妖魔の城


 

 「くっ……!」

 しかし僕は、この期に及んでも自身の確信に従えなかった。

 結局、ひたすら回避を選択せざるを得なかったのだ。

 この疲れ切った体で、さらに体力を擦り減らしながら――

 

 

 

 「くっ……! しまった……!」

 そして、限界は案外早く訪れた。

 数分の間は相手の攻撃を避け続け、反撃のタイミングを計っていたが――

 疲労のあげくに間合いを取り損ない、五条すばるの接近を許してしまったのである。

 「……ふっ、一手誤ったな。これで終わりとしよう」

 その次の瞬間、下半身が一気に涼しくなった。

 ほんの一瞬で、僕の履いているズボンや下着を取り払ってしまったのだ。

 そのまま、僕は押し倒されてしまう――と思ったら、そうではなかった。

 いつしか背中に迫っていた壁に、ぎゅっと押しつけられてしまったのである。

 しかも、五条すばるは僕に背を向けた体勢のままで――

 つまり、壁に押しつけられた僕に背中を預けてもたれ込む五条すばる――そんな奇妙な体勢となったのだ。

 

 「ぐっ、何を……」

 僕の体に背中を預け、やんわりともたれ込んでくる五条すばる。

 そして僕の両手首は、彼女の両掌によって後ろ手に掴まれていた。

 僕の背には壁、そこに押しつけられたまま両手を封じられる――しかも、五条すばるは背面向きで。

 彼女の背中は僕の胸に預けられ、柔らかなお尻はちょうど僕の股間部へと押しつけられているのだ。

 こんな奇妙な体勢で、いったい何をしようというのか――

 「貴様ほどの強者、ここで葬るのは惜しいが……使命通り、嫐り尽くしてくれよう」

 そう呟く彼女の顔には、名残惜しそうな表情と――そして、サディスティックな色が浮かんでいた。

 「くそ、離せ……!」

 「ふふ……強者を惜しむのとは裏腹に、そのような者を犯し、支配する悦びもまた偽らざる心情。

  我が最高の奥義、淫技『蟻地獄』で葬ってやろう。男の悦び、しかと味わいながら果てるがいい――」

 「や、やめろ……くそっ……!」

 いくらもがこうとしても、この奇妙な拘束は全く緩まない。

 そして――いつの間にか五条すばるは、自身の下半身の衣類をはだけてしまった。

 ふぁさり……と彼女の腰から下を覆っていた装束が地面へと落ちる。

 僕の剥かれた下半身に、くのいちの裸になった腰が押しつけられている――

 「あ、あぁぁ……」

 柔らかなお尻の触感と温もりを直に感じ、肉棒はみるみる大きくなってしまった。

 それを察し、もぞもぞと腰を動かしながら位置を調整する五条すばる。

 その巧みさで、あっという間に亀頭部が異様な感触に包まれた。

 ぬぷっ……と、温かいぬかるみに沈み込んでしまったのだ。

 

 「ふっ……先が入ったぞ……」

 「あ……! う、うぁぁぁっ……!」

 五条すばるの膣内はあまりに柔らかく、そして熱くとろけていた。

 さらに、ぐっちゅぐっちゅとうねりながら、中へ引き込んでくる感覚――

 それはまさに、淫肉の詰まった壺――肉壺という表現にふさわしい。

 もう少しで、入れた瞬間に出してしまいそうになったほどだ。

 「これしきで悲鳴か。淫技『蟻地獄』の神髄は、これからだというのに……」

 五条すばるは肩越しに僕を見据え、艶やかな笑みを見せる。

 そして、次の瞬間――不意に、膣内がうねり始めた。

 ぐにぐにと膣壁全体が蠕動しながら、僕のモノを奥へ奥へと引き込んできたのだ。

 性急に吸い込むのではなく、淫壁全体の蠕動運動でゆっくり、じっくり……ずるずると引きずり込むかのよう。

 そう――まるで、蟻地獄のように。

 

 「あぅぅぅ……」

 肉棒にこのような刺激を受け、その快感は並大抵ではなかった。

 亀頭が膣道をぐにゅりぐにゅりと分け入っていく感触に、僕は思わず背筋を震わせてしまう。

 あまりに素晴らしい快感であると同時に――それは、どこか破滅的な快楽だった。

 「ふふ……こうして、貴様のモノはじわじわと膣奥に引き込まれていくのだ。

  まるで、蟻地獄に陥った蟻のようにな。そして、最奥――子宮口に貴様の亀頭が触れたときが、すなわちとどめ。

  男の弱点がねっとりと食らいつかれ、エキスを一滴残らず吸い尽くされることになるのだ。ドクドク、ドクドク……とな」

 「そ、そんな……ひぃぃ……」

 その恐ろしさに震え上がりながら、僕は腰を引き抜こうとする。

 膣内に引き込もうとする動きに逆らいながら、ぐっと腰を引く僕。

 それに従い、膣道を肉棒が後退する――その動作によって、カリの部分が膣壁にぬるぬると擦れることになった。

 「あ、あぅぅぅぅぅ……」

 不意に襲ってきたのは、夢のような快感。

 ぞわぞわした感触がペニスから全身へと伝わっていき、じんわりと甘くしびれていく。

 そして――唐突に絶頂の瞬間が訪れてしまった。

 ペニスを膣内から引き抜こうとした際の刺激で、射精が始まってしまったのだ。

 「あ、あ、あぁぁ……」

 どく、どく、どく……と、五条すばるの中で漏れ出る精液。

 ペニスを引き抜きかけていたので、漏らしたのは膣の入り口部分だった。

 「……もうブチ撒けてしまったのか。そんなに、私の体は心地よいか?」

 「あぁぁ……きもちいい……」

 そして、射精の恍惚に浸っている間に――またしても、肉棒がずるずると膣内へ引き込まれ始めたのだ。

 当然、とろけるような刺激を与えられながら――

 「ひ、ひぃ……こんな……」

 「ふっ……脱出は適わぬ。貴様にできるのは、もがくことのみだ。

  このまま諦めて、最奥で吸われる快楽を味わうのも一興。必死でもがき、力尽きるのも一興――」

 「あ、あぐぅぅぅ……」

 不意に、深い恐怖感が沸き上がってきた。

 このまま亀頭が子宮口に接したとき、僕の精は搾り尽くされるのだ。

 その恐怖とは裏腹に、肉棒が引き込まれていく快感も凄まじい。

 目を閉じ、五条すばるの肉体に身を委ね、この快楽を味わっていたい――そう思うほど。

 「なんだ、もう観念したのか……? もう、もがくことさえ止めてしまうとは……」

 「あ……い、いやだ……」

 一瞬ながら、快楽に溺れそうになっていた――そのことに対する恐怖。

 そして、こうしている間にも、ペニスの半分ほどが膣内に引きずり込まれている。

 ずむずむ、にゅるにゅると引き込まれ――その奥では、子宮口が亀頭を咥え込むのを待っているのだ。

 このまま、精を吸い尽くされるわけにはいかない――

 

 「う、うぅぅぅぅ……」

 なんとか、腰を引いて肉棒を抜こうとする――それは、ぬめった膣壁にカリを擦りつける行為。

 助かる希望もないまま、惨めにもがいている動作そのもの。

 そうしているうちに、甘い快楽に負けてしまい――

 「あ、あぁぁぁ……出るぅ……」

 どく、どく、どく……と精液を漏らしてしまったのだ。

 入り口あたりまで引き抜くことはできたが――その代償として、二度目の射精。

 満足感にも似た疲労と恍惚が、僕の体にのしかかってくる。

 「ふふっ……分かったろう。引き込まれまいと、もがけばもがくほど、精を吐き出してしまうことになるのだ。

  そうするうちに疲れ果て、抵抗する気力をも失ってしまう――まさに蟻地獄よ」

 「くっ、くそ……こ、こんな……」

 挿入してから、もう二度も射精してしまっているのだ。

 そして恍惚に浸っている間でさえ、じわじわと引き込まれていく。

 このままでは、たちまち奥まで届いてしまう――

 

 「こ、こうなったら……!」

 僕は身をよじり、ムチャクチャに暴れようとした。

 手首を掴まれて封じられている両手も、五条すばるの足を絡められている両足も――

 全身の力を振り絞って、彼女の体を引き剥がそうとする。

 「……無駄だと言っているのが、分からんのか?」

 次の瞬間、きゅぅぅぅぅっ……と、膣内が妖しく締め付けてきた。

 「あ、あぅぅぅぅ……」

 そのあまりの心地よさに、体から力がヘナヘナと抜けていく。

 「くのいちに挿入している状態で、抵抗しようなど――男の弱点は、すでに我が中にあるのだ」

 僕を無理矢理大人しくするように、きゅん、きゅん……と締め付けてくる膣内。

 その強制的な快感の前に、僕は抵抗の意思をたちまち削がれてしまう。

 腕にも足にも、全く力が入らない。

 いや、そればかりか――

 「あ、あぁぁぁぁぁぁぁ……」

 股間で快感が弾け、温もりがじんわりと広がっていった。

 今の締め付けで、思わず精液を漏らしてしまったのだ。

 

 「……なんだ、またイったのか。腕は立っても、こちらの方はまるで駄目なのだな」

 蔑むように、くすりと笑う五条すばる。

 「締め付けている間は、引き込む動作ができなくなるのだが――少々、弱らせてやるとするか」

 「あぁぁ……ひぃっ……!」

 きゅぅぅぅぅぅぅぅぅ……と締め付けてくる、五条すばるの蜜壺。

 軟らかい肉がぐにゃりとすぼまり、僕の肉棒へと密着してくる。

 まるで絞られるような刺激の前に、甘い快感が全身を支配し――

 「あ、また……あぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

 さっきの射精からほとんど間を置いていないのに、またも射精してしまう。

 ドクドクと、くのいちの蜜壺に精液を送り込んでしまったのだ。

 本当にあっけない、五条すばるの手玉に取られたような射精。

 しかし、屈辱を感じる余裕さえ僕には与えられなかった。

 「そら、もう一回……」

 「や、やめ……あぁぁぁぁぁぁぁぁ……!」

 そして容赦なく、射精直後のペニスを甘美な締め付けが襲う。

 ぎゅうっと絞られ、柔肉で握られるような感触――

 その快感に抗うことも出来ず、どぷっと精液を迸らせてしまった。

 きゅっと締められるたびに、ドクッと漏らす――遊ばれているも同然の責めだ。

 

 「ふっ……これで、暴れる気も起きまい。

  さぁ、蟻地獄の再開だ。もがき、抗い、そして尽き果て――惨めに吸い尽くされるがいい」

 「ぐっ、あぅぅぅぅ……」

 こうして、奥へ奥へと引き込んでいく肉壁の蠕動が再び始まった。

 先ほどの責めで疲れ果てていた僕は、されるがままにペニスを奥へ迎えられていく。

 奥に進むにつれて、締め付けもきつくなっていくようだ。

 このまま諦めて、五条すばるに可愛がってもらおうか――

 

 「い、いや……」

 心の奥底から沸き上がった誘惑を振り払い、なんとか抵抗しようとする僕。

 肉棒を引きずり込む蠢きから逃れるように、腰を引こうとする――

 「う、あぁぁぁ……」

 にゅるり……と、ぬるぬるの掌で握られているような膣肉の感触。

 そこから抜け出るだけでも、亀頭ににゅるにゅると快感が這った。

 めくるめく快楽に、背筋がぞわぞわと震えてしまう――

 「あぅぅぅぅぅぅぅ……!」

 同時に、ドクドクと迸る精液。

 またしても、くのいちの蜜壺に精を搾られてしまったのだ。

 普通に味わう分には、文句のつけようもない最高の快感。

 しかしこれは、獲物を弱らせる魔性の快楽。

 甘い放出感を味わっている間にも、肉棒はじっくりと引き込まれていくのだ――

 

 「ひぃぃ……た、たすけて……」

 僕は恐怖の余り、みっともない悲鳴を漏らすしかなかった。

 「……もう遅い。貴様はこのまま、私の膣内で子種を搾られ尽くし――果てるしかないのだ」

 「い、いやだ……」

 何とか引き抜こうとするも、それは膣壁の感触を味わう行為そのもの。

 ずるずるとカリで擦っているうちに、その甘い快感で射精してしまう。

 そうなると、放出している間にさっきよりも奥へ引き込まれてしまうのだ。

 まるで、もがきながら蟻地獄に引きずり込まれるアリのように――

 僕は何度も何度もそれを繰り返し、そして衰弱していった。

 

 「あ、あぅぅぅ……」

 何よりも恐ろしいのは、抵抗心さえ徐々に失われていくのが自覚できることだ。

 このまま最奥まで挿れたら、どれだけ気持ちいいのだろうか――

 何も考えず、その快楽を味わってみたい――

 くのいちに身を委ね、思う存分に搾り取られてみたい――

 そんな思いが、僕の中で膨れ上がってきたのである。

 そして、そんな心の隙を見逃す五条すばるではなかった。

 

 「……観念して、私に身を任せるがいい。子宮口の感触を、味わいたくはないのか?

  貴様の敏感な亀頭に食らいつき、貪欲に精液を搾り取る――それは、天にも昇るような快感。

  めくるめく桃源郷を味わいながら、果ててしまうがいい」

 「そ、そんなの……」

 なんとか気力を振り絞り、誘惑を振り払いながら腰を引き抜こうとする。

 その動きで、ずるずると亀頭をくすぐっていくヒダ。

 しかも膣内はすっかりヌルヌルで、溶かされているように熱い。

 その快感にこらえきれず、精液を撒き散らしてしまう――もう、何度それを繰り返しただろうか。

 数え切れないほど、この蜜壺で精を搾り抜かれてしまった。

 このまま快楽に身を任せ、この穴で果ててしまいたい――そう思うのに、十分なほど。

 

 「あ、あぅぅぅ……」

 そうしている間にも、ずるずる、ぐにゅぐにゅと引き込まれていく肉棒。

 奥に奥に進むに従い、膣肉は狭まり、きゅうきゅうと締め付けてくる。

 それでいて、粘り着くような肉壁の動きがたまらない。

 ねちっこく揉みほぐすような感触を、ペニスに伝えてくるのだ。

 「あ、いい……きもち、いい……」

 腰を引き抜く代わりに、僕はそう呟いていた。

 もう、どうでもいい。このまま、快楽だけを味わっていたい――

 

 「ふ……心が折れたか。他愛ないものよな」

 サディスティックな微笑を見せる五条すばる。

 僕はもはや抵抗することもせず、彼女の膣内を味わうのみだった。

 ずるりずるりと奥へ引き込まれていく刺激を、悦びをもって受け入れていた。

 この奥――子宮口で精液を吸い尽くしてもらえることを、嬉しいとさえ思えるほど。

 肉棒を引き込む蠕動に身を任せ、僕はすっかり堕ちてしまっていた。

 「あ、あぅぅぅぅぅぅ……」

 抵抗しなくなった僕の肉棒を、じわじわと引きずり込んでいく蜜壺。

 そんな肉壁の蠢きに身を任せ、愉しんでいると――不意に射精感がこみ上げてきた。

 「あ、またいく……あぁぁぁぁぁぁぁ……!」

 「好きなだけ漏らすがいい……男の悦びをしかと味わいながらな」

 くすくすと笑う五条すばるの囁きを聞きながら、ドクドクと精液を溢れさせる。

 射精しながら、ずるずるずると引き込まれていく――蟻地獄の罠さえ、もはや倒錯的な快感となっていたのだ。

 そして――とうとう、待望の瞬間が訪れようとしていた。

 

 「ふふ……これで終わりだ。快楽に溺れながら昇天するがいい」

 「あ、あ、あ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――っ!!」

 最奥に届いた亀頭が、ぐちゃりと何かに包まれた。

 それは、五条すばるの子宮口。

 とろけそうなほどのヌルヌル感、吸盤のような吸い付き。

 それが、ぐにゅりと亀頭を包み込んでいるのだ。

 絡みつくように、まとわりつくように、吸い付くように――

 「あぅぅぅ……! あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!」

 その夢のような感触に、僕はたちまち精液をブチ撒けていた。

 じゅるじゅる、じゅるじゅると蠢く子宮口が、精を迸らせている亀頭をなおも嫐り抜く。

 「あひ……! ひぃぃぃ……! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 視界が明滅するほど、凄まじい快感。

 そして、生命を放出しているかのような射精感。

 しかも、それは一回や二回の射精ではとどまらない。

 ペニスの脈動は尽きることなく続き、まるで尿のように精液が溢れてくるのだ。

 放出に伴う快感も、精液を尿のように放つのと同等の凄まじさだった。

 「うぁぁぁぁ……! あぐ、あが……あぁぁぁぁぁぁぁぁ……!」

 「ふふ……これがくのいちの淫技。身も世もない快楽の中で、果てるがいい」

 「あ、あぁぁぁぁぁぁぁ……! うぁぁぁぁぁ……あぁぁぁ――っ!!」

 まるで、気が狂いそうな快感。

 全ての生命を精液に変えて放っているような、悪魔の快楽。

 精液はじょぼじょぼと溢れ続け、五条すばるの子宮口に呑み込まれていく。

 じゅるじゅると貪欲に吸われ、亀頭をねっとりとしゃぶり抜かれ――

 

 「あが……ひぃ、あぁぁぁぁ……うぁぁ、あぁぁぁぁぁぁぁ……!」

 生命が搾り出され、吸い取られている――それが、はっきりと分かる。

 生命を生み出す子宮に、生命が吸われていくのだ。

 そして――気も狂わんほどの快楽は、徐々に穏やかな安らぎに変わっていった。

 ぬるま湯のような快感。どくどくと脈動し、じんわりと広がる放出感。

 甘い、甘い夢の中で全身がとろけてしまいそうな快感。

 

 「あ……ひぁ……あ……」

 めくるめく快感の中で、遠ざかっていく意識。

 精も根も尽き果て、恍惚さえ伴う疲労感。

 深い闇の底に、深く、深く沈み込んでいく感覚――

 

 「ふふっ……安らかに眠るがいい……」

 そんな五条すばるの声を聞きながら――

 僕の意識は、甘い快楽の中でとろけていった。

 

 

 −BAD END−

 

 

 



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