妖魔の城


 

 「……沙亜羅!!」

 それでも僕は、何も考えずネメシアへと突進していた。

 打つ手も考えも何もない、とてつもなく無謀な突撃。

 ネメシアは僕に向かって左手を差し出し――そして、みるみる触手に変貌した腕が僕の手足へと絡みつく。

 「あ、あぐッ……!!」

 手足を完全に封じられ、そのまま軽く持ち上げられる僕の体。

 こうして、沙亜羅と同様に僕もネメシアの方へと引き寄せられていく。

 二人とも捕まってしまうという最悪の結果――これで、全ての望みは絶たれたのだ。

 

 「……」

 ネメシアは、拘束している沙亜羅と僕に体して交互に視線を送る。

 そして僕に視線を留め――次の瞬間、なんと沙亜羅の体をぽいっと投げ出してしまった。

 「えっ、ちょっと――」

 触手で弾くように、無造作に投げ捨てられる沙亜羅――彼女の体は、そのまま露天通路外へと落下していく。

 通路の両側は、底が見えないほどの断崖絶壁。

 沙亜羅は、その崖下へと投げ落とされたのだ。

 「さ、沙亜羅――ッ!!」

 僕はネメシアの触手に自由を奪われたまま、そう絶叫していた。

 あの高さでは――いや、沙亜羅はワイヤーガンを所持していたのだ。

 触手で拘束されていない今、沙亜羅の運動神経ならば十分に使う余裕があったはず。

 助かっていることを信じている――そんな僕の眼前に、ネメシアの細い裸身が迫っていた。

 「く、くそっ……!」

 四肢を触手で封じられたまま、僕は力なくもがいていた。

 目の前には、無表情のままのネメシア。その端整で冷酷そうな顔には、何の表情も浮かんではいない。

 風でロングヘアがサラサラとなびき、その美しさに不覚にも目を奪われてしまう。

 そんな綺麗さとコントラストをなすように、彼女の胸から腹にはグロテスクな器官が広がっていた。

 クレバスのように白い肌が裂け、内部のぐじゅぐじゅの粘膜が露出している。

 ピンクの内壁はぐにゅぐにゅと蠕動し、内部に詰まった無数の触手がミミズのように這い、粘液がダラダラと垂れる――

 沙亜羅を投げ出し、明らかに僕のみをターゲットにしている様子のネメシア。

 あらかじめヴェロニカ研にそう設定されているのか、ネメシアがH-ウィルスに感染しているからか、その両方か。

 ネメシアがやはりH-ウィルスの影響下にあるならば、これから僕が辿る運命は――

 

 「や、やめてくれ……!」

 僕がそう懇願した次の瞬間、ムチのようにしなる触手が僕の衣服を引き裂いていた。

 たちまち僕の下半身が露出し、そして大きく隆起しているペニスがあらわになってしまう。

 永遠に犯されるか、嫐られながら捕食されるか――H-ウィルスの感染者に捕獲された以上、僕の辿る道はそのどちらかしかない。

 どちらにしろ、凄まじい快感を味わうことになる――それを僕は理解していたのだ。

 

 じゅくじゅくと蠢くピンクのクレバスに、ゆっくりと引き寄せられていく僕の体。

 僕は腰を突き出すような体勢にされ、びくびくと期待に震えるペニスがネメシアの眼前にさらされた。

 あそこにペニスを呑み込まれ、ぐじゅぐじゅの粘膜に包まれて嫐り尽くされる――

 その感触を予想しただけで、僕のペニスは最大限に大きくなっていた。

 どうせ餌食にされるのなら、せいぜい快感を味わってやろうという、ある種諦めの気持ち。

 そして、ネメシアの全身から発散されているであろう、H-ウィルスによるフェロモン。

 僕はもはや、正気を保っていないのかもしれない。

 この美しい追跡者に蹂躙され、捕食されても構わない――そんなことすら考えていたのだ。

 

 「……」

 無表情のまま僕を見上げ、腰を引き寄せていくネメシア。

 そして――そのまま触手は僕の下腹部を引き寄せ、うじゅうじゅとうねる粘膜にとうとう亀頭の先端が接した。

 「あ、ぐ……!!」

 まるでプリンのような柔らかさ、そして人肌の温かさ。

 尿道に伝ってくる感触だけで、僕は表情を歪めてしまう。

 そして、にゅるり……とピンクの内壁が亀頭を包み込んできた。

 妖しく蠢く粘膜が敏感な先端に接し、吸い付くように刺激してくる。

 「お、おお……!!」

 亀頭部をちゅるりと覆う柔らかい刺激に、僕は声を漏らしていた。

 H-ウィルスによって肉体が造り返られ、胸から腹にぱっくりと開いた捕食器官。

 その内部の感触は、女性器以上の快感をもたらしてくれるようだ。

 「さ、先っぽ……気持ちいい……」

 ぬるぬるくちゅくちゅと先端がいたぶられ、腰の力が抜けていく。

 ネメシアは無表情のまま、快楽に喘ぐ僕の顔を眺め――

 そして、僕の腰に巻き付いていた触手がぐいっと引き寄せてきた。

 それに従って僕は下腹部を突き出す格好となり、ピンクのクレバスにペニスをぐちゅりと突き入れてしまう。

 下腹部全体をネメシアの胴に押し当てるような体勢――そして僕のペニスは、ネメシアの体内深くに呑み込まれていた。

 「ひ、ひぁぁぁぁぁぁ……!!」

 たちまち柔らかい肉がじゅるりと肉棒をくるみ、溶かすように揉み立ててくる。

 ぬるぬるの粘膜が擦り付けられ、ぞくぞくするような快感を呼び起こす。

 下腹部全体をネメシアに包み込まれての責め――僕には、自分が何をされているのか分からなかった。

 性の奉仕を受けているのか、それとも捕食されているのか――

 

 「あぐ、ああああぁぁぁぁ……!!」

 触手によってネメシアの体に下腹部を沈められ、僕はひたすらに悶え続けた。

 異様な感触にペニスを包まれ、アメーバのような妖しい肉に揉みくちゃにされ、まとわり付かれ――

 全身の力が抜け、腰がガクガクと震えてしまう。

 「あ、ああぁぁ――」

 股間から、じわじわと快感が渦巻いていく。

 白い快楽の渦が、今にも弾けそうになる。

 「こ、こんなの……気持ちよすぎて……」

 女性器とも異なる感触に包まれ、僕のペニスは断末魔のように脈動していた。

 もう、これ以上は我慢が――

 「あ……! で、出る……!!」

 どく、どく、どくどくどく……

 ネメシアの粘膜に包まれ、僕はそのまま射精していた。

 ペニスを覆っている粘膜はひくひくと打ち震え、にゅるにゅると全体を揉み込んでさらなる射出を促してくる。

 「あ、ああ――」

 射精中のペニスをいじり回され、陶酔に浸る僕。

 ネメシアの肉は僕のペニスに絡み付き、あっという間に精液を搾り出してしまったのだ。

 そして果てた後も萎えることは許されず、粘膜や触手、じゅるじゅるの肉が詰まったクレバスに弄ばれ続ける。

 僕の下腹部は完全にネメシアの体内へと呑み込まれてしまい、どんな責めを受けているのか分からない。

 とにかくヌルヌルの中に沈み込み、アメーバのような軟体にぐちゅぐちゅと妖しく撹拌されているのだ。

 僕はネメシアの体内にペニスを突き入れたまま、恍惚の表情で中の感触を味わっていた。

 完全にネメシアに身を任せ、その中に何度も精を漏らしてしまっていたのだ。

 

 「……」

 不意に、ネメシアはぐい、と僕の腰に両腕を回してきた。

 そのまま僕の下半身にしっかりと抱き付き、屹立したペニスは彼女のさらに体内深くへと埋もれていく。

 奥はぬめっていて、驚くほどの温もりに満ちていた。

 中の肉が蠢き、粘り、まとわり尽き、絡み――その凄まじい感触に、思考すら失いつつある僕。

 下腹部全体を、ぬるぬると軟体の蠢く溶鉱炉に押し付けているかのようだ。

 「あ、あぁぁ――!」

 悶え喘ぐ僕の前で、ネメシアはさらなる変貌を始めた。

 長い髪が触手と化し、僕の体中にしゅるしゅると絡み始める――それだけではない。

 ネメシアの肩や足、太股などからもにゅるにゅると触手が這い出し、僕を覆い込むように巻き付き始めたのだ。

 「うああ、あああぁぁ……!!」

 両乳房がまるでイソギンチャクのような軟体形状になり、僕の腹や胸へと張り付く。

 捕食器官はぶちゅぶちゅと僕の体を覆い込み始め、侵食するアメーバのように取り込んでいく。

 無数の触手、唇のような器官、内臓のようにグロテスクな体組織、ピンク色の粘膜――

 ネメシアの全身から這い出てきた異様な器官が僕の全身を包み込み、飲み込み、取り込んでいく。

 「あ、あ、やめ……! うぁぁぁぁぁ……!!」

 そのぬめぬめした部位に密着される快感は、並大抵のものではなかった。

 まるで、温かいものにねっとりと舐め溶かされているかのような感触。

 僕の体中を取り巻いている粘膜や軟体、肉壁はにゅるにゅると渦を巻き、僕の全身を咀嚼するように愛撫する。

 「……」

 ネメシアの下半身は完全に崩れ、じゅるじゅるの肉と化して僕を包み込み始めた。

 その肉の渦は、僕の全身をうねりながら揉み立ててくる。

 手足を始め体中に無数の触手が巻き付き、僅かの隙間もないほどに覆いこんでしまう。

 そしてネメシアの胴にぱっくりと開いたクレバスは僕の下腹部に食らい付き、ペニスを呑み込んでしゃぶり続けているのだ。

 「あが……! がぁぁぁぁぁ……!!」

 ペニスを柔肉に嫐られる感触に加え、全身を貪られる快感に僕は何度も精を漏らしていた。

 断続的な射精ではなく、まるで放尿のように絶えず続く射精。

 そのあまりの快感に僕は身をよじらせる――が、体のほとんどをネメシアの肉に取り付かれているため、それすらできない。

 

 じゅる……

 じゅるじゅる……

 じゅるるるるるる……

 「うぁ……! ああああああぁぁぁぁ――ッ!!」

 全身を襲う粘着質の快感に、僕は絶叫していた。

 体中がネメシアに包まれ、溶け出していく。

 彼女の肉に全身が呑み込まれ、甘い快感を与えられながら取り込まれていく。

 僕の精はネメシアの力に、そして僕の肉はネメシアの肉に――

 「あぐ、あああぁぁぁぁ!!」

 まるで力が吸い取られていくように、ネメシアの体内に注ぎ込まれていく精液。

 僕が僕である境界線が曖昧になっていく。

 津波のように押し寄せる快感の中で、自分が何者かすら分からなくなっていく。

 そのまま、僕は――

 

 

 

 

 

 男性一人を、その全身から溢れる肉で包み込んでしまったネメシア。

 じゅるじゅるの肉に覆われていた男は、とうとうネメシアに取り込まれてしまった。

 異形の器官や触手はしゅるしゅると引っ込んでいき、肉の泉に変質していた下半身もスリムな女性のものとなる。

 そこには、長い黒髪に拘束服の女性が何事もなかったかのようにたたずんでいた。

 『NEMESIA-H』――ヴェロニカ研究所の開発した試作生物兵器は、ターゲットを溶解吸収してその試験任務を終えたのだった。

 

 

 −BAD END−

 

 

 



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