フェロモン・エステ


 

 「そこのお兄さん、フェロモン・エステを受けてみませんか〜?」

 とある街角――とある店の前で、僕は可愛らしい女性に呼び止められていた。

 その店は、最近出来たという美容サロン。全く興味がないので、詳しくは知らないが。

 そして店の看板には、そのまま『フェロモン・エステ』と記されている。

 「なんだい、そのフェロモン・エステって……」

 僕は足を止め、客寄せの娘に尋ねていた。

 大して興味もないのに立ち止まったのは、その娘が可愛かったからかもしれない。

 「フェロモン・エステとは、貴方のオチンチンに施す画期的なエステです。

  このエステの効果で貴方は女性にモテモテ! もう人生観が変わりますよ!」

 ……実にうさんくさい。

 「なんだ、それ。オチンチンに施すって……」

 娘のあまりにもあけすけな口振りに、僕は少し引いてしまう。。

 「それ、包茎手術か何かってこと? ここ、そういう系統のクリニック?」

 ひとつ上の男を目指せ、ということか?

 「いえいえ。オチンチンに特殊なマッサージを施したり、フェロモンアップ効果のある薬を塗ったり……

  外科手術ではなく、純粋なエステになりますねー」

 そんな説明を受けていた時、店のドアががちゃりと開いた。

 エステを終えた男性客が、店から出てきたのだろう。

 店内からは、若い女性達の「ありがとうございましたー!」という声。

 そして、その男性の異様なまでに緩んだ顔――驚いたのは、それだけではない。

 ドアの隙間から、店内の様子が見えてしまったのだ。

 理髪店にあるような椅子に座った一人の男性と、彼にエステを施している白衣の女性が二人。

 男の下着は下ろされ、股間の部分はぶくぶくと泡に包まれている。

 その泡の中に女性二人の四本の手が潜り込み、しゃかしゃかと蠢いていた。

 男はただ、恍惚の表情を浮かべている――

 「え――!?」

 ほんの一瞬で、ドアは閉まってしまう。

 「初回はなんと2500円というサービス価格。フルコース2時間で基本的なエステを受けられます」

 困惑する僕に対し、娘はエステの解説を続けていた。

 「フェロモン・エステで、全身からフェロモンを発散する男になってみませんか?」

 「に、2500円か……」

 エステがどうこうはともかく、新手の風俗だと思えば安いものだ。

 ここは一つ、試してみるとするか――

 「じゃあ、頼もうかな……」

 「わっ、ありがとうございまーす! じゃあ、店内にどうぞー!」

 「あと……ドアが開いた時に、外から見えるような席しかないの?」

 「個室でのエステだと、プラス500円になりますが……」

 「じゃあ、それでお願いします……」

 そんなやり取りを交わしながら、僕は店の中に案内されたのだった。

 

 

 清潔感の漂う店内――そこは、新しく出来たクリニックそのものだった。

 僕は料金の前払いを済ませ、個室の椅子に寝かされる。

 理髪店の椅子と同じく、背もたれが自由に操作できる仕組みだ。

 そして僕の隣には、白衣の綺麗な女性が立っていた。

 にこにこと微笑んでいる、非常に魅力的な笑顔のお姉さんだ。

 すでに僕の下着は脱がされ、部屋の隅の脱衣カゴに入っている――つまり、下半身が露出した状態。

 その気恥ずかしさに、僕の肉棒は力を失ってうなだれていた。

 「お客さん、初めてですよね?」

 お姉さんは、正面のパネルに繋がっているホースをずるずると引っ張り出す。

 その胴は蛇腹で、掃除機のホースより一回りほど太い。

 「そ、それは……?」

 「エステの最中に射精してしまうと困るので、あらかじめ精液を吸引しておくんです。

  ノズル部は使い捨てなので常に新品、清潔なのでご安心を」

 そう言って、お姉さんはホースの先端をペニスへと近付けてくる。

 ホースに繋がっている吸引機が作動し、ウィ〜〜ンという機械音を立て始めた。

 「では、力を抜いて身を委ねて下さいね……」

 

 

 To be continued...