アルベルティーネの研究室
「……というわけで、2006年8月から12月までの収入が2万円を突破したぞ」
ここはローゼンクロイツ研究所、僕とアルベルティーネは地下への階段を行く。
ちびっこ科学者は何やら資金を計上しながら、ご満悦の様子だ。
「8月分の収入が9,911円、9月分が4,115円、10月分が2,176円、11月分が5,126円、12月分が1,866円。
ここまでで、合計23,185円の収入となるな。実にありがたく、研究開発費として使わせて頂いた」
「……って、2006年の12月までですか? もう、2007年もラスト四半期なのに――」
「つまり劇中での現在時間は、2007年元日あたりということになるな。あけましておめでとう、助手」
「はぁ……おめでとうございます」
あまりメタな部分に突っ込んでも仕方ないので、僕は話題を変えた。
「ところでその研究開発費2万円で、何を作ったんですか?」
「それを、今から見せてやろうというのだ。2万もの研究費を掛けた、我が偉大なる大発明を――」
「よく2万円ばかりでそんな大発明ができましたね」
「人間界と魔界は通貨単位が違うのだ。ごちゃごちゃいらん事を言うな」
そんな会話を交わしつつ、地下の一室の前で足を止める僕とアルベルティーネ。
彼女は白衣の裾を床に引き摺りながら、その扉を押し開けた。
そこは薄暗く、まるで牢獄のような研究室。
彼女は最近よく地下にこもっていたが、どうやらこの部屋で作業をしていたようだ。
「こんな部屋があったんですね――って、なんだありゃ?」
恐る恐る秘密の研究室に踏み込む僕、その部屋の中央に奇妙な異物を発見した。
最初は人形かと思ったが、良く見るとあれは――
黒のワンピースに白のエプロンドレス、流れるような長い金髪に清楚で端整な顔付き。
それは、メイド服姿の可憐な女性だったのだ。
そして異様なことに、室内のあちこちから頑丈そうな鎖が伸び、その女性の腕や足――全身を封じていた。
鎖が全身に何重にも絡み、彼女はまるで動きを封じられるかのように拘束されていたのである。
無数の鎖に縛られたその女性はしっかりと目を閉じ、指一本動かそうとしない。
いったい、これは何なのだろうか。
とうとう、ここまで非人道的な実験に手を染めてしまったのか――?
「アルベルティーネさん、これは――」
僕の口をついた非難の言葉は、途中でみるみる力を失ってしまった。
よく見ると、それは人間ではなかったのだ。
最初にこれを見た時、思わず人形だと思った――その直感は、実は正しかった。
関節などの細部を良く見ると、ほんの僅かな違和感がある。
これは綺麗な女性の形を似せた、驚くほどに精巧な作り物。
おそらく、かなり高度な技術で作られたロボットなのだ。
「どうだ? なかなかの出来だろう」
アルベルティーネは満足そうな笑みを浮かべつつ、部屋の隅にあるコンソールの電源を入れた。
「……何なんですか、これは……」
僕はまじまじと、鎖でがんじ絡めにされている可憐な機械人形を眺めていた。
無数の鎖に拘束されている彼女は、まるで封印されている「忌まわしいモノ」のようにも見える。
「よし、起動させるぞ」
アルベルティーネはおもむろに、コンソールに備え付けられているレバーを引き下ろした。
その瞬間、女性型ロボットの体が大きくガクンと揺れる。
「わっ……!!」
彼女の周囲にバチバチと火花や稲光が発生し、僕は思わず身を伏せていた。
そしてロボットは電光に包まれながら、まるで覚醒するかのように目を開ける。
僕は腰を抜かし、呆然とその姿を眺めるのみ。
「……………………起動完了。適応体制に移行」
機械人形の口が開き、無機質な言葉が紡ぎ出される。
声自体は女性のものだが、その口調には何の感情もこもっていない。
「全システムの正常起動を確認。第三種拘束解除――!」
そして次の瞬間、室内に激しいフラッシュが瞬いた。
「うわっ……!!」
彼女の全身を拘束していた鎖が、バラバラになって引き千切れる。
ぶちぶちと千切れ飛んだ鎖は、鉄片となって室内に撒き散らされていた。
激しい電光と衝撃、そして吹き寄せてくる風圧――その中心に、メイド姿のロボットは静かに立っていた。
「……ふむ、起動に問題はないようだな」
アルベルティーネは直立不動の女性型ロボットを見据え、腕を組みつつ満足げに頷いた。
そして、部屋の隅で腰を抜かしている僕の方に視線を向ける。
「まあ、これの用途は見ての通り。だいたい分るだろう」
「えっと……最終兵器ですか?」
「いや、ただのダッチワイフだ。メイド型搾精アンドロイド『MIRA』――まだ試作段階だがな」
アルベルティーネは一回り背の高いロボットの前に立ち、その端整な顔を見上げる。
そして二本指を立て、ピースサインのようにして彼女の眼前に掲げた。
「ミラ、これは何本に見える?」
「人差し指および中指です。識別および認識機能に問題はありません」
「んん……? まあいいか」
アルベルティーネは僅かに首を傾げたものの、気を取り直して部屋の隅にてくてくと駆けていく。
そしてガラクタ入れの中から、男性器を模した張型を取り出していた。
その張型の根本からはコードが伸び、リモコンのようなものに繋がっているようだ。
「では、これよりデータの収集を行う。君にも手伝ってもらうぞ」
アルベルティーネはニセ男性器をミラの眼前の床に立てて置き、そしてリモコンを僕に手渡した。
「このペニス型マシンには疑似射精機能が備わっており、リモコンのスイッチを押せば精液が射出される仕組みだ。
しかし私はデータ取りと解析に専念しなければならないから、君にはスイッチを押す役目を任せる」
「は、はぁ……」
いきなり与えられた役割に戸惑いつつも、とりあえず了承する僕。
「スイッチを押すだけだ、サルでも出来る仕事だろう。
じゃあミラ。このペニス型マシンにプロジェクト004を実行してくれ」
「了解しました。プロジェクト004――対象を完全破壊します」
表情一つ変えず、ミラは平然と口走る。
「いやすまん、命令を撤回する。プロジェクト005の間違いだった」
「任務修正、プロジェクト005――手での奉仕を開始します。アタッチメントH-02装着」
ミラの両手首から先が、機械音と共に折り畳まれて下碗に収納された。
そして新たに手首から突き出した手――それは、形状こそ女性の細くしなやかな手そのもの。
しかしその色は薄いピンクで、質感もまるで舌や口内粘膜に酷似していた。
「よし、アタッチメントの着脱も成功だな」
満足そうに頷き、アルベルティーネはメインコンソールの前に移動する。
そして安物の椅子へと腰を下ろし、ディスプレイを睨みながらキーボードでの入力作業を始めた。
「データリンクよし、快感度の測定調整よし、圧力と摩擦をオールタイムリンク――」
そう呟きながら、猛烈な速度でデータの出力と分析を始めるアルベルティーネ。
「あの……このスイッチは、いつ押せばいいんですか?」
リモコン片手に、僕はおずおずと尋ねる。
「適当で構わん。あの偽ペニスを君のモノと見立て、耐えられそうになかったら押すといい」
「はぁ……」
困惑する僕を尻目に、ミラは床に置かれた張型の脇にしゃがみ込んでいた。
そのピンク色の掌はじんわりとローションのような粘液でぬめり、ヌルヌルと糸を引いている。
それはまるで、唾液の滴る舌のよう。舌が手の形状を為している――そんな表現がぴったりだった。
そしてミラは作り物の肉棒に右手を伸ばし、じんわりと握り込んでいく。
「うわぁ……」
舌のようにヌルヌルざらざらな質感、唾液のように滴った潤滑液。
あれで直にペニスを握ってもらったら、どれだけ気持ちいいのだろうか――
「これより、フェイズ1を開始します」
ミラはそう宣言すると、そのまま右手を上下に動かし始めた。
握り込んだ張型をしこしこと扱き、無表情のまま偽ペニスをじっと見詰める。
粘液にまみれた掌が作り物のペニスを包み、表面をリズミカルに擦り立て――
ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ……という摩擦音が室内に響いていた。
その動作は極めて規則的で、無機質的といってもいい。
「……」
僕は息を呑み、取り憑かれたようにその様を凝視していた。
ズボンの下では、ペニスが痛いくらいに膨張していることは言うまでもない。
ミラの掌は、ペニスの中程からカリ首の少し上あたりまで何度も何度も往復していた。
親指と人差し指の部分がちょうどカリを引っ掛けるように上下し、そして無心に扱き立てる。
無表情のまま偽ペニスを丹念に観察するミラは、独特の淫猥さを醸し出していたのだった。
「よし、フェイズ2に行ってみるか」
アルベルティーネは、手淫を続けるミラに声を掛けた。
「了解しました。フェイズ2に移行します」
それまでの動作が変わり、ミラは両掌で作り物のペニスを左右からきゅっと挟み込む。
そして、まるで石鹸で泡を立てるように、木の棒で火を起こすようにすりすりと擦り立てた。
手の表面の粘膜がにゅるにゅると張型をこすり、淫らな粘音がくちゅくちゅと響く。
「うわ、凄……」
僕は食い入るように、ミラの手慣れた手付きを眺めていた。
右手で扱くようにペニスを握り、それと左右対称になるように左手も肉棒へと重ね合わせる。
カリの部分に回された親指同士がクロスし、右人差し指から右小指と、左人差し指から左小指を祈るような形で組む。
そうして出来た掌の筒で偽ペニスを包み込み、その中でにゅこにゅこと刺激を始めた。
疑似肉棒をヌルヌルの掌で覆い込むような愛撫――ときおり掌の筒から、ぴょこんと顔を出す亀頭部がたまらなく淫ら。
そして、感情の伺えないミラの無表情。まるで、与えている快感の量を推し量るような視線。
あんな動作でペニスを責められ、あんな目で自分が悶える様を観察されたら――
「よし、流石だミラ。与えている快感の量も、きちんと抑制、分析が出来ているようだな」
アルベルティーネは満足そうに頷き、そして次の指示を出した。
「では、フェイズ3――フィニッシュだ」
「了解しました。フェイズ3に移行します」
ミラはおもむろに左手をペニスから離し、右手はペニスを握り込んでしこしこと上下運動を続ける。
そして、右手の中からはみ出している亀頭部分に左掌を押し当てていた。
そのまま、左手で撫でるようににゅるにゅると亀頭を弄ぶ。
くるくると撫で回すような刺激を与え、ひとしきり掌の感触を味わわせ――
そして、ぎゅっと左掌で亀頭部を包み込んでしまった。
その間も、右手はペニス全体に上下の刺激を与えたまま。
サオからカリを扱き続け、時にねじるような動きをも与えていたのだ。
「……」
その様子に目を奪われる僕を尻目に、ミラは手淫を実行し続ける。
右手はサオの根本からカリの部分までを、左手は亀頭部を覆うように包み込み、ぐちゅぐちゅと刺激。
さらに十本の指がバラバラに動き、覆い込んだ偽ペニスに這い回っていた。
ぬちゅぬちゅという粘音は激しさを増し、周囲に妖しく響く。
「男性器を押さえ込み、カリ、裏筋、尿道などの性感帯にくまなく刺激を与える――フィニッシュにふさわしい責めだろう?」
そんなアルベルティーネの言葉にも返答出来ず、僕はただその手技に見とれていた。
あの口内粘膜のようなヌルヌルの両手で、包み込まれるような愛撫を受けてイかされてみたい――
「……スイッチを押さなくていいのか?」
「え……?」
「自分が同じ責めを受けて、耐えられそうになかったらスイッチを押せと命じたじゃないか。
君は、ずいぶん長い間ガマンすることができるんだな」
アルベルティーネは意地悪く笑う。
「あ……」
そう言えば、すっかり忘れていたようだ。
あんな責めを受けて、我慢できるわけがない――僕は、慌てて手許のスイッチを押した。
これを押せば、疑似射精が始まるはず――
偽ペニスはミラの両手に包み込まれてしまい、すっかり見えない。
しかしその指の隙間からは、白濁液がどぷどぷと溢れ出していた。
「……射精を確認」
ミラはゆっくりと手の動きを緩めつつも、脈動する偽ペニスに刺激を与え続ける。
あれで、最高に気持ちの良い射精が体感出来るのだろう。
やがて偽精液の射出が終わり、ミラはようやく両手を張型から離したのだった。
「対象の射精終了を確認。プロジェクト05を終了します」
「よし、完璧だ! 快感度数データリンクも問題なし。実際に生体に対して使用しても問題ないレベルだな」
アルベルティーネはコンソールの前から立ち上がり、満足そうに腕を組んで頷いた。
「実際に、生体に――」
「そう。実際に男にな……」
声を揃え、そう呟く一人と一体。
そんなミラとアルベルティーネの視線が、同時に僕の方へと向く。
「え……?」
びくっ、と身を震わせて僕は後ずさっていた。
「せっかく股間を膨らませているんだ。実験ついでに、ヌいてもらうがいい」
テントを形作っている僕の股間を見据え、アルベルティーネは口の端を歪ませる。
「よし、ミラ……あの男に、プロジェクト015を実行だ」
「了解しました。プロジェクト015――目標を消し炭になるまで完全焼却します」
「いやすまん、命令撤回。プロジェクト005の間違いだった」
「任務修正、プロジェクト005――手での奉仕を開始します。アタッチメントH-02洗浄」
しゅぅぅぅぅ……とミラの両手が泡に包まれ、こびりついた偽精液が洗い流された。
そして再び、じんわりと粘液が染み出して粘膜状の表面がヌルヌルになる。
「ちょっと、まだそれは早くないかな……」
僕は後ずさりながら、突然の展開におののいた。
まだまだミラは実験段階。いきなり彼女に大事なところを触られて、加減を誤られたら大変な事態だ。
あれだけがんじ絡めだった鎖を、腕力に任せて引き千切ったことを忘れてはいない。
「もう少し、実験を重ねてからの方がいいんじゃ――」
「対象の逃亡意図を確認。捕獲した上でプロジェクト05を実行します」
ふわり、とミラの体が浮遊していた。
衝撃音と共に、足の裏からジェット炎を噴出するミラ。彼女はそのまま飛翔し、瞬時に僕の背後へと回り込む。
そして両腕で僕を後ろから押さえ込み、しっかりと拘束してしまった。
「やめろ! 離せー!」
じたばたともがく僕だが、細い腕ながら拘束はきつく逃げることはできない。
ミラは背後から僕を抱き締めるようにして、股間へと両腕を伸ばしてきた――
「さあ、搾精アンドロイドに生殖器を可愛がって貰うがいい」
そんな有様を眺めながら、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべるアルベルティーネ。
ミラはとうとう僕のズボンと下着を下ろしてしまい、張り裂けんほどに怒張したペニスを外気にさらさせる。
「これよりフェイズ1を開始――ペニスに手での奉仕を実行。
ペニスを握り込み、上下の往復運動による摩擦での刺激を与えます」
ぐちゅっ……と粘液にまみれたミラの右掌が僕のペニスを包み込んできた。
「あうぅぅぅぅぅぅ……!!」
舌のような、ヌルヌルでざらざらの粘膜。
ねとねとに滴った唾液のような粘液。
僕はまるで、肉棒に大きな舌が絡んできたかのような感触を味わっていた。
ミラは僕の背後に回り込んだまま腰を屈め、横から股間を覗き込んでくる。
「では、刺激を開始します」
「あ、あ、あぁぁ……ッ!」
ぬちゅぬちゅぬちゅ……!
ペニスを握り込んだミラの右手が、軽快に肉棒表面を上下し始めた。
それは単純に扱き上げる動作でありながら、カリの部分をくちゅくちゅと引っ掛けるように的確に刺激してくる。
また、掌粘膜のぬめる感触が極上の快楽を生み出していた。
「き、気持ちいい……」
僕はその手淫の感触に酔い、その快感に身を委ねてしまう。
ペニスをミラの手でしこしこと上下されるのが、気持ち良くてたまらない。
「あう……あ、あぁぁ……」
僕はミラに腰を拘束されたまま、喘ぎ声を漏らすことしかできなくなってしまった。
「対象の逃亡意図、完全に喪失しました。このまま奉仕を実行します」
じっ……と、僕を観察するような無機質の視線が注がれていた。
彼女は、男性を射精に導く人型マシン。
その動作の一つ一つが計算され尽くされ、正確無比。
僕はその丹念な刺激にさらされ、なすすべなく射精へと導かれるのだ――
くちゅ、くちゅ、くちゅ……
淡々と狂おしい刺激は続き、ペニスが丹念に可愛がられる。
僕は直立したまま、背後のミラに股間を愛撫され続けていた。
快感のあまり脱力しても、ミラが腰をしっかりと支えているので崩れることすらできない。
半ば強引に直立させられた状態で、肉棒を扱かれ続けるという刺激。
「あ、う……!」
その快感にこらえきれず、尿道からは先走り液がじんわりと染み出てきた。
「カウパー氏腺液の排出を確認しました。フェイズ2に移行。
両掌でペニスを覆い込み、圧迫および上下の摩擦、蠕動による刺激を与えます」
にゅぐっ……とミラの左手が肉棒に重ねられる。
僕のペニスは両側から右掌と左掌に挟まれ、ヌルヌルの中でじんわりと圧迫されていた。
そして肉棒を包んだままミラは両手を祈るように組み、形作った掌の筒の中にペニスを閉じこめてしまう。
四方からの刺激に、腰の奥からぞわぞわとした感覚が沸き上がってきた。
「あ……! そ、それ……凄い……」
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、と僕のペニスはミラの掌の筒の中で嫐り回される。
火を起こすようにすりすりと擦られ、軽く上下にシェイクされ、にゅくにゅくと蠕動するように絞られ――
「あぅ……!」
時折、にゅるんと亀頭の先端が掌の筒を貫通して顔を出す。
しかしそれも一瞬で、すぐに肉の筒に呑み込まれて見えなくなってしまった。
そしてグチュグチュと両掌で亀頭ごとマッサージされ、僕はあまりの快感に全身を震わせるのだった。
腰を引こうとしても叶わず、ただミラの与える快感を受け続けることしかできない。
「……」
そして彼女はじっと僕のペニスを見据え、観察し続ける。
その的確な分析は正確無比な刺激に結びつき、じっくりと高め上げられていくのだ。
搾精アンドロイドの奉仕を受けるという快楽、それは計算され尽くした責めを受けるということである――
「うぁぁ……ミラ……も、もう……」
腰のあたりで快楽が渦を巻き、本格的に出口を求めて疼き始めた。
ミラの甘い愛撫で、いよいよ限界を迎えそうになってきたのだ。
「カウパー氏腺液の多量排出、および陰嚢の変化、前立腺の収縮を確認。フェイズ3に以降。
十本の指を駆使し、ペニスに点在する性感帯を刺激します」
ミラは左手をペニスからいったん離し、それを亀頭部分に持ってきた。
そして右手ではサオをしこしこと扱き立てたまま、左掌で亀頭をムニムニと揉み込んでくる。
「ふあ、あぁぁ――!」
敏感な部分をヌルヌルの掌で優しく包まれ、揉み立てられる快楽。
さらに右手はペニスを扱き続け、カリの部分に引っ掛けるような刺激を与えてくる。
肉棒はすっかりミラの両手で包み込まれ、見えない中でえもいわれぬ極上の責めを受けていた。
「き、気持ち良すぎる……! もう――」
「では、フィニッシュの刺激に移行します」
ぐちゅぐちゅぐちゅ……!
十本の指がばらばらの動作でペニスに絡み付き、ミラの手の中で一気に嫐られる。
締め付け、緩め、撫で上げ、つつき、擦り――
カリを締め上げ、いじり、尿道をつつき、くすぐり、亀頭を這い、まとわりつき、裏筋をなぞり、さすり、サオを扱き、ひねり――
「あ、ああああぁぁぁぁぁぁ……!!」
男の急所を的確に弄ぶ正確無比な責めに、僕はあられもない喘ぎ声を上げていた。
まるで触手がぐじゅぐじゅとペニスに取り付き、嫐り立てられるような感触。
ミラの手は、もはや精液搾り機そのもの。
ヌルヌルの粘膜で覆われた掌でペニスをぴっちりと包み込み、精液を搾り出してしまうのだ――
そんな責めにさらされた僕も、そのまま果てるしかなかった。
「もう、だめ……! ああああああぁぁぁぁぁぁ!!」
全身をわななかせ、快楽の声を漏らす僕。
同時にペニスがびゅくびゅくと脈動し、快楽の証である精液がドクドクと溢れ出していた。
と言っても、ペニスはミラの両手で覆われており射精の様子は見えない。
ただ、魂まで抜けていくような射出感はまさに天上の快楽そのもの。
「射精を確認しました。搾り出し動作を実行します」
「ああ……いいよぉ……」
ぬちゅぬちゅぬちゅとミラは射精中のペニスを扱き、亀頭を掌で撫で回してくる。
それは、男に極上の射精感を与えるための動作。
たっぷりと射精中のペニスを嫐ってもらいながら、精液を最後の一滴まで搾り出されたのだった。
こうして散々に快感を与え、ミラの奉仕は無事に終了したのである。
「どうだ、中々よく出来たダッチワイフだろう」
アルベルティーネは、脱力する僕に向かって告げた。
「す、凄かった……これ……」
ミラの奉仕による快楽の余韻でふにゃふにゃになりつつ、僕は素直に感想を告げる。
「……」
無表情で立ち呆けるミラの隣で、アルベルティーネは満足げに何度も頷いた。
「そうかそうか、流石は私が心血を注いだダッチワイフ。
しかし、現在まともに作動出来る奉仕プログラムは今の005――手での奉仕しかないのが現状だ。
まあ研究が進めば、様々な奉仕プログラムや疑似人格プログラム、アタッチメントなどが使用可能になるだろうがな。
それだけではなく、さらに強力な兵装も搭載可能に……」
何やら、不穏な笑みを見せるアルベルティーネ。
ろくでもないことに、生みの親を真似るようにミラもこくこくと頷いている。
こうして、ローゼンクロイツ研究所の夜は更けていくのだった。
この娘さんに搾られてしまった方は、以下のボタンをどうぞ。