妖魔の城


 

 「おっと…!」

 思わず、伸びてきた舌を右腕で受けてしまう僕。

 その手首に、舌がしゅるしゅると巻き付いてしまう――

 「あ……!」

 しまった――

 そう思った時には、もうすでに遅かった。

 手首に絡んだ舌が伸び、上腕から肩へと絡み付いてきたのだ。

 そのまま右手を封じられ、そして上半身をゆっくりと巻き上げていく――

 

 「あら、こんなに簡単に捕まってしまうなんて――

  色々と言っていた割には、ずいぶんと弱いのね。ふふっ……」

 じわじわと全身を舌に取り付かれ、もがく僕――

 その哀れな有様を嘲笑しながら、アステーラは目を細めた。

 「くっ、くそ……」

 何とか振り払おうと、僕は必死で体をよじるが――

 まるでヘビのように僕の体へと絡んでくる舌は、はがれるどころかまとわりつく一方。

 衣服をびりびりと引き裂きながら、僕の体へと直に巻き付いてきた。

 「ふふっ、もう逃がさないわ……カメレオンは、こうやって捕らえた獲物をどうするか知ってるわよね。

  そのままお口に引き寄せて……丸呑みにするのよ。私のお口も消化器も伸縮するから、あなた程度なら一呑みにできるわ」

 「う、ぐぅぅぅぅ……! やめろぉ……!」

 僕は激しく体を動かすも、まるで無駄だった。

 舌はがんじ絡めに巻き付き、衣服を引き剥ぎながら全身を絡め取っていく。

 まるで、舌で覆い包んでしまうように――

 「これでも、『切り札』とやらを見せてくれないのかしら? このまま、食べられてもいいの?」

 「ぐ、うぅぅぅぅ……!」

 何を言われても、ただひたすらにもがくのみ。

 今の僕には、それしかできないのだ。

 「……ふぅん、使わないんだ。それとも、使えないのかしら?

  その切り札とやらは、あなたの意思でいつでも使えるわけじゃないようね」

 「くそっ……離せ……!」

 抵抗も虚しく、僕の体はグルグルと巻き取られ――とうとう、立っていられなくなった。

 地面に倒れた僕に、容赦なく舌が絡みつき、巻き上げ、締め付けていく――

 「あぅぅぅぅぅぅ……!」

 そしてあっという間に、首から下がびっしりと舌に覆われている状態にされてしまった。

 まるで、全身に隙間なくピンクの帯を巻き付けられたかのよう。

 ピンク色のミイラのようにされながら――僕の股間部には、みっともない塔がそそりたっていた。

 ヌルヌルの生温かい舌で全身を包まれて、大きくならないはずがない。

 体中で舌の粘膜を感じ、こすれ、たまらない感触をもたらしているのだから――

 「あら、大きくしてしまったのね。私の舌で絡め取られただけで、幸せになっちゃったのかしら?」

 「あぐぅぅ……」

 みっともなく膨らんだ肉棒も、舌でくまなくグルグル巻きにされている。

 そのピンク色の塔はぐじゅぐじゅと蠢き、中のペニスを何重にも締め付けていた。

 舌粘膜の感触にまとわりつかれ、だんだんと体の力が抜けていく――

 「あぅぅぅぅぅぅぅ……!」

 そして、あっという間に快感に呑み込まれ、どくどくと脈動が始まってしまった。

 舌に包まれながら、あえなく精液を迸らせてしまったのである。

 

 「あら……出してしまったのね。これから、食べられるっていうのに……いけない子」

 アステーラはくすくすと笑いながら、舌で簀巻きにされた僕の体をズルズルと引き寄せていく。

 「これから、ちょっと大口を開けるけど……あまり見られたくはないの、分かるわよね?」

 「あぅ……」

 僕の頭部にも、舌が優しく絡み付いてきた。

 目の部分を隠すように巻き付き、それから顔全体も覆い包んでいく。

 口や鼻も塞がれたが、不思議と息は苦しくない。

 視界は塞がれ、ピンク色の舌しか見えない状態。

 「ひ、ひぃ……あぁぁぁ……」

 舌粘膜で顔まで覆われてしまい、異様な興奮が僕を支配していた。

 全身を包み、ヌルヌル、うじゅうじゅと蠢く感触――それは、耐え難い快感そのもの。

 「あ、あぁぁぁぁぁぁぁ……」

 あまりの興奮と快感に、僕はまた絶頂してしまった。

 舌で体中をにゅくにゅくと揉みほぐされながら――

 拘束された僕は、無抵抗のままアステーラの眼前まで引き出されてしまう。

 

 「じゃあ、食べるわよ。あ……ん……」

 「あぅぅぅ……」

 そのまま僕の体は、生温い感覚にじわじわと包まれていった。

 くまなく舌に巻き付かれ、目隠しをされた状態でも分かる――いよいよ、丸呑みにされているのだ。

 カメレオン型の淫魔に、丸呑みにされる恐怖と嫌悪――

 それよりも、甘い舌に包み込まれているという悦びの方が勝っている。

 「ん……むぐ、ん……ん……」

 「あひ……ふぁぁぁぁ……」

 恍惚に浸りながら、僕の体はずるずると丸呑みにされていった。

 きゅっと狭いところに体がねじ込まれ、優しく甘く全身が圧迫されていく。

 ずるりずるりと、アステーラの胃袋に呑まれているのだ――

 

 「うううう……きもちいい……」

 そして僕は、柔らかな胃袋のベッドに横たわっていた。

 生温い粘膜がぴっちりと全身に密着し、グネグネ蠢いて体中を揉み溶かしてくる。

 舌も体中を這い回り、唾液や消化液をたっぷり塗りつけて消化を助けているのだ。

 「あ、あぁぁぁぁぁ……」

 ペニスにも丹念に舌が這い回り、胃粘膜で包まれ――そのとろけるような感触に、精液がドプドプと漏れ出す。

 まるで桃源郷のような快楽、連続して襲ってくる絶頂、ねっとりと生温い陶酔――

 

 「うぅぅぅぅぅぅ……」

 じわじわと、体が溶け出していくのが分かる。

 アステーラに丸呑みにされて、果ててしまう――

 その快楽に酔わされ、僕は甘美な幸福感さえ味わっていた。

 淫魔に捕食されるのが、こんなに気持ちいいなんて――

 

 「あぁぁ……」

 とろけていく思考、溶けていく肉体。

 素晴らしい恍惚、夢のような快感。

 妖女の腹の中で陶酔に浸りながら、僕はじっくりと溶かされてしまう。

 アステーラに食べられて養分とされてしまう、実に無様で悲惨な末路。

 それでも僕は、最期の瞬間まで快楽を味わい続けていた。

 

 

 −BAD END−

 

 

 



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