、見渡す限り広がっている森林――しかし庭園ということは、ここもノイエンドルフ城の中。
こんなものまであるとは、さすが妖魔の城だ。
「私は、この庭園を管理してるシルフィ。ここではね、いっぱい下等搾精生物を飼ってるの。
キミは、そのエサとしてここまで運ばれてきたってわけ。最低な待遇だね……あはは」
「そ、そんな……」
下等搾精生物の――餌?
そのおぞましさに、一瞬だけ目の前が暗くなる。
「だって、キミのザーメンはマズいんでしょ? そんなザーメンは、下等生物のエサにするしかないじゃない。
普通、ここに運ばれてくるのは家畜とかなんだよ。人間を餌にするなんて、本当に久しぶり……」
「や、やめろ……そ、そんな……」
身の毛のよだつような処分に、俺は戦慄するしかなかった。
家畜扱い――この連中は、なんと残酷なことをするのか。
「やめろって言われても……ねぇ。私は何もしないよ。事故が起きないように、ただ見張ってるだけ。
この森の生物や植物はねぇ、オスの匂いを嗅ぎつけると……」
「え……? う、うわぁっ!」
不意に、頭上から何かが伸びてきた。
それは、無数のツタ――しゅるしゅると俺の両手両足に絡み、たちまち自由を奪っていく。
体が万全なら、軽く避けられたはずなのに――悔しさと恐怖で、もう言葉も出ない。
そんな俺の体を無数のツタが絡め取り、空中へと持ち上げられた。
「あはは……さっそく来たね。その子は搾精花。オスの精液を、養分として吸い取るんだよ。
オスだったら何でも良いから、普段はウシやらウマのザーメンを吸わせてるんだけど……
ヒトのチンポからでも、たぶん吸えると思うよ」
「あ、あぐ……う……」
抗おうとする俺に股間へと、一本のツタが伸びてきた。
その先端はチューブ状になり、口の中がグネグネと蠢いている。
自分がこれから体験するであろう悪夢に、背筋がざわめいた。
「その搾精口で、チンポからザーメン吸っちゃうんだよ。
とっても気持ちいいから、ウシもウマも大喜び。ヒトのチンポでも、きっと気持ちいいよ」
「や、やめてくれ――あぅぅ……」
懇願もむなしく、そのおぞましいチューブは俺のモノを包み込んでしまった。
ヌルヌルの内壁、ぐにゅぐにゅと蠢き、揉まれるような感触――
その甘美な刺激に、体から力が抜けていく。
「あ、あぅぅぅぅぅ……」
「あはは……! 情けない喘ぎ声……♪ やっぱ、チンポ気持ちいいんだ……♪」
「あぐ、う……うぅぅ……」
シルフィにけらけらと嘲笑されながら、俺はみるみる追い詰められていく。
搾精口内部の蠢きは凄まじく、たちまち快感に支配され――
そして、あっという間に精液をブチ撒けていた。
無機質な植物に、餌として精を吸い取られる――この上もなく、屈辱的な射精だ。
「あは……ザーメン漏らしちゃった♪ オスの反応は、ウシやウマと同じだね」
「あ、あぐ……う……」
搾精花とやらは、一回程度では吸引を止めなかった。
じわじわとチューブ内を狭め、締め付け、より多くの射精を促そうとしてきたのだ。
「ふふっ……まだまだ終わらないよ。だってその子、普段はウシやウマのザーメンをたっぷり搾ってるんだもん。
一回の射精でコップ一杯くらい出る、家畜のザーメンをね……ふふっ。
キミもそれくらい出すまでは、離してもらえないよ〜♪」
「そ、そんな……うあっ!」
肉棒を包み込んでいる搾精口がひくひくと収縮し、断続的な締め付けを与えてくる。
「まだ足りないってさ……あはは♪ キミのキンタマ、空っぽになるまでザーメン吸い取られちゃうね。
あ〜あ、かわいそう……あはははははは……♪」
シルフィの嘲笑を受けながら、俺は肉棒を吸われ続ける。
ぐにゅぐにゅと蠕動し、じゅぽじゅぽと吸い付いてくる甘い感触。
それは効率的に精液を搾り、養分にする動作――
それを自身の男性器で味わわなければいけない屈辱に、俺は涙さえ流していた。
「あ〜あ、泣いちゃった……そんなにイヤだったら、漏らすのガマンすればいいのになぁ。
え……? できないの? 搾られるのイヤなのに、気持ちよくて漏らしちゃうのぉ……?」
「あ、あぐ……うぅぅぅ……」
シルフィに言葉で嫐られながら、俺はまた射精してしまう。
食精花に精液を吸い取られる屈辱と、それに伴う快感――
肉棒は、ヌメヌメの吸引口でじっくりと揉みしだかれている。
俺を、さらなる射精へ導いてしまうべく――
「そうなんだぁ……チンポ気持ちよくて、イヤでも漏れちゃんだ……♪
よかったね……♪ こんな植物にチンポ可愛がられて気持ちいいなんて、サイテーな人間だね……♪」
「あ、あぅぅぅぅぅぅ……!」
シルフィに嘲笑されながら、俺は延々と食精花に肉棒を嫐られたのだった。
何度も何度も射精し、精液を吸われながら――
「ふふ……そろそろ、満足したみたいだね」
あれから数時間――ようやく搾精花の拘束が緩んだ。
そのまま空中に投げ出された俺を、シルフィは素早く抱き留める。
「危ない危ない……キミの弱り切った体で、この高さから落とされたら死んでたね。
こういうアクシデントのないように、私が見張ってるの」
「あ、うぅぅぅ……」
衰弱した俺は、シルフィの胸の中で脱力するしかなかった。
すると――少女特有のミルクのような匂いが、俺の鼻から脳を蝕んでくる。
シルフィと密着したせいで、魅了されてしまったのだ。
「あれ……? もしかしてキミ、私とシたいの?」
「うぅぅぅ……」
それを敏感に察し、シルフィはケラケラと笑う。
「や〜だよ♪ どこのサキュバスが、廃棄処分になった人間のザーメン吸いたがるの。
キミはねぇ……こういう連中に吸われていればいいの♪」
シルフィがむんずと掴んだのは、足下を歩いていたクラゲのような生物。
その大きな傘は半透明で、数本の触手がうにうにとうねっている。
「これ、搾精クラゲ。卵いっぱい持ってるから、受精待ちだね。
……そうだ、キミが精液いっぱい引っかけて受精させてあげなよ」
「や、やめ……」
「そ〜れ、交尾しちゃえ〜♪」
俺の懇願に耳を貸すはずもなく、シルフィは搾精クラゲとやらを俺の股間に這わせた。
すると途端に、クラゲはしゅるしゅると触手を伸ばし――たちまち肉棒を絡め取ってしまう。
「あ、あぅぅぅ……」
肉棒が半透明な触手でグルグル巻きにされる――その感触だけで、俺は声を漏らしてしまった。
「ふふっ……そのまま入れられちゃうよ。搾精孔へ、にゅるにゅるにゅる〜って♪」
「あ、あぁぁぁぁぁ……」
俺のモノが、にゅぐにゅぐと搾精クラゲの傘の中に沈み込んでいく。
途端に襲ってきたのは、蠢きに満ちた締め付け。
中がぐにゃぐにゃと蠢き、それだけでも漏れてしまいそうな刺激。
そしてとどめを刺すように、亀頭やカリをゼラチンの体でぐちゅぐちゅと締め上げてくる。
「あっ……うぁぁぁぁ……」
ゼラチン質の触感がペニスを包み、たまらなく心地よい――その快感に、俺は喘ぐしかなかった。
「ふふ……ザーメン出しちゃったら、このクラゲとの子供が生まれちゃうね。
こんな下等搾精生物のパパになっちゃうなんて、恥ずかしいね〜!」
「う、ぐぅぅぅ……」
あまりのおぞましさに、歯を食いしばって耐えようとする俺。
しかしその努力をあざ笑うかのように、搾精クラゲは肉棒をじっくりと追い詰めていく。
「ほ〜ら、レイプされてるよ〜♪ キミのチンポ、クラゲにレイプされてるよ〜♪ クラゲにイかされるんだよ〜♪」
シルフィはけらけらと笑いながら、言葉で俺を嫐り続け――
「だめだ、も、もう……」
そして、いよいよ限界が訪れようとしていた。
肉棒が溶けそうな感触を味わいながら、精液が吸い出されようとしている――
「ほ〜ら、イっちゃえ〜♪」
「あ、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!」
シルフィにあざ笑われながら、俺は屈辱の射精を迎えていた。
ドクドクと搾精クラゲの中に注がれる白濁――それが、半透明な体を通じてはっきりと見える。
「ふふ……クラゲと交尾、気持ちよかった? たっぷり受精させちゃったね、くすくす……」
見下げ果てたような目で、シルフィの嘲笑を受ける俺。
快感の恍惚と脱力で、もう何も考える気が起きなかった。
それから毎日――俺は、下等搾精生物の餌とされ続けた。
時には生殖用途で交わることさえ強制される。
まるで悪夢のような、屈辱と快楽の日々。
精液のみが必要とされる、惨めな搾精奴隷。
「ほらほら〜♪ もっといっぱい、餌をあげてね♪」
「あぐ、ううう……」
ヒルのような搾精生物にペニスを吸い付かれ、ちゅっぽちゅっぽと精液を吸い出される。
ヘビのような生物に絡め取られ、その口で精液を啜られる。
イソギンチャクのような生物の触手に絡まれ、容赦なく搾り出される。
ナメクジのような無数の生物にたかられ、あえなく絶頂してしまう――
あらゆる生物、あらゆる植物が俺の体を貪り、そして精液を餌にする。
そんな痴態を脇で眺めながら、嘲笑の限りを尽くすシルフィ。
俺はこの庭園で家畜そのものと化し、ひたすらに食餌を提供し続けるのだった。
−BAD END−
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