あかなめ


 

 「垢、落としませんか〜?」

 夜の繁華街に立ち、いかにも純朴そうなお姉さんは道行く人を呼び止めていた。

 そんな奇妙な様子を、僕は横断歩道の向こうから眺めている。

 あれは、一体何の勧誘なんだ……?

 

 信号が青になり、僕は横断歩道を渡る。

 「ねぇ、300円で垢を落としていきませんか?」

 その間にも、お姉さんは前を歩いていた20代後半の男性を呼び止めた。

 いかにも怪しい言葉に、男性はそのまま無視して歩み去っていく。

 そりゃお姉さんは綺麗だけど、呼び止め方が怪しすぎるもんな……

 そして問題は…… 僕が下宿先のアパートに帰るには、あのお姉さんの前を通過しなければならないことだ。

 さらに正直、あのお姉さんに対する好奇心もないとは言えない。

 

 「ふぇ〜 お腹すいた…… お金も無いよぅ……」

 お姉さんはしょんぼりと肩を落とす――そして、前を通ろうとする僕をすかさず見止めた。

 「ねぇ…… 学生さん、垢を落としていきませんか?」

 「え、僕……!?」

 やはり、声を掛けられてしまった。

 すると、むくむく好奇心が頭をもたげてくる。

 「垢って…… 体の汚れの垢の事だよね?」

 「はい、もちろんです」

 お姉さんはこくこくと頷いた。脈アリと見たのだろう。

 「落とすって、どうやって?」

 「それは300円を払って頂けるまでナイショです」

 「内緒か、う〜ん……」

 たかが300円、躊躇するもんでもないか。

 「じゃあ、試しに……」

 僕は財布から小銭を取り出すと、女性に渡した。

 「あは、どうも♪ では、こちらへ……」

 お姉さんは僕の腕を取り、ぐいぐいと路地へ引きずり込む。

 たちまち、僕は表通りから全く見えない場所に引き込まれてしまった。

 こんなところで、一体――

 

 「では学生さん、垢を落として差し上げますね……」

 そう言いながら、お姉さんは僕の首筋に唇を寄せて――

 

 ……れろり。

 

 「うぁ……!」

 首筋をぬるりと這うお姉さんの柔らかい舌。

 僕は思わず背後にヨロけ、彼女から離れてしまう。

 「あ…… びっくりしちゃいました?」

 「な、な、何を……!」

 「何をって…… こうやって、学生さんの全身を舐め回して垢を落としてあげるんですよ」

 お姉さんは、当然の事のように言う。

 「ぜ、全身を……?」

 こんな綺麗なお姉さんが、僕の全身を舐め回してくれる……?

 「その…… 嫌だったですか?」

 「そ、そんな事無いです……!!」

 僕は、慌てて首を左右に振った。

 「うふふ、それは良かった。300円返せと言われたら、どうしようかと……」

 女性は僕の眼前に立ち、にっこりと笑った。

 そして、頬をぺろんと舐めてくる。

 「うふふ、美味しい……」

 「あ…… お姉さん……」

 れろれろ〜と、お姉さんの舌が僕の頬を舐め回した。

 そして鼻の頭やおでこに舌を這わせる。

 「は……! あ、う……」

 その軽やかな舌さばきに、僕は立ったまま拳を握り込んだ。

 「じゃあ、服の中に失礼しますね……」

 しゅる、しゅるしゅる……

 「え……!?」

 その異様な光景に、僕は仰天した。

 なんと、お姉さんの舌がムチのように伸び始めたのだ。

 そして、襟元からすすす……と服の中に潜り込んでくる。

 「ば、ばけもの……!? うぁッ!」

 唾液まみれの舌で胸をべろ〜りと舐められ、僕は身悶えた。

 「……バケモノじゃありません。妖怪です」

 お姉さんは、僕の胸を舐め回しながら告げる。

 そんなの、どっちだって一緒じゃないか。

 妖怪にそそのかされ、こんな路地に連れ込まれ……一体、僕はどうなるんだ?

 

 「な、何をするつもりなんだ……? まさか、僕を食べ――」

 れろり…… ちろちろ……

 唾液たっぷりの舌が、僕の乳首をくりくりといじり回してきた。

 「はぁぁ…… やめ、くすぐったい……」

 「食べたりしませんよ、そういう妖女さんもいますけど。私は垢をペロペロするだけです」

 「ほ、本当にそれだけ……?」

 「はい、それだけです」

 女性はにっこりと微笑んだあと、舌を脇の下へと伸ばした。

 「ふふ…… 学生さん、垢いっぱい溜まってる……」

 「く、くすぐったいよぉ…… ああッ!!」

 完全に怯えが払拭され、僕は舌の刺激に喘ぐ。

 「背中も…… うふふ、垢いっぱい……」

 「うぁ…… ああぁぁ……!」

 気恥ずかしくなりながらも、僕は立ったまま体を震わせた。

 くすぐったさだけではない。

 舌での愛撫により、僕は性感を味わっていた。

 股間は大きくテントを張り、ジーンズを盛り上げる。

 目の前のお姉さんが、それに気付いていないはずがない。

 

 「はぁ、はぁ…… うぁぁ……!」

 脇や背中を舐めていた舌が、徐々に下に降りてくる。

 お腹や脇腹をれろれろと舐め回し、べったりとよだれを塗り付けてきた。

 もう、僕の上半身は彼女の唾液でぬるぬるだ。

 「おへそも舐めちゃいますよー」

 「あ、ああ……!」

 ぬるり、ねろねろ……

 唾液で濡れた舌先がへそを執拗に舐めてくる。

 たっぷりと味わい尽くされ、僕はくすぐったさと性感の交じり合った感覚に翻弄された。

 「足も太腿も…… あなたの垢、全部舐め尽くしちゃいます」

 彼女の舌が膝の下まで一気に移動し、僕は快感から解放された。

 脛や膝を舐められるのは、ただひたすらにくすぐったい。

 「ちょっと、そこは汚いよ……」

 ジーンズの中を蠢く舌は、靴下の中にまで侵入して足の裏を舐めてくる。

 「でも、ここ垢がいっぱいですよ」

 そう言いながら、足の指の間までじっくりと舐め回すお姉さん。

 まるで僕は、彼女に尽くしてもらっているかのような錯覚に捉われた。

 

 「はい、足の垢は舐め取りましたよ。次は、こっち……」

 お姉さんの舌は、ゆっくりと足を這い登ってくる。

 そして、さっきは無視した太腿を舐め始めた。

 特に内側を、念入りに……

 「あ、ああ……」

 僕は、再び快感にさらされた。

 敏感な内股に舌が這い回り、たまらない刺激に体をよじる。

 「うふ、ここも……」

 さらに舌が上がってきて、玉袋と肛門の間の会陰部――いわゆるアリの門渡りを舐め回してきた。

 つつつ……と舌が這い、僕は息を荒げる。

 「うふふ……くすぐったいでしょう、学生さん。あらら? 顔が赤くなってきましたよ?」

 お姉さんは可笑しそうに告げた。

 「じゃあ、ここをこうしちゃうと……」

 れるれるれる……!

 お姉さんの唾液まみれの舌が、僕の玉袋を舐めてきた。

 さらに、しゅるしゅると玉袋全体に舌が巻き付いてくる。

 「っあ……! ああぁぁ……!」

 「ふふ…… シワの間に、垢がいっぱい……」

 舌が玉袋を締め付けては緩め、まるでマッサージされているかのよう。

 さらに舌先が、僕のお尻の穴にまで伸びてきた。

 「この、恥かしい穴も舐めてあげますね」

 「やだぁ、やめてぇ…… 汚いよ……」

 僕は抗うが、お姉さんは全く聞き届ける気配がない。

 「うふ、味わってあげる……」

 舌先がアナルをつつき、そのままベロベロと舐め回してきた。

 「ああ――! うぁぁぁッ!!」

 舌がお尻の割れ目に沿って舐めしゃぶり、僕のアナルを責め尽くす。

 「ああ…… お、おねぇさん……」

 「……はい、これでサービスは終わりです」

 不意に、お姉さんの舌の動きが止まった。

 「え……?」

 快感が突然に投げ出され、そしてひんやりと冷めていく。

 これで、終わり……?

 僕の肉棒は隆起し、先走り液でズルズルになっていた。

 トランクスが濡れ、ひんやりと冷たい。

 ここに一切触れずに、終わりなのか……!?

 

 「そ、そんな……」

 僕は、絶望といってもいい声を上げた。

 「おチンチン、舐め回してほしいんですか?」

 お見通し、と言った表情でお姉さんは告げる。

 「な、舐めて……」

 僕は、恥も外聞もなく懇願した。

 「では、条件があります。それは――」

 僕は息を呑む。

 交換条件? 一体、何を……!

 もしかして、魂を捧げろとか……?

 「――追加料金、200円を払ってもらいましょう」

 「……」

 僕は財布の中から、千円を抜き出した。

 百円玉はもうなかった……でも、とにかく快感が欲しい。

 「そんなの、いくらでも払うから……!」

 「まあ、こんなに……!?」

 お姉さんは、目を輝かせた。

 「これは…… 学生さんのおチンチン、舐め尽くしてあげないといけませんねぇ」

 「お、お願いします……」

 「ふふ……」

 しゅるり、と舌がペニスの根元に巻き付いてきた。

 「はぁう……! 唾液でぬめってる……」

 「うふ、感度がいいんですね……」

 ゆっくりと、お姉さんの舌は巻き付きながら這い上がってきた。

 「ねぇ、学生さん。ズボン脱ぎませんか?」

 「え……?」

 「おチンチンに、私の舌が絡み付いてるとこが見えますから。とってもエッチな光景ですよ……」

 「は、はい……!」

 僕は、ズボンとトランクスを一気に下ろした。

 ペニスの中ほどにまで唾液で濡れた舌が巻き付き、お姉さんの言った通りとても淫靡な光景だ。

 「あら……皮が? 包茎なんですね……」

 「す、すみません……!」

 彼女の言葉に、恐縮しつつも赤面した。

 僕は仮性包茎であり、勃起しても亀頭の半分は皮に包まれたままなのだ。

 「いえいえ。私、包茎さん大好きですよ。垢がいっぱい溜まってますからね……」

 「え……?」

 するする……と伸びた舌先が、亀頭の下半分を覆う皮の中に滑り込んだ。

 「うぁ……! そ、それ……!」

 「うふふ…… 包茎さんにこれをしてあげると、みんな泣きそうになっちゃうんですよね」

 舌が亀頭と皮の間に潜り込んだまま、ねろねろと動き出す。

 亀頭の周りを回るように、ゆっくりぐるぐると這い回った。

 

 「ふぁぁぁぁぁ……! だめ、それぇぇぇぇ……!」

 僕は余りの快感に足が震える。足腰の力が抜けて、そのままその場に――

 ふんわり、とお姉さんは僕を抱き止めた。

 「立っていられませんか? 支えてあげますので、堪能して下さいね」

 「は、はぁぁぁぁ……!」

 僕はそのまま、お姉さんの柔らかい体にしがみつく。

 皮と亀頭の間を容赦なく舐め、ほじり尽くした。

 「うふふ…… くびれのところ、垢いっぱい……」

 「あ、ああぁ……! ベロがぁ……! よだれがぁ……!」

 皮の中でカリをねぶり尽くされ、僕は限界を迎えつつあった。

 「き、気持ちいい……! 出る――!」

 「イきそう? フィニッシュはどう舐められたいですか? このまま? 先っぽを重点的に? それとも、おチンチン全体?」

 「こ、このまま……」

 「はいはい、分かりました。皮の中をぐるぐるぐる〜ですね」

 れる、れるれるれるれる……!

 舌の動きが、粘りつくようにいやらしくなる。

 その動きに、僕はとうとう限界を迎えた。

 「ああぁぁぁぁ! お姉さん……! おねえさぁぁぁん!!」

 僕は腰を震わせ、お姉さんにしがみ付いたまま絶頂する。

 飛び散った精液がボタボタと地面に垂れ、一部はお姉さんのスカートにまで降りかかった。

 「あらあら、なにか勿体無いですね。世の中には、人間の精液を食事にする妖女も沢山いるのに……」

 そう呟きながら、お姉さんは舌での回転責めをやめてくれない。

 彼女の体にしがみつき、体を震わせる僕――そのペニスを容赦なく舐め回し続ける。

 亀頭と皮の間に舌をねじ込み、ぐるぐる、ぐるぐると――

 たっぷりといたぶられながら、僕は最後の一滴まで精液を出し尽くした。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ……」

 射精した後も愛撫は続き、休む暇すらない。

 「次は……直接、味わってもらいましょうか」

 根元に絡んだ舌がきゅっと動き、僕の亀頭を包んでいた皮がずるりと向けてしまう。

 「あ……! か、皮が……!」

 カリが外気に触れ、ひんやりと冷たい。

 「うふふ、ピンク色。敏感そうですね〜」

 お姉さんは意地悪げに笑うと――その長い舌を、一気に亀頭に絡み付けてきた。

 ちゅ…… にゅるるるるるるるる……

 

 「はぁ……! あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 その慈悲のカケラもない責めに、僕は表情を歪めて絶叫した。

 敏感な部分が唾液でねろねろにされ、カリのくびれの部分に舌でまとわりつかれ……

 「くびれ、垢だらけ…… 美味しい……」

 「あぁ……! あ、うぁ……! 刺激が、つ、強すぎ……!」

 僕は腰を引いて、とにかくその刺激から逃げようとする。

 「駄目ですよ…… お金、払っちゃったんだから……」

 ぎゅっと、お姉さんは逃げようとする僕に抱きついてきた。

 「代金分は、たっぷり天国を味わってもらいますからね」

 「お、お姉さん……! もう……!」

 余りにも激しい快感に、僕はたちまち音を上げた。

 「あら? もう限界なんですか? じゃあ今度は、先っぽチロチロでフィニッシュさせてあげますね」

 舌が亀頭から離れ、尿道口をちろちろと舐め擦られる。

 触れるか触れないかの位置で、たっぷりと唾液をまぶしながら、ちろちろ、ちろちろと……

 ちろ、ちろちろちろちろちろちろちろちろちろちろちろちろちろちろちろちろ……!

 

 「だめ、だめぇ……! それ、だめぇ……!」

 「ふふ。学生さん、女の子みたい…… 男の人って、おチンチンをナメナメされるのに弱いんですねぇ」

 「あ、あぁぁぁ……! 出るぅ! うぁぁぁぁぁぁ!!」

 どくん、どくどくどく……

 断続的に噴出した白い塊が、尿道口を嫐るお姉さんの舌に打ち付けられた。

 彼女の舌は、射精の間中ずっと舐め回してくる。

 「うぁぁ……! き、気持ちよすぎて…… もう、死んじゃう……!」

 「死にはしませんよ。もっとも、妖女の中には本当に男の人を吸い殺しちゃうのもいますけどね」

 そう言いながら、お姉さんは僕の射精が終わるまで尿道口を舐め回し続けた。

 

 「では、次の射精で終わりにしましょうか。最後は、おチンチンぜーんぶレロレロしちゃいますよ」

 しゅるしゅる、ぬちゅ……

 お姉さんの舌がペニス全体に巻き付き、一気に絡み付いてきた。

 僕の肉棒は、肌の部分が全く見えないほどに舌で覆い尽くされてしまう。

 「うふふ。我慢できなくなったら、そのまま出して下さいね〜〜」

 にゅ、にゅ、にゅ、じゅるるる〜〜 くちゅくちゅ、にゅるにゅるにゅる〜〜

 舌が激しく蠕動し、僕のペニスを嫐り尽くしてきた。

 締め上げ、絡み付き、擦り上げ、巻き付き、舐め回し――あらゆる動作でペニスが蹂躙される。

 お姉さんの舌が、容赦なく僕の精液を搾り出す――

 「ふぁ……! あ、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 どく、どくどくどくっ……

 まさに瞬殺だった。

 僕は、たちまちお姉さんの舌の中で果ててしまったのだ。

 「はい、キレイキレイしましょうねー」

 肉棒を締め上げている舌の筒がぐじゅぐじゅと蠢き、内部のペニスが揉み込まれ、舐め尽くされた。

 射精中のペニスにそんな責めを受け、僕は呼吸が止まりそうになる。

 「あ…… は……! ああッ……!」

 僕はひたすらお姉さんにしがみつき、腰をガクガクさせながら精液を出し尽くす。

 彼女は、にこやかに笑いながらペニスを責め続けた。

 最後の一滴が出終わり、尿道口に残っている分まで舐め取られる。

 

 しゅるしゅる……

 ようやくお姉さんの舌がペニスから離れ、僕はヘナヘナとその場に崩れ落ちた。

 「はい、終わりです。気持ちよかったですかー?」

 そう言って、お姉さんは恥ずかしげに笑った。

 「あは。なんか、フーゾクみたいでしたね……」

 

 「……」

 余りの快感と疲労に、僕の意識は遠くなっていく。

 ただ確かな事は、僕はこのお姉さんにこれからもお金を払い続けるだろうという事だ。

 「お姉さん…… いつまで、この町にいるの……?」

 「え……? 稼げるのならいつまでもいますけど……」

 「僕、毎日来るから……」

 「毎日……? 嬉しい……!」

 お姉さんの顔が、ぱっと明るくなった。

 「毎日来てくれるんなら、いっそ学生さんのお家のお風呂に住んじゃおうかなー?」

 「はは…… それは、嬉しいなぁ……」

 なんとかそう呟きながら、僕はその場に横たわった。

 もう限界だ。気が遠くなる――

 

 「じゃあ、そうしますね――」

 そんなお姉さんの声が、闇に落ちていく意識の中で聞こえた。

 もう、彼女は街頭サービスをしないのかもしれない。

 アパートの僕の部屋――その風呂場には、彼女の姿があるのかもしれない。

 そして、僕だけに毎日垢落としのサービスを……

 めくるめく喜びの日々、それを夢想しながら僕は意識を失った。

 

 

 



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