ドレス・アナスタシア


 

 沙織は、大学の演劇部倉庫で奇妙な衣装を見つけた。

 これは…… ウェディングドレス?

 かなり奥にしまい込まれていた割には、シワも汚れもない。

 誰かが、こまめに手入れしていたのだろうか。

 

 「ふ〜ん…… こんなの、一度着てみたいなぁ」

 ドレスをまじまじと見ていた沙織は、ちょっとしたイタズラを思いついた。

 今、演劇部の部室では、付き合って一年になる彼氏が待っている。

 彼を、ちょっと驚かせてやろう。

 他の演劇部員はみんな帰宅しているので、問題はないはずだ。

 沙織は純白のドレスを抱えると、携帯電話に手を伸ばした。

 その異装こそが、淫魔の精神が宿ったドレス・アナスタシアだとは知る由もなく――

 

 

 

 青年は、演劇部部室でぼんやりしていた。

 時刻はもう午後8時を回っている。

 練習はとっくに終わり、他の部員達はみんな帰宅してしまった。

 しかし彼女の沙織は、忘れ物があったとかで倉庫へ行ったきり戻ってこない。

 様子を見に行った方がいいのか――?

 そう思った時、彼の携帯電話がブルブルと震えた。

 『今すぐ、練習場に来てほしい』

 沙織からの、そんな内容のメールだ。

 何かあったのか……? 青年は腰を上げ、練習場に向かった。

 

 

 古い扉を押し開け、青年は練習場に入る。

 そこには、女神と見間違いそうなほど美しい女性が立っていた。

 純白のドレスに身を包んで、神々しい雰囲気すら漂っている女性――

 彼女がいるだけで、古びた練習場がきらびやかなステージにすら見えた。

 青年は口をぽかんと開き、ただ放心する。

 

 「ふふっ、どう?」

 ショールを華麗に翻し、女性は屈託なく笑った。

 「……さ、沙織――?」

 彼女が口を開いてようやく、青年は女性の正体を悟った。

 彼は数秒ほど、目の前の純白の女性が自分の恋人だと気付かなかったのだ。

 「……ああ、びっくりしたよ」

 青年は感嘆のため息を吐いた。

 「えへっ、倉庫にあったんだ。凄いでしょ?」

 ショールをふわりとたなびかせ、沙織はくるりと回る。

 「へー、こんなドレス、今まで見たことないや……」

 青年は物珍しさもあり、ドレスをじろじろと見ながら沙織の周囲をうろついた。

 両手の肘から手先までを覆う、美しいレースに彩られた純白のグローブ。

 肩にかけた、優雅できらびやかなショール。

 ロングヘアを華やかに飾る高貴なバックヴェール。

 それにしても、よくこんな豪華なドレスを誰の助けも借りずに一人で着られたものだ。

 「あっ、トレーン踏まないでね」

 「トレーン?」

 「引き裾。これよ、これ」

 沙織は、スカートの後ろの部分を指差した。

 後方にずるずると引きずった、長い裾のことらしい。

 「スカートも、まるでお姫様みたいなボリュームだな……」

 恐る恐る、青年はふんわりと広がったスカートを突付いてみる。

 「プリンセスラインって言うの。中はほら」

 沙織は、ぺろんとスカートの裾を掴んで持ち上げた。

 「このパニエっていうので、スカートの形を整えてるのよ」

 「へー」

 スカートの中にも、まるでもう一つのスカートがあるようだ。

 これをパニエと言うらしい。

 

 「……」

 沙織は、いつしか上気したような表情を浮かべていた。

 「どうしたんだ? 急に静かになって……」

 「ふふっ…… キス、しよ」

 そう言いながら、沙織は青年に体を寄せてきた。

 ふわっ、としたドレスの感触が気持ちいい。

 「あっ、おい……!」

 驚く青年の唇に、沙織は自らの唇を重ねた。

 「……ん、んッ…… んふ♪ ん……」

 そして沙織は、青年の口内を味わうように舌を絡めてくる。

 ネチャネチャという淫らな粘音が、静かな練習場に響いた。

 「ん…… さお、り……」

 青年は、まるで貪り尽くすような情熱的なキスに酔いしれる。

 

 「ん…… ちゅ……」

 一分ほどして、ようやく沙織は唇を離した。

 唇と唇の間に、つつ……と唾液の糸が引く。

 「さ、沙織……」

 青年は、目の前の恋人をぼんやりと見据えた。

 「ふふ…… じっとしてて」

 そのまま沙織は、滑るような動きで青年の背後に回る。

 トレーンが、すぅっと円の軌跡を描いた。

 「えっ……?」

 沙織はそのまま、青年の背中を抱き締めるように体を寄せてくる。

 彼の背中に、ふわふわのドレスがふぁさっと当たった。

 そして、柔らかな胸の感触も背中に押し付けられる。

 一体、沙織は何を――

 

 背後から、純白のグローブに覆われた両腕がスス……と伸びてきた。

 そのまま、青年のズボンのベルトが外される。

 「え…… ちょっと、おい……!」

 「ふふ……」

 沙織は微かに笑いながらベルトを床に落とし、そのまま青年のズボンを引き落とした。

 そして、トランクスの上から彼の股間を優しくさする。

 さわさわ…… さわさわ……

 「あ……! ちょっと……!」

 青年は、思わず腰を引いた。

 背後に立つ沙織の―― その膨らんだスカートに、ふんわりと腰が埋もれる。

 ドレスの裾が、彼の背中や首をさわさわとくすぐった。

 なんで、こんな所でこんな事を……

 青年はそう思ったが、トランクスの上から股間を撫で擦られる感覚に抵抗できない。

 

 「ふふ、私に身を任せて……」

 沙織は背後から青年を優しく抱き締め、そのままトランクスを降ろした。

 そして、最大限に勃起したペニスを右腕で優しく握る。

 「おい、ダメだ…… そんなの……」

 グローブのレースの感触が、さらさらとして気持ちいい。

 握られてるだけで、もう……

 「気持ちいい? じゃあ、動かすね……」

 「おい! やめ…… ああぁぁ……」

 しゅっ、しゅっ、しゅっ……

 沙織は、ペニスを柔らかく握ったままゆっくりと扱き始めた。

 レースの部分がペニス表面をするすると擦り、たまらなく気持ちいい。

 その感触の余りの甘美さに、青年は口を半開きにして虚空を見た。

 「痛くないよね……?」

 「あ、ああ……」

 青年は快感に痺れながらも、なんとか返事をした。

 尿道口からは先走り液が糸を引き、純白のグローブを汚す。

 それを見て、彼ははっと我に返った。

 「あ……! おい、ダメだ! ドレスが汚れて……! やめろ!」

 「ふふ…… シコシコされて気持ちいいクセに」

 沙織は淫靡に笑うと、ペニスを扱き上げる手を加速させた。

 その指先が魔法のように絡み付き、青年を押し上げていく。

 さらに左手は玉袋を触り、やわやわと揉み込んだ。

 「やめ…… ダメだ、離して…… このままじゃ……」

 「いいよ。このまま出して」

 しゅっ、しゅっ、しゅっ、しゅっ、しゅっ、しゅっ……

 ペニスが扱き上げられる音に、僅かな水音が混じる。

 先走り液が垂れ、純白のグローブをねっとりと汚しているのだ。

 「あぁぁ! やめろ、出るって! ドレスが…… 離せ……」

 青年がどれだけ言っても、沙織は手淫をやめない。

 それどころか、沙織の手技は彼を追い詰めるかのように激しくなっていった。

 「出していいよ、私の手の中で」

 「ああぁぁぁ……! もう……!」

 沙織は左手を陰嚢から離すと、その掌を青年のペニス先端に添えた。

 左手で亀頭を優しく覆い、右手でペニス全体を巧みに扱き上げる。

 しゅっ、しゅっ、しゅっ、しゅっ、しゅっ……

 「ああッ!! うわぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 どくん、どく、どく、どく、どく……

 美しいレースが編み込まれた、純白のグローブ。

 その柔らかな感触にペニスを包み込まれ、青年はなすすべもなく射精に追い込まれた。

 「ふふ、出た……」

 尿道口から断続的に噴き出す精液を、沙織は左掌で受け止める。

 一方の右手では、射精の脈動に合わせてペニスを扱き上げながら……

 その動きに翻弄され、青年は尿道口に残った精液まで搾り上げられた。

 

 「ふふ、良かったでしょ……」

 ねちゃ……という湿った音と共に、彼女の両手がペニスから離れた。

 純白のグローブには、彼の精液がべっとりと付着している。

 美しいドレスを自らの体液で汚してしまった――そんな罪悪感と背徳感が、青年にのしかかった。

 「な、なんて事を……」

 「あは、糸引いてる」

 沙織は、両掌を閉じたり開いたりしてグローブに付着した精液を弄ぶ。

 その度に精液がねっとりと糸を引き、その淫靡な様子に青年は心を奪われた。

 「ドレスに精液かけちゃうなんて…… やらしい♪」

 沙織は、ふふふと笑う。

 「そんな、だいたい……――ッ?」

 抗議しようとした瞬間、沙織はまたしても青年の背後に回った。

 そのまま、膝の裏がぐいっと押される。

 体勢を崩した青年は背後に倒れ――そして、沙織の体で受け止められた。

 ふわり……と、ドレスは青年の背中を柔らかく包み込んでくる。

 彼の体は背後の沙織にもたれるような形になり――そして次の瞬間には、彼の体がぐいと持ち上げられていたのだ。

 青年の両太腿に手を添えられ、そのまま力任せに――

 

 「な、おい……!?」

 青年は痩せている方ではあったが、女の腕二本で簡単に持ち上げられるような体重ではない。

 それなのに、まるで体育座りのような体勢のまま背後から抱え上げられたのだ。

 「ほら、そのまま足を開いて……」

 さらに沙織は、ぐいっと青年の両足を広げさせた。

 いわゆる、M字開脚の形。

 幼児にオシッコをさせるような体勢で、青年は持ち上げられたのだ。

 「ちょっと、おい……! 離せ……!」

 青年は体をよじらせたが、まるでびくともしない。

 沙織の手はしっかりと、青年の体を屈辱的な体勢で固定しているのだ。

 「また大きくなってきた…… 恥ずかしい格好されて、感じた?」

 「な、何を……!」

 何か変だ。

 沙織の凄まじい力もだが、態度も明らかに変だ。

 確かに沙織は勝ち気で、セックスもかなり積極的。

 それでも、こんな異常な行為を楽しむような女じゃなかったはず。

 これは、一体――

 

 「次は…… コレでしてあげるね」

 青年の頭越しに、沙織は囁きかける。

 そんな彼の視界に、何かふわふわしたものが――

 「な、なんだ……?」

 何か白いものが尾を引きながら、ふわふわと空中を漂っていた。

 あれは、ショール?

 青年は、首だけで沙織の方に視線をやった。

 沙織が肩に掛けていた白いショールが長く伸び、まるで意思を持ったように空を舞っていたのだ。

 

 「な、なんだ! これ……!」

 「ほら、白いオシッコしーしーしましょうね……ふふっ」

 ――しゅるしゅるしゅる。

 空を舞っていたショールが、青年のペニスに巻き付いた。

 「な、なんだ……!?」

 青年は思わず体をよじろうとするが、沙織にしっかりと抱えられていて動けない。

 そして彼のペニスには、ふわふわと舞っていたショールがしゅるしゅると絡んできたのだ、

 その柔らかい素材の感触をペニスで感じ、青年は呻き声を上げる。

 「さ、沙織……! これ……!!」

 「ふふ…… 気持ちよくしてあげるから、いっぱい出してね」

 にっこりと笑う沙織。

 ショールはペニスを締め付けては緩め、締め付けては緩め、奇妙な感触を送り込んできた。

 決して、不快ではない。むしろ、柔らかいショールに締め付けられるのは非常に気持ちが良かった。

 でも、これは一体――

 

 「おい、離せ……! お前、一体どうしたんだ……?」

 「そんなこと、考えなくていいよ。今は、気持ちいいことだけ考えて」

 しゅる…… しゅるしゅるしゅる……

 「ああッ! ああぁぁぁぁぁぁッ!!」

 ショールは優しくペニスに絡み、時にはきつく亀頭を締め付ける。

 その変幻自在な動きに、青年はみるみる追い詰められていった。

 「さ、沙織……! もう……!」

 「ふふ、もう限界? ショールにおちんちん弄ばれて、我慢できなくなった?」

 沙織は青年に囁いた。

 同時に、ショールは青年のペニスを覆いこむように隙間なく巻き付いてくる。

 まるで、ショールでできた白い繭。

 彼のペニスを包み込んだ柔らかいショールの繭が、きゅっ、きゅっ、と収縮する。

 その甘美な刺激に、青年はとうとう限界を迎えた。

 「ああッ! もうだめだ…… 出るぅぅぅ!!」

 どくん、どくどくどく……

 青年は表情を歪ませ、ショールの繭の中に精液を吐き出した。

 M字に足を広げられ、沙織に抱え上げられるという恥ずかしい格好、さらにペニスにショールを絡められて……

 余りの屈辱感に、青年は涙さえ流しそうになった。

 愛する者の目の前で、そして彼女の手によってこんな事を――

 

 しゅるしゅるしゅる…… と、青年のペニスからショールが解かれていった。

 亀頭部分を包んでいたショールには、大量の精液がべっとりと絡み付いている。

 「ふふ、あんなに出してくれたんだ……」

 それを見て、沙織は嬉しそうな笑みを浮かべた。

 「おちんちん、縛られるの好きだったんだね。じゃあ、もっともっと縛ってあげる」

 「えっ……!?」

 首だけを動かし、背後の沙織に視線をやる青年。

 ウェディングドレスを飾る可憐なリボンが、手も触れていないのにしゅるしゅると解け始めた。

 そして、宙を舞うリボンは青年に襲い掛かる。

 「う、うわぁぁぁぁぁぁッ!!」

 抱え上げていた青年の体を解放する沙織――それと同時に、青年の全身にリボンが絡み付いた。

 それに続き、先程まで青年のペニスを嫐っていたショールも青年に巻き付いていく。

 「な…… なんなんだ、これ……!」

 青年はたちまち、リボンとショールに縛り上げられてしまった。

 その拘束はキツく、青年はただ体をよじる事しかできない。

 

 「やめろ、沙織……! いったい、どうしたんだよ!」

 「ドレスの装飾布で縛られて、そんなにおちんちん膨らましてるのに説得力ないよ」

 沙織は、青年の股間に視線を落とした。

 「やめろなんて言って、本当はもっとしてほしいんでしょ……?」

 そう囁きながら、沙織は軽く指を鳴らす。

 彼女のロングヘアを飾るバックヴェールが、薄く光りながらたなびいた。

 

 ――その瞬間、世界が変わった。

 巨大な十字架、ゆらゆらと火が揺れる燭台、美しいステンドグラス、ずらりと並んだ机――

 彼の目に映っているのは、異国の礼拝堂だった。

 演劇部の練習場…… そのようなものは、この世界のどこにもない。

 

 「……!?」

 青年は、驚きのあまり声すら失った。

 「ふふ…… 二回も精液もらったから、こんなこともできるようになったんだ♪」

 沙織は礼拝堂の真ん中で、くるりと回って言った。

 トレーンがふわりと舞い、柔らかな軌跡を描く。

 彼女の姿は、息を呑むほど美しかった。

 「ここは、もう私達のいた世界じゃないの」

 拘束されている青年を見据え、沙織は歌うように囁く。

 「貴方はずっと、ここで私に精を搾られ続けるのよ。永遠に、永遠に――」

 「な……」

 青年には、まるで状況が理解できない。

 たった一つ確かな事は、目の前の女性は確かに沙織だという事だけだ。

 しゃべり方のクセ、青年に話し掛ける時の目線、勝ち気で挑発的な性格――

 全てが沙織のまま。

 でも、彼女は何かに魅入られてしまったかのように――

 

 ドレスから伸びるショールとリボンに拘束され、床に転がっている青年――その姿を見下ろし、沙織は目を細めた。

 「じゃあ、おちんちんも縛ってあげるね」

 「な、うわぁぁッ!!」

 鮮やかな装飾布は青年の体を拘束しただけでなく、そのペニスにも襲い掛かる。

 先程のようにしゅるしゅると肉棒に巻き付き、締め上げ始めたのだ。

 「次は…… ここにちょうだい」

 ドレスのスカート後方、長く尾を引いた部分――トレーンが、ふんわりと広がりながら宙を舞った。

 そして、青年を包み込むように被さっていく。

 「ああ…… あああッ!」

 ふわり、さわさわ…… さわさわ……

 トレーンは青年の全身に這い回り、ふわふわと柔らかく愛撫した。

 その布地のきめ細やかな感覚に、青年は表情を弛緩させて酔いしれる。

 

 「ふふ…… トレーンでおちんちん啜ってあげるね」

 「や、やめ…… ああぁぁぁぁ……」

 さらに、その柔らかいトレーンはペニスを重点的に覆い込んできた。

 ショールとリボンに絡め取られているペニスを、柔らかく包み込むように――

 くるくるとトレーンに包まれたペニスは、優しい締め付けとふわふわした愛撫を受けた。

 ペニスの先端からは先走り液が分泌され、トレーンを濡らす。

 「あ…… 沙織…… き、気持ちいい……」

 青年は、喘ぎながら沙織に快感を訴えた。

 彼は、自身が天国にいるような錯覚にとらわれた。

 そして天女達に囲まれ、全身に愛撫を受けている――

 

 「気持ちいいよぉ…… 沙織ぃ……」

 青年は全身をショールやリボンに巻き付かれ、トレーンに絡め取られている。

 そしてペニスも、同様に装飾布で蹂躙されていた。

 しかし青年は極上の感触に陶酔し、その異様さや無様さなどまるで気にならない。

 「素敵な格好よ。そのまま、イかせてもらいなさい」

 トレーンがやわやわと青年のペニスを嫐り、亀頭をくるみ込んで締め付け始める。

 それを助けるように、リボンやショールがサオに絡み付いて扱き上げてきた。

 青年に極上の感触を味あわせ、射精に至らせるという意思がこもった動き――

 「ああッ! いいよぉ……! もう、出る……!!」

 股間で蠢く装飾布の感触に、青年はたちまち果てた。

 精液が飛び散り、トレーンのみならずリボンやショールにまで振りかかる。

 青年は夢うつつの表情で、自らの白濁でねっとりと汚れたドレス装飾布を見た。

 トレーンにもリボンにもショールにも体液が降りかかり、あちこちに粘りながら付着している。

 それを、彼はぼんやりと眺めていた。

 

 「トレーンにも貰っちゃった…… 次は――」

 しゅるしゅるしゅる……

 青年の全身を束縛していたリボンは、四肢のみへの拘束に移行した。

 そのまま彼の体はぐいと持ち上げられ、空中で『X』の字にされる。

 「な……! ああッ! 離せ……!」

 その異様な状況に、青年はみるみる我に返った。

 快楽に酔ってる場合じゃない、明らかに沙織はおかしくなっている。

 なんとかしないと、このままじゃ――

 

 「次は、胸にちょうだい」

 空中で磔にされている青年に、沙織はトレーンを華麗に引きながらつかつかと歩み寄った。

 そんな青年の股間の位置は、ちょうど沙織の胸の高さあたり。

 胸……? まさか――!?

 「やめろ、沙織!」

 「ふふ…… やめてあげると思う……?」

 沙織は足音を響かせて青年に歩み寄り、その手前で立ち止まった。

 口元に淫らな笑みを浮かべ、そのまま彼を見上げる。

 「私の胸に、白いのいっぱい出してね」

 そう言って、沙織はそのまま青年に体を寄せてきた。

 「や、やめろ――!!」

 「ふふ……」

 沙織は青年に体を重ね、ぴったりと密着してきた。

 彼の勃起したペニスが、沙織のドレスの胸の部分と接する。

 「あ…… うわぁぁぁぁぁッ!!」

 ドレス越しながらも柔らかい沙織の胸に、自分のペニスが埋もれて――

 

 「貴方のおちんちん、抱いてあげる……」

 そして沙織は、青年の腰にしっかりと腕を回した。

 彼の股間を自分の胸に密着させ、そのまま強く抱き締めてきたのだ。

 青年のペニスは、沙織の温もりと柔らかい胸の感触に容赦なくさらされた。

 「い、いい……! 気持ちいい……!」

 沙織は、ただ抱き締めているだけ。

 それだけなのに、とてつもない快感が青年のペニスを襲う。

 ――ドレスだ。

 ウェディングドレスが艶かしく脈動し、青年のペニスを包み込んできたのだ。

 ペニスがきめ細やかなレースに押し付けられ、極上の感触を味わう。

 フリルが柔らかく蠢き、青年のペニスを啜り上げる。

 それに加え、沙織の柔らかい乳房の感触。

 沙織の胸で、ドレスで、搾り取られる――

 そんな最上級の快感に、青年が我慢出来るはずはなかった。

 

 「ああ…… うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 どく、どくどくどく……

 青年は、たちまち沙織の胸に包まれながら精液を漏らす。

 余りの快感に、精液を吐き出しながらガクガクと揺れる彼の体。

 ドレスの胸の部分へ、次々と精液が飛び散っていく。

 「気持ちいい? もっと抱いてあげる……」

 ガクガクと震える青年の腰を、沙織はまるで暴れ馬を抑えるようにきつく抱き締めた。

 「ああッ! がぁぁぁぁぁぁッ!!」

 より強くペニスがドレスに押し付けられ、青年は絶叫した。

 ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ……

 ドレスはドクドクと溢れる精液を搾り取り、ペニスを啜り続ける。

 射精が終わった後も、すぐに次の射精感が訪れる。

 そしてペニスは沙織の胸元で弾け、精液を延々とドレスに搾り取られるのだ。

 青年を慈しむように、沙織はその腰にぴったりと抱擁を続ける。

 彼はその甘美な感触を存分に味わい、精液を何度も吐き出し続けた。

 「ああ…… ああぁぁぁぁぁぁッ!!」

 ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ……

 

 

 もう、10回ほど射精しただろうか……

 ようやく、沙織は抱き締めていた青年の腰を解放した。

 「ふふ…… いっぱい出してくれたね。どっちで感じてくれたの? 私の体? ドレス?」

 沙織は軽く笑いながら、一歩後ろに下がる。

 そのドレスの胸元には、彼の精液がべっとりと付着していた。

 レースを汚し、フリルに絡む青年の絶頂の証。

 「まだ温かい……」

 沙織はその白濁液を指でなぞり、ペロリと舐める。

 「こんなの、ダメだ……」

 青年は、自らの精液で汚れたドレスに底知れない背徳感を感じていた。

 明らかに得体の知れないドレスなのに――これも、ドレスの魔力なのだろうか。

 ウェディングドレスに向けて射精を強要される――そんな倒錯感が、青年の心の中で騒ぎ出した。

 精液にまみれたドレスを纏う沙織の姿は、この上もなく扇情的だ。

 

 「じゃあ次は…… 本格的に搾り取っちゃってもいいよね……」

 沙織は、上気した顔で言った。

 「大切な人には、『これ』をしてあげなさいってドレスも言ってるし……」

 うわ言のように口走る沙織。

 「おい、正気に戻れよ……! うわっ」

 青年の体は『X』型に磔にされたまま、するすると高さだけを下ろされた。

 先ほどまでは青年の股間と沙織の胸が同じ高さだったのが、今は同じ目の高さだ。

 「これやっちゃうと、しばらくは離してあげられないんだけど……」

 沙織は、青年にゆらりと近付く。

 まるで、自らの感情が抑えきれないかのように――

 「いいよね。吸い取っちゃうよ。精液、全部吸い取っちゃうよ……」

 「お、おい……! やめろッ! 沙織ッ!」

 青年は、身をよじって暴れる。

 何をされるのか分からない恐怖、そして期待におののきながら――

 その時、青年は沙織のドレスのスカートが不自然に蠢いている事に気がついた。

 まさか――!?

 

 「精液、全部吸い上げてあげるね――」

 ふわり……と、沙織は青年に抱擁してきた。

 彼女の腕は首の後ろに回り、しっかりと抱き締められる。

 そして彼の下半身は、膨らんだスカートにふわりと埋まった。

 「あ……! うわぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 たちまちドレスは、青年の精を吸い取るべく襲い掛かった。

 スカートがしゅるりと青年の下半身を覆い、何重ものフリルが貪るようにペニスを包み込む。

 そしてスカート全体がやわやわと蠢き、青年の下半身を快楽で溶かしてきた。

 きゅぅぅぅぅ……と、スカートがペニスを吸い上げるように嫐ってくる。

 「す…… 吸われてる……! スカートに吸われてるッ……!」

 自分の股間で起きている事に恐怖、そして愉悦し、青年は身悶えた。

 フリルがペニスを咀嚼するように包み、優しく締め付けてくる。

 美しいレースが亀頭部に絡み付き、独特の刺激を与える。

 青年は、たちまち絶頂に導かれた。

 「ああ…… 沙織ぃぃ! うあぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 青年は沙織に抱き付かれたまま、彼女のスカートにドクドクと精を吐き出した。

 スカートに包まれて果てた後も、その極上の布地が彼のペニスを責め嫐ってくる。

 その柔らかい感触に包まれ、青年のペニスはどくどくと精を漏らし続けるのだ。

 精液が、ドレスに搾り取られている――!!

 青年は戦慄しつつ、柔らかな感触のスカートに翻弄され続けた。

 

 「まだよ、まだ……もっと出して!」

 沙織は、青年の体をぎゅっときつく抱き締めた。

 四肢を拘束しているリボンとショールがしゅるしゅると解け、彼の全身に容赦なく絡み付いてくる。

 手足への拘束が緩み、全身へ装飾布が絡もうとしたその瞬間――

 ほんの数秒間だけ、彼の両腕が自由になったその瞬間――

 

 青年は、おそらく知らなかっただろう。

 心を乗っ取るタイプの魔具は、なるべく乗っ取られる人間の頭の近くにあった方が効果的な事を――

 

 青年は、おそらく気付かなかった。

 ドレス全体が彼を搾精している中、バックヴェールだけは全く搾精に参加しなかった事を――

 

 青年は、ほとんど意識していなかった。

 この異界の礼拝堂に引き込まれた際、彼女の付けているバックヴェールが淡く光っていた事を――

 

 それでも青年は、本能的な勘で察していた。

 そして手足の拘束が緩んだ瞬間、渾身の力で燭台を倒したのだ。

 ゆらゆらと火の点った燭台を、沙織の頭――いや、バックヴェール目掛けて。

 

 「あッ……!?」

 搾精に心を奪われていた沙織は、僅かに反応が遅れた。

 燭台の火がバックヴェールに燃え移り、めらめらと広がっていく。

 

 「このッ……!」

 沙織は青年から離れ、2歩ほどよろよろと退がった。

 「こんな火、すぐに消――」「――させるもんですか、この化け物ぉ……!!」

 いきなり沙織は自らのバックヴェールを掴むと、礼拝堂の床に叩きつけた。

 バックヴェールは磨き抜かれた礼拝堂の床を滑り、そのまま机に当たる。

 「よくも、散々いいようにしてくれたわね……!」

 沙織は、床に転がったバックヴェールに向けて手をかざした。

 「炎精Salamander、汝我が声に耳を貸し給え――abreq ad habra」

 素早く詠唱し、彼女は魔力を込めて指を鳴らす。

 その瞬間にバックヴェールは激しい炎に包まれ、たちまち灰となってしまった。

 

 「ったく、人をおかしなテンションにさせて…… っと、大丈夫!?」

 沙織は、ぱっと青年の方へ振り向いた。

 彼は、いまだに吊るされたままだ。

 「さ、沙織……!? 元に戻ったのか……?」

 「うん、なんとか」

 軽くガッツポーズを取る沙織。

 その口調も態度も…… 間違いなく、青年のよく知っている沙織だ。

 「洗脳っていうのかな? 私にもしっかり意識があったから、正確には違うのかもしれないけど――」

  沙織は、あのドレスを着たまま肩をすくめた。

 「とにかく、その元凶は焼いちゃったわ。もう大丈夫」

 「でもお前、さっき火を……」

 ――そうだ。

 沙織は、自我を取り戻してからも魔法のような事をやってのけた。

 それで、バックヴェールを焼いてしまったのだ。

 「ああ、あれ?」

 沙織は目をぱちくりさせると、軽く指を鳴らした。

 青年の体を拘束していた装飾布が全てほどけ、しゅるしゅると沙織のドレスに引っ込んでいく。

 「なんかあのヴェールが外れた瞬間、魔力とかドレスの支配権が私に残っちゃったみたい」

 あっけらかんと告げる沙織。

 その様子は、まさに普段の沙織そのままだ。

 青年は、安堵のため息を吐いた。

 安心したからか、体がグラリとよろける。

 10回以上も射精させられ、青年は極度の疲労状態だったのである。

 

 「あっ、大丈夫? 相当こっぴどくやられたじゃない――私に」

 沙織は、青年の近くに駆け寄ってくる。

 「なんとか……っと!?」

 青年は今も下半身を露出したまま―― 彼は急に恥ずかしくなり、前を隠した。

 そのまま沙織は、青年を優しく抱き締める。

 「ほんと災難だったよね。でも、もう大丈夫だから……」

 「ああ、練習場に戻れるんだよな」

 沙織の温かい抱擁に、青年は心から安堵した。

 恋人を得体の知れないモノから守り抜いたという満足感が、青年の心を満たす。

 

 「でも、現実空間に戻る前に――」

 沙織は、青年をしっかりと抱き締めたまま意地悪に笑った。

 そのリボンやトレーンが、ふわふわと宙を舞う。

 「……な! おい、まさか……」

 ドレスの化け物は、死んでなかったのか……!?

 しゅるしゅるっと、青年はたちまちリボンに縛り上げられた。

 「……お、おい! 沙織!」

 「ふふ、ずいぶん楽しそうだったじゃない。縛られて、ヒィヒィ泣き叫んで……」

 たちまち束縛される青年を見下ろし、沙織はにやりと笑った。

 いや、これはいつもの沙織だ。

 いつもの沙織は、間違いなくこういう奴だ……!

 

 「せっかく手に入れた魔力だから、たっぷり試してあげる…… 覚悟してね♪」

 「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 しゅるしゅる、さわさわ…… じゅぷ、じゅるじゅる……

 「や、やめろぉぉ! さっきまでと状況が変わってないじゃないか……!!」

 「大丈夫だって。私、ちゃんと正気に戻ってるから」

 沙織は屈託なく笑った。

 「じゃあ、次はスカートとパニエの二段構えでいっちゃうよ♪」

 ふぁさっ…… じゅる、ずちゅずちゅずちゅ……

 「や、やめろ……! う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 「ふふ…… スカートに出しちゃえ」

 「さ、沙織……! ああッ! ああぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 静かな礼拝堂に、青年の悲鳴が響き渡った。

 

 

 

 そして、3ヶ月後――

 

 ここは、青年の下宿先。

 沙織は、彼のベッドに寝転がって漫画雑誌を読んでいた。

 軽く手をかざすと、台所からジュースが飛んでくる。

 漫画をめくりながら、沙織はジュースに口をつけた。

 「ねぇ、今週新連載のやつ読んだ? 結構面白そうだよね?」

 「あ、うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

 

 沙織はマンガをめくりながら、ジュースを飲み干した。

 そして飲み終えたグラスを無造作に放り投げると、たちまち流し台の方へ浮遊していく。

 「ねぇ、次はどのマンガが打ち切り食らうと思う? また当てっこしようよ」

 「はぁ…… あああぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

 

 「……もう。さっきから、そればっかり」

 沙織は頬を膨らませ、青年の方に視線をやった。

 「だって、お前……!」

 彼は、ベッドの上――沙織の真上で拘束されていた。

 リボンに束縛されて持ち上げられ、その全身をショールやトレーンで嫐られて――

 沙織の着ているドレスから伸びた装飾布が、青年を陵辱し続けているのだ。

 

 「さ、沙織ぃ…… もう……!」

 「はいはい、出ちゃうの? じゃあオチンチンこっち向けて♪」

 沙織の操るショールが、青年のペニスをくいっと真下の沙織に向けさせた。

 ドレス姿で、漫画を読みながら寝転がっている沙織の方に――

 「ふぅ、やだやだ…… いずれ、私とセックスするよりドレスとセックスする方がいいとか言い出すんじゃない?」

 「そんな、お前が……!」

 さわさわ、しゅるしゅる……

 「ああぁぁぁ…… さ、沙織ぃぃぃ…… うあぁぁぁッ!!」

 ショールやトレーンが亀頭を重点的に責め抜き、青年はそのまま絶頂した。

 ペニスから吐き出された精液は、寝転がっている沙織のドレスに降りかかる。

 

 「ホント、困った彼氏だなぁ。こんな、変態的なこと覚えちゃって……」

 沙織はドレスでたっぷり精液を受けると、再び漫画の続きを読み始めた。

 「違うだろ! お前が……」

 抗議しようとした青年のペニスを、トレーンがしゅるしゅると巻き上げる。

 彼はリボンやショール、トレーンやスカートに全身を嫐り抜かれ、精液を何度も何度も吸い上げられ――

 

 「うぁ……! ああぁぁぁぁぁぁぁ……!!」

 「ふふ、やらしい声」

 軽く笑いながら、沙織は漫画のページをめくった。

 「さ、沙織…… ちょっと休ませて……」

 「うん、そうね。私がこのマンガ読み終わったら、一緒にどっか遊びに行こうか」

 そう言いながら沙織は、どこからか召喚したせんべいをかじった。

 ぱりぱりという音を響かせながら、足をぱたぱたさせて漫画を読んでいく。

 「ベッドの上でせんべいを食べたら、粉が飛び散るからやめろっていつも…… ああ、ああぁぁぁぁぁ……」

 「もう、文句ばっかり。無理やりイかせてやるから!」

 リボンに締め上げられ、ショールに巻き付かれ、トレーンに亀頭を刺激され、スカートにじゅるじゅると吸い上げられ――

 「あ、ああぁぁぁぁぁぁ!!」

 どくん、どく、どく、どく……

 彼は何度目か分からない精液を、ベッドに寝転がって漫画を読み続ける沙織の背中に降りかけた。

 きらびやかなドレスの背中部分に、青年の精液がべっとりと付着する。

 「さ、沙織ぃぃぃ……! ああぁぁぁぁぁッ!!」

 「もうすぐ読み終わるから、もうちょっと待ってね」

 

 「あ…… うわぁぁぁぁッ!! ああぁぁぁぁぁぁ……」

 ドレスに陵辱の限りを尽くされながら、絶頂し続ける青年。

 彼はこの勝ち気で意地悪な恋人に、当分の間は精液を搾り取られ続けるのだ。

 沙織のドレスにたっぷりと精液を吐き掛け、ドロドロに汚し続けながら――

 

 「あ、週間マンデーの最新号があるじゃん。読ませて読ませて」

 「ああぁぁぁ…… 沙織ぃぃ…… うわぁぁぁぁぁ……」

 

 

 



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