クモ娘


 

 「ふふ……じゃあ、食べてあげる」

 クモ娘の出糸突起が、青年の股間に向けられた。

 そこから粘糸が噴出し、ペニスでその粘りと温もりを存分に受ける。

 「あぐ、あぁぁぁぁ……」

 青年に粘糸を浴びせ掛けながら、クモ娘は彼の横に――そして背後へと回った。

 その体にくまなく糸を噴き付けながら、ゆっくりと絡めて巻き付けていく。

 青年はもはや抵抗することもなく、至福の表情を浮かべて粘糸での拘束を甘受していた。

 「ぐるぐる巻きにされて、繭にされて、溶かされて、消化されて――惨めねぇ」

 優越を込めた笑みを浮かべながら、捕食者はゆっくりと青年を巻き上げていく。

 彼の足先から頭の上までが、びっちりとと白い糸に覆われてしまった。

 それはまさに、繭そのもの――ただし顔の部分だけは巻きが緩く、外の景色も見えるようにされている。

 「捕らえちゃった……もう、私に食べられるしかないわねぇ」

 ぎゅっ、ぎゅっ、ぎゅっ、とクモ娘は繭の中を締め上げる。

 「は、ぁぁぁぁ……」

 その圧迫感はヌルヌルの快楽と入り交じり、青年は夢うつつのまま射精していた。

 ペニスには特に念入りに粘糸が絡められ、外からの振動が全て快感として伝わっているのだ。

 「きもちいい……きもちいいです……」

 「良かったわね……もっと良くしてあげる」

 クモ娘は青年の首筋部分に顔を寄せ、糸の繭の上からそっと噛みついた。

 そこから、彼の体内へとゆっくり唾液を流し込んでいく。

 「は、はぁぁぁぁぁぁ……」

 彼女の唾液は、消化液そのもの。

 とてつもない快楽を伴いながら、青年の体をドロドロにしていくのだ。

 「とろけてしまいなさい。蜘蛛の糸に包まれて、ゆっくりと――」

 青年を溶解するのに十分な量の唾液を流し込み、彼の肩から口を離す。

 そして消化液の役割を持った唾液は、青年の体をじんわりと溶かし始めた。

 その甘い快感に、彼の表情が愉悦に歪む。

 「きもちぃぃ……とけちゃうぅぅぅぅ……」

 もはや青年は正気を失い、至福の快感を味わいながら溶解されていった。

 その間もドクドクと射精は続き、精までも彼女に捧げてしまうのだ。

 「じゃあ、頂くわね……」

 クモ娘は再び青年の首筋に口を付け、ちゅうちゅうと啜ってきた。

 ドロドロにとろけてしまった青年の体は、じっくりとクモ娘の小さな口から吸い上げられていく。

 「ああ……たべられてる……」

 消化液は青年の体を溶解しながらも、その命までは奪わない。

 彼は最後の一呑みまで、クモ娘に啜られる快感を味わい続けるのだ。

 「ふふ、美味しい……」

 「あ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

 ちゅる、ちゅるちゅるちゅるちゅるちゅるちゅるちゅるちゅるちゅるちゅる……

 ごく、ごく、ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……

 ちゅる、ちゅる、ちゅる……ごくん。

 

 こうして青年は溶解され、美しき異形の怪物によって捕食されてしまったのだった。

 精も肉も容赦なく啜られ、普通に生きていては絶対に味わえない快楽に震えながら昇天したのである。

 それは男性にとって、自らの命と引き替えにしても得たいほどの快楽。

 搾精生物に補食されるというのは、オスにとって快楽と官能の極み。

 それを存分に味わえた青年は、幸せだったのかもしれない――

 

 そしてクモ娘は、今夜もあの公園で巣を張っている。

 哀れな獲物を捕らえ、その精と肉を啜り尽くすために。

 

 

 



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